目次
- 1 1. ハンチントン病とは:原因・初期症状・発症年齢
- 2 2. ハンチントン病は遺伝する?遺伝する確率と遺伝形式
- 3 3. ハンチントン病の遺伝子検査でわかること:CAGリピート数の読み方
- 4 4. どんな人がこの検査を受けるとよいか
- 5 5. 発症前診断を受けるかどうか:当院の考え方
- 6 6. 筋強直性ジストロフィー・脊髄小脳変性症など、ほかのトリプレットリピート病(リピート伸長病)
- 7 7. 結果が出たあと:陽性・陰性・中間型
- 8 8. 病的変異が見つかったら、次にできること
- 9 9. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体
- 10 10. 院長コラム
- 11 よくある質問(FAQ)
- 12 参考文献
- 13 関連記事

ハンチントン病の遺伝子検査は、4番染色体にあるHTT遺伝子の中で「CAG」という3つの文字が何回繰り返しているか(CAGリピート)を数える検査です。ハンチントン病は、親から子へ2分の1の確率で受け継がれる常染色体顕性遺伝の病気で、親やきょうだいが発症して「自分はどうなのか」「子どもに遺伝するのか」と考えている方が多く受ける検査です。生まれ持った遺伝子は一生変わりません。わかったうえで、仕事や結婚・出産、住まいや介護の準備など、これからの人生を計画したいと考える方もいます。このページでは、ハンチントン病の原因・初期症状・遺伝する確率と、発症前診断を含む遺伝子検査でわかること、筋強直性ジストロフィー・脊髄小脳失調症などほかのリピート伸長病の検査について、臨床遺伝専門医が解説します。
⏱️ 30秒でわかる要約
🧬 Q. ハンチントン病の遺伝子検査で何がわかりますか?
ハンチントン病の原因であるHTT遺伝子のCAGリピートの数を調べます。40回以上は発症する範囲、36〜39回は発症する人もしない人もいる範囲、27〜35回は中間型と読みます。筋強直性ジストロフィー1型・脊髄小脳失調症・球脊髄性筋萎縮症・脆弱X症候群など、ご希望の遺伝子のリピート伸長も調べられます。
🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか? 遺伝する確率は?
親・きょうだいがハンチントン病で、ご自身が受け継いでいるか知りたい方(発症前診断)、症状があり原因を確かめたい方、結婚・妊娠を考えている方です。親が原因の遺伝子をもっている場合、お子さんに遺伝する確率は1人ごとに2分の1です。
🧬 Q. 費用・日数・検体は?
検査費用は275,000円(税込)、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・頬の内側の粘膜で、唾液・粘膜はオンライン診療のあとご自宅で採って送っていただけます。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。
🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?
結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。陽性でも、そこで終わりではありません。妊娠したときの出生前診断(羊水検査・絨毛検査)は院内で相談できます。ご家族の検査や、中間型の結果の意味もご説明します。
\ 一生変わらない遺伝子を知って、これからの計画に /
検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、知りたいと決めた方には検査まで行います。
1. ハンチントン病とは:原因・初期症状・発症年齢
ハンチントン病とは、HTT遺伝子のCAGリピートが長く伸びることで脳の神経細胞が少しずつ傷み、体が勝手に動く不随意運動(舞踏運動)、考える力の低下、気分や行動の変化が、多くは大人になってから少しずつ進む病気です[1]。以前は「ハンチントン舞踏病」とも呼ばれていました。
世界の研究をまとめた解析では、ハンチントン病の有病率は人口10万人あたり2.71人で、アジアの研究ではあわせて0.40人と、ほかの地域より低いことが示されています[2]。日本については、難病情報センターが、わが国の調査では人口10万人あたり0.7人で欧米の10分の1と紹介しています(2026年10月時点で確認)。
原因:HTT遺伝子のCAGリピートが伸びる
ハンチントン病の原因遺伝子は、4番染色体にあるHTT遺伝子です。HTT遺伝子はハンチンチンというたんぱく質の設計図で、その中に「CAG」という3文字が何回も並ぶ部分があります。この繰り返しが一定の回数を超えて長くなると、病気の原因になります[1]。
CAGはグルタミンというアミノ酸を指定する文字の並びで、CAGが伸びると、グルタミンが長く連なったたんぱく質ができます。こうした病気をまとめてポリグルタミン病といいます。また、短い配列の繰り返しが伸びて起こる病気全体はリピート伸長病(トリプレットリピート病)と呼ばれます。このページの検査は、この繰り返しの長さを測る検査です。
初期症状と発症年齢(若年性ハンチントン病を含む)
ハンチントン病の初期症状には、目の動きや手足の動きのわずかなぎこちなさ、小さな不随意運動、段取りを考えることの難しさ、気分の落ち込みやイライラなどがあります[1]。どれも少しずつ現れるため、はじめは病気の症状と気づかれにくいことがあります。
ハンチントン病の発症年齢は、平均で約45歳とされていますが[1]、30〜50歳とする報告もあり[3]、幅があります。20歳より前に発症するものは「若年性ハンチントン病」と呼ばれ、ハンチントン病と診断される方の1〜15%を占めます。若年性の方のCAGリピートは、ふつう55回を超えています[1]。
CAGリピートが長いほど発症が早い傾向があることは、はっきりわかっています[1]。ただし、世界40施設の2,913人を調べた研究でも、発症の時期にはCAGの長さだけでは説明できないばらつきがあることが示されています[5]。CAGの数から、一人ひとりの発症年齢を言い当てることはできません。
進み方と余命:平均的な経過と、使える治療
ハンチントン病は年単位でゆっくり進む病気で、発症してからの生存期間の中央値は15〜18年(5年未満から25年を超える方まで幅がある)と報告されています[1]。この数字は多くの患者さんをまとめたもので、一人ひとりの余命を決めるものではありません。進むにつれて、日常生活に手助けが必要になっていきます[3]。
2026年10月時点で、病気の進み方そのものを変える治療として承認された薬はありません[6]。舞踏運動に対しては、日本ではテトラベナジンが2012年に「ハンチントン病に伴う舞踏運動」の治療薬として承認されています。この薬は、うつ状態や、自殺したい気持ちが出たり強くなったりすることがあるため、主治医のもとで注意しながら使います(PMDAの添付文書で確認)。
病気の進み方を変えることをめざす研究も進んでいます。たとえば遺伝子治療のAMT-130は、2026年9月に米国FDAへ迅速承認の申請が出された段階で、承認はされていません。一方、ハンチンチンを減らす核酸医薬トミネルセンは、2026年7月に開発の中止が発表されました(いずれも開発企業の発表)。治験の状況は時期によって変わるため、最新の情報は脳神経内科の主治医にご確認ください。
日本の制度:指定難病(2026年10月時点)
ハンチントン病は、指定難病8です(難病情報センター、2026年10月時点で確認)。このページで調べられるほかの病気では、脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く)が指定難病18、球脊髄性筋萎縮症が指定難病1、筋強直性ジストロフィーは指定難病113「筋ジストロフィー」の病型のひとつに含まれています。医療費の助成を受けるには、認定の基準を満たして申請する必要があります。くわしくは、難病情報センターやお住まいの自治体の窓口でご確認ください。
病気のしくみや病期の分け方、研究中の治療をさらに詳しく知りたい方は、ハンチントン病総論をご覧ください。このページでは、検査を受けるかどうかを決めるために必要なことを中心にお伝えします。
2. ハンチントン病は遺伝する?遺伝する確率と遺伝形式
ハンチントン病は遺伝します。遺伝形式は常染色体顕性遺伝で、親のどちらかがCAGリピートの伸びたHTT遺伝子をもっていると、お子さん1人ごとに2分の1(50%)の確率で受け継ぎます[1]。
親から子へ2分の1:常染色体顕性遺伝
常染色体顕性(優性)遺伝では、対になった2本の遺伝子のうち1本に原因があれば発症しうるため、親から子へ伝わる確率はお子さん1人ごとに2分の1です。性別には関係しません。上のお子さんが受け継いだかどうかで、次のお子さんの確率が変わることもありません。
孫に遺伝する?家系とのかかわり
祖父母のどなたかがハンチントン病で、親御さんがまだ検査を受けていない場合、お孫さんが受け継いでいる確率は、計算上4分の1(2分の1×2分の1)です。親御さんが受け継いでいないとわかれば、その遺伝子がお孫さんに伝わることはありません。
ただし、親御さんより先にお孫さんが検査を受けて陽性とわかると、親御さんも受け継いでいることがわかってしまいます。親御さんが「知らないでいる」ことを選んでいる場合もあるので、ご家族の中で誰が、どの順番で検査を考えるかは、遺伝カウンセリングで一緒に考えることが大切だと考えています。
父親から伝わるときにリピートが増えやすい(表現促進現象)
ハンチントン病では、親から子へ伝わるときにCAGリピートが長くなり、より早い年齢で発症することがあります。これを表現促進現象といい、母親より父親から伝わるときにずっと多く起こります[1]。大きく伸びるのはほとんどが父親から伝わるときで[1]、若年性ハンチントン病につながる伸びは父親から伝わるときにだけ生じると報告されています[10]。
⚠️ 「親が軽いから、子どもも同じ」とは言えません
CAGリピートは、親から子へ伝わるときに長さが変わることがあり、お子さんの発症の時期や重さが親御さんと同じになるとは限りません[1]。だからこそ、知ったうえで、結婚や妊娠を計画することに意味があります。
親が発症していなくても伝わることがある(中間型の範囲が伸びる)
CAGリピートが27〜35回の「中間型」の方は、ご本人はハンチントン病を発症しないとされています。けれども、お子さんに伝わるときに伸びて、発症する範囲になることがあります[1]。そのため、ご家族にハンチントン病の方が見当たらなくても、ハンチントン病の可能性は否定されません[1]。
3. ハンチントン病の遺伝子検査でわかること:CAGリピート数の読み方
ハンチントン病の遺伝子検査(遺伝子診断)では、HTT遺伝子のCAGリピートの数を数え、下の4つの範囲のどれに当たるかで結果をお伝えします[1]。
📏 ハンチントン病の検査:CAGリピート数の読み方
| CAGリピートの数 | 範囲の名前 | 意味 |
|---|---|---|
| 26回以下 | 正常 | ハンチントン病を発症しない範囲 |
| 27〜35回 | 中間型 | ご本人は発症しないとされる。お子さんに伝わるときに伸びて、発症する範囲になることがある |
| 36〜39回 | 浸透率が低い範囲 | 発症する人もいれば、発症しない人もいる。39回で90代まで発症しなかった方の報告もある[4] |
| 40回以上 | 完全浸透の範囲 | 生涯のうちに発症すると考えられている範囲。いつ発症するかは予測できない |
※範囲はGeneReviews(2026年2月更新)[1]による。36〜39回で発症しない方がいることは文献[4]。20歳より前に発症する若年性ハンチントン病の方では、CAGリピートはふつう55回を超えています[1]。原因をもっていても発症しない人がいることを「浸透率が100%ではない(不完全浸透)」といいます。
40回以上という結果は、ハンチントン病の原因をもっていることを意味します。一方で、発症の時期や症状の重さは、この数だけでは決まりません(第1章)。36〜39回という結果は、生涯発症しないこともあるため、結果の受け止め方を遺伝カウンセリングで丁寧にご説明します。
この検査でわからないこと(検査の限界)
この検査でわかるのは、調べた遺伝子のリピートの長さです。次のことには限界があります。
- ●いつ発症するか・どれくらい重いか:CAGリピートが長いほど発症が早い傾向はありますが、一人ひとりの発症年齢や経過は予測できません[1][5]。
- ●大きく伸びたときの正確な回数:この検査(リピートプライムドPCR法という、繰り返しの長さを調べる方法)では、リピートが大きく伸びている場合に、正確な回数までは出せないことがあります。
- ●境目に近い結果:CAGの並びのすぐ後ろの配列には個人差があり、それによってCAGの数が2回少なく数えられることがあると報告されています[1]。境目に近い結果は、とくに慎重に解釈します。
- ●調べないこと:遺伝子の文字の小さな変化を読む検査(配列解析)、遺伝子の一部が欠けたり重なったりする変化(欠失・重複)、メチル化の解析は、この検査に含まれていません(別途ご相談ください)。
- ●ご希望の遺伝子だけ:調べるのは、ご家系の病気に合わせてお選びいただいた遺伝子です。調べていない遺伝子の病気はわかりません。
4. どんな人がこの検査を受けるとよいか
ハンチントン病の症状があり原因を確かめたい方、親・きょうだいがハンチントン病でご自身のことを知りたい方、結婚や妊娠を考えている方に向く検査です。ご家族のことは、見た目や家族歴だけでは判断できません。まず遺伝カウンセリングで状況をお聞かせください。
発症していて、原因を確かめたい方
主治医から、舞踏運動や気分・考える力の変化をハンチントン病によるものではないかと言われた方は、この検査でCAGリピートを確かめることで、診断をはっきりさせることができます。ご家族にハンチントン病の方が見当たらない場合でも、ハンチントン病の可能性は否定されません[1]。
親・きょうだいが発症していて、ご自身のことを知りたい方(発症前診断)
症状のない方が、将来発症するかどうかを調べる検査を「発症前診断(予測的検査)」といいます。英国で1993〜2014年に行われたハンチントン病の発症前の検査9,407件をまとめた研究では、検査を受けた理由として最も多かったのは「不確実さを減らすため」(70.5%)で、「将来の計画のため」(57.7%)、「子どもを持つかどうかを決めるため」(23.0%)も挙げられていました[8]。
同じ研究では、リスクのある方のうち検査を受けた人の割合は17.4%で、8割を超える方は検査を受けていませんでした[8]。知ることも、知らないでいることも、どちらも尊重される選択です。当院の考え方は、次の第5章でくわしくお伝えします。
結婚・妊娠を考えている方
結婚するか、子どもを持つかは、その人の生き方そのものに関わる大きな選択です。ご自身が原因の遺伝子をもっているかどうかを妊娠の前に知っておくと、出生前診断を含めて、選べることが増えます(第8章)。
この検査より別の検査が向いている場合
ハンチントン病を疑うとき、ご家族の病気の原因遺伝子がわかっているときは、この検査が向いています。症状から病気をしぼれないときは、次の検査のほうが合うことがあります。
🔍 症状に合わせた検査の選び方
| こんなとき | 向いている検査 |
|---|---|
| 舞踏運動・気分や考える力の変化、家族にハンチントン病の方 | このページの検査(HTT遺伝子のCAGリピート) |
| ふらつきなどの運動失調で、型をしぼれない | 運動失調リピート伸長遺伝子パネル検査/運動失調症遺伝子検査パネル |
| 手足や飲み込みの筋力低下(ALSが疑われる) | ALS(筋萎縮性側索硬化症)遺伝子検査パネル |
| もの忘れなど認知症の症状が中心 | アルツハイマー・認知症遺伝子パネル検査 |
| ふるえ・動作が遅いなどパーキンソン症状 | パーキンソン病包括的遺伝子検査/パーキンソン病・アルツハイマー病・認知症遺伝子パネル検査 |
| プリオン病の家族歴 | PRNP遺伝子リピート伸長検査(プリオン病) |
※どの検査が合うかは、症状・診察所見・ご家族の情報で変わります。遺伝カウンセリングで一緒に決めましょう。
\ 知ってから、結婚や出産を考えるという選択 /
海外でPGT-Mを考えている方には、英語の検査結果をお渡しできます(検査の時にお申し出ください)。
5. 発症前診断を受けるかどうか:当院の考え方
当院は、ライフステージごとに患者さんの人生をサポートするという考え方で診療しています。知りたいと願う方を拒むことはしません。遺伝カウンセリングで十分に考えたうえで、ご本人が知りたいと決めた場合は、その意思を尊重して検査まで行います。
知りたいと願う方を拒みません
ハンチントン病の発症前の検査について、欧州の専門家がまとめた国際的な推奨は、検査の説明を受けてから受けるかどうかを決めるまで少なくとも1か月あけること、付き添いの方を選んで一緒に来ていただくこと、結果は対面で直接伝えることなどを勧めています[7]。当院でも、遺伝カウンセリングで時間をかけて考えていただいてから検査を行い、結果は臨床遺伝専門医が直接お伝えします。
先が見えないまま過ごすより、わかったうえで、仕事・結婚や出産・住まい・介護の準備・ご家族との話し合いなど、これからの人生を計画したいと考える方もいます。日本の制度の中で発症前の検査が受けにくい背景については、『発症した本人でなければハンチントン病遺伝子検査はできない』と大学病院で断られ続けた方へで解説しています。
知らないでいる選択も尊重します
知らないでいることも、同じように大切な選択です。先の国際的な推奨も、検査を受ける方は、いつでも結果を聞かないと決められるとしています[7]。遺伝カウンセリングを受けたからといって、検査を受けなければならないわけではありません。
結果を知ったあとの気持ちの変化と、相談を続けられること
結果を知ったあとの気持ちの変化は、陽性でも陰性でも起こりえます。国際的な推奨は、結果を伝えたあと1週間以内に連絡をとることなど、結果のあとの支えも勧めています[7]。病気は違いますが、アルツハイマー病のなりやすさに関わる遺伝子(APOE)の結果を伝えた研究では、伝えた人と伝えなかった人とで、その後の不安・うつ・検査についての苦痛に大きな差はありませんでした[9]。当院では、結果をお伝えしたあとも、遺伝カウンセリングで相談を続けていただけます。ご家族にハンチントン病の方がいる方の遺伝カウンセリングについては、ハンチントン病の母と祖母をもつ方の遺伝カウンセリングもご覧ください。
未成年の方の発症前診断
日本医学会の「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」(2022年3月改定)は、成年期以降に発症する病気の発症前の検査は、原則として本人が成人し自分で判断できるまで延期すべきで、両親などの代わりの同意で行うべきではないとしています。国際的な推奨も、検査を受けられる年齢を18歳以上としています[7]。当院でも、未成年の方の発症前診断は原則として行いません。
6. 筋強直性ジストロフィー・脊髄小脳変性症など、ほかのトリプレットリピート病(リピート伸長病)
この検査では、ハンチントン病のほかにも、下の一覧のトリプレットリピート病(リピート伸長病)の原因遺伝子を、ご家系の病気に合わせて選んで調べられます。ご希望の遺伝子をお伝えください。
🧬 トリプレットリピート病一覧:この検査で調べられる遺伝子
| 遺伝子 | 関係する病気 | 遺伝のしかた | 単独の検査ページ |
|---|---|---|---|
| HTT | ハンチントン病 | 常染色体顕性 | このページ |
| FMR1 | 脆弱X症候群、脆弱X関連振戦/失調症候群(FXTAS) | X連鎖 | FMR1遺伝子リピート伸長検査 |
| AFF2 | 脆弱XE症候群(FRAXE) | X連鎖 | このページ |
| FXN | フリードライヒ運動失調症 | 常染色体潜性 | このページ |
| AR | 球脊髄性筋萎縮症(SBMA) | X連鎖 | このページ |
| ATXN1 | 脊髄小脳失調症1型(SCA1) | 常染色体顕性 | ATXN1リピート伸長検査 |
| ATXN2 | 脊髄小脳失調症2型(SCA2) | 常染色体顕性 | ATXN2リピート伸長検査 |
| ATXN3 | 脊髄小脳失調症3型(SCA3、マシャド・ジョセフ病) | 常染色体顕性 | ATXN3リピート伸長検査 |
| CACNA1A | 脊髄小脳失調症6型(SCA6) | 常染色体顕性 | SCA6 CACNA1A遺伝子リピート伸長検査 |
| ATXN7 | 脊髄小脳失調症7型(SCA7) | 常染色体顕性 | ATXN7遺伝子リピート伸長検査 |
| ATXN8OS/ATXN8 | 脊髄小脳失調症8型(SCA8) | 常染色体顕性 | ATXN8/ATXN8OSリピート伸長検査 |
| PPP2R2B | 脊髄小脳失調症12型(SCA12) | 常染色体顕性 | SCA12 PPP2R2B遺伝子リピート伸長検査 |
| TBP | 脊髄小脳失調症17型(SCA17) | 常染色体顕性 | SCA17 TBP遺伝子リピート伸長検査 |
| DMPK | 筋強直性ジストロフィー1型(DM1) | 常染色体顕性 | このページ |
| JPH3(HDL2-CAG) | ハンチントン病類縁疾患2型 | 常染色体顕性 | このページ |
※遺伝子は当院の検査で調べられるもの。遺伝のしかたはOMIMによる。単独の検査ページがある遺伝子は、そちらでも1つずつ検査をご案内しています。
脊髄小脳変性症(脊髄小脳失調症)の遺伝と、検査の選び方
難病情報センターによると、脊髄小脳変性症の患者さんは全国で3万人を超え、そのうち3分の1が遺伝性の脊髄小脳変性症です(2026年10月時点で確認)。遺伝性脊髄小脳変性症の多くは常染色体顕性遺伝で、親から子へ2分の1の確率で伝わります。そのため、お孫さんへの確率の考え方も、ハンチントン病と同じです(第2章)。
脊髄小脳失調症のなかにも、表現促進現象がはっきりみられる型があります。たとえば脊髄小脳失調症7型は、CAGリピートの病気のなかで最も不安定とされ、父親から伝わるときにより大きく伸びることが報告されています[11]。
ご家族の型がわかっている場合は、このページの検査か、上の表の単独の検査ページで、その遺伝子を調べます。型がわからない場合は、多くの遺伝子のリピート伸長をまとめて調べる運動失調リピート伸長遺伝子パネル検査が向いています。
筋強直性ジストロフィー1型:母親から伝わるときに重い先天型になることがある
筋強直性ジストロフィー1型は、DMPK遺伝子のCTGという繰り返しが伸びて起こる常染色体顕性遺伝の病気です。生まれたときから症状がある重い先天型は、母親から伝わる場合にだけ起こると報告されています[10]。お母さんの症状が軽くても、お子さんが重い先天型で生まれることがあるため、妊娠の前に知っておくことに意味があります。しくみは筋強直性ジストロフィー1型:CTGリピートが母系遺伝で伸長する仕組み、病気全体は筋強直性ジストロフィー(DM1/DM2)総論で解説しています。
球脊髄性筋萎縮症・脆弱X症候群など、X連鎖の病気
球脊髄性筋萎縮症は、AR遺伝子のCAGリピートが伸びて起こるX連鎖の病気です。CAGリピートが38回以上で発症する範囲とされ、変化をもつ女性は、ふつうは症状がないか、あっても軽いとされています[12]。脆弱X症候群の原因であるFMR1遺伝子のCGGリピートは、前変異(プレミューテーション)をもつ母親から伝わるときに大きく伸びることがあり、父親から伝わるときにはそうならないと報告されています[10]。
X連鎖や潜性遺伝の病気では、ご自身が保因者かどうかを知ることが、お子さんの計画につながります。当院の拡大版保因者スクリーニングの対象遺伝子の一覧には、FMR1・FXN・AR・AFF2が含まれています(どの遺伝子が対象かは、遺伝子一覧でご確認ください)。妊娠中の方には、NIPTと同じ日に採血できるカップルの保因者検査「ファミリーセーフティ プラス」もあります。脆弱X症候群については、FMR1遺伝子リピート伸長検査のページでくわしくご案内しています。
どの検査を選べばよいか
🧭 リピート伸長の検査の選び分け
| こんなとき | 向いている検査 |
|---|---|
| ハンチントン病、またはご家族の病気の原因遺伝子がわかっている | このページの検査(ご希望の遺伝子を選んで調べる) |
| 運動失調があり、どの型かわからない | 運動失調リピート伸長遺伝子パネル検査(多くの遺伝子をまとめて調べる) |
| 脊髄小脳失調症の型がわかっている | 上の表の単独の検査ページ、またはこのページの検査 |
| 脆弱X症候群・FXTAS・早発卵巣不全が気になる | FMR1遺伝子リピート伸長検査 |
7. 結果が出たあと:陽性・陰性・中間型
結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。
陽性(36回以上)だったとき
40回以上ならハンチントン病の原因をもっていること、36〜39回なら発症することもしないこともある範囲であることをお伝えします。症状のある方では診断がはっきりし、指定難病などの制度を考える手がかりになります。症状のない方では、すぐに何かが変わるわけではありません。わかったことをこれからの計画にどう生かすかを、一緒に考えます(第8章)。
陰性(26回以下)だったとき
ご家族の病気がハンチントン病と確かめられている場合、26回以下なら、ご本人がハンチントン病の原因を受け継いでいないことを意味します。症状がある方で陰性だった場合は、ハンチントン病に似た症状を起こすほかの病気を考え、次の検査を一緒に検討します。
中間型(27〜35回)だったとき
ご本人はハンチントン病を発症しないとされますが、お子さんに伝わるときに伸びることがあります[1]。妊娠を考えるときの意味を含めて、遺伝カウンセリングでご説明します。なお、国際的な推奨は、出生前の検査で中間型とわかったことを理由に妊娠を中断することは勧めないとしています[7]。
結果の報告書の言語と、判断に迷う結果
結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。報告書の読み方は遺伝子検査結果の見かたをご覧ください。
このページの検査はリピートの長さを測る検査ですが、境目に近い結果のように、意味の判断に慎重さが必要な結果が出ることがあります。遺伝子の配列を読む検査で見つかる「意義がまだわからない変化(VUS)」と同じように、それだけで診断やご家族の検査には使いません。結果の伝え方については、当院の二次的所見の開示方針もあわせてご覧ください。
8. 病的変異が見つかったら、次にできること
CAGリピートの伸びが見つかっても、そこで終わりではありません。治療や生活の準備、子どもを持つときの選択肢、ご家族の検査まで、次にできることがあります。
発症しているご本人:使える治療・治験
舞踏運動には、日本で承認されたテトラベナジンがあります(第1章)。気分の落ち込みやイライラなどの症状にも、それぞれに合わせた治療やケアがあります。治療は脳神経内科の主治医が行います。当院は治療を行う施設ではありませんが、診断がはっきりすることは、主治医と治療や治験への参加を相談する出発点になります。指定難病の申請にも、診断の確定が手がかりになります。
症状のない方:仕事・結婚・出産を考える
陽性とわかっても、いつ発症するかは予測できません(第3章)。だからこそ、元気なうちに、仕事の選び方、住まい、将来の介護や財産のこと、ご家族との話し合いを進めておきたいと考える方もいます。英国の研究でも、発症前の検査を受けた理由として「将来の計画」を挙げた人は57.7%でした[8]。結婚するか、子どもを持つかを、知ってから決めることもできます。
子どもを持つときの選択肢:出生前診断
ご家族でCAGリピートの伸びがわかっていれば、妊娠中に赤ちゃんで同じ変化があるかを調べる出生前検査が可能とされています[1]。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。当院では2025年6月から産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査を院内で行っています。単一遺伝子の病気の出生前診断の流れは単一遺伝子疾患の出生前診断で解説しています。
ただし、日本産科婦人科学会の「出生前に行われる遺伝学的検査および診断に関する見解」(2013年)が挙げる単一遺伝子の病気の条件は「新生児期もしくは小児期に発症する重篤な」病気で、ハンチントン病のように大人になってから発症する病気については、はっきり書かれていません。出生前診断ができるかは、病気の重さや国内の指針を踏まえて個別に判断するため、妊娠を考えている段階からご相談ください。何も検査をせずにそのまま出産することも、もちろん選べます。
海外でPGT-M(着床前遺伝学的検査)を考えている方へ:英語の検査結果をお渡しできます
PGT-Mとは、体外受精でできた受精卵(胚)の一部の細胞を調べ、ご家族でわかっている遺伝子の変化を受け継いでいない胚を選んで子宮に戻す検査です。「海外でPGT-Mを受けたい」というお問い合わせをいただきます。当院は体外受精・PGT-Mを行っていませんが、PGT-Mの前提となる原因の確定と、英語の検査結果をご用意できます。英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。
欧州ヒト生殖・胎生学会(ESHRE)の指針によると、PGT-Mの準備には、①病気の原因と確かめられた遺伝子の変化があること、②どの遺伝子のどの変化かが書かれた元の報告書、③ご家族の検体が必要です[13]。受精卵から取れるDNAはごくわずかで、変化を直接読むだけでは判定を誤るおそれがあるため、変化のある場所の両側にある目印で「変化をもつ染色体」を家系の中でたどる方法(ハプロタイプ解析)を組み合わせます[13]。顕性遺伝のハンチントン病では、指針の目安として、患者さん少なくとも1人(できれば2人)、および/または発症していない方1人のDNAが求められます[13]。ご本人の検査結果だけでは、PGT-Mの準備はふつう整いません。血縁者がいない場合にも別の方法が挙げられていますが、できるかどうかは施設や家系の状況で大きく変わり、受けられないこともあります[13]。
海外でPGT-Mを考えている方は、ご本人の検査の段階から、検査に協力していただけるご家族(とくに同じ変化をもつ方)がいるかを考えておくことが大切です。当院では、ご家族の遺伝子検査も、遺伝カウンセリングのうえでお受けしています。なお、ハンチントン病のように大人になってから発症する病気では、ご家族に病気のある方が自分の状態を知らずに済むよう、胚の検査の方法を工夫すること(除外検査)も指針で示されています[14]。くわしくは遺伝性疾患をお持ちで海外でPGT-M(着床前診断)を考えている方へと、PGT-Mはなぜ本人だけでは検査できないのかで解説しています。
臨床遺伝専門医としての判断では、境目に近い結果や中間型の扱いは、PGT-Mの対象にするかを慎重に考える必要があります。また、海外の施設によって求められる書類や検体は違うので、受ける予定の施設にも前もってご確認ください。
⚠️ PGT-Mは診断ではなく、スクリーニング検査です
PGT-Mは受精卵のごく一部の細胞を調べる検査で、結果が赤ちゃんの状態と食い違うことがあります。ESHREの指針は、多くの施設で誤った結果になる割合は全体で1〜3%まで下げられているとしたうえで、PGTのあとに妊娠したすべての方に出生前診断を提案すべきとしています[14]。当院では、PGT-Mで選んだ胚で妊娠した場合も、妊娠中に赤ちゃんそのものを調べる確定検査(絨毛検査・羊水検査)で確かめることが望ましいと考えています。絨毛検査・羊水検査は院内で行っており、海外でPGT-Mを受けたあとの妊娠でもご相談いただけます。
日本では、日本産科婦人科学会の「重篤な遺伝性疾患を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-M)に関する指針」(2026年9月改定)にもとづき、PGT-Mは症例ごとに学会の審査を受け、そのうえで実施施設の倫理委員会が承認して行われます。この指針の「重篤」は、原則として、成人に達する前に日常生活が著しく損なわれる、または生存が危ぶまれる状態になる疾患で、有効な治療法がないか、治療法があっても高度かつ侵襲度の高いもの、とされています。成人に達する前に生存が危ぶまれるわけではないが日常生活が著しく損なわれる状態が現れる疾患では、その病気の専門医の意見書などを追加で出す仕組みになっています。学会の発表では、2025年7月〜2026年6月の1年間に審査した73件のうち、37件が審査継続中でした(2026年9月発表)。
英国では、公的機関(HFEA)がPGT-Mを使える病気の一覧を公表しており、2,000を超える病気が載っています(2026年9月17日更新の一覧で2,067)。ハンチントン病は、この一覧に載っています(2026年9月時点)。米国では、PGTを直接規制する連邦や州の法律はなく、主に医師・施設の判断で行われています[15]。米国生殖医学会(ASRM)の倫理委員会は2024年、大人になってから発症する病気に対するPGT-Mも倫理的に許容されうるとする意見を出しています[16]。どの病気がPGT-Mの対象になるかは、国や制度、施設によって違います。同じ病気でも、ある国では対象になり、別の国では個別の審査が必要になることがあります。受ける国の制度と、施設の条件を前もって確かめてください。
ご家族が調べるとき
ご家族の中で原因の遺伝子と回数がわかっていると、ほかのご家族は同じ遺伝子を調べることで、受け継いでいるかどうかを確かめられます。あなたの1回の検査が、ご両親・きょうだい・お子さんが自分のことを考える手がかりになります。ただし、症状のないご家族の検査は発症前診断になるため、ご本人が遺伝カウンセリングで考えて、知りたいと決めてから行います(第5章)。
当院でのその後
結果をお伝えしたあとも、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングでご説明し、ご家族への伝え方、結婚や妊娠の計画、出生前診断のことまで一緒に考えます。わかったことを、これからの人生の計画に生かしていただけるよう、続けて支えます。
9. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体
ハンチントン病の遺伝子検査の費用は275,000円(税込)、結果までは2〜3週間です。唾液・頬の内側の粘膜で検査する場合は、遠方の方でも、オンライン診療(ビデオ通話での診察)で遺伝カウンセリングを受けたあと、ご自宅で採った検体を当院にお送りいただく形で、ご来院なしで検査を受けられます。
この検査は、遺伝診療先進国・米国の3大遺伝子検査会社の一角で行います。※
※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。
💴 ハンチントン病の遺伝子検査の費用・日数・検体
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調べること | ご希望の遺伝子のリピート伸長(HTT・FMR1・AFF2・FXN・AR・ATXN1・ATXN2・ATXN3・CACNA1A・ATXN7・TBP・DMPK・ATXN8OS/ATXN8・PPP2R2B・JPH3) |
| 検査費用 | 275,000円(税込) |
| 胎児の場合(出生前診断) | 132,000円が追加になります |
| 遺伝カウンセリング料 | 30分22,000円(税込)※検査費用とは別。出生前診断に限り30分33,000円(税込) |
| 結果までの期間 | 2〜3週間 |
| 検体 | 血液・唾液・頬の内側の粘膜(唾液・粘膜はオンライン診療のあとご自宅で採取できます) |
| オンライン診療 | 受けられます。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。 |
※当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。検体は取り違えや品質の問題を防ぐため、遺伝カウンセリングでご案内する方法で採取してください。
遺伝カウンセリングでは、検査で何がわかり、何がわからないか、結果がご本人とご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。
\ 人生に一度の遺伝子検査を、これからの計画に /
臨床遺伝専門医が常駐し、陽性の場合の出生前診断(羊水検査・絨毛検査)まで院内でご相談いただけます。
10. 院長コラム
🩺 院長コラム【知ってから、結婚や出産を考えるという選択】
私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。
結婚するか、子どもを持つかは、その人の生き方そのものに関わる大きな選択です。ハンチントン病は、父親から伝わるときにCAGリピートが伸びやすく、親より早く発症するお子さんもいる病気です。だからこそ、知ってから決めるのと、知らずに決めるのとでは、同じ選択でも意味が違うと私は考えています。知りたいと願う方を、当院は拒みません。そして、知ったうえで妊娠を考える方には、出生前診断まで当院で続けて支えられる体制を整えています。
遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。
わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。もちろん、知らないでいることも大切な選択です。どの選択をされても、その選択を尊重します。
よくある質問(FAQ)
Q1. ハンチントン病が遺伝する確率は?
ハンチントン病は常染色体顕性遺伝の病気で、親のどちらかがCAGリピートの伸びたHTT遺伝子をもっている場合、お子さん1人ごとに2分の1(50%)の確率で受け継がれます。男女の差はなく、上のお子さんが受け継いだかどうかで、次のお子さんの確率が変わることもありません。
Q2. ハンチントン病は孫に遺伝しますか?
祖父母のどなたかがハンチントン病で、親御さんがまだ検査を受けていない場合、親御さんが受け継いでいる確率が2分の1、そこからお孫さんへ伝わる確率が2分の1なので、お孫さんの確率は計算上4分の1になります。親御さんが受け継いでいないとわかれば、その遺伝子がお孫さんに伝わることはありません。ただし、お孫さんの検査で陽性とわかると、親御さんも受け継いでいることがわかってしまうため、ご家族での話し合いが大切です。
Q3. ハンチントン病の遺伝子検査の費用は?
当院の検査費用は275,000円(税込)で、結果までは2〜3週間です。検査料とは別に、遺伝カウンセリング料が30分22,000円(税込)かかります。胎児の検査(出生前診断)の場合は132,000円が追加になります。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。
Q4. 症状がなくても検査(発症前診断)は受けられますか?
受けられます。当院は、知りたいと願う方を拒むことはしません。遺伝カウンセリングで十分に考えたうえで、ご本人が知りたいと決めた場合は、その意思を尊重して検査まで行います。知らないでいる選択も、同じように尊重します。なお、成年期以降に発症する病気の発症前の検査は、未成年の方には原則として行いません。
Q5. ハンチントン病の初期症状と、発症する年齢は?
初期症状には、目の動きや手足の動きのぎこちなさ、小さな不随意運動、段取りを考えることの難しさ、気分の落ち込みやイライラなどがあります。発症の平均年齢は約45歳とされますが幅があり、20歳より前に発症する若年性ハンチントン病もあります。CAGリピートが長いほど発症が早い傾向がありますが、一人ひとりの発症年齢を言い当てることはできません。
Q6. ハンチントン病は治せますか?治療薬はありますか?
2026年10月時点で、病気の進み方そのものを変える治療として承認された薬はありません。舞踏運動には、日本ではテトラベナジンが「ハンチントン病に伴う舞踏運動」の治療薬として承認されています。遺伝子治療などの研究も進んでいますが、承認には至っていません。治療や治験については脳神経内科の主治医にご相談ください。
Q7. 海外でPGT-Mを受けたいのですが、英語の検査結果はもらえますか?
はい。英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。当院は体外受精・PGT-Mを行っていません。また、ご本人の検査結果だけでは、PGT-Mの準備はふつう整いません。必要なことは、海外でPGT-Mを考えている方向けのコラムで解説しています。
Q8. 妊娠したとき、赤ちゃんの出生前診断はできますか?
ご家族でCAGリピートの伸びがわかっていれば、妊娠中に赤ちゃんで同じ変化があるかを調べる方法があります。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。ハンチントン病のように大人になってから発症する病気の出生前診断は、病気の重さや国内の指針を踏まえて個別に判断するため、妊娠を考えている段階からご相談ください。
🧬 一度の検査で、ご自身とご家族のこれからを考える
生まれ持った遺伝子は一生変わりません。ハンチントン病の遺伝子を知ることは、仕事や住まい、結婚・妊娠の計画、ご家族との話し合いを考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。
お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768
参考文献
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