この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)
ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。
記事の作り方(編集方針)

偽性低アルドステロン症2型(ゴードン症候群)は、腎臓の働きは正常なのに血液のカリウムが高くなり、高血圧を伴うことが多い遺伝性の病気です。原因がわかると、よく効く薬(サイアザイド系利尿薬)がはっきりし、症状のない家族が同じ変化をもっているかも調べられます。このパネル検査は、2型の4遺伝子に加えて、1型やリドル症候群など、カリウムと血圧の異常を起こす遺伝子も含めた10遺伝子を一度に調べます。このページでは、高カリウム血症の原因の考え方、遺伝のしかた、検査でわかることとその後にできることを、臨床遺伝専門医が解説します。
⏱️ 30秒でわかる要約
🧬 Q. この検査で何がわかりますか?
高カリウム血症と高血圧の原因になる偽性低アルドステロン症2型(ゴードン症候群)の4遺伝子(WNK1・WNK4・KLHL3・CUL3)と、1型・リドル症候群など関連する6遺伝子、あわせて10遺伝子に原因の変化があるかを調べます。
🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?
腎臓の働きは正常なのに高カリウム血症がある方、若いうちからの高血圧(若年性高血圧)でカリウムの異常もある方、ご家族に同じ病気の方がいる方です。
🧬 Q. 費用・日数・検体は?
検査費用は税込330,000円、遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・頬粘膜で、唾液・頬粘膜ならオンライン診療でも受けられます。
🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?
結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。原因がわかれば、型に合った治療や見張りの手がかりになり、ご家族は同じ変化をピンポイントで調べられます。意義がまだわからない変化(VUS)の扱いもご説明します。
1. 偽性低アルドステロン症2型(ゴードン症候群)とは:高カリウム血症と高血圧が一緒に起こる遺伝の病気
偽性低アルドステロン症2型は、腎臓の働き(糸球体ろ過量)が正常なのに高カリウム血症が起こり、高血圧を伴うことが多い遺伝性の病気です[1]。英語では pseudohypoaldosteronism type II(PHA2・PHAII)といい、ゴードン症候群、家族性高カリウム血症性高血圧(FHHt)とも呼ばれます。
腎臓の尿細管の終わりの部分(遠位ネフロン)で、塩分(ナトリウムとクロール)を体に取り戻すはたらきが強くなりすぎ、同時にカリウムと酸を尿に出す力が落ちることで起こります[3]。塩分が体にたまって血圧が上がり、カリウムと酸が体に残る、という形です。
「偽性」「低アルドステロン」という名前の意味:1型と2型はまったく違う病気
名前に「偽性低アルドステロン症」とつく病気には、1型と2型があり、症状も治療も大きく違います。アルドステロンは副腎から出るホルモンで、腎臓にナトリウムを取り戻させ、カリウムを尿に出させます。アルドステロンが足りないと高カリウム血症になりますが、偽性低アルドステロン症では、アルドステロンが足りないのではなく、腎臓の側のしくみに原因があります。
🧬 偽性低アルドステロン症1型と2型の違い
※2型はGeneReviews[1]、1型は文献[5][6]と米国国立医学図書館(MedlinePlus Genetics)・小児慢性特定疾病情報センターの解説(2026年10月確認)による。
このページのパネル検査は、名前は「2型」ですが、1型の原因遺伝子も含んでいます。乳児期の塩類喪失と高カリウム血症で1型が疑われる場合にも、原因を確かめる手がかりになります。
偽性低アルドステロン症の症状:高カリウム血症・高血圧・代謝性アシドーシス、何歳から
2型の中心となる所見は、腎臓の働きが正常なのに起こる高カリウム血症、高血圧、高クロール性代謝性アシドーシス(血液が酸性に傾く)です。遺伝性疾患の解説書GeneReviewsによると、高血圧が現れるのは思春期から大人になってからが多いものの、子どもでの報告もあります。高カリウム血症は子どもでもみられ、高血圧がなくてもこの病気は否定できません[1]。
🩸 偽性低アルドステロン症2型でみられる検査値(GeneReviewsより)
※GeneReviews[1]による。高血圧は140/90 mmHgを超えるものとして記載されています。
そのほか、低身長、筋肉の痛み、周期性四肢麻痺(手足に力が入らなくなる発作)、歯の異常が報告されています[1]。見張りの基本は、定期的な電解質(カリウムなど)と血圧の測定です[1]。
治療と見通し:サイアザイド系利尿薬がよく効く
偽性低アルドステロン症2型の電解質の異常と高血圧は、サイアザイド系利尿薬で改善することが多く、多くは1週間ほどで良くなるとされています[1]。遺伝子の研究でも、病気の特徴はサイアザイド系利尿薬で元に戻ると報告されています[2]。薬の量は血圧が正常になるように調整し、治療を受けていない段階では、塩分とカリウムの多い食品をとりすぎないことが勧められています[1]。
つまり、「高カリウム血症が治るのか」「高血圧が治るのか」という問いには、原因を治すわけではないものの、合った薬で検査値と血圧を保ちやすい病気、と答えられます。治療は、腎臓内科・内分泌内科など専門の医療機関で行います。
2. 高カリウム血症の原因は?腎臓が正常なのにカリウムが高いときに考える病気
高カリウム血症の原因として最も多いのは慢性腎臓病(とくに糖尿病によるもの)で、ほかにも薬の影響や副腎の病気など、さまざまな原因があります[1]。腎臓の働きが正常なのにカリウムが高く、しかも高血圧やレニンの低下を伴うときは、偽性低アルドステロン症2型のような遺伝の病気が候補に入ります。
カリウムが高いか低いかで、疑う病気と選ぶ検査が変わる
遺伝で起こる高血圧には、カリウムが高くなるタイプと低くなるタイプがあります。このパネルは両方の一部を含みますが、手がかりによっては別の検査のほうが向いています。
🔍 カリウムと血圧から考える病気と原因遺伝子
※病気と遺伝子の対応は文献[1][2][3][5][6][7][8][9][10]と米国国立医学図書館(MedlinePlus Genetics)の解説による。どの検査が合うかは、血液・尿の検査や画像の結果とあわせて遺伝カウンセリングで決めます。
腎臓の病気には、ほかにも原因の遺伝子を調べる検査があります。尿・血液の検査や画像の結果に合わせて、次のように選びます。
🫘 尿・血液の検査や画像の結果から選ぶ、腎臓の遺伝子検査
※おおまかな目安です。実際には症状や家族歴とあわせて決めます。
若年性高血圧は「二次性高血圧」を疑うきっかけ:原因が遺伝子のこともある
ほかの病気が原因で起こる高血圧を「二次性高血圧」と呼びます。若いうちからの高血圧(若年性高血圧)で、カリウムの異常やレニン・アルドステロンの異常を伴うときは、原因が1つの遺伝子の変化であることがあります。偽性低アルドステロン症2型のほか、リドル症候群[7]、見かけの鉱質コルチコイド過剰症[8]、家族性高アルドステロン症3型[9]、妊娠で悪化する早発性高血圧[10]などが、遺伝子の変化で起こる高血圧として報告されています。
当院では、血液・尿の検査などで、カリウムが高い・低い、レニンが低いなどの手がかりがそろったときに、遺伝子検査で原因を確かめることをおすすめしています。
高血圧は遺伝する?ふつうの高血圧と、1つの遺伝子で起こる高血圧の違い
ご家族に高血圧の方が多いことはよくありますが、このページの検査で調べる「1つの遺伝子の変化で起こる高血圧」はまれです。たとえば偽性低アルドステロン症2型は、頻度ははっきりわかっておらず、これまでに180人・家系あまりが報告されている病気です[1]。
そのため、「家族に高血圧が多い」だけでこの検査を受ける必要はありません。一方で、若いうちから高血圧があり、血液検査でカリウムの異常を言われた、ご家族にも同じ電解質の異常がある、という場合は、原因を一度確かめておく意味があります。
3. どんな人がこの検査を受けるとよいか
腎臓の働きは正常なのに高カリウム血症がある方、若いうちからの高血圧でカリウムの異常もある方、ご家族に同じ病気の方がいる方に向く検査です。原因がわからないまま薬を変えたり検査を重ねたりしてきた方にとって、1回の検査で原因の遺伝子を確かめられる可能性があります。
- ●腎臓の働き(糸球体ろ過量)が正常なのに、高カリウム血症がくり返し見つかる方
- ●若いうちからの高血圧(若年性高血圧)があり、カリウムが高い、またはレニンが低いと言われた方
- ●高クロール性の代謝性アシドーシスを指摘された方
- ●サイアザイド系利尿薬で、血圧とカリウムがよく下がった方
- ●乳児期に塩分が失われ、高カリウム血症で治療を受けた方(偽性低アルドステロン症1型が疑われる方)
- ●ご家族に偽性低アルドステロン症・ゴードン症候群と診断された方、または同じ電解質の異常をもつ方がいる方
病名がわかると、合った薬、見張る項目、ご家族への説明が決まります。小児慢性特定疾病の対象となる病気でもあるため(第8章)、お子さんでは制度の利用を考える手がかりにもなります。
この検査より別の検査が向いている場合
アルドステロンが多く出ていることがわかったときは原発性アルドステロン症の遺伝子検査、副腎の酵素の病気が疑われるときは先天性副腎過形成の遺伝子検査のほうが向いています(第2章の表)。腎臓以外の症状も多く、病気をしぼれないときは、遺伝子パネルではなく全エクソーム検査を考えることもあります(WESとパネル検査の違い)。慢性腎臓病や薬の影響など、遺伝以外の原因がはっきりしている高カリウム血症では、この検査は必要ありません。
4. 調べる10遺伝子と、わかる病気
この検査では、偽性低アルドステロン症2型の4遺伝子(WNK1・WNK4・KLHL3・CUL3)と、カリウムと血圧の異常に関わる6遺伝子(NR3C2・SCNN1A・SCNN1B・SCNN1G・HSD11B2・KCNJ5)の、あわせて10遺伝子を調べます。
🧬 偽性低アルドステロン症2型パネルで調べる10遺伝子
※2型の遺伝子と遺伝のしかたはGeneReviews[1]と文献[2][3][4]、1型は文献[5][6]、リドル症候群は文献[7]、AMEは文献[8]、家族性高アルドステロン症3型は文献[9]、早発性高血圧は文献[10]と米国国立医学図書館(MedlinePlus Genetics)の解説による。
原因の遺伝子で、症状の重さが違う
偽性低アルドステロン症2型では、原因の遺伝子によって重さの傾向が違います。CUL3の変化をもつ方は高カリウム血症と代謝性アシドーシスが重い傾向があり、WNK1・WNK4の変化をもつ方は軽めとされています[1]。KLHL3では、両方の遺伝子に変化がある(潜性遺伝の)方が、片方だけの方より重いことがあるとされています[1]。
GeneReviewsにまとめられた報告では、KLHL3とCUL3による家系が多く、WNK1・WNK4による家系は少ないとされています[1]。4つの遺伝子を一度に調べることには、このように原因の遺伝子が家系ごとに違うという理由があります。
なお、CUL3遺伝子には、偽性低アルドステロン症2型とは別に、神経の発達に関わる病気(CUL3関連神経発達症)もあります。米国国立医学図書館の解説では、偽性低アルドステロン症2型を起こす変化は遺伝子の決まった場所の変化で、2つの病気の症状は重ならないとされています。
しくみ:WNK・KLHL3・CUL3が、腎臓の塩分の通り道を調節している
WNK1とWNK4は、ほかのたんぱく質にリン酸をつけてはたらきを切り替える酵素(キナーゼ)で、腎臓の遠位ネフロンにあります[3]。WNK1では遺伝子の中の、たんぱく質をつくらない部分の大きな欠失によって量が増え、WNK4ではミスセンス変異がかぎられた場所に集まっていました[3]。
KLHL3とCUL3は、不要になったたんぱく質に目印をつけて分解へ送るしくみ(ユビキチン‐プロテアソーム系)の部品です。2012年の研究で、この2つの遺伝子の変化が偽性低アルドステロン症2型を起こすことがわかり、CUL3のさまざまな変化はいずれも遺伝子の9番目のエクソンが抜け落ちる形になることが示されました[2][4]。
SCNN1A・SCNN1B・SCNN1Gは、腎臓などにあるナトリウムの通り道(上皮性ナトリウムチャネル)をつくる遺伝子です。SCNN1B・SCNN1Gの変化は、若いうちからの高血圧を起こすリドル症候群の原因になる一方[7]、両方の遺伝子に変化がそろうと、反対に塩分が失われる偽性低アルドステロン症1型の原因にもなります[6]。同じ遺伝子でも、変化の種類で起こる病気が逆向きになるため、結果の読み方には専門の知識が必要です。
5. 偽性低アルドステロン症は遺伝する?子ども・家族への確率
偽性低アルドステロン症2型の多くは常染色体顕性(優性)遺伝で、お子さん1人ごとに2分の1の確率で原因の変化を受け継ぎます[1]。ただし、遺伝のしかたは原因の遺伝子と変化によって違います。
新しく起きた変化(de novo)でも「次は大丈夫」とは言えない
GeneReviewsでは、報告された182例のうち15例がご本人の代で新しく起きた変化で、そのうち14例がCUL3でした[1]。親御さんが変化をもっていなくても、親御さんの卵子や精子のもとになる細胞(生殖細胞)にだけ変化がある場合があります。変化をもつ生殖細胞からできる卵子・精子は2分の1の確率で変化を受け継ぎます。生殖細胞のうちどれくらいが変化をもつかは実際の診療では調べられないため、お子さん1人あたりの確率は『最大で2分の1』とお伝えしています。
症状の軽いご家族が、気づかれていないことがある
同じ変化をもっていても、症状の出方には幅があります。GeneReviewsは、ご両親に症状がなくても、親御さんの浸透率が低い(変化をもっていても症状が出にくい)可能性があるため、きょうだいの確率は高いままでありうるとしています[1]。原因の遺伝子でも重さが違うため(第4章)、同じ家族の中でも症状の重さが人によって違うことがあります。
⚠️ 「自分が軽いから、家族も心配ない」とは言えません
この病気は思春期以降に見つかることが多く、子どものうちは気づかれないことがあります。ご家族の誰かで原因がわかったときは、症状の有無だけで判断せず、血圧と電解質の検査、必要なら遺伝子の検査で確かめることに意味があります。
潜性遺伝の病気で、パートナーが同じ遺伝子の保因者かを知りたい場合は、ご家族で見つかった変化をもとに、遺伝カウンセリングで調べ方をご相談ください。なお、当院の拡大版保因者スクリーニング(787遺伝子版)の一覧には、この10遺伝子は入っていません(2026年10月確認)。
6. この検査でわかること・わからないこと
この検査でわかるのは、10遺伝子の文字(塩基)の小さな変化と、遺伝子の大きな欠失・重複です。一方で、遺伝子検査には必ず限界があります。
- ●調べる範囲:遺伝子のたんぱく質をつくる部分(コード領域)と、その境目(スプライス部位)を読みます。
- ●欠失・重複:遺伝子1つ分の欠失・重複は血液と頬粘膜の検体で、2つ以上続くエクソンの欠失・重複は血液の検体で見つけられます。エクソン1つだけの欠失・重複は、見つかることもありますが、日常的には検出されません。見つかった欠失・重複は、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します。
- ●見つけにくい変化:染色体の転座や逆位、繰り返し配列の伸長、遺伝子のスイッチ部分(プロモーター)や遺伝子の奥深く(エクソンから20塩基より離れた場所)の変化は対象外です。
- ●WNK1の欠失について:WNK1の原因は遺伝子の中の、たんぱく質をつくらない部分の大きな欠失として報告されています[3]。この部分は上の「調べる範囲」の外にあり、欠失・重複の解析もエクソン単位で行うため、この検査ではWNK1のこの種の欠失を見つけられない可能性があります。WNK1の欠失が疑われるご家族歴がある場合は、検査を受ける前の遺伝カウンセリングでご相談ください。
- ●モザイク:体の一部の細胞にだけ変化がある状態(体細胞モザイク)を見つけるようには作られていません。がんの組織の検査にも使えません。
- ●意義がまだわからない変化(VUS):病気の原因かどうか、まだ判断できない変化が見つかることがあります。
- ●陰性でも否定はできません:原因が見つからなくても、この10遺伝子以外の原因や、この検査では見つけにくい変化が残る可能性があります。GeneReviewsでも、原因の遺伝子がわからない家系が報告されています[1]。
調べた目的とは別の病気の原因が見つかった場合(二次的所見)の扱いは、当院の二次的所見の開示方針のとおりです。
専門家向け:読み取りの精度(カバレッジ)
同じ場所を20回以上読み取れた割合(カバレッジ)は、≥99% at 20xです。読み取り回数が多いほど、変化を見落としにくくなります。
7. 結果が出たあと
結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。報告書の読み方はNIPT/遺伝子検査結果の見かたでも解説しています。
病的変異が見つかったら、次にできること
原因の遺伝子の変化がわかると、病名が決まり、治療・見張り・ご家族の検査・次のお子さんの計画まで、次の一手が具体的になります。
① ご本人(症状がある方):病名が確定し、型に合った治療の手がかりになります。2型では、塩分を控えることとサイアザイド系利尿薬で、電解質と血圧の異常が改善することが多いとされています[1]。1型では塩分の補充が中心で、腎臓型の多くは1歳以降に補充がいらなくなる一方、全身型は補充が続くことが多いとされています(小児慢性特定疾病情報センター、2026年10月確認)。リドル症候群・AME・家族性高アルドステロン症3型なども、原因に合わせて治療の考え方が変わります。どの型でも、血圧と電解質の定期的な検査が見張りの基本です[1]。治療は腎臓内科・内分泌内科・小児科など専門の医療機関で行います。
② 症状のないご本人(家族歴で受けた方):血圧とカリウムを定期的に測ることで、異常が出たときに早く気づけます。潜性遺伝の遺伝子で片方だけに変化があった(保因者だった)場合、たとえば1型全身型では、保因者の方はふつう症状がないとされています(米国国立医学図書館の解説)。この場合は、パートナーが同じ遺伝子の変化をもつかで、お子さんへの確率が変わります。
③ 子どもを持つときの選択肢:ご家族で原因の変化がわかっていれば、妊娠したときに赤ちゃんが同じ変化をもっているかを調べることができます[1]。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。この病気で出生前診断を行うかどうかは、病気の重さや国内の指針を踏まえて個別に考えますので、妊娠を考えている段階からご相談ください。もちろん、出生前の検査を受けずに出産を迎えることも、そのまま選べる選択肢です。
④ ご家族:ご両親・きょうだい・お子さんは、見つかった変化だけをピンポイントで調べられます。症状のない方の検査は、ご本人の同意で、遺伝カウンセリングのうえで行います。
⑤ 当院でのその後:結果をお伝えしたあとも、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで、ご家族への伝え方や次の検査について一緒に考えます(遺伝カウンセリング料は30分22,000円・税込)。
💡 妊娠中の治療について
GeneReviewsには、サイアザイド系利尿薬を含む一部の降圧薬が、胎児への好ましくない影響と関連したとの記載があります[1]。妊娠を考えている方は、薬について主治医と前もって相談してください。
陰性のとき
10遺伝子に原因の変化が見つからなくても、この病気が否定されるわけではありません(第6章)。症状と検査値に基づく治療はそのまま続けます。カリウムが低いタイプなら原発性アルドステロン症の遺伝子検査、ほかの症状も多ければ全エクソーム検査など、次の選択肢を一緒に考えます。
意義がまだわからない変化(VUS)が見つかったとき
VUSは、それだけで診断や治療の判断、ご家族の発症予測には使いません。ただし、変化の意味を確かめるために、ご家族の同意のもとで同じ変化の有無を調べることがあります。研究が進んで、のちに意味がはっきりすることもあります。
8. 日本の制度:小児慢性特定疾病(2026年10月時点)
偽性低アルドステロン症は、小児慢性特定疾病の内分泌疾患群に「偽性低アルドステロン症」(告示番号7)として載っています。小児慢性特定疾病情報センターでは、1型と2型(ゴードン症候群)それぞれの解説が掲載されています(2026年10月確認)。
医療費の助成を受けるには、認定の条件を満たし、申請する必要があります。認定の基準や申請の方法は、小児慢性特定疾病情報センターやお住まいの自治体の窓口でご確認ください。遺伝子検査で原因が確定していることは、病名をはっきりさせる手がかりのひとつになります。
9. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体
検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。唾液・口の内側の粘膜(頬粘膜)・血液のどれでも検査でき、唾液・頬粘膜ならオンライン診療でもお受けいただけます。
ご予約
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
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検体の採取唾液・頬粘膜・血液
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結果のご説明2〜3週間後・マイページへ
この検査は、遺伝診療先進国・米国の3大遺伝子検査会社の一角で行います。※
※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。
💴 費用・日数・検体
※ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。
オンライン診療(ビデオ通話)で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただく流れです。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。検体採取キットは、検査料金のお支払いのあとにお送りします。検体の取り違えや品質の低下を防ぐため、キットが届く前にご自身で検体を採らないでください。
結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。
10. 院長コラム
🩺 院長コラム【原因がわかれば、薬も家族の見張りも決められる】
私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。
偽性低アルドステロン症2型は、高カリウム血症と高血圧という、ありふれた検査値の異常の陰に隠れやすい病気です。けれども原因がわかれば、合う薬がはっきりし、血圧と電解質という身近な検査で、ご家族も見張ることができます。わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。
遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。
遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。知ったうえで結婚や妊娠を考えたい方には、遺伝カウンセリングから出生前診断の相談まで、当院で続けて支えられる体制を整えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。
よくある質問(FAQ)
Q1. 偽性低アルドステロン症とは、どんな病気ですか?
腎臓でのナトリウム(塩分)とカリウムの調節がうまくいかず、血液のカリウムが高くなる遺伝性の病気です。大きく1型と2型があります。2型(ゴードン症候群)は、腎臓の働きが正常なのに高カリウム血症があり、高血圧を伴うことが多い病気で、サイアザイド系利尿薬がよく効きます。1型は乳児期に塩分が失われる(塩類喪失)形で見つかることが多く、治療の考え方が違います。
Q2. 高カリウム血症の原因に、遺伝はありますか?
あります。ただし、高カリウム血症の原因として最も多いのは慢性腎臓病(とくに糖尿病によるもの)で、ほかにも薬の影響や副腎の病気などがあります。腎臓の働きが正常なのにカリウムが高く、高血圧や代謝性アシドーシスを伴うときは、偽性低アルドステロン症2型のような遺伝の病気を考えます。
Q3. 若いのに高血圧です。高血圧は遺伝しますか?遺伝子検査で原因はわかりますか?
高血圧の家族歴がある方は多いですが、1つの遺伝子の変化で起こる高血圧はまれです。若いうちからの高血圧で、血液のカリウムが高い、または低いなどの手がかりがあるときは、遺伝子検査で原因がわかることがあります。カリウムが高ければこのパネル、アルドステロンが多く出ていることがわかれば原発性アルドステロン症の遺伝子検査が向きます。
Q4. 原発性アルドステロン症の遺伝子検査との違いは何ですか?
偽性低アルドステロン症2型は、高血圧なのにカリウムが高く、レニンが低く、アルドステロンはカリウムの高さのわりに低めです。原発性アルドステロン症は、副腎からアルドステロンが多く出て、高血圧を起こす病気です。カリウムやアルドステロンの値で、選ぶ検査が変わります。このパネルには、低カリウムの高血圧を起こす遺伝子も一部含まれています。
Q5. 子どもに遺伝する確率はどれくらいですか?
偽性低アルドステロン症2型の多くは常染色体顕性(優性)遺伝で、お子さん1人ごとに2分の1の確率で受け継ぎます。KLHL3遺伝子では潜性(劣性)遺伝の場合もあり、ご両親がともに保因者なら、お子さんが発症する確率は4分の1です。CUL3遺伝子では、ご本人の代で新しく起きた変化が多いと報告されています。どの遺伝のしかたかは、原因の遺伝子と変化がわかってはじめて言えます。
Q6. 家族も検査を受けたほうがよいですか?
ご本人で原因の遺伝子の変化がわかれば、ご家族は同じ変化をもっているかをピンポイントで調べられます。この病気は、同じ変化をもっていても症状の軽い方や、気づかれていない方がいることがあります。血圧と電解質の検査で見張れる病気なので、知っておくことは早く見つけて治療につなげる手がかりになります。症状のない方の検査は、遺伝カウンセリングで十分に考えたうえで、ご本人の意思で決めていただきます。
Q7. 費用はいくらですか?保険は使えますか?
検査費用は税込330,000円です。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。
Q8. 結果が出るまでの日数と、検体は何ですか?
結果までは2〜3週間です。至急オプション(55,000円)を使うと約7日短くなります。検体は血液・唾液・口の内側の粘膜(頬粘膜)で、唾液・頬粘膜ならオンライン診療でも受けられます。
🧬 一度の検査で、ご自身とご家族のこれからを考える
生まれ持った遺伝子は一生変わりません。高カリウム血症と高血圧の原因がわかれば、合う治療を選ぶ手がかりになり、ご家族が自分の状態を知るきっかけにもなります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。
お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768
参考文献
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