この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)
ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。
記事の作り方(編集方針)

パーキンソン病の多くは、遺伝子1つで決まる病気ではありません。けれども、若くして発症した方やご家族に同じ病気の方がいる場合には、原因となる遺伝子の変化が見つかることがあります。原因がわかれば、診断までの回り道を終わらせ、治療や治験を考える手がかりにでき、ご家族が自分のことを考える材料にもなります。このページでは、パーキンソン病が遺伝する確率、若年性・家族性パーキンソン病の原因遺伝子、26遺伝子を一度に調べる遺伝子検査でわかること・わからないこと、費用までを、臨床遺伝専門医が解説します。
⏱️ 30秒でわかる要約
🧬 Q. パーキンソン病は遺伝しますか?この検査で何がわかりますか?
多くは遺伝しませんが、一部に遺伝子の変化が原因の家族性パーキンソン病があります。この遺伝子検査では、PRKN(パーキン)・PINK1・LRRK2・SNCA・GBA1など26遺伝子をまとめて調べ、若年性・家族性パーキンソン病の原因やなりやすさに関わる変化がないかを確かめます。
🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?
若年性パーキンソン病(40歳以下で発症)と言われた方、ご家族にパーキンソン病の方がいる方、親がパーキンソン病で「自分や子どもに遺伝するか」が気になる方です。
🧬 Q. 遺伝子検査の費用・日数・検体は?
検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・頬の粘膜で、オンライン診療にも対応しています。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。
🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?
臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。遺伝のしかたによって、きょうだい・お子さんへの確率が違います。ご家族の検査や、意義がまだわからない変化(VUS)の扱いもご説明します。
1. パーキンソン病は遺伝する?原因と遺伝の関わり
パーキンソン病は、一般には親から子へ遺伝する病気ではありません。ただし、若くして発症した方の一部には、ご家族にも同じ病気の方がいて、原因となる遺伝子が見つかっている場合があります。難病情報センターも、このように説明しています(2025年12月更新の情報を2026年10月に確認)。
パーキンソン病の原因はひとつではなく、年齢や環境、そして生まれ持った遺伝子のなりやすさが重なって起こると考えられています。そのなかで、ある遺伝子の変化がほぼ単独で病気の原因になるものを「遺伝性(家族性)パーキンソン病」と呼びます。北米でパーキンソン病の方8,301人に7つの遺伝子を調べた研究では、報告すべき遺伝子の変化が見つかった方は全体の13%でした[6]。この数字には、発症を決めるほどではない「なりやすさ」の変化(GBA1など)も含まれます。
パーキンソン病とは:主な症状と、遺伝子検査でわかる範囲
パーキンソン病は、脳の中で体の動きを調節するドパミンという物質を作る神経細胞が少しずつ減っていく病気です。手足のふるえ、動きが遅く小さくなる、筋肉のこわばり、転びやすさといった運動の症状に加え、便秘やにおいのわかりにくさ、睡眠中の異常な行動などの運動以外の症状も出ることがあります。難病情報センターによると、日本の有病率は人口10万人あたり100〜180人ほどで、50歳以上で発症することが多い病気です(2026年10月時点で確認)。
パーキンソン病の診断そのものは、症状と診察、画像検査などで脳神経内科の医師が行います。遺伝子検査でわかるのは、その原因やなりやすさに関わる遺伝子の変化があるかどうかです。「パーキンソン病かどうか」を血液検査だけで決める検査ではないことを、最初に押さえておいてください。
若年性パーキンソン病の初期症状と原因
40歳以下で発症するパーキンソン病を、若年性パーキンソン病と呼びます(難病情報センター)。若年性パーキンソン病では、遺伝子の変化が原因になっている割合が、高齢で発症する場合より高くなります。
若年性の原因としてよく知られているのが、若年性パーキンソン病2型の原因となるPRKN(パーキン)遺伝子です。PRKN遺伝子の変化が常染色体潜性(劣性)の若年性パーキンソニズムを起こすことは、1998年に報告されました[1]。PRKN・PINK1・PARK7(DJ-1)の3つの遺伝子について、1,100人を超える患者さんの情報をまとめた系統的レビューでは、2つの変化をもつ方の発症年齢の中央値は約30歳で、治療への反応がよく、ジストニア(体の一部がこわばってねじれる症状)やジスキネジア(自分の意思と関係なく体が動く症状)が比較的多い一方、認知機能の低下は比較的少ないとされています[2]。
パーキンソン病になりやすい人と遺伝(家族歴・発症年齢・GBA1)
遺伝の面で「なりやすさ」が高い目安になるのは、発症が早いこと、親・きょうだい・子どもにパーキンソン病の方がいること、そして特定の遺伝子の変化をもっていることです。北米の研究では、50歳未満の発症、遺伝的なリスクの高い祖先(アシュケナージ系ユダヤ人など)、親・きょうだい・子どもに患者さんがいる、のいずれかに当てはまる方の18%で遺伝子の変化が見つかりました。どれにも当てはまらない方でも9.1%に見つかっています[6]。家族歴がないから遺伝子は関係ない、とは言い切れません。
なりやすさに関わる遺伝子として最も多いのが、GBA1遺伝子(以前の名前はGBA)です。日本人のパーキンソン病の方534人と、パーキンソン病でない方544人を比べた研究では、GBA1の変化を1つもつ方が、パーキンソン病の方で9.4%、そうでない方で0.37%でした(オッズ比28.0)[5]。16施設の約5,700人の患者さんを含む国際共同研究でも、オッズ比は5.43でした[4]。ただし、GBA1の変化をもっていても、多くの方はパーキンソン病を発症しません。「なりやすくなる」と「必ず発症する」は違います。
2. 家族性パーキンソン病の原因遺伝子と、遺伝する確率
パーキンソン病が遺伝する確率は、原因の遺伝子と遺伝形式によって大きく違います。潜性(劣性)の型と顕性(優性)の型では、きょうだいとお子さんへの確率が逆になると考えてください。原因がわからないままでは、ご家族の確率を正確にお伝えすることはできません。
🧬 家族性パーキンソン病の遺伝形式と、遺伝する確率の目安
※遺伝形式はOMIMの遺伝子と病気の対応(ヒト表現型オントロジーで確認、2026年10月)による。実際の確率は、ご家族の状況と原因の変化をもとに遺伝カウンセリングでお伝えします。
潜性(劣性)遺伝の型:きょうだいは4分の1、お子さんはふつう保因者
常染色体潜性(劣性)遺伝では、両親から1つずつ、計2つの変化を受け継いだときに発症します。ご両親はそれぞれ変化を1つだけもつ保因者で、ふつう症状はありません。そのため、ご本人のきょうだいは4分の1の確率で同じように2つの変化を受け継ぎ、2分の1の確率で保因者になります。
一方、ご本人のお子さんは、ご本人から変化を必ず1つ受け継ぎますが、パートナーが保因者でなければ発症しない保因者になります。パートナーも同じ遺伝子の保因者だった場合は、お子さん1人あたり2分の1の確率で発症しうる組み合わせになるため、パートナーの検査が意味をもちます。パートナーの保因者の確認には、拡大版保因者スクリーニングも選べます(対象の遺伝子かどうかは、ページの遺伝子一覧でご確認ください)。
顕性(優性)遺伝の型:お子さんへは2分の1。ただし発症しない人もいる(浸透率)
常染色体顕性(優性)遺伝では、変化が1つあれば発症しうるため、お子さんは1人ごとに2分の1の確率で変化を受け継ぎます。ただし、LRRK2のように、変化を受け継いでも発症しない方がいる遺伝子があります。これを「浸透率が100%ではない(不完全浸透)」といいます。
世界21施設の国際共同研究では、LRRK2のGly2019Serという変化をもつ方がパーキンソン病を発症している割合は、59歳で28%、69歳で51%、79歳で74%と推定されました[3]。年齢とともに上がっていきますが、高齢になっても発症しない方がいることを示しています。この数字は世界24の集団のデータにもとづくもので、日本人だけの値ではありません。
なりやすさに関わる遺伝子(GBA1など)とX連鎖(TAF1)
GBA1は、2つの変化をもつとゴーシェ病(常染色体潜性遺伝)の原因になる遺伝子です。1つだけもつ場合はゴーシェ病にはなりませんが、パーキンソン病やレビー小体型認知症のなりやすさに関わります[4][5]。パーキンソン病のご本人にGBA1の変化が見つかった場合、お子さんが受け継ぐ確率は2分の1ですが、受け継いでも発症するとは限りません。また、パートナーもGBA1の保因者なら、お子さんがゴーシェ病になる組み合わせがありうるため、妊娠を考える方にとっても大切な情報になります。
TAF1は、主にフィリピンで知られるX連鎖潜性のジストニア・パーキンソニズムに関わる遺伝子です。この病気の原因は、TAF1遺伝子の中に入り込んだ長い配列(レトロトランスポゾン)の挿入と関連していると報告されています[7]。こうした種類の変化は、このパネル検査で調べる範囲の外になることがあります(第5章)。
親がパーキンソン病のとき、子どもに遺伝する?
親がパーキンソン病でも、多くの場合、お子さんに病気がそのまま遺伝するわけではありません。けれども、親が若くして発症した場合や、親戚にも患者さんがいる場合には、遺伝子の原因が隠れていることがあります。「自分も同じ病気になるのか」「自分の子どもに遺伝するのか」は、親の原因がわかっているかどうかで答えが変わります。
いちばん確かな順番は、発症している親御さんに検査を受けていただき、原因の変化を確かめることです。原因がわかれば、お子さんは同じ変化だけをピンポイントで調べられ、結果の意味もはっきりします。親御さんがすでに亡くなっている、検査を受けられないといった場合は、症状のないご本人がこの検査を受けることもできます。ただし、その場合は「見つからなかった」ことの意味が限られます(第5章)。父が若年性パーキンソン病で亡くなった方の遺伝カウンセリングについては、父が若年性パーキンソン病で亡くなった息子さんの遺伝カウンセリングでも紹介しています。
3. どんな人がこの遺伝子検査を受けるとよいか
若年性パーキンソン病と診断された方、ご家族にパーキンソン病の方がいる方、そして親やきょうだいが発症していて自分のことを知りたい方に向く検査です。あなたの1回の検査結果は、ご両親・きょうだい・お子さんが自分のことを考える手がかりにもなります。
ご本人が発症している方
- ●40歳以下で発症した若年性パーキンソン病の方、50歳未満で発症した方
- ●親・きょうだい・子どもなど、ご家族にもパーキンソン病の方がいる方
- ●ジストニアを伴う、症状が典型的でないなど、診断がはっきりしないパーキンソニズム(パーキンソン病に似た症状)がある方
- ●原因の遺伝子がわかったら、その型の人を対象にした治験・研究への参加も考えたい方
原因がわからないまま病院を回る時間を、1回の検査で短くできる可能性があります。ただし、すべての方に原因が見つかるわけではありません。北米の研究でも、見つかったのは全体の13%でした[6]。見つからなかった場合の考え方は、第6章でご説明します。
親・きょうだいが発症していて、ご自身は症状のない方
症状のない方が、将来発症する可能性を調べる検査を「発症前の検査(予測的検査)」といいます。当院は、ライフステージごとに患者さんの人生をサポートするという考え方で診療しており、知りたいと願う方を拒むことはしません。遺伝カウンセリングで十分に考えたうえで、ご本人が知りたいと決めた場合は、その意思を尊重して検査まで行います。知らないでいる選択も、同じように尊重します。この考え方は、ハンチントン病の発症前の検査についてのコラムでも詳しく書いています。
先が見えないまま過ごすより、わかったうえで、仕事・結婚や出産・住まい・ご家族の介護の準備など、これからの人生を計画したいと考える方もいます。若年性パーキンソン病の家系の方では、働き盛りの時期の仕事の続け方を考えておきたい、という思いもあるでしょう。英国でハンチントン病の発症前検査を受けた人の理由として最も多かったのは「不確実さを減らすため」(70.5%)でした[8]。病気は違いますが、「知って計画を立てたい」という思いは、パーキンソン病のご家族にも通じるものだと考えています。
一方で、結果を知ったあとの気持ちの変化は、陽性でも陰性でも起こりえます。当院では、結果をお伝えしたあとも、遺伝カウンセリングで相談を続けていただけます。なお、日本医学会のガイドライン(2022年3月改定)は、成年期以降に発症する病気の未成年者への発症前の検査は、原則として本人が成人し自分で判断できるまで延期すべきとしています。お子さんの検査は、この考え方を踏まえてご相談ください。
この検査より別の検査が向く場合
パーキンソン病がどんな検査でわかるかというと、診断は脳神経内科での診察と画像検査が中心で、遺伝子検査はその原因を探るものです。症状によっては、このページの検査より別の遺伝子検査が向いていることがあります。名前の似た検査が多いので、次の表で選び分けてください。
🔍 神経の病気の遺伝子検査:どれを選べばよいか
※どの検査が合うかは、症状・診察所見・ご家族の情報で変わります。迷ったときは、遺伝カウンセリングでご相談ください。
4. 調べる26遺伝子と、わかる病気
この遺伝子検査(遺伝学的検査)では、家族性パーキンソン病の原因遺伝子と、パーキンソン病に似た症状(パーキンソニズム)を起こす病気の遺伝子、あわせて26遺伝子を一度に調べます。1つずつ順番に調べるのではなく、まとめて調べるので、どの遺伝子が原因かわからない段階でも受けられます。
5. この検査でわかること・わからないこと
この検査でわかるのは、26遺伝子の読み取り部分(タンパク質の設計図になる部分)とその境目にある小さな変化と、遺伝子の欠失・重複の一部です。陰性でも、パーキンソン病や遺伝の関わりを否定することはできません。
- ●わかること:一塩基の変化や小さな挿入・欠失。欠失・重複は、遺伝子まるごとの変化(頬の粘膜・血液)と、隣り合う2つ以上のエクソンにわたる変化(血液のみ)を調べられます。
- ●見つけにくいこと:エクソン1つだけの欠失・重複は、見つかることもありますが、日常的には検出できません。
- ●わからないこと:染色体の転座や逆位、同じ配列の繰り返しが長くなる変化(リピート伸長)、遺伝子の調節部分やエクソンから20塩基以上離れた部分の変化。TAF1の病気で報告されている長い配列の挿入[7]のような変化も、この範囲の外になることがあります。
- ●モザイク:体の一部の細胞にだけ変化がある状態(モザイク)や、がん組織の変化を調べる目的の検査ではありません。
- ●調べていない遺伝子:この26遺伝子以外の遺伝子は調べていません。
- ●意義がまだわからない変化(VUS):病気の原因かどうか、まだ判断できない変化が見つかることがあります。
見つかった欠失・重複は、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します。読み取りの質が十分でない部分は、サンガー法という別の方法で読み直して補います。こうした確認は、結果の誤りを減らすためのものです。また、パーキンソン病の原因と関係なく、ほかの病気の原因となる変化が見つかることもあります。その扱いは、当院の二次的所見の開示方針をご覧ください。
📊 専門的な情報:読み取りの精度(カバレッジ)
カバレッジとは、DNAの同じ場所を何回読んだかを示す指標です。この検査は、対象の領域の99%以上を20回以上読み取る設計です(≥99% at 20x)。同じ場所を何度も読むことで、読み間違いによる誤りを減らせます。
6. 病的変異が見つかったら、次にできること
結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。原因の遺伝子がわかると、ご本人の治療や治験の選択肢、ご家族の検査、妊娠の計画まで、次の一手が具体的に決まります。
発症しているご本人:診断の確定と、治験・研究という選択肢
原因の遺伝子がわかると、病名がはっきりし、今後の経過の見通しを主治医と考えやすくなります。たとえば、PRKN・PINK1・PARK7で2つの変化がある方では、治療への反応がよい一方、ジストニアやジスキネジアが比較的多いことが知られています[2]。治療は、主治医の脳神経内科で受けていただきます。
また、GBA1やLRRK2など特定の遺伝子の型をもつ方を対象にした治療薬の臨床試験が行われています。北米の研究も、遺伝子検査を広く受けられるようにすることが、GBA1・LRRK2に関連したパーキンソン病の治験につながると述べています[6]。遺伝子の型がわからなければ、こうした治験の対象かどうかも判断できません。どの治験に参加できるかは時期や地域で変わるため、主治医とご確認ください。
症状のない方:知ったうえで、これからを計画する
親やきょうだいの原因の変化を受け継いでいるとわかった場合も、それは「必ず発症する」という意味とは限りません。LRRK2のように、受け継いでも発症しない方がいる遺伝子もあります[3]。結果は、仕事の続け方、住まい、結婚や出産、ご家族との話し合いなど、これからの計画を考える材料として使えます。気持ちの揺れが出たときも、遺伝カウンセリングで相談を続けていただけます。
子どもを持つときの選択肢
ご家族で原因の遺伝子の変化がわかっていれば、妊娠したときに赤ちゃんで同じ変化があるかを調べられます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。当院では羊水検査・絨毛検査を院内で行っています(2025年6月から産婦人科を併設)。その病気で出生前診断を行えるかは、病気の重さや国内の指針を踏まえて個別に考えるため、妊娠を考えている段階からご相談ください。
日本でも、日本産科婦人科学会の指針にもとづく審査を経て、PGT-M(着床前遺伝学的検査)が行われています(当院は体外受精・PGT-Mを行っていません)。準備に必要なことは海外でPGT-M(着床前診断)を考えている方へで解説しています。どの選択をするか、何もせずにそのまま妊娠・出産を迎えるかは、ご夫婦が決めることです。どの選択も尊重します。
なお、このページの26遺伝子のうちATP1A3は、当院のNIPTのインペリアルプランでも調べられます。NIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。NIPTで陽性だった場合は、確定検査(羊水検査・絨毛検査)を院内で受けられます。
ご家族の検査:同じ変化をピンポイントで
ご本人で原因の変化が見つかれば、ご両親・きょうだい・お子さんは、その変化だけを調べて受け継いでいるかを確かめられます。症状のないご家族の検査は発症前の検査になるため、検査の前に遺伝カウンセリングで、知ることの意味をご本人がよく考えて決めていただきます(第3章)。
陰性だったとき/VUSだったとき
原因の変化が見つからなかった場合も、パーキンソン病を否定するものではありません。多くのパーキンソン病は遺伝子1つでは説明できず、この検査で調べられない種類の変化が原因のこともあります(第5章)。症状に合わせて、第3章の表にあるほかの検査を考えます。
意義がまだわからない変化(VUS)は、それだけで診断に使ったり、ご家族の検査に使ったりはしません。研究が進んで、のちに意味がはっきりすることもあります。VUSの扱いはVUS(意義不明変異)の臨床的取り扱いで詳しく解説しています。
7. 日本の制度:パーキンソン病は指定難病(2026年10月時点)
パーキンソン病は、指定難病6に指定されています(難病情報センター、2026年10月時点で確認)。若年性パーキンソン病や、遺伝子が原因のパーキンソン病も、パーキンソン病として扱われます。
医療費の助成を受けるには、病気の重さなどの認定の条件を満たし、申請する必要があります。認定の基準や申請の方法は、難病情報センターや、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。なお、当院の遺伝子検査と遺伝カウンセリングは、すべて自費診療です。
8. 検査の流れ・パーキンソン病の遺伝子検査の費用・日数・検体
パーキンソン病の遺伝子検査の費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・頬の粘膜で採れ、唾液・頬の粘膜ならオンライン診療のあとご自宅で採っていただけます。
ご予約
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
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検体の採取血液・唾液・頬の粘膜
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結果のご説明2〜3週間後・マイページへ
💴 費用・日数・検体
※この検査は、遺伝診療先進国・米国の3大遺伝子検査会社の一角で行います。※
※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。
※ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。
オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただく流れです。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。検体採取キットは、検査料金をお支払いいただいたあとにお送りします。検体の取り違えや品質の低下を防ぐため、キットが届く前にご自身で検体を採取しないでください。
結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。報告書の読み方は遺伝子検査結果の見かたをご覧ください。
遺伝カウンセリングでは、検査で何がわかり、何がわからないか、結果がご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。
9. 院長コラム
🩺 院長コラム【一生変わらない設計図を、一度で知る】
私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。
生まれ持った遺伝子は一生変わりません。一度の検査でわかったことは、ご自身の治療や治験を考えるときだけでなく、ご家族の健康や、これからの妊娠・出産の計画を考えるときにも、ずっと役に立ちます。研究が進めば、同じ結果の意味があとからはっきりすることもあります。
遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。パーキンソン病でも、家族歴がない方に遺伝子の変化が見つかることがあると報告されています[6]。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。
わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。結婚するか、子どもを持つかは、その人の生き方そのものに関わる大きな選択です。知ったうえで考えたい方には、遺伝カウンセリングから出生前診断まで、当院で続けて支えられる体制を整えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。
よくある質問(FAQ)
Q1. パーキンソン病は遺伝しますか?
パーキンソン病は、一般には親から子へ遺伝する病気ではありません。ただし、若くして発症した方などの一部では、遺伝子の変化が原因の家族性パーキンソン病があります。北米でパーキンソン病の方8,301人を調べた研究では、報告すべき遺伝子の変化が見つかった方は13%で、なりやすさに関わる変化も含まれていました。
Q2. 親がパーキンソン病だと、子どもに遺伝しますか?
多くの場合、親のパーキンソン病がそのままお子さんに遺伝するわけではありません。親が若くして発症した、親戚にも患者さんがいる、といった場合は遺伝子の原因が隠れていることがあります。いちばん確かな順番は、発症している親御さんが検査を受けて原因を確かめ、そのうえでお子さんが同じ変化を調べることです。
Q3. パーキンソン病が遺伝する確率は?
原因の遺伝子と遺伝形式によって違います。PRKNなどの常染色体潜性(劣性)の型では、きょうだいが4分の1の確率で発症しうる一方、お子さんはふつう保因者になります。LRRK2などの常染色体顕性(優性)の型では、お子さんが2分の1の確率で変化を受け継ぎますが、受け継いでも発症しない方がいます。
Q4. 若年性パーキンソン病は遺伝性ですか?
40歳以下で発症する若年性パーキンソン病では、遺伝子の変化が原因になっている割合が、高齢で発症する場合より高くなります。代表的な原因はPRKN(パーキン)遺伝子で、常染色体潜性(劣性)遺伝の若年性パーキンソン病2型を起こします。若年性でも、遺伝子の原因が見つからない方もいます。
Q5. パーキンソン病は血液検査でわかりますか?
パーキンソン病の診断は、脳神経内科での診察と画像検査などで行います。血液や唾液で行う遺伝子検査でわかるのは、パーキンソン病の原因やなりやすさに関わる遺伝子の変化があるかどうかで、パーキンソン病かどうかを決める検査ではありません。
Q6. パーキンソン病の遺伝子検査の費用はいくらですか?
当院のパーキンソン病の遺伝子検査(26遺伝子)は税込330,000円で、結果までは2〜3週間です。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。
Q7. 遺伝子の変化を受け継いでいたら、必ず発症しますか?
必ずとは限りません。LRRK2のGly2019Serという変化では、発症している割合は59歳で28%、69歳で51%、79歳で74%と推定されています。GBA1の変化も、なりやすさを上げますが、もっていても多くの方は発症しません。結果の意味は遺伝カウンセリングでご説明します。
Q8. 検査で異常が見つからなければ、パーキンソン病ではないということですか?
いいえ。多くのパーキンソン病は遺伝子1つでは説明できず、この検査では調べられない種類の変化が原因のこともあります。陰性でも、パーキンソン病や遺伝の関わりを否定することはできません。症状に合わせて、ほかの検査を考えます。
🧬 一度の検査で、ご自身とご家族のこれからを考える
生まれ持った遺伝子は一生変わりません。パーキンソン病の原因がわかれば、ご自身の治療や治験を考える手がかりになるだけでなく、ご家族の検査や、結婚・妊娠の計画を考える材料になります。当院では、臨床遺伝専門医による検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。
お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768
参考文献
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