InstagramInstagram

スティックラー症候群はNIPTでわかる?エコーで見える所見と遺伝の確率・調べられる型

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

「赤ちゃんがスティックラー症候群だったらどうしよう」「自分(または夫)がスティックラー症候群で、子どもに遺伝するのが心配」。そうした方にまずお伝えしたいのは、スティックラー症候群の多くを占める1型(COL2A1)と2型(COL11A1)は、当院のNIPTのダイヤモンドプランとインペリアルプランで調べる遺伝子に入っているということです。一方で、すべての型・すべての変化がNIPTでわかるわけではなく、陽性なら確定検査で確かめる必要があります。当院で受けられる検査の範囲と流れは、東京のNIPT(新型出生前診断)のページにまとめています。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. スティックラー症候群はNIPTでわかる?

一部の型は調べられます。スティックラー症候群の約80%はCOL2A1、約20%はCOL11A1という遺伝子の変化で起こり、この2つはダイヤモンドプランとインペリアルプランの両方で調べる遺伝子です。両プランが主に調べるのは赤ちゃんに新しく起こった変化(de novo変異)で、対象の遺伝子でもすべての変化を見つけられるとは限りません。COL11A2やCOL9A1が原因の型は対象外です。

🩻 Q. エコーでいつわかる?

口蓋裂や小さい顎(ピエール・ロバン連鎖)がエコーで見えることがありますが、口蓋裂がなくてもスティックラー症候群は否定できません。目や耳の症状は生まれる前のエコーではわかりません。

👪 Q. 親がスティックラー症候群だと、子どもに遺伝する確率は?

1型・2型など顕性(優性)の型では、妊娠のたびに2分の1です。お母さんが当事者の場合、NIPTでは変化がお母さん由来か赤ちゃん由来かを区別できないため、赤ちゃんは絨毛検査・羊水検査で調べます。

🏥 Q. NIPTで陽性だったら?

NIPTはスクリーニング検査なので、確定検査(絨毛検査・羊水検査)で確かめます。当院では確定検査まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に結果が出ます。

🧩 Q. 自閉症や発達障害の原因もNIPTでわかる?

一部はわかります。ダイヤモンドプラン・インペリアルプランでは、自閉症・発達障害・知的障害を伴うことがある病気の原因(遺伝子や染色体の変化)の一部も調べます。陰性でも、その心配がすべてなくなるわけではありません。

\ COL2A1・COL11A1を調べられるNIPTを検討している方へ /

📅NIPTを予約する

臨床遺伝専門医が常駐し、陽性なら絨毛検査・羊水検査まで院内で受けられます。
ダイヤモンドプラン | インペリアルプラン

スティックラー症候群とは? ― 出生前に関わるところだけ短く

スティックラー症候群とは、コラーゲンをつくる遺伝子の変化で起こり、目・耳・骨と関節・口と顔に症状が出ることがある遺伝性の病気です[1]。目では強い近視や網膜剥離、耳では難聴、骨と関節では若いうちからの関節症、口と顔では口蓋裂や小さい下あごがみられることがあります[1]。症状の出方は人によって大きく違い、同じ病名でも一人ひとり経過が異なります[1]。

頻度ははっきりわかっていません[1](新生児7,500人に1人程度という推定を挙げる報告もあります[3])。症状・診断・治療(網膜剥離を防ぐ治療など)は、病気そのものを扱うスティックラー症候群1型(COL2A1)の解説とスティックラー症候群2型(COL11A1)の解説にまとめています。このページでは、妊娠中にわかるか・どう調べるかに絞って書きます。

📋 スティックラー症候群の型と原因遺伝子(GeneReviewsより)

型 原因遺伝子 遺伝のしかた スティックラー症候群に占める割合
1型 COL2A1 顕性(優性) 約80%
2型 COL11A1 顕性(優性) 約20%
3型 COL11A2 顕性(優性) 1%未満
潜性の型 COL9A1・COL9A2・COL9A3 潜性(劣性) それぞれ1%未満

出典:GeneReviews「Stickler Syndrome」(2023年9月更新)[1]。原因がわからないものが約1%あります。潜性の型の解説はスティックラー症候群6型(COL9A3)をご覧ください。

💡 用語解説:顕性(優性)遺伝と潜性(劣性)遺伝

顕性遺伝は、両親から1本ずつ受け継ぐ遺伝子のうち片方に変化があるだけで症状が出る遺伝のしかたです。潜性遺伝は、両方に変化がそろったときに症状が出るもので、片方だけ持つ人は保因者と呼ばれ、ふつう症状はありません。「優性・劣性」は病気の重さや優劣とは関係がないため、いまは「顕性・潜性」と言い換えられています。

スティックラー症候群はNIPTでわかる? ― 当院で調べられる型・調べられない型

結論からお伝えすると、1型(COL2A1)と2型(COL11A1)は、ダイヤモンドプランとインペリアルプランの両方で調べる遺伝子に入っています。GeneReviewsによれば、この2つでスティックラー症候群の大部分(約80%と約20%)を占めます[1]。ただし、両プランの単一遺伝子の検査は主に赤ちゃんに新しく起こった変化(de novo変異)を調べるもので、遺伝子が含まれていることと、その遺伝子によるスティックラー症候群をすべて見つけられることは同じではありません。一方、3型(COL11A2)と、潜性の型のうちCOL9A1が原因のものは、どちらのプランにも入っていません。

🧬 型ごとに見た、当院のNIPTで調べられるか

型(原因遺伝子) ダイヤモンドプラン インペリアルプラン 補足
1型(COL2A1) 対象 対象 目の症状だけが出る型(眼球限局型)も同じCOL2A1が原因
2型(COL11A1) 対象 対象 ―
3型(COL11A2) 対象外 対象外 どちらの遺伝子リストにも入っていない
潜性の型(COL9A1) 対象外 対象外 どちらの遺伝子リストにも入っていない
潜性の型(COL9A2・COL9A3) 対象外 遺伝子はリストに入っている インペリアルでは、顕性の多発性骨端異形成症の原因遺伝子として入っている。潜性の型は両親から受け継ぐ変化で起こるため、検査前の遺伝カウンセリングでご家族の状況に合わせて検査を選ぶ

※当院の遺伝子リスト(2026年11月時点)にもとづきます。対象の遺伝子でも、すべての変化を見つけられるとは限りません。

NIPTで調べるのは、主に「赤ちゃんに新しく起こった変化」

ダイヤモンドプランとインペリアルプランで調べるのは、主にご両親にはなく、赤ちゃんで新しく起こった遺伝子の変化(de novo変異)です。スティックラー症候群の顕性の型では、多くの方は症状のある親から受け継いでいて、新しく起こった変化による方の割合はわかっていません[1]。ご家族にスティックラー症候群の方がいない妊娠でも、COL2A1やCOL11A1に新しい変化が起こる可能性はあり、NIPTはその一部を拾い上げる検査です。

これまでは、親の変化がわかっていない妊娠で、赤ちゃんの遺伝子を調べることはふつう行われていませんでした[1]。親から受け継いだのではない変化は、家族の話からは予想できないためです。NIPTで対象の遺伝子を調べられるようになったことで、家族歴がなくても、生まれる前に知る機会ができました。

💡 用語解説:de novo(デノボ)変異

de novo変異とは、ご両親の血液の遺伝子にはなく、精子や卵子ができるときや受精後に新しく起こった遺伝子の変化のことです。お父さんの年齢が上がるほど増えることが知られています。くわしくは単一遺伝子疾患とNIPT(父親の年齢とde novo変異)をご覧ください。

検査の精度と、陽性・陰性の意味

インペリアルプランの検証データ(顕性の単一遺伝子の病気を対象にした研究)では、de novo変異のNIPTで陽性的中率96.9%・感度100%・特異度99.9%と報告されています[5]。ダイヤモンドプランの方式では、遺伝的な病気のリスクが高い妊婦さん1,090人を対象にした研究で、感度98.5%・特異度99.3%でした[6]。これらは研究全体の数字で、COL2A1・COL11A1だけの感度・特異度・陽性的中率を示すものではありません。また、どちらもリスクの高い妊婦さんでの数字で、一般の妊婦さんにそのまま当てはまるものではありません。

NIPTはスクリーニング検査なので、陽性なら確定検査で確かめます。陰性は「調べた遺伝子の、調べた範囲では変化が見つからなかった」という意味で、対象外の型や、見つけられない種類の変化については何も言えません。精度の読み方はNIPTの精度(陽性的中率)でも解説しています。

単一遺伝子の病気は、1つひとつはまれでも合わせると少なくない

こうした単一遺伝子の病気は1つひとつはまれですが、わずか30遺伝子・25疾患を合わせただけでも約600人に1人(0.17%)の頻度になると報告されています[7][8]。これは30の遺伝子に絞って調べた研究での数字なので、実際にはこれより多いと考えています。ダウン症候群の出生頻度(米国の全国推計〔2004〜2006年の出生〕で約700人に1人)より多い頻度です[9]。また、超音波検査で赤ちゃんの異常が疑われた妊婦さんを対象にした研究では、染色体の検査に加えて単一遺伝子の病気も調べると、見つかった病気の数が約1.6倍(61件→98件、60.7%増)に増えたと報告されています[6]。

骨や関節の病気全体とNIPTの関係は、骨系統疾患はNIPTで調べられる?にまとめています。同じコラーゲンの遺伝子の病気では、骨形成不全症(COL1A1・COL1A2)とNIPTも参考になります。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「スティックラー症候群がわかるNIPT」と言い切らない理由】

スティックラー症候群のほとんどをCOL2A1とCOL11A1が占めるのなら、「NIPTでわかる」と書いてしまえば簡単です。けれども臨床遺伝専門医として、そう言い切ることはしないと決めています。COL11A2やCOL9A1が原因の型は対象外で、対象の遺伝子でも、検査の方式によって見つけにくい変化があるからです。

大切だと考えているのは、「どの遺伝子を、どこまで調べた結果なのか」を知ったうえで結果を受け取っていただくことです。陽性なら確定検査で確かめる、陰性でも調べていない型については何も言えない。この2つを先にお伝えすることが、検査を選ぶための材料になると考えています。

スティックラー症候群はエコーでいつわかる? ― 見えるのは口と顎の所見だけ

妊娠中のエコーで手がかりになるのは、口蓋裂と小さい下あご(小顎症)です。目の近視や網膜の変化、聞こえの状態は、生まれてからの検査で調べるもので、妊娠中のエコーで確かめるものではありません。

口蓋裂はいつ見える? ― 見えないことも多い

GeneReviewsでは、親の変化がわかっている妊娠では、妊娠19〜20週のエコーで口蓋裂を調べることができるとされています。ただし同時に、口蓋裂が見えなくてもスティックラー症候群は否定できないと書かれています[1]。理由は2つあります。

  • ➤口蓋裂そのものが全員にあるわけではありません。GeneReviewsでは、1型(COL2A1)で30〜60%、2型(COL11A1)で約60%にみられるとされています[1]。
  • ➤唇の裂けめを伴わない口蓋裂だけの場合、エコーで見つけにくいことが知られています。リスクの低い妊婦さんを対象にした研究をまとめた系統的レビューでは、通常の2Dエコーで生まれる前に見つかった割合は、口蓋裂だけの場合0〜22%でした[2]。

口蓋裂が見つかる時期とエコーの限界は、口蓋裂はいつわかる?妊娠週数別の診断時期とエコー検査の限界でくわしく解説しています。

小さい顎(ピエール・ロバン連鎖)が見つかったとき

ピエール・ロバン連鎖は、小さい下あご(小顎症)と、舌が喉の奥に落ち込むこと(舌根沈下)を中心とする状態で、口蓋裂を伴うことがよくあります[4]。GeneReviewsによると、ピエール・ロバン連鎖のある方の約3分の1は背景に何らかの症候群があり、その中で最も多いのがスティックラー症候群です[1]。ピエール・ロバン連鎖を伴うスティックラー症候群が、妊娠中のエコーで早くから見つかった症例も報告されています[3]。用語の意味はピエール・ロバン・シーケンス(ピエール・ロバン連鎖)とはをご覧ください。

⚠️ エコーで所見を言われた方へ

エコーで小さい顎や口蓋裂などの形の異常がすでに見つかっている場合は、確定検査(羊水検査・絨毛検査)で調べるのが基本です。小さい顎の原因はスティックラー症候群だけではなく、染色体の病気やほかの遺伝子の病気のこともあります。羊水の検査では、染色体の細かい欠失・重複を調べるマイクロアレイ検査や、遺伝子の検査を組み合わせて原因を探します。羊水でマイクロアレイ検査をするなら、妊娠18週くらいが適していると考えています。NIPTは「まだエコーで何も言われていないけれど心配」という方のための検査で、確定検査の代わりにはなりません。

スティックラー症候群になる確率は? ― 親が当事者のときの遺伝と検査の流れ

親のどちらかが顕性の型(1型・2型・3型)のスティックラー症候群の場合、お子さんが変化を受け継ぐ確率は、妊娠のたびに2分の1(50%)です[1]。前のお子さんが受け継いだかどうかは、次の妊娠の確率に影響しません。受け継いだ場合でも、症状の出方は親と同じとは限りません[1]。

👪 遺伝のしかたと、お子さんが病気になる確率

ご家族の状況 お子さんの確率(1回の妊娠ごと)
親のどちらかが顕性の型(1型・2型・3型) 2分の1で変化を受け継ぐ
ご夫婦とも、同じ遺伝子による潜性の型の保因者 4分の1で病気になる・2分の1で保因者・4分の1でどちらの親の変化も受け継がない
親の一方が潜性の型の当事者 お子さんは必ず保因者になる。もう一方の親が同じ遺伝子に変化を持たなければ、ふつう病気にはならない(もう一方の親が同じ遺伝子の保因者なら、2分の1で病気になる)
ご両親とも症状がなく、変化もない 新しく起こった変化(de novo)で起こることがある。次のお子さんの確率は低いが、0ではない

出典:GeneReviews[1]。新しく起こった変化でも、精子や卵子のもとになる細胞にだけ変化がある「性腺モザイク」があると、次のお子さんにも起こりえます。

お母さんがスティックラー症候群のとき

お母さん自身が病的バリアント(病気の原因になる遺伝子の変化)を持っている場合、通常のNIPTでは、見つかった変化がお母さん由来か赤ちゃん由来かを区別できません。お母さんの血液には、お母さん自身のDNAと赤ちゃん側のDNAが混ざっているためです。赤ちゃんが受け継いだかどうかは、その変化を目印にした絨毛検査か羊水検査(確定検査)で調べます。

基本は、できれば妊娠前に、お母さん本人の遺伝子検査で病的バリアントを特定しておくことです。スティックラー症候群は原因の遺伝子が複数あり、同じ遺伝子の中でも変化の場所が人によって違うため、妊娠前にお母さん本人の遺伝子検査で特定しておくことが、より大切です。当院のスティックラー症候群の遺伝子パネル検査では、COL2A1・COL11A1・COL11A2・COL9A1・COL9A2・COL9A3の6つの遺伝子を調べます(スティックラー症候群NGS遺伝子パネル検査)。まだ特定していないまま妊娠し、週数などで時間の余裕がない場合は、NIPTで対象のバリアントの有無をチェックすることがあります。このときのNIPTは、赤ちゃんが受け継いだかを判定するためではなく、確定検査で調べる目印を把握するためのものです。

海外でも、COL2A1の変化がわかっていたスティックラー症候群のお母さんが、妊娠16週の羊水検査でその変化を調べ、赤ちゃんは受け継いでいないとわかった報告があります[4]。くわしい流れは単一遺伝子疾患のあるお母さんのNIPTと確定検査で解説しています。

お父さんがスティックラー症候群のとき

お父さんだけが持つ変化は、お母さんの血液にはもともとありません。そのため、お父さんの変化がNIPTの対象の遺伝子(COL2A1・COL11A1)にあり、NIPTで見つかれば、赤ちゃんが受け継いだ可能性が高いと判断しやすくなります(お母さんがその変化を持っていないことが前提)。それでもNIPTはスクリーニング検査なので、確定は絨毛検査・羊水検査で行います。くわしくはお父さんが単一遺伝子疾患をお持ちのご夫婦のNIPTをご覧ください。

潜性の型が心配なとき ― ご夫婦の保因者検査

潜性の型(COL9A1・COL9A2・COL9A3)は、ご夫婦がともに同じ遺伝子の保因者のときに4分の1の確率で起こります[1]。当院には、NIPTと同じ日に採血できるご夫婦の保因者検査ファミリーセーフティ プラス(女性787遺伝子・男性714遺伝子。単独では受けられず、結果は検体到着後3〜4週間)がありますが、その遺伝子の一覧にCOL9A1・COL9A2・COL9A3は入っていません。ご家族にスティックラー症候群の潜性の型の方がいる場合は、検査前の遺伝カウンセリングで、ご家族の状況に合わせて検査を選びます。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【親の変化がわかっていても、NIPTは基本的に受けたほうがよいと考える理由】

お母さんやお父さんのスティックラー症候群の原因がわかっていて、赤ちゃんは確定検査で調べると決めている方から、「それならNIPTは要らないのでは」と思われることがあります。けれども、ご両親の病気とは別に、ご両親にない変化が赤ちゃんに新しく起こる単一遺伝子の病気もあります。染色体の数の異常や微小欠失もあります。そのため、NIPTは基本的に受けたほうがよいと考えています。

そのうえで、確定検査をいつ受けるか、どこまで調べるかは、ご家族によって違います。妊娠前に原因の変化を特定しておけば、妊娠してからの選択肢が広がります。ご自身に合った選び方を考えるための材料として、検査前の遺伝カウンセリングを使っていただきたいと考えています。

NIPTで陽性だったら? ― 確定検査と結果の生かし方

NIPTで陽性になったら、まず確定検査で本当に赤ちゃんに変化があるかを確かめます。NIPTで見つかった変化を目印にして、絨毛や羊水の細胞の遺伝子を調べます。

① NIPT妊娠9週から
▶
② 結果基本10〜14日
▶
③ 確定検査絨毛11〜13週・羊水15週から
▶
④ 結果の説明主要項目は3日以内

当院のNIPTの結果は基本10〜14日で、インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけ3〜4週間かかります(ダイヤモンドプランは単一遺伝子も10〜14日)。陽性の場合も、確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられます。当院の絨毛検査は妊娠11〜13週、羊水検査は妊娠15週からで、基本的に日曜日(月曜日が祝日のときは月曜日)に行います。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。NIPTで見つかった変化を目印にした遺伝子の解析も、3日以内に結果が出る主要な項目の一つです。陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料で受けられます。

NIPTを受ける方は全員、確定検査の費用を補助する羊水検査互助会(カトレア会)と、安心検査結果保障制度の2つの互助会に加入します。陽性後の支えと費用の補助は、下の関連記事でまとめています。

受ける時期と、結果をどう生かすか

当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。受けられる時期の上限は設けていません。ただし、人工妊娠中絶ができるのは通常妊娠満22週未満です[10]。上限がないことは、どの時期でも結果によって妊娠を続けるかを選べるという意味ではありません。受ける時期と結果の生かし方は、検査前の遺伝カウンセリングで一緒に考えます。

スティックラー症候群とわかった場合、生まれる前に知っていれば、口蓋裂や小さい顎による呼吸や哺乳への備え、生まれてからの目と耳の検査の予定を、出産する施設と早めに相談できます。当院は分娩を行っていないため、妊娠経過と分娩はかかりつけの産婦人科で管理していただきます。

どのプランで調べる? ― ダイヤモンドとインペリアルの違い

スティックラー症候群の1型・2型を調べたいなら、ダイヤモンドプランとインペリアルプランのどちらでもCOL2A1・COL11A1を調べます。スタンダードプラン・プレミアムプラン・双子マックスプランは単一遺伝子を調べません。2つのプランの違いは、調べる遺伝子の数と、結果が出るまでの日数です。

🧬 単一遺伝子を調べる2つのプラン

項目 ダイヤモンドプラン インペリアルプラン
単一遺伝子 56遺伝子(COL2A1・COL11A1を含む) 最大155遺伝子202疾患(COL2A1・COL11A1を含む)
染色体 13・18・21・15・16・22トリソミー、微小欠失12種類13疾患 全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える欠失・重複
方式 COATE法(SNP法とターゲット法の組み合わせ) 低深度全ゲノムシーケンス+ターゲット法
単一遺伝子の結果 10〜14日 3〜4週間
対象 単胎のみ 単胎のみ

料金はNIPTの費用・料金のページでご確認ください。料金には臨床遺伝専門医の遺伝カウンセリング、NIPTでの性別判定、4Dエコー(来院の場合)が含まれます。

ダイヤモンドプランは、米国の3大遺伝子検査会社の一角が提供する新技術「COATE法」(SNP法とターゲット法の組み合わせ)※で検査します。2つのプランの違いはインペリアルプランとダイヤモンドプランの違いでくわしく比べています。

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

自閉症・発達障害の原因の一部も、同じ採血で調べられる

ダイヤモンドプラン・インペリアルプランでは、スティックラー症候群のほかに、自閉症・発達障害・知的障害を伴うことがある病気の原因の一部も調べます。たとえばダイヤモンドプランとインペリアルプランではレット症候群・CHARGE症候群・コルネリア・デ・ランゲ症候群、インペリアルプランではさらにフェラン・マクダーミッド症候群・ピット・ホプキンス症候群なども対象です。ただし、自閉症や発達障害の原因はさまざまで、NIPTが陰性でも、その心配がすべてなくなるわけではありません。くわしくは一部の自閉症・発達障害の原因はNIPTでわかるをご覧ください。

1つの病気あたりで考える ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ

「ダウン症候群だけが心配」という方は少なくありません。けれども、出生前検査で調べる病気は、どれも赤ちゃんとご家族の暮らしに大きくかかわるものです。そして、ご家族の子育ての負担を最も大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった「行動の問題」だと分かっています[11]。こうした行動の問題を伴いやすい病気には、ダウン症候群ではなく、微小欠失症候群や単一遺伝子疾患が多く含まれます[11][12]。三大トリソミーだけを調べる検査では、これらの病気は調べられません。

出生前検査は、その後の人生を左右するかもしれない検査です。『安さ』だけで選んで大丈夫でしょうか。

三大トリソミーだけを調べる検査を仮に10万円とすると、1つの病気あたりは約3万3千円です。

当院のインペリアルプランは、全常染色体と性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、202の単一遺伝子疾患を調べます。性染色体の数の異常も含めて、数えられる病気だけで320になり、1つの病気あたりは約1,719円です。さらに、5Mbを超える欠失・重複はすべての染色体が対象なので、数えきれないほどの変化を調べていることになります。数えられる分だけでも、これだけの範囲を調べられます。

プラン 主に調べる範囲 数えた病気の数 1つの病気あたり
三大トリソミーだけを調べる検査
(仮に10万円とした場合)
13・18・21トリソミー 3 約33,333円
スタンダード(220,000円) 13・18・21トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失6種類7疾患 14 約15,714円
プレミアム(264,000円) 13・18・21・15・16・22トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失12種類13疾患 23 約11,478円
ダイヤモンド(407,000円) プレミアムの範囲+単一遺伝子56 79 約5,152円
双子マックス(440,000円) 全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常 114+α 約3,860円
インペリアル(550,000円) 全常染色体の数の異常、性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常、単一遺伝子202疾患 320+α 約1,719円

※価格は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の税込価格です。最新の料金は料金ページをご確認ください。※病気の数は、数の異常・微小欠失・重複・単一遺伝子疾患を1つずつ数えたものです。性染色体の数の異常は4種類(ターナー症候群・クラインフェルター症候群・トリプルX症候群・XYY症候群)として数えています(性染色体を調べるのはスタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・インペリアル。双子マックスは調べません)。5Mbを超える構造異常は数に入れていないため、双子マックスとインペリアルは実際にはさらに多くの変化を調べています。※『三大トリソミーだけを調べる検査』は計算のための仮の例で、特定の施設の価格ではありません。

ただし、調べる範囲が広がるほど、陽性になる可能性も、確定検査が必要になる場面も増えます。どこまで調べたいかは、ご家族によって違います。90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どのプランが合うかを一緒に考えます。最新の料金はNIPTの費用・料金のページでご確認ください。

🏥 スティックラー症候群の1型・2型を調べられるNIPT

ダイヤモンドプラン・インペリアルプランでは、COL2A1・COL11A1を含む単一遺伝子の変化と、一部の自閉症・発達障害・知的障害の原因まで調べます。臨床遺伝専門医が常駐し、陽性なら絨毛検査・羊水検査まで院内で受けられます。

まだ決めていない方は:ダイヤモンドプランの詳細 | インペリアルプランの詳細

よくある質問(FAQ)

Q1. スティックラー症候群はNIPTでわかりますか?

一部の型はわかります。スティックラー症候群の約80%を占める1型(COL2A1)と約20%を占める2型(COL11A1)の遺伝子は、当院のダイヤモンドプランとインペリアルプランの両方で調べます。3型(COL11A2)と、潜性の型のうちCOL9A1が原因のものは対象外です。両プランが主に調べるのは赤ちゃんに新しく起こった変化で、対象の遺伝子でもすべての変化を見つけられるとは限らず、陽性なら確定検査で確かめます。

Q2. スティックラー症候群はエコーでいつわかりますか?

妊娠中のエコーで手がかりになるのは、口蓋裂と小さい下あごです。親の変化がわかっている妊娠では、妊娠19〜20週のエコーで口蓋裂を調べられるとされていますが、口蓋裂が見えなくてもスティックラー症候群は否定できません。目や耳の症状は、生まれてからの検査で調べます。

Q3. 親がスティックラー症候群のとき、子どもがなる確率は?

1型・2型・3型など顕性(優性)の型では、妊娠のたびに2分の1の確率で変化を受け継ぎます。前のお子さんの結果は、次の妊娠の確率に影響しません。潜性の型では、ご夫婦がともに同じ遺伝子の保因者のときに4分の1の確率で病気になります。

Q4. スティックラー症候群は優性遺伝ですか?

多くは顕性(優性)遺伝です。COL2A1・COL11A1・COL11A2が原因の型は顕性遺伝、COL9A1・COL9A2・COL9A3が原因の型は潜性(劣性)遺伝で、潜性の型はそれぞれ1%未満とまれです。

Q5. 親にスティックラー症候群がなくても、赤ちゃんに起こりますか?

起こることがあります。多くの方は症状のある親から受け継いでいますが、ご両親にない変化が赤ちゃんに新しく起こることもあり、その割合はわかっていません。ダイヤモンドプランとインペリアルプランでは、主にこうした新しく起こった変化を調べます。

Q6. NIPTで陰性なら、スティックラー症候群の心配はありませんか?

心配がまったくなくなるわけではありません。陰性は、調べた遺伝子の調べた範囲で変化が見つからなかったという意味です。対象外の型や、見つけられない種類の変化については何も言えません。エコーで口蓋裂や小さい顎が見つかった場合は、NIPTの結果にかかわらず確定検査を含めて考えます。

Q7. NIPTで陽性だったらどうなりますか?

確定検査(絨毛検査・羊水検査)で、赤ちゃんに本当に変化があるかを確かめます。当院では確定検査まで院内で受けられ、絨毛検査は妊娠11〜13週、羊水検査は妊娠15週からです。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料です。

Q8. NIPTは何週から受けられますか?

当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。結果は基本10〜14日で、インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけ3〜4週間かかります(ダイヤモンドプランは単一遺伝子も10〜14日)。

Q9. 費用はいくらですか?

プランごとの料金はNIPTの費用・料金のページでご確認ください。料金には臨床遺伝専門医の遺伝カウンセリング、NIPTでの性別判定、4Dエコー(来院の場合)が含まれます。NIPTを受ける方は全員、羊水検査互助会(カトレア会)と安心検査結果保障制度の2つの互助会に加入します。

🏥 調べられる範囲を知ったうえで、NIPTを選ぶ

スティックラー症候群の1型・2型(COL2A1・COL11A1)は、ダイヤモンドプランとインペリアルプランで調べます。陽性でも、確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられ、主要項目は3日以内に結果が出ます。来院が難しい方は、オンラインNIPT(Zoomでのカウンセリング+全国110か所の提携施設で採血)もご利用いただけます。

まだ決めていない方は:インペリアルとダイヤモンドの違い | オンラインNIPT(全国対応)

関連記事

参考文献

  • [1] Mortier G. Stickler Syndrome. In: GeneReviews®. Seattle (WA): University of Washington, Seattle; Initial Posting: June 9, 2000; Last Update: September 7, 2023. [NCBI Bookshelf NBK1302]
  • [2] Maarse W, Berge SJ, Pistorius LR, et al. Diagnostic accuracy of transabdominal ultrasound in detecting prenatal cleft lip and palate: a systematic review. Ultrasound Obstet Gynecol. 2010;35:495-502. [PubMed 20235140]
  • [3] Pacella E, Malvasi A, Tinelli A, et al. Stickler syndrome in Pierre-Robin sequence prenatal ultrasonographic diagnosis and postnatal therapy: two cases report. Eur Rev Med Pharmacol Sci. 2010;14(12):1051-1054. [Eur Rev Med Pharmacol Sci]
  • [4] Gomez J, Rice SM, Makhamreh MM, Al-Kouatly HB. Pregnancy management in a patient with Stickler syndrome. Mol Genet Genomic Med. 2020;8(8):e1311. [DOI 10.1002/mgg3.1311]
  • [5] Chen S, Xu W, Zhang L, et al. Expanded noninvasive prenatal screening for dominant single-gene disorders: proof-of-concept, performance, and challenges. Am J Obstet Gynecol. 2025;233(6):673.e1-673.e21. [PubMed 40550458]
  • [6] Zhang J, Wu Y, Chen S, et al. Prospective prenatal cell-free DNA screening for genetic conditions of heterogenous etiologies. Nat Med. 2024;30(2):470-479. [DOI 10.1038/s41591-023-02774-x]
  • [7] Mohan P, et al. Ultrasound Obstet Gynecol. 2022;59(1):33-39. [DOI 10.1002/uog.23756]
  • [8] Zhang J, et al. Non-invasive prenatal sequencing for multiple Mendelian monogenic disorders using circulating cell-free fetal DNA. Nat Med. 2019;25(3):439-447. [DOI 10.1038/s41591-018-0334-x]
  • [9] Parker SE, Mai CT, Canfield MA, et al. Birth Defects Res A Clin Mol Teratol. 2010;88(12):1008-1016. [PubMed 20878909]
  • [10] 日本医師会. 医の倫理の基礎知識 2018年版【生殖医療】D-5. [日本医師会]
  • [11] Fitzgerald J, Gallagher L. Parental stress and adjustment in the context of rare genetic syndromes: A scoping review. J Intellect Disabil. 2022;26(2):522-544. [PubMed 33866895]
  • [12] Arron K, Oliver C, Moss J, Berg K, Burbidge C. The prevalence and phenomenology of self-injurious and aggressive behaviour in genetic syndromes. J Intellect Disabil Res. 2011;55(2):109-120. [DOI 10.1111/j.1365-2788.2010.01337.x]

※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・検査の選択を示すものではありません。検査については臨床遺伝専門医にご相談ください。

プロフィール

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

Google公認:仲田洋美 公式プロフィール

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続け、遺伝医療と出生前診断に携わっています。当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、検査結果の数値そのものだけでなく、「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、日本人として異文化の中で生活した経験があります。価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。この経験は現在の診療においても、「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、36週6日で一人を死産した経験があります。その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、家族の未来に関わる重要な意思決定です。年齢や統計だけで判断するのではなく、医学的根拠と心理的支援の両面から、ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

記事の作り方と生成AIの使い方は、編集方針をご覧ください。

▶ 仲田洋美の詳細プロフィールはこちら

関連記事