目次
「赤ちゃんがアペール症候群かどうか、妊娠中にわかるの?」。アペール症候群は、頭の骨の継ぎ目(縫合)が早く閉じることと、手足の指がくっついていることを特徴とする生まれつきの病気です。原因はFGFR2という遺伝子の変化で、ほとんどはご両親になく、赤ちゃんに新しく起こった変化です。エコーで形がわかるのは主に妊娠中期以降ですが、原因の変化は、東京・北青山の当院で受けられる東京のNIPT(新型出生前診断)のうち、ダイヤモンドプランとインペリアルプランで調べられます。妊娠中にいつ・どうやってわかるのか、遺伝の確率、陽性だったときの流れまでを、臨床遺伝専門医の立場からまとめました。
⏱️ 30秒でわかる要約
🧬 Q. アペール症候群はNIPTでわかる?
原因のFGFR2遺伝子の変化を、ダイヤモンドプランとインペリアルプランで調べられます。スタンダード・プレミアム・双子マックスは単一遺伝子を調べません。対象の遺伝子でも、すべての変化を見つけられるとは限りません。
📅 Q. 妊娠中いつわかる?
エコーでは頭の形や手足の指の所見から、主に妊娠中期以降に疑われます。NIPTは妊娠9週から受けられ(6〜8週は臨床研究)、形がわかる前の時期に原因の変化を調べられます。
👨 Q. 遺伝する?父親の年齢は関係ある?
ほとんどは赤ちゃんに新しく起こった変化(de novo)で、調べられた57家系ではすべてお父さん由来でした。お父さんの年齢が高いほど起こりやすいとされています。
🧩 Q. NIPTで自閉症や発達障害はわかる?
一部はわかります。当院のNIPTは、自閉症・発達障害・知的障害の原因になる遺伝子や染色体の変化の一部を調べられます。陰性でも、すべての原因がないとは言えません。
🏥 Q. 陽性だったら?
陽性なら確定検査(絨毛検査・羊水検査)で確かめます。当院では確定検査まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に結果が出ます。
\ アペール症候群の原因(FGFR2)まで調べるNIPTを、確定検査まで院内で /
アペール症候群はNIPTでわかる? ― ダイヤモンドとインペリアルで原因の遺伝子を調べる
結論から言うと、アペール症候群の原因になるFGFR2遺伝子の変化は、当院のNIPTのダイヤモンドプランとインペリアルプランで調べられます。FGFR2は、ダイヤモンドプランの56遺伝子にも、インペリアルプランの最大155遺伝子(202疾患)にも入っています。一方で、スタンダードプラン・プレミアムプラン・双子マックスプランは単一遺伝子を調べないため、アペール症候群は対象外です。
ダイヤモンドプランは、米国の3大遺伝子検査会社の一角が提供する新技術「COATE法」(SNP法とターゲット法の組み合わせ)※で検査します。インペリアルプランは、低深度全ゲノムシーケンスとターゲット法を組み合わせた方式です。2つのプランの違いはインペリアルプランとダイヤモンドプランの違いで比べられます。
※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。
NIPTで調べるのは「赤ちゃんに新しく起こった変化」
NIPTは、お母さんの血液に混ざっている赤ちゃん(胎盤)由来のDNAの断片を調べる検査です。単一遺伝子のNIPTで調べるのは、主にご両親にはなく、赤ちゃんで新しく起こった変化(de novo変異)です。アペール症候群はほとんどがこのタイプなので、NIPTで調べる意味がある病気の一つです[2][3]。
検査の精度は、インペリアルプランの検証データ(遺伝的な病気のリスクが高い妊婦さん750例・155遺伝子202疾患)で、de novo変異の陽性的中率96.9%・感度100%・特異度99.9%と報告されています[7]。ダイヤモンドプランのCOATE法の根拠としている研究では、リスクの高い妊婦さん1,090人で感度98.5%・特異度99.3%でした[8]。これらは研究で調べた病気全体の数字で、FGFR2だけの検出性能を示すものではありません。検査方式や対象集団も違うため、数字だけでプランの優劣は決められません。どちらもリスクの高い妊婦さんでの数字で、NIPTはスクリーニング検査なので、陽性なら確定検査で確かめることが前提です。精度の考え方はNIPTの精度(陽性的中率)で解説しています。
アペール症候群とは?(病気の特徴を短く)
アペール症候群とは、FGFR2遺伝子の変化によって、頭の骨の継ぎ目が早く閉じる(頭蓋骨縫合早期癒合症)ことと、手足の指がくっついている(合指症・合趾症)ことを特徴とする病気です[1][3]。生まれる頻度は、新生児6万5,000〜8万8,000人に1人と推定されています[3]。知的な発達は、正常な方から軽度〜中等度の知的障害がある方まで幅があります[3]。症状・治療・経過は、アペール症候群の疾患ページにまとめています。
📋 アペール症候群の主な特徴(出生前に関係するところ)
クルーゾン症候群・ファイファー症候群との違い
アペール症候群・クルーゾン症候群・ファイファー症候群は、どれも頭の骨の継ぎ目が早く閉じる病気で、FGFR2遺伝子の変化で起こることがあります。見分ける手がかりは手足です。アペール症候群は手足の指がくっついているのが特徴で、クルーゾン症候群は手足がふつうの形です[1]。ファイファー症候群では、親指と足の親指が幅広く、ほかの指から離れる向きに曲がっています[4]。出生前には所見が重なるため、エコーだけで見分けるのは簡単ではありません[5]。
🔍 FGFR2が関わる主な頭蓋骨縫合早期癒合症候群
※3つとも、ダイヤモンドプランとインペリアルプランの対象遺伝子(FGFR2・FGFR1)で起こる病気です。頭の骨の病気をまとめた解説は頭蓋骨癒合症候群はNIPTでわかる?にあります。
自閉症・発達障害の原因の一部もNIPTで調べられる
当院のNIPTは、アペール症候群のような単一遺伝子の病気のほかに、自閉症・発達障害・知的障害の原因になる遺伝子や染色体の変化の一部も調べられます。たとえばダイヤモンドプランとインペリアルプランではCHARGE症候群やレット症候群、インペリアルプランではフェラン・マクダーミッド症候群やピット・ホプキンス症候群が対象です。ただし陰性でも、自閉症や発達障害の原因がすべてないとは言えません。くわしくは一部の自閉症・発達障害の原因はNIPTでわかるをご覧ください。
アペール症候群は妊娠中いつわかる? ― エコーで見える所見と時期
アペール症候群は、エコーでは主に妊娠中期以降に、頭の形と手足の指の所見から疑われます。ドイツの1施設で、症候群性の頭蓋骨縫合早期癒合症が出生前に疑われた13例をまとめた報告では、疑われた時期は妊娠20週から33週で、9例が妊娠中期、4例が妊娠後期でした[5]。著者は、妊娠中期に診断できる可能性があるとまとめています[5]。
🩻 アペール症候群でみられたエコー所見(出生前に診断された8例)
| 所見 | みられた例 |
|---|---|
| 手足の指がくっついている(合指症) | 8例中8例 |
| 頭の形の異常 | 8例すべて |
| おでこが突き出ている(前頭部の突出) | 8例中5例 |
| クローバーの葉のような頭の形(クローバーリーフ頭蓋) | 8例中4例 |
| 塔のように高い頭の形(尖頭) | 8例中2例 |
出典:Casteleynら(Arch Gynecol Obstet, 2022)[5]。1施設の少数例の報告で、すべての赤ちゃんに同じ所見が出るわけではありません。
手足の指の所見は、立体的に見られる3Dエコーで妊娠後期にとらえやすいとされ、胎児MRIは頭の中の変化を確かめる補助として使われます[6]。ただし、エコーやMRIでわかるのは「形」で、アペール症候群かどうかを決めるのはFGFR2の遺伝子検査です[6]。クルーゾン症候群やファイファー症候群と所見が重なるため、形だけで病名を決めることはできません[5]。
🗓️ 妊娠の時期と、アペール症候群を調べる方法
| 時期 | 方法 | わかること |
|---|---|---|
| 妊娠9週から(6〜8週は臨床研究) | NIPT(ダイヤモンド・インペリアル) | FGFR2の変化の有無をスクリーニング |
| 妊娠11〜13週 | 絨毛検査(確定検査) | 赤ちゃん側の細胞で遺伝子を確かめる |
| 妊娠15週から | 羊水検査(確定検査) | 赤ちゃんの細胞で遺伝子を確かめる |
| 主に妊娠20週ごろ以降 | エコー(精密な超音波検査) | 頭の形や手足の指の所見で疑われることがある[5] |
※絨毛検査・羊水検査の時期は当院で行う場合のものです。
エコーで頭の形や指の所見を言われたら:確定検査が基本
すでにエコーで形の異常が見つかっている場合は、羊水検査や絨毛検査などの確定検査で、赤ちゃん本人の細胞の遺伝子を調べるのが基本です。NIPTは、確定検査と同じ重さの「もう一つの道」ではありません。NIPTは、まだエコーで何も言われていないけれど心配という方のためのスクリーニング検査と考えてください。羊水でマイクロアレイ検査もするなら、妊娠18週くらいが適していると考えています。2つの確定検査の違いは絨毛検査と羊水検査の違いで解説しています。
妊娠中期以降にわかった場合、時期によって選べることが変わります。人工妊娠中絶ができるのは通常妊娠満22週未満です(出典:日本医師会「医の倫理の基礎知識 2018年版【生殖医療】D-5」[13])。結果を出産の準備や生まれたあとの治療にどう生かすかを含めて、検査前の遺伝カウンセリングで一緒に考えます。くわしくは出生前診断のあとの中絶はいつまで?をご覧ください。
アペール症候群は遺伝する? ― ほとんどが新しく起こる変化で、父親の年齢と関係
アペール症候群は常染色体顕性遺伝の病気ですが、ほとんどは赤ちゃんに新しく起こった変化(de novo)によるものです[3]。原因の変化は、FGFR2の隣り合う2か所(Ser252Trp・Pro253Arg)に集中していて、調べられた40人全員がどちらかの変化を持っていました[1]。
さらに、新しく起こった変化がどちらの親から来たかを調べた研究では、57家系すべてで、変化はお父さん由来でした[2]。この研究では、新しい変化の頻度を出生6万5,000人に1人と見積もり、お父さんの年齢が高いと起こりやすいという、それまでの観察を裏づける結果だとしています[2]。米国国立医学図書館の解説でも、アペール症候群はお父さんの年齢が高いほど起こりやすいとされています[3]。一般にも、子どもに新しく起こる遺伝子の変化は、お父さんの年齢とともに増えることが報告されています[12]。
(父親由来の遺伝子変異が子へ伝わるイメージ)
💡 用語解説:de novo(デノボ)変異
de novo変異とは、ふつうの遺伝子検査ではご両親に見つからず、赤ちゃんで新たに見つかる遺伝子の変化です。精子や卵子ができる過程や、受精後のごく初期の発生の過程などで起こります。ご両親の一部の細胞だけに変化があるモザイクが関わることもあります。家族にいなくても起こります。くわしくはde novo変異(新生突然変異)とはをご覧ください。
次のお子さんの確率は?
ご両親にFGFR2の変化がなく、赤ちゃんに新しく起こった場合、次のお子さんの確率は低いと考えられます。ただし、精子や卵子のもとになる細胞だけに変化がある「性腺モザイク」の可能性があるため、確率は0ではありません。お父さんかお母さんがアペール症候群の場合は、妊娠ごとに2分の1の確率で受け継ぎます。
こうした単一遺伝子の病気は1つひとつはまれです。わずか30遺伝子・25疾患を合わせただけでも約600人に1人(0.17%)[9][10]…これは30の遺伝子に絞って調べた研究での数字なので、実際にはこれより多いと考えています。ダウン症候群の出生頻度(米国の全国推計〔2004〜2006年の出生〕で約700人に1人)[11]より多い頻度です。また、超音波検査で赤ちゃんの異常が疑われた妊婦さんを対象にした研究では、染色体の検査に加えて単一遺伝子の病気も調べると、見つかった病気の数が約1.6倍(61件→98件、60.7%増)に増えたと報告されています[8]。単一遺伝子の病気と父親の年齢の関係は、単一遺伝子疾患とNIPT(父親の年齢とde novo)でくわしく解説しています。
\ お父さんの年齢が気になる方へ:新しく起こる遺伝子の変化を調べるNIPT /
ダイヤモンドプランは56遺伝子、インペリアルプランは最大155遺伝子(202疾患)のde novo変異を調べます。
56遺伝子de novo変異NIPT | 155遺伝子de novo変異NIPT
お母さん・お父さんがアペール症候群のとき ― 次の子の確率と検査の流れ
お父さんかお母さんがアペール症候群の場合、赤ちゃんが受け継ぐ確率は妊娠ごとに2分の1です。どちらの親が当事者かで、NIPTでわかることが変わります。
お母さんが当事者の場合:NIPTでは母親由来か赤ちゃん由来かを区別できない
お母さん自身が病的バリアントを持っている場合、通常のNIPTでは、見つかった変化がお母さん由来か赤ちゃん由来かを区別できません。お母さんの血液にもともとその変化があるためです。そのため、赤ちゃんが受け継いだかどうかは、その変化を目印にした絨毛検査か羊水検査(確定検査)で調べます。当院の絨毛検査は妊娠11〜13週、羊水検査は妊娠15週からです。
基本は、妊娠前か、時間に余裕があるうちに、お母さん本人の遺伝子検査で病的バリアントを特定しておくほうがよいと考えています。妊娠週数などで時間的な余裕がないときは、NIPTで対象の病的バリアントの有無をチェックする方法があります。このときのNIPTは、赤ちゃんが受け継いだかを判定するためではなく、確定検査で調べる目印を把握するためのものです。アペール症候群でお母さんの変化をNIPTで決められるかは、検査前の遺伝カウンセリングで、ご家族の状況に合わせて確かめます。
お母さんの病気とは別に、赤ちゃんに新しく起こる単一遺伝子の病気もあります。そのため、お母さんが当事者の場合もNIPTは基本的に受けたほうがよいと考えています(赤ちゃんがお母さんの変化を受け継いだかを調べるのは、NIPTではなく絨毛検査・羊水検査です)。流れのくわしい説明は単一遺伝子疾患のあるお母さんへ|NIPTと確定検査でわかることにあります。
お父さんが当事者の場合:対象の遺伝子ならNIPTで見つけやすい
お父さん由来の変化は、お母さんの血液にはもともとありません。そのため、お父さんの変化がプランの対象の遺伝子にあれば、NIPTで見つかったときに赤ちゃんが受け継いだものと判断しやすいとされています。ただし、NIPTは確定ではない検査なので、陽性なら絨毛検査か羊水検査で確かめます。お父さんの変化が対象に入るかは、お父さんの遺伝子検査の結果を見て遺伝カウンセリングで判断します。くわしくはお父さんが単一遺伝子疾患のご夫婦へ|NIPTと確定検査をご覧ください。
ご本人やお子さんの原因の変化を調べたいときは、FGFR関連頭蓋骨縫合早期癒合症の遺伝子検査(FGFR1・FGFR2・FGFR3)や、62遺伝子を調べる頭蓋骨縫合早期癒合症の遺伝子検査があります。どの検査を選ぶかは、検査前の遺伝カウンセリングで、ご家族の状況に合わせて選びます。遺伝カウンセリングについては遺伝カウンセリングとはで説明しています。
NIPTで陽性だったらどうする? ― 確定検査と当院の体制
NIPTで陽性なら、まず確定検査(絨毛検査・羊水検査)で、赤ちゃんに本当にFGFR2の変化があるかを確かめます。陽性の段階で、妊娠を続けるかどうかを決めないことが大切です。当院では確定検査まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。FGFR2のように変化を目印にした遺伝子の解析も、3日以内に出せる主要な項目の一つです。確定検査は基本的に日曜日(月曜日が祝日のときは月曜日)に行っています。
陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料です。NIPTを受ける方は全員、羊水検査互助会(カトレア会)と安心検査結果保障制度の2つの互助会に加入し、カトレア会が確定検査の費用を補助します(今は補助の上限なし)。陽性のあとの流れはNIPTで陽性だったらで、くわしく説明しています。
🔍 関連記事
陰性なら心配ない? ― NIPTの限界
陰性は「調べた範囲では可能性が低い」という意味です。対象の遺伝子でもすべての変化を見つけられるとは限らず、まれですが偽陰性の可能性もあります。また、FGFR2以外の原因による頭の骨の病気や、プランの対象に入っていない病気については何も言えません。妊娠中期以降のエコーで気になる所見があれば、NIPTの結果にかかわらず、主治医と確定検査を含めて相談してください。
🏥 アペール症候群の原因(FGFR2)まで調べるNIPT
ダイヤモンドプランとインペリアルプランは、アペール症候群・クルーゾン症候群・ファイファー症候群の原因になるFGFR2の変化を調べます。臨床遺伝専門医が常駐し、陽性なら絨毛検査・羊水検査まで院内で受けられ、主要な項目は3日以内に結果が出ます。
まだ決めていない方は:インペリアルとダイヤモンドの違い | NIPTの施設選びのポイント
NIPTはいつ受ける? ― 受けられる時期とプランの選び方
当院のNIPTは妊娠9週から受けられます。さらに、できるだけ早い時期に結果を知りたい方のために、妊娠6〜8週から臨床研究として受けられる体制を整えています。週数が早いほど、血液中の赤ちゃん由来のDNAが少なく、判定できずに再検査になることがあります。
受けられる時期の上限は設けていません。ただし、人工妊娠中絶ができるのは通常妊娠満22週未満です(出典:日本医師会「医の倫理の基礎知識 2018年版【生殖医療】D-5」[13])。受ける時期と結果の生かし方は、検査前の遺伝カウンセリングで一緒に考えます。時期の考え方はNIPTはいつからいつまで受けられる?にまとめています。
結果は基本10〜14日でお知らせします。インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけは3〜4週間かかり、ダイヤモンドプランは単一遺伝子も10〜14日です。確定検査の時期(絨毛検査は妊娠11〜13週、羊水検査は妊娠15週から)から逆算して、受ける時期とプランを決めるとよいと考えています。
⚖️ アペール症候群を調べられる2つのプラン
| 項目 | ダイヤモンドプラン | インペリアルプラン |
|---|---|---|
| 方式 | COATE法(SNP法とターゲット法の組み合わせ) | 低深度全ゲノムシーケンス+ターゲット法 |
| 単一遺伝子 | 56遺伝子(de novo変異) | 最大155遺伝子(202疾患) |
| 染色体 | 13・18・21・15・16・22トリソミー、微小欠失12種類13疾患 | 全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える欠失・重複 |
| 単一遺伝子の結果 | 基本10〜14日 | 3〜4週間 |
| 対象 | 単胎のみ | 単胎のみ |
料金はNIPTの費用・料金でご確認ください。料金には臨床遺伝専門医の遺伝カウンセリング、NIPTでの性別判定、4Dエコー(来院の場合)が含まれます。
来院が難しい方は、Zoomでの遺伝カウンセリングと全国110か所の提携施設での採血を組み合わせたオンラインNIPT(全国対応)もご利用いただけます。オンラインの遺伝カウンセリングの料金は事前支払いです。
🔍 関連記事
1つの病気あたりで考える ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ
「ダウン症候群だけが心配」という方は少なくありません。けれども、出生前検査で調べる病気は、どれも赤ちゃんとご家族の暮らしに大きくかかわるものです。そして、ご家族の子育ての負担を最も大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった「行動の問題」だと分かっています[14]。こうした行動の問題を伴いやすい病気には、ダウン症候群ではなく、微小欠失症候群や単一遺伝子疾患が多く含まれます[14][15]。三大トリソミーだけを調べる検査では、これらの病気は調べられません。
出生前検査は、その後の人生を左右するかもしれない検査です。『安さ』だけで選んで大丈夫でしょうか。
三大トリソミーだけを調べる検査を仮に10万円とすると、1つの病気あたりは約3万3千円です。
当院のインペリアルプランは、全常染色体と性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、202の単一遺伝子疾患を調べます。性染色体の数の異常も含めて、数えられる病気だけで320になり、1つの病気あたりは約1,719円です。さらに、5Mbを超える欠失・重複はすべての染色体が対象なので、数えきれないほどの変化を調べていることになります。数えられる分だけでも、これだけの範囲を調べられます。
| プラン | 主に調べる範囲 | 数えた病気の数 | 1つの病気あたり |
|---|---|---|---|
| 三大トリソミーだけを調べる検査 (仮に10万円とした場合) |
13・18・21トリソミー | 3 | 約33,333円 |
| スタンダード(220,000円) | 13・18・21トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失6種類7疾患 | 14 | 約15,714円 |
| プレミアム(264,000円) | 13・18・21・15・16・22トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失12種類13疾患 | 23 | 約11,478円 |
| ダイヤモンド(407,000円) | プレミアムの範囲+単一遺伝子56 | 79 | 約5,152円 |
| 双子マックス(440,000円) | 全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常 | 114+α | 約3,860円 |
| インペリアル(550,000円) | 全常染色体の数の異常、性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常、単一遺伝子202疾患 | 320+α | 約1,719円 |
※価格は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の税込価格です。最新の料金は料金ページをご確認ください。※病気の数は、数の異常・微小欠失・重複・単一遺伝子疾患を1つずつ数えたものです。性染色体の数の異常は4種類(ターナー症候群・クラインフェルター症候群・トリプルX症候群・XYY症候群)として数えています(性染色体を調べるのはスタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・インペリアル。双子マックスは調べません)。5Mbを超える構造異常は数に入れていないため、双子マックスとインペリアルは実際にはさらに多くの変化を調べています。※『三大トリソミーだけを調べる検査』は計算のための仮の例で、特定の施設の価格ではありません。
調べる範囲が広がると、陽性になる可能性も、確定検査が必要になる場面も増えます。だからこそ、検査前の遺伝カウンセリングでプランを選ぶことが大切です。最新の料金はNIPTの費用・料金でご確認ください。どこまで調べたいかは、ご家族によって違います。90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どのプランが合うかを一緒に考えます。
よくある質問(FAQ)
Q1. アペール症候群はNIPTでわかりますか?
アペール症候群の原因になるFGFR2遺伝子の変化は、当院のNIPTのうちダイヤモンドプランとインペリアルプランで調べられます。スタンダードプラン・プレミアムプラン・双子マックスプランは単一遺伝子を調べないため対象外です。対象の遺伝子でも、すべての変化を見つけられるとは限りません。NIPTはスクリーニング検査なので、陽性なら絨毛検査や羊水検査で確かめます。
Q2. アペール症候群は妊娠中いつわかりますか?
エコーでは、頭の形の変化や手足の指がくっついている所見(合指症)から、主に妊娠中期以降に疑われます。頭蓋骨縫合早期癒合症候群が出生前に疑われた13例の報告では、疑われた時期は妊娠20週から33週で、9例が妊娠中期でした。NIPTは妊娠9週から受けられるので、エコーで形がわかるより前の時期に原因の変化を調べられます。
Q3. エコーで頭の形や指の異常を言われました。NIPTを受けたほうがよいですか?
エコーで形の異常がすでに見つかっている場合は、確定検査(羊水検査・絨毛検査)で赤ちゃん本人の細胞を調べるのが基本です。NIPTは、まだエコーで何も言われていないけれど心配という方のための検査です。どの検査を選ぶかは、主治医や臨床遺伝専門医と相談して決めてください。
Q4. アペール症候群は遺伝しますか?次の子の確率は?
アペール症候群は常染色体顕性遺伝で、ほとんどは赤ちゃんに新しく起こった変化(de novo)によるものです。ご両親に変化がない場合、次のお子さんの確率は低いと考えられますが、精子や卵子のもとになる細胞だけに変化がある性腺モザイクの可能性があるため、0ではありません。お父さんかお母さんがアペール症候群の場合は、妊娠ごとに2分の1の確率で受け継ぎます。
Q5. お母さんがアペール症候群の場合、NIPTで赤ちゃんのことがわかりますか?
お母さん自身が病的バリアントを持っている場合、通常のNIPTでは、見つかった変化がお母さん由来か赤ちゃん由来かを区別できません。時間に余裕があれば、まずお母さん本人の遺伝子検査で変化を特定し、その変化を目印にして絨毛検査か羊水検査で赤ちゃんを調べます。妊娠週数などで余裕がないときは、NIPTで目印にする変化を確かめてから確定検査に進む方法もあります。
Q6. NIPTで陰性なら、アペール症候群の心配はありませんか?
陰性は、調べた範囲では可能性が低いという意味です。対象の遺伝子でもすべての変化を見つけられるとは限らず、まれですが偽陰性の可能性もあります。エコーで気になる所見があるときは、NIPTの結果にかかわらず主治医と確定検査を含めて相談してください。
Q7. NIPTは何週から受けられますか?
当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。受けられる時期の上限は設けていません。結果は基本10〜14日で、インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけ3〜4週間かかります。ダイヤモンドプランは単一遺伝子も10〜14日です。
Q8. NIPTで陽性だったらどうなりますか?
陽性なら、確定検査(絨毛検査・羊水検査)で赤ちゃんに本当に変化があるかを確かめます。当院では確定検査まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料で、確定検査の費用はNIPTを受ける方が全員加入する互助会(カトレア会)が補助します。
📅 妊娠9週から、FGFR2まで調べるNIPTを
当院のNIPTは妊娠9週から(6〜8週は臨床研究として)受けられます。ダイヤモンドプランとインペリアルプランでアペール症候群の原因の変化を調べ、陽性なら確定検査まで院内で受けられます。来院が難しい方はオンラインNIPT(全国110か所の提携施設で採血)もご利用いただけます。
関連記事
参考文献
- [1] Wilkie AO, et al. Apert syndrome results from localized mutations of FGFR2 and is allelic with Crouzon syndrome. Nat Genet. 1995;9(2):165-172. [PubMed 7719344]
- [2] Moloney DM, et al. Nat Genet. 1996;13:48-53. [DOI 10.1038/ng0596-48]
- [3] MedlinePlus Genetics(米国国立医学図書館). Apert syndrome. [MedlinePlus Genetics]
- [4] MedlinePlus Genetics(米国国立医学図書館). Pfeiffer syndrome. [MedlinePlus Genetics]
- [5] Casteleyn T, et al. Differential diagnosis of syndromic craniosynostosis: a case series. Arch Gynecol Obstet. 2022;306:49-57. [DOI 10.1007/s00404-021-06263-9]
- [6] From FGFR2 mutations to precision management: a review of prenatal diagnosis and multidisciplinary interventions in apert syndrome. Front Pediatr. 2025;13. [DOI 10.3389/fped.2025.1658654]
- [7] Chen S, et al. Expanded noninvasive prenatal screening for dominant single-gene disorders: proof-of-concept, performance, and challenges. Am J Obstet Gynecol. 2025;233(6):673.e1-673.e21. [PubMed 40550458]
- [8] Zhang J, et al. Prospective prenatal cell-free DNA screening for genetic conditions of heterogenous etiologies. Nat Med. 2024;30(2):470-479. [DOI 10.1038/s41591-023-02774-x]
- [9] Mohan P, et al. Ultrasound Obstet Gynecol. 2022;59(1):33-39. [DOI 10.1002/uog.23756]
- [10] Zhang J, et al. Non-invasive prenatal sequencing for multiple Mendelian monogenic disorders using circulating cell-free fetal DNA. Nat Med. 2019;25(3):439-447. [DOI 10.1038/s41591-018-0334-x]
- [11] Parker SE, et al. Birth Defects Res A Clin Mol Teratol. 2010;88(12):1008-1016. [PubMed 20878909]
- [12] Kong A, et al. Rate of de novo mutations and the importance of father’s age to disease risk. Nature. 2012;488(7412):471-475.
- [13] 日本医師会「医の倫理の基礎知識 2018年版【生殖医療】D-5」 [日本医師会]
- [14] Fitzgerald J, Gallagher L. Parental stress and adjustment in the context of rare genetic syndromes: A scoping review. J Intellect Disabil. 2022;26(2). [DOI 10.1177/1744629521995378]
- [15] Arron K, Oliver C, Moss J, Berg K, Burbidge C. The prevalence and phenomenology of self-injurious and aggressive behaviour in genetic syndromes. J Intellect Disabil Res. 2011;55(2):109-120. [DOI 10.1111/j.1365-2788.2010.01337.x]
※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・検査の選択を示すものではありません。検査については臨床遺伝専門医にご相談ください。






