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脊髄小脳変性症12型(SCA12)の遺伝子検査|手のふるえから始まる遺伝性の運動失調・子どもへの遺伝と発症前診断

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

脊髄小脳変性症12型(SCA12)の遺伝子検査

脊髄小脳変性症12型(脊髄小脳失調症12型・SCA12)は、手のふるえから始まることが多い、遺伝性の脊髄小脳変性症です。原因はPPP2R2B遺伝子にあるCAGという3文字のくり返し(リピート)が長くなることで、親から子へ2分の1の確率で伝わります。生まれ持った遺伝子は一生変わりません。ご家族の型がSCA12とわかっていれば、ご自身が同じ変化を受け継いでいるかを一度の検査で確かめ、仕事・結婚や出産・住まいなど、これからの計画に役立てることができます。このページでは、症状・本態性振戦との違い・遺伝する確率と、PPP2R2Bのリピートを調べる遺伝子検査でわかること・わかったあとにできることを、臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. この検査で何がわかりますか?

脊髄小脳変性症12型(SCA12)の原因であるPPP2R2B遺伝子のCAGリピートが、何回のくり返しかを調べます。ご家族と同じ伸長を受け継いでいるか、症状がSCA12によるものかを確かめられます。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

ご家族がSCA12と診断されていて、ご自身が受け継いでいるか知りたい方、手のふるえやふらつきがあり型を確かめたい方、結婚・妊娠を前に知っておきたい方です。型がわからないときは、複数の型をまとめて調べる検査が向きます。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検査料は税込275,000円、結果までは約2週間です。唾液・口の内側の粘膜・血液で検査でき、オンライン診療でも受けられます。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。伸長が見つかった場合も、見張る症状・リハビリ・仕事や生活の計画・ご家族の検査・妊娠するときの出生前診断まで、次にできることを一緒に考えます。

\ 一生変わらない遺伝子を知って、これからの計画に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

お問い合わせはこちら | 型がわからない方はリピート伸長パネルへ

1. 脊髄小脳変性症12型(SCA12)とは:手のふるえから始まる遺伝性の運動失調

脊髄小脳変性症12型は、小脳を中心とした神経が少しずつ弱っていき、手のふるえ(振戦)や歩くときのふらつき(運動失調)が出てくる、遺伝性の病気です。医学の名前は脊髄小脳失調症12型(spinocerebellar ataxia type 12)で、頭文字をとってSCA12と呼ばれます。1999年に、ドイツ系米国人の大きな家系の研究から原因が見つかりました[1]。

脊髄小脳変性症は、運動失調を主な症状とする病気の総称で、遺伝しない「孤発性」と、親から子へ伝わる「遺伝性」に分けられます。難病情報センターが紹介している2003年の調査では、67.2%が孤発性、27%が常染色体顕性(優性)遺伝性、1.8%が常染色体潜性(劣性)遺伝性でした(2026年10月時点で確認)。遺伝性脊髄小脳変性症には、原因の遺伝子ごとに数十の型があり、SCA12はそのひとつです。

どれくらいまれか、どの地域に多いか

SCA12は、報告の大部分がインド、またはインドにルーツをもつ方です。2026年に公表された総説では、これまでに報告された576人のうち90.5%がインド系で、ほかに中国、ウイグル、ドイツ、アメリカ、イタリアなどからの報告があるとまとめられています[6]。北インドの専門病院では、常染色体顕性遺伝の運動失調症のうち約16%(124人中20人)がSCA12で、患者さんの家系は同じ地域にルーツをもつ集団で、共通の祖先(創始者)から伝わった変化と考えられています。一方で、アメリカの家系とは由来が違い、SCA12の伸長は少なくとも2回、別々に起きたとされています[3]。

日本では、難病情報センターが「我が国で頻度が高い遺伝性脊髄小脳変性症」としてあげているのはSCA3(マシャド・ジョセフ病)・SCA6・SCA31・DRPLAで、SCA12は含まれていません(2026年10月時点)。日本の1つの病院で運動失調症の患者さんの遺伝子を調べた研究でも、SCA12は調べる項目に入っていましたが、SCA12の変化は見つかりませんでした[7]。日本ではとてもまれな型です。そのため、このページの検査がいちばん役に立つのは、ご家族ですでにSCA12とわかっている方です。

原因:PPP2R2B遺伝子のCAGリピート

SCA12の原因は、5番染色体(5q32)にあるPPP2R2B遺伝子の、たんぱく質の設計図にならない部分(5′非翻訳領域)にあるCAGという3文字のくり返しが長くなることです[1][4]。PPP2R2Bは、細胞の中でリン酸をはずす酵素(ホスファターゼ)であるPP2Aの調節役の部品を作る遺伝子です[6]。

くり返しが長くなると、遺伝子の働きのスイッチが強く入ってPPP2R2Bが作られすぎることや、伸びたくり返しから作られるRNAが細胞を傷めることなど、いくつかのしくみが考えられていますが、まだはっきりとはわかっていません[6]。同じ「CAGリピートの伸長」でも、ハンチントン病やSCA3のようにたんぱく質の中のグルタミンの並びが長くなる型とは、起きている場所が違います。くり返し配列が長くなって起こる病気のしくみは、リピート伸長病(トリプレットリピート病)で解説しています。

💡 用語解説:リピート伸長

遺伝子の中には、CAGのような短い文字の並びが何回もつながった「くり返し配列」があります。この回数がある長さを超えると病気になることがあり、これを「リピート伸長」といいます。遺伝子の文字が1つ変わる変化とは違い「長さ」の変化なので、測るには専用の方法が必要で、一般的な遺伝子パネル検査では見つけにくいことがあります。

2. 症状と経過:初期症状は手のふるえ、本態性振戦との違い

SCA12の初期症状でいちばん多いのは、腕や手のふるえです。インドの49人の患者さんを調べた研究では、最初の症状は手のふるえが73.5%、ふらつきが18.4%でした[4]。

最初の症状:手のふるえ(動作時振戦)

最初の家系の報告では、多くの方が30代ごろ、腕のふるえで気づき、その後、数十年かけて頭のふるえ、歩くときのふらつき、手足の動きの協調の乱れ、腱反射が強くなる、動きが少なくなる、目の動きの異常などが加わり、高齢の方では認知症もみられました[1]。ふるえは、じっとしているときよりも、手を伸ばしたり物を持ったりするときに目立つ「振戦」として出ることが多いとされています[6]。

進むとあらわれる症状:ふらつき・物忘れ・気分・排尿

先ほどの49人の研究では、受診した時点で73.5%にふらつき(運動失調)が、22.4%に認知機能の低下がありました。MRIでは、小脳だけがやせている方が34.7%、大脳だけが16.3%、両方が34.7%で、小脳だけでなく大脳にも変化が出やすいのが特徴です[4]。インドの34人を調べた別の研究では、61.8%に軽い〜中くらいの認知機能の低下、約53%に中等度以上の抑うつがみられ、尿意が急に強くなるなどの排尿の症状も多いと報告されています[8]。体の動きだけでなく、気分や物忘れ、排尿の変化にも目を向けておくことが大切です。

発症年齢と進み方、寿命(余命)

発症の年齢には幅があり、最初の家系では8〜55歳でした[1]。インドの49人の研究では、発症の平均は46.4歳(標準偏差11.7歳)で、リピートの回数と発症年齢のあいだに、はっきりした関係は見られませんでした[4]。2026年の総説でも、発症は30〜60歳が多く、平均は43〜52歳の報告が多いとされています[6]。症状は数十年かけてゆっくり進むと報告されています[1]。SCA12の寿命(余命)について、まとまった数字を示した研究は確かめられませんでした。一人ひとりの見通しは、症状の出方によって変わります。

本態性振戦との違い:手や頭のふるえだけで判断しない

SCA12の方の多くは、遺伝子でSCA12とわかる前に、本態性振戦と診断されていたと報告されています。本態性振戦は、手や頭がふるえるいちばん多い病気のひとつで、多くは命や歩く力にかかわりません。2026年の総説は、動かそうとしたときに強くなるふるえ(企図振戦)や、ふらつきなどの小脳の症状を伴うこと、あおむけに寝てもふるえが続くことが、本態性振戦と見分ける手がかりになりうるとしつつ、両者の重なりは大きく、根拠はまだ限られているとしています[6]。

中国から報告されたSCA12の女性の例では、はじめは本態性振戦と診断されていましたが、頭のふるえが手のふるえと同時に始まったこと、あおむけでも頭のふるえが続いたことなど、本態性振戦とは合わない特徴がありました。お父さん・おばあさん・おばさんにも同じような手と頭のふるえがあり、遺伝子検査でSCA12とわかりました[5]。

手や頭のふるえのほとんどは、SCA12ではありません。ただ、「ご家族にも同じようなふるえの人がいる」「ふるえに、ふらつきやろれつの回りにくさが加わってきた」「本態性振戦の薬を使っても経過が合わない」といったときは、遺伝性の病気が隠れていないかを考える意味があります。症状の診断そのものは神経内科で行い、遺伝子検査については当院でご相談いただけます。

3. 遺伝のしかた:脊髄小脳変性症12型が子どもに遺伝する確率

SCA12は常染色体顕性(優性)遺伝で、親がPPP2R2Bのリピート伸長をもっている場合、お子さん1人あたり2分の1の確率で受け継ぎます。父親からでも母親からでも、確率は同じです。

常染色体顕性(優性)遺伝とは

常染色体顕性(優性)遺伝では、対になった2本の遺伝子のうち1本に原因があれば発症しうるため、親から子へ伝わる確率は、お子さん1人ごとに2分の1です。性別は関係なく、上のお子さんが受け継いだかどうかで、下のお子さんの確率が変わることもありません。

👪 ご家族の立場ごとの確率の考え方(ご家族の誰かがSCA12とわかっている場合)

あなたの立場 受け継いでいる確率の考え方
親がSCA12 2分の1。検査で受け継いでいるかを確かめられます
きょうだいがSCA12(親はわからない) 親のどちらかが伸長をもっていれば2分の1。親の検査結果で変わります
祖父母がSCA12(親は検査していない) 2分の1×2分の1で4分の1。親が受け継いでいないとわかれば、その親からは伝わりません
ご自身が伸長をもっている お子さん1人あたり2分の1

※確率は常染色体顕性遺伝の一般的な考え方です。発症するかどうか、いつ・どの程度の症状になるかは、確率とは別に人によって違います。

表現促進現象はあるか:「親が軽いから子も軽い」とは言えない

リピート伸長の病気の中には、世代を重ねるごとにくり返しが長くなり、発症が早く重くなる「表現促進現象」が起こるものがあります。SCA12で表現促進現象が起こるかどうかは、まだ十分にわかっていません。2026年の総説も、SCA12の表現促進現象は「十分に調べられていない」としています[6]。

同じ家系の中でも、症状の出る年齢や中身には幅があり、インドの研究でもリピートの回数から発症年齢を予測することはできませんでした[4]。「親が軽い症状だったから、子どもも軽い」とは言えません。症状の有無や重さだけで判断せず、知ったうえで計画することに意味があります。

家族歴がはっきりしない場合

インドの49人の研究では、93.8%にご家族の病歴がありました[4]。一方で、ご家族が手のふるえを「年のせい」「本態性振戦」と考えて診断を受けていないこともあります。先ほどの中国の例でも、ふるえのあったご家族はだれも正式な診断を受けていませんでした[5]。「家族にSCA12の人はいない」と思っていても、ふるえやふらつきのあった方がいれば、遺伝カウンセリングでお聞かせください。

4. どんな人がこの検査を受けるとよいか

この検査がいちばん向いているのは、ご家族ですでにSCA12とわかっていて、ご自身が同じ変化を受け継いでいるかを知りたい方です。症状がある方、結婚・妊娠を考えている方にも向いています。

ご家族がSCA12で、ご自身が受け継いでいるか知りたい方(発症前診断)

症状のない方が、将来発症する可能性を調べる検査を「発症前診断(予測的検査)」といいます。当院は、ライフステージごとに患者さんの人生をサポートするという考え方で診療しており、知りたいと願う方を拒むことはしません。遺伝カウンセリングで十分に考えたうえで、ご本人が知りたいと決めた場合は、その意思を尊重して検査まで行います。知らないでいる選択も、同じように尊重します。

先が見えないまま過ごすより、わかったうえで、仕事・結婚や出産・住まい・ご家族の介護の準備など、これからの人生を計画したいと考える方もいます。英国でハンチントン病の発症前検査を受けた人の理由として最も多かったのは「不確実さを減らすため」(70.5%)でした[9]。病気は違いますが、「知って計画を立てたい」という思いは、SCA12のご家族にも通じるものだと考えています。

日本医学会のガイドライン(2022年3月改定)は、発症前の予防法や発症後の治療法が確立されていない病気の発症前診断では、検査の前後の心理への配慮と支援が必須だとしています。また、成年期以降に発症する病気の未成年者への発症前診断は、原則として本人が成人し自分で判断できるまで延期すべきとしています。お子さんの検査については、この考え方を踏まえてご相談ください。

「自分もなるかもしれない」という不安を抱えている方へ

親やきょうだいが発症した方の中には、コップを持つ手が少しふるえただけで、つまずいただけで、「始まったのでは」と不安になりながら暮らしている方もいます。そうした気持ちは、決して特別なものではありません。

ご家族の原因となっている伸長を、ご自身は受け継いでいないとわかれば、SCA12については、ご家族と同じ確率を心配しなくてよくなります(手のふるえやふらつきには、SCA12以外の原因もあります)。受け継いでいるとわかった場合も、見張る症状・リハビリ・生活の計画など、次にできることがあります(第8章)。知らないでいることも、ひとつの選択です。どちらにするかは、検査の前後に、臨床遺伝専門医と時間をかけて考えることができます。

手のふるえ・ふらつきがあり、SCA12かどうか確かめたい方

ご家族にSCA12の方がいて、ご自身に手のふるえやふらつきが出てきた方は、この検査で原因を確かめられます。ご家族の型がわからない場合は、まず複数の型をまとめて調べる検査が向いています(下の表)。

結婚・妊娠を考えている方

結婚するか、子どもを持つかは、その人の生き方そのものに関わる大きな選択です。知ってから決めるのと、知らずに決めるのとでは意味が違う、と考えています。ご家族の原因がわかっていれば、ご自身が伸長をもっているかを妊娠の前に知ることができ、妊娠したときの出生前診断を計画することもできます(第8章)。パートナーと一緒に遺伝カウンセリングを受けることもできます。

この検査より別の検査が向いている場合(型がわからないとき)

ご家族の型がSCA12とわかっているなら、このページの検査です。型がわからない場合や、症状がSCA12らしくない場合は、次の検査のほうが向いています。日本で多い型はSCA3・SCA6・SCA31・DRPLAで、SCA12はとてもまれなため、型がわからないままこの検査だけを受けることはおすすめしません。

🔍 症状・ご家族の情報に合わせた検査の選び方

こんなとき 向いている検査
ご家族の型がSCA12とわかっている このページの検査(PPP2R2BのCAGリピート)
遺伝性の脊髄小脳変性症が疑われるが、型がわからない 運動失調リピート伸長パネル検査(複数の型のリピート伸長をまとめて調べる)
リピート伸長ではない遺伝子の変化も考えたい 運動失調症遺伝子パネル検査、大人になって発症した方は遅発性運動失調症遺伝子パネル検査
ご家族の型がDRPLAとわかっている DRPLA(ATN1遺伝子)の検査
ご家族の型がほかのSCAとわかっている 型ごとの検査(SCA1・SCA2・SCA3・SCA6・SCA7・SCA8・SCA10・SCA17・SCA27B・SCA31・SCA36)
50歳以降に、ふるえとふらつきが出てきた(とくに男性で、ご家族に脆弱X症候群の方がいる) FMR1遺伝子リピート伸長検査(FXTASを調べる)
ふるえに加えて、動作の遅さ・こわばりが目立つ パーキンソン病包括的遺伝子検査
首や体がねじれるような動き(ジストニア)を伴う ジストニア・ジスキネジア遺伝子検査

※どの検査が合うかは、症状・診察所見・ご家族の情報で変わります。遺伝カウンセリングで一緒に決めましょう。ハンチントン病などほかのリピート伸長の検査は単一遺伝子のリピート伸長検査にまとめています。

\ 知ってから選ぶ、という選択肢があります /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

ご家族の型がわかっていなくても、遺伝カウンセリングでどの検査が合うかからご相談いただけます。海外でPGT-Mを考えている方には、英語の検査結果をお渡しできます(検査の時にお申し出ください)。

遺伝カウンセリングを予約する(ご希望があれば検査まで受けられます) | どの検査がよいか迷う方へ

5. この検査で調べること:PPP2R2BのCAGリピートの数

この検査では、PPP2R2B遺伝子のCAGリピートが何回のくり返しかを測り、SCA12の原因となる伸長があるかを調べます。調べるのはリピートの長さだけで、PPP2R2B遺伝子のほかの部分の変化は調べません。

調べ方

くり返し配列の中に結合する目印を使ったPCR法(リピートプライムドPCR法)でリピートを増やし、できたDNAの長さを測ることで、くり返しの回数を求めます。この方法は、伸長があるかどうかを見つけるのに向いていますが、伸長がとても長い場合は、正確な回数までは出ないことがあります。

リピートの数の読み方

📏 PPP2R2BのCAGリピートの数の目安

くり返しの数 意味
おおむね30回未満 正常の範囲の目安。インドの研究では、正常の方で7〜31回が報告されています
43〜50回前後(まれに40〜42回) 判断が難しい範囲。症状のある方での報告がある一方、どこからが病気の範囲かについて、統一された線引きはまだない
51〜78回 SCA12の家系で発症した方に多い範囲(典型的な伸長)

※正常の範囲は文献[2]、そのほかは2026年の総説[6]による。インドの49人の研究では、伸長していた側の回数は40〜72回(平均53.3回)で、40回・42回台の患者さんも含まれていました[4]。報告によって区切り方が違い、上の表にない31〜42回前後の意味ははっきりしていません。

このように、SCA12はリピートの数だけで白黒をつけにくい場合がある病気です。2026年の総説も、短めの伸長が、症状の出方や発症するかどうか(浸透率)の違いに関わっている可能性を指摘しています[6]。結果は回数だけでなく、ご家族の回数や症状とあわせて、臨床遺伝専門医がその意味をご説明します。

6. この検査でわかること・わからないこと

この検査でわかるのは、PPP2R2Bの CAGリピートが伸長しているかどうかと、そのおおよその回数です。一方で、遺伝子検査には必ず限界があります。

  • ●調べるのはSCA12だけ:ほかの型の脊髄小脳変性症や、ふるえ・ふらつきを起こすほかの病気は、この検査ではわかりません。
  • ●リピート以外の変化は調べない:PPP2R2B遺伝子の文字の変化(配列の変化)や、欠失・重複は、この検査には含まれていません。メチル化の解析も含まれていません。
  • ●とても長い伸長:伸長がとても長い場合は、正確な回数まで出ないことがあります。
  • ●判断が難しい範囲:40〜50回前後の結果は、それだけでSCA12と決めたり、否定したりできないことがあります(第5章)。
  • ●いつ・どの程度の症状になるか:伸長があっても、発症する年齢や症状の重さまでは、この検査では予測できません。
  • ●モザイク:体の一部の細胞にだけ変化がある状態は、この検査では正確に見つけられないことがあります。
  • ●陰性でも否定はできません:手のふるえやふらつきがあってSCA12の伸長が見つからなかった場合は、ほかの型や、ほかの病気を考えます。

7. 結果が出たあと

結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。結果の報告書の読み方は遺伝子検査結果の見かたでも解説しています。

伸長が見つからなかったとき

ご家族のSCA12の原因となっている伸長を、ご自身は受け継いでいないとわかれば、SCA12については、ご家族と同じ確率を心配しなくてよくなり、お子さんにSCA12の伸長を伝えることもありません。一方、症状があって伸長が見つからなかった場合は、ほかの型の脊髄小脳変性症やほかの病気を考え、症状に合った検査を検討します(第4章の表)。

判断が難しい範囲だったとき

40〜50回前後の結果だったときは、症状の有無、ご家族の回数や症状をあわせて、結果の意味を一緒に考えます。ご家族の検査結果があると、判断の手がかりが増えます。

伸長が見つかったとき

SCA12の原因となる伸長が見つかった場合は、症状がある方では診断が確定し、症状のない方では、将来発症する可能性があることがわかります。そのあとにできることは、次の章で、立場ごとにくわしくご説明します。調べた目的と別の病気の原因が見つかったときの扱いは、当院の二次的所見の開示方針をご覧ください(この検査はPPP2R2Bのリピートだけを調べるため、別の遺伝子の所見は出ません)。

8. 病的変異(リピート伸長)が見つかったら、次にできること

伸長がわかることは、終わりではなく、準備を始めるきっかけです。立場ごとに、次にできることを具体的にまとめます。当院は治療を行っていないため、治療やリハビリは専門の医療機関で受けていただきます。

症状がある方:診断が決まり、使える制度と治療が見えてくる

  • ●病名が確定し、ふるえ・ふらつきの原因がはっきりします。本態性振戦など、ほかの病気としての治療を続けてよいかを、主治医と見直すきっかけになります。
  • ●SCA12を治す治療は、まだありません。ふるえには、本態性振戦で使われる薬(プロプラノロール・プリミドンなど)が使われることが多いとされていますが、SCA12での効果を確かめた研究は限られています[6]。インドの研究でも、薬で症状が楽になったという声はあったものの、客観的な評価はされていませんでした[4]。
  • ●日本では、脊髄小脳変性症のふらつき全般に、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)やその仲間の薬(TRH誘導体)が使われています。小脳の症状が中心の型では、集中的なリハビリテーションの効果が示唆されています(難病情報センター、2026年10月時点)。
  • ●物忘れ・気分の落ち込み・排尿の症状が出ることがあるので[8]、体の動き以外の変化も、主治医に伝えておきましょう。
  • ●転びにくい住まいの工夫、杖や手すり、仕事の内容や車の運転について、早めに考えておくことができます。
  • ●指定難病の医療費助成の申請の手がかりになります(第9章)。

症状のない方:見張る症状と、生活の計画

  • ●手のふるえ・ふらつき・ろれつの回りにくさ・物忘れなど、気をつけておく症状がわかります。気になる変化があれば神経内科を受診し、SCA12とわかっていることを伝えてください。
  • ●2026年の総説の時点で、SCA12に絞った治験の登録はありませんでした[6]。研究や治験の状況は変わるため、新しい情報は神経内科の主治医にご確認ください。
  • ●仕事・住まい・お金・介護の準備など、これからの人生の計画を、時間をかけて考えることができます。
  • ●お子さんに伝わる確率は、お子さん1人あたり2分の1です。

子どもを持つときの選択肢

結婚や妊娠を考えるときに、知ったうえで選べることがあります。どれを選ぶかに正解はなく、どの選択も尊重します。

  • ●自然に妊娠して、出生前診断を受ける:ご家族の原因となっている伸長がわかっていれば、妊娠したときに赤ちゃんで同じ伸長があるかを調べられる場合があります。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。大人になってから発症する病気の出生前診断は、国内の指針も踏まえて個別に考える必要があるため、妊娠を考えている段階からご相談ください。くわしくは羊水検査・絨毛検査のページをご覧ください。
  • ●PGT-M(着床前遺伝学的検査):日本では日本産科婦人科学会の審査を経て行われ、海外で受ける方もいます。当院は体外受精・PGT-Mを行っていません(下の項)。
  • ●何もせずに妊娠・出産する:これも、そのまま選べる選択肢です。
  • ●NIPTについて:PPP2R2Bは、当院のNIPT(ダイヤモンドプラン・インペリアルプラン)の対象遺伝子には入っていません。リピート伸長は、NIPTでは調べられません。

海外でPGT-M(着床前遺伝学的検査)を考えている方へ:英語の検査結果をお渡しできます

海外でPGT-Mを受けたい、というお問い合わせが当院には多く寄せられます。PGT-Mとは、体外受精でできた受精卵(胚)の一部の細胞を調べ、ご家族でわかっている遺伝子の変化を受け継いでいない胚を選んで子宮に戻す検査です。当院は体外受精・PGT-Mを行っていません。当院でできるのは、原因の確定、英語の検査結果の用意、遺伝カウンセリング、ご家族の遺伝子検査、妊娠後の絨毛検査・羊水検査です。

欧州ヒト生殖医学会(ESHRE)の指針[10]では、PGT-Mの準備に、①病気の原因と確かめられた遺伝子の変化があること、②どの遺伝子のどの変化かが書かれた元の報告書(認定を受けた検査室のもの)、③ご家族の検体、が求められています。受精卵から取れるDNAはごくわずかで、変化を直接読むだけでは2本あるうちの片方が読み取れない(アレルドロップアウト)などで判定を誤るおそれがあるため、変化のある場所の両側の目印(多型マーカー)で、変化をもつ染色体を家系の中でたどる方法(ハプロタイプ解析)を組み合わせます。そのため、SCA12のような顕性遺伝の病気では、ご夫婦に加えて、病気のある方少なくとも1人(できれば2人)、および/または発症していない方1人の検体が目安とされています[10]。

ご本人の検査結果だけでは、PGT-Mの準備はふつう整いません。血縁の方の協力が得られない場合、指針は、ご夫婦で目印を調べたうえで治療中の受精卵や1個の精子を調べる方法もあげていますが、できるかどうかは施設や家系の状況で大きく変わり、受けられないこともあります[10]。海外でPGT-Mを考えている方は、ご本人の検査の段階から、検査に協力していただけるご家族(とくに同じ伸長をもつ方)がいるかを考えておくことが大切です。当院では、ご家族の遺伝子検査も、遺伝カウンセリングのうえでお受けしています。

臨床遺伝専門医としての判断をお伝えすると、SCA12では、判断が難しい範囲(40〜50回前後)の結果だった場合、それをPGT-Mの対象としてどう扱うかは難しい問題になります。意義がまだわからない変化(VUS)と同じく、そのままPGT-Mの対象にするのは難しいことがあります。また、海外の施設によって求められる書類や検体は違うので、受ける予定の施設にも前もって確認してください。準備に必要なことは、海外でPGT-Mを考えている方へでくわしく解説しています。

⚠️ PGT-Mは診断ではなく、スクリーニング検査です

PGT-Mは受精卵のごく一部の細胞を調べる検査で、結果が赤ちゃんの状態と食い違うことがあります。ESHREの指針は、多くの施設で誤った結果になる割合は全体で1〜3%まで下げられているとしたうえで、PGTのあとに妊娠したすべての方に出生前診断を提案すべきとしています[11]。PGT-Mで選んだ胚で妊娠した場合も、妊娠中に赤ちゃんそのものを調べる確定検査(絨毛検査・羊水検査)で確かめることが望ましいと考えています。当院では絨毛検査・羊水検査を院内で行っており、海外でPGT-Mを受けたあとの妊娠でもご相談いただけます。

日本では、日本産科婦人科学会の「重篤な遺伝性疾患を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-M)に関する指針」(2026年9月改定)にもとづき、PGT-Mは症例ごとに学会の審査を受け、実施施設の倫理委員会の承認を経て行われます。指針の「重篤」は、原則として、成人に達する前に日常生活が著しく損なわれる、または生存が危ぶまれる状態になる疾患で、申請の時点で有効な治療法がないか、あっても高度かつ侵襲度の高いもの、とされています。成人に達する前に生存が危ぶまれるわけではないが日常生活が著しく損なわれる状態が現れる疾患では、専門医の意見書などを追加で出す仕組みもあります。審査は症例ごとに行われ、学会の発表では、2025年7月〜2026年6月の1年間に審査した73件のうち37件が審査継続中でした(2026年9月発表)。

PGT-Mの対象になる病気は、国によって違います。英国では公的機関(HFEA)がPGT-Mを使える病気の一覧を公表しており、2,000を超える病気が載っています(2026年9月時点)。脊髄小脳失調症も、SCA3を含むいくつもの型が載っています。一覧にない病気は、施設を通じて申請し、HFEAが審査します。米国では、PGTを直接規制する連邦や州の法律はなく、主に医師・施設の判断で行われています[12]。米国生殖医学会(ASRM)の倫理委員会は2024年、大人になってから発症する病気に対するPGT-Mも倫理的に許容されうるとする意見を出しています[13]。どの病気がPGT-Mの対象になるかは、国や制度、施設によって違います。同じ病気でも、ある国では対象になり、別の国では個別の審査が必要になることがあります。受ける国の制度と、施設の条件を前もって確かめてください。

ご家族:同じ伸長をピンポイントで調べられる

ご家族の中で伸長がわかっていると、ご両親・きょうだい・お子さん・いとこなどは、同じ場所を調べることで、受け継いでいるかを確かめられます。症状のない方の検査は発症前診断になるため、ご本人の同意のもとで、検査の前に遺伝カウンセリングで知ることの意味をよく考えていただきます。ご家族の回数がわかると、判断が難しい範囲の結果を読む手がかりにもなります。

当院でのその後

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングでご説明し、そのあとどうするかを一緒に考えます。結果を知ったあとの気持ちの変化は、伸長が見つかっても、見つからなくても起こりえます。結果をお伝えしたあとも、遺伝カウンセリング(30分22,000円・税込)で相談を続けていただけます。

9. 日本の制度:脊髄小脳変性症は指定難病(2026年10月時点)

SCA12を含む脊髄小脳変性症は、指定難病18「脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く。)」の対象です。医療費の助成を受けるには、重症度などの認定の基準を満たし、申請する必要があります。くわしい基準や申請の方法は、難病情報センターや、お住まいの自治体の窓口でご確認ください(2026年10月時点で難病情報センターの情報を確認)。

10. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体

検査料は税込275,000円、結果までは約2週間です。唾液・口の内側の粘膜・血液のいずれでも検査でき、オンライン診療でも受けられます。

ご予約
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
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検体の採取唾液・口の粘膜・血液
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結果のご説明約2週間後・マイページへ

この検査は、遺伝診療先進国・米国の3大遺伝子検査会社の一角で行います。※

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

💴 費用・日数・検体

項目 内容
検査内容 PPP2R2B遺伝子のCAGリピート伸長(リピートプライムドPCR法と、DNAの長さの解析)
検査料 税込275,000円
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査料とは別
結果までの期間 約2週間
検体 唾液、口の内側の粘膜、血液、抽出したDNA
オンライン診療 唾液・口の内側の粘膜・血液のいずれも可能(血液は全国の提携医療機関で採血)
結果の報告書 基本は日本語版。英語版はお申し出により(英語版と日本語版の双方は追加料金5,500円)

※ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査料の割引はありません)。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。

オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただきます。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。検体採取キットは、検査料金をお支払いいただいたあとにお送りします。検体の取り違えや品質の問題を防ぐため、ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。

遺伝カウンセリングでは、検査で何がわかり、何がわからないか、結果がご本人とご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。

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臨床遺伝専門医が常駐し、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明してからマイページにアップします。

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11. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「年のせいのふるえ」で片づけない、知ってから選ぶ】

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。

遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。SCA12は、手のふるえという、ありふれた症状から始まることが多い病気です。ご家族のふるえを「年のせい」「体質」と思っていたら、実は遺伝性の病気だった、ということが起こりうるのは、そのためです。症状の見た目だけで、ご自身やお子さんの将来を決めてしまわないでほしいと考えています。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。

結婚するか、子どもを持つかは、その人の生き方そのものに関わる大きな選択です。知ってから決めるのと、知らずに決めるのとでは、同じ選択でも意味が違うと考えています。わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。知ったうえで結婚や妊娠を考えたい方には、出生前診断まで当院で続けて支えられる体制を整えています。知らないでいる選択も含めて、どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 脊髄小脳変性症12型(SCA12)は子どもに遺伝しますか?

SCA12は常染色体顕性(優性)遺伝の病気で、親がPPP2R2B遺伝子のCAGリピートの伸長をもっている場合、お子さん1人あたり2分の1の確率で受け継ぎます。父親からでも母親からでも同じで、男女の差はありません。受け継いだかどうかは、遺伝子検査で調べられます。

Q2. 祖父母がSCA12の場合、孫に遺伝する確率は?

祖父母のどちらかがSCA12で、親(祖父母のお子さん)が検査を受けていない場合、孫の確率は2分の1×2分の1で4分の1と考えます。親が検査を受けて伸長を受け継いでいないとわかれば、その親から孫に伝わることはありません。親が受け継いでいれば、孫1人あたりの確率は2分の1です。

Q3. 手のふるえがあり、本態性振戦と言われています。SCA12の可能性はありますか?

SCA12は手のふるえから始まることが多く、遺伝子でわかる前に本態性振戦と診断されていた例が多いと報告されています。ただし、手のふるえのほとんどはSCA12ではありません。ご家族に同じようなふるえやふらつきのある方がいる、ふるえにふらつき・ろれつの回りにくさが加わってきた、といった場合は、遺伝カウンセリングでご相談ください。

Q4. 家族にSCA12の人がいると、結婚に差し支えますか?

SCA12があることやご家族にいることが、結婚できない理由になるわけではありません。お子さんに伝わる確率は、ご自身が伸長をもっているかどうかで変わり、それは検査でわかります。知ったうえで、妊娠したときの出生前診断などを計画することもできます。ご本人だけでなく、パートナーと一緒に遺伝カウンセリングを受けることもできます。

Q5. 症状がなくても検査を受けられますか?

受けられます。当院は、知りたいと願う方を拒むことはしません。症状のない方の検査は発症前診断になるため、検査の前に臨床遺伝専門医の遺伝カウンセリングで、知ることの意味を時間をかけて考えていただきます。知らないでいる選択も尊重します。なお、未成年の方の発症前診断は、原則として本人が成人して自分で判断できるまで延期すべきとされています。

Q6. 脊髄小脳変性症の遺伝子検査は保険適用ですか?どこで受けられますか?

当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。この検査は当院で受けられ、唾液・口の内側の粘膜・血液のいずれでも検査でき、いずれもオンライン診療で受けられます(血液の場合は全国の提携医療機関で採血します)。検査料は税込275,000円、遺伝カウンセリング料は30分22,000円(税込)で、結果までは約2週間です。

Q7. 結果で「中間の範囲」と言われることはありますか?

あります。SCA12では、発症した方に多い51〜78回より短い、43〜50回前後(まれに40〜42回)の伸長をもつ患者さんも報告されており、どこからが病気の範囲かについて、世界で統一された線引きはまだありません。この範囲の結果は、症状やご家族の情報とあわせて、臨床遺伝専門医がその意味をご説明します。

Q8. 海外でPGT-Mを受けたいのですが、英語の検査結果はもらえますか?

お渡しできます。英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。当院は体外受精・PGT-Mを行っていません。また、ご本人の検査結果だけでは、PGT-Mの準備はふつう整わず、ご家族の検体が必要になることが多いので、早めにご相談ください。

🧬 一度の検査で、ご自身とご家族のこれからを考える

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。ご家族の型がSCA12とわかっていれば、ご自身が受け継いでいるかを一度の検査で確かめ、見張る症状・仕事や住まいの計画・ご家族の検査・結婚や妊娠の計画に役立てることができます。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

参考文献

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  • [2] Srivastava AK, Choudhry S, Gopinath MS, et al. Molecular and clinical correlation in five Indian families with spinocerebellar ataxia 12. Ann Neurol. 2001;50(6):796-800. [DOI: 10.1002/ana.10048]
  • [3] Bahl S, Virdi K, Mittal U, et al. Evidence of a common founder for SCA12 in the Indian population. Ann Hum Genet. 2005;69(5):528-534. [DOI: 10.1046/j.1529-8817.2005.00173.x](PMID: 16138911)
  • [4] Ganaraja VH, Holla VV, Stezin A, et al. Clinical, radiological, and genetic profile of spinocerebellar ataxia 12: a hospital-based cohort analysis. Tremor Other Hyperkinet Mov (N Y). 2022;12:13. [DOI: 10.5334/tohm.686]
  • [5] Luo W, Zheng X, Lin Z, Luo W. Careful phenotypic characterization of tremor phenomenology in a patient with spinocerebellar ataxia type 12: tremor features do not match those of essential tremor. Tremor Other Hyperkinet Mov (N Y). 2024;14:28. [DOI: 10.5334/tohm.889](PMID: 38854909)
  • [6] Rafiei MA, Sadeghzadeh S, Salari M, Etemadifar M. Spinocerebellar ataxia type 12: spectrums of movement disorders and clinical features. Neurodegener Dis. 2026 (online ahead of print). [DOI: 10.1159/000553488](PMID: 42424188)
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  • [8] Basu P, Choudhury S, Mondal SS, et al. Non-motor symptoms in patients with spinocerebellar ataxia type 12. Front Neurol. 2024;15:1464149. [DOI: 10.3389/fneur.2024.1464149]
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  • [10] ESHRE PGT-M Working Group, Carvalho F, Moutou C, et al. ESHRE PGT Consortium good practice recommendations for the detection of monogenic disorders. Hum Reprod Open. 2020;2020(3):hoaa018. [DOI: 10.1093/hropen/hoaa018]
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  • [12] Nakasato K, Yamamoto BA, Kato K. Evaluating standards for ‘serious’ disease for preimplantation genetic testing: a multi-case study on regulatory frameworks in Japan, the UK, and Western Australia. Hum Genomics. 2022;16:16. [DOI: 10.1186/s40246-022-00390-3]
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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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