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運動失調症・脊髄小脳変性症の遺伝子検査|153遺伝子パネルでわかること・遺伝する確率・費用

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

眼球運動失行を伴う運動失調症(AOA1〜4型)の遺伝子検査

眼球運動失行を伴う運動失調症(AOA)は、子どもから若い年代に始まる、劣性(潜性)遺伝の脊髄小脳変性症のひとつです。歩くとふらつく「小脳失調」に、横を見るとき目より先に頭が動く「眼球運動失行」が加わるのが特徴で、原因の遺伝子によってAOA1〜4型に分かれます。この検査は、AOA1・AOA2・AOA4の原因遺伝子であるAPTX・SETX・PNKPと、AOA3との関連が報告されたPIK3R5の4遺伝子をまとめて調べます。原因がわかれば、病院を回り続ける診断までの回り道を終わらせ、型に合わせて見張る合併症と、きょうだい・お子さんへの遺伝の確率まで、具体的に考えられるようになります。このページでは、病気の特徴、脊髄小脳変性症が遺伝する確率、検査でわかること・わからないことを、臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. この検査で何がわかりますか?

AOA1・AOA2・AOA4の原因遺伝子であるAPTX・SETX・PNKPと、AOA3との関連が報告されたPIK3R5の4遺伝子を一度に調べ、劣性遺伝の脊髄小脳変性症のどの型かを確かめます。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

子どもや若い方で、進むふらつきと眼球運動失行がある方、血液検査で低アルブミン・高コレステロールやAFPの上昇がある方、きょうだいがAOAと診断され、ご自身やパートナーが保因者か知りたい方です。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検査料は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。検体は血液・唾液・口の内側の粘膜などで、唾液・口の粘膜ならオンライン診療でも受けられます。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。型が確定すれば、きょうだいが発症する確率は4分の1です。ご家族の検査や、意義がまだわからない変化(VUS)の扱いもご説明します。

\ 一生変わらない遺伝子を知って、これからの計画に /

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検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

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1. 眼球運動失行を伴う運動失調症(AOA)とは|遺伝性脊髄小脳変性症のひとつ

眼球運動失行を伴う運動失調症は、小脳や末梢神経の神経細胞が少しずつ傷んでいく、常染色体潜性(劣性)遺伝の神経の病気です。ふらつき(小脳失調)、眼球運動失行、手足のしびれや筋力低下(末梢神経障害)が組み合わさって現れ、頭部MRIでは小脳萎縮がみられます。英語の ataxia with oculomotor apraxia の頭文字をとって、AOAと呼ばれます。

日本の指定難病の「脊髄小脳変性症」は、運動失調などを主な症状とする神経の病気の総称で、遺伝性のものと遺伝性でないもの(孤発性)があります。AOAは、そのうちの劣性遺伝の型にあたります。日本でAOA1は「眼球運動失行と低アルブミン血症を伴う早発型失調症(EAOH)」という名前でも知られています[2]。

眼球運動失行とは:横を見るとき、目より先に頭が動く

眼球運動失行は、見たいものに向かって視線をすばやく移す動き(衝動性眼球運動)を始めにくくなる症状です。目そのものは動くのに、自分の意思で視線を切り替えにくいため、横のものを見るときに、目より先に頭を回して視線を移すようになります。字を目で追う、横から来たものに気づく、といった日常の動作にも影響します。

ただし、眼球運動失行がはっきりしない方もいます。AOA2では眼球運動失行がみられるのは約半数(約51%)と報告されており[4]、AOA1でも、遺伝子の変化の種類によって眼球運動失行が出ない方がいることが、日本の58人の研究で示されています[3]。病名に「眼球運動失行」とあっても、それがないから違う、とは言えません。

AOA1〜4型の違い

AOAは、原因の遺伝子ごとにAOA1(APTX)・AOA2(SETX)・AOA4(PNKP)に分かれ、発症の時期や血液検査の手がかりが少しずつ違います。AOA3は、PIK3R5遺伝子との関連が1家系で報告されました[6]。しかし、遺伝子と病気の関係を評価する国際的な枠組みClinGenは、2025年4月9日の評価でこの関連を「Disputed(関連に疑義あり)」としています。型がわかると、見張るべき合併症も決まります。

🧬 AOA1〜4型の違い

型(遺伝子) 発症の時期 血液検査の手がかり ほかの特徴
AOA1(APTX) 子どものころ(早発型) アルブミンが下がり、総コレステロールが上がる(アルブミンの低下は経過の後半に目立つ) 末梢神経障害。日本では劣性遺伝の運動失調症の原因として最も多い
AOA2(SETX) 3〜30歳(ある報告では平均14.6歳) AFP(α-フェトプロテイン)が95%以上の方で上昇。総コレステロールは約半数で上昇 末梢神経障害が90%以上。眼球運動失行は約半数
AOA3(PIK3R5・関連に疑義あり) 報告が少なく、まとまったデータはない 報告が1家系のみで、確かな傾向はまだわかっていない AOA2に似た症状で、SETXに変化がなかった1家系で報告。ClinGen(2025年4月)は関連を「Disputed(疑義あり)」と評価
AOA4(PNKP) 1〜9歳(平均4.3歳、11人の報告) アルブミン低下は11人中6人、コレステロール上昇は5人、AFPの軽い上昇は5人 ジストニア(体がねじれる不随意運動)が11人中8人で、最初の症状のことが多い。認知機能の低下は7人

※AOA1は文献[1][2]、AOA2は文献[4][5]、AOA3は文献[6]とClinGenの評価(2025年4月9日)、AOA4は文献[7](ポルトガルの患者さん11人)による。数字は報告された集団での値で、一人ひとりに当てはまるとは限りません。

日本では劣性遺伝の型の中で多いAOA1(EAOH)

AOA1は、日本では劣性遺伝の運動失調症の原因として最も多く、ポルトガルではフリードライヒ運動失調症に次いで2番目に多いと報告されています[1]。原因のAPTX遺伝子は、2001年に日本とポルトガルの研究グループがそれぞれ同時に見つけました[1][2]。

難病情報センターの解説では、平成15年の研究班の解析で、脊髄小脳変性症の67.2%が孤発性、27%が常染色体顕性(優性)遺伝性、1.8%が常染色体潜性(劣性)遺伝性とされ、劣性遺伝性の病型として「眼球運動失行と低アルブミン血症を伴う早発性運動失調症」が挙げられています(2026年10月時点で確認)。劣性遺伝の型は脊髄小脳変性症の中では少数ですが、そのなかでAOA1は日本で中心となる病気です。

原因:DNAの切れ目を直すしくみ(一本鎖切断修復)が働かない

AOAの原因遺伝子の多くは、DNAの傷を直すしくみに関わっています。APTX遺伝子がつくるアプラタキシンと、PNKP遺伝子がつくるポリヌクレオチドキナーゼ・ホスファターゼは、どちらもDNAの片側の鎖が切れた傷(一本鎖切断)を直す過程で、切れ目の端を整える役目をもちます[2][8]。このしくみは、DNAの切れ目を直すしくみ(塩基除去修復・一本鎖切断修復)として知られています。

SETX遺伝子がつくるセナタキシンは、酵母のRNAヘリカーゼ(Sen1p)とよく似たタンパク質で、RNAがつくられる過程に関わります[5]。DNAとRNAがからまった構造(Rループ)をほどく働きも注目されています。神経細胞は一生入れ替わらないため、毎日生じるDNAの傷を直せないことの影響が、とくに小脳や末梢神経に出やすいと考えられています。

症状の進み方と見通し(予後)・余命

AOAはゆっくり進む病気で、型と遺伝子の変化の種類によって進み方に差があります。遺伝性疾患の解説書GeneReviewsでは、AOA2で移動に車椅子が必要になるのは、多くの場合30歳までとされています[4]。

AOA1では、日本の58人(39家系)を調べた研究で、APTX遺伝子のc.689_690insTという変化を両方の染色体にもつ方は、ほかの変化の方より歩行障害が早く進み、全員が15歳より前に眼球運動失行を示し、約半数に認知機能の低下がみられました。一方、ほかの変化(p.Pro206Leu・p.Val263Gly)をもつ方では、認知機能の低下はみられませんでした[3]。同じAOA1でも、どの変化をもつかで見通しが変わることが、遺伝子の変化まで確かめる意味のひとつです。

「脊髄小脳変性症 余命」と検索される方も多いのですが、AOAの寿命を数字で示せるほどのまとまったデータは、確かめた文献の中にはありませんでした。見通しは型・変化の種類・合併症への備えによって変わるため、個別に主治医と確かめていくことが大切です。

似た病気との見分け:毛細血管拡張性運動失調症・フリードライヒ運動失調症

AOA1は、早くからの運動失調・眼球運動失行・小脳萎縮という点で毛細血管拡張性運動失調症とよく似ていますが、免疫不全・染色体の不安定さ・放射線への弱さはみられません[1]。AFPはAOA2でも上がりますが、毛細血管拡張性運動失調症よりは低い値とされています[4]。

AOA1は、腱反射がなくなるなどフリードライヒ運動失調症に似た症状を示すこともあります[2]。フリードライヒ運動失調症の多くは、FXN遺伝子の繰り返し配列(GAAリピート)が伸びることで起こるため、遺伝子の文字を読むこの検査とは別に、リピート伸長を測る検査が必要です。

2. 脊髄小脳変性症は遺伝する?劣性遺伝(潜性遺伝)の場合の確率

脊髄小脳変性症が遺伝するかどうか、どのくらいの確率かは、型によってまったく違います。遺伝性の脊髄小脳変性症の多くは顕性(優性)遺伝ですが、AOAは常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)で、確率の考え方が逆になります。ここでは、AOAの場合に「父親から?母親から?」「きょうだいは?」「子どもや孫は?」という疑問に、順番にお答えします。

💡 用語解説:保因者

対になった2つの遺伝子のうち、片方にだけ病気の原因となる変化をもち、症状のない人を「保因者」といいます。潜性(劣性)遺伝の病気は、両方の遺伝子に変化がそろったときに発症します。保因者であること自体は、ご本人の健康に影響しないのがふつうです。

父親から?母親から?:ご両親は、ふつう症状のない保因者

AOAのお子さんは、父親と母親の両方から1つずつ、同じ遺伝子の変化を受け継いで発症します。そのため、ご両親はふつう、症状のない保因者です[4]。「父親から遺伝した」「母親から遺伝した」のどちらか一方ではなく、両方から受け継いでいるのが潜性遺伝の特徴です。ご両親のどちらにも症状がなく、家系にほかに患者さんがいなくても、お子さんが発症することがあるのはこのためです。

遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。人は誰でも、いくつかの潜性遺伝の病気の保因者だと考えられています。

きょうだいが発症する確率は4分の1、保因者は2分の1

ご両親がともに保因者の場合、患者さんのきょうだいは、4分の1の確率で発症し、2分の1の確率で保因者になり、4分の1の確率でどちらでもありません[4]。この確率は妊娠のたびに同じで、上のお子さんが発症したかどうかで下のお子さんの確率は変わりません。また、ご両親のきょうだい(患者さんのおじ・おば)は、2分の1の確率で保因者です[4]。

患者さんのお子さん・お孫さんへの確率:パートナーが保因者でなければ発症しない

患者さんは同じ原因遺伝子の両方に病的な変化をもっているので、お子さんには必ずどちらか一方の変化が伝わります。パートナーの方が同じ原因遺伝子の病的な変化をもたない場合、お子さんは全員が保因者となり、AOAは発症しません。パートナーの方が同じ原因遺伝子の保因者なら、お子さん1人あたり2分の1の確率で発症します。

お孫さんの確率も同じ考え方で、保因者であるお子さんと、その配偶者が同じ遺伝子の保因者かどうかで決まります。「脊髄小脳変性症は孫に遺伝するのか」という疑問には、潜性遺伝の型では、配偶者の検査で具体的に答えられる、というのが答えです。仕組みをもっと詳しく知りたい方は、劣性遺伝(潜性遺伝)の保因者のしくみと、子どもへ遺伝する確率もご覧ください。

優性遺伝の脊髄小脳変性症(SCA3・SCA6など)との違い

日本で多い遺伝性の脊髄小脳変性症は、マシャド・ジョセフ病(SCA3)や脊髄小脳失調症6型(SCA6)など、顕性(優性)遺伝の型です。顕性遺伝では、病気のある親から、お子さん1人あたり2分の1の確率で受け継がれます。多くは遺伝子の中の繰り返し配列(リピート)が伸びることで起こるため、遺伝子の文字を読むこの検査では見つけられず、運動失調リピート伸長遺伝子パネル検査で調べます。

親やきょうだいに大人になってから発症した方がいて、何代にもわたって患者さんがいる場合は、顕性遺伝の型を先に考えます。子どもや若い年代での発症で、ご両親に症状がない場合は、AOAのような潜性遺伝の型を考えます。どちらの検査が合うかは、遺伝カウンセリングでご家族の情報をうかがって決めます。

3. この検査を受けるとよい方・別の検査が向いている方

子どもや若い方の進むふらつきに、眼球運動失行・末梢神経障害・血液検査の手がかりが重なっている方に向く検査です。症状や見た目だけでは、AOAのどの型か、そもそもAOAかを決めることはできません。初期症状が似ていても原因の遺伝子はさまざまで、検査を受けてはじめて、次の計画が立てられます。

子ども・若い方に、進むふらつきと眼球運動失行がある

歩くとふらつく、走るとよく転ぶ、ろれつが回りにくい、といった症状が子どものころから少しずつ進み、横を見るときに頭から動く、手足の腱反射が弱い、MRIで小脳萎縮があると言われた――こうした方は、AOAを含む劣性遺伝の脊髄小脳変性症を考える目安になります。ジストニアなどの不随意運動から始まる場合は、AOA4も候補になります[7]。

血液検査で低アルブミン・高コレステロール、またはAFPの上昇がある

血液検査は、型をしぼる大事な手がかりです。アルブミンの低下とコレステロールの上昇はAOA1で知られ[1]、AFPの上昇はAOA2の95%以上でみられます[4]。AOA4でも、アルブミン低下・コレステロール上昇・AFPの軽い上昇がそれぞれ一部の方で報告されています[7]。ただし、手がかりがそろわない方もいるので、血液検査が正常でもAOAは否定できません。

きょうだいがAOAと診断された・ご自身やパートナーが保因者か知りたい

きょうだいがAOAと診断された方は、ご自身が保因者かどうか(症状のない年齢の方は、発症するかどうかも)を知りたいと考えることがあります。この4遺伝子(APTX・SETX・PIK3R5・PNKP)は、当院の拡大版保因者スクリーニング(女性版787遺伝子・女性版1009遺伝子・男性版911遺伝子)の対象遺伝子一覧には入っていません(2026年10月時点の一覧で確認)。そのため、ご家族で原因の変化がわかっていればその変化をピンポイントで、パートナーの方は、この検査で4遺伝子に変化がないかを調べる、という形になります。

この検査より別の検査が向いている場合

症状と血液検査からAOAにしぼれている方は、この検査が向いています。なお、PIK3R5は下の表の運動失調症パネルには入っていませんが、AOA3との関連には疑義があるため、PIK3R5を調べられることを理由にこの検査を選ぶ必要はありません。型をしぼれないときは、もっと多くの遺伝子を調べる検査のほうが向いています。料金は、この4遺伝子パネルと、下の表の早期発症運動失調症パネル・運動失調症パネルが税込330,000円です。リピート伸長パネルと全エクソーム検査の料金は、それぞれ表に記載しています。

🔍 症状に合わせた検査の選び方

こんなとき 向いている検査
眼球運動失行・末梢神経障害に、低アルブミン・高コレステロールかAFP上昇がそろい、AOAにしぼれている このページの検査(4遺伝子)
子どものころからの運動失調だが、型をしぼれない(毛細血管拡張性運動失調症なども見分けたい) 早期発症運動失調症遺伝子パネル(134遺伝子)。APTX・SETX・PNKPを含み、PIK3R5は含まない
発症の時期を問わず、運動失調の原因を広く調べたい 運動失調症遺伝子パネル(153遺伝子)。APTX・SETX・PNKPを含み、PIK3R5は含まない
大人になってからの発症、何代にもわたる家族歴(顕性遺伝の型)、フリードライヒ運動失調症が疑われる 運動失調リピート伸長遺伝子パネル(18遺伝子・税込495,000円)
神経以外の症状も多く、病気をしぼれない 全エクソーム検査(WES)(税込660,000円)

※遺伝子数・料金は、2026年10月時点の当院の各検査ページによる。どの検査が合うかは、症状・診察所見・ご家族の情報で変わります。遺伝カウンセリングで一緒に決めましょう。

\ 型がわかれば、見張ることと家族の計画が決まります /

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ご家族で原因がわかれば、妊娠したときの出生前診断(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられます。

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4. 調べる4つの遺伝子と、わかる病気

この検査では、AOA1・AOA2・AOA4の原因遺伝子であるAPTX・SETX・PNKPと、AOA3との関連が報告されたPIK3R5の計4遺伝子を調べます。PIK3R5とAOA3の関連は、ClinGenの2025年評価で「Disputed(関連に疑義あり)」とされており、変化が見つかっても、それだけでAOA3とは診断できません。同じ遺伝子の別の変化が、AOA以外の病気の原因になることもあります。

🧪 対象遺伝子(4遺伝子)と関係する病気

遺伝子 関係する病気 遺伝のしかた
APTX 眼球運動失行を伴う運動失調症1型(AOA1)=眼球運動失行と低アルブミン血症を伴う早発型失調症(EAOH) 常染色体潜性(劣性)
SETX 眼球運動失行を伴う運動失調症2型(AOA2)/若年性筋萎縮性側索硬化症4型(ALS4)。ALS4の遺伝子はALS(筋萎縮性側索硬化症)遺伝子検査でも調べます AOA2は常染色体潜性(劣性)、ALS4は常染色体顕性(優性)
PIK3R5 眼球運動失行を伴う運動失調症3型(AOA3)との関連が1家系で報告。ClinGenの2025年評価では関連に疑義あり(Disputed) 報告された家系では常染色体潜性(劣性)
PNKP 眼球運動失行を伴う運動失調症4型(AOA4)/小頭症・けいれん・発達遅滞(MCSZ。小頭症遺伝子パネルでも調べます)/シャルコー・マリー・トゥース病2B2型(CMT2B2) いずれも常染色体潜性(劣性)

※対象遺伝子は当院の検査内容による。病気と遺伝のしかたは、AOA1は文献[1][2]、AOA2・ALS4は文献[4][5][10]、AOA3は文献[6]とClinGenの評価(2025年4月9日)、AOA4は文献[7]、MCSZは文献[8]、CMT2B2は文献[9]による。

SETX遺伝子では、AOA2は両方の遺伝子に変化がそろって起こりますが、ALS4は片方の特定の変化(ミスセンス変化)で起こる別の病気です[4][10]。PNKP遺伝子では、変化の組み合わせによって、重い小頭症とけいれん(MCSZ)から[8]、AOA4[7]、末梢神経が中心のCMT2B2[9]まで、症状の幅が広いことがわかっています。同じ遺伝子でも、どの変化かによって意味が変わるため、結果は症状とあわせて臨床遺伝専門医が解釈します。

5. この検査でわかること・わからないこと

この検査は、次世代シークエンサーで4遺伝子のタンパク質をつくる部分(コード領域)と、その境目(スプライス部位)の文字を読み、病気の原因となる変化がないかを調べます。一方で、遺伝子検査には必ず限界があります。

わかること

  • ●遺伝子の文字(塩基)が1つ変わる変化や、小さな挿入・欠失
  • ●遺伝子1つ分の欠失・重複(口の粘膜・血液の検体)、連続する2つ以上のエクソンの欠失・重複(血液の検体のみ)。見つかった欠失・重複は、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します
  • ●同じ遺伝子に病的な変化が2つあるか、1つだけか(1つだけなら保因者の可能性)。2つ見つかった場合、それが父由来・母由来の別々のコピーにあるかは、この検査だけではわからないことがあり、ご両親の検査で確かめます

わからないこと(検査の限界)

  • ●繰り返し配列(リピート)の伸長:SCA3・SCA6などの顕性遺伝の脊髄小脳変性症や、フリードライヒ運動失調症の原因は見つけられません
  • ●1つのエクソンだけの欠失・重複:見つかることはありますが、ふつうは検出できません
  • ●遺伝子の調節部分・深いイントロンの変化、染色体の転座や逆位:調べる範囲に入っていません
  • ●モザイク(体の一部の細胞にだけある変化):見つけることを目的とした検査ではありません
  • ●4遺伝子以外の原因:AOAに似たほかの運動失調症の遺伝子は調べていません(第3章の選び方の表を参照)
🔬 専門的な検査の精度(クリックで開く)

調べる範囲の99%以上を、同じ場所を20回以上読み取る深さ(20x)で読んでいます(カバレッジ ≥99% at 20x)。同じ場所を何度も読むほど、読み間違いの影響を小さくできます。読み取りの質が基準に届かない部分や、見つかった変化の確認には、サンガー法という別の方法を使います。よく似た配列(偽遺伝子など)がある部分では、解析で影響を小さくしていますが、変化を見つけにくくなることがあります。

陰性でもAOAを否定できない理由と、VUS

原因の変化が見つからなかった(陰性)からといって、AOAではないとは言い切れません。上に挙げた検出できない変化が原因のこともあれば、4遺伝子以外の病気のこともあります。また、病気の原因かどうかまだ判断できない変化(VUS)が見つかることがあります。VUSは、それだけで診断に使ったり、ご家族の検査に使ったりはしません。

6. 結果が出たあと(陽性・陰性・VUS)

結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。

陽性だったとき:同じ原因遺伝子の両方に病的な変化があるかを確認

APTX・SETX・PNKPのいずれかで、父由来・母由来の両方のコピーに病的な変化があり、症状とも一致すれば、AOA1・AOA2・AOA4の診断が確定します。異なる2つの変化が見つかっても、同じ側のコピーに並んでいる場合は発症の原因にならないため、必要に応じてご両親の検査で、どちら由来かを確かめます。病名が決まると、型に合わせて見張る合併症、使える制度、ご家族への影響が決まります(第7章)。変化が1つだけ見つかった場合は、保因者である可能性と、検出できない2つ目の変化がある可能性の両方を、症状とあわせて考えます。PIK3R5に変化が見つかった場合は、AOA3との関連に疑義があることを踏まえ、それだけでAOA3とは診断せず、症状やほかの検査とあわせて慎重に判断します。

陰性だったとき

原因が見つからなかった場合は、症状に合わせて、早期発症運動失調症遺伝子パネル・リピート伸長の検査・全エクソーム検査などを考えます。

VUSが見つかったとき

VUSは、研究が進んで、のちに意味がはっきりすることがあります。ご家族の協力で、症状のある方とない方の結果を比べると、判断の手がかりになることもあります。結果の伝え方については、当院の二次的所見の開示方針もあわせてご覧ください。

結果の報告書(日本語版・英語版)

結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。報告書の読み方は、遺伝子検査結果の見かたで解説しています。

7. 病的変異が見つかったら、次にできること

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。一度の検査でわかったことは、ご本人の健康管理だけでなく、ご家族の検査や、これからの妊娠・出産の計画を考えるときにも、ずっと使える情報になります。立場ごとに、わかったあとにできることをまとめます。

ご本人(症状がある方):型に合わせて見張ることが決まる

2026年10月時点で、AOAの原因そのものを治す治療は確立されていません。そのなかでも、型がわかると備えが具体的になります。GeneReviewsは、AOA2では末梢神経障害に対する理学療法、必要に応じた車椅子、学業を支える工夫(音声入力ソフトなど)を挙げ、コレステロールを定期的に確かめ、コレステロールを控えた食事をとることを勧めています[4]。AOA1ではアルブミンとコレステロールの変化が[1]、AOA4ではジストニアや認知機能の変化が[7]知られており、何を見張ればよいかの手がかりになります。治療やリハビリは、神経内科などの専門の医療機関で受けていただきます。

保因者とわかった方:パートナーの検査で、お子さんへの確率がわかる

保因者であること自体は、ふつうご本人の健康には影響しません。お子さんへの影響は、パートナーの方が同じ遺伝子の保因者かどうかで決まります。4遺伝子は拡大版保因者スクリーニングの一覧に入っていないため、パートナーの方は、この検査で同じ遺伝子に変化がないかを調べられます。ふたりとも保因者なら、お子さん1人あたり4分の1の確率で発症します。パートナーの方が同じ原因遺伝子の病的な変化をもっていなければ、お子さんは発症しません。ただし、検査で変化が見つからなかった場合でも、検査では検出できない変化をもつ可能性はゼロではないため、残る可能性も含めて遺伝カウンセリングでご説明します。

子どもを持つときの選択肢

ご家族で原因の遺伝子の変化がわかっていれば、妊娠したときに、赤ちゃんで同じ変化があるかを調べられます。GeneReviewsも、ご家族の変化がわかっていれば出生前の検査や着床前の検査が可能としています[4]。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。羊水検査・絨毛検査は院内で行っています(2025年6月から産婦人科を併設)。その病気で出生前診断を行えるかは、病気の重さや国内の指針を踏まえて個別に判断しますので、妊娠を考えている段階からご相談ください。

なお、この4遺伝子は、当院のNIPT(ダイヤモンドプラン・インペリアルプラン)の対象遺伝子には入っていません。日本でも、日本産科婦人科学会の指針にもとづく審査を経て、PGT-Mが行われています(当院は体外受精・PGT-Mを行っていません)。準備に必要なことは海外でPGT-Mを考えている方へで解説しています。もちろん、特別な検査をせずに妊娠・出産することも、そのまま選べる選択肢のひとつです。どの選択も尊重します。

ご家族:見つかった変化を、ピンポイントで調べられる

ご家族の中で原因の変化がわかると、きょうだい・親・いとこなどの血縁の方は、同じ変化をもっているかをピンポイントで調べられます。ご両親のきょうだいは2分の1の確率で保因者なので[4]、その方々が結婚・妊娠を考えるときの手がかりにもなります。症状のない方の検査は、ご本人の同意のうえで行います。

当院でのその後

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングでご説明し、次にどうするかを一緒に考えます。ご家族の検査、パートナーの検査、妊娠したときの出生前診断まで、当院で続けて相談していただけます。遺伝カウンセリング料は30分22,000円(税込)、出生前診断に関する遺伝カウンセリングは30分33,000円(税込)です。

8. 日本の制度:指定難病と小児慢性特定疾病(2026年10月時点)

AOAは、指定難病18「脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く)」に含まれる劣性遺伝性の病型にあたります。難病情報センターの解説(令和7年12月更新)では、劣性遺伝性の病型として「眼球運動失行と低アルブミン血症を伴う早発性運動失調症」が挙げられ、遺伝子診断で確定したものは診断基準の「Definite(確実)」にあたります。医療費の助成は、重症度の基準(日常生活の状態・食事や栄養・呼吸のいずれかが一定以上)を満たす方に加え、基準を満たさなくても、月ごとの医療費の総額(10割)が33,330円を超える月が年間3か月以上ある方(軽症高額該当)も対象になります(難病情報センターの資料、令和8年7月版)。

小児慢性特定疾病でも、神経・筋疾患の対象疾病に「脊髄小脳変性症」が掲載されています(2026年10月時点で確認)。認定の基準や申請の方法は、難病情報センター・小児慢性特定疾病情報センターや、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。遺伝子検査で原因が確定していることは、申請の手がかりになります。

9. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体

検査料は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。唾液・口の内側の粘膜の検体なら、オンライン診療で受けられます。

ご予約
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
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検体の提出お支払い後にキット送付
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結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

💴 費用・日数・検体

項目 内容
調べる遺伝子 APTX・PIK3R5・PNKP・SETX(4遺伝子)
検査料 税込330,000円(塩基配列の解析と欠失・挿入の解析を含む)
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査料とは別
結果までの期間 2〜3週間
オプション 至急(結果までの期間が約7日短くなります):55,000円/VUS除外(意義がまだわからない変化を報告に載せない):無料
検体 血液(EDTA採血管4ml×2本・紫色キャップ)、抽出したDNA(EBバッファー中3μg)、口の内側の粘膜(頬粘膜スワブ)、唾液(ご希望により採取キットをお送りします)
オンライン診療 唾液・口の内側の粘膜・血液のいずれもオンライン診療で受けられます。血液の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。※連続する2つ以上のエクソンの欠失・重複まで調べるのは血液の検体だけです(第5章)

※ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査料の割引はありません)。

この検査は、遺伝診療先進国・米国の3大遺伝子検査会社の一角で行います。※

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただきます。検体採取キットは、検査料金をお支払いいただいたあとにお送りします。検体の取り違えを防ぎ、検査に使える品質を保つため、ご自身の判断で先に検体を採らないでください。

遺伝カウンセリングでは、検査で何がわかり、何がわからないか、結果がご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。

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10. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「親に症状がないのに、なぜ」に答えを出す】

潜性(劣性)遺伝の病気では、ご両親に症状がなく、家系にほかの患者さんがいないことがほとんどです。だからこそ、お子さんの病気がわかったとき、「なぜうちの子が」「自分たちの何がいけなかったのか」と考えてしまう親御さんがいます。けれども、遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。原因がはっきりすることは、その問いに医学的な答えを出すことでもある、と考えています。

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。AOAでも、どの遺伝子のどの変化かによって、見通しも、きょうだいの方が保因者かどうかを調べる方法も変わります。

わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。原因がわかれば、次のお子さんで同じことが起こる可能性がどれくらいあるか、そして次の妊娠でどう備えられるかを、具体的に考えられるようになります。きょうだいの方が将来、結婚や妊娠を考えるときにも、その結果が手がかりになります。どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 脊髄小脳変性症は父親から(母親から)遺伝しますか?

型によって違います。遺伝性の脊髄小脳変性症の多くは顕性(優性)遺伝で、病気のある親から、お子さん1人あたり2分の1の確率で受け継がれます。一方、眼球運動失行を伴う運動失調症(AOA)は潜性(劣性)遺伝で、お子さんは父親と母親の両方から1つずつ変化を受け継いだときに発症します。ご両親はふつう、症状のない保因者です。

Q2. 脊髄小脳変性症は子どもや孫に遺伝しますか?

AOAのような潜性(劣性)遺伝の型では、パートナーの方が同じ原因遺伝子の病的な変化をもたない場合、患者さんのお子さんは全員が保因者となり、発症しません。パートナーの方が同じ原因遺伝子の保因者なら、お子さん1人あたり2分の1の確率で発症します。お孫さんの確率も、お子さんとその配偶者の遺伝子の状態によって変わります。顕性(優性)遺伝の型では、お子さん1人あたり2分の1です。どちらの型かは、遺伝子検査で原因を確かめるとわかります。

Q3. きょうだいがAOAと診断されました。自分も発症しますか?

ご両親がともに保因者の場合、きょうだいが発症する確率は4分の1、保因者になる確率は2分の1、どちらでもない確率は4分の1です。保因者かどうかは症状ではわかりませんが、きょうだいで見つかった変化を調べることで確かめられます。発症するかどうかは、型と年齢によって考え方が変わるので、遺伝カウンセリングでご説明します。

Q4. 脊髄小脳変性症の遺伝子検査はどこで受けられますか?費用はいくらですか?

当院では、眼球運動失行を伴う運動失調症の4遺伝子を調べる検査を、税込330,000円でお受けしています。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。唾液・口の内側の粘膜の検体なら、オンライン診療でも受けられます。顕性遺伝の型を調べるリピート伸長の検査など、目的に合う検査もご案内します。

Q5. 家族に脊髄小脳変性症の人がいると、結婚に差し支えますか?

遺伝の確率は、型とご家族によって違います。潜性(劣性)遺伝のAOAでは、ふたりとも同じ原因遺伝子の保因者である場合、お子さん1人あたり4分の1の確率で発症します。一方が発症者で、もう一方が同じ原因遺伝子の保因者である場合は、2分の1です。ご自身とパートナーの方の遺伝子の状態を確かめ、検査の限界も踏まえて、お子さんへの確率を考えます。知ったうえで、妊娠の計画や出生前診断を選ぶこともできます。結婚は、遺伝の病気の有無で決められるものではなく、おふたりが納得して選ぶものだと考えています。

Q6. 何歳から発症しますか?

型によって違います。AOA4(PNKP)はポルトガルの11人の報告で1〜9歳(平均4.3歳)、AOA2(SETX)は3〜30歳の報告があります。AOA1(APTX)は子どものころに始まる早発型の病気です。発症の時期には個人差があります。

Q7. 遺伝を予防する方法はありますか?

遺伝子の変化そのものを変えることはできません。ただ、ご家族の原因がわかっていれば、パートナーの方の検査でお子さんへの確率がわかり、妊娠したときに絨毛検査・羊水検査で赤ちゃんに同じ変化があるかを調べることもできます。当院では絨毛検査・羊水検査を院内で行っています。どの選択をするかは、遺伝カウンセリングで一緒に考えていきます。

Q8. 治療法はありますか?

2026年10月時点で、病気の原因そのものを治す治療は確立されていません。リハビリ、歩行の補助具、型に合わせた合併症の確認(AOA2ではコレステロールの定期的な確認など)が中心です。治療は神経内科などの専門の医療機関で受けていただきます。型がわかることは、何を見張ればよいかを決める手がかりになります。

🧬 一度の検査で、ご本人とご家族のこれからを考える

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。眼球運動失行を伴う運動失調症の原因がわかれば、型に合わせた合併症への備えだけでなく、きょうだいの方の保因者検査や、次の妊娠の計画を考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断まで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

参考文献

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  • [3] Yokoseki A, Ishihara T, Koyama A, et al. Genotype-phenotype correlations in early onset ataxia with ocular motor apraxia and hypoalbuminaemia. Brain. 2011;134(Pt 5):1387-1399. [DOI: 10.1093/brain/awr069]
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  • [7] Bras J, Alonso I, Barbot C, et al. Mutations in PNKP cause recessive ataxia with oculomotor apraxia type 4. Am J Hum Genet. 2015;96(3):474-479. [DOI: 10.1016/j.ajhg.2015.01.005](PMID: 25728773)
  • [8] Shen J, Gilmore EC, Marshall CA, et al. Mutations in PNKP cause microcephaly, seizures and defects in DNA repair. Nat Genet. 2010;42(3):245-249. [DOI: 10.1038/ng.526]
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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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