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バーター症候群・ギッテルマン症候群の遺伝子検査(29遺伝子パネル)

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

バーター症候群・ギッテルマン症候群の遺伝子検査

バーター症候群は、腎臓の尿細管で塩分(ナトリウムと塩素)をうまく取り戻せないために、低カリウム血症と代謝性アルカローシスが起こる、生まれつきの病気です。よく似たギッテルマン症候群とあわせて「塩類喪失性尿細管症」と呼ばれ、原因の遺伝子によって、出生前から症状が出る型もあれば、大人になってから見つかる型もあります。原因の遺伝子がわかると、病型が決まり、治療の考え方・難聴の確認・ご家族や次の妊娠への備えまでが具体的になります。このページでは、症状・寿命の見通し・ギッテルマン症候群との違い・遺伝のしかたと、29遺伝子をまとめて調べる遺伝子検査でわかることを、臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. この検査で何がわかりますか?

バーター症候群(1〜5型)とギッテルマン症候群の原因遺伝子に加え、見分けが必要な尿細管・電解質の病気の遺伝子まで、29遺伝子を一度に調べます。どの型かがわかると、治療の考え方や注意すべき合併症が決まります。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

羊水過多・早産で生まれ、塩分を失いやすいと言われたお子さん、原因のわからない低カリウム血症が続く大人の方、ご家族にバーター症候群・ギッテルマン症候群の方がいる方、次の妊娠を考えている親御さんです。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

結果までは2〜3週間です(至急オプション55,000円で約7日短縮)。検体は血液・唾液・口の内側の粘膜で、オンライン診療でも受けられます。検査費用はお問い合わせください。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。多くの型は常染色体潜性遺伝で、ご両親がともに保因者なら、次のお子さんが同じ病気になる確率は4分の1です。意義がまだわからない変化(VUS)の扱いもご説明します。

\ 一生変わらない遺伝子を知って、これからの計画に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

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1. バーター症候群とは:ギッテルマン症候群との違い

バーター症候群は、腎臓で塩分を取り戻す働きが生まれつき弱いために、低カリウム血症・低クロール血症・代謝性アルカローシスが起こり、血圧は正常から低めになる、まれな遺伝性の病気です[1]。欧州の希少腎疾患ネットワーク(ERKNet)の専門家による2021年の合意文書では、塩分を取り戻す働きの障害が主に「ヘンレ係蹄の太い上行脚」という尿細管の部分で起こり、5つの原因遺伝子が知られているとまとめられています[1]。

塩分が尿に出ていってしまうと、体は水分と塩分を保とうとして、レニン・アルドステロンというホルモンを増やします。アルドステロンが増えると、今度はカリウムが尿にたくさん出ていき、血液中のカリウムが下がります。これが「血圧は高くないのに、アルドステロンが高く、カリウムが低い」という、この病気の特徴の理由です[1]。

型と原因遺伝子(1〜5型)

バーター症候群は、原因の遺伝子によって1型から5型に分けられます。型によって、症状が出る時期、難聴の有無、遺伝のしかたが違います[1]。

🧬 バーター症候群の型と原因遺伝子

型 原因遺伝子 遺伝のしかた 主な特徴
1型 SLC12A1 常染色体潜性 出生前から発症。強い羊水過多、尿にカルシウムが多く出る(高カルシウム尿症)、早くからの腎石灰化
2型 KCNJ1 常染色体潜性 出生前から発症。生まれてすぐは一時的にカリウムが高いことがある。高カルシウム尿症
3型 CLCNKB 常染色体潜性 多くは1歳以降に診断(古典型)。ギッテルマン症候群と見分けがつかないこともある
4a型 BSND 常染色体潜性 早い時期からの羊水過多。感音難聴を伴う
4b型 CLCNKA+CLCNKB 2つの遺伝子の両方に変化がそろって起こる 4a型と似た症状。感音難聴を伴う
5型 MAGED2 X連鎖潜性 出生前に強い羊水過多と早産。症状は生後しだいに自然に治まる(一過性)

※ERKNetの合意文書[1]、5型はLaghmaniら[4]による。古い資料では、カルシウム感知受容体(CASR)遺伝子による病気を「5型」と呼んでいることがありますが、2021年の合意文書では5型はMAGED2遺伝子による型とされ、CASRは見分けるべき別の病気(常染色体顕性低カルシウム血症)の遺伝子として扱われています[1]。

4a型の原因であるBSND遺伝子は、塩素を通すチャネル(ClC-KaとClC-Kb)が働くのに必要なタンパク質「バーチン」を作ります。これらのチャネルは腎臓だけでなく内耳でも働いているため、4a型・4b型では難聴が起こります。詳しくはバーター症候群4a型のページで解説しています。4b型のように2つの遺伝子がそろって起こるしくみは「二遺伝子遺伝(ダイジェニック)」と呼ばれます。

ギッテルマン症候群との違い

ギッテルマン症候群は、バーター症候群とよく似た「低カリウム血症と代謝性アルカローシス」を起こす病気で、原因はSLC12A3遺伝子の両方のコピーの変化です[2]。国際腎臓病ガイドライン機構(KDIGO)の会議報告では、ギッテルマン症候群は思春期以降や大人になってから見つかることが多く、低マグネシウム血症と、尿へのカルシウムの排出が少ないこと(低カルシウム尿症)が特徴とされています[2]。

⚖️ バーター症候群とギッテルマン症候群の違い

項目 バーター症候群 ギッテルマン症候群
障害される場所 主にヘンレ係蹄の太い上行脚 遠位尿細管(SLC12A3が作るナトリウム・クロール共輸送体)
見つかる時期 出生前〜幼児期が多い(3型は1歳以降が多い) 思春期以降・大人が多い(子どもで見つかることもある)
尿のカルシウム 1型・2型は多い(高カルシウム尿症) 少ない(低カルシウム尿症)
マグネシウム 型によって下がることがある 低マグネシウム血症が特徴
頻度 まれ 4万人に1〜10人程度(アジアではもっと多い可能性)

※文献[1][2]による。3歳より前に症状が出る場合は古典型バーター症候群が考えやすいものの、症状だけでは区別できないことがあるとされています[2]。

症状や血液検査だけでは、3型バーター症候群とギッテルマン症候群を区別しきれないことがあります。フランスでCLCNKB遺伝子の変化をもつ115人を調べた研究では、診断されたときの病型は、出生前・新生児期型が29.5%、古典型が44.5%、ギッテルマン症候群に似た型が26.0%でした[3]。同じ遺伝子でも症状の出方がこれだけ違うことが、遺伝子で原因を確かめる意味のひとつです。

偽性バーター症候群とは

「偽性バーター症候群」は、遺伝子の病気ではないのに、バーター症候群やギッテルマン症候群とよく似た検査値になる状態を指す言葉です。ERKNetとKDIGOの文書では、見分けるべきものとして、利尿薬や下剤の使用、くり返す嘔吐が挙げられています[1][2]。ほかにも、生まれつき塩素を含む下痢が続く先天性クロール下痢症や、嚢胞性線維症などが、似た検査値を示すことがあるとされています[1]。

遺伝子検査で原因の変化が見つかれば、こうした「似ているが別の原因」と区別する手がかりになります。反対に、遺伝子検査で原因が見つからないときは、偽性のものも含めて、ほかの原因を改めて考えることになります(第7章)。

2. 症状と発症の時期:新生児型・古典型・大人で見つかる場合

バーター症候群の症状は、型によって「出生前から」「乳幼児期から」「大人になってから」と大きく違います。共通しているのは、塩分と水分を失いやすいことによる症状と、低カリウム血症による症状です。

新生児型(出生前型):羊水過多と早産

1型・2型・4型・5型の多くは、お母さんのおなかの中にいるときから症状が出ます。赤ちゃんの尿が多くなるために羊水が増え(羊水過多)、ERKNetの合意文書では、羊水過多のために多くの患者さんが早産になると述べられています。4型と5型では、1型・2型より早い時期に羊水過多が出やすいとされています[1]。

5型(MAGED2遺伝子)は、男の赤ちゃんで強い羊水過多と早産を起こしますが、生き延びたお子さんでは、塩分を失う症状が経過の中で自然に治まったと報告されています[4]。同じ報告では、13人のうち4人が周産期に亡くなっており、出生前の時期がいちばん重いのがこの型の特徴です[4]。

古典型:乳幼児期以降の成長の遅れ・脱水

3型は、多くが1歳以降に診断される「古典型」です[1]。尿の量が多い、のどが渇く、塩辛いものを欲しがる、かぜなどで脱水になりやすい、といった様子がきっかけになります。ERKNetの合意文書では、成長障害はバーター症候群によくみられる合併症で、最初に気づかれる症状であることも多いとされています[1]。

大人で見つかる場合

健康診断や別の病気の検査で、たまたま低カリウム血症が見つかり、原因を調べていくうちに、ギッテルマン症候群や3型バーター症候群が疑われることがあります。KDIGOの会議報告では、ギッテルマン症候群の症状として、塩分を欲しがる、筋力低下、疲れやすさ、こむら返り、のどの渇き、夜間の排尿、手足のしびれなどが挙げられ、症状がほとんどない方も多いとされています[2]。

💡 大人で疑われたときに知っておきたいこと

ERKNetの合意文書によると、バーター症候群が疑われて遺伝子検査を受けた場合、原因の遺伝子が見つかる割合は、子どもでは約75%なのに対し、大人では12.5%にとどまっていました。大人では、利尿薬や下剤の使用など、見分けるべき原因がほかにも多いことが理由のひとつと考えられています[1]。大人の方では、遺伝子検査の前後で、薬の使用歴などもあわせて確認することが大切です。

難聴・腎石灰化・心電図など、合併症で気をつけること

4a型・4b型では感音難聴を伴います。ERKNetの合意文書は、遺伝子検査で4型とわかることが、難聴の検査と治療を始めるきっかけになるとしています[1]。BSND遺伝子の変化では、腎臓の症状が軽く難聴が目立つ「軽度腎機能障害を伴う感音性難聴」という形をとることもあります。

1型・2型では尿にカルシウムが多く出るため、腎臓にカルシウムがたまる腎石灰化が起こりやすいとされています[1]。ギッテルマン症候群では、心電図のQT時間の延長が約半数にみられるとされ、安静時の心電図をとることが勧められています。また、低マグネシウム血症に関係して、関節にカルシウムの結晶がたまる軟骨石灰化症が起こることがあります[2]。

知的障害はあるか

ERKNetの合意文書では、知的障害はバーター症候群の特徴としては挙げられていません。ただし、出生前型ではとても早い早産で生まれるお子さんが多く、早産に伴う合併症が学校生活に影響しうるため、経過の中で精神運動発達を確かめることが勧められています[1]。

なお、このパネルで調べる遺伝子の中には、バーター症候群に似た尿細管の症状に加えて、神経の症状を伴う病気の遺伝子も含まれています。たとえばKCNJ10遺伝子によるEAST症候群は、てんかん・運動失調・感音難聴・塩分を失う尿細管症をあわせもつ病気として報告されました[5]。SLC12A2遺伝子に新しく起きた変化では、発達の遅れや知的障害を伴う神経発達症や、難聴が報告されています[7]。電解質の異常に加えて神経の症状があるときは、こうした病気も含めて調べる意味があります。

3. 寿命・予後と治療

バーター症候群の寿命について、はっきりした数字は示されていません。一方で、慢性腎臓病はよくみられる合併症とされ、生涯にわたる治療と定期的な検査が必要です[1]。ギッテルマン症候群については、KDIGOの会議報告が「これまでのところ寿命に影響するという証拠はない」としています[2]。

寿命・長期の見通し

ERKNetの合意文書は、バーター症候群を「すばやい診断と治療が必要な、命に関わりうる病気」と位置づけたうえで、慢性腎臓病はよくみられ、末期腎不全に至る方もいるものの、正確なデータは不足していると述べています[1]。前に紹介したフランスの研究では、経過を追えた3型の77人のうち19人(25%)に慢性腎不全がみられ、1人が血液透析、4人が腎移植を受けていました(経過観察の中央値8年)[3]。4a型では、2型・3型より慢性腎臓病が重く進むことがあるとされています[1]。

つまり、「寿命がどうなるか」は型や一人ひとりの経過によって違い、だからこそ、どの型かを知って、腎臓の働きを長く守る管理につなげることが大切です。大人になってからも、6〜12か月ごとに血液や尿の検査、腎臓の働きの確認を続けることが勧められています[1]。

治療:型によって考え方が違う

今のところ原因そのものを治す治療はなく、失われる塩分やカリウムを補い、症状と合併症を抑える治療が中心です。そのうえで、バーター症候群とギッテルマン症候群では、薬の考え方に違いがあります。

  • ●バーター症候群:症状のある患者さん、とくに幼い時期には、インドメタシンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が勧められています。カリウムは塩化カリウムで補い、食塩の補充も検討します。成長が遅れるときは、成長ホルモンの不足がないかも確かめます[1]。
  • ●ギッテルマン症候群:塩分を控えずにとり、カリウムとマグネシウムを補う治療が、多くの場合生涯続きます。NSAIDsはカリウムを上げることがありますが、胃腸や腎臓への負担があるため慎重に使うとされています[2]。

このように、病型がわかると「どの薬を中心に考えるか」「何の合併症を確かめるか」が変わります。具体的な治療は、腎臓内科・小児腎臓科の主治医とご相談ください。成長ホルモンのはたらきについては用語解説のページもご覧ください。

4. 遺伝のしかた:次のお子さんへの確率

バーター症候群の1〜4型とギッテルマン症候群は常染色体潜性(劣性)遺伝で、ご両親がともに保因者の場合、お子さん1人ごとに4分の1の確率で発症します[1]。5型だけはX連鎖潜性遺伝です[1][4]。

常染色体潜性遺伝:ご両親が保因者のとき

常染色体潜性遺伝の病気は、同じ遺伝子の2つのコピーの両方に変化があるときに発症します。片方だけに変化がある人は「保因者」と呼ばれ、ふつうは症状がありません。ご両親がともに保因者の場合、お子さん1人ごとに、発症する確率が4分の1、保因者になる確率が2分の1、どちらも受け継がない確率が4分の1です。この確率は、上のお子さんがどうだったかで変わることはありません。しくみは「潜性遺伝と保因者のしくみ」で詳しく解説しています。

5型はX連鎖:お母さんが保因者のとき

5型の原因であるMAGED2遺伝子はX染色体にあります[4]。お母さんが保因者の場合、男のお子さん1人ごとに2分の1の確率で変化を受け継ぎます。X連鎖の病気のしくみは「X連鎖遺伝とは」をご覧ください。

患者さんご本人のお子さんへは

常染色体潜性遺伝の病気の患者さんは、2つのコピーの両方に変化をもっているので、お子さんには必ずどちらか一方の変化が伝わり、お子さんは少なくとも保因者になります。お子さんが発症するのは、パートナーも同じ遺伝子の保因者だった場合で、その場合の確率はお子さん1人ごとに2分の1です。ですから、ご本人が結婚や妊娠を考えるときには、パートナーが保因者かどうかを知ることに意味があります。

⚠️ 29遺伝子の中には、遺伝のしかたが違う病気も含まれます

このパネルには、バーター症候群・ギッテルマン症候群と見分けるために、常染色体顕性(優性)遺伝の病気の遺伝子(たとえば偽性低アルドステロン症2型のWNK4、低カルシウム尿性高カルシウム血症3型のAP2S1など)も含まれています(第6章の表)。どの遺伝子に変化が見つかったかによって、ご家族への影響は大きく変わります。「バーター症候群だから必ず4分の1」と決めつけず、結果に合わせて考えることが大切です。

5. どんな人がこの検査を受けるとよいか

低カリウム血症と代謝性アルカローシスがあり、血圧が高くないのに、原因がはっきりしない方に向く検査です。ERKNetの合意文書は、バーター症候群が疑われるすべての患者さんに、遺伝子パネルによる検査を勧めています[1]。KDIGOの会議報告も、ギッテルマン症候群が疑われるすべての患者さんに遺伝子検査を勧めています[2]。

出生前・新生児期・小児期に疑われたお子さん

羊水過多で早産になり、生まれてから尿が多い・脱水になりやすい・カリウムが低いと言われたお子さんや、成長の遅れから電解質の異常が見つかったお子さんです。病型がわかると、NSAIDsを中心にした治療の考え方や、難聴の検査(4型)、腎石灰化の確認(1型・2型)など、次にすべきことが決まります[1]。原因がわからないまま検査をくり返す時間を、1回の検査で短くできる可能性があります。

原因のわからない低カリウム血症が続く大人の方

健康診断などで低カリウム血症を指摘され、マグネシウムも低い、血圧は高くない、という方では、ギッテルマン症候群や3型バーター症候群が考えられます。KDIGOの会議報告は、遺伝子パネルには少なくともSLC12A3・CLCNKB・HNF1Bを含めるべきとしており[2]、この検査ではその3つをすべて調べます。前にご説明したとおり、大人では原因の遺伝子が見つかる割合が子どもより低いことも、あらかじめ知っておいてください[1]。

ご家族に患者さんがいる方・次の妊娠を考えている親御さん

お子さんがバーター症候群と診断されたご両親にとって、原因の遺伝子を確かめることは、次のお子さんで同じ病気が起こる可能性を具体的に知るための出発点です。原因の変化がわかっていれば、次の妊娠で出生前診断を計画できます(第8章)。原因がわからないままでは、出生前に何を調べればよいかを決められません。

また、きょうだいにバーター症候群・ギッテルマン症候群の方がいる方は、ご自身が保因者かどうかを知ることが、将来の結婚や妊娠を考えるときの手がかりになります。妊娠の前に知っておけば、選べることが増えます。

この検査より別の検査が向いている場合

検査値のパターンによっては、別の検査のほうが向いていることがあります。このパネルにも一部の遺伝子は重なって含まれていますが、病気がはっきりしぼれているなら、その病気に合わせた検査を選ぶほうが、より多くの関連遺伝子を調べられます。

🔍 検査値に合わせた検査の選び方

こんなとき 向いている検査
低カリウム血症+代謝性アルカローシス、血圧は正常〜低め このページの検査(29遺伝子)
アルカローシスではなく、血液が酸性に傾く(アシドーシス) 尿細管性アシドーシス(RTA) NGS遺伝子パネル検査
低マグネシウム血症が中心 低マグネシウム血症(遺伝性)NGS遺伝子パネル検査
カリウムが高く、血圧も高い 偽性低アルドステロン症2型(ゴードン症候群)遺伝子検査パネル
低カリウム血症に高血圧を伴う 原発性アルドステロン症遺伝子検査(NGSパネル)
発作的に手足に力が入らなくなる 低カリウム性・高カリウム性周期性四肢麻痺 遺伝子検査(NGSパネル)
腎臓以外の症状も多く、病気をしぼれない 全エクソーム検査(WES)

※どの検査が合うかは、検査値・症状・ご家族の情報で変わります。遺伝カウンセリングで一緒に決めましょう。

\ 原因がわかれば、次のお子さんへの備えも考えられます /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

ご夫婦とも保因者だった場合、妊娠したときの出生前診断(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられます。

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6. 調べる29遺伝子と、それぞれでわかる病気

この検査では、バーター症候群1〜5型とギッテルマン症候群の原因遺伝子に、見分けが必要なカルシウム・マグネシウム・血圧・酸塩基の病気の遺伝子を加えた29遺伝子を調べます。ERKNetの合意文書が「最低限の遺伝子パネルに含めるべき」とした7遺伝子(SLC12A1・KCNJ1・CLCNKB・CLCNKA・BSND・MAGED2・SLC12A3)は、すべて含まれています[1]。

🧪 バーター症候群NGS遺伝子パネル検査で調べる29遺伝子

遺伝子 関係する病気 遺伝のしかた
SLC12A1 バーター症候群1型 潜性
KCNJ1 バーター症候群2型 潜性
CLCNKB バーター症候群3型/4b型(CLCNKAとともに) 潜性
CLCNKA バーター症候群4b型(CLCNKBとともに) 二遺伝子
BSND バーター症候群4a型/軽度腎機能障害を伴う感音性難聴 潜性
MAGED2 バーター症候群5型(出生前・一過性) X連鎖
SLC12A3 ギッテルマン症候群 潜性
CASR バーター症候群様の症状を伴う常染色体顕性低カルシウム血症/家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症1型/新生児重症副甲状腺機能亢進症(NSHPT) 顕性・潜性
GNA11 常染色体顕性低カルシウム血症2型 顕性
AP2S1 家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症3型 顕性
CLDN16 高カルシウム尿症と腎石灰化を伴う家族性低マグネシウム血症 潜性
CLDN19 眼の症状を伴う家族性低マグネシウム血症 潜性
FXYD2 腎性低マグネシウム血症2型 顕性
HNF1B 腎嚢胞糖尿病症候群(RCAD) 顕性
KCNJ10 EAST/SeSAME症候群(てんかん・運動失調・難聴・尿細管症) 潜性
SLC26A3 先天性クロール下痢症(SLC26A3遺伝子) 潜性
SCNN1A 偽性低アルドステロン症1型/リドル症候群3型 潜性ほか
SCNN1B 偽性低アルドステロン症1型/リドル症候群 顕性・潜性
SCNN1G 偽性低アルドステロン症1型/リドル症候群 顕性・潜性
NR3C2 常染色体顕性偽性低アルドステロン症1型/若年発症の高血圧 顕性
HSD11B2 見かけのミネラルコルチコイド過剰症候群(AME) 潜性
KLHL3 偽性低アルドステロン症2型(ゴードン症候群) 顕性・潜性
WNK1 偽性低アルドステロン症2型(ゴードン症候群) 顕性
WNK4 偽性低アルドステロン症2型(ゴードン症候群) 顕性
ATP6V1B1 進行性感音難聴を伴う遠位尿細管性アシドーシス 潜性ほか
SLC4A1 遠位尿細管性アシドーシス/卵円形赤血球症など赤血球の形の異常 顕性・潜性
SLC4A4 眼の異常を伴う近位尿細管性アシドーシス 潜性
CA2 尿細管性アシドーシスを伴う大理石骨病3型 潜性
SLC12A2 神経発達症(発達の遅れ・知的障害)や難聴 新しく起きた変化の報告

※対象遺伝子は当院の検査内容による。関係する病気と遺伝のしかたは、ERKNetの合意文書[1]、英国Genomics Englandの遺伝子パネル情報(PanelApp「Renal tubulopathies」、2026年10月確認)、文献[4][5][6][7]で確認。「ほか」は顕性遺伝の報告もあるもの。

表のように、29遺伝子の中には、カリウムが高く血圧も高い病気(ゴードン症候群など)や、血液が酸性に傾く尿細管性アシドーシスの遺伝子も含まれています。これは、電解質の異常は検査値だけでは原因をしぼりきれないことが多く、似た病気を一度に見分けられるように組まれているためです。

7. この検査でわかること・わからないこと

この検査でわかるのは、29遺伝子の、たんぱく質の設計図にあたる部分(コード領域)とその境目に起きた小さな変化と、遺伝子単位の大きな欠失・重複です。一方で、遺伝子検査には必ず限界があります。

  • ●よく似た配列のある遺伝子:よく似た配列がほかにある場所では、変化を正しく読み取りにくいことがあります。ERKNetの合意文書でも、CLCNKBは調べるのが技術的に難しい遺伝子とされています[1]。
  • ●小さな欠失・重複:遺伝子全体の欠失・重複は調べられますが、エクソン1つ分の欠失・重複は、ふだんは検出の対象になっていません。見つかった欠失・重複は、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します。
  • ●調べられない変化:染色体の一部が入れ替わる変化(転座・逆位)、くり返し配列が伸びる変化、遺伝子の働きを調節する領域やエクソンから離れたイントロンの変化は検出できません。体の一部の細胞だけに変化がある状態(モザイク)を見つける目的の検査でもありません。
  • ●変化が1つしか見つからないことがある:KDIGOの会議報告によると、ギッテルマン症候群の患者さんの15〜20%では、詳しく調べても原因の変化が片方のコピーにしか見つかりません[2]。この場合は、検査値や症状とあわせて判断します。
  • ●意義がまだわからない変化(VUS):病気の原因かどうか、今の知識ではまだ判断できない変化が見つかることがあります。
  • ●陰性でも否定はできません:調べるのは29遺伝子だけです。原因が見つからなくても、この病気を完全に否定することはできません。利尿薬・下剤・嘔吐など、遺伝子以外の原因(偽性バーター症候群・偽性ギッテルマン症候群)も考える必要があります。

💡 用語解説:カバレッジ

カバレッジは、同じ場所を何回読み取ったかを表す目安です。この検査では、調べる領域の99%以上を、20回以上読み取っています(≥99% at 20x)。何度も読むことで、読み間違いによる誤った結果を減らします。

8. 結果が出たあと

結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。陽性・陰性・VUSのそれぞれで、次にできることが違います。

陽性だったとき:病型の確定と、次の一手

原因の遺伝子がわかると、病型が確定します。病型によって、NSAIDsを中心に考えるか、カリウム・マグネシウムの補充を中心に考えるか(第3章)、難聴の検査が必要か(4型)、腎石灰化に注意するか(1型・2型)、心電図を確かめるか(ギッテルマン症候群)などが決まります[1][2]。小児慢性特定疾病などの制度を使うときにも、原因が確定していることが手がかりになります(第9章)。

ご家族への影響と、ご家族が検査を受けるとき

ERKNetの合意文書は、原因がわかったあとのご家族の検査(血縁者を順に調べること)と遺伝カウンセリングを勧めています[1]。ご家族の中で原因の変化がわかっていると、ほかのご家族は同じ変化だけを調べることで、保因者かどうか、あるいは同じ病気かどうかを確かめられます。あなたの1回の検査が、ご両親・きょうだい・お子さんが自分のことを考える手がかりになります。

陰性・VUSだったとき

原因の変化が見つからなかった場合は、遺伝子以外の原因(偽性バーター症候群など)をもう一度確かめるとともに、症状に合わせて、より多くの遺伝子を調べる全エクソーム検査などを考えます。VUSは、それだけで診断に使ったり、ご家族の検査に使ったりはしません。研究が進んで、のちに意味がはっきりすることもあります。なお、この検査ではVUSを結果に含めない選択(VUS除外)もできます。結果の伝え方については、当院の二次的所見の開示方針もあわせてご覧ください。

次の妊娠を考えている方:保因者検査と出生前診断

ERKNetの合意文書は、出生前の診断方法としては、利用できるなら遺伝子による検査が望ましく、羊水の電解質やアルドステロンを測って診断することは勧めないとしています[1]。ご家族の原因の変化があらかじめわかっていれば、次の妊娠で、赤ちゃんに同じ変化があるかを調べる出生前診断を計画できます。

当院では、羊水検査・絨毛検査を院内で行っています(2025年6月から産婦人科を併設)。妊娠を考えている段階から、出生前診断をどのように進められるかをご相談いただけます。

これから結婚や妊娠を考える方には、カップルで受ける拡大版保因者スクリーニング(女性版787遺伝子・男性版714遺伝子、さらに女性版1009遺伝子・男性版911遺伝子)もあります。バーター症候群・ギッテルマン症候群の原因遺伝子が対象に入っているかどうかは、遺伝子一覧でご確認ください。妊娠中の方には、NIPTと同時に行うカップルの保因者検査「ファミリーセーフティ プラス」(女性787遺伝子・男性714遺伝子、NIPTと同じ日に採血。単独では受けられません)もあります。当院のNIPTは妊娠9週から、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。

9. 日本の制度(2026年10月時点)

バーター症候群とギッテルマン症候群は、小児慢性特定疾病の「慢性腎疾患」群に含まれています。対象となる基準は「治療で薬物療法を行っている場合又は腎移植を行った場合」です(厚生労働省告示による。2026年10月時点で確認)。

一方、2026年10月時点で確認した範囲では、指定難病の一覧(348疾病)に、バーター症候群・ギッテルマン症候群の名前はありません。大人になってからの医療費助成の扱いは、お住まいの自治体の窓口や主治医にご確認ください。当院のこの検査は自費診療で、保険は使えません。

10. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体

結果までは2〜3週間で、検体は血液・唾液・口の内側の粘膜から選べます。オンライン診療(ビデオ通話)で遺伝カウンセリングを受け、検体を当院にお送りいただく流れでも受けられます。

ご予約
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医・来院またはオンライン
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検体の採取・発送血液・唾液・口の粘膜
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結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

💴 費用・日数・検体

項目 内容
対象遺伝子 29遺伝子(AP2S1, ATP6V1B1, BSND, CA2, CASR, CLCNKA, CLCNKB, CLDN16, CLDN19, FXYD2, GNA11, HNF1B, HSD11B2, KCNJ1, KCNJ10, KLHL3, MAGED2, NR3C2, SCNN1A, SCNN1B, SCNN1G, SLC12A1, SLC12A2, SLC12A3, SLC26A3, SLC4A1, SLC4A4, WNK1, WNK4)
調べる変化 塩基配列・欠失/挿入(料金に含まれる)
検体 血液(EDTA採血管4ml×2本)、抽出DNA、口の内側の粘膜(頬粘膜スワブ)、唾液
結果までの期間 2〜3週間
オプション 至急:結果までの期間が約7日短くなります(55,000円)/VUS除外(無料)
検査費用 お問い合わせください(自費診療)
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査費用とは別
オンライン診療 唾液・口の粘膜・血液のいずれもオンライン診療で受けられます(血液は全国の提携医療機関で採血)

※ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。

オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。検体採取キットは、検査料金をお支払いいただいたあとにお送りします。検体の取り違えや品質の低下を防ぐため、キットが届く前にご自身で検体を採らないでください。

遺伝カウンセリングでは、検査で何がわかり、何がわからないか、結果がご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。

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臨床遺伝専門医が常駐し、オンライン診療でも検査を受けられます。結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明してからマイページにアップします。

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11. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「病名がつく」ことは、次の計画の出発点】

バーター症候群とギッテルマン症候群は、同じ「低カリウム血症」から見つかっても、型によって治療の考え方も、気をつける合併症も、ご家族への影響も違います。検査値の組み合わせだけで型を決めきれないことがある以上、原因の遺伝子を確かめることには、はっきりした意味があると考えています。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。たとえば、ご家族の病気をきっかけに念のため検査を受けた方に、まったく関係のない別の遺伝子の病的な変化が、体の一部の細胞だけにある状態(モザイク)で見つかったことがあります。ご本人は発症していませんでしたが、卵子や精子のもとになる細胞にもその変化があれば、お子さんが発症することがある病気でした。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。

お子さんがバーター症候群と診断されたとき、ご自身が保因者だったと知って、自分を責めてしまう親御さんもいらっしゃるかもしれません。けれども、遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。原因がわかれば、次のお子さんで同じことが起こる可能性がどれくらいあるか、そして次の妊娠でどう備えられるかを、具体的に考えられるようになります。

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。知ったうえで結婚や妊娠を考えたい方には、出生前診断まで当院で続けて支えられる体制を整えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. バーター症候群は知的障害を伴いますか?

欧州の専門家による2021年の合意文書では、知的障害はバーター症候群の特徴としては挙げられていません。ただし、出生前型では早産で生まれるお子さんが多く、早産に伴う合併症が学校生活に影響しうるため、精神運動発達を確かめることが勧められています。また、このパネルで調べるKCNJ10遺伝子やSLC12A2遺伝子の病気のように、神経の症状を伴う似た病気もあります。

Q2. バーター症候群は難病(指定難病)ですか?

2026年10月時点で確認した範囲では、指定難病の一覧(348疾病)にバーター症候群・ギッテルマン症候群の名前はありません。一方、小児慢性特定疾病の慢性腎疾患群には、バーター症候群・ギッテルマン症候群がともに含まれており、薬物療法を行っている場合や腎移植を行った場合が対象となります。

Q3. バーター症候群とギッテルマン症候群の違いは何ですか?

どちらも低カリウム血症と代謝性アルカローシスを起こしますが、ギッテルマン症候群はSLC12A3遺伝子が原因で、思春期以降や大人になってから見つかることが多く、低マグネシウム血症と低カルシウム尿症が特徴です。バーター症候群は出生前や幼い時期に見つかることが多い病気です。ただし3型バーター症候群とギッテルマン症候群は症状だけでは区別できないことがあり、遺伝子検査が区別の手がかりになります。

Q4. 何人に1人くらいの病気ですか?

国際腎臓病ガイドライン機構(KDIGO)の会議報告では、ギッテルマン症候群は4万人に1〜10人程度で、アジアではもっと多い可能性があるとされています。バーター症候群はそれよりまれな病気です。

Q5. バーター症候群の寿命はどれくらいですか?

寿命についてのはっきりした数字は示されていません。慢性腎臓病はよくみられる合併症とされ、フランスの3型の研究では、経過を追えた77人のうち25%に慢性腎不全がみられました。型や経過によって見通しが違うため、病型を確かめて長く腎臓を守る管理を続けることが大切です。ギッテルマン症候群については、寿命に影響するという証拠はこれまでのところないとされています。

Q6. 偽性バーター症候群の原因は何ですか?

偽性バーター症候群は、遺伝子の病気ではないのに、バーター症候群に似た検査値になる状態です。見分けるべき原因として、利尿薬や下剤の使用、くり返す嘔吐などが挙げられています。遺伝子検査で原因の変化が見つかれば、こうした原因と区別する手がかりになります。

Q7. 遺伝しますか?次の子どもが同じ病気になる確率は?

バーター症候群の1〜4型とギッテルマン症候群は常染色体潜性遺伝で、ご両親がともに保因者の場合、お子さん1人ごとに4分の1の確率で発症します。5型はX連鎖潜性遺伝で、お母さんが保因者の場合、男のお子さん1人ごとに2分の1の確率で変化を受け継ぎます。原因の変化がわかっていれば、次の妊娠で出生前診断を計画できます。

Q8. 大人になってからでも検査を受ける意味はありますか?

あります。ギッテルマン症候群や3型バーター症候群は、大人になってから低カリウム血症で見つかることがあります。ただし、大人では原因の遺伝子が見つかる割合が子どもより低く、利尿薬や下剤など、ほかの原因も含めて考える必要があります。結果は、ご自身の治療だけでなく、ご家族やお子さんへの影響を考える手がかりにもなります。

🧬 一度の検査で、病型とご家族のこれからを知る

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。バーター症候群・ギッテルマン症候群の原因がわかれば、治療や合併症への備えだけでなく、ご家族の検査や、次の妊娠の計画を考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

参考文献

  • [1] Konrad M, Nijenhuis T, Ariceta G, et al. Diagnosis and management of Bartter syndrome: executive summary of the consensus and recommendations from the European Rare Kidney Disease Reference Network Working Group for Tubular Disorders. Kidney Int. 2021;99(2):324-335. [DOI: 10.1016/j.kint.2020.10.035]
  • [2] Blanchard A, Bockenhauer D, Bolignano D, et al. Gitelman syndrome: consensus and guidance from a Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO) Controversies Conference. Kidney Int. 2017;91:24-33. [DOI: 10.1016/j.kint.2016.09.046]
  • [3] Seys E, Andrini O, Keck M, et al. Clinical and Genetic Spectrum of Bartter Syndrome Type 3. J Am Soc Nephrol. 2017;28(8):2540-2552. [DOI: 10.1681/ASN.2016101057](PMID: 28381550)
  • [4] Laghmani K, Beck BB, Yang SS, et al. Polyhydramnios, Transient Antenatal Bartter’s Syndrome, and MAGED2 Mutations. N Engl J Med. 2016;374(19):1853-1863. [DOI: 10.1056/NEJMoa1507629](PMID: 27120771)
  • [5] Bockenhauer D, Feather S, Stanescu HC, et al. Epilepsy, Ataxia, Sensorineural Deafness, Tubulopathy, and KCNJ10 Mutations. N Engl J Med. 2009;360(19):1960-1970. [DOI: 10.1056/NEJMoa0810276]
  • [6] Konrad M, Schaller A, Seelow D, et al. Mutations in the tight-junction gene claudin 19 (CLDN19) are associated with renal magnesium wasting, renal failure, and severe ocular involvement. Am J Hum Genet. 2006;79(5):949-957. [DOI: 10.1086/508617](PMID: 17033971)
  • [7] McNeill A, Iovino E, Mansard L, et al. SLC12A2 variants cause a neurodevelopmental disorder or cochleovestibular defect. Brain. 2020;143(8):2380-2387. [DOI: 10.1093/brain/awaa176]

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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