目次
- 1 モワット・ウィルソン症候群とは? ― 妊娠中の方に知っておいてほしい要点
- 2 モワット・ウィルソン症候群はNIPTでわかる? ― 当院で調べられるプラン
- 3 モワット・ウィルソン症候群は妊娠中のエコーでわかる?いつわかるのか
- 4 モワット・ウィルソン症候群は遺伝する?原因と次のお子さんの確率
- 5 NIPTで陽性・陰性だったら?確定検査と、陰性でもわからないこと
- 6 自閉症・発達障害・知的障害もNIPTで一部わかる ― 当院で調べられること
- 7 検査は「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ ― 1つの病気あたりで考えると
- 8 NIPTは何週から?予約から結果までの流れ
- 9 よくある質問(FAQ)
- 10 関連記事
- 11 参考文献
📍 クイックナビゲーション
「赤ちゃんがモワット・ウィルソン症候群かどうか、妊娠中にわかるの?」。モワット・ウィルソン症候群は、原因のZEB2(ゼブツー)遺伝子の変化を、NIPTで調べられる病気の一つです。当院の東京のNIPT(新型出生前診断)では、インペリアルプランで調べられます。ただし、原因になる変化のすべてを見つけられるわけではありません。どこまでわかり、どこからわからないのか、妊娠中のエコーで気づかれる所見と時期、次のお子さんの確率まで、臨床遺伝専門医の立場で整理しました。
⏱️ 30秒でわかる要約
🧬 Q. モワット・ウィルソン症候群はNIPTでわかる?
原因のZEB2遺伝子は、当院のインペリアルプランの対象です(ダイヤモンドプランには入っていません)。患者さんの約84%はZEB2の中の小さな変化、約15%は2q22.3という場所の欠失が原因です。対象の遺伝子でも、すべての変化を見つけられるとは限りません。
🩻 Q. 妊娠中のエコーでわかる?いつわかる?
妊娠中に診断されることはまれです。首の後ろのむくみ(NT)、脳梁(のうりょう)の欠損、心臓の病気、男の子の尿道下裂などがエコーで見つかり、調べて初めてわかることがあります。脳梁の手がかりになる透明中隔腔は妊娠17〜20週ごろから描出されます。所見が見つかったら確定検査が基本です。
🧩 Q. NIPTで自閉症や発達障害はわかる?
一部はわかります。モワット・ウィルソン症候群のように知的障害や発達の遅れを伴うことがある病気の原因の一部は、当院のNIPTで調べられます。陰性でも、自閉症や発達障害がないとは言えません。
👨👩👧 Q. 上の子がモワット・ウィルソン症候群。次の子の確率は?
ご両親の検査で同じ変化が認められず、赤ちゃんに新しく起こった変化と考えられる場合、再発確率の目安は約2%です。個々のご家族の確率や上限ではなく、ご両親のモザイクや染色体の組み換わりが確認された場合は、別に評価します。
🏥 Q. NIPTで陽性だったら?
NIPTはスクリーニング検査なので、絨毛検査・羊水検査で確かめます。当院では確定検査まで院内で受けられます。
\ ZEB2遺伝子まで調べるNIPTを選びたい方へ /
インペリアルプランは、最大155遺伝子(202疾患)の単一遺伝子の変化と、92種類の微小欠失・重複を調べます。陽性なら確定検査まで院内で受けられます。
インペリアルプラン | インペリアルとダイヤモンドの違い
モワット・ウィルソン症候群とは? ― 妊娠中の方に知っておいてほしい要点
モワット・ウィルソン症候群(Mowat-Wilson syndrome)とは、2番染色体にあるZEB2遺伝子の働きが片方失われることで起こる、生まれつきの病気です。出生5万〜7万人に1人ほどと推定されています[1]。多くの方に中等度から重度の知的障害があり、特徴的な顔立ち、てんかん、ヒルシュスプルング病(腸の神経が生まれつき一部ない病気)、心臓の病気、脳梁の形の異常などを伴うことがあります[1]。笑顔が多いなどの行動特性も報告されています[1]。ただし、性格や感情は一人ひとり異なります。
📊 モワット・ウィルソン症候群でみられる主な特徴(典型的な方の場合)
| 特徴 | 報告されている割合・内容 |
|---|---|
| 知的障害 | 多くの方が中等度〜重度 |
| てんかん | 79% |
| 心臓の病気 | 58%(とくに肺動脈やその弁の異常) |
| 尿道下裂(男の子) | 60% |
| ヒルシュスプルング病 | 44%(生検で確かめられた方) |
| 脳の形の異常 | 画像検査を受けた方の約半数。最も多いのは脳梁の低形成・欠損 |
出典:GeneReviews「Classic Mowat-Wilson Syndrome」(2026年6月改訂)[1]。症状の出方や程度は一人ひとり違います。
症状・診断・治療やケアについては、モワット・ウィルソン症候群の症状・診断・治療のページで詳しく解説しています。原因の遺伝子についてはZEB2遺伝子のページをご覧ください。このページでは、妊娠中にわかるのか、わかるならいつ・どの検査でという点に絞ってお話しします。
5万〜7万人に1人
推定される出生の頻度[1]
約84%
原因がZEB2遺伝子の中の変化である割合[1]
約2%
de novoと考えられる場合の再発確率の目安(個別の確率・上限ではありません)[1]
モワット・ウィルソン症候群はNIPTでわかる? ― 当院で調べられるプラン
結論から言うと、原因のZEB2遺伝子の変化は、当院のインペリアルプランで調べられます。ダイヤモンドプランの56遺伝子にはZEB2は入っていないため、ダイヤモンドプランでは調べられません。また、ZEB2が対象でも、すべての変化を見つけられるとは限りません。「インペリアルプランならモワット・ウィルソン症候群がすべてわかる」とは言えない理由を、原因の内訳から説明します。
原因の内訳:ZEB2の中の小さな変化が約84%、2q22.3の欠失が約15%
GeneReviewsでは、典型的なモワット・ウィルソン症候群の原因となる変化を、次のように示しています[1]。これらは原因の内訳であり、インペリアルプランのNIPTの検出率を示す数字ではありません。
- ➤ZEB2遺伝子の中の小さな変化(文字の置き換わりや、わずかな欠け・挿入など):約84%
- ➤ZEB2を含む2q22.3という場所の欠失:約15%
- ➤ZEB2を断ち切る染色体の組み換わり:約1%
インペリアルプランの単一遺伝子の検査は、1つ目の「ZEB2の中の変化」を調べるものです。一方、2q22.3の欠失は、インペリアルプラン・双子マックスプランで調べる92種類の微小欠失・重複の一覧には入っていません。両プランでは5Mb(500万塩基)を超える大きな欠失・重複を全染色体で調べていますが、モワット・ウィルソン症候群の欠失は大きさも切れ目も人によって大きく違うため[1]、欠失による例がすべて見つかるわけではありません。
💡 用語解説:微小欠失と5Mb
微小欠失(びしょうけっしつ)は、染色体のごく一部が欠けている状態です。顕微鏡で見る従来の染色体検査ではわからない大きさのものが多く、NIPTでは決まった場所(当院のインペリアルプランでは92種類)を狙って調べます。5Mb(メガベース)は500万塩基の長さで、これを超える大きな欠失・重複は、場所を決めずに全染色体で調べています。くわしくは微小欠失症候群のページをご覧ください。
なぜ「染色体の数を調べるNIPT」ではわからないのか
ダウン症候群などを調べる一般的なNIPTは、染色体の「数」が多いか少ないかを見ています。モワット・ウィルソン症候群の多くは、ZEB2という1つの遺伝子の中の小さな変化で起こるため、染色体の数を数えるだけの検査では見つけられません。遺伝子そのものを読む検査が必要です。
超音波検査で赤ちゃんの異常が疑われた妊婦さんを対象にした研究では、染色体の検査に加えて単一遺伝子の病気も調べると、見つかった病気の数が約1.6倍(61件→98件、60.7%増)に増えたと報告されています[2]。染色体の数だけではわからない病気が、それだけあるということです。
プランごとのモワット・ウィルソン症候群の扱い
🧬 当院のNIPTプランとモワット・ウィルソン症候群
対象の遺伝子でも、すべての変化を見つけられるとは限りません。インペリアルプランで調べる遺伝子の一覧は155遺伝子de novo変異NIPT、2つのプランの違いはインペリアルプランとダイヤモンドプランの違いでご確認いただけます。
インペリアルプランは、低深度全ゲノムシーケンスとターゲット法を組み合わせて、全常染色体と性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常、最大155遺伝子(202疾患)の単一遺伝子の変化を調べるプランです。単胎の妊娠が対象で、単一遺伝子の結果だけは3〜4週間かかります(ほかの項目は基本10〜14日)。
精度はどのくらい?
インペリアルプランの検証データ(遺伝的な病気のリスクが高い妊婦さん750人、155遺伝子・202疾患)では、赤ちゃんに新しく起こった遺伝子の変化を調べるNIPTの陽性的中率は96.9%、感度100%、特異度99.9%でした[3]。これはリスクの高い妊婦さんでの、対象の遺伝子全体をまとめた数字で、モワット・ウィルソン症候群だけの数字ではありません。陽性なら、必ず確定検査で確かめます。
🩺 院長コラム【「対象」と「全部わかる」は同じではありません】
NIPTのプランを選ぶとき、「この病気は対象ですか?」と確かめる方は多いと思います。けれども、臨床遺伝専門医として大切だと考えているのは、その一歩先の「その病気の原因のうち、どの部分を調べているのか」です。モワット・ウィルソン症候群でいえば、インペリアルプランが調べるのはZEB2遺伝子の中の変化で、2q22.3の欠失は92種類の一覧に入っていません。
原因の内訳を知ったうえで選べば、陽性のときも陰性のときも、結果の意味を取り違えずにすみます。検査前の遺伝カウンセリングでは、ご家族が気にされている病気について、こうした範囲と限界をお伝えしたうえでプランを選んでいただきたいと考えています。
モワット・ウィルソン症候群は妊娠中のエコーでわかる?いつわかるのか
モワット・ウィルソン症候群は、妊娠中に診断されることがまれな病気です[4]。特徴的な顔立ちや知的障害は、エコーでは見えません。ただ、体のつくりの異常としてエコーで見つかる所見があり、そこから染色体や遺伝子を調べて初めてわかることがあります。
エコーで気づかれることがある所見
胎児で見つかったモワット・ウィルソン症候群の報告をまとめた香港の研究では、首の後ろのむくみ(NT)が厚い、脳梁の欠損、尿道下裂、心臓の病気がある赤ちゃんでは、この病気も考えるべきだとされています[4]。
脳梁は左右の脳をつなぐ神経の束です。経腹エコーでは、脳梁の異常の手がかりになる透明中隔腔(とうめいちゅうかくくう)は、妊娠17〜20週ごろから描出されるとされています[5]。これは脳梁そのものが見える時期を示すものではなく、透明中隔腔が見えないことだけで脳梁欠損とは診断できません。疑われる場合は、専門的な胎児の神経超音波検査などで評価します[5]。また、ヒルシュスプルング病・てんかん・知的障害を、胎児エコーだけで診断・除外することはできません。
💡 用語解説:脳梁欠損(のうりょうけっそん)
脳梁は、左右の大脳をつなぐ太い神経線維の束です。脳梁の一部または全部ができていない状態を脳梁欠損、薄く小さい状態を脳梁低形成といいます。モワット・ウィルソン症候群に限らず、さまざまな原因で起こります。くわしくは脳梁欠損・形成不全の解説をご覧ください。
エコーで所見を言われたら:確定検査が基本
エコーで脳梁や心臓の異常などがすでに見つかっているときは、NIPTではなく、羊水検査・絨毛検査といった確定検査で調べるのが基本です。赤ちゃんの細胞を直接調べられるため、結果がそのまま診断につながります。マイクロアレイ検査は大きな欠失・重複を全ゲノムで見つける検査で[1]、ZEB2の中の小さな変化は、遺伝子を読む検査で調べます。何を調べるかは、所見に合わせて遺伝カウンセリングで決めます。
NIPTが役に立つのは、まだエコーで何も言われていないけれど、赤ちゃんの病気が心配という段階です。モワット・ウィルソン症候群の多くはご家族に同じ病気の方がいない中で起こるため、心配のきっかけがないまま妊娠が進むことが少なくありません。エコーで形の異常がすでに見つかっているときは、NIPTの結果を待って確定検査を遅らせないことが大切です。
妊娠中に調べられる検査と時期
🗓️ 検査と受けられる時期(当院の場合)
| 検査 | 時期 | モワット・ウィルソン症候群でわかること |
|---|---|---|
| NIPT(インペリアルプラン) | 妊娠9週から(6〜8週は臨床研究) | ZEB2の中の変化の可能性(スクリーニング) |
| 絨毛検査 | 妊娠11〜13週 | 赤ちゃん側の細胞で、欠失や遺伝子の変化を確かめる |
| 羊水検査 | 妊娠15週から | 赤ちゃんの細胞で、欠失や遺伝子の変化を確かめる |
| 妊娠中期のエコー(かかりつけの産婦人科) | 脳梁の手がかりになる透明中隔腔は妊娠17〜20週ごろから | 脳梁・心臓などの形の異常(病名まではわからない) |
確定検査は基本的に日曜日(月曜日が祝日のときは月曜日)に行っています。羊水検査でマイクロアレイ検査をする場合は、妊娠18週ごろが適していると考えています。
モワット・ウィルソン症候群は遺伝する?原因と次のお子さんの確率
モワット・ウィルソン症候群は、ZEB2遺伝子の片方に変化があれば起こる「顕性(優性)遺伝」の病気です。けれども、これまで報告された方のほとんどは、ご家族の中でその方だけに起こった、新しい変化によるものです[1]。
ほとんどは赤ちゃんに新しく起こる変化(de novo)
親から受け継いだのではなく、赤ちゃんで新しく起こった遺伝子の変化をde novo(デノボ)変異といいます。ご家族に同じ病気の方がいなくても起こるため、家族歴がないことは「心配ない」理由にはなりません。新しく起こる遺伝子の変化はお父さんの年齢とともに増えることが知られており、その関係は単一遺伝子疾患とNIPT(父親の年齢とde novo変異)で解説しています。
こうした単一遺伝子疾患は1つひとつはまれですが、わずか30遺伝子・25疾患を合わせただけでも、約600人に1人(0.17%)の頻度になると報告されています[6][7]。これは30の遺伝子に絞って調べた研究での数字なので、実際にはこれより多いと考えています。ダウン症候群の出生頻度(米国の全国推計〔2004〜2006年の出生〕で約700人に1人)[8]より多い頻度です。当院のインペリアルプランでは、最大155遺伝子のde novo変異を対象にしています(ダイヤモンドプランは56遺伝子)。
上の子がモワット・ウィルソン症候群のとき
上のお子さんの原因が、ご両親の検査では認められない新しい変化(de novo)と考えられる場合、次のお子さんで再び起こる確率の目安として約2%が示されています[1]。ご両親の血液で変化が見つからなくても、精子や卵子のもとになる細胞にだけ変化がある「性腺モザイク」は否定できず、きょうだいで起こった家族もまれに報告されているため、0ではありません[1]。この数字は個々のご家族の確率や上限を示すものではなく、ご両親のモザイクや、染色体の均衡型の組み換わり(転座など)が確認された場合は、別に評価する必要があります[1]。
上のお子さんで原因の変化がわかっていれば、その変化を目印にして、絨毛検査・羊水検査で赤ちゃんを直接調べられます[1]。NIPTをどう組み合わせるかは、検査前の遺伝カウンセリングで、ご家族の状況に合わせて選びます。上のお子さんの病気とは別に、赤ちゃんに新しく起こる単一遺伝子の病気もあるため、NIPTは基本的に受けたほうがよいと考えています。
ご両親のどちらかがこの病気の当事者のとき
典型的なモワット・ウィルソン症候群の方がお子さんをもうけたという報告は、これまでありません[1]。ご両親のどちらかに単一遺伝子の病気があるときの一般的な考え方は、お母さんの場合は単一遺伝子疾患のあるお母さんへ(NIPTと確定検査)、お父さんの場合はお父さんが単一遺伝子疾患をお持ちのご夫婦へにまとめています。お母さんご自身が病的な変化を持っている場合、通常のNIPTでは、見つかった変化がお母さん由来か赤ちゃん由来かを区別できません。赤ちゃんが受け継いだかどうかは、絨毛検査・羊水検査で調べます。
NIPTで陽性・陰性だったら?確定検査と、陰性でもわからないこと
陽性のとき:確定検査で確かめる
NIPTは、赤ちゃんの病気の可能性を拾い上げるスクリーニング検査です。インペリアルプランでZEB2の変化が見つかったら、NIPTの結果だけで判断せず、絨毛検査か羊水検査で確かめます。見つかった変化を目印にして、赤ちゃんの細胞で同じ変化があるかを調べます。
当院では、陽性の場合も、確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられます。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料で、確定検査の費用は互助会(カトレア会)で補助しています。陽性のあとの流れはNIPTで陽性だったらで詳しく説明しています。
陰性のとき:調べた範囲で変化が見つからなかった、という意味
陰性は「調べた範囲で、変化が見つからなかった」という意味です。2q22.3の欠失には大きさによって解析の対象外になるものがあり、対象でも見つけにくい変化もあるため、陰性でもモワット・ウィルソン症候群を完全には否定できません。まれですが偽陰性の可能性もあります。妊娠の途中でエコーの所見を言われたときは、NIPTの結果にかかわらず、確定検査を含めて考えることが大切です。
自閉症・発達障害・知的障害もNIPTで一部わかる ― 当院で調べられること
お子さんの知的障害や発達の遅れ、自閉症を心配するのは自然なことです。原因はさまざまですが、一部は染色体や遺伝子の変化が原因だとわかっており、その一部は当院のNIPTで調べられます。モワット・ウィルソン症候群は、中等度から重度の知的障害を伴うことが多い病気で[1]、インペリアルプランで調べる「知的障害や発達の遅れを伴うことがある病気」の一つです。
🧩 プランごとに調べられる、知的障害・発達障害・自閉症を伴うことがある主な病気
| プラン | 微小欠失・重複 | 単一遺伝子 | 主な病気の例 |
|---|---|---|---|
| スタンダード | 6種類7疾患 | ― | 22q11.2欠失症候群、アンジェルマン症候群、プラダー・ウィリー症候群 |
| プレミアム | 12種類13疾患 | ― | 上記+ジェイコブセン症候群、9p欠失など |
| ダイヤモンド | 12種類13疾患 | 56遺伝子 | 上記+レット症候群、コルネリア・デ・ランゲ症候群、CHARGE症候群 |
| 双子マックス | 92種類+5Mbを超える構造異常 | ― | ウィリアムズ症候群、16p11.2欠失・重複など |
| インペリアル | 92種類+5Mbを超える構造異常 | 最大155遺伝子(202疾患) | 上記+モワット・ウィルソン症候群、ピット・ホプキンス症候群、フェラン・マクダーミッド症候群、KBG症候群など |
どの病気も、陽性なら確定検査で確かめます。陰性でも、自閉症・発達障害・知的障害がないとは言えません。
知っておいていただきたい限界もあります。NIPTで調べられるのは、自閉症・発達障害・知的障害の原因の一部だけです。脆弱X症候群のようにNIPTでは調べられない原因もあり、症状の重さも予測できません。陰性でも、自閉症や発達障害の心配がなくなるわけではありません。くわしくは一部の自閉症・発達障害の原因はNIPTでわかるをご覧ください。
🏥 ZEB2遺伝子まで調べるNIPTを選ぶ
インペリアルプランでは、モワット・ウィルソン症候群の原因のZEB2遺伝子を含む最大155遺伝子(202疾患)と、92種類の微小欠失・重複を調べます。常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、陽性なら絨毛検査・羊水検査まで院内で受けられます。
まだどのプランにするか決めていない方は:インペリアルプランの詳細 | インペリアルとダイヤモンドの違い
🩺 院長コラム【エコーで何も言われていない時期こそ、選べることがあります】
モワット・ウィルソン症候群は、ご家族に同じ病気の方がいない中で起こることがほとんどです。NTの肥厚などが妊娠初期に見つかることもありますが、エコーで所見が見つからない場合もあり、心配のきっかけがないまま妊娠が進むこともあります。
だからこそ、エコーで何も言われていない早い時期に、どこまで調べておきたいかを考えておく意味があると考えています。調べる範囲を広げれば、陽性になる可能性も、確定検査が必要になる場面も増えます。その両方を知ったうえで、ご自身に合った範囲を選ぶための材料にしていただければと思います。
検査は「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ ― 1つの病気あたりで考えると
「ダウン症候群だけが心配」という方は少なくありません。けれども、出生前検査で調べる病気は、どれも赤ちゃんとご家族の暮らしに大きくかかわるものです。そして、ご家族の子育ての負担を最も大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった「行動の問題」だと分かっています[9]。こうした行動の問題を伴いやすい病気には、ダウン症候群ではなく、微小欠失症候群や単一遺伝子疾患が多く含まれます[9][10]。三大トリソミーだけを調べる検査では、これらの病気は調べられません。
出生前検査は、その後の人生を左右するかもしれない検査です。『安さ』だけで選んで大丈夫でしょうか。
三大トリソミーだけを調べる検査を仮に10万円とすると、1つの病気あたりは約3万3千円です。
当院のインペリアルプランは、全常染色体と性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、202の単一遺伝子疾患を調べます。性染色体の数の異常も含めて、数えられる病気だけで320になり、1つの病気あたりは約1,719円です。さらに、5Mbを超える欠失・重複はすべての染色体が対象なので、数えきれないほどの変化を調べていることになります。数えられる分だけでも、これだけの範囲を調べられます。
| プラン | 主に調べる範囲 | 数えた病気の数 | 1つの病気あたり |
|---|---|---|---|
| 三大トリソミーだけを調べる検査 (仮に10万円とした場合) |
13・18・21トリソミー | 3 | 約33,333円 |
| スタンダード(220,000円) | 13・18・21トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失6種類7疾患 | 14 | 約15,714円 |
| プレミアム(264,000円) | 13・18・21・15・16・22トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失12種類13疾患 | 23 | 約11,478円 |
| ダイヤモンド(407,000円) | プレミアムの範囲+単一遺伝子56 | 79 | 約5,152円 |
| 双子マックス(440,000円) | 全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常 | 114+α | 約3,860円 |
| インペリアル(550,000円) | 全常染色体の数の異常、性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常、単一遺伝子202疾患 | 320+α | 約1,719円 |
※価格は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の税込価格です。最新の料金はNIPTの費用・料金のページをご確認ください。※病気の数は、数の異常・微小欠失・重複・単一遺伝子疾患を1つずつ数えたものです。性染色体の数の異常は4種類(ターナー症候群・クラインフェルター症候群・トリプルX症候群・XYY症候群)として数えています(性染色体を調べるのはスタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・インペリアル。双子マックスは調べません)。5Mbを超える構造異常は数に入れていないため、双子マックスとインペリアルは実際にはさらに多くの変化を調べています。※『三大トリソミーだけを調べる検査』は計算のための仮の例で、特定の施設の価格ではありません。
病気の数が多いほどよい検査、というわけではありません。調べる範囲が広がれば、陽性になる可能性も、確定検査が必要になる場面も増えます。どこまで調べたいかはご家族によって違うため、90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どのプランが合うかを一緒に考えます。料金には、遺伝カウンセリング、NIPTでの性別判定、4Dエコー(来院の場合)が含まれます。
NIPTは何週から?予約から結果までの流れ
当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。週数が早いほど血液中の赤ちゃん由来のDNAが少なく、判定できずに再検査になることがあります。インペリアルプランの単一遺伝子の結果は3〜4週間かかるため、陽性だったときの確定検査の時期も考えて、早めに予定を立てることをおすすめしています。
NIPTを受けられる時期の上限は設けていません。ただし、人工妊娠中絶ができるのは通常妊娠満22週未満です[11]。受ける時期と結果の生かし方は、検査前の遺伝カウンセリングで一緒に考えます。生まれる前に知ることで、出産する施設や、生まれてからの心臓や腸の検査など、赤ちゃんを迎える準備に生かすこともできます。受けられる時期についてはNIPTはいつからいつまで受けられる?、遺伝カウンセリングについては遺伝カウンセリングとはで解説しています。
NIPTを受ける方は全員、2つの互助会に加入します。羊水検査互助会(カトレア会)は陽性のときの確定検査の費用を補助し、安心検査結果保障制度は、再検査が必要になったのに流産して再検査ができず結果が出なかったときに備える制度です。来院が難しい方は、Zoomでのカウンセリングと全国110か所の提携施設での採血を組み合わせたオンラインNIPTもご利用いただけます(オンラインの遺伝カウンセリングの料金は事前のお支払いです)。
よくある質問(FAQ)
Q1. モワット・ウィルソン症候群はNIPTでわかりますか?
原因のZEB2遺伝子の変化は、当院のインペリアルプランで調べられます。患者さんの約84%はZEB2の中の小さな変化、約15%は2q22.3の欠失が原因で、2q22.3の欠失は92種類の微小欠失・重複の一覧には入っていません。対象の遺伝子でも、すべての変化を見つけられるとは限りません。陽性なら確定検査で確かめます。
Q2. ダイヤモンドプランでモワット・ウィルソン症候群は調べられますか?
調べられません。ダイヤモンドプランの56遺伝子にZEB2は入っておらず、2q22.3の欠失も微小欠失12種類13疾患に入っていません。ZEB2遺伝子を調べるのはインペリアルプランです。
Q3. モワット・ウィルソン症候群は妊娠中のエコーでわかりますか?
妊娠中に診断されることはまれです。首の後ろのむくみ(NT)、脳梁の欠損、心臓の病気、男の子の尿道下裂などがエコーで見つかり、調べて初めてわかることがあります。脳梁の手がかりになる透明中隔腔は妊娠17〜20週ごろから描出されます。エコーで所見が見つかったときは、羊水検査・絨毛検査といった確定検査が基本です。
Q4. 上の子がモワット・ウィルソン症候群です。次の子も同じ病気になる確率は?
ご両親の検査で同じ変化が認められず、上のお子さんに新しく起こった変化と考えられる場合、再発確率の目安として約2%が示されています。性腺モザイクは否定できず、0ではありません。この数字は個々のご家族の確率や上限ではなく、親のモザイクや均衡型の組み換わりが確認された場合は、別に評価します。上のお子さんの原因の変化がわかっていれば、それを目印に絨毛検査・羊水検査で赤ちゃんを調べられます。
Q5. NIPTで陰性なら、モワット・ウィルソン症候群の心配はありませんか?
完全には否定できません。陰性は、調べた範囲で変化が見つからなかったという意味です。2q22.3の欠失には大きさによって解析の対象外になるものがあり、対象でも見つけにくい変化もあります。まれですが偽陰性の可能性もあります。エコーで所見を言われたときは、NIPTの結果にかかわらず、確定検査を含めて考えます。
Q6. NIPTで自閉症や発達障害はわかりますか?
一部はわかります。当院のNIPTは、知的障害・発達障害・自閉症の原因になる染色体や遺伝子の変化の一部を調べられ、モワット・ウィルソン症候群もその一つです。ただし調べられるのは原因の一部だけで、陰性でも自閉症や発達障害がないとは言えません。
Q7. NIPTは何週から受けられますか?結果はいつわかりますか?
当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。結果は基本10〜14日ですが、インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけは3〜4週間かかります。陽性の場合は、絨毛検査(妊娠11〜13週)・羊水検査(妊娠15週から)を院内で受けられます。
📅 モワット・ウィルソン症候群の原因まで調べるNIPTを予約する
インペリアルプランは、ZEB2遺伝子を含む最大155遺伝子(202疾患)の単一遺伝子の変化を調べます。陽性でも、確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に結果が出ます。
まだどのプランにするか決めていない方は、調べられる範囲と費用を比べたページからご覧ください:NIPTの費用・料金 | インペリアルプラン
関連記事
参考文献
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- [2] Prospective prenatal cell-free DNA screening for genetic conditions of heterogenous etiologies. Nat Med. 2024;30(2):470-479. [DOI 10.1038/s41591-023-02774-x]
- [3] Expanded noninvasive prenatal screening for dominant single-gene disorders: proof-of-concept, performance, and challenges. Am J Obstet Gynecol. 2025;233(6):673.e1-673.e21. PMID 40550458. [DOI 10.1016/j.ajog.2025.06.043](訂正記事:[DOI 10.1016/j.ajog.2025.11.021])
- [4] Recurrent structural malformations identified among Mowat-Wilson syndrome fetuses. Prenat Diagn. 2014;34(3):296-298. PMID 24375696. [DOI 10.1002/pd.4292]
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※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・検査の選択を示すものではありません。検査については臨床遺伝専門医にご相談ください。






