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ALSは遺伝する?家族性ALSの遺伝子検査(43遺伝子)|親がALSの方へ・SOD1と治療の選択

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

ALSは遺伝する?家族性ALSの遺伝子検査(43遺伝子)

ALS(筋萎縮性側索硬化症)は遺伝することがあります。ただし、多くは家族にほかの患者さんがいない「孤発性」で、家族の中で発症する家族性ALSは、ALS全体の約5〜10%です。家族歴がなくても遺伝子の変化が見つかる方もいるため、ALSの原因が遺伝子にあるかどうかは、遺伝子検査で確かめるのがいちばん確実です。生まれ持った遺伝子は一生変わりません。一度の検査でわかったことは、治療の選び方、ご家族の検査、結婚や妊娠の計画まで、この先ずっと使える情報になります。このページでは、ALSが遺伝する確率、日本人に多い原因遺伝子(SOD1・FUS・C9orf72など)、43遺伝子を一度に調べるALS遺伝子パネル検査でわかること、変化が見つかったあとにできることを、臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. ALSは遺伝する?この検査で何がわかりますか?

ALSの多くは孤発性で、家族性ALSは全体の約5〜10%です。この検査では、SOD1・FUS・TARDBP・C9orf72(リピート伸長を含む)など、ALSとALSに似た病気に関わる43遺伝子を一度に調べ、ALSの原因となる遺伝子の変化があるかを確かめます。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

ALSと診断された方・疑われている方、若くして発症した方、ご家族にALSや前頭側頭型認知症の方がいる方です。親やきょうだいがALSで、ご自身は症状のない方の発症前の検査も、遺伝カウンセリングで考えたうえでお受けしています。

🧬 Q. ALSの遺伝子検査の費用・日数・検体は?

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・頬の粘膜のいずれかで、オンライン診療にも対応しています。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。たとえばSOD1の変化が見つかったALSには、日本でも承認されているトフェルセンという治療薬があります。ご家族の検査、意義がまだわからない変化(VUS)の扱いもご説明します。

\ 一生変わらない遺伝子を知って、これからの計画に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

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1. ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは:運動ニューロンが少しずつ弱っていく病気

ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に使う筋肉が、少しずつやせて力を失っていく病気です。筋肉そのものではなく、筋肉を動かす命令を伝える神経(運動ニューロン)が弱っていくことで起こる、運動ニューロン疾患の代表です。英語の amyotrophic lateral sclerosis の頭文字をとって、ALSと呼ばれます。

運動ニューロンには、脳から脊髄へ命令を送る「上位運動ニューロン」と、脊髄から筋肉へ命令を届ける「下位運動ニューロン」があり、ALSではその両方が障害されます。一方で、体の感覚や、見る・聞く働き、内臓の働きは、一般に保たれます。

難病情報センターによると、日本の患者数は令和5年度で9,727人、1年間に新たにALSにかかる人は人口10万人あたり平均2.2人です。かかりやすい年齢は60〜70代で、男性は女性の1.3〜1.5倍とされています(2026年10月時点で確認)。

ALSの初期症状と経過

ALSの初期症状は、手指の使いにくさや腕・足の力の弱さ、話しにくさや飲み込みにくさなどで、どこから始まるかは人によって違います。箸が使いにくい、ボタンがかけにくい、つまずきやすい、ろれつが回らない、水でむせる、筋肉がやせる、筋肉が細かくぴくつく(線維束性収縮)といった変化がみられます。

ALSは進行する病気で、難病情報センターは、人工呼吸器を使わない場合、病気になってから亡くなるまでの期間をおおよそ2〜5年としています。ただし進み方には大きな個人差があり、遺伝性疾患の解説書GeneReviewsも、約半数の方は発症から5年以内に亡くなるとしたうえで、それより長く過ごす方がいることを示しています[1]。寿命や進行速度は、原因の遺伝子によっても違います。日本の家族性ALSのデータをまとめた総説では、FUS遺伝子の変化による家族性ALSの平均の生存期間は33か月、SOD1遺伝子の変化による家族性ALSの平均の罹病期間は4.9年と報告されています[2]。

ALSと筋ジストロフィーの違い

ALSと筋ジストロフィーは、どちらも筋肉がやせて力が弱くなるため、よく比べられます。筋ジストロフィーは筋肉そのものが壊れやすくなる病気、ALSは筋肉を動かす神経(運動ニューロン)の病気です。原因の遺伝子も、調べる検査も違います。このページの検査は、ALSと、ALSに似た運動ニューロンの病気に関わる遺伝子を調べる検査です。

ALSと前頭側頭型認知症(FTD):同じ遺伝子で起こることがある

ALSと前頭側頭型認知症(FTD)は、同じ遺伝子の変化で起こることがあり、ひとつながりの病気(ALS–FTDスペクトラム)と考えられています。2017年の改訂診断基準は、ALSの方の50%を超える方に、段取りをつける力の低下や行動の変化などの認知・行動の障害がみられるとしています[7]。前頭側頭型認知症の診断にあてはまる方は、GeneReviewsでは10%に近いとされています[1]。反対に、前頭側頭型認知症の40人を調べた研究では、12.5%が運動ニューロン疾患を併発していました[8]。

2つの病気をつなぐ手がかりが、TDP-43というタンパク質です。ALSの90%を超える方で、TDP-43が神経細胞の中で異常にたまっていることがわかっており、前頭側頭型認知症の一部でも同じ変化がみられます[9]。遺伝子では、C9orf72遺伝子の変化(前頭側頭型認知症±筋萎縮性側索硬化症1(FTDALS1))などが、両方の原因になります。

ご家族に、ALSの方と認知症・行動の変化がある方の両方がいる場合は、同じ遺伝子の変化が背景にある可能性を考えます。認知症の症状が中心なら、アルツハイマー・認知症NGS遺伝子検査パネルのほうが合うこともあります(選び分けは第3章の表)。

2. ALSは遺伝する?家族性ALSと孤発性ALS

ALSは遺伝することがあります。家族の中でALSが起こる家族性ALSは、難病情報センターではALS全体の約5%、GeneReviewsでは約10%とされています[1]。つまり、ALSの多くは家族歴のない孤発性です。ALSのなりやすさに関わる要因のうち、遺伝子の変化は、検査で確かめることができます。ALSの原因の一部は遺伝子にあり、遺伝性のALSでは、原因の遺伝子がわかると、治療や家族の検査の選び方が変わります。

家族性ALSは全体のどれくらい?

家族性ALSの割合は、調べ方や「家族歴」の定義によって5〜10%と幅があります。家族性ALSでは、半分近くで原因の遺伝子が見つかります。日本のALS研究グループ(JaCALS)が28の遺伝子を調べた研究では、家族性ALSの48.7%(39人中19人)に、病気の原因として知られた遺伝子の変化が見つかりました[3]。

家族歴がなくても遺伝子の変化が見つかることがある(孤発性ALS)

ご家族にALSの方がいない孤発性ALSでも、遺伝子の変化が見つかることがあります。同じ日本の研究では、孤発性ALSの3.0%(469人中14人)に、原因として知られた変化がありました[3]。英国で連続して受診したALSの100人を調べた研究では、21%に病的な(またはその可能性が高い)変化が見つかり、その93%はご家族にALSの方がいませんでした[4]。この割合は国や集団によって違い、欧州と日本を比べた総説では、孤発性ALSで変化が見つかる割合は欧州7.4%、日本2.9%とされています[2]。

家族歴がないのに変化が見つかる理由には、親が症状の出る前に別の病気で亡くなっていた、親の症状が軽かった、変化を受け継いでも発症しないことがある(浸透率が100%ではない)、ご本人の代で新しく起きた変化(新生突然変異(de novo))である、などがあります。このため、米国の専門家パネルによる2023年の指針は、ALSのすべての方に遺伝子検査を提案すべきとしています[12]。

日本人に多い原因遺伝子:SOD1・FUS・C9orf72と欧米との違い

日本人の家族性ALSでいちばん多い原因はSOD1遺伝子の変化で、難病情報センターは約3割としています。日本の家族性ALSを調べた東北大学の研究をまとめた総説では、SOD1の変化が36家系、FUSの変化が12家系、TARDBPの変化が2家系で見つかりました[2]。SOD1は、活性酸素を処理する酵素(スーパーオキシドジスムターゼ1)をつくる遺伝子です。

欧米では事情が違います。GeneReviewsによると、欧米を中心とした家族性ALSでは、C9orf72の変化が39〜45%といちばん多く、SOD1が15〜20%、FUSが約4〜8%、TARDBPが1〜4%です[1]。一方、日本ではC9orf72の変化は少なく、家族性ALSの約1〜2%、孤発性ALSの約0.2%とされています[2]。欧米のデータをそのまま日本人に当てはめることはできません。だからこそ、SOD1やFUSを含め、日本人で大切な遺伝子をまとめて調べることに意味があります。

日本でSOD1以外の遺伝子を調べることについて、「研究段階なのでできない」と説明を受けた方もいるかもしれません。その背景と当院の考え方は、『SOD1以外のALS遺伝子検査は研究段階のためできない』と言われた方へで詳しくご説明しています。

親がALSだと子どもに遺伝する確率は?

家族性ALSの多くは常染色体顕性(優性)遺伝で、親が原因の変化をもっている場合、お子さん1人あたり2分の1の確率で、その変化を受け継ぎます。母親から遺伝するか、父親から遺伝するかで確率は変わりません。息子さんでも娘さんでも同じです。

ただし、変化を受け継ぐことと、ALSを発症することは同じではありません。C9orf72の変化をもつ1,170人のデータをまとめた研究では、発症する確率は年齢とともに上がり、発症年齢の中央値は58.0歳、83歳までにほぼ全員(99.5%)が発症すると推定されました(計算の方法を変えると90.9%)[5]。SOD1でも、変化の種類によって発症のしかたが違い、p.Ile113Thrのように発症しない方がいる・発症が遅い・経過が長いことと関係する変化も知られています[1]。

また、ALSの遺伝子の中には、常染色体潜性(劣性)遺伝のもの(ALS2・SPG11・SIGMAR1による若年性ALSなど)や、X連鎖のもの(UBQLN2)もあります。潜性遺伝の場合、ご両親はふつう症状のない保因者で、ご両親がともに保因者のとき、そのお子さん1人あたりが発症する確率は4分の1です。SOD1にも、まれに潜性遺伝の形をとる変化(p.Asp90Ala)があります[1][2]。「遺伝する確率」は、どの遺伝子のどの変化かがわかって、はじめて具体的にお伝えできます。

家族性ALSの発症年齢

家族性ALSは、孤発性ALSより平均で約5歳早く発症する傾向があります。英国の941人を調べた研究では、平均の発症年齢は家族性ALSで56.2歳、家族歴のないALSで61.5歳でした。家族歴がなくても原因の変化が見つかった方は58.9歳で、発症が早くなる理由は遺伝子の変化にあると考えられています[6]。FUSの変化による家族性ALSは、30〜40代と比較的若い年齢で発症する傾向があると報告されています[2]。20代など若くしてALSを発症した方では、遺伝子の原因を調べる意味がとくに大きくなります。

3. どんな人がALSの遺伝子検査を受けるとよいか

ALSの遺伝子検査は、ALSと診断された方・疑われている方、若くして発症した方、ご家族にALSや前頭側頭型認知症の方がいる方、そして親やきょうだいがALSで、ご自身は症状のない方(家族性ALSの遺伝子検査)に向く検査です。見た目や家族歴だけでは判断できないことが多いので、迷ったら、まず遺伝カウンセリングで状況をお聞かせください。

ALSと診断された方・疑われている方

ALSの診断そのものは、神経内科での診察と神経の検査によって行われます。遺伝子検査は、そのALSの原因が遺伝子にあるかどうかを確かめる検査です。原因がわかると、使える治療(SOD1の変化があるALSに対するトフェルセンなど)、治験に参加できる可能性、ご家族への影響が具体的に決まります(第6章)。先に紹介した2023年の指針も、家族歴の有無にかかわらず、ALSのすべての方に遺伝子検査を提案すべきとしています[12]。

若くして発症した方

ALSは60〜70代に多い病気ですが、20代・30代など若くして発症することもあります。家族性ALSは平均して発症が早く[6]、FUSのように若い年齢での発症と関係する遺伝子や、ALS2・SPG11・SIGMAR1のように若年性ALSの原因になる遺伝子もあります。若い方のALSでは、ご家族に同じ病気の方がいなくても、遺伝子を調べる意味があります。

ご家族にALSや前頭側頭型認知症の方がいる方

あなたの1回の検査が、ご両親・きょうだい・お子さんが自分の状態を知る手がかりになります。ご家族の中で原因の変化がわかれば、ほかのご家族は同じ場所だけを調べることで、受け継いでいるかどうかを確かめられます。ご家族に、ALSの方だけでなく、認知症や行動の変化がある方、パーキンソン症状のある方がいる場合も、背景に共通の遺伝子が関わっていることがあります。

遺伝子検査を受ける理由は、自分のためだけとは限りません。乳がんなどの遺伝子(BRCA1/2)の検査を受けた120人の研究では、遺伝カウンセリングの前に「家族のため」を理由に挙げた方は25.0%でしたが、遺伝カウンセリングのあとでは大きく増えていました[15]。病気は違いますが、ご自身の結果がご家族の役に立つことは、ALSでも同じです。

親・きょうだいがALSで、ご自身は症状のない方(発症前の検査)

親がALSで「自分も遺伝しているのでは」「子どもに遺伝するのでは」と心配な方は少なくありません。症状のない方が、将来発症する可能性を調べる検査を「発症前の検査(予測的検査)」といいます。

当院は、ライフステージごとに患者さんの人生をサポートするという考え方で診療しており、知りたいと願う方を拒むことはしません。遺伝カウンセリングで十分に考えたうえで、ご本人が知りたいと決めた場合は、その意思を尊重して検査まで行います。知らないでいる選択も、同じように尊重します。

先が見えないまま過ごすより、わかったうえで、仕事・結婚や出産・住まい・ご家族の介護の準備など、これからの人生を計画したいと考える方もいます。英国でハンチントン病の発症前検査を受けた方のうち、理由が記録された方の70.5%が「不確かさを減らすため」を、57.7%が「将来の計画のため」を挙げていました[13]。病気は違いますが、「知って計画を立てたい」という思いは、ALSのご家族にも通じるものだと考えています。

結果を知ったあとの気持ちの変化は、陽性でも陰性でも起こりえます。アルツハイマー病のなりやすさに関わる遺伝子の結果を知らせた研究では、知らせたことで短期的に大きな心理的な問題は起きなかった一方、検査の前から強い不安や落ち込みがあった方は、結果を知ったあとにつらくなりやすいことも示されました[14]。だからこそ、検査の前の遺伝カウンセリングで時間をかけて考え、結果のあとも相談を続けられることが大切です。日本医学会のガイドライン(2022年3月改定)も、予防法や治療法が確立されていない病気の発症前の検査では、検査前後の心理への配慮と支援は必須としています。

💡 臨床遺伝専門医の判断:発症前の検査は「ご家族の変化」がわかっているかで変わります

発症したご家族の原因の変化がすでにわかっていれば、症状のない方は、その変化だけをピンポイントで調べるのが基本です。結果は「受け継いでいる」「受け継いでいない」とはっきり出ます。一方、発症したご家族が遺伝子検査を受けていない場合は、症状のない方がこのパネル検査を受けることもできますが、変化が見つからなくても「ALSの遺伝の心配がない」とは言い切れません。ご家族の原因がこの検査で調べられない遺伝子や変化だった可能性が残るためです。可能であれば、まず発症したご家族が検査を受けることをおすすめします。

なお、日本医学会のガイドライン(2022年3月改定)は、成年期以降に発症する病気の発症前の検査を未成年者に行うことについて、原則として本人が成人し自分で判断できるまで延期すべきで、両親などの代わりの同意で行うべきではないとしています。当院もこの考え方にしたがい、未成年の方の発症前の検査は原則として行っていません。

この検査より別の検査が向く場合・受けなくてよい場合

ご家族にALSの方がいなくて、筋肉のぴくつきだけが気になる、というだけの場合は、まず遺伝子検査ではなく神経内科の診察を受けてください。筋肉のぴくつきは、ALSでない人にもよく起こります。ALSを心配しすぎてしまう方こそ、診察で筋力や神経の状態を確かめることが先です。

また、症状によっては、ALSの検査よりほかの検査のほうが合うことがあります。比べる相手は「検査の種類」です。

🔍 症状に合わせた検査の選び方(ALSとパーキンソン病・認知症の違いも)

こんなとき 向いている検査
ALS、またはALSと前頭側頭型認知症の両方がご家族にいる このページの検査(ALS遺伝子パネル・43遺伝子)
もの忘れ・行動の変化など認知症の症状が中心 アルツハイマー・認知症NGS遺伝子検査パネル
65歳より前に発症したアルツハイマー病がご家族に多い 早発性家族性アルツハイマー病NGS遺伝子検査
パーキンソン症状と認知症の両方がある パーキンソン病・アルツハイマー病・認知症遺伝子パネル検査
ふるえ・動きの遅さなどパーキンソン病の症状が中心 パーキンソン病包括的遺伝子検査
ハンチントン病・脊髄小脳失調症など、リピート伸長の病気が疑われる ハンチントン病など単一遺伝子のリピート伸長遺伝子検査
両足のつっぱり(痙性)が中心で、筋肉のやせは目立たない 遺伝性痙性対麻痺(HSP)遺伝子検査パネル
子どものころからの筋力低下(下位運動ニューロンだけ) 脊髄性筋萎縮症(SMA)NGS遺伝子パネル検査
手足の先からゆっくり弱くなり、感覚は保たれる 遠位型遺伝性運動ニューロパチー遺伝子検査
神経以外の症状も多く、病気をしぼれない 全エクソーム検査(WES)

※どの検査が合うかは、症状・診察所見・ご家族の情報で変わります。遺伝カウンセリングで一緒に決めましょう。遺伝子検査全般のメリット・限界は遺伝子検査(遺伝学的検査)とは?で解説しています。

\ 知ってから、結婚・出産・仕事の計画を /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

親やきょうだいがALSで症状のない方は、遺伝カウンセリングで考えたうえで、ご希望があれば検査まで受けられます。

お問い合わせはこちら | 「SOD1以外は研究段階」と言われた方へ

4. 調べる43遺伝子と、それぞれの遺伝子でわかる病気

この検査では、ALSの原因遺伝子と、ALSに似た症状の病気の原因遺伝子をあわせた43遺伝子を一度に調べます。日本人の家族性ALSで多いSOD1・FUS、欧米で多いC9orf72、ALSの病理の中心にあるTDP-43をつくるTARDBPなどが含まれます。下の表の病名と遺伝のしかたは、遺伝子と病気の対応をまとめた国際的なデータベース(OMIM)の登録にもとづいています。

🧬 ALSの原因遺伝子 一覧(43遺伝子)

遺伝子 関係する病気 遺伝のしかた FTDとの重なり
ABCD1 副腎白質ジストロフィー(ALSに似た症状との見分け) X連鎖潜性 なし
ABHD12 PHARC(多発ニューロパチー・難聴・運動失調・網膜色素変性・白内障) 常染色体潜性 なし
ALS2 若年性ALS2型/若年性原発性側索硬化症/乳児期発症の上行性痙性麻痺 常染色体潜性 なし
ANG ALS9型 常染色体顕性 なし
ARHGEF28 ALSの運動ニューロンにたまる封入体に含まれるタンパク質(RGNEF)の遺伝子。家族性ALSの1家系などで変化が報告されたが、その家系の患者さんはC9orf72の変化も持っており、ALSの原因遺伝子としての根拠は限定的(ClinGen:Limited)[16][17] 確立していない なし
C9orf72 前頭側頭型認知症±ALS1型(リピート伸長による) 常染色体顕性 あり
CHCHD10 前頭側頭型認知症±ALS2型/ジョケラ型脊髄性筋萎縮症/ミトコンドリアミオパチー 常染色体顕性 あり
CHMP2B 前頭側頭型認知症±ALS7型 常染色体顕性 あり
CRYM 常染色体顕性難聴40型(ALSとの関係は研究中) 常染色体顕性 なし
DAO 病気との関係を研究中の遺伝子(OMIMに病名の登録なし) 研究中 なし
DCTN1 ALS1型(なりやすさ)/遠位型遺伝性運動ニューロパチー/ペリー症候群 常染色体顕性 なし
ERBB4 ALS19型 常染色体顕性 なし
FIG4 ALS11型(顕性)/シャルコー・マリー・トゥース病4J型(潜性)ほか 常染色体顕性・潜性 なし
FUS ALS6型(前頭側頭型認知症を伴うことあり)/遺伝性本態性振戦4型 常染色体顕性 あり
GRN TDP-43封入体を伴う前頭側頭葉変性症(顕性)/神経セロイドリポフスチン症11型(潜性) 常染色体顕性・潜性 あり
HNRNPA1 ALS20型/封入体ミオパチー・骨パジェット病・前頭側頭型認知症を伴う多系統蛋白質症3型/遠位型ミオパチー3型 常染色体顕性 あり
HNRNPA2B1 封入体ミオパチー・骨パジェット病・前頭側頭型認知症を伴う多系統蛋白質症2型/眼咽頭型筋ジストロフィー2型 常染色体顕性 あり
LUM 2011年の研究で、ALSの患者さんに同じ変化(L199P)が見つかったとして挙げられた候補遺伝子。その後、同じ結果を確かめた報告はなく、OMIMに病名の登録もない[18] 確立していない なし
MAPT 前頭側頭型認知症/ピック病/進行性核上性麻痺1型ほか(タウをつくる遺伝子) 常染色体顕性 あり
MATR3 ALS21型 常染色体顕性 なし
NEFH ALS1型(なりやすさ)/シャルコー・マリー・トゥース病2CC型 常染色体顕性 なし
NEK1 ALS24型(なりやすさ)/短肋骨胸郭異形成症6型(潜性)ほか 常染色体顕性・潜性 なし
OPTN ALS12型(前頭側頭型認知症を伴うことあり)/原発性開放隅角緑内障 常染色体顕性・潜性 あり
PFN1 ALS18型/早発型の骨パジェット病7型 常染色体顕性 なし
PRPH ALS1型(なりやすさ) 常染色体顕性 なし
PSEN1 早発アルツハイマー病(アルツハイマー病3型)/前頭側頭型認知症/拡張型心筋症1U型ほか 常染色体顕性 あり
SETX 若年性ALS4型(顕性)/眼球運動失行を伴う運動失調症2型(潜性) 常染色体顕性・潜性 なし
SIGMAR1 若年性ALS16型/遠位型脊髄性筋萎縮症2型 常染色体潜性 なし
SOD1 ALS1型(日本人の家族性ALSで最多)/進行性の痙性四肢麻痺と体幹の低緊張 常染色体顕性(一部は潜性) なし
SPART 痙性対麻痺20型(トロイヤー症候群) 常染色体潜性 なし
SPG11 若年性ALS5型/痙性対麻痺11型/シャルコー・マリー・トゥース病2X型 常染色体潜性 なし
SQSTM1 前頭側頭型認知症±ALS3型/骨パジェット病3型/縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーほか 常染色体顕性(小児期発症の神経変性症は潜性) あり
TAF15 FUSの仲間の遺伝子。ALSでまれな変化が報告されたが、大規模な研究では患者さんに多いという結果は確かめられていない(ClinGen:Limited)[19][20]。一方、前頭側頭葉変性症の一部では、脳にたまる線維がTAF15でできていることが2024年に示された[21] 確立していない 病理で関係あり
TARDBP ALS10型(前頭側頭型認知症を伴うことあり)。TDP-43をつくる遺伝子 常染色体顕性 あり
TBK1 前頭側頭型認知症±ALS4型ほか 常染色体顕性 あり
TREM2 那須・ハコラ病2型(潜性)/アルツハイマー病17型(なりやすさ) 常染色体潜性ほか なし
TRPM7 ALS・パーキンソニズム認知症複合(なりやすさ) なりやすさに関わる変化 なし
TUBA4A ALS22型(前頭側頭型認知症を伴うことあり)ほか 常染色体顕性 あり
UBQLN2 ALS15型(前頭側頭型認知症を伴うことあり) X連鎖顕性 あり
UNC13A OMIMにALSの病名の登録はなく、神経発達症の3つの病型が登録されている(ALSとの関係は研究中) 常染色体顕性・潜性 なし
VAPB ALS8型/フィンケル型遅発性脊髄性筋萎縮症 常染色体顕性 なし
VCP 前頭側頭型認知症±ALS6型/多系統蛋白質症1型/シャルコー・マリー・トゥース病2Y型 常染色体顕性 あり
VEGFA ALSの原因遺伝子ではなく、発症のしやすさに関わる候補。関連が報告されたのは遺伝子の調節領域(プロモーターなど)の多型で、7,000人超をまとめた2009年の解析では、全体としての関連は確かめられなかった[22] なりやすさに関わる候補 なし

※対象遺伝子は当院の検査内容による。病名と遺伝のしかたはOMIMの登録(2026年10月に確認)にもとづく。「なりやすさ」は、その変化だけで必ず発症するのではなく、発症のしやすさに関わるとして登録されているもの。「研究中」は、ALSとの関係が報告されているものの、OMIMに病名として登録されていない遺伝子。「確立していない」は、ALSの方で変化が報告されたが、原因遺伝子としての根拠が限られている遺伝子(ClinGenは遺伝子と病気の関係の確かさを専門家が判定する国際的な仕組み、2026年10月時点で確認)。ALS2・SPG11・SPART・ABCD1・ABHD12などは、ALSに似た症状の病気との見分けにも役立つ。

💡 臨床遺伝専門医の判断:43遺伝子は、ALSとの関係の確かさが同じではありません

この検査には、SOD1・FUS・TARDBP・C9orf72のようにALSの原因として確立した遺伝子と、ALSの方で変化が報告されたものの、原因かどうかの根拠がまだ限られている遺伝子の両方が入っています。たとえばARHGEF28とTAF15は、遺伝子と病気の関係の確かさを専門家が判定する国際的な仕組み(ClinGen)で「Limited(根拠は限定的)」とされています。LUMは2011年の1つの研究で挙げられたあと、同じ結果を確かめた報告がありません。VEGFAは原因遺伝子ではなく、発症のしやすさに関わる候補です。このほか、CRYM・DAO・UNC13AもOMIMにALSの病名の登録はありません。こうした遺伝子だけに変化が見つかった場合、それだけでALSの診断や、ご家族の発症の予測には使わず、多くは意義がまだわからない変化(VUS)として慎重に扱います。どの遺伝子の、どの変化なのかを、臨床遺伝専門医が根拠の強さとあわせてご説明します。

C9orf72のリピート伸長も、料金の中で調べます

C9orf72の変化は、遺伝子の文字が1つ変わるのではなく、「GGGGCC」という6文字の並びが異常に長く繰り返されるリピート伸長です。遺伝子の配列を読む一般的な方法では見つけられないため、この検査では、繰り返しの伸長を調べる専用の方法(repeat-primed PCR法)でも評価します。この解析は検査料金に含まれています。ただし、C9orf72のメチル化(遺伝子の働き方の調節)の解析は含まれません。また、繰り返しがとても長い場合は、正確な繰り返しの数までは測れないことがあります。

5. この検査でわかること・わからないこと

この検査でわかるのは、43遺伝子の中の小さな変化(1文字の置き換わりや、少しの文字の抜け・入り込み)、ある程度の大きさの欠失・重複、そしてC9orf72のリピート伸長です。一方で、遺伝子検査には必ず限界があります。

わかること

遺伝子の情報のうち、タンパク質の設計図にあたる部分(エクソン)と、そのつなぎ目の近くを、次世代シーケンシング(NGS)という方法で読みます。2つ以上の続いたエクソンにまたがる大きさの欠失・重複も調べ、見つかった欠失・重複は、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します。読み取りの質が十分でない場所は、サンガー法という別の方法で補います。調べる場所の99%以上を、同じ場所を20回以上読む精度で読み取ることを基準にしています。

わからないこと

  • ●43遺伝子に入っていない遺伝子:ALSや前頭側頭型認知症の原因遺伝子は、ほかにもあります。たとえばFTDALS8の原因であるCYLD遺伝子は、この検査には含まれていません。今後、新しい原因遺伝子が見つかる可能性もあります。
  • ●C9orf72以外のリピート伸長:ハンチントン病や脊髄小脳失調症などのリピート伸長は、この検査では調べません(必要ならリピート伸長の検査を選びます)。
  • ●調べていない場所・種類の変化:染色体の入れ替わり(転座・逆位)、遺伝子の働きを調節する領域(プロモーターなど)、エクソンから離れたイントロンの奥の変化は検出できません。よく似た配列(偽遺伝子など)があるところでは、変化を見つけにくいことがあります。
  • ●VEGFAの調節領域の多型:ALSとの関連が報告されたVEGFAの多型は、遺伝子の働きを調節する領域(プロモーターなど)にあり、この検査では評価できない場合があります[23]。
  • ●モザイク:体の一部の細胞にだけある変化(体細胞モザイク)を見つけることは目的としていません。がんの組織を使った検査にも使えません。

陰性でもALSや遺伝を否定できない理由とVUS

原因の変化が見つからなくても、「ALSではない」「遺伝の心配がない」という意味にはなりません。日本の研究でも、家族性ALSの約半数は、調べた遺伝子の中に原因が見つかっていません[3]。ALSの診断と治療は、遺伝子検査の結果にかかわらず、神経内科の主治医のもとで続けることが大切です。

また、病気の原因かどうかまだ判断できない変化(VUS:意義がまだわからない変化)が見つかることがあります。VUSは、それだけで診断に使ったり、ご家族の検査に使ったりはしません。研究が進んで、のちに意味がはっきりすることもあります。調べた目的と別の病気の原因が見つかった場合の扱いは、当院の二次的所見の開示方針をご覧ください。

6. 病的変異が見つかったら、次にできること

原因の変化が見つかったら、それは「わかっただけ」で終わりではありません。発症しているご本人の治療、症状のない方の人生の計画、お子さんを持つときの選択、ご家族の検査と、次にできることがあります。

発症しているご本人:SOD1のALSとトフェルセン、治験・研究

SOD1遺伝子の変化があるALSには、トフェルセン(販売名:クアルソディ髄注100mg)という治療薬があり、日本でも2024年12月に承認されています。効能・効果は「SOD1遺伝子変異を有する筋萎縮性側索硬化症における機能障害の進行抑制」で、背骨の間から髄液に薬を入れる方法(髄腔内投与)で、初回・2週後・4週後、その後は4週間ごとに使います(PMDAの審議結果報告書、2026年10月時点で確認)。SOD1の変化があるとわかってはじめて、使えるかどうかを検討できる薬です。

トフェルセンは、SOD1をつくる設計図(RNA)に結びついて、SOD1タンパク質を減らすタイプの薬(アンチセンス核酸)です。国際共同試験(VALOR試験)では、28週の時点で、脳脊髄液のSOD1と、神経の傷み具合を示す血液中のニューロフィラメント軽鎖を減らしましたが、生活の機能を測る評価(ALSFRS-R)では、偽薬との間にはっきりした差は出ませんでした。腰から針を刺すことに伴う副作用もよくみられました。一方、52週まで続けた探索的な比較では、早く始めた群のほうが機能の低下が小さい傾向がみられました[10]。効果の程度や使えるかどうかは、神経内科の主治医とご相談ください。当院は治療薬の投与は行っていません。

このほか日本では、ALSの進行を遅らせる薬として、リルゾール、エダラボン(点滴と飲み薬)、メコバラミン(筋肉注射)が使われており、難病情報センターもSOD1遺伝子変異のある方ではトフェルセンも使われていると記載しています(2026年10月時点で確認)。

ALSの遺伝子治療・新薬の開発は、原因遺伝子ごとに進んでいます。SOD1の変化をもち、まだ発症していない方を対象に、血液のニューロフィラメント軽鎖が上がった段階でトフェルセンを始めて発症を遅らせられるかを調べる国際試験(ATLAS試験)も行われています[11]。FUSの変化によるALSでは、FUSを狙った薬(ulefnersen)の第3相試験で主な評価項目を達成したと、2026年9月に開発企業が発表しています。一方、C9orf72を狙った薬では、2022年に効果が確かめられず開発が中止された例もあります。こうした原因の遺伝子を狙った薬の試験は、その遺伝子の変化をもつ方が対象です。遺伝子検査は、治験の情報にたどり着くための入口になります。

症状のない方:知ったあとの仕事・結婚・出産の考え方

症状のない方が原因の変化を受け継いでいるとわかっても、いつ発症するか、そもそも発症するかは、遺伝子や変化の種類によって違います(第2章)。わかったうえで、仕事の続け方、住まい、お金や介護の準備、ご家族との話し合いを、早めに考えておく方もいます。SOD1の変化をもつ方なら、発症前の方を対象にした研究の情報に目を向けておくこともできます。

結婚するか、子どもを持つかは、その人の生き方そのものに関わる大きな選択です。知ってから決めるのと、知らずに決めるのとでは、同じ選択でも意味が違う、と考えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。ご家族でわかっている変化を受け継いでいないとわかった場合は、その変化がご自身のお子さんに伝わる心配はなくなります。

お子さんを持つときの選択肢

ご家族で原因の変化がわかっていれば、妊娠したときに、赤ちゃんに同じ変化があるかを調べられます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。当院では羊水検査・絨毛検査を院内で行っています(2025年6月から産婦人科を併設)。ALSのように大人になってから発症する病気の出生前診断は、病気の重さや国内の指針を踏まえて個別に考えます。妊娠を考えるときは、出生前診断ができるかも含めて、妊娠を考えている段階から当院でご相談いただけます。

日本でも、日本産科婦人科学会の指針(2026年9月改定)にもとづく審査を経て、PGT-M(着床前遺伝学的検査)が行われています(当院は体外受精・PGT-Mを行っていません)。準備に必要なことは海外でPGT-M(着床前診断)を考えている方へで解説しています。もちろん、何も調べずにそのまま出産する選択もあります。

ご家族が同じ変化を調べるとき

ご家族の中で原因の変化がわかれば、ほかのご家族は、その変化だけをピンポイントで調べられます。発症しているご家族なら診断の確認に、症状のないご家族なら発症前の検査になります。症状のない方の検査は、ご本人が遺伝カウンセリングで考えて決めてから行います(第3章)。

陰性・VUSだったとき

原因の変化が見つからなかった場合は、この検査では調べられない原因が残る可能性があります(第5章)。症状に合わせて、ほかのパネル検査や全エクソーム検査を考えます。VUSだった場合は、それだけで診断やご家族の検査には使わず、今後の情報の更新を待ちます。

当院でのその後

結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。結果の意味、ご家族への影響、使える治療や治験の情報、妊娠を考えるときの道筋まで、一緒に考えます。

7. 日本の制度:ALSは指定難病(告示番号2)

ALS(筋萎縮性側索硬化症)は指定難病(告示番号2)です。難病情報センター(情報更新日:令和7年12月)に掲載されています(2026年10月時点で確認)。医療費の助成を受けるには、診断基準と重症度の基準を満たし、申請する必要があります。認定の基準や申請の方法は、難病情報センターや、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。

当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。

8. ALSの遺伝子検査の概要・費用・流れ

ALSの遺伝子検査の費用は税込330,000円で、結果までは2〜3週間です。検査の方法は、血液、唾液、頬の粘膜のいずれかを使います。唾液・頬の粘膜・血液のいずれも、オンライン診療で受けることができます。

ご予約
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
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お支払い後に検体血液・唾液・頬の粘膜
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結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

💴 ALS遺伝子パネル検査の費用・日数・検体

項目 内容
調べる遺伝子 43遺伝子(配列・欠失/重複・C9orf72のリピート伸長。C9orf72のメチル化解析は含まない)
検査費用 税込330,000円
結果までの期間 2〜3週間
オプション 至急(結果までの期間が約7日短くなります):55,000円/VUS除外:無料
検体 血液(EDTA採血管4ml×2本)、抽出DNA(3μg)、頬の粘膜、唾液のいずれか
オンライン診療 可能。血液の場合は全国の提携医療機関で採血
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査費用とは別

※ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。

この検査は、遺伝診療先進国・米国の3大遺伝子検査会社の一角で行います。※

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただく流れです。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。検体採取キットは、検査料金をお支払いいただいたあとにお送りします。検体の取り違えを防ぎ、検査に使える品質を保つため、ご自身の判断で先に検体を採取することはお控えください。

結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。報告書の見かたは遺伝子検査結果の見かたで解説しています。

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原因の変化がわかれば、ご家族はその変化だけを調べられます。妊娠したときの出生前診断(羊水検査・絨毛検査)も院内で受けられます。

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9. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【知ってから選ぶ、という生き方を支えたい】

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。

ALSは、親がALSだったという方にとって、「自分もいつか」という不安とずっと隣り合わせになりやすい病気です。けれども、遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。そして今は、SOD1の変化があるALSのように、原因の遺伝子がわかってはじめて選べる治療も出てきています。わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。

結婚するか、子どもを持つかは、その人の生き方そのものです。知ってから決めたい方には、遺伝カウンセリングから検査、妊娠したときの出生前診断まで、当院で続けて支えられる体制を整えています。知らないでいることを選ぶ方も、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. ALSは遺伝しますか?子どもに遺伝する確率は?

ALSの多くは家族歴のない孤発性で、家族性ALSは全体の約5〜10%です。家族性ALSの多くは常染色体顕性(優性)遺伝で、親が原因の変化をもっている場合、お子さん1人あたり2分の1の確率で受け継ぎます。ただし、受け継いでも発症の時期や有無には幅があり、潜性遺伝の型では確率が違います。具体的な確率は、どの遺伝子のどの変化かがわかってはじめてお伝えできます。

Q2. 親がALSです。症状がなくても遺伝子検査を受けられますか?

受けられます。当院は知りたいと願う方を拒むことはせず、遺伝カウンセリングで十分に考えたうえで、ご本人が知りたいと決めた場合は検査まで行います。発症した親御さんの原因の変化がわかっていれば、その変化だけを調べるのが基本です。わかっていない場合は、このパネル検査で調べることもできますが、変化が見つからなくても遺伝の心配がないとは言い切れません。未成年の方の発症前の検査は、原則として行っていません。

Q3. 家族性ALSは何歳ごろ発症しますか?

英国の研究では、平均の発症年齢は家族性ALSで56.2歳、家族歴のないALSで61.5歳で、家族性ALSは平均で約5歳早く発症していました。ただし発症年齢は遺伝子や変化の種類によって大きく違い、FUSの変化による家族性ALSは30〜40代と比較的若い年齢で発症する傾向が報告されています。

Q4. ALSの原因遺伝子SOD1とは?見つかると治療は変わりますか?

SOD1は、活性酸素を処理する酵素をつくる遺伝子で、日本人の家族性ALSでいちばん多い原因です(約3割)。SOD1の変化があるALSには、トフェルセン(販売名:クアルソディ髄注100mg)という治療薬が日本でも2024年12月に承認されており、使えるかどうかを主治医と検討できます。当院は治療薬の投与は行っていません。

Q5. ALSは血液検査でわかりますか?

ALSの診断そのものは、神経内科での診察と神経の検査で行います。このページの検査は、血液や唾液などからALSの原因となる遺伝子の変化を調べる遺伝子検査で、ALSの原因が遺伝子にあるかどうかを確かめるものです。遺伝子に変化が見つからなくても、ALSではないという意味にはなりません。

Q6. 家族にALSはいませんが、筋肉のぴくつきが心配です。検査を受けるべきですか?

筋肉のぴくつきは、ALSでない人にもよく起こります。ご家族にALSの方がいなくて、ぴくつきだけが気になる場合は、まず神経内科で診察を受けてください。遺伝子検査は、ALSと診断された方・疑われている方や、ご家族にALSの方がいる方に向く検査です。

Q7. ALSと前頭側頭型認知症は関係がありますか?

あります。ALSと前頭側頭型認知症は、C9orf72などの同じ遺伝子の変化で起こることがあり、ひとつながりの病気と考えられています。ALSの方の50%を超える方に認知・行動の障害がみられるとされ、ご家族にALSの方と認知症の方の両方がいる場合は、共通の遺伝子が関わっている可能性を考えます。

Q8. ALSの遺伝子検査の費用は?何も見つからなければ遺伝しないということですか?

検査費用は税込330,000円で、遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。結果までは2〜3週間です。原因の変化が見つからなくても、この検査で調べられない遺伝子や変化が原因の可能性が残るため、遺伝しないとは言い切れません。結果の意味は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングでご説明します。

🧬 人生に一度の遺伝子検査を、治療とご家族の計画に

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。ALSの原因がわかれば、SOD1の変化があるALSに対するトフェルセンのように使える治療の検討、ご家族の検査、結婚・妊娠の計画を考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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