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MAPT遺伝子とは?タウタンパク質と認知症(アルツハイマー病・前頭側頭型認知症・PSP)の関係を遺伝専門医が解説

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

のべ10万人以上の意思決定に伴走。国際医療誌『Medical Care Review APAC』『Global Woman Leader』の2誌で表紙を飾り、「Top Prenatal Testing Service in APAC 2025」に選出されるなど、世界基準の遺伝医療を提供。

神経細胞は、細胞のなかに「線路」を張りめぐらせて、必要なものを端から端まで運んでいます。その線路である微小管を安定させているのがMAPT遺伝子がつくるタウタンパク質です。タウの異常は、アルツハイマー病・前頭側頭型認知症・進行性核上性麻痺(PSP)・皮質基底核変性症(CBD)といった、まとめて「タウオパチー」と呼ばれる病気の中心にあります。MAPTを理解することは、これら幅広い神経変性疾患の共通点と違いを理解することにつながります。本記事では、稀な遺伝子の変異と、誰もが持つありふれた体質(H1/H2ハプロタイプ)が、それぞれどのように病気と関わるのかを、遺伝専門医がやさしく解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約18分
🧬 タウ・3R/4R・タウオパチー・H1/H2
臨床遺伝専門医監修

Q. MAPT遺伝子とは何をする遺伝子ですか?まず結論だけ知りたいです

A. MAPTは「タウ」というタンパク質の設計図で、神経細胞のなかの線路(微小管)を組み立てて安定させる役割を持っています。この線路が不安定になると、細胞の中で必要なものが運べなくなり、離れたタウがかたまり(凝集体)をつくって神経細胞が弱っていきます。MAPTの稀な変異は前頭側頭型認知症(FTDP-17)を起こし、誰もが持つH1/H2という体質はPSPやCBDのなりやすさを左右します。

  • タウの本業 → 神経細胞の微小管を安定させ、軸索の物質輸送を支える
  • 3Rタウと4Rタウ → エクソン10のスイッチで2種類ができ、健康な脳ではほぼ半々。この比率の崩れが病気の引き金になる
  • 稀な変異(FTDP-17) → 常染色体顕性(優性)で前頭側頭型認知症を起こす。40以上の変異が知られる
  • ありふれた体質(H1/H2) → H1系統はPSP・CBDのリスクを高め、H2は保護的にはたらく
  • 最新の治療 → タウの産生を抑える核酸医薬(ジラネルセン)や抗体療法が臨床試験の段階に入っている

🧬 MAPT遺伝子の基本情報

項目 内容
遺伝子名 MAPT(Microtubule-Associated Protein Tau)/別名 TAU・MTBT1・FTDP-17・DDPAC
タンパク質 微小管結合タンパク質タウ(Tau)/成人の脳では6種類のアイソフォームが作られます
染色体上の位置 17番染色体の長腕(17q21.31
OMIM番号 157140
主なはたらき 神経細胞の微小管を組み立て・安定させ、軸索を通る物質輸送を支えます
主な発現部位 中枢神経系(おもにニューロンの軸索)
生殖細胞系列変異と関連疾患 常染色体顕性(優性)のパーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症(FTDP-17)。これまでに40以上の変異が報告され、ミスセンス変異は微小管への結合力を下げ、エクソン10近傍のスプライシング変異は4Rタウを過剰にします
体細胞変異 がんのドライバーとなるような体細胞変異は確立した報告はありません(MAPTは生殖細胞系列の変異と体質としての関与が中心です)
よく見かける多型 H1/H2ハプロタイプ=約90万塩基におよぶ逆位で分かれる2大系統。H1(とくにH1c・H1d)はPSP・CBDのリスクを高め、H2は保護的にはたらきます
検査上の注意 稀な点変異・スプライシング変異はNGSパネルで調べられます。一方、H1/H2ハプロタイプは誰もが持つ体質であり、これ単独で将来の発症を予測する検査には使えません

各項目の根拠と詳しい解説は、本文の該当セクションをご覧ください。

1. MAPT遺伝子とタウ ─ 神経細胞の「線路」を支える設計図

MAPTは、神経細胞のなかの線路を安定させるタウというタンパク質の設計図です。線路が丈夫であれば、細胞は栄養やシグナルを端から端まで確実に運べます。これがMAPTのいちばん大切な仕事です。

MAPTは「Microtubule-Associated Protein Tau(微小管結合タンパク質タウ)」の頭文字をとった遺伝子名で、17番染色体の長腕(17q21.31)にあります。この遺伝子がつくるタウは、神経細胞のなかに張りめぐらされた微小管という管に貼りついて、その組み立てをうながし、構造をしっかり安定させます。微小管は、細胞の形を保つ骨組みであると同時に、物を運ぶための「線路」でもあります。

神経細胞は、細胞の本体(細胞体)から遠く離れたシナプスの末端まで、長い突起(軸索)を伸ばしています。細胞体でつくられた材料は、この軸索という長い線路の上を、キネシンなどの「運び屋」タンパク質によって運ばれていきます。タウが線路を安定させているからこそ、この長距離輸送が成り立っています。微小管結合タンパク質のなかでも、タウは脳での役割が特によく調べられてきた分子です。

ここが読者のみなさんにとって大切なところです。タウが正しく働いているあいだは、線路は柔らかさと丈夫さのバランスを保っています。ところが、このバランスが崩れると、線路が不安定になり、離れたタウが細胞のなかでかたまりをつくって神経細胞を弱らせます。この一連の変化を主な特徴とする病気は、まとめてタウオパチーと呼ばれます[1]。アルツハイマー病もそのひとつです。つまりMAPTは、「認知症とタウの関係」を理解するうえで、いちばん根もとにある遺伝子だといえます。

2. 3Rタウと4Rタウ ─ エクソン10という「スイッチ」

MAPTからは、少しずつ形の違う6種類のタウが作り分けられます。なかでも重要なのが、微小管をつかむ「手」が3本のタウ(3R)と4本のタウ(4R)の違いで、健康な大人の脳ではこの2つがほぼ半々で保たれています。この比率の崩れが、病気の直接の引き金になります。

1つの遺伝子から複数のタンパク質が作られるのは、選択的スプライシングというしくみのおかげです。設計図の一部を「使う/使わない」で切り替えることで、成人の脳では6種類のタウのアイソフォームが作られます[1]。このうち微小管をつかむ部分の形を決めるのが、エクソン10という部品を含めるか外すかのスイッチです。

💡 用語解説:3Rタウ・4Rタウ・エクソンとは

エクソンは、遺伝子のうち最終的にタンパク質の設計に使われる「本文」の部分です。4Rタウはエクソン10を含めて作られ、微小管をつかむ手が4本になります。手が多いぶん微小管を強くしっかり束ねます。3Rタウはエクソン10を外して作られ、手が3本になります。

エクソン10を飛ばして読むことをエクソンスキッピングといい、その調節がスプライシングのさじ加減で決まります。

🧬 エクソン10のスイッチで決まる 3Rタウ/4Rタウ

エクソン10を外す

3Rタウ

微小管をつかむ手が3本。ピック病では、この3Rタウだけがかたまります。

エクソン10を含める

4Rタウ

微小管をつかむ手が4本。PSPやCBDでは、この4Rタウだけがかたまります。

健康な大人の脳では 3Rタウ ≒ 4Rタウ(およそ1対1)。この均衡が崩れることが病気の入り口になります。

なぜこの半々のバランスが大切なのでしょうか。4Rタウは微小管を強く束ねる力が強く、増えすぎると線路が硬くなりすぎて、必要なときに組み替える柔軟さが失われます。逆に3Rに偏っても不都合が生じます。健康な脳では3Rと4Rがほぼ1対1に保たれることで、線路は「丈夫さ」と「しなやかさ」を両立しています[1]この比率が崩れること自体が神経変性を引き起こすという事実は、のちほど紹介する稀な遺伝子変異の研究からはっきりと示されました。

ご本人やご家族にとっての意味は、こうです。病院でタウオパチーの説明を受けるとき、「3R」「4R」という言葉が出てくることがあります。これは病気を分類し、正しく見分けるための大切な物差しであって、どちらが良い・悪いという話ではありません。次の章から、この物差しが診断とどうつながるのかを見ていきます。

3. タウが微小管から離れるとき ─ 過剰リン酸化と凝集

タウは、リン酸という小さな目印が付きすぎる(過剰リン酸化)と、微小管から離れてしまいます。離れたタウは細胞のなかで集まってかたまりになり、これが神経細胞を弱らせる引き金になります。

タウが微小管にくっつくか離れるかは、リン酸化という化学的な目印の付き方で調整されています。ふだんは付いたり外れたりのバランスが保たれていますが、このバランスが崩れて目印が付きすぎると、タウは微小管をつかんでいられなくなります。線路から外れたタウは、細胞のなかを漂ううちに互いに集まり、神経原線維変化と呼ばれる不溶性のかたまり(凝集体)を作ります。同時に、支えを失った微小管は不安定になり、軸索の輸送が止まって、細胞の生存に必要なものがシナプスに届かなくなります。

やっかいなことに、いったんできたかたまりは、隣の健康な神経細胞へと少しずつ広がっていくと考えられています。まるで感染が広がるように病変が脳全体へと進む、このふるまいはプリオン様伝播と呼ばれ、のちに紹介する抗体療法が狙う標的になっています。さらに、かたまったタウはまわりの免疫細胞(ミクログリアやアストロサイト)を刺激して神経炎症を起こし、これがさらに神経細胞を傷つけるという悪循環も、動物モデルで報告されています。タウの毒性が、線路の輸送だけでなく免疫や代謝まで巻き込む多面的なものであることが分かってきました。

ここで押さえておきたいのは、認知機能の低下の程度と強く相関するのは、アミロイドβの蓄積よりもむしろタウの病変だという見方が広がっている点です。これは読者にとって希望のある話でもあります。タウそのものを治療の標的にする研究が、いま世界中で加速しているからです。その具体的な中身は第8章で紹介します。

4. 稀な変異(FTDP-17)─ タウだけで認知症が起きる証拠

MAPTそのものに変異があると、常染色体顕性(優性)の遺伝形式で前頭側頭型認知症が起こります。この病気(FTDP-17)は、「タウの異常だけで神経変性が起きる」ことをはじめて証明した、タウ研究の出発点となった病気です。

1998年、ある家系の研究から、MAPT遺伝子の変異が「パーキンソニズムを伴う第17番染色体連鎖型前頭側頭型認知症(FTDP-17)」を引き起こすことが報告されました[2]。それまでタウは「病気の結果として溜まるもの」と見られがちでしたが、この発見によって「タウの異常そのものが原因になりうる」ことがはっきりしました。現在までに40以上のMAPT変異が知られています。

💡 用語解説:ミスセンス変異と常染色体顕性(優性)

ミスセンス変異は、設計図の1文字が変わってタンパク質のアミノ酸が1つ別のものに置き換わる点突然変異です。

常染色体顕性(優性)遺伝とは、2本ある遺伝子のうち片方に変異があるだけで症状が出る遺伝形式です。この場合、お子さんに変異が伝わる確率は1回の妊娠あたり2分の1(50%)と計算されます。

FTDP-17を起こす変異は、大きく2つのしくみに分けられます。1つ目は、微小管をつかむ部分のアミノ酸が置き換わって、タウが微小管に結合する力そのものが弱くなるタイプです。結合できなくなったタウは細胞のなかに遊離し、過剰リン酸化を受けて凝集しやすくなります。同時に、支えを失った線路が不安定になり、軸索輸送が滞ります。

2つ目は、スプライシングの調節を狂わせて、4Rタウを過剰に作らせるタイプです。とくにエクソン10やその近くのイントロンに生じた変異は、3Rと4Rの半々のバランスを大きく4R側へ傾けます[2]。第2章で見た「均衡の崩れ」が、まさに病気を引き起こすわけです。これらの変異を持つ方の脳では、欠陥のあるタウが年月をかけて神経細胞やグリア細胞のなかに蓄積し、前頭葉・側頭葉の細胞が失われていきます。その結果、判断力や計画性の低下、言葉や感情の障害、そして手足の動きにくさ(パーキンソニズム)が組み合わさって現れます。

ご家族にとって大切なのは、FTDP-17が顕性遺伝である以上、血縁者にも同じ変異が受け継がれている可能性があるという点です。ただし、後述するように「変異があると分かること」がそのまま良いことだとは限りません。だからこそ、検査の前後で臨床遺伝専門医とよく相談することが重要になります。

5. タウオパチーの地図 ─ 3R/4Rで見分ける神経変性疾患

タウオパチーは、脳に溜まるタウが3R型か4R型か、あるいは両方かによって分類できます。この生化学的な物差しは、症状が似ていて見分けにくい病気を区別し、正しい診断へ近づくための重要な手がかりになります。

タウオパチーは、タウの蓄積が病気の主役である「一次性タウオパチー」と、アミロイドβなど他の病変に伴ってタウが溜まる「二次性タウオパチー」に大きく分かれます。前頭側頭型認知症や進行性核上性麻痺(PSP)、皮質基底核変性症(CBD)、ピック病は前者にあたり、アルツハイマー病は後者の代表です。溜まっているタウを取り出して調べると、病気ごとに含まれるタウの種類(3R/4R)とパターンが違うことが分かります[3]

病気 溜まるタウ おもな特徴
アルツハイマー病(AD) 3R+4R(両方) 記憶障害から始まる。アミロイドβの蓄積に伴う二次性タウオパチー。
進行性核上性麻痺(PSP) 4Rのみ 上下方向の眼の動きにくさ、姿勢が保てず後ろへ倒れやすい、転倒。
皮質基底核変性症(CBD) 4Rのみ 左右差のある手足のこわばり・動かしにくさ、意図せず手が動く症状など。
ピック病 3Rのみ 前頭側頭型の行動の変化や言葉の障害。

特定の病気で特定のタウだけが溜まる(PSP・CBDでは4Rのみ、ピック病では3Rのみ)という事実は、単なるスプライシング異常だけでは説明できません。特定の神経細胞集団がなぜ、どの型のタウに弱いのか――その謎が、いま盛んに研究されています。読者にとって重要なのは、これらの病気は症状が重なり合い、生前の診断がとても難しいという点です。たとえばCBDの典型症状(皮質基底核症候群)は、アルツハイマー病やPSPでも似た形で現れることがあります。だからこそ、タウの型を反映する新しいバイオマーカーの開発が、診断の精度を上げる鍵として期待されています(第9章)。

6. ありふれた体質(H1/H2ハプロタイプ)─ PSP・CBDのなりやすさ

MAPTがある領域には、人類を大きく2つに分ける「H1」「H2」という体質があります。稀な変異を持たない多くのPSP・CBDでは、この体質がなりやすさを左右し、H1系統はリスクを高め、H2は保護的にはたらきます。

17番染色体のMAPTがある場所では、進化の途中で約90万塩基もの大きな逆位(配列が丸ごとひっくり返ること)が起こりました。このため、この領域では組み換えが起こりにくくなり、人類集団のなかに「H1」と「H2」という2つの大きな系統(ハプロタイプ)が生まれました。H1は多くの集団で広く見られ、H2は欧州系以外ではほとんど見られない比較的まれな系統です。H1のなかにはさらにH1c・H1dなど20以上の細かい枝分かれ(サブハプロタイプ)があります。

💡 用語解説:ハプロタイプ(H1/H2)とは

ハプロタイプとは、いっしょに受け継がれやすい遺伝的な「セット」のことです。H1・H2は病気の変異ではなく、誰もがどちらかを持っている体質です。「H1だから病気になる」わけではなく、「統計的にわずかになりやすい/なりにくい」という傾向を示すものだと理解してください。

大規模なゲノム解析によって、H1系統はPSPとCBDのリスクを高めることが繰り返し確認されてきました。CBDのゲノムワイド関連解析では、H1がもっとも強い遺伝的リスク因子とされています[4]。さらに詳しく調べた研究では、H2ハプロタイプがCBDの発症リスクを大きく下げること(オッズ比0.26)、H1の一部(H1d・H1c)が逆にリスクを高めることが報告されています[5]

ハプロタイプ 向き 意味(CBDでの目安)
H2 保護的 オッズ比 0.26。発症リスクを大きく下げる方向にはたらきます。
H1d リスク増 オッズ比 1.76。リスクを高める方向の関連が示されています。
H1c リスク増 オッズ比 1.49。リスク側の傾向が報告されています。

なお、H1のなかにも例外的にリスクを下げる可能性が示された枝(H1j)が小規模な研究で報告されていますが、より大きな研究では結果が一致しておらず[6]、まだ確立した知見ではありません。ハプロタイプの影響は、集団や研究デザインによって数字が動くことを知っておくと、報道などで数字を見たときに落ち着いて受け止められます。

興味深いのは、H1系統の影響が病気になってからだけの話ではないという点です。健康な成人を対象にした高解像度MRIの研究では、H2を2本持つ人に比べて、H1を持つ人では特定の脳の部位(右の尾状核頭部、右中前頭回、左の島皮質と眼窩前頭皮質、下側頭葉・下小脳葉など)の灰白質の量が最大で19%小さいことが報告されました[7]。これは、H1という体質が、生まれつき特定の神経ネットワークの「予備の余力」をわずかに小さくしていて、加齢に伴う神経変性への弱さをかたちづくっている可能性を示しています。

ご本人・ご家族にとっての意味は、ここでも冷静さです。H1を持っていても、その大多数の方はPSPやCBDを発症しません。ハプロタイプは「わずかな傾向」であって「運命」ではないからです。消費者向けの検査などで自分のハプロタイプを知っても、それだけで将来を予測することはできません。この点は、次に紹介する稀な変異との決定的な違いです。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「稀な変異」と「ありふれた体質」を分けて話すこと】

MAPTのニュースは、しばしば「タウの遺伝子が認知症の原因」とひとまとめに語られます。けれど実際には、片方に変異があるだけで確実に発症へ向かう「稀な変異(FTDP-17)」と、誰もが持っていてなりやすさをわずかに動かすだけの「ありふれた体質(H1/H2)」は、まったく性質の違うものです。この2つを混同すると、体質検査でH1と出ただけで「自分は認知症になる」と思い込んでしまう、という不必要な不安が生まれます。

私は、遺伝の話をするときには、この「確実性の度合い」を必ず分けてお伝えすることが大切だと考えています。同じ「遺伝子に関係する」でも、意味の重さがまるで違うからです。今わかっていることの輪郭を、大きくも小さくもせずに正確にお渡しすることが、長い目で見ていちばん誠実だと考えています。

7. 17q21.31という舞台 ─ 変異・体質・欠失の3つの層

MAPTがある17q21.31という場所は、「稀な点変異」「ありふれた体質(H1/H2)」に加えて、「領域まるごとの欠失」という3つ目の切り口を持っています。同じ遺伝子でも、変化の起き方によって意味がまったく違うことを整理しておくと、検査結果を正しく読み解けます。

ここまで見てきたMAPTの関わり方には、実は3つの層があります。この3層を分けて理解することが、この遺伝子を誤解しないための最大のポイントです。

🧭 MAPTが病気に関わる3つの層

① 稀な点変異(FTDP-17)

1文字の変化で発症。常染色体顕性(優性)。まれだが影響は大きい。

② ありふれた体質(H1/H2ハプロタイプ)

誰もが持つ体質。PSP・CBDのなりやすさをわずかに動かす。単独では発症を決めない。

③ 領域まるごとの欠失(17q21.31微小欠失症候群)

MAPTを含む領域が欠ける別カテゴリの病態。原因は隣のKANSL1遺伝子と判明。

3つ目の層についてもう少し説明します。この領域がまるごと1本分欠けると、17q21.31微小欠失症候群(Koolen-de Vries症候群)という別の病気が起こります。この欠失は、第6章で説明したH2の逆位が関わる組み換えによって起こりやすくなると考えられています。17q21.31という領域の成り立ちには、こうした歴史的な事情が関わっています。当初はMAPT自体が原因と考えられていましたが、その後、同じ領域にある隣のKANSL1遺伝子の量が半分になること(ハプロ不全)が原因だと分かりました。つまり、この病気は「MAPTの点変異」ではなく「領域の欠失」で起こるもので、遺伝の起き方も意味も別ものです。

こうした「領域まるごとの欠失」は、1文字の変化を調べるNGSでは見落とされることがあり、染色体マイクロアレイ(CMA)のように「量の増減」を調べる検査が向いています。読者にとっての意味は明快です。「MAPTを調べる」と一口に言っても、点変異を狙うのか、体質を見るのか、領域の欠失を探すのかで、選ぶべき検査が変わります。何を心配しているのかを整理することが、適切な検査選びの出発点になります。

8. タウを標的にした最新治療 ─ 産生を抑える・かたまりを止める

タウを直接ねらう治療の開発が加速しています。大きく「タウの産生を根もとから抑える核酸医薬」「かたまりの広がりを止める抗体療法」「かたまり自体を作らせない凝集阻害薬」の3つの方向があり、それぞれ臨床試験の段階に入っています。まだ承認された薬はありませんが、方向性は見えてきました。

これまでの認知症治療はアミロイドβを取り除くことに集中してきましたが、症状の重さとより強く結びつくのはタウの病変だという理解が広がり、タウそのものを標的にする開発が一気に進みました。

💡 用語解説:核酸医薬(ASO)と抗体療法

アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)は、狙ったmRNAにぴったり結合するよう設計された短い核酸医薬で、タンパク質が作られる前の「設計図の写し」の段階で産生を抑えます。

モノクローナル抗体による免疫療法は、細胞の外に出た病的なタウを捕まえて中和し、広がりを止めることを狙います。

① 産生を根もとから抑える ─ ASO「ジラネルセン(BIIB080)」

もっとも上流をねらうのが、タウの産生そのものを止めるASO療法です。代表格が、BiogenがIonis社から導入して開発しているジラネルセン(BIIB080/MAPTRx)です。この薬は、MAPTのmRNAの前段階(プレmRNA)のイントロン9にある特定の18塩基の配列に結合し、細胞内の酵素(RNアーゼH1)を呼び寄せて、その設計図の写しを分解させます。その結果、3R・4Rを問わずすべてのタウの産生量が減ります[8]

早期・軽度のアルツハイマー病患者46名を対象にした第1b相試験では、髄腔内に投与した結果、脳脊髄液中の総タウとリン酸化タウが用量に応じて持続的に減少しました[8]。この上流のアプローチは、下流で起こる複雑な変化に依存しないため、アルツハイマー病だけでなく多様なタウオパチーに応用できる可能性を秘めています。

📰 最新の動き:第2相CELIA試験の結果(2026年)

続く第2相のCELIA試験(416名)の結果が2026年に発表されました。あらかじめ定めた主要評価項目(認知症の重症度スケールCDR-SBの用量反応)は達成できませんでした。一方で、脳脊髄液中の総タウは50〜65%減少し、タウPET(画像でのタウの量)もすべての用量で低下し、認知機能の低下がゆるやかになる傾向が示されたとして、Biogenは第3相へ進める方針を示しています[9]。ジラネルセンは2025年に米国FDAからファストトラック指定を受けています。(これらは企業の発表にもとづく情報で、査読を経た最終評価ではありません。今後の解釈が変わる可能性があります。)

② 広がりを止める ─ 抗体療法の「標的の移り変わり」

細胞の外に出たタウが隣の神経細胞に取り込まれて病変が広がる、というプリオン様伝播の考えにもとづき、多くの抗体療法が開発されてきました。ただし道のりは平坦ではなく、初期にタウのN末端(先端側)を標的にした複数の抗体は、十分な効果を示せずに開発が中止されました。その反省から、いまの抗体はより毒性が高くかたまりの核になる微小管結合領域(MTBR)やその近くをねらう設計へと移ってきています。

この転換を体現するのがベプラネマブ(UCB0107)です。タウの中間部(235〜250番目のアミノ酸)を認識するIgG4抗体で、プロドローマル〜軽度アルツハイマー病を対象とした第2相試験が行われ、臨床的なベネフィットを示唆する結果が報告されています[10]。エーザイが開発するE2814(エタラネツグ)はMTBRに結合するIgG1抗体で、優性遺伝アルツハイマー病を対象とした試験(DIAN-TU)で、神経原線維変化に特異的なバイオマーカーである髄液中MTBR-tau243を約75%減らすことが確認されました[11]。このMTBR-tau243は、アルツハイマー病のような3R+4Rの混合型のタウオパチーを見分ける新しい指標として注目されています[12]

一方で、標的への結合は確認できたものの、最も高い用量で有害事象が生じて開発が終了した中間部標的の抗体(BIIB076)もあります[14]。また、シナプスに溜まるオリゴマー型のタウ(凝集の初期段階)を選んで認識する抗体(APNmAb005)なども第1相に入っており[15]、免疫療法はより精緻に多様化しています。効果を測る臨床試験のエンドポイントの選び方も、開発の成否を分ける大切な要素になっています。

③ かたまりを作らせない ─ 凝集阻害薬の難しさ

タウ同士の結合を化学的に妨げて、かたまりを作らせないことを狙う低分子薬も長く研究されてきました。その代表がLMTM(ヒドロメチルチオニンメシル酸塩、HMTM)です。軽度から中等度のアルツハイマー病などを対象に、第3相のLUCIDITY試験が行われました[13]

この試験では、LMTMは意外にも非常に低い用量でのみ有効性を示すという特性が分かり、対照群には盲検性を保つ目的で、尿を変色させる最低用量の類縁化合物が使われました。ところが、この「偽薬」のはずの低用量が予想外に効果の閾値を超えてしまい、真の偽薬対照が成立しない状態になったため、あらかじめ定めた主要評価項目で偽薬に対する有意な改善を示すことができませんでした[13]。いったんできたタウのかたまりの連鎖を低分子で完全に断つことの難しさを示す結果でした。

読者にとっての意味は、こう整理できます。低分子でかたまりを止める試みや、外に出たタウの先端だけをねらう初期の抗体が壁に直面する一方で、ジラネルセンのようにタウの産生を根もとから抑えるアプローチが、タウPETでの病変の減少という手応えを見せています。まだ「治せる薬」がある段階ではありませんが、治療の照準は着実に上流へと移りつつあります。

9. 遺伝子検査と遺伝カウンセリングの実際

MAPTを調べる場面は、目的によって大きく異なります。「何を心配しているのか」をはっきりさせることが、適切な検査を選ぶ第一歩です。稀な変異を探すのか、体質を見るのか、領域の欠失を探すのかで、選ぶ検査も結果の意味も変わります。

場面 向いている検査 解釈の要点
家族性の若年性認知症が疑われる 認知症関連のNGSパネル(MAPTの点変異・スプライシング変異を検出) FTDP-17は顕性遺伝。変異が見つかれば血縁者への影響も検討対象になる。
体質としてのH1/H2を知りたい ハプロタイプの判定 わずかな傾向を示すのみ。単独で将来の発症予測には使えない。
領域の欠失(発達の遅れ等)を疑う 染色体マイクロアレイ(CMA) 点変異検査では見落とされる「量の増減」を調べる。Koolen-de Vries症候群が対象。

当院では、前頭側頭型認知症やアルツハイマー病に関わる遺伝子を一度に調べるアルツハイマー・認知症NGSパネル(MAPT・GRN・C9orf72などを収載)を用意しています。同じくMAPTを含むALS遺伝子検査NGSパネルや、パーキンソン病・アルツハイマー病・認知症のパネルもあります。ここで一点、注意があります。C9orf72という遺伝子のリピート伸長は、通常のNGSでは検出できません。前頭側頭型認知症の遺伝学ではC9orf72が最も頻度の高い原因のひとつであるため、当院のパネルではリピートプライムドPCRという別の方法を併用しています。

検査の前後には、臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングが欠かせません。とくにFTDP-17のような発症前の血縁者を対象とする検査(予測的検査・発症前診断)では、慎重な配慮が必要です。まだ症状のない方が「将来発症する」という結果を受け取ることには、心理的にも社会的にも大きな重みがあるからです。話し合う内容は、検査で何が分かり何が分からないのか、結果がご本人やご家族にとってどのような意味を持つのか、そして結果を受けてどのような選択肢があるのか、といった点です。検査を受けるかどうかを含め、決めるのはご本人であり、私たちは中立の立場で判断材料を整理する役割を担うべきだと考えています。当院に遺伝カウンセラーは在籍しておらず、遺伝カウンセリングは臨床遺伝専門医が行います。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「知る権利」と「知らないでいる権利」の両方を大切にする】

発症前診断について相談を受ける場面を想像するとき、私がいちばん大切にしたいと考えているのは、「知る権利」と同じくらい「知らないでいる権利」も尊重されるべきだ、という原則です。結果を知って備えたいと考える方もいれば、知らずに今を生きたいと考える方もいます。どちらも尊重されるべき選択で、医療者が一方へ誘導してよいものではないと考えています。

とくに有効な予防法や治療法が確立していない病気では、「知ること」が必ずしも安心につながるとは限りません。だからこそ、時間をかけて情報を整理し、ご本人が納得して選べる状態をつくることが、遺伝医療の役割だと考えています。急いで結論を出す必要はありません。

10. よくある誤解

MAPTは「認知症の遺伝子」という言葉で語られがちですが、その関わり方は一様ではありません。よくある4つの誤解を整理しておくと、検査結果や報道に落ち着いて向き合えます。

誤解①「MAPTに変化があると必ず認知症になる」

MAPTの関わり方には段階があります。稀な点変異(FTDP-17)は顕性遺伝で発症に直結しますが、これはごく一部の家系に限られます。多くの人が持つH1/H2という体質は、なりやすさをわずかに動かすだけで、発症を決めるものではありません。

誤解②「H1という体質だから認知症になる」

H1はPSPやCBDのリスクをわずかに高める傾向を示しますが、H1を持つ人の大多数はこれらの病気を発症しません。ハプロタイプは「わずかな傾向」であって「運命」ではありません。体質検査の結果ひとつで将来を決めつける必要はありません。

誤解③「タウを治す薬はもうある」

タウの産生を抑えるASOや、広がりを止める抗体療法は臨床試験の段階です。バイオマーカーの改善など有望な手応えは出ていますが、症状を確実に改善すると証明された承認薬は、現時点ではまだありません。

誤解④「アルツハイマー病はアミロイドだけの病気」

アミロイドβに加えて、認知機能の低下と強く結びつくのはタウの病変だという理解が広がっています。だからこそ、MAPT/タウを標的にした治療開発が世界中で進んでいます。

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この記事にたどり着いた方は、いくつかの状況があると思います。ご家族に若年で発症した認知症の方がいて遺伝が心配な方、体質検査でMAPTやH1/H2の結果を受け取って戸惑っている方、PSPやCBDと診断されてタウとの関係を知りたい方――それぞれで、次に確認するとよい観点は違います。

遺伝が心配な方は、まず遺伝形式(顕性か体質か)を整理すると、血縁者への影響の考え方が見えてきます。発症前の血縁者の検査を考えている方は予測的(発症前)検査の考え方を、家族性の認知症を調べたい方は認知症関連のNGSパネルを確認してみてください。判断に迷うときは、遺伝診療で臨床遺伝専門医に相談することができます。総論として病気の全体像を知りたい方は前頭側頭型認知症のページもあわせてどうぞ。

よくある質問(FAQ)

Q1. MAPT遺伝子はどこにあって、何をつくる遺伝子ですか?

MAPTは17番染色体の長腕(17q21.31)にある遺伝子で、微小管結合タンパク質タウをつくります。タウは神経細胞のなかの微小管(線路)に貼りついて、その組み立てをうながし安定させ、軸索を通る物質輸送を支えます。成人の脳では6種類のアイソフォームが作り分けられます。タウが微小管から離れてかたまりを作ると、アルツハイマー病や前頭側頭型認知症などのタウオパチーの原因になります。

Q2. MAPTに変化があると必ず認知症になりますか?

変化の種類によって意味がまったく違います。MAPTの稀な点変異(FTDP-17)は常染色体顕性(優性)遺伝で発症に直結しますが、これはごく一部の家系に限られます。一方、多くの人が持つH1/H2という体質(ハプロタイプ)は、PSPやCBDのなりやすさをわずかに動かすだけで、発症を決めるものではありません。「MAPTに関係する」と一口に言っても、確実性の度合いはまったく異なります。

Q3. H1/H2ハプロタイプの検査で将来の認知症は予測できますか?

できません。H1・H2は病気の変異ではなく、誰もがどちらかを持っている体質です。H1系統はPSPやCBDのリスクをわずかに高める傾向を示しますが、H1を持つ人の大多数はこれらの病気を発症しません。ハプロタイプが示すのは集団としての統計的な傾向であって、個人の運命ではありません。したがって、体質検査の結果ひとつで将来の発症を予測したり、対策を決めたりすることはできません。

Q4. 3Rタウと4Rタウの違いは何ですか?

エクソン10という部品を含めて作られるのが4Rタウで、微小管をつかむ手が4本あります。エクソン10を外して作られるのが3Rタウで、手が3本です。健康な大人の脳では3Rと4Rがほぼ1対1に保たれています。この比率が崩れることが神経変性の引き金になります。溜まるタウの型は病気ごとに異なり、PSPやCBDでは4Rのみ、ピック病では3Rのみ、アルツハイマー病では3Rと4Rの両方が溜まります。

Q5. MAPTはどの検査で調べられますか?

目的によって選ぶ検査が変わります。稀な点変異やスプライシング変異は、当院のアルツハイマー・認知症NGSパネルなど、MAPTを収載した遺伝子パネルで調べられます。領域まるごとの欠失を疑うときは染色体マイクロアレイ(CMA)が向いています。なお、同じ認知症関連遺伝子でもC9orf72のリピート伸長は通常のNGSでは検出できないため、当院ではリピートプライムドPCRを併用しています。何を心配しているのかを整理してから検査を選ぶことが大切です。

Q6. FTDP-17は子どもに遺伝しますか?発症前に検査できますか?

FTDP-17は常染色体顕性(優性)遺伝のため、片方の親が変異を持つ場合、お子さんに伝わる確率は1回の妊娠あたり2分の1(50%)と計算されます。まだ症状のない血縁者を対象とする発症前の検査(予測的検査)は技術的には可能ですが、有効な予防法や治療法が確立していない現状では、結果を知ることが必ずしも安心につながるとは限りません。「知る権利」と「知らないでいる権利」の両方が尊重されるべきで、臨床遺伝専門医とよく相談したうえで慎重に判断することをおすすめします。

Q7. アルツハイマー病とMAPT(タウ)はどう関係しますか?

アルツハイマー病では、アミロイドβの蓄積に伴ってタウが過剰にリン酸化され、神経原線維変化というかたまりを作ります。溜まるタウは3Rと4Rの両方です。近年は、認知機能の低下の程度と強く相関するのはアミロイドβよりむしろタウの病変だという見方が広がっており、タウそのものを標的にした治療の開発が進んでいます。MAPTはこの「タウ」の設計図にあたる遺伝子です。

Q8. タウを標的にした治療薬はもう使えますか?

現時点では、症状を確実に改善すると証明された承認薬はありません。タウの産生を抑えるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ジラネルセン/BIIB080)や、かたまりの広がりを止める抗体療法(ベプラネマブ、エタラネツグ/E2814など)が臨床試験の段階にあり、脳脊髄液中のタウやタウPETの減少など有望な手応えが報告されています。ただし、これらは開発中の情報であり、今後の評価で結論が変わる可能性があります。最新の状況は主治医にご確認ください。

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家族性の若年性認知症・前頭側頭型認知症などに関する
遺伝子検査と遺伝カウンセリングは
臨床遺伝専門医が在籍するミネルバクリニックにご相談ください。

参考文献

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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