目次
- 1 フェラン・マクダーミド症候群はNIPTでわかる? ― 原因の一部だけわかります
- 2 フェラン・マクダーミド症候群とは? ― どんな特徴がある病気か
- 3 原因は欠失とSHANK3の変化 ― 欠失の大きさでNIPTの結果が変わる
- 4 妊娠中のエコーでわかる? いつわかる?
- 5 親から遺伝する? 次の子の確率は?
- 6 自閉症・発達障害の原因の一部はNIPTでわかる ― フェラン・マクダーミド症候群はその一つ
- 7 1つの病気あたりで考える ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ
- 8 NIPTで陽性だったら? ― 確定検査で確かめる流れ
- 9 どのプランを選ぶ? ― 検査前の遺伝カウンセリングで確かめること
- 10 よくある質問(FAQ)
- 11 関連記事
- 12 参考文献
「フェラン・マクダーミド症候群は、妊娠中にNIPTでわかるの?」。自閉症や発達の遅れの原因として名前を目にして、赤ちゃんのことが気になった方もいるかもしれません。先に結論をお伝えすると、NIPTで調べられるのはこの病気の原因の一部だけです。原因がSHANK3(シャンク・スリー)という遺伝子の小さな変化なのか、22番染色体の端の欠失なのか、そして欠失がどのくらいの大きさなのかで、NIPTで見つかるかどうかが変わります。東京・北青山の当院で受けられる検査の範囲は、東京のNIPT(新型出生前診断)のページにまとめています。
⏱️ 30秒でわかる要約
🧬 Q. フェラン・マクダーミド症候群はNIPTでわかる?
原因の一部だけわかります。SHANK3遺伝子の小さな変化はインペリアルプランで調べます(すべての変化を見つけられるとは限りません)。22q13.3の欠失は、当院のNIPTで調べる92種類の微小欠失に入っていないため、欠失が5Mbを超えるときだけ、インペリアルプランと双子マックスプランで見つかる可能性があります。189人の欠失を調べた報告では、欠失の大きさの中央値は約3.3Mbで、半数以上が5Mbより小さい欠失でした。
🧩 Q. NIPTで自閉症や発達障害はわかりますか?
一部はわかります。当院のNIPTは、自閉症・発達障害・知的障害の原因になる遺伝子や染色体の変化の一部を調べられ、フェラン・マクダーミド症候群(SHANK3)もその一つです。陰性でも、自閉症や発達障害がないとは言えません。
🩻 Q. 妊娠中のエコーでわかりますか?
エコーで気づくのは難しい病気です。おなかの中での成長は週数相当とされ、妊娠中のエコーで決まって見える所見は知られていません。
👪 Q. 親から遺伝しますか?
多くは赤ちゃんで新しく起こった変化(de novo)です。一部は、親御さんの均衡型転座(染色体の一部が入れ替わっているが、本人には症状がない状態)から起こります。
🏥 Q. 陽性だったらどうなりますか?
NIPTはスクリーニング検査なので、陽性なら確定検査で確かめます。当院では絨毛検査・羊水検査まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。
\ SHANK3の変化と5Mbを超える欠失まで調べるNIPTを /
インペリアルプランは、最大155遺伝子(202疾患)の単一遺伝子と、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える欠失・重複を調べます。
インペリアルプラン | インペリアルとダイヤモンドの違い
フェラン・マクダーミド症候群はNIPTでわかる? ― 原因の一部だけわかります
フェラン・マクダーミド症候群は、NIPTで「全部わかる」病気ではありません。原因には大きく2つのタイプがあり、当院のNIPTで調べられる範囲がタイプごとに違うためです。1つは22番染色体の長い腕の端(22q13.3)が欠けている「欠失」、もう1つはその場所にあるSHANK3遺伝子の中の小さな変化です[1]。
🧬 原因のタイプ別に見た、当院のNIPTで調べられる範囲
| 原因のタイプ | 当院のNIPTでの扱い | 対象のプラン |
|---|---|---|
| SHANK3遺伝子の小さな変化 | 単一遺伝子の検査として調べる | インペリアル(ダイヤモンドの56遺伝子には入っていません) |
| 22q13.3の欠失(5Mbを超える) | 全染色体の5Mbを超える欠失・重複として、見つかる可能性がある | インペリアル・双子マックス |
| 22q13.3の欠失(5Mb以下) | 92種類の微小欠失に入っていないため、調べる対象に入っていない | ― |
スタンダード・プレミアム・ダイヤモンドプランは、SHANK3も22q13.3の欠失も調べる対象に入っていません。対象の遺伝子・範囲でも、すべての変化を見つけられるとは限りません。
つまり、NIPTでわかる可能性があるのは「SHANK3の小さな変化」と「5Mbを超える大きな欠失」の2つです。あとで説明するとおり、この病気の欠失は5Mbより小さいことが多いので、「インペリアルプランで陰性だった=フェラン・マクダーミド症候群ではない」とは言えません。
💡 用語解説:SHANK3遺伝子とMb(メガベース)
SHANK3(シャンク・スリー)は、神経と神経のつなぎ目(シナプス)を支えるたんぱく質の設計図になる遺伝子で、22番染色体の端(22q13.33)にあります。Mb(メガベース)はDNAの長さの単位で、1Mbは塩基100万個分です。5Mbは塩基500万個分の長さにあたります。遺伝子のはたらきはSHANK3遺伝子とはで解説しています。
フェラン・マクダーミド症候群とは? ― どんな特徴がある病気か
フェラン・マクダーミド症候群(22q13.3欠失症候群。フェラン・マクダーミッド症候群とも表記されます)とは、22q13.3の欠失やSHANK3遺伝子の変化によって起こる、発達にかかわる病気です。生まれたばかりのころの筋肉の張りの弱さ、言葉の遅れ、発達の遅れが主な特徴で、知的障害を伴うことが多いとされています[1]。身長や頭の大きさは多くの場合ふつうの範囲です[1]。
📋 主な特徴とみられる割合(GeneReviews)
| 特徴 | 割合 |
|---|---|
| 言葉がない、またはとても遅い | 87% |
| 新生児期の筋肉の張りの弱さ(筋緊張低下) | 75% |
| 自閉スペクトラム症、または自閉的な特徴 | 60% |
出典:GeneReviews[1]。報告された方をまとめた数字で、一人ひとりの症状の出方や程度は大きく異なります。
症状・診断・治療・その後の経過など、病気そのものの詳しい説明はフェラン・マクダーミド症候群(22q13.3欠失症候群)とはにまとめています。このページでは、妊娠中にわかるかどうかに絞って説明します。
原因は欠失とSHANK3の変化 ― 欠失の大きさでNIPTの結果が変わる
原因の内訳は、欠失が約9割、SHANK3の小さな変化が約1割強です。患者さんの登録データ(537人)では、86.4%が22q13.3の欠失、13.6%がSHANK3の病的な変化でした[1]。欠失には、染色体の端が欠けるだけのものと、染色体の入れ替わり(転座)や環状染色体など、染色体の形の変化に伴うものがあります[1]。
欠失の大きさは50kb未満から9Mb超まで
欠失の大きさは人によって大きく違い、50kb未満から9Mbを超えるものまで報告されています[1]。スペインの研究グループが欠失のある189人を調べた報告では、欠失は12kbから10.30Mbまでで、平均3.52Mb・中央値3.29Mbでした。0.5Mbより小さい欠失も64人(約3分の1)にみられました[2]。米国などの研究グループの報告でも、欠失は17kbから8.81Mbまで、平均2.28Mbでした[3]。
この研究で中央値が約3.3Mbだったことから、調べられた欠失の半数以上は、5Mbより小さい欠失だったことになります。研究ごとに数字は異なり、すべての方にそのまま当てはまるわけではありませんが、もう1つの報告でも平均は2.28Mbでした。当院のインペリアルプラン・双子マックスプランで見つかる可能性があるのは5Mbを超える欠失なので、欠失が原因のフェラン・マクダーミド症候群の多くは、NIPTでは見つからないと考えて検査を選ぶ必要があります。欠失が大きいほど、22q13の中のほかの遺伝子も一緒に欠けることになります。染色体の場所としての解説は22q13.33微小欠失症候群をご覧ください。
💡 用語解説:微小欠失と「5Mbを超える欠失」
微小欠失とは、顕微鏡で染色体を見てもわからないほど小さな、染色体の一部の欠けのことです。当院のNIPTでは、名前の決まった微小欠失・重複(インペリアル・双子マックスは92種類)を調べるのに加えて、インペリアル・双子マックスでは全部の染色体を対象に5Mbを超える欠失・重複を調べます。22q13.3の欠失は92種類に入っていないため、5Mbを超えるときだけ見つかる可能性がある、という扱いになります。微小欠失の全体像は微小欠失症候群で解説しています。
妊娠中のエコーでわかる? いつわかる?
フェラン・マクダーミド症候群は、妊娠中のエコーで気づくのが難しい病気です。GeneReviewsでは、おなかの中での赤ちゃんの成長は週数相当とされ、妊娠中のエコーで決まって見える所見は挙げられていません[1]。主な特徴が言葉や発達の遅れなので、生まれる前の体のつくりの検査では見えにくいのです。
そのため、妊娠中にこの病気の可能性を知る方法は、NIPT(インペリアルプラン・双子マックスプラン)で原因の一部を調べるか、絨毛検査・羊水検査で赤ちゃんの細胞を直接調べるかのどちらかになります。なお、エコーで赤ちゃんの形の異常がすでに見つかっている場面では、NIPTではなく確定検査(絨毛検査・羊水検査)で調べるのが基本です。NIPTは「まだエコーで何も言われていないけれど心配」という方のための検査と位置づけています。
いつわかる? ― NIPTは妊娠9週から、単一遺伝子の結果は3〜4週間
当院のNIPTは妊娠9週から受けられます。さらに、できるだけ早い時期に結果を知りたい方のために、妊娠6〜8週から臨床研究として受けられる体制を整えています。結果は基本10〜14日ですが、インペリアルプランの単一遺伝子(SHANK3を含む)の結果だけは3〜4週間かかります。受けられる時期はNIPTはいつからいつまで受けられる?で詳しく説明しています。
親から遺伝する? 次の子の確率は?
フェラン・マクダーミド症候群の多くは、親から受け継いだものではなく、赤ちゃんで新しく起こった変化(de novo)です[1]。SHANK3の小さな変化のある方を調べた報告では、ご両親のDNAを調べられた26人全員で、変化は新しく起こったものでした[3]。家族にこの病気の方がいなくても起こる、ということです。
一部は親御さんの「均衡型転座」から起こる
一方、欠失のうち約17%は、染色体の入れ替わり(不均衡転座)など染色体の形の変化に伴うもので、その約半数では、親御さんのどちらかが均衡型転座を持っていると報告されています[1]。均衡型転座のある親御さん本人には症状がないため、上のお子さんの診断をきっかけに初めてわかることがあります。上のお子さんの欠失が転座に伴うものだった場合は、ご両親の染色体を調べることが、次の妊娠の確率を考える手がかりになります。
💡 用語解説:均衡型転座と不均衡転座
転座とは、2本の染色体の一部が入れ替わっている状態です。遺伝情報の過不足がない「均衡型」なら、本人には通常症状はありません。けれども、その方の卵子や精子では、遺伝情報が足りなかったり多すぎたりする「不均衡型」になることがあり、22q13.3の欠失がお子さんに起こる原因になります。
次のお子さんの確率
上のお子さんの変化が新しく起こったもの(de novo)なら、次のお子さんで同じことが起こる確率は低いと考えられます。ただし、親御さんの卵子や精子の一部だけに変化がある「性腺モザイク」の可能性があるため、確率はゼロではありません。親御さんがモザイクの場合、確率は上がりますが、どのくらいかを数字で示すことはできないとされています[1]。親御さんが22q13.3の欠失を(モザイクでなく)持っている場合は、お子さん1人あたり2分の1です[1]。ご家族で原因の変化がわかっていれば、次の妊娠では、その変化を目印にして絨毛検査・羊水検査で赤ちゃんを調べることができます[1]。
お母さんご自身が単一遺伝子の病気の当事者で、病的な変化を持っている場合、一般的なNIPTでは、見つかった変化がお母さん由来か赤ちゃん由来かを区別できません。その場合は、お母さんの変化を目印にして、確定検査(絨毛検査・羊水検査)で赤ちゃんを調べる流れになります。親御さんが当事者のときの考え方は、単一遺伝子の病気のあるお母さんのNIPTと確定検査と、お父さんが単一遺伝子の病気をお持ちのときのNIPTと確定検査で説明しています。ご家族の状況によって選ぶ検査が変わるため、検査前の遺伝カウンセリングで、ご家族の状況に合わせて検査を選びます。
自閉症・発達障害の原因の一部はNIPTでわかる ― フェラン・マクダーミド症候群はその一つ
「自閉症はNIPTでわかるの?」と心配される方は少なくありません。結論は、自閉症・発達障害・知的障害の原因の一部は、当院のNIPTでわかります。自閉症そのものではなく、その原因になる遺伝子や染色体の変化の一部を調べられるからです。フェラン・マクダーミド症候群は、自閉スペクトラム症や自閉的な特徴が約6割にみられる病気で[1]、その原因の一部(SHANK3の変化・5Mbを超える欠失)がNIPTの対象に入っています。
🧩 プラン別:自閉症・発達障害・知的障害を伴うことがある主な病気
| プラン | 微小欠失・重複 | 単一遺伝子 | 主な病気の例 |
|---|---|---|---|
| スタンダード | 6種類7疾患 | ― | 22q11.2欠失症候群、プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群 |
| プレミアム | 12種類13疾患 | ― | スタンダードと同じ病気など |
| ダイヤモンド | 12種類13疾患 | 56遺伝子 | 上の病気に加えて、レット症候群、コルネリア・デ・ランゲ症候群、CHARGE症候群 |
| 双子マックス | 92種類+5Mbを超える欠失・重複 | ― | 22q11.2欠失症候群などに加えて、16p11.2欠失・重複。フェラン・マクダーミド症候群は5Mbを超える欠失のときだけ |
| インペリアル | 92種類+5Mbを超える欠失・重複 | 最大155遺伝子(202疾患) | 上の病気に加えて、フェラン・マクダーミド症候群(SHANK3)、ピット・ホプキンス症候群 |
料金はNIPTの費用・料金のページでご確認ください。どのプランでも、対象の病気のすべての変化を見つけられるとは限りません。
正直にお伝えしておきたい限界もあります。NIPTが陰性でも、自閉症・発達障害・知的障害がないとは言えません。原因はさまざまで、NIPTで調べられるのはその一部です。脆弱X症候群のようにNIPTでは調べられない原因もあり、症状の程度もNIPTではわかりません。陽性のときは、必ず確定検査で確かめます。
赤ちゃんで新しく起こる遺伝子の変化(de novo変異)は、お父さんの年齢とともに増えることが知られています。お父さんの年齢との関係は単一遺伝子疾患とNIPT|父親の年齢リスクで、自閉症とNIPTの全体像は一部の自閉症・発達障害の原因はNIPTでわかるで解説しています。
\ 自閉症・発達障害の原因の一部まで調べられるNIPTを /
90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どのプランが合うかを一緒に考えます。
まだ決めていない方は:155遺伝子de novo変異NIPT(インペリアルの遺伝子一覧)
1つの病気あたりで考える ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ
「ダウン症候群だけが心配」という方は少なくありません。けれども、出生前検査で調べる病気は、どれも赤ちゃんとご家族の暮らしに大きくかかわるものです。そして、ご家族の子育ての負担を最も大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった「行動の問題」だと分かっています[4]。こうした行動の問題を伴いやすい病気には、ダウン症候群ではなく、微小欠失症候群や単一遺伝子疾患が多く含まれます[4][5]。三大トリソミーだけを調べる検査では、これらの病気は調べられません。
出生前検査は、その後の人生を左右するかもしれない検査です。『安さ』だけで選んで大丈夫でしょうか。
三大トリソミーだけを調べる検査を仮に10万円とすると、1つの病気あたりは約3万3千円です。
当院のインペリアルプランは、全常染色体と性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、202の単一遺伝子疾患を調べます。性染色体の数の異常も含めて、数えられる病気だけで320になり、1つの病気あたりは約1,719円です。さらに、5Mbを超える欠失・重複はすべての染色体が対象なので、数えきれないほどの変化を調べていることになります。数えられる分だけでも、これだけの範囲を調べられます。
| プラン | 主に調べる範囲 | 数えた病気の数 | 1つの病気あたり |
|---|---|---|---|
| 三大トリソミーだけを調べる検査 (仮に10万円とした場合) |
13・18・21トリソミー | 3 | 約33,333円 |
| スタンダード(220,000円) | 13・18・21トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失6種類7疾患 | 14 | 約15,714円 |
| プレミアム(264,000円) | 13・18・21・15・16・22トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失12種類13疾患 | 23 | 約11,478円 |
| ダイヤモンド(407,000円) | プレミアムの範囲+単一遺伝子56 | 79 | 約5,152円 |
| 双子マックス(440,000円) | 全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常 | 114+α | 約3,860円 |
| インペリアル(550,000円) | 全常染色体の数の異常、性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常、単一遺伝子202疾患 | 320+α | 約1,719円 |
※価格は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の税込価格です。最新の料金は料金ページをご確認ください。※病気の数は、数の異常・微小欠失・重複・単一遺伝子疾患を1つずつ数えたものです。性染色体の数の異常は4種類(ターナー症候群・クラインフェルター症候群・トリプルX症候群・XYY症候群)として数えています(性染色体を調べるのはスタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・インペリアル。双子マックスは調べません)。5Mbを超える構造異常は数に入れていないため、双子マックスとインペリアルは実際にはさらに多くの変化を調べています。※『三大トリソミーだけを調べる検査』は計算のための仮の例で、特定の施設の価格ではありません。
ただし、病気の数が多いほど良い検査、というわけではありません。調べる範囲が広がると、陽性になる可能性も、確定検査が必要になる場面も増えます。フェラン・マクダーミド症候群のように、プランによって調べられる原因の範囲が変わる病気もあるため、どこまで調べるかは検査前の遺伝カウンセリングで選びます。
NIPTで陽性だったら? ― 確定検査で確かめる流れ
NIPTで陽性(高リスク)だったときは、確定検査で赤ちゃん本人の状態を確かめてから考えます。NIPTは確定検査ではなく、スクリーニング検査だからです。インペリアルプランの検証データ(リスクの高い妊娠750例・155遺伝子202疾患)では、de novo変異を調べるNIPTの陽性的中率は96.9%、感度100%、特異度99.9%と報告されています[6]。高い数字ですが、陽性の中には外れの陽性もあり得るため、確定検査は欠かせません。精度の考え方はNIPTの精度(陽性的中率)で解説しています。
🏥 陽性になった原因ごとの確定検査
| NIPTの結果 | 確定検査で調べること | 結果までの目安 |
|---|---|---|
| SHANK3の変化で陽性 | NIPTで見つかった変化を目印にした、赤ちゃんの遺伝子の解析 | 3日以内(主要な検査項目) |
| 22番染色体の5Mbを超える欠失で陽性 | マイクロアレイ検査で、欠失の有無と大きさを確かめる | 2週間ほど |
当院の絨毛検査は妊娠11〜13週、羊水検査は妊娠15週から受けられます。羊水でマイクロアレイ検査をする場合は、妊娠18週ごろが適していると院長は考えています。
当院では、臨床遺伝専門医が常駐し、陽性なら確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられます。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。確定検査は基本的に日曜日(月曜日が祝日のときは月曜日)に行っています。陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料です。絨毛検査と羊水検査の違いは絨毛検査と羊水検査の違いで、陽性のあとの全体の流れはNIPTで陽性だったらで説明しています。
NIPTを受ける方は全員、2つの互助会に加入します。羊水検査互助会(カトレア会)は陽性のときの確定検査の費用を補助し、補助の上限はありません。安心検査結果保障制度は、再検査が必要になったのに流産して再検査ができず、結果が出なかったときに備える互助会です。
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どのプランを選ぶ? ― 検査前の遺伝カウンセリングで確かめること
フェラン・マクダーミド症候群を含めて調べたい場合、SHANK3の変化と5Mbを超える欠失の両方が対象になるのはインペリアルプランです。双子マックスプランは5Mbを超える欠失は対象ですが、SHANK3の変化は調べません。ダイヤモンドプランは、ほかの単一遺伝子(56遺伝子)を調べますが、SHANK3は対象に入っていません。2つのプランの違いはインペリアルプランとダイヤモンドプランの違いで比べられます。
単一遺伝子を調べる意味は、頻度からも考えられます。こうした単一遺伝子疾患は1つひとつはまれですが、わずか30遺伝子・25疾患を合わせただけでも、約600人に1人(0.17%)の頻度になると報告されています[7][8]。これは30の遺伝子に絞って調べた研究での数字なので、実際にはこれより多いと考えています。ダウン症候群の出生頻度(米国の全国推計〔2004〜2006年の出生〕で約700人に1人)より多い頻度です[9]。
ただし、調べる範囲が広がるほど、陽性になる可能性や確定検査が必要になる場面も増えます。どこまで調べるか、結果をどう生かすかは、ご家族によって違います。検査前の遺伝カウンセリングでは、調べられる範囲と限界、結果が出るまでの日数、陽性だったときの流れを確かめたうえでプランを選びます。NIPTの遺伝カウンセリング(臨床遺伝専門医)の役割も参考にしてください。
NIPTの料金には、臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリング、NIPTでの性別判定、来院の場合の4Dエコーが含まれます。当院の遺伝子検査・NIPT・遺伝カウンセリングは自費診療です。来院が難しい方は、Zoomでのカウンセリングと全国110か所の提携施設での採血を組み合わせたオンラインNIPT(全国対応)もご利用いただけます。オンラインの遺伝カウンセリングの料金は事前のお支払いです。
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よくある質問(FAQ)
Q1. フェラン・マクダーミド症候群はNIPTでわかりますか?
原因の一部だけわかります。SHANK3遺伝子の小さな変化はインペリアルプランで調べます(すべての変化を見つけられるとは限りません)。22q13.3の欠失は92種類の微小欠失に入っていないため、欠失が5Mbを超えるときだけ、インペリアルプランと双子マックスプランで見つかる可能性があります。189人の欠失を調べた報告では、欠失の大きさの中央値は約3.3Mbで、半数以上が5Mbより小さい欠失でした。
Q2. 妊娠中のエコーでフェラン・マクダーミド症候群はわかりますか?
エコーで気づくのは難しい病気です。おなかの中での赤ちゃんの成長は週数相当とされ、妊娠中のエコーで決まって見える所見は知られていません。主な特徴は言葉や発達の遅れで、生まれる前の体のつくりの検査では見えにくいためです。
Q3. ダイヤモンドプランでは調べられますか?
ダイヤモンドプランの56遺伝子にSHANK3は入っておらず、22q13.3の欠失も対象ではないため、調べられません。SHANK3の変化と5Mbを超える欠失の両方が対象になるのはインペリアルプランです。
Q4. NIPTが陰性なら、自閉症や発達障害の心配はありませんか?
陰性でも、自閉症・発達障害・知的障害がないとは言えません。NIPTで調べられるのは原因の一部だけで、フェラン・マクダーミド症候群でも5Mbより小さい欠失は調べる対象に入っていません。陰性は「調べた範囲では可能性が低い」という意味です。
Q5. フェラン・マクダーミド症候群は遺伝しますか?次の子の確率は?
多くは赤ちゃんで新しく起こった変化(de novo)で、次のお子さんの確率は低いと考えられますが、性腺モザイクの可能性があるためゼロではありません。欠失の一部は親御さんの均衡型転座から起こるため、上のお子さんの欠失が転座に伴うものだった場合は、ご両親の染色体を調べることが次の妊娠の確率を考える手がかりになります。
Q6. NIPTで陽性だったらどうなりますか?
NIPTはスクリーニング検査なので、陽性なら絨毛検査か羊水検査で確かめます。SHANK3の変化なら見つかった変化を目印にした遺伝子の解析を、大きな欠失ならマイクロアレイ検査を行います。当院では確定検査まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料です。
Q7. 何週から受けられて、結果はいつわかりますか?
当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。結果は基本10〜14日ですが、インペリアルプランの単一遺伝子(SHANK3を含む)の結果だけは3〜4週間かかります。
Q8. 費用はいくらですか?
プランごとの料金はNIPTの費用・料金のページでご確認ください。料金には臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリング、NIPTでの性別判定、来院の場合の4Dエコーが含まれます。NIPTを受ける方は全員、羊水検査互助会(カトレア会)と安心検査結果保障制度の2つの互助会に加入します。
🏥 フェラン・マクダーミド症候群の原因の一部まで調べるNIPT
インペリアルプランは、SHANK3の変化と5Mbを超える欠失を含め、一部の自閉症・発達障害・知的障害の原因まで調べます。臨床遺伝専門医が常駐し、陽性なら確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられます。
まだ決めていない方は:インペリアルプランの詳細 | 双子マックスプランの詳細
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参考文献
- [1] Phelan-McDermid Syndrome-SHANK3 Related. GeneReviews®(初版2005年5月11日、最終更新2024年6月6日). [NCBI Bookshelf NBK1198]
- [2] Variability in Phelan-McDermid Syndrome in a Cohort of 210 Individuals. Front Genet. 2022;13:652454. [DOI 10.3389/fgene.2022.652454] PMID: 35495150
- [3] Strong evidence for genotype–phenotype correlations in Phelan-McDermid syndrome: results from the developmental synaptopathies consortium. Hum Mol Genet. 2021;31(4):625-637. [DOI 10.1093/hmg/ddab280] PMID: 34559195
- [4] Parental stress and adjustment in the context of rare genetic syndromes: A scoping review. J Intellect Disabil. 2022;26(2):522-544. [DOI 10.1177/1744629521995378] PMID: 33866895
- [5] The prevalence and phenomenology of self-injurious and aggressive behaviour in genetic syndromes. J Intellect Disabil Res. 2011;55(2):109-120. [DOI 10.1111/j.1365-2788.2010.01337.x]
- [6] Expanded Non-Invasive Prenatal Screening for Dominant Single-Gene Disorders: Proof-of-concept, Performance, and Challenges. Am J Obstet Gynecol. 2025;233(6):673.e1-673.e21. [doi:10.1016/j.ajog.2025.06.043](PMID 40550458)
- [7] Mohan P, et al. Ultrasound Obstet Gynecol. 2022;59(1):33-39. [doi:10.1002/uog.23756]
- [8] Zhang J, et al. Nat Med. 2019;25(3):439-447. [doi:10.1038/s41591-018-0334-x]
- [9] Parker SE, Mai CT, Canfield MA, et al. Birth Defects Res A Clin Mol Teratol. 2010;88(12):1008-1016. [PMID 20878909]
※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・検査の選択を示すものではありません。検査については臨床遺伝専門医にご相談ください。






