ABCC6, ACTN4, ALG1, AMN, ANLN, APOE, APOL1, ARHGAP24, ARHGDIA, CD151, CD2AP, CFH, COL4A3, COL4A4, COL4A5, COQ2, COQ6, COQ8B, CRB2, CUBN, DGKE, ELMO1, EMP2, ENPP1, ERCC4, EXT1, FAN1, FAT1, FGA, FN1, FOXP3, HNF1B, INF2, ITGA3, ITGB4, KANK1, KANK2, KANK4, LAGE3, LAMB2, LMX1B, LPL, LRP2, MAFB, MAGI2, MEFV, MYH9, MYO1E, NEIL1, NPHS1, NPHS2, NUP107, NUP205, NUP93, NXF5, OSGEP, PAX2, PDSS2, PLCE1, PMM2, PTPRO, REN, SCARB2, SEC61A1, SGPL1, SMARCAL1, TP53RK, TPRKB, TRPC6, TTC21B, UMOD, WDR73, WT1, XPO5, ZAP70, ZMPSTE24 ( 76遺伝子 )
主要な遺伝子の詳細:
・NPHS1遺伝子:
ネフリン(nephrin)をコードする遺伝子。スリット膜の最も重要な構成タンパク質で、タンパク尿を防ぐ働きを持ちます。フィンランド型先天性ネフローゼ症候群の原因遺伝子として知られ、常染色体劣性遺伝形式をとります。生後数日~数週間で高度の蛋白尿とネフローゼ症候群を発症します。
・NPHS2遺伝子:
ポドシン(podocin)をコードする遺伝子。スリット膜に局在し、ネフリンと相互作用してろ過バリアを形成します。常染色体劣性遺伝形式で、乳児~小児期発症のステロイド抵抗性ネフローゼ症候群の最も頻度の高い原因遺伝子です。
・WT1遺伝子:
ウィルムス腫瘍1タンパク質(Wilms’ tumor 1)をコードする転写因子。ポドサイトの分化と維持に重要な役割を果たします。Denys-Drash症候群(男性仮性半陰陽、ウィルムス腫瘍、腎症)やFrasier症候群(男性仮性半陰陽、巣状分節性糸球体硬化症)の原因となります。
・LAMB2遺伝子:
ラミニンβ2鎖をコードし、糸球体基底膜の構成要素。常染色体劣性遺伝形式で、Pierson症候群(先天性ネフローゼ症候群+小眼球症などの眼異常)の原因です。
・PLCE1遺伝子:
ホスホリパーゼCε1(phospholipase C epsilon 1)をコードし、細胞内シグナル伝達に関与します。常染色体劣性遺伝形式で、早期発症型のネフローゼ症候群やびまん性メサンギウム硬化症の原因となります。
・ACTN4遺伝子:
α-アクチニン4(alpha-actinin-4)をコードし、ポドサイトの足突起の細胞骨格を構成します。常染色体優性遺伝形式で、成人発症の家族性巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)の原因遺伝子です。
・TRPC6遺伝子:
陽イオンチャネルTRPC6(transient receptor potential cation channel 6)をコードし、ポドサイトのカルシウム流入経路として機能します。常染色体優性遺伝形式で、家族性FSGSの原因遺伝子の一つです。
・INF2遺伝子:
インバーテッドフォルミン2(inverted formin 2)をコードし、アクチン細胞骨格の調節に関与します。常染色体優性遺伝形式で、常染色体優性FSGSの最も頻度の高い原因遺伝子です(家族性FSGSの約17%)。
・CD2AP遺伝子:
CD2結合タンパク質(CD2-associated protein)をコードし、スリット膜と細胞骨格をつなぐアダプタータンパク質として機能します。ネフリンやポドシンと相互作用し、ポドサイトの構造維持に重要です。
・MYO1E遺伝子:
ミオシン1E(myosin 1E)をコードし、ポドサイトの足突起の維持に関与します。常染色体劣性遺伝形式で、小児期発症のステロイド抵抗性ネフローゼ症候群の原因です。
・COL4A5遺伝子:
IV型コラーゲンα5鎖をコードし、糸球体基底膜の主要構成要素。X連鎖遺伝形式で、アルポート症候群の約80%を占めます。男性で重症、女性で軽症~中等症の腎炎を呈し、難聴や眼症状(前部円錐水晶体、網膜斑点など)を合併します。
・COL4A3・COL4A4遺伝子:
IV型コラーゲンα3鎖・α4鎖をコードし、糸球体基底膜の構成要素。常染色体劣性遺伝形式でアルポート症候群(約15%)、常染色体優性遺伝形式で菲薄基底膜病または遅発性アルポート症候群(約5%)の原因となります。
・APOL1遺伝子:
アポリポタンパク質L1(apolipoprotein L1)をコードします。G1とG2と呼ばれる特定のリスク変異は、主にアフリカ系の人々でFSGSや高血圧性腎硬化症のリスクを著しく高めます。
・MYH9遺伝子:
非筋型ミオシン重鎖IIA(non-muscle myosin heavy chain IIA)をコードします。May-Hegglin異常、Fechtner症候群、Sebastian症候群などの症候群性FSGS/腎疾患の原因です。血小板異常や難聴を合併します。
・CFH遺伝子:
補体因子H(complement factor H)をコードし、補体の代替経路の調節に関与します。非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)や膜性増殖性糸球体腎炎の原因となります。
・COQ2、COQ6、COQ8B、PDSS2遺伝子:
コエンザイムQ10(CoQ10)生合成経路に関与する遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、ミトコンドリア機能障害によるステロイド抵抗性ネフローゼ症候群を引き起こします。CoQ10補充療法が有効な場合があります。
その他、ANLN、ARHGAP24、ARHGDIA、CRB2、DGKE、FN1、HNF1B、KANK1、KANK2、KANK4、LMX1B、MAGI2、PAX2、SMARCAL1など、糸球体のポドサイト機能、細胞骨格、シグナル伝達、核膜孔複合体、腎臓発生に関与する多数の遺伝子も含まれています。