InstagramInstagram

コフィン・ローリー症候群はNIPTでわかる?いつわかるか・お母さんが保因者のときの確率

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

「コフィン・ローリー症候群は、妊娠中にわかるの?」。ご家族にこの病気の方がいる、お母さんが保因者かもしれないと言われた、あるいはNIPTのプランを選んでいて名前を見かけた――そんなときに浮かぶ疑問です。結論からお伝えすると、コフィン・ローリー症候群の原因遺伝子RPS6KA3(アールピーエスシックスケーエースリー)は、当院のNIPTのうちインペリアルプランの対象です。一方で、妊娠中のエコーで見つけるのは難しく、NIPTでもすべての変化を見つけられるわけではありません。お母さんが保因者のときは、考え方そのものが変わります。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. コフィン・ローリー症候群はNIPTでわかる?

原因遺伝子のRPS6KA3は、当院のインペリアルプラン(最大155遺伝子)の対象です。ダイヤモンドプラン(56遺伝子)には入っていません。対象の遺伝子でも、すべての変化を見つけられるとは限りません。

🩻 Q. 妊娠中のエコーでわかる?いつわかる?

妊娠中の赤ちゃんの成長はふつうのことが多く、エコーで見つけるのは難しい病気です。特徴的な顔立ちは、多くは2歳ごろまでにはっきりしてきます。

🧠 Q. 自閉症や知的障害もNIPTでわかる?

一部はわかります。コフィン・ローリー症候群は、男の子では中等度から重度の知的障害を伴うことが多い病気です。当院のNIPTは、知的障害・発達障害・自閉症の原因になる遺伝子や染色体の変化の一部を調べられます。陰性でも、それらがないとは言えません。

👩 Q. お母さんが保因者のときは?

妊娠のたびに2分の1の確率で変化が伝わります。お母さん自身が変化を持っていると、NIPTでは母親由来か赤ちゃん由来かを区別できないため、赤ちゃんを調べるのは絨毛検査・羊水検査です。

🏥 Q. 陽性だったら?

NIPTはスクリーニング検査なので、確定検査で確かめます。当院では絨毛検査(妊娠11〜13週)・羊水検査(妊娠15週から)まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に結果が出ます。

\ コフィン・ローリー症候群の原因遺伝子まで調べられるNIPTを /

📅NIPTを予約する

インペリアルプランでは、RPS6KA3を含む最大155遺伝子のde novo変異を調べます。陽性でも確定検査まで院内で受けられます。
インペリアルプラン | インペリアルとダイヤモンドの違い

コフィン・ローリー症候群はNIPTでわかる?

当院のNIPTでは、インペリアルプランでコフィン・ローリー症候群の原因遺伝子RPS6KA3の変化を調べられます。当院の東京のNIPT(新型出生前診断)には5つのプランがありますが、単一遺伝子の病気を調べるのはダイヤモンドプランとインペリアルプランだけです。そのうちRPS6KA3が入っているのは、最大155遺伝子(202疾患)を調べるインペリアルプランです。ダイヤモンドプランの56遺伝子には入っていません。

📋 当院のNIPTのプランと、コフィン・ローリー症候群(RPS6KA3)

プラン RPS6KA3を調べるか 補足
スタンダード × 単一遺伝子は調べない
プレミアム × 単一遺伝子は調べない
ダイヤモンド × 単一遺伝子は56遺伝子。RPS6KA3は入っていない
双子マックス × 単一遺伝子は調べない
インペリアル ○ 最大155遺伝子(202疾患)の1つ。単胎のみ。単一遺伝子の結果は3〜4週間

155遺伝子の一覧は155遺伝子de novo変異NIPTで確認できます。プランごとの違いはインペリアルプランとダイヤモンドプランの違いにまとめています。

ただし、「インペリアルプランならコフィン・ローリー症候群が必ずわかる」わけではありません。この病気の原因になるRPS6KA3の変化は家族ごとにさまざまで[2]、小さな変化のほかに、遺伝子の一部が抜ける欠失や重複で起こることもあります(発端者の5〜10%)[1]。対象の遺伝子でも、すべての変化を見つけられるとは限りません。また、RPS6KA3があるX染色体の領域(Xp22)の欠失は、インペリアルプランの92種類の微小欠失・重複の一覧には入っていません。

NIPTで主に調べるのは、ご両親にはなく赤ちゃんで新しく起こった変化(de novo変異)です。コフィン・ローリー症候群は約3分の2がこの新しい変化で起こる病気なので[1][2]、ご家族に誰もいない妊婦さんにこそ関係する検査の対象といえます。お母さんがすでに保因者とわかっている場合は事情が違うので、お母さんが保因者のときの章で説明します。

💡 用語解説:RPS6KA3遺伝子(アールピーエスシックスケーエースリー)

X染色体のXp22という場所にある遺伝子で、RSK2(アールエスケーツー)というたんぱく質の設計図です。RSK2は細胞の外からの信号を中に伝える「中継役」の酵素で、脳の発達にもかかわります。くわしくはRPS6KA3遺伝子のページをご覧ください。

コフィン・ローリー症候群はどんな病気? ― 知的障害を伴うX連鎖の病気

コフィン・ローリー症候群とは、X染色体にあるRPS6KA3遺伝子の変化で起こり、知的障害、特徴的な顔立ち、先が細くなる太く柔らかい指、低身長、成長とともに進む背骨の曲がりなどを伴う病気です。頻度は4万〜5万人に1人[1]、5万〜10万人に1人[2]と、文献によって推定に幅があります。どちらも著者の経験にもとづく推定で、正確な有病率は公表されていません[1][2]。

X連鎖の病気なので、男の子と女の子で症状の出方が大きく違います。男の子はX染色体を1本しか持たないため、変化があると症状がはっきり出ます。女の子はX染色体が2本あり、症状のない方から知的障害を伴う方まで幅があります[1][2]。

👦👧 男の子と女の子での違い(主な特徴)

項目 男の子(男性) 女の子(女性)
知的な発達 中等度から重度の知的障害が典型的[1] 正常な知能から、さまざまな程度の知的障害まで幅がある[1]
顔・手の特徴 特徴的な顔立ち、先が細い太い指[2] 短く太い指だけのこともあれば、顔立ちの特徴がはっきりすることもある[2]
そのほか 難聴(自験の男性の約30%)、背骨の曲がり、心臓の弁の病気(男性の約15%)など[2] 学習の苦手さがよくみられ、てんかんを伴うこともある[2]

出典:GeneReviews日本語版[1]、Marques Pereiraら(Eur J Hum Genet, 2010)[2]。症状の重さは同じ家族の中でも違うことがあります。

学童期から10代にかけて、大きな音や驚きなどをきっかけに急に力が抜けて倒れる「刺激誘発性転倒発作」が、罹患者のおよそ20%にみられます[1]。症状・治療・成長してからの経過は、コフィン・ローリー症候群の疾患ページにくわしくまとめています。このページでは、生まれる前にわかるのか、どう調べるのかに絞って書きます。

💡 用語解説:X連鎖(エックスれんさ)の病気

原因の遺伝子がX染色体にある病気です。男性はX染色体が1本、女性は2本なので、同じ変化でも男女で症状の出方が違います。コフィン・ローリー症候群は、女性にも症状が出ることがあるX連鎖顕性(優性)の形をとります[1]。しくみはX連鎖遺伝とはで解説しています。

コフィン・ローリー症候群はいつわかる?妊娠中のエコーでわかる?

コフィン・ローリー症候群は、妊娠中のエコーで見つけるのは難しい病気です。GeneReviewsでは、生まれる前の成長は正常とされています[1]。また、この病気の総説[2]には、妊娠中のエコーで手がかりになる所見は挙げられていません。赤ちゃんの大きさや形からは、エコーで「コフィン・ローリー症候群らしい」と気づくきっかけがほとんどないということです。

生まれてからも、すぐに気づかれるとは限りません。生まれたばかりの男の子では筋肉の張りの弱さや関節の柔らかさがみられることが多く、先が細くなる太い指は生まれたときからあることもありますが、特徴的な顔立ちは、多くは2歳ごろまでにはっきりしてくるとされています[2]。ごく小さいうちは特徴が軽く、ほかの病気と見分けにくいことも報告されています[2]。

🗓️ コフィン・ローリー症候群に「いつ・何で」気づけるか

時期 方法 わかること
妊娠9週〜(当院) NIPT(インペリアルプラン) 赤ちゃんに新しく起こったRPS6KA3の変化の可能性(スクリーニング)
妊娠中の健診 エコー 成長はふつうのことが多く、この病気を見つける手がかりは乏しい[1]
妊娠11〜13週・15週〜(当院) 絨毛検査・羊水検査 家系で分かっている変化や、NIPTで見つかった変化を目印に、赤ちゃんを確定的に調べる
生後〜2歳ごろ 診察・遺伝子検査 筋肉の張りの弱さ、指の形、顔立ちなどから疑われ、遺伝子検査で診断[2]

反対に、エコーで赤ちゃんの体のつくりに異常がすでに見つかっている場合は、原因を調べるには羊水検査・絨毛検査などの確定検査が基本です。NIPTは、「エコーではまだ何も言われていないけれど心配」という方が、目に見えない病気まで拾い上げるための検査と考えてください。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「エコーで何も言われていない」は、この病気では安心材料にならない】

妊婦健診のエコーで「順調ですよ」と言われると、ほっとされると思います。それ自体はとても大切なことです。ただ、コフィン・ローリー症候群のように、生まれる前の成長がふつうで、特徴が乳児期以降に少しずつはっきりしてくる病気では、エコーで見つけることはもともと期待しにくいと考えています。

見た目の変化が出にくい病気ほど、遺伝子の変化そのものを調べる検査の意味が大きくなります。一方で、NIPTも万能ではありません。何が調べられて何が調べられないかを、検査を選ぶ前に知っておくことが大切だと考えています。

家族に誰もいなくても起こる? ― 約3分の2は新しく起こる変化

コフィン・ローリー症候群は、ご家族に同じ病気の方がいなくても起こります。罹患した男性の70〜80%は家系で1人だけの事例で、全体のおよそ3分の2は新しく起こった変化(de novo変異)によるものです[1]。お母さんを調べられた95家系のうち63家系(66.3%)で、お母さんの血液に変化が見つからなかったという報告もあります[2]。

つまり、「家族にいないから、うちは関係ない」とは言えない病気です。こうした単一遺伝子疾患は1つひとつはまれですが、わずか30遺伝子・25疾患を合わせただけでも、約600人に1人(0.17%)の頻度になると報告されています[5][6]。これは30の遺伝子に絞って調べた研究での数字なので、実際にはこれより多いと考えています。ダウン症候群の出生頻度(米国の全国推計〔2004〜2006年の出生〕で約700人に1人)[7]より多い頻度です。当院のインペリアルプランでは、最大155遺伝子のde novo変異を対象にしています(ダイヤモンドプランは56遺伝子)。

また、超音波検査で赤ちゃんの異常が疑われた妊婦さんを対象にした研究では、染色体の検査に加えて単一遺伝子の病気も調べると、見つかった病気の数が約1.6倍(61件→98件、60.7%増)に増えたと報告されています[8]。新しく起こる遺伝子の変化は、お父さんの年齢とともに増えることも知られています。くわしくは単一遺伝子疾患とNIPT(父親の年齢とde novo変異)をご覧ください。

お母さんの血液に変化がなくても、次のお子さんの確率は0ではない

上のお子さんがコフィン・ローリー症候群で、お母さんの血液を調べて変化が見つからなかった場合でも、卵子のもとになる細胞にだけ変化がある「性腺モザイク」が、この病気では証明されています[1]。きょうだいに複数の罹患者がいる家系で性腺モザイクが確かめられた例も報告されています[2]。性腺モザイクがある場合、お子さん1人あたりの確率は最大で2分の1になりえます。次の妊娠をどう考えるかは、上のお子さんの変化がわかっていれば、それを目印にした確定検査も含めて、検査前の遺伝カウンセリングで、ご家族の状況に合わせて検査を選ぶことになります。

お母さんが保因者・当事者のとき ― 確率と検査の流れ

お母さんがRPS6KA3の変化を持っている場合、妊娠のたびに2分の1の確率で赤ちゃんに変化が伝わります。変化を受け継いだ男の子は発症し、受け継いだ女の子はヘテロ接合(片方のX染色体に変化がある状態)となり、少なくとも何らかの発達の遅れや軽い身体の特徴が出る可能性が高くなります[1]。

🧮 親がRPS6KA3の変化を持っているときの、お子さんへの伝わり方

変化を持っている親 息子さん 娘さん
お母さん(ヘテロ接合) 2分の1で受け継ぎ、受け継いだ場合は発症する[1] 2分の1で受け継ぎ、受け継いだ場合は症状に幅がある[1]
お父さん(当事者) 受け継がない[3] 全員が受け継ぐ[3]

X連鎖顕性遺伝の一般的な伝わり方[3]と、GeneReviews日本語版[1]にもとづきます。コフィン・ローリー症候群の男性と重く症状が出ている女性は、通常は子どもをもたないとされています[1]。

お母さんの変化が分かっているときは、絨毛検査・羊水検査で赤ちゃんを調べる

家系の中でRPS6KA3の病的な変化が特定されていれば、その変化を目印にした出生前検査ができます[1]。赤ちゃんが受け継いだかどうかを確かめるのは、NIPTではなく、絨毛検査(当院では妊娠11〜13週)や羊水検査(当院では妊娠15週から)です。お母さん自身が変化を持っていると、お母さんの血液を使うNIPTでは、見つかった変化が母親由来か胎児由来かを区別できないためです。

まだお母さんが遺伝子検査を受けていない場合は、時間的な余裕があれば、まずお母さん本人の遺伝子検査で病的な変化を特定します。妊娠週数などで余裕がないときは、NIPTで対象の変化の有無をチェックすることがあります。このときのNIPTは、赤ちゃんが受け継いだかを判定するためではなく、確定検査で調べる目印を把握するためのものです。ただし、コフィン・ローリー症候群は原因の変化が家族ごとにさまざまで[2]、NIPTでお母さんの変化を決められるとは限りません。だからこそ、できれば妊娠前にお母さん本人の遺伝子検査で変化を特定しておくことがより大切です。流れのくわしい説明はお母さんが単一遺伝子疾患の当事者のときのNIPTと確定検査にまとめています。

お母さんの変化とは別に、赤ちゃんに新しく起こる単一遺伝子の病気もあります。そのため、お母さんの変化が妊娠前に分かっている場合でも、ご両親にない新しい変化も含めて調べられるよう、NIPTは基本的に受けたほうがよいと考えています。お父さんが当事者の場合の考え方はお父さんが単一遺伝子疾患をお持ちのご夫婦へをご覧ください。どちらのページにも当てはまらないご家族の状況は、検査前の遺伝カウンセリングで、ご家族に合わせて検査を選びます。

保因者かどうかを調べる検査:1009遺伝子には入っている、787遺伝子には入っていない

「お母さんの家系に、コフィン・ローリー症候群の男性がいる」といった場合、女性が自分も変化を持っているかを調べる方法があります。当院の保因者検査では、拡大版保因者スクリーニング女性版(1009遺伝子)にRPS6KA3が入っています。一方、NIPTと同じ日に採血できるご夫婦の保因者検査ファミリーセーフティ プラス(女性787遺伝子・男性714遺伝子)には、RPS6KA3は入っていません。ファミリーセーフティ プラスでは、この病気の保因者かどうかはわからないということです。

すでにお子さんに知的障害や発達の遅れがあり原因を調べたい場合や、ご家族の変化を調べたい場合には、RPS6KA3を含むX連鎖知的障害の遺伝子パネル検査(114遺伝子)もあります。どの検査が合うかは、家系の状況によって変わります。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【X連鎖の病気の家系では、「妊娠してから」より「妊娠する前」】

X連鎖の病気では、お母さんが保因者かどうかで、赤ちゃんの確率が大きく変わります。そして、お母さんの変化が何なのかが分かっていないと、確定検査で何を目印に調べればよいかが決まりません。妊娠してから慌てて調べ始めると、絨毛検査や羊水検査に間に合わせるために、限られた時間の中で決めなければならないことが増えます。

コフィン・ローリー症候群のように、原因の変化が家族ごとに違う病気では、妊娠前にお母さん本人の遺伝子検査で変化を特定しておくことが、いちばん確実な準備だと考えています。そのうえで、ご両親にない新しい変化に備えてNIPTも受けておく。この2段構えが、ご自身に合った選択を考えるための材料になると考えています。

NIPTで陽性だったら?受けられる時期と結果の生かし方

NIPTで陽性になったら、絨毛検査か羊水検査で本当に赤ちゃんに変化があるかを確かめます。NIPTは確定検査ではなく、可能性のある赤ちゃんを拾い上げるスクリーニング検査です。インペリアルプランのde novo変異NIPTは、リスクの高い妊婦さん750人を対象にした検証で、陽性的中率96.9%・感度100%・特異度99.9%と報告されています[4]。これはインペリアルプランの検証データで、リスクの高い妊婦さんでの数字です。陽性的中率は100%ではないので、陽性なら必ず確定検査で確かめます。精度の数字の読み方はNIPTの精度(陽性的中率)で解説しています。

陽性の場合も、確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられます。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。NIPTで見つかった変化を目印にした遺伝子の解析も、3日以内に出せる主要な項目の一つです。確定検査は基本的に日曜日(月曜日が祝日のときは月曜日)に行っています。陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料です。陽性のあとの流れはNIPTで陽性だったら、2つの確定検査の違いは羊水検査・絨毛検査のページをご覧ください。

① 遺伝カウンセリングプランを選ぶ
▶
② 4Dエコー・採血妊娠9週から
▶
③ 結果単一遺伝子は3〜4週間
▶
④ 陽性なら確定検査絨毛・羊水も院内で

何週から受けられる?結果はいつわかる?

当院のNIPTは妊娠9週から受けられます。さらに、できるだけ早い時期に結果を知りたい方のために、妊娠6〜8週から臨床研究として受けられる体制を整えています。週数が早いほど、血液中の赤ちゃん由来のDNAが少なく、判定できずに再検査になることがあります。結果は基本10〜14日ですが、インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけは3〜4週間かかります(ダイヤモンドプランは単一遺伝子も10〜14日)。陽性だったときの確定検査の時期も見込んで、早めに受けることをおすすめしています。

受けられる時期の上限は設けていません。ただし、人工妊娠中絶ができるのは通常妊娠満22週未満です[11]。上限がないことは、結果によって妊娠を続けるかどうかを選べるという意味ではありません。受ける時期と、結果を出産や生まれたあとの準備にどう生かすかは、遺伝カウンセリングの中で、検査の前に一緒に考えます。受けられる時期の考え方はNIPTはいつからいつまで受けられる?にまとめています。

自閉症・発達障害・知的障害もNIPTで一部わかる ― 当院で調べられること

自閉症・発達障害・知的障害の原因の一部は、当院のNIPTで調べられます。これらの原因はさまざまですが、その一部は染色体の微細な欠失・重複や、1つの遺伝子の変化によるものだと分かっています。コフィン・ローリー症候群もその一つで、男の子では中等度から重度の知的障害を伴うことが典型的です[1]。お子さんの発達を心配されるのは、とても自然なことです。

当院のNIPTが調べる単一遺伝子疾患や微小欠失・重複には、知的障害や発達の遅れ、自閉スペクトラム症を伴うことがある病気が含まれています。どの病気を調べられるかは、プランによって違います。

🧠 プラン別:知的障害・発達障害・自閉症を伴うことがある主な病気

プラン 微小欠失・重複 単一遺伝子 主な病気の例
スタンダード 6種類7疾患 ― 22q11.2欠失症候群、アンジェルマン症候群、プラダー・ウィリー症候群
プレミアム 12種類13疾患 ― スタンダードの例に加え、微小欠失の範囲が広がる
ダイヤモンド 12種類13疾患 56遺伝子 レット症候群、コルネリア・デ・ランゲ症候群、CHARGE症候群
双子マックス 92種類+5Mbを超える構造異常 ― 16p11.2欠失・重複、ウィリアムズ症候群
インペリアル 92種類+5Mbを超える構造異常 最大155遺伝子(202疾患) ダイヤモンドの例に加え、ピット・ホプキンス症候群、フェラン・マクダーミッド症候群、KBG症候群、コフィン・ローリー症候群など

どの病気も、症状の重さには幅があり、NIPTで重さを予測することはできません。

⚠️ 正直にお伝えしたい限界

・陽性なら確定検査が必要です(当院は院内で実施)。微小欠失・重複は、数の異常より陽性的中率が低めです。

・陰性でも、自閉症・発達障害・知的障害がないとは言えません。原因の多くは、NIPTで調べる範囲の外にあります。

・脆弱X症候群など、NIPTでは調べられない原因もあります。

自閉症とNIPTの関係は、自閉症はNIPTでわかる?出生前診断でわかる発達障害・知的障害の原因でくわしく解説しています。

🏥 知的障害を伴う病気の原因まで、調べる範囲からプランを選ぶ

インペリアルプランでは、コフィン・ローリー症候群の原因遺伝子RPS6KA3を含む最大155遺伝子のde novo変異と、92種類の微小欠失・重複を調べます。臨床遺伝専門医が常駐し、陽性なら絨毛検査・羊水検査まで院内で受けられます。

まだ決めていない方は:インペリアルプランの詳細 | NIPTの費用・料金

検査は「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ ― 1つの病気あたりで考えると

「ダウン症候群だけが心配」という方は少なくありません。けれども、出生前検査で調べる病気は、どれも赤ちゃんとご家族の暮らしに大きくかかわるものです。そして、ご家族の子育ての負担を最も大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった「行動の問題」だと分かっています[9]。こうした行動の問題を伴いやすい病気には、ダウン症候群ではなく、微小欠失症候群や単一遺伝子疾患が多く含まれます[9][10]。三大トリソミーだけを調べる検査では、これらの病気は調べられません。

出生前検査は、その後の人生を左右するかもしれない検査です。『安さ』だけで選んで大丈夫でしょうか。

三大トリソミーだけを調べる検査を仮に10万円とすると、1つの病気あたりは約3万3千円です。

当院のインペリアルプランは、全常染色体と性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、202の単一遺伝子疾患を調べます。性染色体の数の異常も含めて、数えられる病気だけで320になり、1つの病気あたりは約1,719円です。さらに、5Mbを超える欠失・重複はすべての染色体が対象なので、数えきれないほどの変化を調べていることになります。数えられる分だけでも、これだけの範囲を調べられます。

プラン 主に調べる範囲 数えた病気の数 1つの病気あたり
三大トリソミーだけを調べる検査
(仮に10万円とした場合)
13・18・21トリソミー 3 約33,333円
スタンダード(220,000円) 13・18・21トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失6種類7疾患 14 約15,714円
プレミアム(264,000円) 13・18・21・15・16・22トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失12種類13疾患 23 約11,478円
ダイヤモンド(407,000円) プレミアムの範囲+単一遺伝子56 79 約5,152円
双子マックス(440,000円) 全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常 114+α 約3,860円
インペリアル(550,000円) 全常染色体の数の異常、性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常、単一遺伝子202疾患 320+α 約1,719円

※価格は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の税込価格です。最新の料金は料金ページをご確認ください。※病気の数は、数の異常・微小欠失・重複・単一遺伝子疾患を1つずつ数えたものです。性染色体の数の異常は4種類(ターナー症候群・クラインフェルター症候群・トリプルX症候群・XYY症候群)として数えています(性染色体を調べるのはスタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・インペリアル。双子マックスは調べません)。5Mbを超える構造異常は数に入れていないため、双子マックスとインペリアルは実際にはさらに多くの変化を調べています。※『三大トリソミーだけを調べる検査』は計算のための仮の例で、特定の施設の価格ではありません。

料金のくわしい内訳はNIPTの費用・料金のページでご確認ください。料金には、臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリング、NIPTでの性別判定、4Dエコー(来院の場合)が含まれます。NIPTを受ける方は全員、羊水検査互助会(カトレア会)と安心検査結果保障制度の2つの互助会に加入します。なお、調べる範囲が広がると、陽性になる可能性や、確定検査が必要になる場面も増えます。だからこそ、検査前の遺伝カウンセリングでプランを選ぶことが大切です。

🏥 どこまで調べるかは、ご家族によって違います

90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どのプランが合うかを一緒に考えます。陽性でも、確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられ、主要項目は3日以内に結果が出ます。来院が難しい方は、オンラインNIPT(Zoomでのカウンセリング+全国110か所の提携施設で採血)もご利用いただけます。

まだ決めていない方は:インペリアルとダイヤモンドの違い | オンラインNIPT

よくある質問(FAQ)

Q1. コフィン・ローリー症候群はNIPTでわかりますか?

当院のNIPTでは、インペリアルプランで原因遺伝子RPS6KA3の変化を調べられます。ダイヤモンドプラン(56遺伝子)には入っておらず、スタンダード・プレミアム・双子マックスは単一遺伝子を調べません。対象の遺伝子でも、すべての変化を見つけられるとは限りません。陽性なら絨毛検査か羊水検査で確かめます。

Q2. 妊娠中のエコーでコフィン・ローリー症候群はわかりますか?

エコーで見つけるのは難しい病気です。生まれる前の成長は正常とされ、妊娠中のエコーで手がかりになる所見は総説に挙げられていません。特徴的な顔立ちは、多くは2歳ごろまでにはっきりしてきます。

Q3. 家族に誰もいなくても、コフィン・ローリー症候群になりますか?

なります。罹患した男性の70〜80%は家系で1人だけの事例で、全体のおよそ3分の2は、ご両親にはなく新しく起こった変化(de novo変異)によるものと報告されています。

Q4. お母さんが保因者だと、赤ちゃんに遺伝する確率はどのくらいですか?

妊娠のたびに2分の1の確率で変化が伝わります。受け継いだ男の子は発症し、受け継いだ女の子は症状のない方から知的障害を伴う方まで幅があります。お父さんが当事者の場合は、娘さんは全員が受け継ぎ、息子さんには受け継がれません。

Q5. お母さんが保因者のとき、NIPTで赤ちゃんが受け継いだかわかりますか?

わかりません。お母さん自身が変化を持っていると、NIPTでは見つかった変化が母親由来か胎児由来かを区別できません。赤ちゃんが受け継いだかは、お母さんの変化を目印に、絨毛検査(当院では妊娠11〜13週)か羊水検査(当院では妊娠15週から)で調べます。できれば妊娠前に、お母さん本人の遺伝子検査で変化を特定しておくことが大切です。

Q6. NIPTで陰性なら、コフィン・ローリー症候群や知的障害の心配はありませんか?

陰性は「調べた範囲では可能性が低い」という意味です。対象の遺伝子でもすべての変化を見つけられるとは限らず、陰性でもコフィン・ローリー症候群を否定できません。また、知的障害や発達障害の原因の多くはNIPTで調べる範囲の外にあるため、陰性でもそれらがないとは言えません。

Q7. NIPTで陽性だったらどうなりますか?

絨毛検査か羊水検査で確かめます。当院では確定検査まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料で、羊水検査互助会(カトレア会)が確定検査の費用を補助します(補助の上限なし)。

Q8. 自分がコフィン・ローリー症候群の保因者か調べる検査はありますか?

当院の拡大版保因者スクリーニング女性版(1009遺伝子)にはRPS6KA3が入っています。NIPTと同じ日に採血できるファミリーセーフティ プラス(女性787遺伝子・男性714遺伝子)には入っていません。家系の状況によっては、X連鎖知的障害の遺伝子パネル検査(114遺伝子)も選択肢になります。

関連記事

参考文献

  • [1] GeneReviews Japan(GRJ). コフィン-ローリー症候群(Coffin-Lowry Syndrome). GeneReviews最終更新日 2018年2月1日、日本語訳最終更新日 2020年11月30日. [GRJ]
  • [2] Marques Pereira P, Schneider A, Pannetier S, Heron D, Hanauer A. Coffin–Lowry syndrome. Eur J Hum Genet. 2010;18(6):627-633. [DOI 10.1038/ejhg.2009.189]
  • [3] MSDマニュアル プロフェッショナル版. 単一遺伝子の異常(X連鎖顕性〔優性〕遺伝・X連鎖潜性〔劣性〕遺伝). 2023年6月更新. [MSDマニュアル]
  • [4] Chen S, Xu W, Zhang L, et al. Expanded noninvasive prenatal screening for dominant single-gene disorders: proof-of-concept, performance, and challenges. Am J Obstet Gynecol. 2025;233(6):673.e1-673.e21. [DOI 10.1016/j.ajog.2025.06.043](PMID 40550458)
  • [5] Mohan P, et al. Ultrasound Obstet Gynecol. 2022;59(1):33-39. [DOI 10.1002/uog.23756]
  • [6] Zhang J, et al. Non-invasive prenatal sequencing for multiple Mendelian monogenic disorders using circulating cell-free fetal DNA. Nat Med. 2019;25(3):439-447. [DOI 10.1038/s41591-018-0334-x]
  • [7] Parker SE, Mai CT, Canfield MA, et al. Birth Defects Res A Clin Mol Teratol. 2010;88(12):1008-1016. [PubMed 20878909]
  • [8] Zhang J, Wu Y, Chen S, et al. Prospective prenatal cell-free DNA screening for genetic conditions of heterogenous etiologies. Nat Med. 2024;30(2):470-479. [DOI 10.1038/s41591-023-02774-x]
  • [9] Fitzgerald J, Gallagher L. Parental stress and adjustment in the context of rare genetic syndromes: A scoping review. J Intellect Disabil. 2022;26(2):522-544. [PubMed 33866895]
  • [10] Arron K, Oliver C, Moss J, Berg K, Burbidge C. The prevalence and phenomenology of self-injurious and aggressive behaviour in genetic syndromes. J Intellect Disabil Res. 2011;55(2):109-120. [DOI 10.1111/j.1365-2788.2010.01337.x]
  • [11] 日本医師会. 医の倫理の基礎知識 2018年版【生殖医療】D-5. [日本医師会]

※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・検査の選択を示すものではありません。検査については臨床遺伝専門医にご相談ください。

プロフィール

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

Google公認:仲田洋美 公式プロフィール

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続け、遺伝医療と出生前診断に携わっています。当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、検査結果の数値そのものだけでなく、「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、日本人として異文化の中で生活した経験があります。価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。この経験は現在の診療においても、「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、36週6日で一人を死産した経験があります。その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、家族の未来に関わる重要な意思決定です。年齢や統計だけで判断するのではなく、医学的根拠と心理的支援の両面から、ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

記事の作り方と生成AIの使い方は、編集方針をご覧ください。

▶ 仲田洋美の詳細プロフィールはこちら

関連記事