この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)
ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。
記事の作り方(編集方針)

脊髄小脳変性症27B型(SCA27B)は、FGF14という遺伝子の中にあるGAAという3文字の繰り返し(リピート)が長く伸びることで起こる、大人になってからふらつきが始まる遺伝性の小脳失調です。原因がわかったのは2023年と新しく、それまで「原因がわからない」「遺伝ではない」と言われてきた大人の小脳失調の方の中から見つかっています。長いあいだ名前のつかなかったふらつきに、1回の検査で名前がつく可能性があります。このページでは、症状・何歳から始まるか・子どもや孫への遺伝の確率と、FGF14のGAAリピートを調べる遺伝子検査でわかること、結果のあとにできることを、臨床遺伝専門医が解説します。
⏱️ 30秒でわかる要約
🧬 Q. この検査で何がわかりますか?
脊髄小脳変性症27B型(SCA27B・脊髄小脳失調症27B型)の原因である、FGF14遺伝子のGAAリピートがどれくらい伸びているかを調べます。遺伝子の配列を読む一般的なパネル検査では見つけにくい変化です。
🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?
中年以降にふらつき・下向き眼振・くり返すめまいが出て、原因がわからないと言われた方。ご家族がSCA27Bと診断され、ご自身も受け継いでいるかを知りたい症状のない方(発症前診断)です。
🧬 Q. 費用・日数・検体は?
検査費用は税込275,000円、結果まで約2週間です(至急オプション55,000円で約7日短縮)。検体は血液・唾液・口の内側の粘膜などで、オンライン診療でも受けられます。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。
🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?
結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。伸長が見つかれば、お子さんに受け継がれる確率は1人あたり2分の1です。判断の難しい長さだったときの扱いや、ご家族の検査もご説明します。
1. 脊髄小脳変性症27B型(SCA27B)とは|FGF14遺伝子のGAAリピート伸長で起こる、大人になってからの小脳失調
脊髄小脳変性症27B型(SCA27B)は、FGF14遺伝子の第1イントロン(たんぱく質の設計図にならない部分)にあるGAAリピートが長く伸びて起こる、常染色体顕性(優性)遺伝の小脳失調です。脊髄小脳失調症27B型、GAA-FGF14関連失調症(GAA-FGF14-related ataxia)とも呼ばれます[1]。2023年に、カナダ・ドイツなどの研究グループ[2]とオーストラリアの研究グループ[3]が、それぞれ原因を報告しました(オーストラリアのグループはSCA50と名づけています)。
DNAの中の短い配列が何回も繰り返し、その回数が伸びて病気になるものを「リピート伸長病」といいます。同じGAAというリピートが伸びて起こる病気には、フリードライヒ運動失調症(FXN遺伝子・常染色体潜性遺伝)がありますが、SCA27Bは別の遺伝子・別の遺伝のしかたの病気です。
FGF14は主に小脳で働く遺伝子で、小脳のプルキンエ細胞の神経の興奮を、電位依存性ナトリウムチャネルと結びついて調節しています。GAAリピートが伸びるとFGF14の働きが足りなくなる(ハプロ不全)ことが、病気のしくみと考えられています[1]。亡くなった患者さんの小脳などでは、FGF14のRNAとたんぱく質が減っていたと報告されています[2]。
「原因不明」「遺伝ではない」と言われてきた遅発性の失調から見つかる型
SCA27Bは、大人になってから始まり、原因がわからないままだった小脳失調の中から、かなりの割合で見つかっています。GeneReviewsは、原因不明の成人発症の小脳失調の集団のうち9〜61%でSCA27Bが見つかったとまとめています[1]。最初の報告では、伸長をもつ方の割合は、フランス系カナダ人の患者さんで61%、ドイツの患者さんで18%、オーストラリアで15%、インドで10%でした[2]。割合は国や集団で大きく違います。
日本人での頻度
日本人では、欧米より少ないと報告されています。慢性に進む小脳失調で原因がわからなかった日本の940人を調べた研究では、11家系12人(約1.2%)でGAAリピートの伸長が見つかりました[8]。成人発症で原因不明の日本人460人を調べた別の研究では、14人(3.0%)がSCA27Bでした[7]。この研究では、日本人の健康な人では、GAAの間にGCAという別の配列がはさまった、病気の原因にならないリピートが多いことも示されています[7]。
日本でよく知られている型には、SCA3(マシャド・ジョセフ病)・SCA6・SCA31などがあります。これらの型の検査で原因が見つからなかった方の中に、SCA27Bの方がいる可能性があります。
同じFGF14の「SCA27A」との違い
FGF14の遺伝子の配列そのものの変化(一塩基の変化など)で起こる型は、SCA27A(OMIM 193003)と呼ばれ、SCA27B(OMIM 620174)とは別の病気として扱われています[1]。SCA27Aは遺伝子の配列を読む検査で調べるため、遅発性運動失調症遺伝子パネル検査の対象です。このページの検査は、SCA27BのGAAリピートだけを調べます。
2. SCA27Bの症状と発症の時期|初期症状・めまい・何歳から
SCA27Bは、多くは60歳前後に、歩くときのふらつきから始まり、ゆっくり進む小脳失調です。GeneReviewsでは発症年齢の中央値は60歳(21〜87歳)、最初の症状は80%で歩行の不安定さとされています[1]。日本の12人の報告では、発症年齢の平均は66.9歳でした[8]。
初期症状:歩くときのふらつき・ろれつ・ものが揺れて見える
歩くときのふらつき(歩行失調)は95〜100%の方にみられ、小脳による目の動きの異常も80〜96%にみられるとされています[1]。話し方がとぎれとぎれになる、手先がうまく使えない、といった小脳の症状が加わることもあります。ドイツなどの50人の研究では、88%に小脳による目の動きの異常があり、MRIでは97%で小脳の中央部(虫部)の萎縮がみられました[4]。一方、日本の報告では、MRIの小脳の萎縮は「ない〜軽い」方が多く、6年ほどの経過で目立った進みはありませんでした[8]。MRIで萎縮がはっきりしないことも、SCA27Bを見逃さないための手がかりになります。
下向き眼振(下眼瞼向き眼振)と目の症状
正面を見ているときに、目がゆっくり上へ動いてから下へ戻る動きをくり返すものを「下向き眼振(下眼瞼向き眼振)」といいます。ものが揺れて見えたり、二重に見えたりする原因になります。下向き眼振の頻度は研究によって10〜67%と幅があり[1]、すべての方にみられるわけではありません。
逆に、原因不明の下向き眼振の方170人を調べた研究では、48%(82人)がGAAリピート250回以上の伸長をもっていました[5]。原因のわからない下向き眼振がある方では、SCA27Bを考える意味があります。
発作的にふらつく・めまいがくり返す(ほかの病気と間違われやすい理由)
SCA27Bでは、ふらつきやめまいが数分から数日続く「発作」がくり返されることがあります。発作的な症状の頻度は研究によって13〜80%で、約半数の方では、ふらつきが続くようになる2〜4年前から発作が先に出るとされています[1]。日本の報告では56%に発作的な症状がありました[8]。発作は飲酒・運動・カフェインで起こりやすいとされています[1]。
発作だけが出ている時期は、脳卒中やめまいの病気と区別がつきにくいことがあります。「めまいの発作をくり返したあと、ふらつきが続くようになった」という経過は、SCA27Bを考える手がかりの1つです。フランスの研究は、45歳以降の発症・下向き眼振・複視を含む発作的な失調の3つを、SCA27Bを疑う手がかりとしてあげています[6]。
そのほかの症状と進み方・寿命
手足の先の振動を感じにくくなる(29〜57%)、尿が急に我慢しにくくなる(28〜57%)、平衡をつかさどる内耳の働き(前庭)が落ちる(10〜75%)こともあります[1]。末梢神経の障害は軽いことが多いとされています[1]。日本の報告では、30%にパーキンソン病のような症状がありました[8]。
進み方はゆっくりで、車椅子が必要になる方は15%未満、寿命は短くならないと考えられています[1]。50人の研究では、発症から約8年で半数の方が片側の杖などを、約15年で半数の方が両側の支えを必要としていました[4]。ただし、進み方には個人差があります。
多系統萎縮症など、ほかの病気との違い
大人になってから始まる小脳失調では、多系統萎縮症(小脳型)との区別が大切です。GeneReviewsは、多系統萎縮症では約60%が5年以内に車椅子が必要になり、生存期間は6〜10年である一方、SCA27Bは進みがゆっくりで、多系統萎縮症では発作的な症状や前庭の機能低下がみられない点が違う、としています[1]。日本で多系統萎縮症と診断された411人を調べた研究では、2人に200回台のGAAリピートがみられましたが、病気との関係はまだ確かめが必要とされています[9]。
3. 遺伝のしかたと、子ども・孫への確率|脊髄小脳変性症27B型は遺伝する?
SCA27Bは常染色体顕性(優性)遺伝で、親が伸長をもっていると、お子さん1人あたり2分の1の確率で受け継ぎます。ただし、受け継いだ方が何歳で発症するか、どのくらいの重さになるかは、前もって決められません[1]。
常染色体顕性(優性)遺伝:お子さんへの確率は2分の1
常染色体顕性(優性)遺伝では、2本あるFGF14のうち1本に伸長があれば発症しうるため、親の2本のうちどちらを受け継ぐかで、お子さんへの確率は1人あたり2分の1になります。この確率は、お子さんの性別や生まれた順番では変わりません。
リピートの数と発症のしやすさ
原因をもっていても、すべての方が発症するわけではありません。原因をもつ人のうち実際に発症する人の割合を「浸透率」といいます。SCA27Bでは、リピートの数によって浸透率が違います。
📏 FGF14のGAAリピートの数の読み方(GeneReviewsの区分)
※区分はGeneReviews[1]による。病気の原因と考えられているのは、GAAだけが続く「純粋な」リピートです。途中に別の配列(GCA・GGAなど)がはさまったリピートには、長くても病気の原因にならないものがあります。ただし、別の配列があるだけで病気の原因ではないとは判断できず、中断されずに続くGAAの長さなども含めて解釈する必要があります[1][7]。
オーストラリアの研究では、リピートが10回多いごとに、発症が約1.16年早くなる関係がみられました[3]。ただし、これは集団での傾向で、目の前の一人の発症年齢を予測できるものではありません。
親から子へ伝わるときに、リピートは増える?減る?(表現促進現象はあるか)
世代を重ねるごとに発症が早く・重くなる現象を「表現促進現象」といいます。SCA27Bでは、リピートの数が親から子へ伝わるときに変わりやすく、母親から伝わると増えやすく、父親から伝わると減りやすいことが報告されています。フランスの研究では、100回を超える母親由来のリピートはすべて数が変わり、中央値で1世代あたり18回増えていました。父親由来では多くが短くなり、中央値で15回減っていました[6]。GeneReviewsは、親のリピートが75回を超えると、ほとんど常に数が変わるとしています[1]。
そのため、SCA27Bは、ほかの型のような「世代ごとに一方向に重くなる」表現促進現象とは同じには考えられません。親が軽い症状でも、お子さんで同じ経過になるとは限らない、という点を知っておくことが大切です。
⚠️ 「親が軽いから、子どもも軽い」とは言えません
親御さんの症状が軽かったり、まだ発症していなかったりしても、伸長を受け継いだお子さんで同じ経過になるとは限りません。リピートの数は親から子へ伝わるときに変わることがあり、受け継いだ方の発症年齢や重さは前もって決められないとされています[1][6]。だからこそ、ご家族の誰かがSCA27Bとわかったときは、症状の有無だけで判断せず、知ったうえで計画することに意味があります。
孫・きょうだいへの確率
お子さんが伸長を受け継いでいなければ、そのお子さんから孫に伝わることはありません。お子さんが受け継いでいれば、孫への確率はさらに1人あたり2分の1です。父親から伝わるときにリピートが短くなることがあるため、症状が「1世代とばして」現れたように見える家族もあります[1]。
ご本人の親が伸長をもっていた場合、ご本人のきょうだいも、それぞれ2分の1の確率で受け継いでいます。きょうだいの誰が受け継いでいるかは、それぞれが検査を受けるまでわかりません。
家族に発症した人がいないのに見つかるのはなぜか
GeneReviewsによると、SCA27Bの方の15〜50%は、ご家族にほかに発症した方がわからない「孤発例」です[1]。50人の研究では49%が孤発例でした[4]。250〜300回の範囲では発症しない方もいること(不完全浸透)や、父親から伝わるときにリピートが短くなり、症状が1世代とばして現れたように見えることがあること[1]が、その背景にあります。「家族に同じ病気の人はいないから遺伝ではない」とは言えないのが、SCA27Bの特徴です。
4. どんな人がこの検査を受けるとよいか
大人になってからのふらつきで原因がわからない方と、ご家族がSCA27Bと診断され、ご自身が受け継いでいるかを知りたい方に向く検査です。見た目や家族歴だけでは判断できないことが多いので、迷ったら、まず遺伝カウンセリングで状況をお聞かせください。
原因がわからないと言われた、大人になってからのふらつき・下向き眼振がある方
- ●中年以降に、歩くときのふらつき・ろれつの回りにくさがゆっくり進んできた方
- ●原因のわからない下向き眼振(ものが揺れて見える)がある方
- ●めまいやふらつきの発作をくり返したあと、ふらつきが続くようになった方
- ●これまでの代表的な型(SCA1・2・3・6・7・8・12・17・31・DRPLAなど)の遺伝子検査で原因が見つからなかった方
- ●MRIで小脳の萎縮が目立たない、または軽いと言われたのに、ふらつきが続いている方
- ●多系統萎縮症と言われたが、進み方がゆっくりで、発作的な症状がある方
病名がわかると、見張るべきこと、気をつけたい生活の場面、使える制度(指定難病)、試せる治療の選択肢が決まってきます。名前のついていないふらつきを抱え続けるより、名前がつくことで次の一手を考えられるようになります。
ご家族がSCA27Bと診断された、症状のない方(発症前診断)
症状のない方が、将来発症する可能性を調べる検査を「発症前の検査(予測的検査)」といいます。当院は、ライフステージごとに患者さんの人生をサポートするという考え方で診療しており、知りたいと願う方を拒むことはしません。遺伝カウンセリングで十分に考えたうえで、ご本人が知りたいと決めた場合は、その意思を尊重して検査まで行います。知らないでいる選択も、同じように尊重します。
先が見えないまま過ごすより、わかったうえで、仕事・結婚や出産・住まい・ご家族の介護の準備など、これからの人生を計画したいと考える方もいます。英国でハンチントン病の発症前検査を受けた人の理由として最も多かったのは「不確実さを減らすため」(70.5%)でした[10]。病気は違いますが、「知ることで計画を立てたい」という思いは、SCA27Bのご家族にも通じるものだと考えています。
「自分もなるかもしれない」という不安を抱えながら暮らしている方へ
親やきょうだいが発症した方の中には、少しつまずいただけでも、少しめまいがしただけでも「始まったのでは」と不安になりながら暮らしている方もいます。その気持ちは、ご家族の病気を間近で見てきたからこそのものです。
検査でご家族の原因(FGF14のGAAリピート伸長)を受け継いでいないとわかれば、ご家族と同じ原因によるSCA27Bについては、2分の1の確率を心配し続ける必要はなくなります。ただし、ふらつきにはほかの原因もあるため、ほかの病気まで否定できるわけではありません。受け継いでいるとわかった場合も、それで終わりではありません。見張ること、試せる治療、生活の計画を、早めに考えられます(第7章)。
知らないでいることも、大切な選択の1つです。結果を知ったあとの気持ちの変化は、受け継いでいてもいなくても起こりえます。当院では、検査の前に時間をかけて考えていただき、結果をお伝えしたあとも、遺伝カウンセリングで相談を続けていただけます。
結婚・妊娠を考えている方
結婚するか、子どもを持つかは、その人の生き方そのものに関わる大きな選択です。ご家族にSCA27Bの方がいると、結婚のときに不安を感じたり、周りから心配されたりすることもあるかもしれません。けれども、あなたが原因を受け継いでいるかどうかは、検査を受けるまでわかりません。知ってから決めるのと、知らずに決めるのとでは、選べることが違います。
受け継いでいるとわかれば、お子さんへの確率(1人あたり2分の1)をふまえて、妊娠したときの出生前診断や、PGT-M(着床前遺伝学的検査)などを前もって考えられます(第7章)。どの選択をするかを決めるのはご本人とパートナーで、当院は知ったうえで選べるようにお手伝いします。
この検査・運動失調リピート伸長パネル・遅発性運動失調症パネルの選び方
ご家族がSCA27Bとわかっていればこの検査、型がわからなければ、FGF14を含む運動失調リピート伸長パネルがまず向いています。SCA27Bの伸長は、遺伝子の配列を読む一般的なパネル検査・エクソーム検査では確実には見つけられないとされています[1]。
🔍 この検査・リピート伸長パネル・遅発性運動失調症パネルの選び方
※どの検査が合うかは、症状・診察所見・ご家族の情報で変わります。遺伝カウンセリングで一緒に決めます。
この検査より別の検査が向いている場合
ふらつき以外にも筋力の低下やけいれんなど症状が広くあり、病気をしぼりにくい場合は、153遺伝子を調べる運動失調症遺伝子検査パネルが向くことがあります(このパネルはリピート伸長を調べません)。ふるえとふらつきがある方では、FMR1遺伝子の変化による脆弱X関連振戦/運動失調症候群(FXTAS)も考え、FMR1遺伝子リピート伸長検査を選ぶことがあります。どれがよいかは、症状とご家族の情報で一緒に決めます。
5. この検査でわかること・わからないこと
この検査でわかるのは、FGF14遺伝子のGAAリピートが伸びているかどうかと、そのおおよその長さです。遺伝子の配列を読むほかの検査とは違う方法で、リピートの長さを測ります。
🧬 この検査で調べる遺伝子と、わかる病気
※遺伝子の位置・OMIM番号はGeneReviews[1]による。同じFGF14の配列の変化で起こるSCA27A(OMIM 193003)は、この検査の対象外です。
わかること:GAAリピートの伸長とおおよその長さ
この検査は、リピートの伸長を見つける方法(repeat-primed PCR)と、リピートを含むDNAの長さを測る方法(アンプリコン長解析)を組み合わせて行います。GeneReviewsも、伸長がないように見える結果のときは、repeat-primed PCRで伸長がないことを確かめる必要があるとしています[1]。
わからないこと(検査の限界)
- ●正確な数が出ないことがあります:大きく伸びたリピートでは、正確な回数を決められず、「250回以上の伸長あり」のような形で報告されることがあります。
- ●リピートの中の配列の並び:病気の原因の判断には、中断されずに続くGAAの長さが重要です。途中にGCA・GGAなど別の配列がはさまったものには病気の原因にならないものがありますが、別の配列があるだけで非病的とは判断できません[1][7]。この検査では、リピートの中の並びをくわしく調べることはできません。くわしく調べるにはロングリードシーケンスなどの方法が必要です[7]。結果の解釈は、遺伝カウンセリングで慎重にご説明します。
- ●調べていない変化:FGF14の配列の変化(SCA27A)や、ほかの遺伝子の変化は調べません。
- ●モザイク・メチル化:体の一部の細胞にだけ変化がある状態(モザイク)を見つけることや、メチル化を調べることは目的にしていません。腫瘍の組織での検査は対象外です。
- ●判断の難しい長さ:200〜300回前後の結果は、発症するかどうかを判断しにくい範囲です(第3章の表)。
「伸長なし」でも脊髄小脳変性症がないとは言えない理由
この検査で伸長が見つからなくても、脊髄小脳変性症そのものを否定することはできません。ほかの型(SCA3・SCA6・SCA31・DRPLAなど)や、まだ見つかっていない原因による可能性があります。また、小脳失調には遺伝以外の原因もあります。症状やご家族の情報に合わせて、次の検査を考えます(第6章)。
6. 結果が出たあと(伸長あり・判断の難しい長さ・伸長なし)
結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。報告書の読み方は、遺伝子検査結果の見かたもご覧ください。
発症の範囲の伸長が見つかったとき
症状のある方では、SCA27Bという病名がはっきりし、何に気をつけて過ごせばよいか、どんな治療を試せるかを考えられるようになります(第7章)。ご両親・きょうだい・お子さんも同じ伸長をもっている可能性があるので、ご家族への伝え方も一緒に考えます。症状のない方では、ご自身の結果をこれからの計画にどう生かすかを、時間をかけてご相談いただけます。
判断の難しい長さ(200〜300回前後)とわかったとき
250〜300回は発症しない方もいる範囲で[1]、200〜249回は正常範囲とされながら、患者さんに多いという研究もある範囲です[5][7]。フランスの研究では、250〜299回の患者さん14人のうち8人に、ふらつきの別の原因が見つかっていました[6]。この範囲の結果を一律に意義がまだわからない変化(VUS)と同じには扱いません。250〜300回では、症状が合い、ほかの遺伝性の原因が除外され、可能であれば家系内で伸長と病気が一致して伝わっていることを確認して、診断できる場合があります。解釈のためにご家族の検査が役立つこともありますが、結果だけで発症の有無や時期は決められません。症状・ほかの検査の結果・ご家族の情報とあわせて、慎重に判断します。研究が進んで、のちに意味がはっきりすることもあります。
伸長が見つからなかったとき:次の検査の選択肢
症状のある方では、ほかの型のリピート伸長をまとめて調べる運動失調リピート伸長遺伝子パネル検査や、遺伝子の配列の変化を調べる遅発性運動失調症遺伝子パネル検査を考えます。ご家族の伸長がわかっていて、ご本人が受け継いでいなかった場合は、ご家族と同じ原因によるSCA27Bを受け継いでいないことがわかります。
7. 病的変異(リピート伸長)が見つかったら、次にできること
わかるだけで終わりではありません。SCA27Bとわかると、試せる治療・見張ること・ご家族の検査・妊娠の計画まで、次の一手を具体的に考えられます。当院は治療を行っていないため、治療は脳神経内科などの専門の医療機関で受けていただきます。
症状のある方:治療とリハビリ、制度の手続き
GeneReviewsは、4-アミノピリジンが、発作の重さや回数、下向き眼振を軽くする可能性があるとしています。ただし、まだ予備的な研究の段階です[1]。50人の研究では、4-アミノピリジンを使った7人のうち6人(86%)が日常生活で意味のある効果を感じたと答え、3人を対象にした薬あり・なしを入れ替える試みでは、3人とも薬で症状がよくなりました[4]。下向き眼振の研究では、医師の評価で、250回以上の伸長をもつ方の80%(41人中33人)に効果があったと報告されています[5]。いずれも小さな研究で、大きな比較試験の結果はまだ出ていません。日本でどのように使えるかを含めて、脳神経内科の専門医にご相談ください。
日本では、タルチレリン(商品名セレジスト)が「脊髄小脳変性症における運動失調の改善」の薬として承認されています(2026年10月時点、医薬品医療機器総合機構の添付文書で確認)。転ばないための住まいの工夫やリハビリ、発作を起こしやすい飲酒・カフェインなどへの注意[1]も、毎日の生活を保つために大切です。指定難病の手続きは第8章をご覧ください。
症状のない方:見張ること、仕事・運転・住まいの計画
伸長を受け継いでいるとわかっても、いつ発症するか、発症するかどうかは前もって決められません[1]。気になる症状(ふらつき・めまいの発作・ものが揺れて見えるなど)が出たら、早めに脳神経内科を受診できるように準備しておけます。仕事の内容、車の運転、住まい(段差・階段)、ご家族の介護の準備など、先を見て計画を立てられることも、知ることの意味の1つです。
ご家族(きょうだい・お子さん)の検査
あなたの1回の検査結果は、ご両親・きょうだい・お子さんが自分の状態を知る手がかりになります。ご家族の原因がわかっていれば、ほかのご家族は同じ場所を調べることで、受け継いでいるかどうかを確かめられます。症状のないご家族の検査は発症前の検査になるため、ご本人の同意のもとで、検査の前に遺伝カウンセリングで知ることの意味をよく考えていただきます。
子どもを持つときの選択肢
ご家族で伸長がわかっている場合、GeneReviewsは、出生前検査と着床前遺伝学的検査(PGT)は可能だが、将来の症状を正確に予測することはできない、としています[1]。知ったうえで選べることは、次のとおりです。どれを選んでも、選ばなくても、その選択を尊重します。
- ●自然に妊娠して、出生前診断を受ける:妊娠中に、絨毛検査・羊水検査で赤ちゃんに同じ伸長があるかを調べます。
- ●PGT-M(着床前遺伝学的検査)を考える:日本では日本産科婦人科学会の審査を経て、または海外で行われています(下のH3)。当院は体外受精・PGT-Mを行っていません。
- ●何もせずに妊娠・出産する:検査をしないで産むことも、そのまま選べる選択肢です。
- ●パートナーと一緒に考える:お子さんへの確率や、それぞれの方法でわかること・わからないことを、遺伝カウンセリングでおふたりにご説明します。
妊娠したときに赤ちゃんで同じ伸長があるかを調べられます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。大人になってから発症する病気の出生前診断をどのように進められるかは、病気の特徴や国内の指針をふまえて個別に考えるため、妊娠を考えている段階からご相談ください。
海外でPGT-M(着床前遺伝学的検査)を考えている方へ:英語の検査結果をお渡しできます
PGT-Mは、体外受精でできた受精卵(胚)の一部の細胞を調べ、ご家族でわかっている遺伝子の変化を受け継いでいない胚を選んで子宮に戻す検査です。当院は体外受精・PGT-Mを行っていません。当院でできるのは、原因の確定、英語の検査結果の用意、遺伝カウンセリング、ご家族の遺伝子検査、妊娠後の絨毛検査・羊水検査(院内)です。
ヨーロッパ生殖医学会(ESHRE)の指針では、PGT-Mの準備には、①病気の原因と確かめられた遺伝子の変化があること、②見つかった変化の内容が書かれた元の報告書、③ご家族の検体が必要とされています[11]。受精卵から取れるDNAはごくわずかで、変化を直接読むだけでは判定を誤るおそれがあるため、変化のある場所の両側にある目印(STR・SNPなどの多型マーカー)で「変化をもつ染色体」を家系の中でたどる方法(ハプロタイプ解析)を組み合わせます。顕性遺伝の病気では、目安として、患者さん少なくとも1人(できれば2人)、および/または発症していない方1人の血縁者のDNAが求められます[11]。ご本人の検査結果だけでは、PGT-Mの準備はふつう整いません。血縁者がいない場合の方法も指針にはありますが、できるかどうかは施設や家系の状況で大きく変わり、受けられないこともあります[11]。
海外でPGT-Mを考えている方は、ご本人の検査の段階から、検査に協力していただけるご家族(とくに同じ変化をもつ方)がいるかを考えておくことが大切です。当院では、ご家族の遺伝子検査も、遺伝カウンセリングのうえでお受けしています。臨床遺伝専門医としての判断では、判断の難しい長さ(250〜300回前後など)の結果は、病気の原因と確かめられていないため、そのままPGT-Mの対象にするのは難しいと考えます。また、海外の施設によって求められる書類や検体は違うので、受ける予定の施設にも前もって確認してください。
⚠️ PGT-Mは診断ではなく、スクリーニング検査です
受精卵のごく一部の細胞を調べる検査で、結果が赤ちゃんの状態と食い違うことがあります。ESHREの指針は、多くの施設で誤った結果になる割合は全体で1〜3%まで下げられているとしたうえで、PGTのあとに妊娠したすべての方に出生前診断を提案すべきとしています[12]。当院では、PGT-Mで選んだ胚で妊娠した場合も、妊娠中に赤ちゃんそのものを調べる確定検査(絨毛検査・羊水検査)で確かめることが望ましいと考えています。当院では絨毛検査・羊水検査を院内で行っており、海外でPGT-Mを受けたあとの妊娠でもご相談いただけます。
日本では、日本産科婦人科学会の「重篤な遺伝性疾患を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-M)に関する指針」(2026年9月改定)にもとづき、PGT-Mは症例ごとに学会の審査を受け、そのうえで実施施設の倫理委員会が承認して行われます。この指針の「重篤」は、原則として、成人に達する前に日常生活が著しく損なわれる、または生存が危ぶまれる状態になる疾患で、申請の時点で有効な治療法がないか、治療法があっても高度かつ侵襲度の高いもの、とされています。成人に達する前に生存が危ぶまれるわけではないが日常生活が著しく損なわれる状態が現れる疾患では、その病気の専門医の意見書などを追加で出す仕組みになっています(2026年10月時点で学会の公式ページを確認)。
PGT-Mの対象になる病気は、国によって違います。日本では症例ごとに学会が審査し、審査が続いている申請も多くあります(学会の発表では、2025年7月〜2026年6月の1年間に審査した73件のうち、37件が審査継続中。2026年9月発表)。英国では公的機関(HFEA)がPGT-Mを使える病気の一覧を公表しており、2,000を超える病気が載っています(2026年9月17日更新の一覧で2,067)。一覧にない病気は、施設を通じて申請し、HFEAが審査します。米国では、PGTを直接規制する連邦や州の法律はなく、主に医師・施設の判断で行われています[13]。米国生殖医学会(ASRM)の倫理委員会は2024年、大人になってから発症する病気に対するPGT-Mも倫理的に許容されうるとする意見を出しています[14]。どの病気がPGT-Mの対象になるかは、国や制度、施設によって違います。同じ病気でも、ある国では対象になり、別の国では個別の審査が必要になることがあります。SCA27Bは2023年に原因がわかった新しい型でもあるため、受ける国の制度と、施設の条件を前もって確かめてください。くわしくは遺伝性疾患をお持ちで海外でPGT-Mを考えている方へで解説しています。
当院でのその後
結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングでご説明し、次にどうするか(専門の医療機関への受診、ご家族への伝え方、ご家族の検査、妊娠の計画)を一緒に考えます。遺伝カウンセリング料は30分22,000円(税込)です。
8. 日本の制度:指定難病「脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く)」
脊髄小脳変性症は、指定難病18「脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く)」の対象です(2026年10月時点、難病情報センターで確認)。医療費の助成を受けるには、認定の条件を満たし、申請する必要があります。認定の基準や申請の方法は、難病情報センターやお住まいの自治体の窓口、主治医にご確認ください。遺伝子検査で病型がわかっていることは、診断の根拠をはっきりさせる手がかりになります。
9. 検査の概要(料金・日数・検体)と検査の流れ
検査費用は税込275,000円、結果までは約2週間で、血液・唾液・口の内側の粘膜などで検査できます。唾液・口の内側の粘膜・血液のいずれでもオンライン診療が可能です。
この検査は、遺伝診療先進国・米国の3大遺伝子検査会社の一角で行います。※
※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。
💴 検査の概要(費用・日数・検体)
※ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。
結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。
検査の流れ
ご予約
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
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検体の採取キットは料金のお支払い後
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結果のご説明約2週間後・マイページへ
オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただく流れです。唾液や口の内側の粘膜の検体は、ほとんどの場合ご自宅で採れます。血液の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。検体採取キットは、検査料金をお支払いいただいたあとにお送りします。検体の取り違えを防ぎ、検査に使える品質を保つため、キットが届く前にご自身で検体を採取しないでください。
発症前に受ける方の進め方
症状のない方は、検査の前の遺伝カウンセリングで、知ることの意味、結果ごとのその後、知らないでいる選択肢について、時間をかけて考えていただきます。日本医学会のガイドライン(2022年改定)は、成年期以降に発症する病気の未成年者への発症前の検査は、原則として本人が成人して自分で判断できるまで延期すべきとしています。お子さんの検査については、この考え方をふまえてご相談ください(未成年者の遺伝学的検査に関するガイドライン)。
10. 院長コラム
🩺 院長コラム【名前のつかないふらつきに、名前をつけるということ】
私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。
SCA27Bは、2023年まで原因がわからなかった病気です。それまで「原因不明」「遺伝ではない」とされてきた方の中に、実は遺伝の原因をもっていた方がいた、ということになります。ご家族にほかに発症した方がいない方も多く、父親から伝わるときにリピートが短くなることもあるため、家系図だけでは判断できません。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。
遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。
わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。結婚するか、子どもを持つかは、その人の生き方そのものに関わる大きな選択で、知ってから決めるのと、知らずに決めるのとでは意味が違います。知ったうえで結婚や妊娠を考えたい方には、出生前診断まで当院で続けて支えられる体制を整えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。
よくある質問(FAQ)
Q1. 脊髄小脳変性症27B型(SCA27B)は遺伝しますか?子どもに遺伝する確率は?
遺伝します。SCA27Bは常染色体顕性(優性)遺伝で、親がFGF14遺伝子のGAAリピート伸長をもっている場合、お子さん1人あたり2分の1の確率で受け継ぎます。ただし、リピートの数は親から子へ伝わるときに変わることがあり、受け継いでも発症するか、何歳で発症するかは前もって決められません。
Q2. 脊髄小脳変性症27B型は孫に遺伝しますか?
お子さんが伸長を受け継いでいなければ、そのお子さんから孫に伝わることはありません。お子さんが受け継いでいれば、孫への確率はさらに1人あたり2分の1です。SCA27Bでは父親から伝わるときにリピートが短くなることがあるため、症状が「1世代とばして」現れたように見える家族もあると報告されています。
Q3. 親が発症していなくても、SCA27Bになることはありますか?
あります。SCA27Bでは、ご家族にほかに発症した方がわからない方が15〜50%いると報告されています。リピートの数が250〜300回の範囲では発症しない方もいることや、父親から伝わるときにリピートが短くなり、症状が1世代とばして現れたように見えることがあることが、その背景にあります。
Q4. SCA27Bは何歳から発症しますか?最初の症状は?
発症年齢の中央値は60歳で、21〜87歳と幅があります。最初の症状は、歩くときのふらつきが多いと報告されています。めまいやふらつきが数分から数日続く発作的な症状が先に出て、数年後にふらつきが続くようになる方もいます。
Q5. 脊髄小脳変性症の遺伝子検査で異常なしと言われました。SCA27Bの可能性はありますか?
可能性はあります。SCA27Bの原因は、遺伝子の配列を読む一般的なパネル検査やエクソーム検査では確実には見つけられないとされています。これまでの代表的な型(SCA1・2・3・6・7・8・12・17・31・DRPLAなど)の検査で原因が見つからなかった方は、この検査か、FGF14を含む運動失調リピート伸長パネルで調べることを考えます。
Q6. 遺伝子検査の費用はいくらですか?保険は使えますか?
この検査の費用は税込275,000円です。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。結果までは約2週間で、至急オプション(55,000円)を使うと約7日短くなります。
Q7. 4-アミノピリジンとは何ですか?SCA27Bに効きますか?
4-アミノピリジン(ファンプリジン)は、海外でSCA27Bの症状に試されている薬です。SCA27Bの方を対象にした小さな研究では、ふらつきの発作や下向き眼振が軽くなったという報告がありますが、まだ予備的な結果で、大きな比較試験の結果は出ていません。日本でどのように使えるかを含めて、脳神経内科の専門医にご相談ください。
Q8. 家族に脊髄小脳変性症27B型の人がいると、結婚に差し支えますか?
ご家族にSCA27Bの方がいても、あなたが原因を受け継いでいるかどうかは、検査を受けるまでわかりません。受け継いでいる場合も、受け継いでいない場合も、お子さんへの確率や妊娠の前に選べること(出生前診断・PGT-Mなど)を具体的に考えられます。結婚するかどうかを決めるのはご本人とパートナーで、当院は知ったうえで選べるようにお手伝いします。
Q9. 症状がなくても検査を受けられますか?子どもに受けさせることはできますか?
症状のない方も、遺伝カウンセリングで十分に考えたうえで、ご本人が知りたいと決めた場合は検査を受けられます(発症前診断)。知らないでいることも選べます。日本医学会のガイドライン(2022年改定)は、成年期以降に発症する病気の未成年者への発症前の検査は、原則として本人が成人して自分で判断できるまで延期すべきとしています。
Q10. 海外でPGT-Mを受けたいのですが、英語の検査結果はもらえますか?
お渡しできます。海外でPGT-Mを受けるなど英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。なお、当院は体外受精・PGT-Mを行っていません。ご本人の検査結果だけでは、PGT-Mの準備はふつう整いません。
🧬 人生に一度の遺伝子検査で、ふらつきの原因とこれからを考える
生まれ持った遺伝子は一生変わりません。SCA27Bの原因がわかれば、ご自身の治療や生活の計画だけでなく、ご家族の検査や、結婚・妊娠の計画を考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。
お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768
参考文献
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- [3] Rafehi H, Read J, Szmulewicz DJ, et al. An intronic GAA repeat expansion in FGF14 causes the autosomal-dominant adult-onset ataxia SCA50/ATX-FGF14. Am J Hum Genet. 2023;110(1):105-119. [DOI: 10.1016/j.ajhg.2022.11.015](PMID: 36493768)
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