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アレキサンダー病(アレクサンダー病)はNIPTでわかる?いつわかるか・遺伝の確率・エコーで見えるかを臨床遺伝専門医が解説

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

「アレキサンダー病(アレクサンダー病)は、おなかの赤ちゃんにあるかどうか妊娠中にわかるの?」。ご家族にこの病気の方がいる、あるいは病名を知って心配になった方が、まず知りたいのはこの点だと思います。結論からお伝えすると、アレキサンダー病の多くはご両親から受け継いだものではなく、赤ちゃんで新しく起きた遺伝子の変化で起こり、妊娠中のエコーでは見つかりにくい病気です。家族歴がないご夫婦が妊娠初期に調べる方法として、原因の遺伝子(GFAP)の変化を母体の血液で調べるNIPTがあります。当院ではインペリアルプランでGFAP遺伝子を調べられます。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. アレキサンダー病はNIPTでわかる?

原因のGFAP遺伝子は、当院のインペリアルプランの対象です(ダイヤモンドプランなどほかのプランには入っていません)。赤ちゃんで新しく起きた変化(de novo変異)を、妊娠9週からの採血で調べます。ただし対象の遺伝子でも、すべての変化を見つけられるとは限りません。

🩻 Q. エコーでわかる?いつわかる?

妊娠中のエコーで見つかることはほとんどありません。報告されているのは、妊娠32週ごろに脳室の拡大が見つかった例など、妊娠後期のまれな例だけです。多くは生まれてから、乳幼児期以降に症状で気づかれます。

👪 Q. 遺伝する?次の子の確率は?

遺伝のしかたは常染色体顕性遺伝です。親が当事者なら、お子さん1人ごとに2分の1の確率で受け継ぎます。親にない新しい変化で起きた場合は、次の子の確率は低いものの、性腺モザイクがあるためゼロではありません。

🏥 Q. 陽性だったらどうなる?

NIPTはスクリーニング検査なので、陽性なら絨毛検査か羊水検査で確かめます。当院では確定検査まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に結果が出ます。

🧩 Q. NIPTで自閉症や発達障害はわかる?

一部はわかります。当院のNIPTは、自閉症・発達障害・知的障害の原因になる遺伝子や染色体の変化の一部を調べられます。陰性でも、すべての原因がないとは言えません。

\ GFAP遺伝子を含む155遺伝子202疾患を調べるNIPT /

📅NIPTを予約する

臨床遺伝専門医が常駐し、陽性なら絨毛検査・羊水検査まで院内で受けられます。
インペリアルプランの詳細 | インペリアルとダイヤモンドの違い

アレキサンダー病はNIPTでわかる? ― インペリアルプランで原因のGFAP遺伝子を調べられます

アレキサンダー病は、当院の東京のNIPT(新型出生前診断)では、インペリアルプランで原因のGFAP遺伝子の変化を調べられます。スタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・双子マックスの各プランには、GFAP遺伝子は入っていません。インペリアルプランで調べるのは、主に赤ちゃんで新しく起きた変化(de novo変異)です。対象の遺伝子であってもすべての変化を見つけられるとは限らないことを、先にお伝えしておきます。

アレキサンダー病(アレクサンダー病)とは、脳の中で神経細胞を支える「アストロサイト」という細胞の中に、GFAP(ジーファップ)というたんぱく質が異常にたまり、脳の白質(神経の線維が通る部分)が傷んでいく、進行性の病気です[1]。原因は、17番染色体にあるGFAP遺伝子の変化です。国の指定難病(131)で、日本の患者さんは約50名と推測されています[2]。人口全体での頻度を調べた推計は「約270万人に1人」の1つだけです[1]。

発症する時期で分けた4つの型

アレキサンダー病は発症する年齢によって症状の出方が大きく違い、新生児型・乳児型・若年型・成人型に分けられてきました[1]。最近は、症状や画像の特徴からType I・Type IIの2つに分ける分け方も使われ、おおむね新生児型・乳児型がType I、若年型・成人型がType IIに当たります[1]。年齢だけで機械的に分かれるものではなく、型と型のあいだは連続していると考えられています[1]。

📋 アレキサンダー病の型と、主な症状

型 始まる時期 主な特徴
新生児型(Type I) 生後30日以内 けいれん、頭が大きい(巨脳症)など。進行が速いことがある
乳児型(Type I) 乳児期〜幼児期 発達の遅れ・発達が止まる、けいれん、頭が大きい
若年型(Type II) 小児期〜思春期 嘔吐、体重が増えない、側弯など、両方の型の特徴が混ざることがある
成人型(Type II) 思春期〜成人期 飲み込みにくさ・話しにくさ、歩きにくさなど。進行はゆるやか

出典:GeneReviews[1]。報告された293人の内訳は、乳児型42%・若年型22%・成人型33%・症状のない人3%でした[1]。日本の指定難病では「大脳優位型・延髄脊髄優位型・中間型」の分け方も使われます[2]。

症状・診断・治療・経過のくわしい説明は、アレキサンダー病の疾患ページ(原因・症状・診断・治療)にまとめています。治療については、アンチセンス核酸医薬のジルガネルセン(zilganersen)を、米国食品医薬品局(FDA)が2026年9月に承認しました[5]。日本での承認は、2026年11月時点で確認できていません。

アレキサンダー病は遺伝する? ― ほとんどは親から受け継がない「新しい変化」

アレキサンダー病の遺伝のしかたは常染色体顕性遺伝です。2本あるGFAP遺伝子のうち1本に病気の原因となる変化(病的バリアント)があると発症しうる病気です。ただし、遺伝子検査で確かめられた患者さんの多くは、ご両親にはなく、お子さんで初めて起きた変化(de novo変異)によるものです[1]。日本の難病情報センターも、大脳優位型(主に乳幼児期に発症する型)の大部分と、延髄・脊髄優位型の約半数では、両親に変化がないと説明しています[2]。

つまり、家族にアレキサンダー病の人がいないご夫婦でも、赤ちゃんに起こりうる病気です。家族歴から予測できないことが、出生前の検査を考えるときにいちばん大事な点になります。

新しい変化は、お父さん由来の染色体に多い

新しく起きたGFAP遺伝子の変化がどちらの親の染色体の上にあるかを調べた研究では、28人中24人でお父さん由来の染色体の上にありました[1]。一般に、精子をつくる細胞は生涯にわたって分裂をくり返すため、お父さんの年齢が上がるほど、子どもに新しく起きる遺伝子の変化は増えることが知られています[13]。アレキサンダー病だけについて「父親の年齢で何倍になる」という数字はありませんが、de novo変異の病気をまとめて調べる意味はここにあります。父親の年齢と新しい変化の関係はNIPTと単一遺伝子疾患|父親の年齢リスク(デノボ変異)でくわしく説明しています。

次の子がアレキサンダー病になる確率

👪 ご家族の状況ごとの、お子さんが受け継ぐ確率

ご家族の状況 お子さんの確率
親のどちらかが当事者、または同じ変化を持っている お子さん1人ごとに2分の1(50%)[1]
上の子が新しい変化で発症し、両親の血液に変化がない 一般の人よりわずかに高い(性腺モザイクの可能性があるため)[1]
親の精子・卵子のもとになる細胞だけに変化がある(性腺モザイク) お子さん1人あたり最大で2分の1

親の血液で変化が見つからなくても、精子や卵子のもとになる細胞だけに変化があること(性腺モザイク)があります。症状のない両親から同じ病気のきょうだいが生まれた報告があり、親の白血球のDNAではモザイクをすべては見つけられないとされています[1]。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「うちの家系にはいないから大丈夫」が当てはまらない病気】

出生前の検査を考えるとき、多くの方は「家族にいる病気」を心配します。けれどもアレキサンダー病のように、ほとんどが赤ちゃんで新しく起きる変化で起こる病気では、家族歴は手がかりになりません。むしろ、家族歴がないご夫婦の赤ちゃんに起こることのほうが多い、と考えておくのが医学的に正確です。

一方で、アレキサンダー病そのものはとてもまれな病気です。この病気ひとつだけを心配して検査を選ぶというより、「赤ちゃんで新しく起きる単一遺伝子の病気を、まとめてどこまで調べるか」という視点でプランを考えることが大切だと考えています。調べる範囲が広がるほど、陽性になる可能性や、確定検査が必要になる場面も増えます。その点も含めて、検査前の遺伝カウンセリングで、ご自身に合った選択を考えるための材料をお渡ししたいと考えています。

アレキサンダー病はいつわかる? ― エコー・NIPT・確定検査の時期

アレキサンダー病は、妊娠中のエコー(超音波検査)ではほとんど見つかりません。GeneReviewsの出生前の項目にも、エコーで見える所見の記載はありません[1]。頭が大きい(巨脳症)ことは特徴の一つですが、すべての患者さんにあるわけではなく、ほかの神経の症状が出た時点でも頭の大きさに気づかれないことがあるとされています[1]。

妊娠中に見つかった例として報告されているのは、妊娠後期のごくまれな例です。新生児型の赤ちゃんで、妊娠32週のエコーで脳室の拡大が見つかり、妊娠33週・36週の胎児MRIの所見から診断につながった報告があります[3]。また、妊娠後期の胎児MRIで、脳室のまわりの白質の信号の変化などが手がかりになった胎児期発症の報告もあり、この例では頭は大きいのではなく小頭症でした[4]。どちらも1例ずつの症例報告で、エコーで見つかるのを待っていては、多くの場合は妊娠中にわからないと考えておく必要があります。

🗓️ アレキサンダー病を「知る方法」と時期

方法 時期 わかること・限界
妊娠中のエコー・胎児MRI 妊娠後期(報告は32週以降の例など) 脳室の拡大などが見つかった報告はごくわずか。多くは妊娠中に所見が出ない[3][4]
当院のNIPT(インペリアルプラン) 妊娠9週から(6〜8週は臨床研究)。単一遺伝子の結果は3〜4週間 赤ちゃんで新しく起きたGFAP遺伝子の変化を拾い上げる。スクリーニングなので陽性なら確定検査で確かめる
確定検査(絨毛検査・羊水検査) 絨毛検査は妊娠11〜13週、羊水検査は妊娠15週から(当院) 見つかった変化(または親の変化)を目印にして、赤ちゃんの細胞で直接確かめる
生まれてから 新生児期〜成人期(型による) 症状とMRI、GFAP遺伝子検査で診断する[1]

当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。結果は基本10〜14日ですが、インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけは3〜4週間かかります。たとえば妊娠9週で採血すると、単一遺伝子の結果は妊娠12〜13週ごろになり、陽性だった場合は絨毛検査(11〜13週)か羊水検査(15週から)で確かめる流れになります。

当院では、NIPTを受けられる時期の上限は設けていません。ただし、人工妊娠中絶ができるのは通常妊娠満22週未満と定められています[14]。上限がないことは、結果によって妊娠を続けるかどうかを選べるという意味ではありません。受ける時期と、結果を出産や生まれてからの準備にどう生かすかは、検査前の遺伝カウンセリングで一緒に考えます。

① 遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医がプランの範囲を説明
▶
② 4Dエコー・採血妊娠9週から(6〜8週は臨床研究)
▶
③ 結果インペリアルの単一遺伝子は3〜4週間
▶
④ 陽性なら確定検査絨毛11〜13週・羊水15週から

エコーで脳室の拡大などを言われた場合は、確定検査が基本

すでにエコーで脳室の拡大など形の異常を指摘されている場合は、NIPTではなく、羊水検査や絨毛検査などの確定検査で調べるのが基本です。形の異常の原因は染色体の変化から単一遺伝子の病気まで幅広く、赤ちゃんの細胞で直接調べるほうが確実だからです。NIPTは、まだエコーで何も言われていないけれど心配、という方のための検査と位置づけています。

当院のどのNIPTプランで調べられる? ― GFAP遺伝子はインペリアルプランだけ

当院のNIPTのうち、単一遺伝子の病気を調べるのはダイヤモンドプラン(56遺伝子)とインペリアルプラン(最大155遺伝子202疾患)の2つです。このうちGFAP遺伝子が入っているのはインペリアルプランだけで、ダイヤモンドプランの56遺伝子には入っていません。

🧬 プランごとの、アレキサンダー病(GFAP遺伝子)の扱い

プラン 単一遺伝子 GFAP遺伝子 単一遺伝子の結果
インペリアル 最大155遺伝子(202疾患) ○ 対象 3〜4週間
ダイヤモンド 56遺伝子 × 対象外 10〜14日
スタンダード・プレミアム・双子マックス 調べない × 対象外 ―

インペリアルプランは単胎のみが対象です。155遺伝子の一覧は155遺伝子de novo変異NIPTで確認できます。2つのプランの違いはインペリアルプランとダイヤモンドプランの違いをご覧ください。

こうした単一遺伝子疾患は1つひとつはまれですが、わずか30遺伝子・25疾患を合わせただけでも、約600人に1人(0.17%)の頻度になると報告されています[8][9]。これは30の遺伝子に絞って調べた研究での数字なので、実際にはこれより多いと考えています。ダウン症候群の出生頻度(米国の全国推計〔2004〜2006年の出生〕で約700人に1人)より多い頻度です[10]。当院のインペリアルプランでは、最大155遺伝子のde novo変異を対象にしています(ダイヤモンドプランは56遺伝子)。

インペリアルプランの精度と、知っておきたい限界

インペリアルプラン(155遺伝子202疾患)の検証データでは、リスクの高い妊婦さん750人で、de novo変異NIPTの陽性的中率96.9%・感度100%・特異度99.9%でした[6][7]。これは遺伝的な病気のリスクが高い妊婦さんを対象にした研究の数字で、アレキサンダー病だけの精度を示したものではありません。病気がとてもまれな集団では、陽性的中率はこれより低くなりえます。

⚠️ 陰性のときに知っておきたいこと

NIPTで陰性でも、アレキサンダー病が完全に否定されるわけではありません。対象の遺伝子でも、すべての変化を見つけられるとは限らないためです。また、お母さん自身がGFAP遺伝子の変化を持っている場合は、通常のNIPTでは赤ちゃんの変化かお母さんの変化かを区別できません(くわしくは次の章)。陰性は「調べた範囲で、可能性が低い」という意味で、プランの対象外の病気については何も言えません。

親がアレキサンダー病の当事者のとき ― NIPTでできること・できないこと

成人型(Type II)は大人になってから発症し、進行もゆるやかなため、親が当事者で、妊娠を考えることがある型です。延髄・脊髄優位型の約半数は両親に変化がないとされる一方で、残りは親から受け継いでいることになります[2]。報告された人の中には、変化を持っていても症状のない人もいます[1]。親が当事者なら、お子さんが受け継ぐ確率は1人ごとに2分の1です[1]。

お母さんが当事者のとき

時間的な余裕があれば、まずお母さん本人の遺伝子検査で、原因の変化を特定しておくのが基本です。妊娠週数などで余裕がないときは、NIPTで対象の変化の有無をチェックします。このときのNIPTは、赤ちゃんが受け継いだかを判定するためではなく、確定検査で調べる目印を把握するためのものです。お母さん自身が変化を持っている場合、通常のNIPTでは、見つかった変化がお母さん由来か赤ちゃん由来かを区別できません。そのため、その変化を目印にして、絨毛検査(妊娠11〜13週)か羊水検査(妊娠15週から)で赤ちゃんを調べます。

アレキサンダー病は、原因のGFAP遺伝子の変化が1つに決まっている病気ではなく、患者さんごとにさまざまな変化が報告されています[1]。そのため、NIPTでお母さんの変化を決められるとは限りません。妊娠前にお母さん本人の遺伝子検査で変化を特定しておくことが、より大切になります。なお、お母さんの病気とは別に、赤ちゃんに新しく起こる単一遺伝子の病気もあるので、NIPTは基本的に受けたほうがよいと考えています(赤ちゃんを確かめるのはNIPTではなく、絨毛検査・羊水検査です)。流れは単一遺伝子疾患のあるお母さんへ|NIPTと確定検査でわかることにくわしく書いています。

お父さんが当事者のとき

お父さんの変化はお母さんの血液にはないので、お母さんがその変化を持っていなければ、NIPTで見つかった同じ変化は赤ちゃん側(胎盤)のDNAに由来すると考えやすくなります。お父さんの遺伝子がプランの対象に入っていることが前提で、GFAP遺伝子ならインペリアルプランの対象です。陽性なら確定検査で確かめます。くわしくはお父さんが単一遺伝子疾患をお持ちのご夫婦へ|NIPTと確定検査をご覧ください。どちらの場合も、ご家族の状況に合わせた検査の選び方は、検査前の遺伝カウンセリングで決めていきます。

NIPTで陽性だったら? ― 確定検査で確かめてから考える

NIPTは確定検査ではなく、可能性のある赤ちゃんを拾い上げるためのスクリーニング検査です。陽性でも、確定検査で確かめる前に結論を出さないことが大切です。当院では、陽性の場合も確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられます。NIPTで見つかったGFAP遺伝子の変化を目印にして赤ちゃんの細胞を調べ、主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。確定検査は基本的に日曜日(月曜日が祝日のときは月曜日)に行っています。

陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料です。確定検査の費用は、NIPTを受ける方が全員加入する羊水検査互助会(カトレア会)で補助されます(補助の上限なし)。当院は分娩や人工妊娠中絶は行っていません。妊婦健診や出産については、かかりつけの産婦人科で受けていただくことになります。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【エコーで見えない病気だからこそ、検査の「範囲」と「限界」を知っておく】

アレキサンダー病は、妊娠中のエコーで見つかることがほとんどない病気です。だからこそ、妊娠初期の採血で原因の遺伝子を調べられることには意味があると考えています。一方で、NIPTは万能ではありません。対象の遺伝子でもすべての変化を拾えるわけではなく、お母さんが同じ変化を持っていれば区別もできません。

大切なのは、陽性なら確定検査で確かめること、陰性でも調べていないことについては何も言えないと知っておくことです。生まれる前にわかれば、出産する施設や、生まれてからの検査・治療の準備を考える時間が持てます。結果をどう生かすかはご家族ごとに違うので、遺伝カウンセリングで一緒に考えていきたいと考えています。

発達の遅れが心配な方へ ― 自閉症・発達障害・知的障害の原因の一部もNIPTでわかる

アレキサンダー病の乳児型では、発達の遅れやけいれんで気づかれることが多いとされています[1]。妊娠中に「赤ちゃんの発達」を心配する方は少なくありません。自閉症・発達障害・知的障害の原因はさまざまですが、その一部は染色体の微細な欠失・重複や、単一遺伝子の変化だとわかっています。当院のNIPTは、こうした原因の一部を、プランによって調べられます。

🧩 プラン別:自閉症・発達障害・知的障害を伴うことがある主な病気

プラン 微小欠失・重複 単一遺伝子 伴うことがある主な病気
スタンダード 6種類7疾患 ― 22q11.2欠失症候群、プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群
プレミアム 12種類13疾患 ― 上記+ジェイコブセン症候群、9p欠失症候群など
ダイヤモンド 12種類13疾患 56遺伝子 上記+レット症候群、コルネリア・デ・ランゲ症候群、CHARGE症候群
双子マックス 92種類+5Mbを超える構造異常 ― 16p11.2欠失・重複、ウィリアムズ症候群など
インペリアル 92種類+5Mbを超える構造異常 最大155遺伝子 上記+フェラン・マクダーミッド症候群、ピット・ホプキンス症候群、KBG症候群など

「一部」がわかるという意味で、陰性でも自閉症・発達障害・知的障害がないとは言えません。脆弱X症候群など、NIPTでは調べられない原因もあります。症状の重さはNIPTでは予測できません。

陽性なら確定検査で確かめる必要があり、微小欠失・重複は染色体の数の異常より陽性的中率が低めです。くわしくは自閉症はNIPTでわかりますか?で説明しています。

🏥 GFAP遺伝子まで調べるNIPTを選ぶ

インペリアルプランは、全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、最大155遺伝子202疾患の単一遺伝子の変化を調べます。臨床遺伝専門医が常駐し、陽性なら絨毛検査・羊水検査まで院内で受けられます。

まだプランを決めていない方は:インペリアルプランの詳細 | インペリアルとダイヤモンドの違い

検査は「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ ― 1つの病気あたりで考えると

「ダウン症候群だけが心配」という方は少なくありません。けれども、出生前検査で調べる病気は、どれも赤ちゃんとご家族の暮らしに大きくかかわるものです。そして、ご家族の子育ての負担を最も大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった「行動の問題」だと分かっています[11]。こうした行動の問題を伴いやすい病気には、ダウン症候群ではなく、微小欠失症候群や単一遺伝子疾患が多く含まれます[11][12]。三大トリソミーだけを調べる検査では、これらの病気は調べられません。

出生前検査は、その後の人生を左右するかもしれない検査です。『安さ』だけで選んで大丈夫でしょうか。

三大トリソミーだけを調べる検査を仮に10万円とすると、1つの病気あたりは約3万3千円です。

当院のインペリアルプランは、全常染色体と性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、202の単一遺伝子疾患を調べます。性染色体の数の異常も含めて、数えられる病気だけで320になり、1つの病気あたりは約1,719円です。さらに、5Mbを超える欠失・重複はすべての染色体が対象なので、数えきれないほどの変化を調べていることになります。数えられる分だけでも、これだけの範囲を調べられます。

プラン 主に調べる範囲 数えた病気の数 1つの病気あたり
三大トリソミーだけを調べる検査
(仮に10万円とした場合)
13・18・21トリソミー 3 約33,333円
スタンダード(220,000円) 13・18・21トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失6種類7疾患 14 約15,714円
プレミアム(264,000円) 13・18・21・15・16・22トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失12種類13疾患 23 約11,478円
ダイヤモンド(407,000円) プレミアムの範囲+単一遺伝子56 79 約5,152円
双子マックス(440,000円) 全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常 114+α 約3,860円
インペリアル(550,000円) 全常染色体の数の異常、性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常、単一遺伝子202疾患 320+α 約1,719円

※価格は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の税込価格です。最新の料金は料金ページをご確認ください。※病気の数は、数の異常・微小欠失・重複・単一遺伝子疾患を1つずつ数えたものです。性染色体の数の異常は4種類(ターナー症候群・クラインフェルター症候群・トリプルX症候群・XYY症候群)として数えています(性染色体を調べるのはスタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・インペリアル。双子マックスは調べません)。5Mbを超える構造異常は数に入れていないため、双子マックスとインペリアルは実際にはさらに多くの変化を調べています。※『三大トリソミーだけを調べる検査』は計算のための仮の例で、特定の施設の価格ではありません。

調べる範囲が広がると、陽性になる可能性も、確定検査が必要になる場面も増えます。だからこそ、どこまで調べるかは検査前の遺伝カウンセリングで決めます。NIPTの料金には、臨床遺伝専門医の遺伝カウンセリング、NIPTでの性別判定、4Dエコー(来院の場合)が含まれます。

よくある質問(FAQ)

Q1. アレキサンダー病はNIPTでわかりますか?

原因のGFAP遺伝子は、当院のインペリアルプランの対象です。赤ちゃんで新しく起きた変化(de novo変異)を、妊娠9週からの採血で調べます。ダイヤモンドプランなど、ほかのプランでは調べられません。対象の遺伝子でも、すべての変化を見つけられるとは限りません。

Q2. アレキサンダー病は妊娠中のエコーでわかりますか?

ほとんどわかりません。妊娠32週のエコーで脳室の拡大が見つかった例や、妊娠後期の胎児MRIで手がかりが見つかった例が報告されていますが、どれもまれな症例報告です。多くは生まれてから、症状で気づかれます。

Q3. アレキサンダー病は遺伝しますか?次の子の確率は?

遺伝のしかたは常染色体顕性遺伝で、親が当事者ならお子さん1人ごとに2分の1の確率で受け継ぎます。ただし多くは、両親にない新しい変化で起こります。その場合の次の子の確率は低いものの、性腺モザイクがあるためゼロではありません。

Q4. 親がアレキサンダー病のとき、NIPTで赤ちゃんを調べられますか?

お父さんが当事者なら、お母さんがその変化を持っていなければ、NIPTで見つかった変化は赤ちゃん側のものと考えやすくなります。お母さんが当事者の場合、通常のNIPTではお母さん由来か赤ちゃん由来かを区別できないため、妊娠前にお母さんの変化を特定し、それを目印に絨毛検査か羊水検査で赤ちゃんを調べます。

Q5. NIPTで陰性なら、アレキサンダー病の心配はありませんか?

完全に否定されるわけではありません。対象の遺伝子でもすべての変化を見つけられるとは限らず、偽陰性の可能性があります。アレキサンダー病だけの感度を示したデータはありません。陰性は「調べた範囲で可能性が低い」という意味です。

Q6. NIPTは何週から受けられ、結果はいつわかりますか?

当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。結果は基本10〜14日ですが、インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけは3〜4週間かかります。

Q7. NIPTで陽性だったらどうなりますか?

NIPTはスクリーニング検査なので、絨毛検査(妊娠11〜13週)か羊水検査(妊娠15週から)で確かめます。当院では確定検査まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料です。

Q8. 費用はいくらですか?

プランごとの料金は、NIPTの費用・料金のページでご確認ください。料金には、臨床遺伝専門医の遺伝カウンセリング、NIPTでの性別判定、4Dエコー(来院の場合)が含まれます。NIPTを受ける方は全員、2つの互助会(カトレア会・安心検査結果保障制度)に加入します。

🏥 エコーで見えにくい病気を、妊娠初期の採血で

当院のインペリアルプランは、アレキサンダー病の原因のGFAP遺伝子を含む最大155遺伝子202疾患を調べます。陽性でも、確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に結果が出ます。

まだ決めていない方は:NIPTの費用・料金 | NIPTクリニックの選び方

関連記事

参考文献

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  • [3] Neonatal Alexander Disease: MR Imaging Prenatal Diagnosis. AJNR Am J Neuroradiol. 2008;29(10):1973-1975. [DOI 10.3174/ajnr.A1215]
  • [4] Fetal-onset Alexander disease with radiological-neuropathological correlation. Pediatr Radiol. 2023;53(10):2149-2153. [DOI 10.1007/s00247-023-05710-w]
  • [5] U.S. Food and Drug Administration. FDA Approves First Drug to Treat Alexander Disease. September 3, 2026. [FDA]
  • [6] Chen S, Xu W, Zhang L, et al. Expanded noninvasive prenatal screening for dominant single-gene disorders: proof-of-concept, performance, and challenges. Am J Obstet Gynecol. 2025;233(6):673.e1-673.e21. PMID 40550458. [DOI 10.1016/j.ajog.2025.06.043]
  • [7] 上記[6]の訂正記事(Corrigendum). Am J Obstet Gynecol. [DOI 10.1016/j.ajog.2025.11.021](訂正は95%信頼区間と引用文献のみ)
  • [8] Mohan P, et al. Ultrasound Obstet Gynecol. 2022;59(1):33-39. [DOI 10.1002/uog.23756]
  • [9] Zhang J, et al. Non-invasive prenatal sequencing for multiple Mendelian monogenic disorders using circulating cell-free fetal DNA. Nat Med. 2019;25(3):439-447. [DOI 10.1038/s41591-018-0334-x]
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  • [14] 日本医師会. 医の倫理の基礎知識 2018年版【生殖医療】D-5. [日本医師会]

※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・検査の選択を示すものではありません。検査については臨床遺伝専門医にご相談ください。

プロフィール

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

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ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続け、遺伝医療と出生前診断に携わっています。当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、検査結果の数値そのものだけでなく、「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、日本人として異文化の中で生活した経験があります。価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。この経験は現在の診療においても、「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、36週6日で一人を死産した経験があります。その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、家族の未来に関わる重要な意思決定です。年齢や統計だけで判断するのではなく、医学的根拠と心理的支援の両面から、ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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