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脊髄小脳変性症7型(SCA7)の遺伝子検査|視力低下を伴う型・父親から伝わるときの表現促進と子どもへの遺伝

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

脊髄小脳変性症7型(SCA7)の遺伝子検査|視力低下を伴う型・父親から伝わるときの表現促進と子どもへの遺伝

脊髄小脳変性症7型(脊髄小脳失調症7型・SCA7)は、ふらつきなどの小脳の症状に、網膜の変化による視力の低下が重なる遺伝性の型です。原因はATXN7遺伝子の中にある「CAG」という3文字の繰り返し(CAGリピート)が長く伸びることで、この検査ではその回数を測ります。子どもに伝わる確率は2分の1で、父親から伝わるとリピートが大きく伸びやすく、子どもの世代で早く・重く出ることがあります。生まれ持った遺伝子は一生変わりません。わかったうえで、仕事・結婚や出産・住まい・介護の準備など、これからの人生を計画したいと考える方のために、検査でわかること・わからないこと、結果のあとにできることを臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. この検査で何がわかりますか?

ATXN7遺伝子のCAGリピートの回数を測り、脊髄小脳変性症7型(SCA7)の原因となる伸び(37回以上)を持っているかがわかります。34〜36回のように、発症するとは限らない長さかどうかもわかります。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

ご家族の脊髄小脳変性症が7型とわかっていて、ご自身も受け継いでいるか知りたい方、ふらつきと視力の低下があって型を確かめたい方です。型がわからない方は、18遺伝子をまとめて調べるリピート伸長パネルが向いています。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検査費用は税込275,000円、結果までは2週間です。検体は血液・唾液・頬の内側の粘膜などで、唾液・粘膜ならオンライン診療でも受けられます。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。伸びがあれば、お子さんに伝わる確率は2分の1です。目と神経の見張り方、ご家族の検査、妊娠を考えるときの選択肢まで一緒に考えます。

\ 一生変わらない遺伝子を知って、これからの計画に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、ご希望があればそのまま検査まで受けられます。結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

お問い合わせはこちら | 型がわからない方は運動失調リピート伸長パネルへ

1. 脊髄小脳変性症7型(SCA7・脊髄小脳失調症7型)とは:ふらつきに視力の低下が重なる遺伝性の型

脊髄小脳変性症7型は、ATXN7遺伝子のCAGリピートが伸びて起こる、常染色体顕性(優性)遺伝の脊髄小脳変性症です。37回以上は発症する範囲、34〜36回は発症するとは限らないものの病気の原因になりうる範囲とされています。ふらつきなどの小脳の症状に加えて、網膜(錐体杆体)が少しずつ傷み、視力が落ちていくのが、ほかの型との大きな違いです[1]。英語の spinocerebellar ataxia type 7 の略で、SCA7(エスシーエーセブン)と呼ばれます。日本語では「脊髄小脳失調症7型」とも書かれます。

脊髄小脳変性症は、小脳やそのつながりの神経が少しずつ傷み、歩く・話す・手を動かすときの「バランスや細かい調節」がうまくいかなくなる病気の総称です。そのうち親から子へ伝わるものを遺伝性脊髄小脳変性症と呼び、常染色体顕性(優性)遺伝の型には1型、2型…と番号が付けられています。7型はそのひとつです。

SCA7は、遺伝子の中の短い配列の繰り返しが伸びて起こるリピート伸長病のひとつです。CAGはアミノ酸のグルタミンを指定する暗号なので、CAGが伸びると、アタキシン7というたんぱく質の中にグルタミンが長くつながった部分ができます。こうした病気をまとめてポリグルタミン病と呼びます。

最初に気づく症状:ふらつき・ろれつ・目の見えにくさ

大人になってから始まる場合は、ふらつきなどの小脳の症状が先に出ることが多く、若いうちに始まる場合は、視力の低下が最初の症状になることが多いとされています[1]。遺伝性疾患の解説書GeneReviewsに書かれている主な症状は、次のとおりです[1]。

  • ●小脳の症状:歩くときのふらつき、手足の動きのぎこちなさ、ろれつが回りにくい(構音障害)、飲み込みにくさ(嚥下障害)
  • ●目の動き:視線をすばやく動かす動き(サッカード)が遅くなり、進むと目が動きにくくなる(眼球運動障害)ことがある
  • ●網膜の症状:明るいところで見えにくい(昼盲)、まぶしい(羞明)、青と黄色の見分けにくさ、中心の視力の低下や中心が見えない部分(中心暗点)。網膜の変化は錐体杆体ジストロフィーと呼ばれる形で進み、完全に見えなくなることもある
  • ●そのほか:聞こえにくさ、進むと腱反射が強くなる・足がつっぱる(痙縮)、感覚の低下。認知機能の低下や精神症状の報告もある

40歳を過ぎてから始まる典型的な大人の型では、視力の低下が完全に見えなくなるところまで進むことは少ないとされます。一方、10代で始まると、10年以内に見えなくなることがあるとされています[1]。目の症状と体の症状のどちらが先に出るかは人によって違うため、「目の病気」と「ふらつきの病気」が別々に診断されていることもあります。

何歳から発症する?リピートの数と発症年齢

SCA7は、赤ちゃんから高齢の方まで、どの年齢でも発症しうる病気です。リピートが長いほど、早く発症し、重く、速く進む傾向があります[1]。GeneReviewsに書かれている目安は、次のとおりです。

📈 発症の時期とCAGリピートの回数の目安

発症の時期 リピートの回数の目安 特徴
赤ちゃんのうち 約200〜400回 体重が増えない、できていた運動ができなくなる。全身の重い状態になり、命にかかわることが多い
小児期 多くは100回を超える 重い状態まで10年以内に進むことが多い
10代〜若い大人 多くは60〜100回 視力の低下が先に出ることが多い
30歳より前 59回を超える 多くは30歳より前に発症し、視力の低下から始まる
大人 59回未満 多くは大人になってから、ふらつきなど小脳の症状から始まる。重い状態まで20〜30年かけて進む
50代以降 GeneReviewsに回数の目安の記載なし ふらつきが中心で、大きな視力の低下を伴わないことが多い

※GeneReviews[1]による。赤ちゃんで発症するほど大きな伸びは、一般的なPCR法では短めに測られる(150回未満と出る)ことがあるとされています。あくまで集団での傾向で、一人ひとりの発症年齢を決めるものではありません(第3章)。

日本ではまれな型(何人に一人?)

SCA7の有病率は30万人に1人未満で、いくつかの研究では脊髄小脳失調症全体の約2%を占めるとされています[1]。主に北ヨーロッパ系やアフリカ系の人々で報告されており、メキシコのベラクルス州には、植民地時代にさかのぼる創始者効果による150人を大きく超える大きな集団があることも知られています[1]。

日本では、北海道の顕性遺伝の脊髄小脳失調症113家系を調べた研究で、SCA7の家系は見つかりませんでした[2]。難病情報センターは、日本で多い遺伝性の脊髄小脳変性症として、SCA3(マシャド・ジョセフ病)・SCA6・SCA31・DRPLA(歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症)を挙げています(2026年10月時点で確認)。日本で多いSCA3の検査は脊髄小脳失調症3型(マシャド・ジョセフ病)の検査のページでご案内しています。

日本ではまれだからこそ、ご家族の型がSCA7とわかっている方は、ほかの型ではなくATXN7をピンポイントで調べることに意味があります。反対に、まれな型であるぶん、ご家族の型がわからないまま最初にこの検査だけを受けるのは、あまり向いていません(第5章)。

指定難病(脊髄小脳変性症・指定難病18)

SCA7は、指定難病18「脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く。)」に含まれます。難病情報センターの解説でも、SCA7は網膜黄斑変性を伴うことが多い型として記載されています(2026年10月時点で確認)。医療費の助成を受けるには、認定の基準を満たして申請する必要があります。くわしくは難病情報センターや、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。

2. 脊髄小脳変性症7型は遺伝する?子ども・孫への確率と「父親から伝わるとき」

SCA7は常染色体顕性(優性)遺伝で、親が原因の伸びを持っていれば、お子さん1人あたり2分の1の確率で受け継ぎます。さらに、父親から伝わるときはリピートが大きく伸びやすく、お子さんで早く・重く発症することがあります[1]。

脊髄小脳変性症7型は子どもに遺伝する?確率は2分の1

常染色体顕性(優性)遺伝では、対になった2本のATXN7のうち1本に伸びがあれば発症しうるため、親から子へは、お子さん1人ごとに2分の1の確率で伝わります。男の子でも女の子でも確率は同じです。上のお子さんが受け継いだかどうかで、下のお子さんの確率が変わることもありません[1]。ご自身の親御さんが原因の伸びを持っているとわかっている場合、その親御さんを共通の親にもつご自身のきょうだいも、それぞれ2分の1の確率で伸びを受け継ぎます[1]。

脊髄小脳変性症7型は孫に遺伝する?

お孫さんへの確率は、間にいるお子さん(お孫さんの親)が伸びを受け継いでいるかどうかで決まります。お子さんが伸びを受け継いでいれば、お孫さん1人あたり2分の1です。お子さんが検査で伸びを受け継いでいないとわかれば、そのお子さんを通じてお孫さんに、ご家族の伸びが伝わることはありません。

ただし、SCA7には「変わりやすい正常」と呼ばれる28〜33回の長さがあり、発症していない親御さんから伝わる途中で、1世代で発症する長さまで伸びることがあるとされています[1]。そのため、ご家族の結果に28〜33回の長さがある場合は、別に考えます(第3章)。

脊髄小脳変性症7型は父親から遺伝すると重くなる?(表現促進現象)

SCA7は、CAGリピートの病気の中でもとくにリピートが不安定な型とされています。子どもに伝わるときにリピートが伸びやすく、伝える親が男性のときに、より大きく伸びることが知られています[1]。リピートが縮んだという報告はないとされています[1]。

リピートが長くなるほど早く・重く発症する傾向があるため、世代を重ねるごとに発症が早く、症状が重くなることがあります。これを表現促進現象といいます。GeneReviewsは、お子さんが、親御さんや祖父母が症状に気づく何年も前に、別の神経の病気と考えられて診断されることがある、と記載しています[1]。リピートは、卵子や精子のもとになる細胞(生殖細胞系列)を通じて子どもに伝わる途中で長さが変わるため、親御さんの血液で測った回数が、そのままお子さんの回数になるとは限りません。

⚠️ 「自分が軽いから、子どもも軽い」とは言えません

親御さんがまだ発症していない、あるいは軽い症状で気づいていなくても、伸びを受け継いだお子さんが同じ程度になるとは限りません。SCA7では、とくに父親から伝わるときにリピートが大きく伸びやすく、お子さんのほうが早く・重く発症することがあります[1]。お子さんが先に発症したことで、ご自身も同じ変化を持っていたとわかる親御さんもいます。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。前もって知っておくことは、その後の選択肢を増やすことにつながります。

「自分もなるかもしれない」という不安を抱えて暮らしている方へ

親御さんやきょうだいが発症した方の中には、少しつまずいただけで、まぶしさを感じただけで、「始まったのでは」と不安になりながら暮らしている方もいます。脊髄小脳変性症の初期症状をチェックしようと、何度も検索してしまうこともあるかもしれません。

この検査で、ご家族の原因である伸びを受け継いでいないとわかれば、SCA7については、ご家族と同じ確率を心配しなくてよくなります。反対に、受け継いでいるとわかった場合は、目と神経の見張り方、リハビリ、仕事や住まいの計画など、先回りしてできることがあります(第7章)。知らないでいることも、同じように選べる選択肢です。検査を受けるかどうか、結果をどう受け止めるかは、検査の前後に臨床遺伝専門医と時間をかけて考えることができます。

3. 結果の読み方:CAGリピートの回数の表

この検査の結果は、ATXN7のCAGリピートが何回あるかで読みます。37回以上が発症する範囲、34〜36回は発症するとは限らない範囲、28〜33回は本人は発症しないものの次の世代で伸びることがある範囲です[1]。

📏 ATXN7のCAGリピートの回数の読み方

回数 呼び方 意味
7〜27回 正常 SCA7の原因にはならない
28〜33回 変わりやすい正常 ご本人は発症しない。お子さんに伝わるときに不安定で、1世代で発症する長さまで伸びることがある
34〜36回 発症するとは限らない範囲 病気の原因になりうるが、発症しない人もいる。発症する場合は遅く・軽い傾向
37回以上 発症する範囲 SCA7の原因となる伸び(報告は460回まで)

※GeneReviews(2020年更新)[1]による。34〜36回の境目は、報告される家系が増えるまではっきりしないとされています。古い資料には別の区切りが書かれていることがあります。

原因を持っていても発症しない人がいることを「浸透率が100%ではない」といいます。SCA7では34〜36回がこの範囲に当たります[1]。

リピートの数で、いつ発症するかはどこまでわかる?

リピートの回数から、一人ひとりの発症年齢や進み方を正確に言い当てることはできません。集団で見ると「長いほど早く・重い」傾向ははっきりしていますが、GeneReviewsは、大人で発症する38〜50回の範囲では、リピートの回数だけでは見通しを予測するのに十分ではないとしています。妊娠中に赤ちゃんを調べた場合も、その結果から発症の時期や重さを正確に予測することはできないとされています[1]。

それでも回数がわかることには意味があります。たとえば59回を超えるような長い伸びでは、多くの方が30歳より前に、視力の低下から発症するとされています[1]。目の検査をいつから始めるか、仕事や住まいをどう考えるか、ご家族とどう話し合うかを考える手がかりになります。結果の数字が何を意味し、何を意味しないかは、遺伝カウンセリングで具体的にご説明します。

4. この検査でわかること・わからないこと

この検査でわかるのは、ATXN7のCAGリピートの回数、つまりSCA7の原因となる伸びがあるかどうかです。一方で、遺伝子検査には必ず限界があります。

調べ方は、繰り返しの部分そのものを目印にしてDNAを増やす方法(リピートプライムドPCR法)と、増やしたDNAの長さを測る方法の組み合わせです。長さを測る理由は、SCA7の原因が遺伝子の文字(塩基)の1文字の違いではなく、「繰り返しの長さ」の変化だからです。GeneReviewsも、SCA7の伸びは遺伝子の配列を読むタイプのパネル検査・エクソーム検査・ゲノム検査では見つけられない、としています[1]。

  • ●大きな伸びの回数:とても大きな伸びでは、正確な回数まではわからないことがあります。伸びがあることはわかります。
  • ●調べていないこと:ATXN7の配列の小さな変化や、遺伝子の一部が欠けたり重なったりしていないか(欠失・重複)は、この検査に含まれません(別にご依頼いただけます)。メチル化の解析もしません。
  • ●モザイク:体の一部の細胞にだけ変化がある状態(モザイク)を調べることは目的にしていません。がんなどの腫瘍の組織では検査できません。
  • ●判断が難しい長さ:遺伝子の配列を読む検査では「意義がまだわからない変化(VUS)」が見つかることがありますが、長さを測るこの検査では、その代わりに34〜36回のような、発症するかどうか言い切れない長さの結果が出ることがあります(第3章)。
  • ●陰性でも、ほかの型は否定できません:伸びがなければSCA7の可能性は低くなりますが、症状がある方では、ほかの型の脊髄小脳変性症や、別の神経の病気が考えられます。

症状があってこの検査で伸びがなかった方は、次の検査を考えます。リピート伸長が原因のほかの型は運動失調リピート伸長遺伝子パネル検査(18遺伝子)でまとめて調べられます。単独の型では、SCA10・SCA12・SCA17の検査もあります。リピート以外の遺伝子の変化を調べるなら、運動失調症遺伝子パネル(NGS)や、発症年齢に合わせた遅発性運動失調症のパネル・早期発症運動失調症のパネルが向いています。

5. どんな人が受けるとよいか(脊髄小脳変性症の遺伝子検査はどこで、どれを選ぶ?)

脊髄小脳変性症の遺伝子検査をどこで、どれを受けるかは、「ご家族の型がわかっているか」で決まります。ご家族の型がSCA7とわかっている方は、この検査でATXN7をピンポイントで調べます。見た目や症状、家族歴だけでは、ご自身が受け継いでいるかどうかはわかりません。

ご家族の型がSCA7とわかっている、症状のない方(発症前診断)

このページの検査をいちばん多く受けるのは、親御さんやきょうだいがSCA7と診断されていて、ご自身も同じ伸びを受け継いでいるかを知りたい、症状のない方です。GeneReviewsも、ご家族で伸びが確かめられていれば、リスクのある血縁者は遺伝カウンセリングを受けたうえで発症前の検査ができるとしています[1]。あなたの1回の検査結果は、ご自身だけでなく、お子さんやきょうだいが自分のことを考える手がかりにもなります。とくにSCA7は父親から伝わると次の世代で早く重く出ることがあるため、男性の方がご自身の結果を知ることは、お子さんの見通しを考えるうえでも意味があります。

ふらつきと視力の低下があり、型を確かめたい方

歩くときのふらつきやろれつの回りにくさに加えて、視力の低下・まぶしさ・色の見分けにくさがある方は、SCA7を考える手がかりになります。ご家族に同じような症状の方がいれば、なおさらです。ただし、ふらつきだけで目の症状がはっきりしない場合は、ほかの型のほうが多いため、まとめて調べる検査が向いています(下の表)。

目の症状が先に出た若い方:目の遺伝子パネルではATXN7は調べません

若いうちに発症するSCA7では、ふらつきより先に視力の低下が出ることが多いため、最初は網膜の病気として診断されることがあります[1]。当院の錐体杆体ジストロフィー遺伝子パネル、網膜症・視神経萎縮遺伝子パネル、黄斑変性症の遺伝子パネルには、ATXN7は含まれていません。また、SCA7の伸びは配列を読む検査では見つけられません[1]。網膜の病気と言われていても、ご家族に脊髄小脳変性症の方がいる、またはふらつき・ろれつの症状が加わってきた場合は、この検査を考えてください。

ご家族の型がわからない方は、運動失調リピート伸長パネルから

ご家族が脊髄小脳変性症と言われていても、何型かわからない方は、ATXN7を含む18遺伝子のリピートをまとめて調べる運動失調リピート伸長遺伝子パネル検査(18遺伝子)から始めるのが向いています。ハンチントン病など、ほかの単一遺伝子のリピート伸長も含めて、ご家族で原因がわかっている遺伝子を選んで調べる方法は、単一遺伝子のリピート伸長検査のページでご案内しています。

🔍 状況に合わせた検査の選び方

こんなとき 向いている検査
ご家族の型がSCA7とわかっている このページの検査(ATXN7リピート伸長検査・税込275,000円)
ご家族が脊髄小脳変性症だが、型がわからない 運動失調リピート伸長遺伝子パネル検査(18遺伝子・税込495,000円)
ご家族の型がSCA3(マシャド・ジョセフ病) 脊髄小脳失調症3型の検査
リピートの検査で原因が見つからなかった 運動失調症遺伝子パネル(NGS)
視力の低下だけで、ふらつきも家族歴もない 錐体杆体ジストロフィー遺伝子パネルなど目のパネル(ATXN7は含まれない)

※料金は各検査ページの記載によります。どの検査が合うかは、症状・診察の所見・ご家族の情報で変わります。遺伝カウンセリングで一緒に決めましょう。

この検査が向かない場合

  • ●症状のない未成年のお子さん:大人になってから発症することが多い病気の発症前の検査は、原則としてご本人が成人し、自分で判断できるようになるまで延期すべきとされています(第6章)。
  • ●ご家族の型が確かめられていない方:SCA7は日本ではまれな型なので、型がわからないまま最初にこの検査だけを受けるより、リピート伸長パネルが向いています。

\ 妊娠の前に知れば、選べることが増えます /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

ご家族の伸びがわかっていれば、妊娠したときの羊水検査・絨毛検査のご相談まで、院内で続けて受けられます。

海外でPGT-Mを考えている方には、英語の検査結果をお渡しできます(検査の時にお申し出ください)。

お問い合わせはこちら | ほかのリピート伸長検査を見る

6. 脊髄小脳変性症の発症前診断を考える方へ:知ってから、人生を計画する

症状のない方が、将来発症する可能性を調べる検査を「発症前診断(予測的検査)」といいます。当院は、ライフステージごとに患者さんの人生をサポートするという考え方で診療しており、知りたいと願う方を拒むことはしません。遺伝カウンセリングで十分に考えたうえで、ご本人が知りたいと決めた場合は、その意思を尊重して検査まで行います。知らないでいる選択も、同じように尊重します。

先が見えないまま過ごすより、わかったうえで、仕事を続けるか・どんな働き方にするか、結婚や出産、段差の少ない住まいへの住み替え、ご家族の介護の準備など、これからの人生を計画したいと考える方もいます。英国でハンチントン病の発症前検査を受けた人の理由として最も多かったのは「不確実さを減らすため」(70.5%)で、「将来の計画のため」(57.7%)が続きました[4]。病気は違いますが、「知って計画を立てたい」という思いは、SCA7のご家族にも通じるものだと考えています。

一方で、結果を知ったあとの気持ちの変化は、伸びがあった場合にも、なかった場合にも起こりえます。当院では、結果をお伝えしたあとも、遺伝カウンセリングで相談を続けていただけます。

お子さんの検査については、日本医学会の「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」(2022年3月改定)が、成年期以降に発症する病気の発症前の検査は、原則として本人が成人し自律的に判断できるまで延期すべきで、両親などの代わりの同意で行うべきではない、としています。GeneReviewsも、早く治療しても経過が変わらない大人の病気について、症状のない未成年への検査は適切でないとしています[1]。一方、ご家族で診断がついている中で、症状が出ているお子さんを調べることは、年齢にかかわらず適切とされています[1]。

脊髄小脳変性症の家族がいると結婚に差し支える?結婚・妊娠を考えるとき

結婚するか、子どもを持つかは、その人の生き方そのものに関わる大きな選択です。ご自身がSCA7の当事者の方にとっても、きょうだいや親御さんがSCA7の方にとっても、結婚や出産は大きな問題になります。ご家族の病気を理由に、結婚について悩む方もいます。

ご家族に脊髄小脳変性症の方がいることは、それだけで結婚できない理由にはなりません。遺伝の確率はご家族ごとに違い、検査で「わかること」があります。ご自身が伸びを受け継いでいるかどうか、受け継いでいればお子さんへの確率、そして妊娠したときにどんな選択肢があるかです(第7章)。知ってから決めるのと、知らずに決めるのとでは、同じ選択でも意味が違う、と考えています。パートナーの方とご一緒に遺伝カウンセリングを受けていただくこともできます。

7. 結果が出たあと

結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。伸びがなかったとき、境目の長さだったとき、伸びがあったときで、次にできることが違います。

伸びがなかったとき(27回以下)

ご家族のSCA7の原因である伸びを受け継いでいないとわかれば、SCA7については、ご家族と同じ確率を心配しなくてよくなります。お子さんやお孫さんに、ご家族の伸びがあなたを通じて伝わることもありません。ただし、この検査が調べるのはATXN7のリピートだけです。SCA7以外の病気の可能性まではわかりません。ふらつきなどの症状があって伸びがなかった方は、第4章の検査を考えます。

28〜36回だったとき

28〜33回はご本人が発症しない長さですが、お子さんに伝わるときに伸びることがあります。34〜36回は、発症するとは限らない範囲で、発症する場合は遅く・軽い傾向があるとされています[1]。どちらも、ご本人の今後と、お子さんへの影響の両方を、遺伝カウンセリングで具体的にご説明します。

病的変異(37回以上の伸び)が見つかったら、次にできること

脊髄小脳変性症7型の進行を遅らせたり止めたりする治療は、今のところ確立していません[1]。脊髄小脳変性症が「治る確率」を調べている方もいると思いますが、だからといって「わかっても何もできない」わけではありません。伸びがあるとわかったあとにできることを、立場ごとにまとめます。治療やリハビリは、神経内科・眼科など専門の医療機関で受けていただきます。

① 症状がある方

  • ●病名が決まる:型がSCA7と確定すると、見張るべき合併症(とくに目)がはっきりし、指定難病の申請などの手がかりにもなります。
  • ●神経の見張り:GeneReviewsは、年に1回、運動失調の評価尺度(SARAなど)を使った神経の診察を勧めています[1]。
  • ●目の見張り:3〜5年ごと、または必要に応じて眼科で、視力・色覚・視野・網膜の電気的な働き(網膜電図)・網膜の断面の画像(OCT)を調べることが勧められています[1]。見えにくさが進んだら、見え方を補う道具や生活の工夫(ロービジョンケア)を眼科で相談できます。
  • ●リハビリと薬:難病情報センターは、脊髄小脳変性症の失調症状全般に、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)やTRH誘導体が使われること、バランスや歩行などその人の生活に合わせたリハビリテーションを組むことを記載しています(2026年10月時点で確認)。話し方・飲み込み・認知機能の評価も、症状の進み方に合わせて行います[1]。
  • ●避けたいこと:アルコールは小脳の働きをさらに悪くするため、飲酒は避けるよう勧められています[1]。転びにくい住まいの工夫も、早めに始めるほど役立ちます。
  • ●研究:ataxin-7を減らすアンチセンス核酸(ASO)という薬が、SCA7のマウスで網膜の働きを取り戻したと報告されています[3]。GeneReviews(2020年更新)は、この方法が人に向けて開発中であると記載しています[1]。人での効果はまだ確かめられていません。治験の情報は、神経内科の主治医にご確認ください。

② 症状のない方(発症前の検査で伸びがわかった方)

すぐに治療が必要になるわけではありません。視力の低下やふらつきに早く気づけるよう、眼科と神経内科でいつから見張りを始めるかを決めておくと安心です。車の運転をいつまで続けるか、仕事の内容や働き方、段差の少ない住まいへの住み替え、保険や家計の見直しなどを、体が動くうちに少しずつ考えておくこともできます。お子さんに伝わる確率は1人あたり2分の1で、男性の場合はお子さんで伸びが大きくなりやすいことも、計画の材料になります(第2章)。

③ 子どもを持つときの選択肢

知ってから選べることがあります。自然に妊娠して、妊娠中に赤ちゃんが伸びを受け継いでいるかを調べる出生前診断を受ける方法、体外受精で受精卵を調べるPGT-M(着床前遺伝学的検査)を受ける方法、そして何も調べずにそのまま産むことも、同じように選べる選択肢です。どれを選んでも、その選択は尊重されます。ただし、妊娠中に赤ちゃんを調べた結果からは、発症の時期や重さを正確に予測できないことは知っておいてください[1]。

④ ご家族

ご家族の伸びがわかっていると、きょうだい・親御さん・いとこなど血縁の方は、ATXN7のリピートだけをピンポイントで調べて、受け継いでいるかを確かめられます。症状のない方の検査は発症前診断になるため、ご本人の同意のもとで、検査の前に遺伝カウンセリングで知ることの意味をよく考えていただきます。ご家族にどう伝えるかも、一緒に考えることができます。

⑤ 当院でのその後

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングでご説明し、次にどうするかを一緒に考えます。結果のあとのご相談やご家族の検査、妊娠を考えたときの出生前診断のご相談も、遺伝カウンセリング(30分22,000円・税込、出生前診断のご相談は30分33,000円・税込)としてお受けしています。

妊娠を考えている方:出生前診断の相談

ご家族で原因の伸びがわかっていれば、妊娠したときに赤ちゃんで同じ伸びがあるかを調べられます。GeneReviewsも、ご家族で伸びが確かめられていれば、出生前の検査と着床前の検査は可能としています。ただし、出生前の結果から発症の時期や重さは正確に予測できず、多くの施設では出生前の検査を受けるかどうかは個人の判断とされている、とも記載しています[1]。

絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。

当院では羊水検査・絨毛検査を院内で行っています(2025年6月から産婦人科を併設)。大人になってから発症することの多い病気の出生前診断をどのように進められるかは、病気の重さや国内の指針を踏まえて個別に考えます。出生前診断ができるかどうかも含めて、妊娠を考えている段階からご相談ください。

海外でPGT-M(着床前遺伝学的検査)を考えている方へ:英語の検査結果をお渡しできます

PGT-Mは、体外受精でできた受精卵(胚)の一部の細胞を調べ、ご家族でわかっている遺伝子の変化を受け継いでいない胚を選んで子宮に戻す検査です。当院は体外受精・PGT-Mを行っていません。当院でできるのは、原因の伸びの確定、英語の検査結果の用意、遺伝カウンセリング、ご家族の遺伝子検査、妊娠後の絨毛検査・羊水検査(院内)です。海外でPGT-Mを受けたいというお問い合わせは多く、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。くわしくは海外でPGT-Mを考えている方へで解説しています。

PGT-Mの準備に必要なこと:欧州ヒト生殖医学会(ESHRE)の指針は、①病気の原因と確かめられた遺伝子の変化があること、②見つかった変化の内容が書かれた元の報告書(認定を受けた検査室のもの)、③ご家族の検体、を挙げています[5]。

ご家族の検体が要るのは、受精卵から取れるDNAがごくわずかで、変化を直接読むだけでは、2本あるうちの片方が読み取れない「アレルドロップアウト」などで判定を誤るおそれがあるためです。そこで、変化のある場所の両側にある目印(STR・SNPなどの多型マーカー)で「変化をもつ染色体」を家系の中でたどる方法(ハプロタイプ解析)を組み合わせます。目印は、変化も一緒に調べる場合は両側にSTR1個(またはSNP3個)以上、目印だけで調べる場合は両側にSTR2個(またはSNP6個)以上とされています。SCA7のような顕性遺伝の病気では、ご夫婦に加えて、発症している方少なくとも1人(できれば2人)、および/または発症していない方1人のDNAが目安です[5]。ご本人の検査結果だけでは、PGT-Mの準備はふつう整いません。血縁の方がいない場合、指針はご夫婦で目印を調べたうえで、治療周期の受精卵や1個の精子を調べて変化の乗った染色体を決める方法を挙げていますが、できるかどうかは施設や家系の状況で大きく変わり、受けられないこともあります[5]。

海外でPGT-Mを考えている方は、ご本人の検査の段階から、検査に協力していただけるご家族(とくに同じ変化をもつ方)がいるかを考えておくことが大切です。当院では、ご家族の遺伝子検査も、遺伝カウンセリングのうえでお受けしています。臨床遺伝専門医としては、海外の施設によって求められる書類や検体は違うため、受ける予定の施設にも前もって確かめておくことをお勧めします。

⚠️ PGT-Mは診断ではなく、スクリーニング検査です

PGT-Mは受精卵のごく一部の細胞を調べる検査で、結果が赤ちゃんの状態と食い違うことがあります。ESHREの指針は、多くの施設で誤った結果になる割合は全体で1〜3%まで下げられているとしたうえで、PGTのあとに妊娠したすべての方に出生前診断を提案すべきとしています[6]。当院では、PGT-Mで選んだ胚で妊娠した場合も、妊娠中に赤ちゃんそのものを調べる確定検査(絨毛検査・羊水検査)で確かめることが望ましいと考えています。絨毛検査・羊水検査は院内で行っており、海外でPGT-Mを受けたあとの妊娠でもご相談いただけます。

日本の扱い:日本では、日本産科婦人科学会の「重篤な遺伝性疾患を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-M)」に関する指針(2026年9月改定)にもとづき、PGT-Mは症例ごとに学会の審査を受け、そのうえで実施施設の倫理委員会が承認して行われます。この指針の「重篤」は、原則として、成人に達する前に日常生活が著しく損なわれる、または生存が危ぶまれる状態になる疾患で、申請の時点で有効な治療法がないか、治療法があっても高度かつ侵襲度の高いもの、とされています。成人に達する前に生存が危ぶまれるわけではないが日常生活が著しく損なわれる状態が現れる疾患は、その病気の専門医の意見書などを追加で出す仕組みになっています(2026年10月時点で確認)。ある病気が日本で対象になるかどうかは、審査で症例ごとに決まります。

国によって対象は違います:日本では、学会の発表によると、2025年7月〜2026年6月の1年間に審査した73件のうち37件が審査継続中でした(2026年9月発表)。英国では公的機関(HFEA)がPGT-Mを使える病気の一覧を公表しており、2,000を超える病気が載っています(2026年9月17日更新の一覧で2,067)。脊髄小脳失調症も、SCA3(マシャド・ジョセフ病)を含む多くの型が載っています。一覧にない病気は、施設を通じて申請し、HFEAが審査します。米国では、PGTを直接規制する連邦や州の法律はなく、主に医師・施設の判断で行われています[7]。米国生殖医学会(ASRM)の倫理委員会は2024年、大人になってから発症する病気に対するPGT-Mも倫理的に許容されうるとする意見を出しています[8]。どの病気がPGT-Mの対象になるかは、国や制度、施設によって違います。同じ病気でも、ある国では対象になり、別の国では個別の審査が必要になることがあります。受ける国の制度と、施設の条件を前もって確かめてください。

結果の報告書について

結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。報告書の見かたは遺伝子検査結果の見かたで解説しています。

8. 検査の概要と流れ:費用・結果までの日数・検体

検査費用は税込275,000円、結果までは2週間です。検体は血液・抽出したDNA・頬の内側の粘膜・唾液から選べ、唾液・粘膜ならオンライン診療でも受けられます。この検査は、遺伝診療先進国・米国の3大遺伝子検査会社の一角で行います。※

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

ご予約
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
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検体の採取お支払い後にキット
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結果のご説明2週間後・マイページへ

💴 費用・日数・検体

項目 内容
検査名 ATXN7遺伝子リピート伸長検査(脊髄小脳変性症7型・SCA7)
対象遺伝子 ATXN7(1遺伝子)のCAGリピート
検査費用 275,000円(税込)
結果までの期間 2週間
検体 血液(EDTA採血管4ml×2本・紫色のキャップ)、抽出したDNA(3μg)、頬の内側の粘膜(頬粘膜スワブ)、唾液(採取キットをお送りします)
オンライン診療 可能です。血液の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査費用とは別

※当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。

オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただく流れです。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。検体採取キットは、検査料金をお支払いいただいた後にお送りします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。決まった容器と手順で採らないと、検体の取り違えや、DNAの量・質が足りずに検査ができないことがあるためです。

遺伝カウンセリングでは、検査で何がわかり、何がわからないか、結果がご本人とご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。

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臨床遺伝専門医が常駐し、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明してからマイページにアップします。唾液・頬の粘膜ならオンライン診療でも受けられます。

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9. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【父から子へ伝わる病気だからこそ、知ってから選んでほしい】

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。

SCA7は、父親から伝わるときにリピートが大きく伸びやすく、お子さんのほうが親より早く、重く発症することがある病気です。お父さんがまだ何の症状もないうちに、お子さんが先に目の病気や神経の病気と診断されることもあります。そのとき、親御さんが「自分のせいだ」と感じてしまうのは自然なことです。けれども、遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。私は、前もって知っておくことは、責めるための材料ではなく、選択肢を増やすための材料だと考えています。

結婚するか、子どもを持つかは、その人の生き方そのものです。知ってから決めるのと、知らずに決めるのとでは、同じ選択でも意味が違います。わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。知ったうえで結婚や妊娠を考えたい方には、出生前診断まで当院で続けて支えられる体制を整えています。知らないでいることを選ぶ方も含めて、どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 脊髄小脳変性症7型(SCA7)は子どもに遺伝しますか?確率は?

はい。脊髄小脳変性症7型は常染色体顕性(優性)遺伝で、親が原因の伸びを持っていれば、お子さん1人あたり2分の1の確率で受け継ぎます。男の子でも女の子でも確率は同じです。受け継いだ場合、親より早く・重く発症することがあります。

Q2. 父親から遺伝すると重くなるのですか?

重くなることがあります。SCA7は子どもに伝わるときにCAGリピートが伸びやすく、伝える親が男性のときに、より大きく伸びることが知られています。リピートが長いほど早く・重く発症する傾向があるため、お子さんが親より先に発症することもあります。ただし、一人ひとりの発症の時期や重さを正確に予測することはできません。

Q3. 孫にも遺伝しますか?

お孫さんの親にあたるお子さんが伸びを受け継いでいれば、お孫さん1人あたり2分の1の確率で伝わります。お子さんが検査で伸びを受け継いでいないとわかれば、そのお子さんを通じてお孫さんにご家族の伸びが伝わることはありません。ただし、28〜33回の長さを持つ場合は、次の世代で伸びることがあるため別に考えます。

Q4. 脊髄小脳変性症7型は何歳から発症しますか?

赤ちゃんから高齢の方まで、どの年齢でも発症しうるとされています。リピートが長いほど早く発症する傾向があり、59回を超えると多くは30歳より前に視力の低下から、59回未満では多くは大人になってから、ふらつきから始まるとされています。

Q5. 症状がなくても検査を受けられますか?

ご家族で原因の伸びがわかっていれば、成人の方は遺伝カウンセリングで十分に考えたうえで、発症前の検査を受けられます。当院は、知りたいと願う方を拒むことはしません。一方、症状のない未成年のお子さんの発症前の検査は、原則として本人が成人して自分で判断できるまで延期すべきとされています。

Q6. 家族に脊髄小脳変性症の人がいると、結婚に差し支えますか?

ご家族に脊髄小脳変性症の方がいることは、それだけで結婚できない理由にはなりません。遺伝の確率はご家族ごとに違い、ご自身が伸びを受け継いでいるか、お子さんへの確率、妊娠したときの選択肢(出生前診断・PGT-Mなど)は、検査と遺伝カウンセリングで具体的に知ることができます。パートナーの方とご一緒にご相談いただけます。

Q7. 型がわからないときは、どの検査を受ければよいですか?

ご家族の脊髄小脳変性症の型がわからない場合は、ATXN7を含む18遺伝子のリピートをまとめて調べる運動失調リピート伸長遺伝子パネル検査が向いています。SCA7の伸びは、遺伝子の配列を読むパネル検査や目の遺伝子パネルでは見つけられないため、リピートを測る検査を選びます。

Q8. 海外でPGT-Mを受けたいのですが、英語の検査結果はもらえますか?

はい。英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。ただし、ご本人の検査結果だけでは、PGT-Mの準備はふつう整いません。ご家族の検体が必要になることが多いため、協力していただけるご家族がいるかも早めに考えておくことが大切です。当院は体外受精・PGT-Mを行っていません。

🧬 一度の検査で、ご自身とご家族のこれからを考える

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。脊髄小脳変性症7型の原因となる伸びを受け継いでいるかがわかれば、目と神経の見張りや仕事・住まいの計画だけでなく、お子さんやきょうだいの検査、結婚・妊娠の計画を考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断のご相談まで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

参考文献

  • [1] La Spada AR. Spinocerebellar Ataxia Type 7. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 1998 (Updated 2020 Jul 23). [NCBI Bookshelf NBK1256](PMID: 20301433)
  • [2] Basri R, Yabe I, Soma H, Sasaki H. Spectrum and prevalence of autosomal dominant spinocerebellar ataxia in Hokkaido, the northern island of Japan: a study of 113 Japanese families. J Hum Genet. 2007;52(10):848-855. [DOI: 10.1007/s10038-007-0182-x]
  • [3] Niu C, Prakash TP, Kim A, et al. Antisense oligonucleotides targeting mutant Ataxin-7 restore visual function in a mouse model of spinocerebellar ataxia type 7. Sci Transl Med. 2018;10(465):eaap8677. [DOI: 10.1126/scitranslmed.aap8677]
  • [4] Baig SS, Strong M, Rosser E, et al. 22 Years of predictive testing for Huntington’s disease: the experience of the UK Huntington’s Prediction Consortium. Eur J Hum Genet. 2016;24(10):1396-1402. [DOI: 10.1038/ejhg.2016.36]
  • [5] ESHRE PGT-M Working Group, Carvalho F, Moutou C, et al. ESHRE PGT Consortium good practice recommendations for the detection of monogenic disorders. Hum Reprod Open. 2020;2020(3):hoaa018. [DOI: 10.1093/hropen/hoaa018]
  • [6] ESHRE PGT Consortium Steering Committee, Carvalho F, Coonen E, et al. ESHRE PGT Consortium good practice recommendations for the organisation of PGT. Hum Reprod Open. 2020;2020(3):hoaa021. [DOI: 10.1093/hropen/hoaa021]
  • [7] Nakasato K, Yamamoto BA, Kato K. Evaluating standards for ‘serious’ disease for preimplantation genetic testing: a multi-case study on regulatory frameworks in Japan, the UK, and Western Australia. Hum Genomics. 2022;16:16. [DOI: 10.1186/s40246-022-00390-3]
  • [8] Ethics Committee of the American Society for Reproductive Medicine. Use of preimplantation genetic testing for monogenic adult-onset conditions: an Ethics Committee opinion. Fertil Steril. 2024;122(4):607-611. [DOI: 10.1016/j.fertnstert.2024.05.165]

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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