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父が若年性パーキンソン病で亡くなった息子さんの遺伝カウンセリング

遺伝子に関連する病気や悩みについて専門家に相談できるのが遺伝カウンセリングです。

まだまだなかなか一般的でない遺伝カウンセリング
そこで今回はご自身の父がパーキンソン病を若くして発症し、50代で亡くなってしまったケースの遺伝カウンセリングをご紹介します。

遺伝カウンセリングとは?

遺伝カウンセリングや遺伝子検査は、これから家庭を持とうとする夫婦の間でますます人気が高まっています。
ところが、日本では遺伝専門医は少なく、なおかつ大学病院くらすの大きな病院の中にいて、小児科や産婦人科ベースで提供されてきたので、こうした近年のニーズにこたえることが難しくなりつつあります。そこで、ミネルバクリニックは遺伝カウンセリングを誰でも希望すれば受けられるようにしたいと思って開業し、なおかつオンライン診療で全国をカバーしています。
技術の進歩により、子孫に影響を及ぼす可能性のある遺伝子疾患を特定することが可能になりました。
家族計画のための遺伝子カウンセリングと検査の利点をお伝えし、遺伝子検査とその結果を用いた専門家による診断は、カップルが十分な情報を得た上で決断を下すのに非常に役立つものです。
また、遺伝カウンセリングにおいて提供された情報を用いて、自ら問題を解決できるように社会的・心理的サポートを受けることができます。
遺伝カウンセリングの対象は、遺伝子疾患を抱えた人や妊婦さんで胎児の遺伝子疾患が見つかった人のみでなく、その家族や健康な人も含まれます。

遺伝カウンセリングの重要性とどういうことを行うのかについては、リンク先のページをご覧ください。
関連記事:遺伝カウンセリングの重要性について

遺伝カウンセリングと検査

個人と家族が自分たちの健康と将来について十分な情報を得た上で、どのように生きていくのかを決断を下すのに役立つ、現代医学に不可欠な2つの要素が遺伝カウンセリングと遺伝子検査等の遺伝学的検査です。

遺伝カウンセリングは、個人が自分の健康状態や発症リスクの遺伝的基盤を理解するのを助ける教育と指導のプロセスです。一方、遺伝子検査は、診断ツールで、病気の原因が何なのかや、原因となるDNAの変化を特定することができます。

家族計画にとって、なぜ遺伝カウンセリングと検査が重要なのか?

遺伝子カウンセリングと検査は、家族を計画するカップルにとって重要な情報を提供することができます。遺伝カウンセリングと検査の利点は以下のとおりです。

    遺伝性疾患のリスクを理解する
    遺伝子検査は、特定の遺伝性疾患を受け継ぐリスクを特定するのに役立ちます。ミネルバクリニックでは世界基準の検査を採用しておりますので、国内で出来ない検査でも提供可能です。リスクを知ることで、ご夫婦が子供を持つこと、つまり家族計画について十分な情報を得た上で決断することができるようになります。
    妊娠について十分な情報を得た上での決断ができる
    遺伝的疾患の遺伝を避けるために、出生前検査を受けるか、生殖補助医療を利用するかなど、妊娠について十分な情報を得た上で決断することができます。
    遺伝的疾患の早期発見
    遺伝学的検査は、遺伝性疾患を早期に発見することができ、早期の介入と治療を可能にします。
    安心感をもてる
    遺伝カウンセリングと検査は、遺伝的疾患のリスクを心配する夫婦に安心感を与えることができます。

*唾液・口腔ぬぐい液の場合、遠隔地の方でも遠隔診療(ビデオスルーでの診察のことをいいます)で遺伝カウンセリングをしたのち、検体を当院にお送りいただく形で、当院にお越しにならずに検査が可能です。遠方の方でもお受けいただけます。

遺伝カウンセリングと検査はどのように行われますか?

遺伝カウンセリングと検査は、通常、以下のような一連のステップを経て行われます。

    相談
    遺伝専門医と会い、病歴家族歴、心配事 について尋ねられます。
    検査
    必要であれば、遺伝子検査が勧められます。これには血液検査、唾液検体、組織検体が含まれます。
    結果の解釈
    遺伝子検査の結果は、遺伝専門医が解釈し、その結果が何を意味するのか、また、夫婦の将来の子供への影響 を説明します。
    フォローアップ
    遺伝専門医は、質問に答え、支援するために、フォローアップを行います。

今回の症例の問題点

父が50代で死亡したAさん。ご本人は30代で、手堅いお仕事をしています。

そんなとき、同じ職場で好きな女性(Bさん)ができました。お互いに結婚したいと思い、決意してBさんのご実家にご挨拶に行ったのですが、厳しいことを言われました。

Aさんが父と同じ病気を発症して50代で死ぬのではないか、そんな人と大事な娘を結婚させられない、という内容です。
Bさんの実家は地方の旧家なので、ご両親は非常に厳格です。
Aさんは困り果て、パーキンソン病の遺伝子検査をして自分に問題がないことを証明しようと思うようになりました。
ネットサーフィンをしてたどり着いたミネルバクリニックで、検査をして問題ないという証明書を書いてもらい、ご両親に持って行きたい、そして結婚の許しを得たいという事でした。

わたしはむしろ、そういう差別的な発言をするご両親のもとで育ったお嬢さんと結婚して大丈夫なのですかと聞いてしまいましたが。
彼は、Bさんしか自分の伴侶として考えられない、ときっぱりと言っていました。

ご自分の人生をどう生きるのかはご自身に決定権があります。わたしたちは、それをサポートするしかありません。自己決定権とはそれほど重いものなのです。

なので。Aさんの希望通り遺伝子検査を提供することにしました。もちろん、遺伝子検査をしてもAさんの望んでいる「問題ない」という結果が得られるとは限りませんが。

今回の症例の選択

Aさんは、ミネルバクリニックの遺伝子検査の中から、パーキンソン病に関係する遺伝子を包括的に含むものを選びました。

関連記事:パーキンソン病|アルツハイマー病|認知症遺伝子パネル検査

今回の症例の検査結果

結果は、Aさんにはパーキンソン病に関係する病的遺伝子はありませんでした。
Aさんには、父親と同じ病気を発症するという遺伝学的な背景はない、という診断書(証明書)を検査結果と共に発行しました。

まとめ

遺伝カウンセリングは、遺伝子疾患について専門家から科学的根拠に基づいた医学的情報を提供してもらい、遺伝子疾患に関する悩みを相談するために設けられる機会です。

人生において、結婚や子供を持つという家族計画の時点で、ご本人だけでは乗り越えられないとき、こうして遺伝子検査がお役に立てることがあります。

そういう悩みを抱えた患者さんたちに、真摯に寄り添える。そういう遺伝専門医でありたいと私は考えています。

お悩みの方は是非、ご相談下さい。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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