InstagramInstagram

40歳の妊娠・出産|ダウン症・障害の確率と自閉症・発達障害、NIPTで調べられること|初産・2人目以降も解説

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

40歳で出産した場合、赤ちゃんがダウン症候群(21トリソミー)である確率は出生時でおよそ85人に1人(約1.2%)と推定されています。言いかえると、約99%のお子さんには当てはまりません。一方で、NIPTを受ける妊娠初期の確率は出生時より高く、この2つは別の数字です。この記事では、40歳の妊娠・出産について、染色体異常の確率、初産と2人目以降の違い、自閉症・発達障害・知的障害との関係、そして自閉症・発達障害・知的障害を伴いうる特定の染色体・遺伝子疾患の一部を当院のNIPTで調べられることとその限界を、出典を示しながら整理します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約17分
🧬 40歳の妊娠・出産・NIPT
★ 臨床遺伝専門医監修
  • ➤40歳のダウン症候群の確率(出生時と妊娠初期の違い、39歳・41歳との比較)
  • ➤「障害の確率」という言葉を、原因ごとに分けて読む方法
  • ➤初産・2人目・3人目で確率が変わるのかどうか
  • ➤自閉症・発達障害・知的障害を伴いうる特定の染色体・遺伝子疾患の一部を当院のNIPTで調べられること(対象の疾患とプラン)と、その限界
  • ➤ダウン症候群だけを調べれば大丈夫なのか(子育ての負担と「行動の問題」)
  • ➤40歳でNIPTが陽性だったときの陽性的中率と、確定検査までの流れ

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. 40歳で出産すると、ダウン症候群の確率はどのくらい?

出生時でおよそ85人に1人(約1.2%)と推定されています。約99%のお子さんには当てはまりません。NIPTを受ける妊娠12週ごろの確率はこれより高く、およそ68人に1人という推定があります。

🧩 Q. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?

40歳ではダウン症候群に目が向きがちですが、それだけで大丈夫とは言い切れません。ご家族の子育ての負担をいちばん左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった行動の問題だと報告されています。こうした問題を伴いやすい病気には微小欠失症候群や単一遺伝子疾患が多く、三大トリソミーだけの検査では調べられません。当院のNIPTは、これらの病気まで調べられます。

👶 Q. 初産と2人目・3人目で確率は変わる?

確率を主に決めるのは出産時のお母さんの年齢です。初産か2人目以降かで大きく変わるという確かな根拠はありません。過去にトリソミーの妊娠があった場合は別に考えます。

🔍 Q. NIPTで自閉症や発達障害はわかりますか?

一部の原因疾患は調べられます。当院のNIPTは、自閉症・発達障害・知的障害の原因になる遺伝子や染色体の変化の一部を調べられます(インペリアルプランのフェラン・マクダーミッド症候群や16p11.2欠失・重複、ダイヤモンドプランとインペリアルプランのレット症候群など)。わかるのは一部で、陰性でも自閉症・発達障害・知的障害がないとは言えません。

ダウン症候群だけで大丈夫ですか? 当院のNIPTは、子育ての負担につながりやすい微小欠失症候群や単一遺伝子疾患、自閉症・発達障害・知的障害を伴いうる病気の一部まで調べられます。どこまで調べるかは、90分の受診枠の中で臨床遺伝専門医と相談して決められます。

📅 NIPTを予約する

NIPTのプランを見る | オンラインNIPT

40歳の妊娠・出産でダウン症候群など染色体異常が起こる確率

染色体異常の確率には、「生まれたときの頻度」と「妊娠の途中の時点での頻度」の2種類があります。ダウン症候群の妊娠は、途中で自然に流産や死産になる割合が高いため、妊娠初期の頻度のほうが出生時より高くなります。どの時点の数字なのかを確かめずに比べると、同じ40歳でも数字が食い違って見えます。ここでは時点を分けて示します。

40歳で出産した場合のダウン症候群の確率(出生時)

出生時の頻度としてよく使われるのは、イングランドとウェールズの全国登録(1989〜1998年)をもとにした推定です。出生前検査や人工妊娠中絶がなかった場合に、お母さんの年齢ごとにどのくらいの頻度でダウン症候群の赤ちゃんが生まれるかを示しています[1]。この推定では、40歳はおよそ85人に1人(約1.2%)です。

📊 40歳前後のダウン症候群の頻度(出生時)

出産時の年齢 出生時の頻度(推定) 当てはまらない割合
39歳 およそ112人に1人(約0.9%) 約99.1%
40歳 およそ85人に1人(約1.2%) 約98.8%
41歳 およそ68人に1人(約1.5%) 約98.5%

出典:Morrisら(J Med Screen 2002)[1]。すべて出生時の頻度です。39歳と41歳は、同論文が示した計算式に年齢を当てはめた値です。

1歳ごとに数字は上がりますが、どの年齢でも大多数のお子さんには当てはまりません。また、これは集団全体の頻度であって、一人ひとりの妊娠の結果を予測する数字ではありません。20歳から45歳以上までの年齢別の一覧は、年齢別のダウン症の確率一覧にまとめています。前後の年齢について詳しく知りたい方は、39歳の妊娠・出産と41歳の妊娠・出産のページをご覧ください。

妊娠初期(NIPTを受ける時期)の確率が出生時より高い理由

ダウン症候群の妊娠は、染色体の変化のない妊娠に比べて、途中で自然に失われる割合が高いことが分かっています。その割合はお母さんの年齢が高いほど大きくなると報告されています[3]。このため、妊娠の早い時期ほど頻度は高く、週数が進むにつれて下がっていきます。

妊娠週数ごとの頻度を推定した研究では、40歳の場合、妊娠10週でおよそ62人に1人、12週でおよそ68人に1人、16週でおよそ76人に1人、20週でおよそ82人に1人とされています[2]。NIPTを受ける妊娠10〜12週ごろは、出生時よりも確率が高い時期にあたります。

なお、この研究での40歳の出生時(妊娠40週)の値はおよそ97人に1人で、上の表の85人に1人とは一致しません[2]。もとになったデータと計算方法が違うためです。数字を見るときは、「どの研究の、どの時点の値か」をそろえて比べることが大切です。

18トリソミー・13トリソミーなど、ほかの染色体異常を含めた確率

年齢とともに頻度が上がる染色体異常は、ダウン症候群だけではありません。18トリソミーと13トリソミーも、お母さんの年齢が上がるほど増えます。どちらもダウン症候群(21トリソミー)より頻度は低く、妊娠の途中で失われる割合はダウン症候群より高いことが知られています。

年齢とともに増える理由(卵子の染色体不分離)

トリソミーの多くは、卵子ができるときの細胞分裂で染色体がうまく分かれないこと(染色体不分離)で起こります。卵子のもとになる細胞は、女性が生まれる前から体の中にあり、排卵まで長い年月を分裂の途中で止まったまま過ごします。年齢が上がるほど、この分かれ方の誤りが起こりやすくなると考えられています。

これは年齢にともなう生物学的な変化で、妊娠中の生活や行動が原因で起こるものではありません。

💡 用語解説:トリソミーと染色体不分離(せんしょくたいふぶんり)

ヒトの染色体は通常、2本ずつ23組(46本)あります。トリソミーは、そのうち特定の1組だけが3本ある状態です。21番が3本ならダウン症候群(21トリソミー)です。染色体不分離は、卵子や精子ができるときに染色体が均等に分かれない現象で、トリソミーの主な原因です。

「40歳で障害のある子が生まれる確率」をどう読むか

「40歳 障害 確率」と検索する方が知りたいのは、多くの場合、ダウン症候群だけではなく、生まれつきの病気や発達の遅れ全体のことだと思います。ただ、生まれつきの病気の原因は1つではありません。年齢とともに頻度が変わるものと、年齢にほとんど関係しないものを分けて考えると、数字の意味が分かりやすくなります。

お母さんの年齢とともにはっきり増えるのは、染色体の数の異常(21・18・13トリソミーなど)です。これに対し、染色体のごく一部が欠けたり増えたりする微小欠失・重複は、お母さんの年齢に関係なく、どの年齢の妊娠でも起こります。心臓の形の病気など、染色体や遺伝子の検査では原因が見つからない生まれつきの病気も多くあります。

つまり、「40歳だから増える部分」は生まれつきの病気全体の一部です。全体像は、ダウン症候群以外の疾患の全体像で解説しています。

初産・2人目・3人目でダウン症の確率は変わる?

「40歳で初産だと確率が高いのでは」「2人目、3人目なら下がるのでは」という疑問は多くの方がもちます。結論からいうと、ダウン症候群の確率を主に決めるのは、出産時のお母さんの年齢です。

確率を主に決めるのは出産時の年齢

南オーストラリア州で、出生と人工妊娠中絶の両方の統計を使って調べた研究があります。お母さんの年齢の影響を取り除いて比べると、出産回数や妊娠回数が増えてもダウン症候群のリスクは有意に上がらず、過去の流産の回数とも関係しませんでした[4]。

出産回数が非常に多い場合にリスクが高いとする報告もあり、まったく無関係と言い切れるわけではありません。ただ、初産か2人目・3人目かによって確率が大きく変わるという確かな根拠はありません。40歳での初産も、40歳での3人目も、染色体異常の確率は同じ年齢の数字で考えます。初産と経産婦で違いが出やすいのは、分娩の進み方などお母さんの体のほうです。

過去にトリソミーの妊娠があった場合

例外は、以前の妊娠で赤ちゃんにトリソミーがあった場合です。出生前診断のデータを解析した研究では、最初のトリソミーが30歳未満のときに起きていた女性では、次の妊娠での確率が年齢から予想される値より高く、30歳以上で起きていた女性では年齢から予想される値を上回りませんでした[5]。該当する方は、ダウン症候群の再発率のページもあわせてご覧ください。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【85分の1という数字の読み方】

確率の数字は、分母と時点が分からないと意味をもちません。40歳の「85人に1人」は出生時の値で、妊娠12週の「68人に1人」とは別の数字です。資料によって値が違うのは、どちらかが誤っているからではなく、数えている時点と集団が違うからです。

臨床遺伝専門医としては、数字を1つだけ覚えるより、「いつの時点の、誰を数えた値か」を確かめる習慣のほうが役に立つと考えています。同じ1.2%でも、98.8%は当てはまらないという見方が同時に成り立ちます。

自閉症・発達障害・知的障害もNIPTで一部わかる ― 40歳の出産と当院で調べられること

40歳前後の妊娠では、ダウン症候群と並んで、自閉症や発達障害、知的障害を心配する方が少なくありません。心配するのは自然なことです。先に結論をお伝えすると、自閉症・発達障害・知的障害を伴いうる特定の染色体・遺伝子疾患の一部は、当院のNIPTで調べられます。当院のNIPTが調べる微小欠失・重複や単一遺伝子疾患には、自閉症・発達障害・知的障害を伴う病気が含まれているためです。

原因はさまざまで、一部は染色体や遺伝子の変化

自閉症・発達障害・知的障害の原因はさまざまで、多くは特定できません。ただ、一部は染色体や遺伝子の変化が原因だと分かっています。知的障害の遺伝的な原因として最も多いのはダウン症候群です。

染色体の一部がごく小さく欠けたり増えたりする変化(微小欠失・重複)も原因になります。原因の分からない発達の遅れ・知的障害、自閉スペクトラム症などがある人に染色体マイクロアレイ検査を行うと、15〜20%で原因となる変化が見つかるとまとめられています[13]。これは「検査を受けた人のうち」の割合です。

ダウン症候群だけを調べればよいわけではない

出生前検査で調べる病気は、どれも赤ちゃんの命や発達、そしてご家族の暮らしに大きくかかわるものです。ただ、その中身は病気によって大きく異なります。

ダウン症候群は、医療や支援の進歩で平均寿命が50〜60歳まで延び[7][8]、成人して働いたり地域で暮らしたりする方も多い病気です。知的障害のあるお子さんを比べた研究では、ダウン症候群のお子さんは、自閉症や原因不明の発達の遅れのあるお子さんに比べて、行動の問題が少ないと報告されています[9]。自閉スペクトラム症を伴う割合も、出生前検査で調べるほかの病気と比べて少ないことが分かっています[10]。

一方、18トリソミーや13トリソミーでは、1歳まで生きられる赤ちゃんは約1割にとどまります(1年生存率は18トリソミー13.4%、13トリソミー11.5%)[6]。また、微小欠失症候群や単一遺伝子疾患の中には、重い知的障害やてんかんに加えて、自閉スペクトラム症を高い割合で伴い、ご家族の見守りや介護の負担が大きくなりやすい病気も少なくありません[10]。

🧩 自閉スペクトラム症を伴う割合と、当院で対象になるプラン

病気 自閉スペクトラム症を伴う割合 当院で対象になるプラン
レット症候群 61% ダイヤモンド・インペリアル
コルネリア・デ・ランゲ症候群 43% ダイヤモンド・インペリアル
アンジェルマン症候群 34% スタンダード以上の全プラン
CHARGE症候群 30% ダイヤモンド・インペリアル
ダウン症候群 16% スタンダード以上の全プラン
22q11.2欠失症候群 11% スタンダード以上の全プラン

出典:Richardsら(Lancet Psychiatry 2015)[10]。それぞれの病気がある人のうち、自閉スペクトラム症の特徴を伴う人の割合です。

ダウン症候群だけでなく、こうした病気まで調べられるかどうかは、検査を選ぶうえで大切なポイントです。

子育てのストレスを左右するのは「行動の問題」

知的障害を伴う病気があるお子さんのご家族を、病気ごとに比べた研究があります。それによると、スミス・マゲニス症候群、ウィリアムズ症候群、プラダー・ウィリー症候群のご家族が感じる子育てのストレスは、ダウン症候群のご家族より高いと報告されています[23]。ストレスの強さをいちばん左右していたのは、知的障害の程度ではなく、攻撃的な行動や自傷といった行動の問題と、睡眠の問題でした[23]。

行動の問題が出やすい病気も分かってきています。他人への攻撃的な行動はアンジェルマン症候群とスミス・マゲニス症候群で、自傷はコルネリア・デ・ランゲ症候群、スミス・マゲニス症候群、プラダー・ウィリー症候群で多いと報告されています[24]。当院のNIPTでは、スミス・マゲニス症候群、プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群はスタンダードプランから全プランで、コルネリア・デ・ランゲ症候群はダイヤモンドプランとインペリアルプランで、ウィリアムズ症候群はインペリアルプランと双子マックスプランで調べられます。40歳の妊娠で検査を考えるときは、ダウン症候群だけを調べればよいのかを、プランを選ぶ前に一度考えてみてください。

22q11.2欠失症候群を調べる意味(米国の学会の推奨)

22q11.2欠失症候群は、妊娠中の赤ちゃんのおよそ1,000人に1人にみられ、微小欠失症候群の中で最も多い病気です[26]。多くは親から受け継いだものではなく新しく生じた変化で、お母さんの年齢とは関係なく起こります[26]。40歳だから増える病気ではありませんが、40歳の妊娠でも20代の妊娠でも同じように起こりうる病気だということです。心臓の病気、免疫の働きの低下、低カルシウム血症、口蓋裂、発達の遅れなどを伴うことがあり、自閉スペクトラム症を伴う割合も一般より高いと報告されています[10][26]。

米国臨床遺伝・ゲノム学会(ACMG)は、年齢にかかわらずすべての妊婦さんに、22q11.2欠失症候群のNIPTを提供することを提案しています[25]。一方、米国母体胎児医学会(SMFM)は、22q11.2欠失を調べる場合は検査前に十分な説明を受けて選ぶことを求めており、学会によって考え方が分かれる項目です。だからこそ、検査前の遺伝カウンセリングが大切になります。生まれる前に分かっていれば、出産する施設を選んだり、生まれてすぐに心臓・カルシウム・免疫の検査を受けられるようにしたりと、赤ちゃんを迎える準備ができます。当院では、スタンダードプランから22q11.2欠失症候群を調べられます。微小欠失は数の異常より陽性的中率が低めなので、陽性の場合は確定検査で確かめます。

性染色体の数の異常は、分けて考える

性染色体の数の異常(クラインフェルター症候群、トリプルX、47,XYY、ターナー症候群など)は、ほかの染色体の病気とは事情が大きく異なります。知的障害を伴うことは少なく、成人の多くは自立して生活しています[11]。ただし、言葉の発達がゆっくりだったり、読み書きなど学習面に苦手さが出たりすることがあり、自閉スペクトラム症などの発達特性がみられる割合も一般より高いと報告されています[11][12]。早く分かっていれば、ことばの支援や学習の支援を早めに始めることができます。性染色体の数の異常は、当院ではスタンダードプランの対象です。

当院のNIPTでわかる一部の自閉症・発達障害・知的障害(プラン別の表)

当院のNIPTは、染色体の数の異常に加えて、プランによって微小欠失・重複と単一遺伝子の新生突然変異まで調べます。自閉症・発達障害・知的障害を伴うことがある病気のうち、各プランの対象に含まれる主なものを表にまとめます。

🧬 プラン別:自閉症・発達障害・知的障害を伴うことがある主な疾患

プラン 微小欠失・重複 単一遺伝子(新生突然変異) 自閉症・発達障害・知的障害を伴うことがある主な疾患
スタンダード 6種類7疾患 なし ダウン症候群、22q11.2欠失、1p36欠失、プラダー・ウィリー、アンジェルマン、ウォルフ・ヒルシュホーン、猫鳴き、スミス・マゲニス
ダイヤモンド 12種類13疾患 56遺伝子 上記に加えて、レット、コルネリア・デ・ランゲ、CHARGE、ソトス
インペリアル 92種類+5Mbを超える構造異常 最大155遺伝子(202疾患) 上記に加えて、フェラン・マクダーミッド、ピット・ホプキンス、16p11.2欠失・重複、ウィリアムズ、KBG、ルビンシュタイン・テイビなど

染色体の数の異常はプランによって対象範囲が異なり、インペリアルでは全常染色体を対象とします。ダイヤモンド・インペリアルは単胎妊娠が対象です。症状の出方には個人差があります。

こうした単一遺伝子疾患は1つひとつはまれですが、わずか30遺伝子・25疾患を合わせただけでも、約600人に1人(0.17%)の頻度になると報告されています[14][15]。これは、ダウン症候群の出生頻度(全体で約700人に1人)と同じくらいの数字です。当院のインペリアルプランでは、最大155遺伝子・202疾患の新生突然変異(de novo変異)を対象にしています(ダイヤモンドプランは56遺伝子)。

新生突然変異を調べるNIPTの精度については、インペリアルプランの検査の検証データとして、陽性的中率96.9%・感度100%・特異度99.9%という実測値が報告されています[16]。これは超音波検査で所見のあった妊娠750例を対象にした研究の値です。

💡 用語解説:新生突然変異(de novo変異:デノボへんい)

両親はもっていないのに、子どもで初めて生じた遺伝子の変化のことです。親から受け継いだものではないため、家族に同じ病気の人がいなくても起こります。父親の年齢が上がるほど数が増えることが分かっています。

母親の年齢と、父親(パートナー)が40歳以上の場合

お母さんの年齢とともに増えるのは、主に染色体の数の異常です。自閉症については、35歳以上の母親は25〜29歳の母親に比べて相対リスクが1.52倍(95%信頼区間1.12〜1.92)と報告されています[17]。影響は小さいがゼロではない、という位置づけです。関連を示した結果で、年齢が原因だと証明したものではありません。40歳で出産したお子さんの大多数には当てはまりません。

お父さんの年齢については、別のしくみが知られています。精子は生涯つくられ続けるため、年齢とともに新生突然変異が増えます。親子78組の全ゲノムを調べた研究では、父親の年齢が1歳上がるごとに、子どもに伝わる新生突然変異がおよそ2個増えていました[18]。ほとんどの変化は病気につながらず、ここでも大多数のお子さんには当てはまりません。40歳で出産する方はパートナーも同年代以上のことが多いので、お父さんの年齢が高い場合は、新生突然変異を調べられるダイヤモンドプランやインペリアルプランを選ぶ、という考え方があります。くわしくは父親の年齢と子どもの病気をご覧ください。

NIPTの限界

NIPTでわかるのは、自閉症・発達障害・知的障害の「一部」です。次の点は、検査を受ける前に知っておいてください。

1つ目に、NIPTはスクリーニング検査で、陽性なら確定検査が必要です。当院では確定検査まで院内で行います。

2つ目に、微小欠失・重複は、染色体の数の異常より陽性的中率が低めです(項目によって60〜70%程度)。陽性の場合は、必ず確定検査が必要です。くわしくは微小欠失の陽性的中率で解説しています。

3つ目に、陰性でも、自閉症・発達障害・知的障害がないとは言えません。大半は、染色体や遺伝子の検査をしても原因が見つからないためです。

4つ目に、脆弱X症候群など、NIPTでは調べられない原因もあります。

5つ目に、同じ染色体や遺伝子の変化があっても、症状の出方や重さには幅があり、NIPTでは予測できません。

📘 もっと詳しく知りたい方へ

NIPTと自閉症の関係は自閉症はNIPTでわかりますか?で、年齢と自閉症の関係は高齢出産と自閉症で、それぞれ専用ページとして解説しています。

臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングで、検査範囲と各プランの違いを確認できます。

📅 NIPTを予約する

NIPTのプランを見る | オンラインNIPT

40歳でNIPTを受けるときに知っておきたいこと

NIPTは、お母さんの血液に含まれる胎盤由来のDNAを調べる検査です。採血だけで受けられますが、結果は「可能性が高いかどうか」を示すもので、診断ではありません。40歳で受ける場合に知っておきたい数字と流れをまとめます。

40歳でNIPTが陽性になる確率と陽性的中率

陽性的中率は、「陽性」と出た人のうち、実際に赤ちゃんにその染色体異常があった人の割合です。同じ検査でも、もともとの頻度が高い集団ほど陽性的中率は高くなります。40歳は30歳より頻度が高いので、陽性的中率も高くなります。

たとえば、ダウン症候群について感度99.1%・特異度99.9%と仮定し、40歳・妊娠12週の頻度(およそ68人に1人[2])を当てはめると、陽性的中率は約94%という計算になります。これは前提を置いた計算値で、感度・特異度や週数の前提が変われば数字も変わります。

実際のデータとしては、国内55施設で2013〜2016年に行われた30,613件の報告があります。主に35歳以上の妊婦さんが対象で、陽性は554件(1.81%)でした。確定検査を受けた人のうち、実際に染色体異常が確認された割合は、21トリソミーで96.5%、18トリソミーで82.8%、13トリソミーで63.6%でした[19]。陽性でも一定の割合で赤ちゃんに異常がないことがあるため、陽性の場合は確定検査で確かめます。反対に、陰性であっても、まれですが偽陰性の可能性はあります。しくみは感度・特異度と陽性的中率で解説しています。

💡 用語解説:陽性的中率(ようせいてきちゅうりつ)

検査で陽性と出た人のうち、本当にその病気があった人の割合です。検査の精度だけでなく、調べる集団でその病気がどのくらい多いかによって変わります。このため、年齢によって値が変わります。

NIPTの陽性は、確定検査で本当にそうかを確かめてから考えることが前提です。当院では、陽性になった場合も確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられます。陽性的中率が低めの項目をどう受け止めるかは、NIPTの精度と陽性的中率のページで詳しく解説しています。

出生前検査を受ける人はどのくらいいる?(40代を含む全体の数字)

日本で出生前の遺伝学的検査を受けた妊婦さんの割合は、2011年の3.2%から2023年には11.5%に増えたと報告されています。NIPTの件数は、2013年の7,775件から2023年には40,813件になりました[20]。

40代に限った割合は、公表されたデータでは確認できていません。受けるかどうかは、周りの割合で決めるものではなく、結果を知りたいかどうか、知ったあとにどうしたいかをもとに、それぞれが決めるものです。

受けられる時期と、陽性だった場合の流れ

当院では、妊娠4週からお申し込みいただけます。実際の採血時期は検査プランと妊娠週数に応じてご案内します。時期の考え方はNIPTはいつからいつまでで解説しています。結果が出たあとの流れは次のとおりです。

① 遺伝カウンセリングと採血調べる範囲を相談して決める
▶
② 結果陰性はマイページでお知らせ
▶
③ 陽性の場合陽性後のカウンセリング(何度でも無料)
▶
④ 確定検査院内で羊水検査・絨毛検査

確定検査には羊水検査と絨毛検査があります。羊水検査には流産のリスクがありますが、その大きさは研究によって幅があります。米国で羊水検査を受けた3,096人と受けなかった31,907人を比べた研究では、検査に関連する流産率は0.06%と報告されています[22]。陽性だった場合の考え方はNIPTが陽性だったらにまとめています。

ミネルバクリニックのNIPTで確認できること

検査を受けると決めたとき、迷いやすいのは「陽性だったらどうなるのか」「費用はほかにかかるのか」という点です。当院の体制を事実として並べます。

🏥 当院のNIPT:検査の前後で用意していること

項目 内容
遺伝カウンセリング 90分の受診枠の中で、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行います
料金に含まれるもの 遺伝カウンセリング、4Dエコー、性別判定。検査結果の作成費用(3,300円)は料金に含まれず、別途かかります(互助会の会費などを合わせた必須の費用は合計17,850円)
結果 結果が出るまでの目安は、プランによっては3〜4週間です。陰性の場合はマイページでお知らせ。陽性の場合は、陽性後のカウンセリングを何度でも無料で受けられます
確定検査 2025年6月から産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査とも院内で実施。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます
カトレア会(羊水検査互助会) NIPTを受ける方が加入する制度。陽性時の確定検査の費用を補助し、補助の上限はありません
安心検査結果保障制度 再検査が必要になったのに、流産のため再検査ができず結果が出なかった場合に、検査代金(諸費用を除く)を返金する制度

料金は変わることがあるため、金額は料金ページでご確認ください。

確定検査を院内で行えるので、陽性と分かってから別の医療機関を探す必要がありません。くわしくは羊水検査・絨毛検査とカトレア会(羊水検査互助会)のページをご覧ください。料金に含まれる4Dエコーの内容と、プランごとの金額はNIPTの費用・料金に掲載しています。

来院が難しい方には、Zoomで臨床遺伝専門医の遺伝カウンセリングを受け、全国110か所の提携施設で採血するオンラインNIPTがあります。遺伝カウンセリングで何を話すのかはNIPTの遺伝カウンセリングで、担当する専門医については臨床遺伝専門医とはで説明しています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【調べる範囲を広げることと、限界を知ること】

出生前検査の技術は、染色体の数の異常から、微小欠失・重複、単一遺伝子の変化へと対象を広げてきました。調べられる範囲が広がるほど、「陰性なら何も心配ない」という受け取り方をされやすくなります。しかし、どれだけ範囲を広げても、検査が対象にしていない原因は残ります。

臨床遺伝専門医として、検査の価値は「何が調べられるか」と「何が調べられないか」の両方を理解したうえで初めて決まると考えています。当院が限界を先に説明するのは、そのためです。

40歳の妊娠率・流産率と、出産時の母体のリスク

染色体異常の確率以外にも、40歳の妊娠・出産には知っておきたいことがあります。当院は妊婦健診や分娩、体外受精を行っていないため、ここでは一般的な知識として整理します。具体的な管理は、分娩を予定している産科の医師にご相談ください。

40歳の妊娠率

妊娠する力は30代後半から下がり、40歳を過ぎるとさらに下がります。主な理由は、染色体の数に異常のある卵子の割合が年齢とともに増えることです。体外受精などの生殖補助医療の成績は、日本産科婦人科学会が年齢別に毎年公表しています。治療を受けている方は、最新の年齢別データを主治医に確認してください。

体外受精で育てた胚の見た目の評価と染色体の関係は、胚盤胞グレードと染色体異常の関係で解説しています。40代全体の自然妊娠の可能性は、40代・50代の自然妊娠の可能性のページをご覧ください。

40歳の流産率

流産の確率も年齢とともに上がります。ノルウェーで2009〜2013年の約42万件の妊娠を調べた研究では、流産のリスクは25〜29歳で10%と最も低く、30歳を過ぎると急に上がり、45歳以上では53%でした[21]。40歳はこの上昇の途中にあたります。

妊娠初期の流産の多くは、赤ちゃん側の染色体の数の異常によるものです。年齢とともに流産が増えるのは、染色体異常の頻度が上がることと表裏の関係にあります。仕事や運動など、妊娠中の行動が原因ではありません。

妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病・帝王切開

一般に、お母さんの年齢が上がると、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病になる割合、帝王切開になる割合が高くなることが知られています。もともとの血圧や血糖、体重、持病の有無によって個人差が大きいので、妊婦健診で定期的に確認していくことが基本になります。

ダウン症候群だけで大丈夫? ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ

40歳の妊娠で出生前検査を考えるとき、まずダウン症候群が気になる、という方は多いと思います。けれども、出生前検査で調べる病気は、どれも赤ちゃんとご家族の暮らしに大きくかかわるものです。先に見たとおり、ご家族の子育ての負担をいちばん大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった「行動の問題」だと分かっています[23]。そして、こうした行動の問題を伴いやすい病気の多くは、微小欠失症候群や単一遺伝子疾患です[23][24]。三大トリソミーだけを調べる検査では、これらの病気は調べられません。

出生前検査は、その後の人生を左右するかもしれない検査です。『安さ』だけを基準に選んでよいのか、一度立ち止まって考えてみてください。

ひとつの目安として、調べられる病気の数で割って考えてみます。三大トリソミーだけを調べる検査を仮に10万円とすると、調べる病気は3つなので、1つの病気あたりは約3万3千円です。当院のインペリアルプランは、全常染色体と性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、202の単一遺伝子疾患を対象にしています。性染色体の数の異常も含めて数えられる病気だけで320になり、1つの病気あたりは約1,700円です。さらに、5Mbを超える欠失・重複はすべての染色体が対象なので、実際には数えきれないほどの変化を調べていることになります。数えられる分だけでも、これだけの範囲を調べられるということです。

プラン 主に調べる範囲 数えた病気の数 1つの病気あたり
三大トリソミーだけを調べる検査
(仮に10万円とした場合)
13・18・21トリソミー 3 約33,333円
スタンダード
(220,000円)
13・18・21トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失6種類7疾患 14 約15,714円
プレミアム
(264,000円)
13・18・21・15・16・22トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失12種類13疾患 23 約11,478円
ダイヤモンド
(407,000円)
プレミアムの範囲+単一遺伝子56 79 約5,152円
双子マックス
(440,000円)
全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常 114+α 約3,860円
インペリアル
(550,000円)
全常染色体の数の異常、性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常、単一遺伝子202疾患 320+α 約1,719円

※価格は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の税込価格です。最新の料金は料金ページをご確認ください。※病気の数は、数の異常・微小欠失・重複・単一遺伝子疾患を1つずつ数えたものです。性染色体の数の異常は4種類(ターナー症候群・クラインフェルター症候群・トリプルX症候群・XYY症候群)として数えています(性染色体を調べるのはスタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・インペリアル。双子マックスは調べません)。5Mbを超える構造異常は数に入れていないため、双子マックスとインペリアルは実際にはさらに多くの変化を調べています。※『三大トリソミーだけを調べる検査』は計算のための仮の例で、特定の施設の価格ではありません。

ただし、調べる病気の数が多いほど良い検査、というわけではありません。調べる範囲が広がれば、陽性になる可能性も、確定検査が必要になる場面も増えます。だからこそ、どこまで調べるかは、検査前の遺伝カウンセリングで考えて選ぶことが大切です。

どこまで調べたいかは、ご家族によって違います。90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どのプランが合うかを一緒に考えます。

📅 NIPTを予約する

まとめ

40歳で出産した場合のダウン症候群の確率は、出生時でおよそ85人に1人(約1.2%)です。NIPTを受ける妊娠12週ごろはおよそ68人に1人と推定され、出生時より高くなります。どちらの数字でも、大多数のお子さんには当てはまりません。初産か2人目以降かで確率が大きく変わるという確かな根拠はなく、確率を主に決めるのは出産時の年齢です。

自閉症・発達障害・知的障害については、一部は当院のNIPTでわかります。ダウン症候群だけでなく、自閉スペクトラム症や行動の問題を高い割合で伴う病気まで調べられるかどうかは、検査を選ぶうえで大切なポイントです。原因になる染色体や遺伝子の変化の一部を妊娠中に調べられるためで、当院ではプランによって微小欠失・重複や新生突然変異まで対象にしています。わかるのは一部であること、陰性でも可能性が残ること、陽性なら確定検査が必要なことを理解したうえで、どこまで調べるかを決めてください。

🏥 40歳の妊娠で、どこまで調べるかを決めたい方へ

ダウン症候群だけでなく、18・13トリソミーや微小欠失症候群、自閉症・発達障害・知的障害を伴いうる特定の遺伝性疾患の一部まで、当院のNIPTで調べられます。陽性でも、確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。90分の受診枠の中で、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、検査範囲と各プランの違いを確認できます。来院が難しい方は、オンラインNIPT(Zoomでのカウンセリング+全国110か所の提携施設で採血)もご利用いただけます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 40歳で出産すると、ダウン症候群の確率はどのくらいですか?

出生時でおよそ85人に1人(約1.2%)と推定されています。約99%のお子さんには当てはまりません。NIPTを受ける妊娠12週ごろの確率はこれより高く、およそ68人に1人という推定があります。出生時と妊娠初期では数字が違うので、どの時点の値かを確かめて見てください。

Q2. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?

ダウン症候群だけを調べれば大丈夫、とは言い切れません。知的障害を伴う病気のお子さんのご家族を比べた研究では、スミス・マゲニス症候群、ウィリアムズ症候群、プラダー・ウィリー症候群のご家族のほうが、ダウン症候群のご家族より子育てのストレスが高く、そのストレスを最も強く左右していたのは知的障害の程度よりも行動の問題でした。こうした病気は、三大トリソミーだけを調べる検査ではわかりません。当院では、スタンダードプランからスミス・マゲニス症候群、プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群、22q11.2欠失症候群などの微小欠失を調べられ、ウィリアムズ症候群はインペリアルプランと双子マックスプランで、単一遺伝子疾患はダイヤモンドプランとインペリアルプランで調べられます。40歳の妊娠でどこまで調べるかは、検査前の遺伝カウンセリングで一緒に考えます。

Q3. 40歳の初産と2人目・3人目で、ダウン症候群の確率は変わりますか?

確率を主に決めるのは出産時のお母さんの年齢です。年齢の影響を取り除いて比べた研究では、出産回数が増えてもリスクは有意に上がりませんでした。初産か2人目以降かで大きく変わるという確かな根拠はありません。過去にトリソミーの妊娠があった場合は、別に考える必要があります。

Q4. 夫(パートナー)が40歳以上だと、子どもへの影響はありますか?

父親の年齢が上がると、子どもに新しく生じる遺伝子の変化(新生突然変異)が増えることが分かっています。ある研究では、父親の年齢が1歳上がるごとに約2個増えていました。ただし、ほとんどの変化は病気につながらず、大多数のお子さんには当てはまりません。

Q5. NIPTで自閉症や発達障害はわかりますか?

一部の原因疾患は調べられます。当院のNIPTは、自閉症・発達障害・知的障害の原因になる遺伝子や染色体の変化の一部を調べられます(インペリアルプランのフェラン・マクダーミッド症候群や16p11.2欠失・重複、ダイヤモンドプランとインペリアルプランのレット症候群など)。ただし、わかるのは一部で、自閉症全体を診断する検査ではありません。陰性でも、自閉症・発達障害・知的障害がないとは言えません。

Q6. 40歳でNIPTが陽性だった場合、本当に陽性である確率はどのくらいですか?

ダウン症候群については、感度99.1%・特異度99.9%と妊娠12週の頻度を仮定した計算で約94%になります。国内の30,613件の報告では、確定検査で確認された割合は21トリソミーで96.5%、18トリソミーで82.8%、13トリソミーで63.6%でした。陽性の場合は確定検査で確かめます。

Q7. 40歳で流産する確率はどのくらいですか?

年齢とともに上がります。ノルウェーの研究では、流産のリスクは25〜29歳で10%と最も低く、30歳を過ぎると急に上がり、45歳以上では53%でした。40歳はこの上昇の途中にあたります。妊娠初期の流産の多くは赤ちゃん側の染色体の数の異常によるもので、妊娠中の行動が原因ではありません。

Q8. NIPTで陽性が出たら、どうすればいいですか?

陽性は診断ではないので、羊水検査や絨毛検査といった確定検査で確かめます。当院では院内で確定検査を行い、主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。陽性後の臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングは、何度でも無料で受けられます。

関連記事

参考文献

  • [1] Morris JK, Mutton DE, Alberman E. Revised estimates of the maternal age specific live birth prevalence of Down’s syndrome. J Med Screen. 2002;9(1):2-6. [PubMed 11943789]
  • [2] Snijders RJM, Sundberg K, Holzgreve W, Henry G, Nicolaides KH. Maternal age- and gestation-specific risk for trisomy 21. Ultrasound Obstet Gynecol. 1999;13(3):167-170. [DOI 10.1046/j.1469-0705.1999.13030167.x]
  • [3] Savva GM, Morris JK, Mutton DE, Alberman E. Maternal age-specific fetal loss rates in Down syndrome pregnancies. Prenat Diagn. 2006;26(6):499-504. [DOI 10.1002/pd.1443]
  • [4] Effect of parity, gravidity, previous miscarriage, and age on risk of Down’s syndrome: population based study. BMJ. 1998. [PMC28677]
  • [5] トリソミーの再発リスクに関する出生前診断データの解析(米国国立医学図書館 PubMed Central 収載論文). [PMC1182017]
  • [6] Meyer RE, Liu G, Gilboa SM, et al. Survival of children with trisomy 13 and trisomy 18: A multi-state population-based study. Am J Med Genet A. 2016;170A(4):825-837. [DOI 10.1002/ajmg.a.37495]
  • [7] Glasson EJ, Sullivan SG, Hussain R, et al. The changing survival profile of people with Down’s syndrome: implications for genetic counselling. Clin Genet. 2002;62(5):390-393.
  • [8] Zhu JL, Hasle H, Correa A, et al. Survival among people with Down syndrome: a nationwide population-based study in Denmark. Genet Med. 2013;15(1):64-69.
  • [9] Eisenhower AS, Baker BL, Blacher J. Preschool children with intellectual disability: syndrome specificity, behaviour problems, and maternal well-being. J Intellect Disabil Res. 2005;49(Pt 9):657-671.
  • [10] Richards C, Jones C, Groves L, Moss J, Oliver C. Prevalence of autism spectrum disorder phenomenology in genetic disorders: a systematic review and meta-analysis. Lancet Psychiatry. 2015;2(10):909-916.
  • [11] Leggett V, Jacobs P, Nation K, Scerif G, Bishop DVM. Neurocognitive outcomes of individuals with a sex chromosome trisomy: XXX, XYY, or XXY: a systematic review. Dev Med Child Neurol. 2010;52(2):119-129.
  • [12] Bishop DVM, Jacobs PA, Lachlan K, et al. Autism, language and communication in children with sex chromosome trisomies. Arch Dis Child. 2011;96(10):954-959.
  • [13] Miller DT, Adam MP, Aradhya S, et al. Consensus statement: chromosomal microarray is a first-tier clinical diagnostic test for individuals with developmental disabilities or congenital anomalies. Am J Hum Genet. 2010;86(5):749-764. [PMC2869000]
  • [14] Mohan P, Lemoine J, Trotter C, et al. Clinical experience with non-invasive prenatal screening for single-gene disorders. Ultrasound Obstet Gynecol. 2022;59(1):33-39. [DOI 10.1002/uog.23756]
  • [15] Zhang J, et al. Non-invasive prenatal sequencing for multiple Mendelian monogenic disorders using circulating cell-free fetal DNA. Nat Med. 2019;25(3):439-447. [DOI 10.1038/s41591-018-0334-x]
  • [16] Chen S, et al. Expanded noninvasive prenatal screening for dominant single-gene disorders: proof-of-concept, performance, and challenges. Am J Obstet Gynecol. 2025;233(6). PMID 40550458. [DOI 10.1016/j.ajog.2025.06.043]
  • [17] Sandin S, Hultman CM, Kolevzon A, et al. Advancing maternal age is associated with increasing risk for autism: a review and meta-analysis. J Am Acad Child Adolesc Psychiatry. 2012;51(5):477-486. [DOI 10.1016/j.jaac.2012.02.018]
  • [18] Kong A, Frigge ML, Masson G, et al. Rate of de novo mutations and the importance of father’s age to disease risk. Nature. 2012;488(7412):471-475. [DOI 10.1038/nature11396]
  • [19] Samura O, Sekizawa A, Suzumori N, Sasaki A, Wada S, et al. Current status of non-invasive prenatal testing in Japan. [藤田医科大学 研究業績データベース]
  • [20] 国立成育医療研究センター. プレスリリース(2026年4月9日):Two-decade trends in prenatal genetic testing in Japan(Sasaki A ほか). [国立成育医療研究センター]
  • [21] Magnus MC, Wilcox AJ, Morken NH, Weinberg CR, Håberg SE. Role of maternal age and pregnancy history in risk of miscarriage: prospective register based study. BMJ. 2019;364:l869. [PMC6425455]
  • [22] Pregnancy loss rates after midtrimester amniocentesis. Obstet Gynecol. 2006;108(5):1067-1072. [PubMed 17077226]
  • [23] Fitzgerald J, Gallagher L. Parental stress and adjustment in the context of rare genetic syndromes: A scoping review. J Intellect Disabil. 2022;26(2):522-544. [DOI 10.1177/1744629521995378]
  • [24] Arron K, Oliver C, Moss J, Berg K, Burbidge C. The prevalence and phenomenology of self-injurious and aggressive behaviour in genetic syndromes. J Intellect Disabil Res. 2011;55(2):109-120. [DOI 10.1111/j.1365-2788.2010.01337.x]
  • [25] Dungan JS, Klugman S, Darilek S, et al. Noninvasive prenatal screening (NIPS) for fetal chromosome abnormalities in a general-risk population: An evidence-based clinical guideline of the American College of Medical Genetics and Genomics (ACMG). Genet Med. 2023;25(2):100336. [PubMed 36524989]
  • [26] McDonald-McGinn DM, Sullivan KE, Marino B, et al. 22q11.2 deletion syndrome. Nat Rev Dis Primers. 2015;1:15071. [DOI 10.1038/nrdp.2015.71]

※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的としたもので、個別の診断や治療に代わるものではありません。具体的な検査や妊娠の管理については、主治医・専門医にご相談ください。

プロフィール
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。

2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載
されました。

関連記事