この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)
ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。
記事の作り方(編集方針)

歩き方がふらつく、呂律が回りにくい、手の動きがぎこちない。子どものうちに始まる小脳失調(運動失調)には、遺伝子の変化が原因のものが多くあります。原因がわからないまま病院を回る時間を、1回の検査で短くできる可能性があります。このページでは、早期発症運動失調症に関係する134遺伝子をまとめて調べる遺伝子パネル検査でわかること・わからないこと、次のお子さんへの遺伝の確率、結果が出たあとにできることを、臨床遺伝専門医が解説します。あらかじめお伝えしておきたいのは、大人の脊髄小脳変性症に多い型やフリードライヒ運動失調症の多くは「リピート伸長」が原因で、この検査では見つけられないということです。その場合に選ぶ検査も、あわせてご案内します。
⏱️ 30秒でわかる要約
🧬 Q. この検査で何がわかりますか?
子どものうちに始まる小脳失調・運動失調の原因として知られる134遺伝子の小さな変化(一塩基の変化・小さな挿入や欠失)と、欠失・重複をまとめて調べます。一方で、リピート伸長(脊髄小脳失調症1・2・3・6・7型、フリードライヒ運動失調症の多く)は調べられません。
🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?
18歳未満で歩行のふらつき・呂律の回りにくさ・手足のぎこちなさが出てきた方、MRIで小脳の萎縮や形の変化を指摘された方、ご家族に運動失調の方がいる方です。
🧬 Q. 費用・日数・検体は?
検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・頬の内側の粘膜で、オンライン診療でも受けられます。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。
🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?
結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。原因がわかれば、合併症への備えや、次のお子さんで同じ病気が起こる確率と出生前診断まで具体的に考えられます。意義がまだわからない変化(VUS)の扱いもご説明します。
1. 子どもの小脳失調・運動失調は遺伝?この検査でわかること
子どものうちに始まる小脳失調・運動失調には、遺伝子の変化が原因のものが多く含まれます。この検査は、その原因として知られる134遺伝子をまとめて調べ、原因が見つかれば病名と、ご家族への遺伝の確率がわかります。ただし、すべての運動失調が遺伝性というわけではなく、またリピート伸長が原因の病気はこの検査では見つけられません(第4章)。
早期発症運動失調症(Early-Onset Ataxia)は、主に18歳未満で発症する遺伝性の運動失調症をまとめた呼び方です。ひとつの病気の名前ではなく、原因の遺伝子が違う多くの病気が含まれます。原因がわからないまま病院を回る期間は、希少疾患では長くなりがちです。欧州の41か国で希少疾患をもつ6,507人に尋ねた調査では、診断が確定するまでにかかった期間(総診断期間)は平均4.7年でした[1]。日本の未診断疾患イニシアチブ(IRUD)では、診断がついていなかった5,136家系に全エクソーム解析を行い、43.8%(2,247家系)で診断が確定しています[2]。逆にいえば、半数以上の家系ではこの時点で診断がついておらず、遺伝子検査で全員の原因がわかるわけではありません。
小脳失調(運動失調)とは:ふらつき・呂律・手のふるえの症状
小脳失調(運動失調)とは、筋力は保たれているのに、体の動きをなめらかにそろえる働きがうまくいかなくなる状態です。小脳や、小脳とつながる神経の通り道の障害で起こります。小脳失調の症状として、次のようなものがあります。
- ●歩くとふらつく、足を広げて歩く、転びやすい(歩行失調)
- ●座っている・立っているときに体が揺れる(体幹失調)
- ●手足の動きがぎこちない、物を取ろうとすると手がふるえる・行き過ぎる
- ●呂律が回りにくい、言葉が不明瞭(構音障害)
- ●目が揺れる(眼振)、目の動きがぎこちない
こうした症状は、感染症のあとの一時的な小脳失調や、薬・中毒、脳腫瘍など、遺伝子以外の原因でも起こります。遺伝子検査を考えるのは、症状がゆっくり進む、ほかの原因が見つからない、ご家族にも同じ症状の方がいる、といった場合です。
子どもで発症する遺伝性の運動失調の主な病気
この検査の対象には、次のような病気が含まれます。いずれも、このパネルの遺伝子で調べられる型です。
フリードライヒ運動失調症(FXN)も子どものうちに始まる代表的な病気で、平均の発症年齢は10〜15歳とされています[4]。ただし、この病気は原因のほとんどがリピート伸長なので、選ぶ検査が違います(第2章・第4章)。
遺伝のしかたは4通り:潜性(劣性)・顕性(優性)・X連鎖・ミトコンドリア
子どもで始まる運動失調は、遺伝形式もさまざまです。このパネルの134遺伝子の多くは常染色体潜性(劣性)遺伝の病気の遺伝子ですが、常染色体顕性(優性)遺伝やX連鎖の病気の遺伝子、ミトコンドリアの働きに関わる遺伝子も含まれます(遺伝のしかたは第3章の表に1つずつ書いています)。遺伝のしかたが違えば、ご家族やこれから生まれるお子さんへの影響も大きく変わります。だからこそ、原因の遺伝子を特定する意味があります。
2. どんな人が受けるとよいか
18歳未満で運動失調の症状が出てきた方、MRIで小脳の変化を指摘された方、ご家族に運動失調の方がいる方に向く検査です。一方で、疑われる病気によっては、この検査より別の検査のほうが向いています。
症状・MRIの所見から考える
次のような場合に、この検査を考えます。
- ●18歳未満で、歩行のふらつき・手足のぎこちなさ・呂律の回りにくさが出てきた
- ●眼振など、目の動きの異常がある
- ●MRIで小脳の萎縮や、白質の変化を指摘された
- ●運動失調が発作のように出たり引いたりする
- ●運動失調に、目の白目や顔の細い血管の拡張・感染症へのかかりやすさを伴う
- ●ご家族(きょうだい・親)に、子どものうちに運動失調が始まった方がいる
- ●フリードライヒ運動失調症などのリピート伸長検査で原因が見つからなかった
見た目や家族歴だけでは、原因が遺伝子にあるかどうかは判断できません。遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査を受けてはじめて、病名と、次にどうするかの計画が立てられます。
受けなくてよい場合・別の検査が向く場合
脊髄小脳変性症の遺伝を調べる方法は、疑う病気によって変わります。日本の脊髄小脳変性症では、遺伝性の病型としてSCA1・2・3・6・7・17・31やDRPLAなどが挙げられています(難病情報センター、2026年10月確認)。これらの多くは同じ配列のくり返しが長くなる「リピート伸長」が原因で、この検査では見つけられません。比べる相手は検査の種類です。次の表を目安にしてください。
🔍 疑う病気に合わせた検査の選び方
※料金は各検査のページの記載(税込)。どの検査が合うかは、症状・診察所見・MRI・ご家族の情報で変わります。遺伝カウンセリングで一緒に決めましょう。
3. 調べる134遺伝子と、それぞれでわかる病気
この検査では、次の134遺伝子の小さな変化と欠失・重複を調べます。表の病気の名前と遺伝のしかたは、OMIM(遺伝性疾患のデータベース)の登録にもとづいています。1つの遺伝子が、重さや症状の違う複数の病気に関わることもあります。リンクのある遺伝子名・病気の名前からは、当院の詳しい解説ページに進めます。
🧬 早期発症運動失調症パネルの対象遺伝子(134遺伝子)
※病気の名前と遺伝のしかたはOMIMの登録(HPOのアノテーション、2026年9月版で照合)による。病気の名前は、関係する主なものに絞って記載しています。C12orf65は現在MTRFRという名前で登録されています。
当院のNIPT(インペリアルプラン)でも調べられる4遺伝子
このパネルの遺伝子のうち、CAMTA1・GFAP・KIF1A・TUBB4Aの4つは、当院のNIPTのインペリアルプランでも調べられます。ダイヤモンドプランの対象遺伝子には、このパネルの遺伝子は含まれていません。当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。陽性の場合は、確定検査(羊水検査・絨毛検査)を院内で受けられます。
4. この検査でわからないこと(検査の限界)
この検査が調べるのは、134遺伝子の中の小さな変化と、欠失・重複です。同じ配列のくり返しが長くなる「リピート伸長」や、調べていない遺伝子の変化は見つけられません。遺伝子検査には、どれにも必ず限界があります。
リピート伸長は調べられない:フリードライヒ運動失調症と脊髄小脳失調症
この検査は、次世代シーケンサーで遺伝子の文字(塩基)を読む方法です。この方法では、同じ配列のくり返しが長くなる変化を正しく測れません。
⚠️ フリードライヒ運動失調症は、この検査だけでは確かめられません
フリードライヒ運動失調症の約96%は、FXN遺伝子の2本ともにGAAのくり返しが長くなる変化(GAAリピート伸長)が原因です。残りの約4%も、片方はGAAリピート伸長で、もう片方が遺伝子の小さな変化や大きな欠失です[4]。つまり、この病気のほぼすべてでGAAリピート伸長が関わっており、このパネルだけでは診断を確かめられません。フリードライヒ運動失調症を疑うときは、リピート伸長検査を選びます。
脊髄小脳失調症のSCA1・2・3・6・7やDRPLAも、リピート伸長が原因です。たとえばSCA6の原因遺伝子CACNA1Aは、このパネルの134遺伝子に入っていません。これらを疑うときは、第2章の表のリピート伸長検査を選んでください。リピート伸長の病気では、世代を重ねるごとに発症が早く、重くなる「表現促進現象」がみられることがあります。
そのほかに見つけられない変化
- ●染色体の位置が入れ替わる変化(転座・逆位)
- ●遺伝子のスイッチの部分(プロモーター)や、遺伝子の中の読まれない部分の深いところ(タンパク質の設計図の部分から20塩基以上離れた場所)の変化
- ●体の一部の細胞にだけ変化がある状態(モザイク):この検査は、モザイクを見つけることを目的に作られていません。
- ●1つのエクソンだけの欠失・重複:見つかることもありますが、いつも見つけられるわけではありません。
- ●よく似た配列(偽遺伝子など)が別の場所にある部分:読み分けが難しく、判定に影響することがあります。
- ●134遺伝子以外の遺伝子の変化
検査の精度を保つしくみもあります。遺伝子の対象の範囲の99%以上を、同じ場所を20回以上読み取る深さで調べます。読み取りの質が低かった変化は別の方法(サンガー法)で確かめ、見つかった欠失・重複は、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します。なお、1つの遺伝子まるごとの欠失・重複は血液でも頬の粘膜でも調べられますが、2つ以上つながったエクソンの大きさの欠失・重複を調べられるのは血液の検体だけです。
陰性でも否定できない理由と、VUS
病気の原因となる変化が見つからなくても、遺伝性の運動失調ではないとは言い切れません。上に書いたように、この検査では見つけられない種類の変化や、まだ原因として知られていない遺伝子があるためです。
また、病気の原因かどうかまだ判断できない変化(VUS:意義がまだわからない変化)が見つかることがあります。VUSは、それだけで診断や、ご家族の発症リスクの判断に使うことはしません。ただし、その変化が病気の原因かどうかを調べるために、ご家族の検査を行うことはあります。研究が進んで、のちに意味がはっきりすることもあります。なお、ご希望により、VUSを報告に含めない設定(VUS除外、無料)も選べます。
5. 結果が出たあと:陽性・陰性・VUS
結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。陽性・陰性・VUSのそれぞれで、次にできることが違います。
病的変異が見つかったら、次にできること
わかるだけでは意味がありません。原因の遺伝子がわかったあとに何ができるかを、立場ごとにお伝えします。
① お子さんご本人:病名が決まり、見張ることが決まる
病名がわかると、その病気で起こりやすい合併症と、いつ何を調べればよいかが決まります。たとえばフリードライヒ運動失調症では、肥大型心筋症が約3分の2の方に、糖尿病が最大30%の方にみられるとされ、心臓と血糖の定期的な確認が大切になります[4]。毛細血管拡張性運動失調症では、放射線に対する感受性が高いため放射線治療は避けるべきとされ、悪性腫瘍への注意も必要です[3]。
病気によっては、治療に直接つながります。ビタミンE単独欠乏性運動失調症(TTPA)では、生涯にわたるビタミンEの補充が治療の中心で、症状が出る前のきょうだいに補充を始めると発症を防げるとされています[5]。脳腱黄色腫症(CYP27A1)では、ケノデオキシコール酸による治療があり、症状が出る前に始めると症状の出現を防げる可能性が示されています[6]。フリードライヒ運動失調症では、オマベロキソロンが米国と欧州で16歳以上の方に承認されています[4](日本で使えるかは主治医にご確認ください)。治療やリハビリテーションは、神経内科・小児神経科など専門の医療機関で受けていただきます。
ACMG(米国臨床遺伝・ゲノム学会)が行った系統的レビューでは、エクソーム・ゲノム検査の結果について報告した167件の研究で、最も多く報告された成果は「診療方針の変化」と「子どもを持つことに関する意思決定の変化」でした[7]。これは主に先天異常や知的障害のある子どもの研究ですが、病名がつくと次の一手が決まる、ということを示しています。
② 症状のないご両親・きょうだい:保因者かどうか、自分の健康で気をつけること
常染色体潜性(劣性)の病気では、ご両親はそれぞれ片方の遺伝子に変化をもつ保因者であることが多く、ふつう症状はありません。ただし、病気によっては保因者にも気をつけたいことがあります。毛細血管拡張性運動失調症の原因であるATMの変化を片方だけもつ方は、病気にはなりませんが、がんのリスクが一般の方より高く、とくに50歳未満の女性では乳がんのリスクが上がるとされ、年齢に合わせた乳がんの検診を強めることが勧められています[3]。お子さんの1回の検査が、ご両親ご自身の健康管理の手がかりになることもあるのです。
③ 次のお子さんを考えるとき:確率と、知ってから選べること
次のお子さんで同じ病気が起こる確率は、遺伝のしかたで大きく変わります。
- ●常染色体潜性(劣性):ご両親がともに保因者なら、次のお子さんごとに4分の1の確率で発症し、2分の1の確率で保因者になります(フリードライヒ運動失調症・毛細血管拡張性運動失調症のGeneReviewsの記載)[3][4]。
- ●常染色体顕性(優性)で、親が同じ変化をもつ場合:お子さんごとに2分の1です。同じ変化でも症状の重さは人によって違うことがあり、「親が軽いから子も軽い」とは言えません。
- ●X連鎖:お母さんが保因者かどうかで変わります。お母さんが保因者なら、男のお子さんは2分の1の確率で受け継ぎます。
- ●お子さんで新しく起きた変化(de novo)の場合:ご両親の血液に変化がなくても、卵子や精子のもとになる細胞にだけ変化がある「性腺モザイク」のことがあります。変化をもつ生殖細胞からできる卵子・精子は2分の1の確率で変化を受け継ぎます。生殖細胞のうちどれくらいが変化をもつかは実際の診療では調べられないため、お子さん1人あたりの確率は『最大で2分の1』とお伝えしています。
お子さんで新しく起きた変化だとわかった場合、それはご両親のせいではありません。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもないのです。
原因がわかっていれば、次の妊娠で備えることができます。ご家族で原因の遺伝子の変化がわかっていれば、妊娠したときに赤ちゃんで同じ変化があるかを調べられます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。当院では羊水検査・絨毛検査を院内で行っています(2025年6月から産婦人科を併設)。その病気で出生前診断を行えるかは、病気の重さや国内の指針を踏まえて個別に判断しますので、妊娠を考えている段階からご相談ください。原因がわからないままでは、出生前に何を調べればよいかを決められません。
CAMTA1・GFAP・KIF1A・TUBB4Aの病気であれば、当院のNIPTのインペリアルプランでも調べられます(妊娠9週から、6〜8週は臨床研究)。体外受精でできた受精卵を調べるPGT-M(着床前遺伝学的検査)は、日本では日本産科婦人科学会の指針(2026年9月改定)にもとづく審査を経て行われています(当院は体外受精・PGT-Mを行っていません)。準備に必要なことは海外でPGT-Mを考えている方へで解説しています。もちろん、何も検査をせずに妊娠・出産を迎えることも、そのまま選べる選択肢です。
④ ご家族:同じ変化があるかを、ピンポイントで調べられる
ご家族の中で原因の変化がわかると、きょうだい・ご両親・いとこなどは、同じ場所だけを調べて、変化をもっているかどうかを確かめられます。ほかのお子さん(きょうだい)が将来、結婚や妊娠を考えるときに、保因者かどうかを知る手がかりにもなります。症状のない方の検査は、ご本人の同意にもとづいて行います。
⑤ 当院でのその後
結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングでご説明し、次にどうするかを一緒に考えます。ご家族の検査、パートナーの保因者検査、妊娠したときの出生前診断まで、当院で続けてご相談いただけます(遺伝カウンセリング料は第7章のとおりです)。
陰性・VUSだったとき
原因が見つからなかった場合は、症状に合わせて次の検査を考えます。リピート伸長の病気が疑われるなら運動失調リピート伸長遺伝子パネル検査、症状が広いなら全エクソーム検査(WES)が選択肢です。VUSが見つかった場合は、ご家族の検査結果や、今後の研究の進み方をふまえて意味を考えます。調べた目的とは別の病気の原因が見つかった場合の扱いは、当院の二次的所見の開示方針をご覧ください。
保因者検査:パートナーやきょうだいが知りたいとき
常染色体潜性の病気では、パートナーが同じ遺伝子の保因者かどうかで、お子さんへの確率が変わります。妊娠の前に知りたい方には、拡大版保因者スクリーニング(女性版787遺伝子・男性版714遺伝子、さらに女性版1009遺伝子・男性版911遺伝子)があります。この病気の遺伝子が対象かどうかは、遺伝子一覧でご確認ください。妊娠中の方には、NIPTと同じ日に採血できるカップルの保因者検査「ファミリーセーフティ プラス」(女性787遺伝子・男性714遺伝子、単独では受けられません)もあります。
結果の報告書の言語
結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。報告書の読み方は遺伝子検査結果の見かたで解説しています。
6. 日本の制度(2026年10月時点)
脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く)は、指定難病18です。難病情報センターのページ(2025年12月情報更新)では、遺伝性の病型の例としてSCA1・2・3・6・7・17・31、DRPLAなどが挙げられ、平成15年の研究班の解析では、孤発性が67.2%、常染色体顕性(優性)遺伝性が27%、常染色体潜性(劣性)遺伝性が1.8%とされています。
18歳未満のお子さんでは、小児慢性特定疾病(神経・筋疾患)の資料に、脊髄小脳変性症、ジュベール症候群関連疾患、白質消失病、皮質下嚢胞をもつ大頭型白質脳症などの名前が掲載されています(小児慢性特定疾病情報センター、2026年10月確認)。お子さんの病気が対象になるか、認定の条件や申請の方法は、難病情報センター・小児慢性特定疾病情報センターや、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。制度の申請でも、遺伝子検査で病名が確定していることが手がかりになります。
7. 検査の流れと費用・日数・検体
検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・頬の内側の粘膜で、オンライン診療でも受けられます。
ご予約
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
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検体の採取血液・唾液・頬の粘膜
▶
結果のご説明2〜3週間後・マイページへ
この検査は、遺伝診療先進国・米国の3大遺伝子検査会社の一角で行います。※
※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。
💴 費用・日数・検体
※ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。
オンライン診療(ビデオ通話での診療)では、遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただきます。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。検体採取キットは、検査料金をお支払いいただいた後にお送りします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。検体の取り違えや品質の低下を防ぐため、決められたキットと手順で採取していただく必要があります。
遺伝カウンセリングでは、検査で何がわかり、何がわからないか、結果がご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。
8. 院長コラム
🩺 院長コラム【原因がわかってはじめて、次の妊娠を考えられる】
私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。
子どものうちに始まる運動失調では、検査を受けるのはお子さんでも、結果を受け止めて次を考えるのはご両親です。原因がわかれば、次のお子さんで同じことが起こる可能性がどれくらいあるか、そして次の妊娠でどう備えられるかを、具体的に考えられるようになります。原因がわからないままでは、出生前に何を調べればよいかも決められません。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。
遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。たとえば、きょうだいのお子さんの病気をきっかけに念のため検査を受けた方に、まったく別の遺伝子の病的な変化が、体の一部の細胞だけにある状態(モザイク)で見つかったことがあります。ご本人は発症していませんでしたが、卵子や精子のもとになる細胞にもその変化があれば、お子さんが発症することがある病気でした。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。
わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。知ったうえで次の妊娠を考えたい方には、出生前診断まで当院で続けて支えられる体制を整えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。
よくある質問(FAQ)
Q1. 脊髄小脳変性症は子どもや孫に遺伝しますか?
遺伝性の病型であれば、遺伝することがあります。日本の脊髄小脳変性症では、平成15年の研究班の解析で孤発性が67.2%、常染色体顕性(優性)遺伝性が27%、常染色体潜性(劣性)遺伝性が1.8%とされています(難病情報センター)。常染色体顕性の病型で親が原因の変化をもつ場合、お子さんごとに2分の1の確率で受け継ぎます。どの病型かによって確率が変わるため、まず原因を調べることが大切です。
Q2. この検査でフリードライヒ運動失調症はわかりますか?
この検査だけでは確かめられません。フリードライヒ運動失調症の約96%はFXN遺伝子の2本ともにGAAリピート伸長があり、残りの約4%も片方はGAAリピート伸長です。この検査はリピート伸長を調べられないため、フリードライヒ運動失調症を疑うときは、リピート伸長検査を選びます。
Q3. 脊髄小脳失調症(SCA)は調べられますか?
SCA5・13・14・15・19・21・28・35・44・48など、遺伝子の小さな変化が原因の型は、このパネルの遺伝子で調べられます。一方、SCA1・2・3・6・7やDRPLAはリピート伸長が原因のため、この検査では見つけられません。これらを疑うときは、運動失調リピート伸長遺伝子パネル検査(税込495,000円)や、単一遺伝子のリピート伸長検査(税込275,000円)を選びます。
Q4. 遺伝子検査の費用はいくらですか?保険は使えますか?
この検査の費用は税込330,000円で、遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。結果を約7日早く知りたい方には、至急オプション(55,000円)があります。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。
Q5. 次の子どもで同じ病気が起こる確率は?
遺伝のしかたで変わります。常染色体潜性(劣性)でご両親がともに保因者なら、お子さんごとに4分の1です。お子さんで新しく起きた変化の場合も、ご両親の卵子や精子のもとになる細胞にだけ変化があることがあるため、確率は最大で2分の1とお伝えしています。原因がわかっていれば、次の妊娠で絨毛検査・羊水検査による出生前診断を計画できます。
Q6. 家族に運動失調の人がいると、結婚に差し支えますか?
遺伝の確率は、病気とご家族ごとに違います。検査で、ご自身が原因の変化をもっているか、パートナーが同じ遺伝子の保因者か、お子さんへの確率はどれくらいかがわかります。知ったうえで、出生前診断などの選択肢も含めて計画を立てられます。当院では、結婚や妊娠を考えている段階から遺伝カウンセリングでご相談いただけます。
Q7. 結果はどのように伝えられますか?
結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。報告書は基本的に日本語版で、英語の原本が必要な方には英語版をお渡しします(検査の時にお申し出ください)。英語版と日本語版の双方は追加料金5,500円です。
Q8. 陰性だったら、遺伝性の運動失調ではないということですか?
言い切れません。この検査では、リピート伸長、モザイク、遺伝子の調節領域の変化、134遺伝子以外の遺伝子の変化などは見つけられません。症状に合わせて、リピート伸長検査や全エクソーム検査(WES)を考えます。
🧬 一度の検査で、お子さんとご家族のこれからを考える
生まれ持った遺伝子は一生変わりません。運動失調の原因がわかれば、お子さんの合併症への備えだけでなく、ご家族の検査や、次の妊娠の計画を考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断まで、院内で続けて受けていただけます。
お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768
参考文献
- [1] Faye F, Crocione C, Anido de Peña R, et al. Time to diagnosis and determinants of diagnostic delays of people living with a rare disease: results of a Rare Barometer retrospective patient survey. Eur J Hum Genet. 2024;32(9):1116-1126. [DOI: 10.1038/s41431-024-01604-z]
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- [6] Federico A, Gallus GN. Cerebrotendinous Xanthomatosis. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2003 (Revised 2024 Nov 14). [NCBI Bookshelf NBK1409]
- [7] Malinowski J, Miller DT, Demmer L, et al. Systematic evidence-based review: outcomes from exome and genome sequencing for pediatric patients with congenital anomalies or intellectual disability. Genet Med. 2020;22(6):986-1004. [DOI: 10.1038/s41436-020-0771-z](PMID: 32203227)
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