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低血糖症の遺伝子検査|子ども・新生児の低血糖の原因を60遺伝子で調べる(ケトン性低血糖症との違い・費用)

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

低血糖症の遺伝子検査|子ども・新生児の低血糖の原因を60遺伝子で調べる

低血糖症の遺伝子検査は、子どもや新生児の低血糖がくり返すとき・重いときに、その原因が生まれつきの代謝やホルモンのしくみの病気ではないかを、60の遺伝子で一度に調べる検査です。高インスリン血症・糖原病・脂肪酸代謝異常症・ケトン体の異常・糖新生の異常・ガラクトースや果糖の代謝異常など、低血糖を起こす主な病気の遺伝子がまとめて入っています。原因がわかれば、空腹にしてよい時間、食事のとり方、熱や胃腸炎で食べられないときの対応、薬の選び方が具体的に決まります。このページでは、よくある「ケトン性低血糖症」との違い、検査を受けるとよい人、結果が出たあとにできることを、臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. この検査で何がわかりますか?

子どもや新生児の低血糖に関連する病気の原因遺伝子を中心とした60の遺伝子を一度に調べ、高インスリン血症・糖原病・脂肪酸代謝異常症・ケトン体や糖新生の異常などのうち、どれが原因かを確かめます。

🧬 Q. ケトン性低血糖症と言われました。受けたほうがいいですか?

一度だけで、ほかに気になる所見がなければ、遺伝子検査を急ぐ必要はないことが多いと考えています。くり返す、重い、肝臓が大きい、ケトン体が出ない、新生児期から続く、きょうだいにも同じ症状があるときは、検査を考えるきっかけになります。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・頬の内側の粘膜から選べます。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。原因がわかれば、食事・空腹の時間・病気のときの対応を主治医と決める手がかりになり、きょうだいの検査も考えられます。意義がまだわからない変化(VUS)の扱いもご説明します。

\ 一生変わらない遺伝子を知って、お子さんのこれからの計画に /

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検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

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1. 子どもや新生児の低血糖の原因を、60遺伝子で調べる検査です

低血糖症の遺伝子検査(低血糖症NGSパネル検査)は、糖尿病の治療とは関係のない低血糖が子どもや新生児にくり返し起こるとき、その原因になる生まれつきの病気を、60の遺伝子で一度に調べる検査です。低血糖の原因になる遺伝子の病気は種類が多く、1つずつ順番に調べていくと時間がかかります。このパネルは、インスリンの出かたの病気、肝臓に糖をためたり出したりするしくみの病気、脂肪を燃やしてエネルギーやケトン体をつくるしくみの病気など、主なグループの遺伝子をまとめて読みます。

原因がわからないまま、点滴や入院をくり返している方もいます。持続する低血糖の子ども64人を、65遺伝子のパネルで調べたイタリアの研究では、検査の前に疑う遺伝子が1つに絞れていた子の78%、候補が複数あった子の49%、候補が絞れなかった子の33%で原因が確かめられ、全体ではおよそ半数に診断がつきました[4]。候補を絞りきれなかった子でも3人に1人で原因がわかったことは、まとめて調べる意味を示しています。ただし、全員に原因が見つかるわけではありません。見つからなかったときの次の選択肢も、あとでご説明します。

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。一度の検査でわかったことは、お子さんの今の治療だけでなく、成長してからの体調管理や、きょうだい・ご家族の健康を考えるときにも、ずっと使える情報になります。遺伝子検査そのものについては、遺伝子検査(遺伝学的検査)とはで解説しています。

2. 子どもの低血糖の原因:遺伝子の病気はどれくらい?

糖尿病の薬を使っていない子どもの低血糖は、空腹のときに血糖を保つ体のしくみのどこかがうまく働かないときに起こります。食事をとらない時間が続くと、体はまず肝臓にためたグリコーゲン(糖のたくわえ)を分解して糖を出し、次に糖を新しくつくり(糖新生)、さらに脂肪を燃やして、脳のエネルギーにもなるケトン体をつくってしのぎます。インスリンは血糖を下げるホルモンなので、空腹のときにも出すぎていると、これらのしくみが止まって低血糖になります。

米国小児内分泌学会の指針は、年長の乳児や子どもで低血糖を起こす病気は多くないとしたうえで、くり返す低血糖の子どもは、特定の病気がないかをあらためて調べるよう勧めています[1]。小児の低血糖で原因を考えるときに大切なのは、「くり返すか」「どれくらい重いか」「低血糖のときの血液の検査で何が起きていたか」です。

よくある「ケトン性低血糖症」は、遺伝子検査を急がなくてよいことが多い

熱や胃腸炎で食べられなかった翌朝などに、ケトン体が上がって低血糖になる「ケトン性低血糖症」は、検査で特別な原因が見つからなければ「特発性ケトン性低血糖症」と分類されることが多い状態です[5]。一度だけ、食べられない状況のあとで起きた軽い低血糖で、肝臓の腫れや発育の遅れなどほかに気になる所見がなければ、まずは小児科での経過観察と、低血糖のときの血液の検査が先で、すぐに遺伝子検査が必要になるとは考えていません(臨床遺伝専門医としての判断です)。「低血糖体質」と言われることもありますが、体質と決める前に、低血糖のときの血液の検査でどの型かを確かめることが大切です。

一方で、ケトン性低血糖症と分類されていた子どもから、糖原病の原因遺伝子の変化が見つかったという報告があります。糖原病の中には、ホルモンや代謝の血液検査で目立った異常が出にくく、肝臓の腫れがはっきりしないものもあるためです[5]。ケトン性低血糖症がくり返す、空腹にがまんできる時間が年齢のわりに短い、肝臓が大きいと言われた、きょうだいにも同じ症状がある、といったときは、遺伝子で確かめる意味があります。

くり返す・重い低血糖で考える病気

低血糖を起こす生まれつきの病気は、どこのしくみがうまく働かないかで、いくつかのグループに分けられます。グループごとに、低血糖のときの血液の検査の結果や、ほかの手がかりが違います[1][5]。

🔍 低血糖の原因になる病気のグループと手がかり

原因のグループ 主な手がかり くわしく調べる検査
高インスリン血症(先天性高インスリン血症) 新生児期から始まることが多い。低血糖なのにケトン体と遊離脂肪酸が低い。グルカゴン注射で血糖が大きく上がる 高インスリン血症の遺伝子検査
脂肪酸代謝異常症(脂肪酸β酸化異常症・カルニチンの異常) 空腹・発熱・運動のあとに具合が悪くなる。ケトン体が低いが遊離脂肪酸は高い。アシルカルニチンの異常 脂肪酸β酸化異常症パネル
ケトン体をつくれない病気 空腹で、ケトン体が出ない低血糖になる ケトン体産生異常パネル
ケトン体を使えない病気 ケトン体がたまり、重いケトアシドーシス(吐く・息が荒い)をくり返す。低血糖を伴うとは限らない ケトン体利用障害パネル
肝臓の糖原病 肝臓が大きい。Ⅰ型は乳酸が高く、短い空腹でも低血糖になる。Ⅵ型などはケトン性低血糖 糖原病の遺伝子検査
糖新生の異常 空腹で低血糖と乳酸の上昇が起こる 糖新生異常パネル
ガラクトース・果糖の代謝異常 ミルク(乳糖)、または果物・砂糖(果糖・ショ糖)をとったあとに症状が出る ガラクトース・フルクトース代謝異常パネル
ホルモンの病気(下垂体・副腎など) 成長ホルモンやコルチゾールの不足。ホルモンの血液検査で見つける 小児内分泌の診療が中心(遺伝子は一部だけこのパネルに入っています)

原因のグループが1つに絞れないときに、まとめて調べるのがこのページの低血糖症パネル(60遺伝子)です。

新生児の低血糖:一時的なものと、続くもの

生まれてすぐの赤ちゃんは、胎内の環境から切り替わる途中で血糖が低めになりやすく、米国小児内分泌学会の指針は、続く低血糖の病気かどうかの評価を、生後48時間ごろ以降に行うよう勧めています[1]。同じ指針では、低血糖になりやすい新生児の血糖の目安を、生後48時間未満は50mg/dLより上、48時間以降は60mg/dLより上とし、生まれつきの低血糖の病気が疑われる子では70mg/dLより上に保つことを治療の目標にしています[1]。

新生児の低血糖で生まれつきの病気を考えるのは、強い低血糖をくり返す、ブドウ糖の点滴を多く必要とする、退院の前に目安の血糖を保てない、ご家族に同じ病気の方がいる、症候群の特徴がある、といった場合です[1]。原因の代表は、インスリンが出すぎる先天性高インスリン血症(高インスリン性低血糖)です。HNF4A・HNF1Aという遺伝子の変化では、大きく生まれ、新生児期に軽い高インスリン性低血糖を起こし、思春期以降に糖尿病(MODY)になることがあると報告されています[2]。こうした型はMODY・新生児糖尿病の遺伝子検査とも遺伝子が重なります。

「新生児低血糖で発達障害になるのでは」と心配される方は多いのですが、影響は低血糖の重さ・長さ・原因によって大きく違います。指針は、重く長く続く低血糖は脳に後遺症を残しうること、生後数か月は脳が影響を受けやすい時期であることを示し、先天性高インスリン血症の子どもでは25〜50%に発達の障害が起こると記しています[1]。だからこそ、続く低血糖の原因を早く確かめ、低血糖を防ぐ治療につなげることに意味があります。

このパネルでは調べない原因(ホルモン・症候群・染色体)

低血糖の原因は、このパネルの60遺伝子だけではありません。たとえば次のような原因は、別の検査や診療で確かめます。

・下垂体のホルモン(成長ホルモンなど)の不足:インスリンが出すぎているときと同じように、低血糖のときの遊離脂肪酸が低くなることがあり、ホルモンの血液検査が手がかりになります[5]。
・ベックウィズ・ヴィーデマン症候群:赤ちゃんのおよそ50%に新生児低血糖がみられ、多くは軽く一時的です[10]。原因は遺伝子の配列の変化ではなく11番染色体の一部の働き方の変化が多く、このパネルでは調べません。
・歌舞伎症候群:高インスリン血症を伴った歌舞伎症候群の子ども33人をまとめた研究では、多くは生まれたときから低血糖があったのに、高インスリン血症の診断が遅れがちでした[11]。原因遺伝子(KMT2D・KDM6A)はこのパネルに入っていないので、疑われるときは歌舞伎症候群の遺伝子検査を選びます。
・染色体の小さな欠け(微小欠失):このパネルでは調べられません。染色体の病気が疑われるときはマイクロアレイ染色体検査が向いています(例:20p11微小欠失症候群の解説)。

3. 低血糖の検査の結果から、どのパネルを選ぶか

低血糖が起きたその時に採った血液(クリティカルサンプル)の結果が、原因のグループを見分けるいちばんの手がかりです。指針は、血糖・重炭酸・ケトン体(β-ヒドロキシ酪酸)・乳酸をまず測り、余った血液を保存して、インスリン・遊離脂肪酸・Cペプチド、脂肪酸代謝異常症が疑われるときはカルニチンとアシルカルニチンを調べることを示しています[1]。インスリンが出すぎているときは、低血糖なのにケトン体が1.5mmol/L未満、遊離脂肪酸が1.0〜1.5mmol/L未満と低く、グルカゴンの注射で血糖が30mg/dLより大きく上がることが特徴です[1]。

🧪 低血糖のときの検査の結果と、向いているパネル

低血糖のときの結果 考える病気 向いている検査
ケトン体が低い+遊離脂肪酸も低い 高インスリン血症、下垂体のホルモン不足 高インスリン血症パネル
ケトン体が低い+遊離脂肪酸は高い/アシルカルニチンの異常 脂肪酸代謝異常症、ケトン体をつくれない病気 脂肪酸β酸化異常症パネル/ケトン体産生異常パネル
乳酸が高い(肝臓が大きい) 糖原病Ⅰ型、糖新生の異常 糖原病パネル/糖新生異常パネル
ケトン体が上がる(肝臓が大きいことがある) 糖原病(Ⅵ型など)、特発性ケトン性低血糖症 糖原病パネル
ケトン体がとても高く、ケトアシドーシスをくり返す ケトン体を使えない病気 ケトン体利用障害パネル
果物・砂糖・ミルクのあとに症状 遺伝性果糖不耐症、ガラクトース血症 ガラクトース・フルクトース代謝異常パネル
結果がそろっていない/どのグループか決めきれない 上のどれか、または複数 このページの低血糖症パネル(60遺伝子)

結果の組み合わせはあくまで目安です。最終的な判断は、主治医の診察と検査の結果をあわせて行います。

原因が絞れないときは60遺伝子、絞れているときは個別のパネル

個別のパネル(脂肪酸β酸化14遺伝子、ガラクトース・フルクトース4遺伝子、糖新生4遺伝子、ケトン体産生2遺伝子、ケトン体利用3遺伝子)の遺伝子は、すべてこの60遺伝子のパネルに入っています。どのパネルも検査料は税込330,000円です。原因のグループがまだ決めきれないなら、このパネルで一度にまとめて調べるのが向いています。血液の検査で原因のグループがはっきりしているなら、個別のパネルでも、調べたい範囲は同じように確かめられます。調べる遺伝子が少ないほど、意義がまだわからない変化(VUS)が見つかる数も少なくなる傾向があり、結果の説明がシンプルになります。

包括的代謝疾患パネル・全エクソーム検査との違い

低血糖のほかに、発達の遅れ・筋力の低下・けいれん・心臓の症状など、症状が広く代謝の病気全体を疑うときは、包括的代謝疾患パネルや全エクソーム検査(WES)が向いていることがあります。脂肪酸の代謝の病気を、低血糖以外の症状も含めて広く調べたいときは脂肪酸酸化異常症パネル、乳酸が高く、ミトコンドリアの病気も考えるときは乳酸アシドーシス・ピルビン酸代謝異常症パネル、アンモニアが高いときは高アンモニア血症・尿素サイクル異常症パネルも選択肢です。どれを選ぶかは、遺伝カウンセリングで症状と検査の結果をうかがって一緒に決めます。

4. 低血糖症の遺伝子検査を受けるとよい人

この検査が向いているのは、原因のわからない低血糖が続く、またはくり返すお子さんと、そのご家族です。具体的には次のような場合です。

・新生児期から低血糖が続き、ブドウ糖の点滴や頻回の授乳が必要だった
・ケトン性低血糖症と言われたが、くり返す、または空腹にがまんできる時間が年齢のわりに短い
・けいれんや意識がぼんやりするほどの重い低血糖を起こしたことがある
・低血糖に加えて、肝臓が大きい、発育が遅い、乳酸やアンモニアが高いと言われた
・低血糖のときの検査で、ケトン体が出ていなかった(ケトン体が低い低血糖)
・高たんぱくの食事のあとに低血糖になる
・果物や甘いもの、ミルクのあとに具合が悪くなる
・きょうだいや親に、同じような低血糖や代謝の病気の方がいる
・新生児マススクリーニングで再検査・精密検査と言われ、原因を確かめたい
・原因不明の低血糖について、ほかの検査で答えが出なかった

原因がわかると、次の一手が決まります。空腹にしてよい時間、夜間の食事やコーンスターチの使い方、避ける食べ物(たとえば遺伝性果糖不耐症なら果糖・ショ糖・ソルビトール)、熱や胃腸炎で食べられないときに早めにブドウ糖の点滴を受ける判断、薬が効く型かどうか、などです[2][6][8][9]。こうした治療や食事の指導は、主治医・専門の医療機関で行います。当院は、その手がかりになる原因の確定と、結果の説明を担います。

一方で、一度だけ、食べられなかった状況のあとに起きた軽いケトン性低血糖で、ほかに気になる所見がなければ、遺伝子検査を急ぐ必要はないことが多いと考えています。大人になってからの食後の低血糖(反応性低血糖)なども、このパネルの対象ではありません。

お子さんの原因がわかると、まだ症状の出ていないきょうだいが同じ変化を持っているかを調べ、症状が出る前に空腹や病気のときの備えを始める手がかりになります。

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臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングを行います。ご夫婦とも保因者だった場合は、妊娠したときの羊水検査・絨毛検査まで院内で受けられます。

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5. 調べる60遺伝子と、わかる病気

このパネルでは、低血糖に関連する疾患の原因遺伝子を中心とした60遺伝子を調べます。ほとんどの病気は、両親から1つずつ変化を受け継いだときに発症する常染色体潜性(劣性)遺伝です。遺伝のしかたの基本は遺伝形式(顕性・潜性・X連鎖)で解説しています。表の病気の名前と遺伝のしかたは、遺伝性疾患の解説書(GeneReviews)と遺伝子のデータベースの情報をもとにしています[2][6][7][8][9]。

🧬 高インスリン血症(インスリンが出すぎる)10遺伝子

遺伝子 主な病気 遺伝のしかた
ABCC8 家族性高インスリン性低血糖症1型(HHF1)(ほかの型もあり) 常染色体潜性(劣性)が多い。常染色体顕性(優性)の型もある。局所型は父親からの1つの変化と膵臓の一部の変化で起こる
KCNJ11 家族性高インスリン性低血糖症2型 常染色体潜性(劣性)が多い。常染色体顕性(優性)の型もある
GLUD1 高インスリン血症・高アンモニア血症症候群(ロイシン感受性低血糖症) 常染色体顕性(優性)
GCK 家族性高インスリン性低血糖症(グルコキナーゼが働きすぎる型) 常染色体顕性(優性)
HADH 家族性高インスリン性低血糖症(HADH型) 常染色体潜性(劣性)
HNF4A 新生児期の高インスリン性低血糖、のちのMODY(若年発症成人型糖尿病) 常染色体顕性(優性)
HNF1A 新生児期の高インスリン性低血糖、のちのMODY 常染色体顕性(優性)
UCP2 高インスリン性低血糖(報告は少ない) 常染色体顕性(優性)
SLC16A1 運動で起こる高インスリン性低血糖 常染色体顕性(優性)
HK1 高インスリン性低血糖(報告は少ない) 常染色体顕性(優性)

🧬 糖原病・肝臓の糖の出し入れ 10遺伝子

遺伝子 主な病気 遺伝のしかた
G6PC(現在の名前:G6PC1) 糖原病Ⅰa型 常染色体潜性(劣性)
SLC37A4 糖原病Ⅰb型(好中球が減り感染しやすい) 常染色体潜性(劣性)
AGL 糖原病Ⅲ型 常染色体潜性(劣性)
PYGL 糖原病Ⅵ型 常染色体潜性(劣性)
PHKA2 糖原病Ⅸ型(肝型) X連鎖
PHKB 糖原病Ⅸ型 常染色体潜性(劣性)
PHKG2 糖原病Ⅸ型(肝型) 常染色体潜性(劣性)
GYS2 糖原病0型(肝型) 常染色体潜性(劣性)
GYS1 糖原病0型(筋・心臓型) 常染色体潜性(劣性)
SLC2A2 ファンコニ・ビッケル症候群 常染色体潜性(劣性)

🧬 脂肪酸β酸化・カルニチンの異常 14遺伝子

遺伝子 主な病気 遺伝のしかた
ACADM MCAD欠損症(中鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症) 常染色体潜性(劣性)
ACADVL VLCAD欠損症(極長鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症) 常染色体潜性(劣性)
ACADS SCAD欠損症(短鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症)(臨床的な病原性については議論があります)[13] 常染色体潜性(劣性)
ACADSB 2-メチルブチリルグリシン尿症(SBCAD欠損症) 常染色体潜性(劣性)
CPT1A CPT1A欠損症 常染色体潜性(劣性)
CPT2 CPT2欠損症(新生児型・小児型・ストレス誘発型) 常染色体潜性(劣性)
SLC22A5 全身性カルニチン欠乏症 常染色体潜性(劣性)
SLC25A20 カルニチンアシルカルニチントランスロカーゼ(CACT)欠損症 常染色体潜性(劣性)
HADHA 長鎖3-ヒドロキシアシルCoA脱水素酵素(LCHAD)欠損症・三頭酵素欠損症 常染色体潜性(劣性)
HADHB 三頭酵素欠損症 常染色体潜性(劣性)
ETFA グルタル酸血症2型(多種アシルCoA脱水素酵素欠損症) 常染色体潜性(劣性)
ETFB グルタル酸血症2型 常染色体潜性(劣性)
ETFDH グルタル酸血症2型 常染色体潜性(劣性)
HSD17B10 HSD10病(ミトコンドリアの病気) X連鎖

🧬 ケトン体・糖新生・ガラクトース/果糖 13遺伝子

遺伝子 主な病気 遺伝のしかた
HMGCS2 HMG-CoA合成酵素欠損症(ケトン体をつくれない) 常染色体潜性(劣性)
HMGCL HMG-CoAリアーゼ欠損症(3-ヒドロキシ-3-メチルグルタル酸血症) 常染色体潜性(劣性)
OXCT1 SCOT欠損症(ケトン体を使えない) 常染色体潜性(劣性)
ACAT1 β-ケトチオラーゼ欠損症(ケトン体を使えない) 常染色体潜性(劣性)
ACAT2 病気との関係を研究中の遺伝子 —(確立した病気の報告がない)
FBP1 フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ欠損症 常染色体潜性(劣性)
PC ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症 常染色体潜性(劣性)
PCK1 ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)欠損症(細胞質型) 常染色体潜性(劣性)
PCK2 PEPCK欠損症(ミトコンドリア型・報告はごく少ない) 常染色体潜性(劣性)
GALT ガラクトース血症(GALT欠損症) 常染色体潜性(劣性)
GALK1 ガラクトキナーゼ欠損症 常染色体潜性(劣性)
GALE UDPガラクトース-4-エピメラーゼ欠損症 常染色体潜性(劣性)
ALDOB 遺伝性フルクトース不耐症(遺伝性果糖不耐症) 常染色体潜性(劣性)

🧬 そのほか 13遺伝子

遺伝子 主な病気 遺伝のしかた
PMM2 先天性グリコシル化異常症Ia型(PMM2-CDG) 常染色体潜性(劣性)
MPI 先天性グリコシル化異常症Ib型(MPI-CDG) 常染色体潜性(劣性)
PGM1 先天性グリコシル化異常症(PGM1-CDG) 常染色体潜性(劣性)
DGUOK ミトコンドリアDNA枯渇症候群(肝脳型) 常染色体潜性(劣性)
MPV17 ミトコンドリアDNA枯渇症候群(肝脳型) 常染色体潜性(劣性)
INSR インスリン受容体異常症(ドナヒュー症候群など) 型により潜性・顕性
AKT2 片側肥大を伴う低インスリン性低血糖 常染色体顕性(優性)
AKT3 巨脳症・多小脳回・多指・水頭症症候群2型 常染色体顕性(優性)
NNT 家族性グルココルチコイド欠損症(副腎のホルモンが不足する) 常染色体潜性(劣性)
CA5A 炭酸脱水酵素VA欠損症(高アンモニア血症) 常染色体潜性(劣性)
ACSF3 マロン酸・メチルマロン酸複合尿症 常染色体潜性(劣性)
MLYCD マロニルCoA脱炭酸酵素欠損症 常染色体潜性(劣性)
ATP7A メンケス病 X連鎖

ACAT2の欄の「—」は、確立した病気の報告がないことを示しています。表の病気の詳しい解説ページがあるものは、リンク先でご覧いただけます。先天性グリコシル化異常症とミトコンドリアDNA枯渇症候群は、このパネルでは3遺伝子・2遺伝子だけを調べます。広く調べるときは先天性グリコシル化異常症の遺伝子検査・ミトコンドリアDNA枯渇症候群の遺伝子検査を選びます。

💡 このパネルで調べない糖原病があります

糖原病のうち、このパネルで調べるのは肝臓の糖原病(0型・Ⅰa型・Ⅰb型・Ⅲ型・Ⅵ型・Ⅸ型)とファンコニ・ビッケル症候群です。糖原病Ⅱ型(ポンペ病)・糖原病Ⅳ型・Ⅴ型・Ⅶ型の原因遺伝子は入っていません(元のページで糖原病Ⅳ型の遺伝子を対象のように説明していた部分は誤りでした)。ポンペ病を調べるときはライソゾーム病パネル、筋肉の糖原病も含めて調べるときは糖原病の遺伝子検査をご覧ください。

6. 新生児マススクリーニング(タンデムマス)で再検査と言われたら

新生児マススクリーニングで再検査・精密検査と言われても、それだけで病気と決まったわけではありません。マススクリーニングは、生まれて数日の赤ちゃんの血液を少し採って、病気の可能性がある赤ちゃんを見つけ出すための検査で、診断は精密検査で行います。用語の解説は新生児スクリーニングをご覧ください。

たとえば神奈川県の案内(2026年10月時点)では、公費で調べる20疾患のうち、このパネルに関係するものとして、脂肪酸代謝異常症5疾患(MCAD欠損症・VLCAD欠損症・三頭酵素/LCHAD欠損症・CPT1欠損症・CPT2欠損症)、有機酸代謝異常症のヒドロキシメチルグルタル酸(HMG)血症、ガラクトース血症が対象になっています。MCAD欠損症について、遺伝性疾患の解説書は、症状が出る前にスクリーニングで見つかり治療を始めた赤ちゃんは、代謝の急な悪化から守られると報告されていることを記しています[8]。

遺伝子検査は、スクリーニングや精密検査で疑われた病気を、原因の遺伝子の変化で確かめる役割を持っています。原因の変化がわかれば、きょうだいの検査や次の妊娠の計画にも使えます。一方で、糖原病、高インスリン血症、ケトン体を使えない病気などは、この20疾患には入っていません。スクリーニングで「異常なし」だったことは、低血糖を起こすすべての病気がないという意味ではないので、低血糖がくり返すときは主治医にご相談ください。対象の病気は自治体によって違うことがあり、症状のない赤ちゃんの遺伝子を調べる新生児遺伝子スクリーニング検査パネルもあります。

7. 検査でわかること・わからないこと

この検査は、60遺伝子のたんぱく質をつくる部分(エクソン)とそのつなぎ目を読み、遺伝子の文字(塩基)の1つの変化や、小さな欠けや入り込みを見つけます。大きな欠失・重複(遺伝子の一部が丸ごと欠けたり重なったりする変化)の解析も料金に含まれています。見つかった欠失・重複は、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します。読み取りの精度は、調べる範囲の99%以上を、同じ場所を20回以上読む深さで読む水準です。

次のような変化は、この検査ではわかりません。
・遺伝子の外側や、エクソンから離れたイントロンの奥の変化、働きを調節する部分(プロモーター)の変化の多く
・染色体の転座や逆位、くり返し配列の伸び
・体の一部の細胞だけにある変化(モザイク)や、膵臓などの一部の組織にだけ起きた変化
・この60遺伝子以外の遺伝子の変化

⚠️ 「変化が見つからなかった=低血糖の遺伝の病気ではない」ではありません

先天性高インスリン血症の遺伝子を調べた専門施設の417人の研究では、原因の変化が見つかったのは79%で、薬(ジアゾキシド)が効いた子では47%にとどまりました[3]。遺伝性疾患の解説書は、遺伝子の原因が確かめられない人が21〜55%いるとしています[2]。変化が見つからなくても病気を否定できないことがあり、その後も主治医の診療と、低血糖を防ぐ対応が大切です。

意義がまだわからない変化(VUS)が見つかることもあります。VUSは、それだけで診断や、ご家族の検査、出生前診断には使いません。研究が進んで評価が変わることがあります。扱い方はVUS(意義不明変異)の臨床的取り扱いで解説しています。

8. 結果が出たあと

陽性・陰性・VUSのそれぞれ

結果は、必ず一度、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングでご説明してから、マイページにアップします。病気の原因と確かめられた変化が見つかった場合(陽性)は、病名がはっきりし、主治医と治療や生活の方針を決める手がかりになります。変化が見つからなかった場合(陰性)は、上で書いたように病気を否定できないこともあるため、症状に合わせて全エクソーム検査などの次の選択肢を考えます。VUSの場合は、それだけで診断を決めません。

調べた目的とは別の病気の原因が見つかること(二次的所見)の扱いは、当院の二次的所見の開示方針のとおりです。報告書の読み方はNIPT/遺伝子検査結果の見かたをご覧ください。結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。

病的変異が見つかったら、次にできること

わかるだけでは意味がありません。低血糖の病気は、原因がわかると、毎日の過ごし方と、いざというときの備えが具体的に決まる病気です。読む方の立場ごとに、次にできることをまとめます。治療や食事の指導は、主治医・小児の代謝や内分泌の専門の医療機関で行います。

① ご本人(症状のあるお子さん)
病名が決まると、空腹にしてよい時間、夜間の食事、コーンスターチの使い方、避ける食べ物が決まります。たとえば糖原病Ⅰ型では、コーンスターチと頻回の食事で血糖を保ち、ショ糖・果糖・ガラクトースなどを控え、短い空腹でも低血糖と乳酸の上昇が起こるため空腹を避けます[6]。遺伝性果糖不耐症では、果糖・ショ糖・ソルビトールを除き、入院のときには果糖を含む点滴を避けるよう注意が必要です[9]。MCAD欠損症では、空腹を避けることが治療の中心で、熱や胃腸炎で食べられないときにすぐ10%のブドウ糖の点滴を始められるよう、緊急時の対応の手順と、医療機関に見せる書面(緊急時の手紙)を前もって用意しておくことが勧められています[8]。高インスリン血症では、原因の遺伝子で薬(ジアゾキシド)が効くかどうかの見込みが変わり、膵臓の一部だけが原因の局所型は、PET検査で場所を確かめて、その部分を切除して治せることがあります[2][3]。

② 症状のないご本人(保因者だった方、家族歴で受けた方)
潜性遺伝の病気の保因者は、ふつう自分には症状が出ません。お子さんを考えるときは、パートナーが同じ遺伝子の保因者かどうかが大切になります。MCAD欠損症のように、大人になってから手術や長い絶食のときに症状が出ることがある病気もあり、症状のないきょうだいや家族を調べることが勧められています[8]。

③ 子どもを持つときの選択肢(知ってから選べること)
ご家族で原因の変化がわかっていれば、妊娠したときに赤ちゃんで同じ変化があるかを調べられます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。その病気で出生前診断を行えるかは、病気の重さや国内の指針をふまえて個別に考えますので、妊娠を考えている段階からご相談ください(羊水検査・絨毛検査)。日本でも、日本産科婦人科学会の指針にもとづく審査を経て、PGT-M(着床前遺伝学的検査)が行われています(当院は体外受精・PGT-Mを行っていません)。準備に必要なことは海外でPGT-Mを考えている方へで解説しています。なお、このパネルの遺伝子のうちAKT3は、当院のNIPTのインペリアルプランでも調べられます(NIPTは妊娠9週から、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます)。それ以外の59遺伝子は、当院のNIPTでは調べられません。どの方法も選ばずに、そのまま出産を迎えることも、尊重される選択です。

④ ご家族
お子さんの原因の変化がわかれば、きょうだい・ご両親・いとこが同じ変化を持っているかを、その変化だけを狙って調べられます。症状のないご家族の検査は、ご本人の同意のもとで行います。

⑤ 当院でのその後
結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングでご説明し、ご家族の検査、パートナーの保因者検査、次の妊娠の計画まで、次にどうするかを一緒に考えます。遺伝カウンセリング料は30分22,000円(税込)です。

低血糖の病気は遺伝する? 潜性遺伝・保因者検査・いとこ同士の結婚

このパネルで調べる病気のほとんどは常染色体潜性(劣性)遺伝で、ご両親がともに同じ遺伝子の保因者のとき、お子さんが発症する確率は1回の妊娠ごとに4分の1です。保因者のしくみは劣性遺伝(潜性遺伝)とはで解説しています。高インスリン血症の局所型は、父親から受け継いだ1つの変化に、膵臓の一部の細胞で起きた変化が重なって起こるため、同じ変化を受け継いだきょうだいが局所型になる確率は約540分の1と見積もられています[2]。一方、GLUD1やHNF4Aなどの顕性(優性)遺伝の型では、お子さんに受け継がれる確率は2分の1です。

いとこ同士など血のつながりのあるご夫婦では、同じ祖先から同じ潜性の変化を受け継いでいる可能性があるぶん、お子さんが潜性遺伝の病気になる確率が上がります。米国遺伝カウンセラー学会の勧告は、血のつながりのあるご夫婦にも、まず詳しい家族歴をうかがうことと、同じ背景のカップルに勧められる検査を受けられるようにすることを示しています[12]。結婚に反対されたり、悩まれたりする方もいますが、確率は病気とご家族ごとに違い、検査で「わかること」があります。

当院の拡大版保因者スクリーニング(女性版787遺伝子)には、このパネルの遺伝子のうち、ABCC8・KCNJ11・ACADM・ACADVL・CPT1A・CPT2・G6PC・SLC37A4・AGL・GALT・ALDOB・HMGCL・ACAT1など多くが含まれています(OXCT1は含まれていません。対象の遺伝子は一覧でご確認ください)。妊娠中の方には、NIPTと同じ日に採血できるカップルの保因者検査ファミリーセーフティ プラスもあります。

9. 日本の制度:小児慢性特定疾病

このパネルで調べる病気の多くは、子どもの医療費の助成制度である小児慢性特定疾病の対象に含まれています(2026年10月時点、小児慢性特定疾病情報センターの情報)。「先天性代謝異常」の群には、糖原病(0型・Ⅰ型・Ⅲ型・Ⅳ型・Ⅴ型・Ⅵ型・Ⅶ型・Ⅸ型)、MCAD欠損症・VLCAD欠損症・SCAD欠損症・CPT1欠損症・CPT2欠損症・全身性カルニチン欠損症・CACT欠損症・三頭酵素欠損症・グルタル酸血症2型、β-ケトチオラーゼ欠損症・SCOT欠損症・HMG-CoA合成酵素欠損症・3-ヒドロキシ-3-メチルグルタル酸血症、フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ欠損症・ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症、ガラクトース血症3病型、遺伝性フルクトース不耐症、ミトコンドリアDNA枯渇症候群などが並んでいます。高インスリン血性低血糖症は「内分泌疾患」の群に含まれています。

助成を受けるには、病名だけでなく、それぞれの制度で決められた認定の条件を満たす必要があります。遺伝子検査で病名がはっきりすることは、こうした制度について主治医と相談するときの手がかりにもなります。当院の検査と遺伝カウンセリングは、すべて自費診療です。

10. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・頬の内側の粘膜から選べ、いずれもオンライン診療に対応しています。血液の場合は提携医療機関で採血します。

ご予約
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
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検体の採取血液・唾液・頬粘膜
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結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

💴 費用・日数・検体

項目 内容
検査費用 税込330,000円
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)。検査費用とは別にかかります
調べる遺伝子 60遺伝子(低血糖に関連する疾患の原因遺伝子を中心とした遺伝子)
結果までの日数 2〜3週間(至急のオプションを使うと約7日短くなります)
検体 血液(EDTA採血管4mL×2本)、抽出済みのDNA、頬の内側の粘膜、唾液
オプション 至急:55,000円/VUSを報告から除く:無料/大きな欠失・重複の解析:料金に含まれる
結果の報告書 基本は日本語版。英語の原本が必要な方には英語版(検査の時にお申し出ください)。双方は追加料金5,500円

この検査は、遺伝診療先進国・米国の3大遺伝子検査会社の一角で行います。※

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

唾液・頬の粘膜・血液のいずれも、オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを受けたあと、検体を当院にお送りいただく流れで受けられます。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。血液の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。検体採取キットは、検査料金をお支払いいただいたあとにお送りします。検体の取り違えや品質の問題を防ぐため、ご自身で勝手に検体を採取しないでください。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。

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📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

結果は臨床遺伝専門医が直接ご説明してからマイページにアップします。原因がわかれば、きょうだいの検査や次の妊娠の計画までご相談いただけます。

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11. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「体質だから」で終わらせないために】

子どもの低血糖は、「体質だから」「そのうち治るから」と言われて、そのまま様子を見ていることが少なくありません。実際、多くはそれで問題ありません。けれども、くり返す低血糖の中には、原因がわかれば空腹の時間や病気のときの対応を前もって決められ、きょうだいを症状が出る前に守れる病気が含まれています。わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。たとえば、家族歴が濃いものの、ご本人は大学を卒業して会社に勤めていた方が、念のため検査を受けたところ、染色体の微小欠失が見つかったことがあります。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。知ったうえで次のお子さんを考えたい方には、出生前診断まで当院で続けて支えられる体制を整えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 低血糖になりやすい子どもはどんな子ですか?

熱や胃腸炎で食べられないとき、夕食を食べずに長く眠ったときなど、空腹の時間が長くなると低血糖になりやすい子どもがいます。くり返す、重い、肝臓が大きい、ケトン体が出ない、新生児期から続く、きょうだいにも同じ症状がある、といった場合は、生まれつきの代謝やホルモンの病気が隠れていないかを調べる意味があります。

Q2. ケトン性低血糖症は遺伝しますか?治りますか?

検査で特別な原因が見つからないケトン性低血糖症は、特発性ケトン性低血糖症と分類されることが多い状態です。ただし、ケトン性低血糖症と分類されていた子どもから、糖原病などの遺伝子の病気が見つかった報告もあります。くり返す場合は、遺伝子検査で確かめることを考えます。

Q3. 子どもの低血糖は何歳まで続きますか?

原因によって違います。生まれつきの病気が原因の場合は、大人になっても空腹や病気のときの備えが必要なことがあります。たとえばMCAD欠損症では、大人になってからも手術や長い絶食のときに症状が出ることがあります。原因がわかると、どこまで備えが必要かの見通しが立てやすくなります。

Q4. 新生児低血糖は発達障害につながりますか?

影響は低血糖の重さ・長さ・原因によって違います。米国小児内分泌学会の指針は、重く長く続く低血糖は脳に後遺症を残しうるとし、先天性高インスリン血症の子どもでは25〜50%に発達の障害が起こると記しています。続く低血糖の原因を早く確かめ、低血糖を防ぐ治療につなげることが大切です。

Q5. 低血糖の病気は遺伝しますか?きょうだいも検査したほうがいいですか?

このパネルで調べる病気のほとんどは常染色体潜性(劣性)遺伝で、ご両親がともに保因者のとき、お子さんが発症する確率は1回の妊娠ごとに4分の1です。お子さんで原因の変化がわかれば、症状のないきょうだいも同じ変化を持っているかを調べられます。MCAD欠損症などでは、症状が出る前に見つけて備えるため、きょうだいの検査が勧められています。

Q6. いとこ同士の結婚だと、子どもに代謝の病気が出やすくなりますか?

いとこ同士など血のつながりのあるご夫婦では、同じ祖先から同じ潜性の変化を受け継いでいる可能性があるぶん、お子さんが潜性遺伝の病気になる確率が上がります。ただし確率は病気とご家族ごとに違い、保因者検査で調べられることがあります。気になる方は、家族歴をうかがったうえで遺伝カウンセリングでご説明します。

Q7. 変化が見つからなかったら、遺伝の病気ではないということですか?

そうとは限りません。先天性高インスリン血症では、遺伝子の原因が確かめられない人が21〜55%いるとされています。この検査で見つけられない種類の変化や、60遺伝子以外の原因もあるため、症状に合わせて全エクソーム検査などの次の選択肢を考えます。低血糖を防ぐ対応は、結果にかかわらず主治医と続けます。

Q8. 費用はいくらですか?オンラインで受けられますか?

検査費用は税込330,000円で、遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。結果までは2〜3週間です。唾液・頬の粘膜・血液のいずれも、オンライン診療で遺伝カウンセリングを受けたあと検体をお送りいただく流れで受けられ、血液は全国の提携医療機関で採血します。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。

🧬 くり返す低血糖の原因を、一度の検査で確かめる

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。低血糖の原因がわかれば、空腹の時間や病気のときの備えを主治医と決める手がかりになり、きょうだいの検査や次の妊娠の計画にもつながります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

参考文献

  • [1] Thornton PS, Stanley CA, De Leon DD, et al. Recommendations from the Pediatric Endocrine Society for evaluation and management of persistent hypoglycemia in neonates, infants, and children. J Pediatr. 2015;167(2):238-245. [DOI: 10.1016/j.jpeds.2015.03.057](PMID: 25957977)
  • [2] Gillis D. Nonsyndromic Genetic Hyperinsulinism Overview. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2003 (Updated 2024 Oct 31). [NCBI Bookshelf NBK1375]
  • [3] Snider KE, Becker S, Boyajian L, et al. Genotype and phenotype correlations in 417 children with congenital hyperinsulinism. J Clin Endocrinol Metab. 2013;98(2):E355-E363. [DOI: 10.1210/jc.2012-2169](PMID: 23275527)
  • [4] Ponzi E, Maiorana A, Lepri FR, et al. Persistent hypoglycemia in children: targeted gene panel improves the diagnosis of hypoglycemia due to inborn errors of metabolism. J Pediatr. 2018;202:272-278.e4. [DOI: 10.1016/j.jpeds.2018.06.050](PMID: 30193751)
  • [5] Maiorana A, Lepri FR, Novelli A, Dionisi-Vici C. Hypoglycaemia metabolic gene panel testing. Front Endocrinol (Lausanne). 2022;13:826167. [DOI: 10.3389/fendo.2022.826167]
  • [6] Bali DS, El-Gharbawy A, Austin S, Pendyal S, Kishnani PS. Glycogen Storage Disease Type I. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2006 (Updated 2021 Oct 14). [NCBI Bookshelf NBK1312]
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  • [11] Rosenfeld E, Mitteer LM, Boodhansingh K, et al. Clinical and molecular characterization of hyperinsulinism in Kabuki syndrome. J Endocr Soc. 2024;8(7):bvae101. [DOI: 10.1210/jendso/bvae101]
  • [12] Bennett RL, Motulsky AG, Bittles A, et al. Genetic counseling and screening of consanguineous couples and their offspring: recommendations of the National Society of Genetic Counselors. J Genet Couns. 2002;11(2):97-119. [DOI: 10.1023/A:1014593404915]
  • [13] van Maldegem BT, Wanders RJA, Wijburg FA. Clinical aspects of short-chain acyl-CoA dehydrogenase deficiency. J Inherit Metab Dis. 2010;33:507-511. [DOI: 10.1007/s10545-010-9080-z]

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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