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MODY(若年発症成人型糖尿病)・新生児糖尿病の遺伝子検査|38遺伝子で糖尿病の型と遺伝の確率がわかる

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

MODY(若年発症成人型糖尿病)・新生児糖尿病の遺伝子検査

「糖尿病は遺伝するの?」という疑問に、遺伝子で答えられる糖尿病があります。MODY(若年発症成人型糖尿病)と新生児糖尿病は、遺伝子1つの変化で起こる糖尿病で、原因の遺伝子によって、合う薬や、治療が要るかどうかまで変わることがあります。この検査は、MODY・新生児糖尿病などに関わる38の遺伝子を一度に調べます。生まれ持った遺伝子は一生変わらないので、一度わかったことは、ご自身の治療だけでなく、ご家族やこれからのお子さんのことを考えるときにも使える情報になります。このページでは、検査でわかること・受けるとよい人・遺伝の確率・結果のあとにできることを、臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. この検査で何がわかりますか?

MODY・新生児糖尿病・ウォルフラム症候群など、遺伝子1つの変化で起こる糖尿病に関わる38遺伝子を一度に調べ、糖尿病の型(原因の遺伝子)を確かめます。型がわかると、合う治療やご家族への遺伝の確率がわかります。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

若いうちに糖尿病と言われた方、痩せているのに糖尿病の方、親の代から糖尿病が続いている方、1型の自己抗体が陰性の方、生後6か月未満で糖尿病と言われた赤ちゃん、糖尿病に難聴・視力・腎臓の病気が重なる方です。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・頬の内側の粘膜などで、オンライン診療でも受けられます。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。MODYの多くはお子さんに受け継がれる確率が2分の1です。治療の相談先、ご家族の検査、意義がまだわからない変化(VUS)の扱いもご説明します。

\ 型がわかれば、治療とご家族の計画が変わります /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

お問い合わせはこちら | どの検査がよいか迷う方へ

1. MODY・新生児糖尿病の遺伝子検査でわかること

この検査でわかるのは、糖尿病の原因が「遺伝子1つの変化」かどうか、そうならどの遺伝子か、です。原因の遺伝子がわかると、合う治療、気をつける合併症、ご家族やお子さんへの遺伝の確率が、型ごとに具体的に決まります。

糖尿病は遺伝する? 遺伝子1つで決まる糖尿病と、ふつうの1型・2型の違い

糖尿病の遺伝のしかたは、型によってまったく違います。日本人の糖尿病の多くを占める2型糖尿病は、たくさんの遺伝子の小さな影響と、食事・運動・体重などの生活習慣が重なって起こります。約254万人の遺伝情報をまとめた2024年の国際研究では、2型糖尿病に関わる遺伝の目印が611か所で1,289個見つかっており[7]、1つの遺伝子で「なる・ならない」が決まる病気ではありません。2型糖尿病の遺伝的な背景は、2型糖尿病の遺伝的背景で詳しく解説しています。

1型糖尿病は、主に自己免疫のしくみでインスリンを作る膵臓の細胞が壊れて起こる糖尿病で、こちらも遺伝子1つで決まるものではありません。これに対し、MODYや新生児糖尿病は、遺伝子1つの変化が原因で起こる糖尿病(単一遺伝子の糖尿病)です。国際小児思春期糖尿病学会(ISPAD)の2022年の指針では、子どもの糖尿病の約2.5〜6.5%が単一遺伝子の糖尿病とされています[1]。

🧬 糖尿病の型と遺伝の関係

型 主な原因 遺伝のしかた
2型糖尿病 多くの遺伝子の小さな影響+生活習慣 決まった確率では表せない(家族に多い傾向はある)
1型糖尿病 主に自己免疫 遺伝子1つでは決まらない
MODY(若年発症成人型糖尿病) 遺伝子1つの変化(GCK・HNF1A・HNF4Aなど) 多くは常染色体顕性(優性)遺伝:お子さんへ2分の1
新生児糖尿病 遺伝子1つの変化・6q24の異常など 原因によって違う(第5章)

※2型糖尿病の遺伝の目印の数は文献[7]、単一遺伝子の糖尿病の割合はISPADの指針[1]による。

MODY(若年発症成人型糖尿病・家族性若年糖尿病)とは

MODY(Maturity-Onset Diabetes of the Young)は、遺伝子1つの変化で起こり、親から子へ受け継がれることが多い糖尿病です。日本語では「若年発症成人型糖尿病」「家族性若年糖尿病」とも呼ばれます。小児慢性特定疾病情報センターの解説でも、MODYは常染色体優性(顕性)で発症する若年の糖尿病で、糖の代謝に関わる遺伝子1つの働きの異常が原因とされています。

MODYは「MODY1・MODY2・MODY3…」と番号で呼ばれてきましたが、最近は原因の遺伝子の名前をつけて「GCK-MODY」「HNF1A-MODY」のように呼ぶのが一般的です。原因の遺伝子によって、血糖の高さ、進み方、効く薬が大きく違うからです(第2章)。

新生児糖尿病とは:生後6か月までに始まる糖尿病

新生児糖尿病は、生後6か月未満で診断される糖尿病です。一度治る「一過性新生児糖尿病(TNDM)」と、ずっと続く「永続性新生児糖尿病(PNDM)」があります。ISPADの指針は、生後6か月未満で糖尿病と診断されたら、すぐに遺伝子検査を行うよう勧めています[1]。

79か国から集まった新生児糖尿病の1,020人を調べた国際研究では、原因をまとめて調べることで80%を超える人で原因の遺伝子の変化が見つかり、最も多い原因はカリウムチャネルの遺伝子(KCNJ11・ABCC8)の変化でした[6]。原因がわかると、治療の選び方や、あとから出てくる症状への備えが決まります。

2. 原因の遺伝子で治療がまったく違う:遺伝子別の早見表

MODY・新生児糖尿病では、原因の遺伝子がわかると、「薬が要らない」「少量の飲み薬がよく効く」「インスリンから飲み薬に変えられることがある」など、治療の考え方が大きく変わります。これが、症状だけでは決められない理由であり、遺伝子検査を受ける大きな意味です。

💊 原因の遺伝子と治療の考え方(代表的な型)

原因の遺伝子(型) 特徴 治療の考え方
GCK(GCK-MODY) 生まれつき空腹時の血糖がやや高い(ISPADでは100〜145mg/dL程度)が、ほとんど進まない 妊娠中を除き、多くの場合治療は要らない
HNF1A(HNF1A-MODY・MODY3) 若いうちから血糖が上がり、徐々に進む 少量のスルホニル尿素薬(SU薬)がよく効く
HNF4A(HNF4A-MODY・MODY1) 生まれたときに体が大きい・新生児期に低血糖になることがある 少量のSU薬がよく効く
HNF1B(腎嚢胞糖尿病症候群) 子どものうちは腎臓の形の異常(腎嚢胞など)が中心で、糖尿病は思春期〜若い大人で出ることが多い 腎臓の見張りが大切
KCNJ11・ABCC8 生後6か月未満の新生児糖尿病の最も多い原因 約90%がインスリンからSU薬の飲み薬に切り替えられたとされる
6q24の異常(一過性新生児糖尿病) いったん治るが、少なくとも50〜60%が再発する 治ったあとも見張りが要る

※文献[1][2][3]による。治療の変更は、必ず主治医(内分泌内科・小児内分泌科などの専門の医療機関)と相談して行います。当院は糖尿病の治療・薬の処方は行っていません。

GCK-MODY:多くの場合、薬の治療は要らない

GCK-MODYでは、血糖がやや高い状態が生まれつき続きますが、ISPADの指針は、治療は処方すべきでないとしています。空腹時の血糖は100〜145mg/dL(5.5〜8mmol/L)程度、HbA1cは多くが7.5%未満とされ、症状のない子どもで偶然見つかることが多い型です[1]。

GCKの変化をもつ99人(年齢の中央値48.6歳)を調べた研究では、治療が必要な網膜症(レーザー治療)や尿たんぱくは1人もいませんでした。同じ研究で比べた、若くして発症した2型糖尿病の人では、レーザー治療が必要な網膜症が28%、尿たんぱくが10%にみられました[4]。「糖尿病」と言われてインスリンや飲み薬を続けている方の中に、本当は治療の要らないGCK-MODYの方がいる可能性があることが、型を確かめる意味のひとつです。

HNF1A・HNF4A-MODY:少量のSU薬がよく効く

HNF1A・HNF4AのMODYでは、スルホニル尿素薬(SU薬)という飲み薬がよく効きます。ISPADの指針は、始める量を大人の通常の開始量の4分の1程度(たとえばグリクラジド1日20〜40mg)と、少なめにするよう勧めています[1]。

2003年の研究では、HNF1Aの糖尿病の人はグリクラジド(SU薬)に対して、メトホルミンの5.2倍、2型糖尿病の人の3.9倍、空腹時の血糖が下がりました[3]。HNF4Aでは、ISPADの指針によると、変化をもつ人の約50%が生まれたときに体が大きく、約15%が新生児期に低血糖(ジアゾキシドという薬が効く型)を起こすとされています[1]。

KCNJ11・ABCC8の新生児糖尿病:インスリンから飲み薬に変えられることがある

膵臓のカリウムチャネルの遺伝子(KCNJ11・ABCC8)の変化による新生児糖尿病では、多くの子どもがインスリン注射からSU薬の飲み薬に切り替えられています。KCNJ11の変化をもつ49人を調べた研究では、44人(90%)がSU薬でインスリンをやめることができ、HbA1cは8.1%から12週後に6.4%へ下がりました[2]。ISPADの指針でも、カリウムチャネルの遺伝子の変化をもつ子どもの約90%が切り替えられるとされ、用いる量は大人の糖尿病より多めです[1]。

永続性新生児糖尿病の病型は、永続性新生児糖尿病3型(PNDM3・ABCC8)などのページでも解説しています。

「1型」「2型」と言われて治療を続けている人の中にMODYがいる

MODYは、症状や血液検査だけでは1型・2型糖尿病と見分けにくく、別の型と考えられたまま治療を続けている方がいます。ISPADの指針は、親が糖尿病で、1型・2型の特徴に当てはまらない糖尿病が家族に続いていることをMODYを疑う大事な手がかりとし、肥満があることだけで遺伝子検査を見送るべきではないとしています[1]。型がわかれば、続けている治療が今の自分に合っているかを、主治医と見直すきっかけになります。

3. どんな人が受けるとよいか:MODYを疑う目安

若くして糖尿病と言われ、親の代から糖尿病が続いている方、痩せているのに糖尿病の方、生後6か月未満で糖尿病と言われた赤ちゃんに向く検査です。見た目や家族歴だけでは、どの型かは決められません。迷ったら、まず遺伝カウンセリングで状況をお聞かせください。

若くして糖尿病・痩せているのに糖尿病・家族に糖尿病が多い

  • ●子どもから若い大人のうちに糖尿病と言われた方
  • ●親やきょうだいなど、何世代かにわたって糖尿病の方がいる方
  • ●1型糖尿病の自己抗体(GAD抗体など)が陰性で、インスリンを作る力がある程度保たれている方
  • ●肥満がないのに糖尿病と言われた方(ただし、肥満があってもMODYは否定できません[1])
  • ●健診などで、空腹時の血糖が少し高い状態が長く続いていると言われた方

ISPADの指針は、糖尿病の子どもの親が糖尿病である場合には、単一遺伝子の糖尿病を考えるべきとしています[1]。

生後6か月未満で糖尿病と言われた赤ちゃん

生後6か月未満で糖尿病と診断された場合、ISPADの指針はすぐに遺伝子検査を行うよう勧めています[1]。国際研究では、ウォルコット・ラリソン症候群の子どものうち、診断から3か月以内に検査した26人中23人(88%)が、まだ糖尿病だけの段階で原因がわかっていました[6]。原因がKCNJ11・ABCC8なら飲み薬への切り替えを、EIF2AK3(ウォルコット・ラリソン症候群)なら肝臓や骨など糖尿病以外の症状への備えを考えられます。

糖尿病に加えて、難聴・視力・腎臓の病気がある

糖尿病に、ほかの臓器の症状が重なる「症候群」の型もあります。ウォルフラム症候群(WFS1・CISD2)は、糖尿病(多くは6歳ごろ)に続いて視神経が細くなり見えにくくなる病気で、尿崩症や難聴を伴うことがあります。ISPADの指針は、16歳未満で糖尿病と進んでいく視神経萎縮がそろうと、この病気が疑われるとしています[1]。また、HNF1Bの変化による腎嚢胞糖尿病症候群(RCAD)では、子どものうちは腎臓の形の異常が中心で、糖尿病は思春期から若い大人のころに出ることが多いとされます[1]。

妊娠中や健診で、軽い高血糖が続くと言われた

妊娠中の血糖検査(糖負荷試験)で見つかる高血糖の中に、GCK-MODYが含まれていることがあります[5]。GCK-MODYでは、赤ちゃんが変化を受け継いでいるかどうかで、妊娠中の血糖の扱いが変わります(第6章)。妊娠糖尿病そのものについては妊娠糖尿病の解説をご覧ください。

この検査より別の検査が向いている場合

若いうちの糖尿病や新生児糖尿病で原因を調べるなら、まずこの検査です。ただし、血糖が「高い」のではなく「低い」場合や、肥満・脂肪の付き方の異常が目立つ場合は、別の検査のほうが向いています。比べる相手は検査の種類です。

🔍 血液検査・症状から選ぶ遺伝子検査

こんなとき 向いている検査
若いうちの糖尿病・家族に糖尿病が多い・生後6か月未満の糖尿病 このページの検査(38遺伝子)
新生児期・乳児期に血糖が下がる(低血糖)・インスリンが多すぎる 高インスリン血症の遺伝子検査(28遺伝子。ABCC8・KCNJ11・GCK・HNF1A・HNF4Aなど13遺伝子がこの検査と重なる)
糖尿病に加えて強い肥満がある・肥満の遺伝が気になる 糖尿病・肥満の遺伝子検査(56遺伝子。肥満に関わる遺伝子を含む)
新生児一過性糖尿病で、PLAGL1遺伝子をピンポイントで調べたい PLAGL1遺伝子検査(6q24のメチル化異常・父由来の片親性ダイソミーは、どちらの検査でも調べられない)
視神経萎縮・難聴などウォルフラム症候群の症状が中心 ウォルフラム症候群の遺伝子検査(WFS1・CISD2。この2遺伝子はこの検査にも含まれる)
インスリンが効きにくい・脂肪が部分的に少ない リポジストロフィーの遺伝子検査
腎臓の形の異常があり、HNF1Bを含む染色体の広い範囲の欠失が疑われる マイクロアレイ染色体検査(17q12欠失症候群の解説を参照)
糖尿病以外の症状が多く、病気をしぼれない 全エクソーム検査(WES)

※遺伝子数は、当院の各検査ページの対象遺伝子一覧による(2026年10月時点)。どの検査が合うかは、遺伝カウンセリングで一緒に決めましょう。

\ あなたの1回の検査が、ご家族の糖尿病の型を知る手がかりに /

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型がわかれば、親・きょうだい・お子さんは同じ場所をピンポイントで調べられます。臨床遺伝専門医が結果を直接ご説明します。

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4. 調べる38遺伝子と、それぞれでわかる病気

この検査では、MODY・新生児糖尿病・症候群の糖尿病・インスリンの効き方の異常・低血糖などに関わる38の遺伝子を、まとめて調べます。遺伝子の配列の小さな変化に加えて、遺伝子の一部や全体がなくなったり増えたりする変化(欠失・重複)も調べます。

🧬 MODY(若年発症成人型糖尿病)に関わる遺伝子

遺伝子 関係する主な病気 遺伝のしかた
GCK GCK-MODY(MODY2)/永続性新生児糖尿病1型(両方のコピーに変化がある場合)/家族性高インスリン性低血糖3型 MODY:顕性(優性)/新生児糖尿病:潜性(劣性)
HNF1A HNF1A-MODY(MODY3) 顕性(優性)
HNF4A HNF4A-MODY(MODY1)/MODYを伴う腎尿細管の病気(ファンコニ腎尿細管症候群4型) 顕性(優性)
HNF1B 腎嚢胞糖尿病症候群(RCAD) 顕性(優性)
PDX1 MODY4/膵無形成1型 MODY:顕性(優性)/膵無形成:潜性(劣性)
NEUROD1 MODY6 顕性(優性)
CEL MODY8 顕性(優性)
INS MODY10/永続性新生児糖尿病/高プロインスリン血症 顕性(優性)。新生児糖尿病は潜性(劣性)のこともある
KLF11 MODY 顕性(優性)
PAX4 糖尿病(MODY) 顕性(優性)
BLK MODY 顕性(優性)
APPL1 MODY14 顕性(優性)

🧬 新生児糖尿病に関わる遺伝子

遺伝子 関係する主な病気 遺伝のしかた
ABCC8 永続性新生児糖尿病3型/一過性新生児糖尿病2型/ABCC8が関わるMODY(MODY12)/家族性高インスリン性低血糖症1型/乳児のロイシン感受性低血糖症 顕性(優性)。一部は潜性(劣性)
KCNJ11 永続性新生児糖尿病2型(神経の症状を伴うことがある)/一過性新生児糖尿病3型/MODY13/家族性高インスリン性低血糖2型 糖尿病:顕性(優性)/低血糖:潜性(劣性)
ZFP57 一過性新生児糖尿病1型(6q24関連) 潜性(劣性)。6q24関連の一過性新生児糖尿病には、ほかの発症機序もあります
GATA6 膵無形成と先天性心疾患 顕性(優性)
GATA4 新生児期・小児期の糖尿病 顕性(優性)
EIF2AK3 ウォルコット・ラリソン症候群 潜性(劣性)
FOXP3 IPEX症候群(免疫の異常・多くの内分泌の病気・腸の病気を伴う) X連鎖潜性(劣性)
GLIS3 先天性甲状腺機能低下症を伴う新生児糖尿病 潜性(劣性)
RFX6 ミッチェル・ライリー症候群 潜性(劣性)
NEUROG3 先天性吸収不良性下痢4型(糖尿病を伴うことがある) 潜性(劣性)
PTF1A 膵・小脳の無形成/膵無形成2型 潜性(劣性)
IER3IP1 小頭症・てんかん・永続性新生児糖尿病の症候群(MEDS) 潜性(劣性)
SLC2A2 ファンコニ・ビッケル症候群(糖原病)/新生児糖尿病 潜性(劣性)

🧬 症候群・インスリンの効き方などに関わる遺伝子

遺伝子 関係する主な病気 遺伝のしかた
WFS1 ウォルフラム症候群1型/顕性のウォルフラム様症候群 1型:潜性(劣性)/ウォルフラム様:顕性(優性)
CISD2 ウォルフラム症候群2型 潜性(劣性)
SLC19A2 チアミン反応性巨赤芽球性貧血症候群(糖尿病・難聴を伴う) 潜性(劣性)
INSR インスリン受容体の異常症(ラブソン・メンデンホール症候群・ドナヒュー症候群)/家族性高インスリン性低血糖 顕性(優性)または潜性(劣性)
AKT2 重いインスリン抵抗性と糖尿病/半身肥大を伴う低インスリン性低血糖 糖尿病の家系では顕性(優性)。低血糖の型は新しく起きた変化での報告
PPARG 家族性部分性脂肪萎縮症3型(FPLD3)・インスリン抵抗性 顕性(優性)
CP 無セルロプラスミン血症(鉄が膵臓にたまり糖尿病を起こすことがある) 潜性(劣性)
MNX1 Currarino症候群 顕性(優性)
NKX2-5 先天性心疾患(心臓の形の異常・房室伝導の異常。先天性心疾患の遺伝子パネルもあります) 顕性(優性)

※MNX1・NKX2-5は、表に挙げた病気(Currarino症候群・先天性心疾患)との関係が知られている遺伝子で、単一遺伝子の糖尿病の原因として確立しているとは限りません。検査の対象には含まれていますが、見つかった変化が糖尿病の原因かどうかは、症状やご家族の情報と照らし合わせて判断します。

🧬 低血糖(高インスリン血症)に関わる遺伝子

遺伝子 関係する主な病気 遺伝のしかた
GLUD1 高インスリン血症・高アンモニア血症症候群(ロイシン感受性低血糖) 顕性(優性)
HADH 3-ヒドロキシアシルCoA脱水素酵素欠損症(高インスリン性低血糖) 潜性(劣性)
SLC16A1 家族性高インスリン性低血糖(運動で起こる型)/MCT1欠損症 運動で起こる高インスリン性低血糖:顕性(優性)/MCT1欠損症:潜性(劣性)
UCP2 高インスリン血症 顕性(優性)

※対象の38遺伝子:ABCC8, AKT2, APPL1, BLK, CEL, CISD2, CP, EIF2AK3, FOXP3, GATA4, GATA6, GCK, GLIS3, GLUD1, HADH, HNF1A, HNF1B, HNF4A, IER3IP1, INS, INSR, KCNJ11, KLF11, MNX1, NEUROD1, NEUROG3, NKX2-5, PAX4, PDX1, PPARG, PTF1A, RFX6, SLC16A1, SLC19A2, SLC2A2, UCP2, WFS1, ZFP57(2026年10月に検査の内容を照合)。関係する病気・遺伝のしかたは、公開されている遺伝子データベースと原著論文で確認しました。顕性=常染色体顕性(優性)、潜性=常染色体潜性(劣性)。

5. 糖尿病は子どもに遺伝する? 遺伝の確率と家族のこと

糖尿病が子どもに遺伝する確率は、糖尿病の型によって違います。MODYの多くは、親から子へ2分の1の確率で受け継がれます。一方、2型糖尿病は多くの遺伝子と生活習慣が関わるため、「何%遺伝する」と1つの数字で表すことはできません。父親・母親のどちら側の糖尿病か、祖父母やおじ・おばまでどこまで糖尿病の方がいるかを整理することが、型を考える第一歩になります。

MODYは顕性(優性)遺伝:お子さんへは2分の1

常染色体顕性(優性)遺伝では、対になった2本の遺伝子のうち1本に変化があれば発症しうるため、親から子へ変化が伝わる確率は、お子さん1人ごとに2分の1です。性別には関係しません。上のお子さんが受け継いだかどうかで、下のお子さんの確率が変わることもありません。

ただし、同じ変化をもっていても、症状の出方は人によって違うことがあります(浸透率)。また、親御さんに糖尿病がなくても、お子さんで新しく起きた変化(de novo)が原因のこともあります。「親が軽いから子も軽い」「親が糖尿病ではないから大丈夫」とは言えないのは、このためです。

新生児糖尿病は原因によって遺伝のしかたが違う

  • ●顕性(優性)遺伝の型:KCNJ11・ABCC8の多くの変化、INSなど。変化をもつ人のお子さんへは2分の1です。
  • ●潜性(劣性)遺伝の型:EIF2AK3(ウォルコット・ラリソン症候群)、GLIS3、RFX6、PTF1A、IER3IP1、GCKの両方のコピーの変化など。常染色体潜性(劣性)遺伝では、ご両親がともに保因者のとき、次のお子さんで発症する確率は4分の1です。
  • ●6q24の異常:ゲノムインプリンティング(親のどちらから受け継いだかで働き方が変わるしくみ)の異常で起こり、父親由来の片親性ダイソミーなどが原因になります。この検査では6q24のメチル化異常・片親性ダイソミーは調べられません(第7章)。

家族に糖尿病が多く、「自分も・子どもも」と不安を抱えている方へ

親やきょうだいが若くして糖尿病になり、「自分もいつかなるのでは」「子どもにも伝わっているのでは」という不安を抱えながら暮らしている方もいます。ご家族の糖尿病がMODYで、原因の遺伝子の変化がわかっていれば、ご自身がその変化を受け継いでいるかを調べられます。

受け継いでいないとわかれば、その型のMODYについては、ご家族と同じ確率を心配する必要がなくなります(2型糖尿病など、ほかの糖尿病になる可能性まではなくなりません)。受け継いでいるとわかれば、型に合った血糖の見張り方や治療を、早くから主治医と考えられます。知らないでいることを選ぶのも、ひとつの選択です。検査の前後で、臨床遺伝専門医と時間をかけて考えていただけます。

糖尿病の家系は結婚に差し支える?

糖尿病の家系であることは、結婚を左右する理由にはなりません。それでも、ご家族の病気をきっかけに、結婚や出産を前に不安になったり、周囲から心配されたりすることがあります。そうしたときに、遺伝子検査で「わかること」があります。

この検査の対象のうち、EIF2AK3・SLC19A2・SLC2A2・CP・ABCC8・KCNJ11・HADHは、拡大版保因者スクリーニングの女性版787遺伝子・男性版714遺伝子の両方に、FOXP3は女性版に含まれています。WFS1・GCK・INSR・RFX6・NEUROG3・PTF1A・GLIS3・IER3IP1などは含まれていません(2026年10月、各ページの遺伝子一覧で確認)。妊娠中の方には、NIPTと同じ日に採血するカップルの保因者検査「ファミリーセーフティ プラス」もあります。知ったうえで、おふたりで話し合い、選んでいくことができます。

6. 妊娠とMODY:妊娠の前・妊娠中に知っておきたいこと

MODYでは、型によって妊娠中の血糖の扱いや、生まれる赤ちゃんの状態が変わることがあります。妊娠の前に型を知っておけば、妊娠中の治療の方針を前もって主治医と立てられます。

GCK-MODYでは、お母さんと赤ちゃんの組み合わせで治療の考え方が変わる

GCK-MODYは約1,000人に1人とされ、妊娠中以外は治療が要りません。お母さんがGCK-MODYで、赤ちゃんが変化を受け継いでいない場合、赤ちゃんはお母さんの高めの血糖に反応してインスリンを多く出すため、平均より500〜600g大きく生まれるとされます。反対に赤ちゃんが変化を受け継いでいる場合は、ふつうの体重で生まれます。受け継いでいる赤ちゃんで、お母さんの血糖をインスリンで下げすぎると、赤ちゃんが小さく生まれるおそれがあるとも指摘されています[5]。

そのため、ISPADの指針は、妊娠中の治療を考えるのは、お母さんがGCK-MODYで、赤ちゃんが変化を受け継いでおらず、おなかの中で赤ちゃんが大きくなりすぎている証拠がある場合に限るとしています[1]。今は主に、超音波でおなかの周りを測って赤ちゃんの状態を推し量っています[5]。妊娠中の治療は、産科と糖尿病の主治医と相談して決めます。

妊娠糖尿病と言われた方の中にMODYがいることも

妊娠26〜28週ごろの糖負荷試験で高血糖を指摘され、そこでGCK-MODYが見つかることがあります[5]。妊娠のたびに高血糖を指摘される、妊娠前から空腹時の血糖が少し高かった、家族にも同じように言われた人がいる、といった場合は、MODYを考えるきっかけになります。HNF4A-MODYでは、赤ちゃんが受け継いだ場合に、生まれたときに体が大きい・新生児期に低血糖になることがあり[1]、出産後の赤ちゃんの見張りにも役立ちます。

7. この検査でわかること・わからないこと(検査の限界)

この検査でわかるのは、38遺伝子の配列の小さな変化(1文字の変化や小さな挿入・欠失)と、遺伝子全体や2つ以上のエクソンにわたる欠失・重複です。一方で、どの遺伝子検査にも限界があります。

わかること・わからないこと

  • ●調べる範囲:遺伝子のたんぱく質を作る部分(エクソン)と、その境目を読みます。遺伝子の働きを調節する部分(プロモーター)や、エクソンから離れたイントロンの奥の変化は、多くが対象外です。
  • ●欠失・重複:遺伝子全体の欠失・重複は、頬の粘膜と血液で調べられます。2つ以上続くエクソンの欠失・重複は血液でのみ調べられ、1つのエクソンだけの欠失・重複は、見つかることもありますが、ふつうは検出の対象外です。見つかった欠失・重複は、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します。
  • ●6q24の異常:一過性新生児糖尿病の主な原因である6q24のメチル化の異常や、父親由来の片親性ダイソミーは調べられません。染色体の構造の変化(転座・逆位)や、繰り返し配列の伸長も対象外です。
  • ●ミトコンドリアの遺伝子:この検査は核の38遺伝子が対象で、母から子へ伝わるミトコンドリアの遺伝子の変化(ミトコンドリア糖尿病の原因)は含まれていません。
  • ●CEL遺伝子:MODY8の原因として報告されている変化は、CEL遺伝子のエクソン11にある繰り返し配列(VNTR)の中の1文字の欠失などです[8]。このような繰り返し配列の中の変化を、この検査の方法でどこまで見つけられるかは確かめられていません。
  • ●モザイク:体の一部の細胞にだけ変化がある状態(モザイク)を見つけることは、この検査の目的に含まれていません。

💡 用語解説:読み取りの深さ(カバレッジ)

この検査では、対象の遺伝子の99%以上の場所を、それぞれ20回以上読み取ります(≥99% at 20x)。同じ場所を何度も読むほど、読み間違いと本当の変化を見分けやすくなります。読み取りの質が低い変化は、別の方法(サンガー法)でも確かめます。

陰性でも否定できない理由と、意義がまだわからない変化(VUS)

「原因が見つからなかった」ことは、「遺伝子1つで起こる糖尿病ではない」ことを意味しません。まだ見つかっていない原因の遺伝子があることや、上に書いたこの検査で調べられない原因があるためです。また、病気の原因かどうかまだ判断できない変化(VUS)が見つかることもあります。VUSは、それだけで診断に使ったり、ご家族の検査に使ったりはしません。調べた目的と別の病気の原因が見つかった場合の扱いは、当院の二次的所見の開示方針に沿ってご説明します。

8. 結果が出たあと

結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。わかったことを、次の行動につなげるところまで一緒に考えます。

病的変異が見つかったら、次にできること

① ご本人(糖尿病の方):糖尿病の型(病名)が決まり、合う治療を主治医と見直せます。GCK-MODYなら多くは治療が要らないこと、HNF1A・HNF4Aなら少量のSU薬がよく効くこと、KCNJ11・ABCC8の新生児糖尿病ならSU薬への切り替えを考えられることなどが、判断の材料になります[1][2][3][4]。HNF1Bなら腎臓、ウォルフラム症候群なら目や耳など、糖尿病以外に見張る臓器も決まります。治療や薬の変更は、内分泌内科・小児内分泌科などの専門の医療機関で行います(当院は糖尿病の治療・処方は行っていません)。

② 症状のないご本人(家族歴で受けた方):変化を受け継いでいるとわかれば、健診で血糖をこまめに確かめ、型に合った見張りを早くから始められます。潜性(劣性)遺伝の型の保因者とわかった場合は、パートナーが同じ遺伝子の保因者かを調べることを考えられます。

③ 子どもを持つときの選択肢:原因の変化がわかっていれば、お子さんへの確率(顕性なら2分の1、潜性でご両親とも保因者なら4分の1)を具体的に考えられます。妊娠したときに赤ちゃんで同じ変化があるかを調べる出生前診断を相談することもできますし、型を知ったうえで、妊娠中の血糖の扱いや出産後の赤ちゃんの見張りを計画して、そのまま出産を迎えることも大切な選択です。どの選択も尊重します。

④ ご家族:「糖尿病と言われている家族が、本当は何型か」を確かめるために、親・きょうだい・お子さんは、見つかった変化の場所をピンポイントで調べられます。症状のないご家族の検査は、ご本人の意思と同意で行います。

⑤ 当院でのその後:結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングでご説明し、次にどうするか(主治医への伝え方、ご家族の検査、妊娠の計画)を一緒に考えます。遺伝カウンセリング料は30分22,000円(税込)です。

陰性だったとき・VUSだったとき

原因が見つからなかった場合も、MODYなどが否定されたわけではありません(第7章)。症状やご家族の情報によっては、全エクソーム検査(WES)や、6q24を調べる検査など、次の検査を考えます。VUSが見つかった場合は、ご家族の症状と照らし合わせたり、研究が進んで意味がはっきりするのを待ったりします。

結果の報告書と、出生前診断について

結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。報告書の読み方は結果の見かたで解説しています。

ご家族で原因の遺伝子の変化がわかっていれば、妊娠したときに赤ちゃんで同じ変化があるかを調べられます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。その病気で出生前診断を行えるかは、病気の重さや国内の指針を踏まえて個別に判断しますので、妊娠を考えている段階からご相談ください(羊水検査・絨毛検査)。

9. 日本の制度:小児慢性特定疾病(2026年10月時点)

「若年発症成人型糖尿病(MODY)」は、小児慢性特定疾病情報センターの対象疾病のページに、糖尿病の疾患群の病気として掲載されています(2026年10月時点で確認)。医療費の助成を受けるには、制度の認定の基準を満たし、申請する必要があります。新生児糖尿病やそのほかの病型がどう扱われるかも含め、認定の基準と申請の方法は、小児慢性特定疾病情報センターや、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。遺伝子検査で型がわかっていることは、制度の申請や主治医との相談で、病気を説明する手がかりになります。

10. 検査の流れと費用・結果までの日数・検体

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は、血液のほか、唾液や頬の内側の粘膜でも調べられ、オンライン診療でも受けていただけます。

ご予約
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
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検体の採取血液・唾液・頬の粘膜
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結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

この検査は、遺伝診療先進国・米国の3大遺伝子検査会社の一角で行います。※

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

💴 費用・日数・検体

項目 内容
調べる遺伝子 38遺伝子(配列の解析と欠失・重複の解析。どちらも料金に含まれます)
検査費用 税込330,000円
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査費用とは別
結果までの期間 2〜3週間(至急オプション〔55,000円〕で約7日短くなります)
検体 血液(EDTA採血管4ml×2本)、抽出したDNA、頬の内側の粘膜、唾液
オプション 意義がまだわからない変化(VUS)を報告から除く(無料)
オンライン診療 可能です。血液の場合は全国の提携医療機関で採血をお願いします

※当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。

オンライン診療(ビデオ通話)で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただきます。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。検体採取キットは、検査料金をお支払いいただいたあとにお送りします。検体の取り違えや品質の低下を防ぐため、ご自身の判断で先に検体を採らないでください。

遺伝カウンセリングでは、検査で何がわかり何がわからないか、結果がご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。遺伝カウンセリングとはもご覧ください。

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臨床遺伝専門医が常駐し、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明してからマイページにアップします。

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11. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「糖尿病の家系だから」で終わらせない】

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。

糖尿病は、身近すぎる病気です。だからこそ「うちは糖尿病の家系だから」と、型を確かめないまま受け止められていることが少なくありません。けれども、遺伝子1つで起こる糖尿病では、原因の遺伝子によって、治療が要らないこともあれば、少量の飲み薬がよく効くこともあります。型を知らないまま、合わない治療を何十年も続けてしまうことは、避けたいと考えています。

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。一度の検査でわかったことは、ご自身の治療の見直しだけでなく、ご家族が自分の型を知る手がかりにも、これからの妊娠の計画にも、ずっと使える情報になります。遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。

わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。知ったうえでどう生きるかは、皆様が選ぶことです。どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 糖尿病は遺伝しますか?何型が遺伝しやすいのですか?

糖尿病の多くを占める2型糖尿病は、たくさんの遺伝子の小さな影響と、食事・運動などの生活習慣が重なって起こり、遺伝子1つで決まるものではありません。一方、MODY(若年発症成人型糖尿病)や新生児糖尿病は、遺伝子1つの変化で起こる糖尿病です。国際小児思春期糖尿病学会(ISPAD)の2022年の指針では、子どもの糖尿病の2.5〜6.5%がこうした単一遺伝子の糖尿病とされています。

Q2. 親が糖尿病だと、子どもが糖尿病になる確率はどれくらいですか?

親の糖尿病の型によって違います。MODYの多くは常染色体顕性(優性)遺伝で、親が原因となる遺伝子の変化をもつ場合、お子さん1人あたり2分の1の確率でその変化を受け継ぎます。2型糖尿病は多くの遺伝子と生活習慣が関わるため、このような決まった確率では表せません。ご家族の糖尿病がどの型かを遺伝子検査で確かめると、確率を具体的に考えられるようになります。

Q3. MODYは何歳から発症しますか?1型糖尿病との違いは?

MODYは子どもから若い大人のうちに見つかることが多い糖尿病ですが、GCK-MODYのように生まれつき血糖がやや高いだけで症状がなく、健診などで偶然見つかる型もあります。1型糖尿病は自己免疫でインスリンを作る細胞が壊れる病気で、MODYは遺伝子1つの変化が原因です。親の代から糖尿病が続いていて、1型や2型の特徴に当てはまらないときは、MODYを考えるきっかけになります。

Q4. MODYとわかれば、インスリン注射をやめられますか?

型によります。HNF1A・HNF4AのMODYでは、少量のスルホニル尿素薬(SU薬)がよく効くことが知られています。生後6か月未満の新生児糖尿病のうちKCNJ11・ABCC8の変化による型では、約90%の子どもがインスリンからSU薬の飲み薬に切り替えられたとされています。GCK-MODYは、妊娠中を除いて多くの場合治療が要りません。薬の変更は必ず主治医(内分泌内科・小児内分泌科など)と相談して行います。

Q5. 新生児糖尿病は治りますか?

新生児糖尿病には、一度治る「一過性」と、ずっと続く「永続性」があります。6q24という場所の異常による一過性新生児糖尿病は、いったん治っても、少なくとも50〜60%が再発するとされています。原因によって見通しも治療も違うため、生後6か月未満で糖尿病と診断されたら、すぐに遺伝子検査を行うことが国際的な指針で勧められています。

Q6. 痩せているのに糖尿病なのは遺伝ですか?

痩せていることだけで原因は決められませんが、肥満がなく、若いうちに糖尿病と言われ、親やきょうだいにも糖尿病の人がいる場合は、遺伝子1つで起こる糖尿病(MODY)の可能性を考えます。反対に、ISPADの指針では、肥満があってもMODYを否定する理由にはならないとされています。

Q7. 家族に糖尿病の人が多いと、結婚に差し支えますか?

糖尿病の家系であることは、結婚を左右する理由にはなりません。そのうえで、ご家族の糖尿病がどの型かを遺伝子検査で知っておくと、ご自身やお子さんへの確率、妊娠中の注意点などを具体的に考えられます。知ったうえで、おふたりで話し合い、選んでいくことができます。

Q8. 検査で何も見つからなければ、MODYではないのですか?

そうとは言い切れません。まだ見つかっていない原因の遺伝子があることや、6q24のメチル化の異常・片親性ダイソミー、ミトコンドリアの遺伝子の変化など、この検査では調べられない原因があるためです。結果と症状、ご家族の情報をあわせて、次に考える検査をご説明します。

🧬 一度の検査で、糖尿病の型とご家族のこれからを知る

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。MODY・新生児糖尿病の原因がわかれば、ご自身の治療の見直しだけでなく、ご家族の検査や、妊娠中の血糖の扱い、お子さんへの確率を考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

参考文献

  • [1] Greeley SAW, Polak M, Njølstad PR, et al. ISPAD Clinical Practice Consensus Guidelines 2022: The diagnosis and management of monogenic diabetes in children and adolescents. Pediatr Diabetes. 2022;23(8):1188-1211. [DOI: 10.1111/pedi.13426]
  • [2] Pearson ER, et al. Switching from insulin to oral sulfonylureas in patients with diabetes due to Kir6.2 mutations. N Engl J Med. 2006;355(5):467-477. [DOI: 10.1056/NEJMoa061759]
  • [3] Pearson ER, Starkey BJ, Powell RJ, Gribble FM, Clark PM, Hattersley AT. Genetic cause of hyperglycaemia and response to treatment in diabetes. Lancet. 2003;362(9392):1275-1281. [DOI: 10.1016/S0140-6736(03)14571-0]
  • [4] Steele AM, et al. Prevalence of vascular complications among patients with glucokinase mutations and prolonged, mild hyperglycemia. JAMA. 2014;311(3):279-286. [DOI: 10.1001/jama.2013.283980](PMID: 24430320)
  • [5] Hughes AE, Houghton JAL, Bunce B, et al. Bringing precision medicine to the management of pregnancy in women with glucokinase-MODY: a study of diagnostic accuracy and feasibility of non-invasive prenatal testing. Diabetologia. 2023;66(11):1997-2006. [DOI: 10.1007/s00125-023-05982-9](PMID: 37653058)
  • [6] De Franco E, Flanagan SE, Houghton JAL, et al. The effect of early, comprehensive genomic testing on clinical care in neonatal diabetes: an international cohort study. Lancet. 2015;386(9997):957-963. [DOI: 10.1016/S0140-6736(15)60098-8](PMID: 26231457)
  • [7] Suzuki K, et al. Genetic drivers of heterogeneity in type 2 diabetes pathophysiology. Nature. 2024. [DOI: 10.1038/s41586-024-07019-6]
  • [8] Raeder H, et al. Mutations in the CEL VNTR cause a syndrome of diabetes and pancreatic exocrine dysfunction. Nat Genet. 2006;38:54.

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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