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プロジェリア症候群(早老症)はNIPTでわかる?いつわかるか・遺伝する確率と出生前の検査

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

「プロジェリア症候群(早老症)は、おなかの赤ちゃんの段階でわかるの?」「家族に誰もいないのに、起こることはあるの?」。テレビやSNSでこの病気を知り、妊娠中に気になった方もいらっしゃると思います。プロジェリア症候群は、生まれたときはふつうに見えることが多く、妊娠中のエコーでは見つけにくい病気です。一方で、原因の多くは赤ちゃんに新しく起こる遺伝子の変化で、原因のLMNA(エルエムエヌエー)遺伝子は、当院のダイヤモンドプランとインペリアルプランのNIPTの対象に入っています。出生前にどこまでわかるのか、どこからは確定検査が必要なのかを、臨床遺伝専門医の立場から整理しました。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. プロジェリア症候群はNIPTでわかりますか?

一部はわかります。原因のLMNA遺伝子は、当院のダイヤモンドプランとインペリアルプランで調べる遺伝子に入っています。ただし対象の遺伝子でもすべての変化を見つけられるとは限らず、陽性なら絨毛検査・羊水検査で確かめます。

👶 Q. 妊娠中のエコーでわかりますか?いつわかる病気?

生まれたときはふつうに見えることが多く、成長の遅れや髪が抜けるといった変化は生後1年以内に出てくるのが一般的です。そのため、妊娠中のエコーで見つけるのは難しい病気です。

👪 Q. 遺伝しますか?家族にいなくても起こりますか?

約98%は、ご両親から受け継いだものではなく、赤ちゃんで新しく起こった変化(de novo変異)です。家族に誰もいなくても起こります。上のお子さんがこの病気だった場合の次のお子さんの確率は、低いものの0ではありません。

🧩 Q. NIPTで自閉症や発達障害はわかりますか?

一部はわかります。プロジェリア症候群では知的な発達はふつうのことが多いのですが、当院のNIPTでは、自閉症・発達障害・知的障害の原因になる遺伝子や染色体の変化の一部を調べられます。陰性でも、それらがないとは言えません。

🏥 Q. 陽性だったらどうなりますか?

NIPTはスクリーニング検査なので、陽性なら確定検査で確かめます。当院では絨毛検査(妊娠11〜13週)・羊水検査(妊娠15週から)まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に結果が出ます。

\ LMNA遺伝子を含む単一遺伝子まで調べるNIPTを /

📅NIPTを予約する

陽性でも、確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられ、主要項目は3日以内に結果が出ます。
まだ決めていない方は:インペリアルプランとダイヤモンドプランの違い

プロジェリア症候群はNIPTでわかる? ― 結論は「原因の遺伝子の一部を調べられる」

結論から言うと、プロジェリア症候群の原因であるLMNA遺伝子の変化は、単一遺伝子を調べるNIPTで見つけられる可能性があります。当院の東京のNIPT(新型出生前診断)では、ダイヤモンドプランとインペリアルプランで調べられます。ただし、NIPTは確定診断ではなく、対象の遺伝子でもすべての変化を見つけられるとは限りません。陽性なら、絨毛検査か羊水検査で赤ちゃん本人の遺伝子を確かめます。

プロジェリア症候群(ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群、HGPS)とは、LMNA遺伝子の変化によって、生後1年以内から成長の遅れ、髪が抜ける、皮下脂肪が減る、皮膚が硬くなるといった変化が現れ、年齢に比べて早く体の老化が進む病気です[1]。日本では「ハッチンソン・ギルフォード症候群」として指定難病(333)になっています[4]。症状・経過・治療の詳しい説明はハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(HGPS)の解説ページにまとめています。このページでは「生まれる前に何がわかるか」に絞ってお話しします。

📋 出生前の検査を考えるうえで知っておきたい要点

項目 内容
原因の遺伝子 LMNA遺伝子(ラミンAというたんぱく質の設計図)[1]
原因の変化 典型的な方の約9割は、同じ1か所の変化(c.1824C>T、p.Gly608Gly)[1][4]
遺伝のしかた 常染色体顕性(優性)遺伝。ただし約98%は赤ちゃんで新しく起こった変化(de novo変異)[1]
生まれたとき ふつうに見えることが多い[1]
症状が出る時期 生後1年以内に成長の遅れなどが現れる[1]
知的な発達 運動と知的な発達はふつう[1]
頻度 出生約400万人に1人と推定[1]。国内の報告は約10例[4]

病気そのもの(症状・経過・寿命・治療)は疾患ページで解説しています。

💡 用語解説:LMNA遺伝子とラミノパチー

LMNA遺伝子は、細胞の核を内側から支える「ラミンA/C」というたんぱく質の設計図です。プロジェリア症候群の典型的な変化(c.1824C>T)は、たんぱく質の文字(アミノ酸)は変えないのに、隠れた切り貼りの場所を作ってしまい、50個のアミノ酸が欠けた異常なラミンA(プロジェリン)ができます[2]。LMNA遺伝子の変化はほかにも筋ジストロフィーや心筋症などの原因になり、まとめてラミノパチーと呼ばれます。遺伝子そのものはLMNA遺伝子のページで詳しく解説しています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「家族に誰もいないのに」と思う方へ】

プロジェリア症候群は、ほとんどがご両親から受け継いだものではなく、赤ちゃんの段階で新しく起こった遺伝子の変化によるものです[1]。家族歴や妊婦健診のエコーだけでは、生まれる前に疑うきっかけが得られないことが多い病気だと考えています。

そうした病気に生まれる前に気づける手段として、赤ちゃんに新しく起こった単一遺伝子の変化を調べるNIPTがあります。もちろん、見つけられるのは調べた遺伝子の、調べられる変化に限られます。何がわかり、何がわからないかを知ったうえで選んでいただくことが大切だと考えています。

プロジェリア症候群はいつわかる? ― 妊娠中のエコーと、生まれてからの経過

家族歴がない場合、プロジェリア症候群が見つかるのは、多くは生まれたあと、成長の遅れや見た目の変化に気づいてからです。プロジェリア症候群のお子さんは、生まれたときと乳児期の早い時期にはふつうに見えることが多く[1]、米国の15人のお子さんを詳しく調べた研究では、15人全員が生まれたときの成長はふつうで、臨床的に診断された年齢の中央値は1歳7か月(生後3.5か月〜4歳)でした[3]。

妊娠中のエコーでわかる?

プロジェリア症候群は、生まれたときに目立った特徴がないことが多い病気です[1]。そのため、臨床遺伝専門医としては、妊娠中のエコーでこの病気を見つけることは期待しにくいと考えています。ほかの単一遺伝子の病気、たとえば骨の病気(軟骨無形成症など)は手足の短さとしてエコーで気づかれることがありますが、プロジェリア症候群は事情が違います。エコーで「問題ない」と言われても、この病気を否定することはできません。

反対に、エコーで赤ちゃんの形の異常がすでに見つかっている場合は、NIPTではなく、絨毛検査・羊水検査などの確定検査で調べるのが基本です。単一遺伝子を調べるNIPTは、まだエコーで何も言われていないけれど、赤ちゃんに新しく起こる病気が心配、という方のための検査と考えています。

🗓️ プロジェリア症候群に気づくきっかけと時期

時期 方法 わかること
妊娠9週〜(6〜8週は臨床研究) NIPT(ダイヤモンド・インペリアル) LMNA遺伝子の変化の可能性(スクリーニング)
妊娠11〜13週/15週〜 絨毛検査/羊水検査 赤ちゃん本人の遺伝子を確かめる(確定検査)
妊娠中の健診 エコー この病気に特徴的な所見は出にくい
生後1年以内〜 症状・遺伝学的検査 成長の遅れなどから気づかれ、遺伝子の検査で診断[1][3]

絨毛検査・羊水検査の週数は当院で行う場合の時期です。

プロジェリア症候群は遺伝する? ― 約98%は赤ちゃんに新しく起こる変化

プロジェリア症候群は常染色体顕性(優性)遺伝の病気ですが、約98%の方は、ご両親にはない変化が赤ちゃんで新しく起こったもの(de novo変異)です[1]。原因の遺伝子が見つかった2003年の研究でも、典型的な20人のうち18人が、まったく同じ1か所の新しい変化を持っていました[2]。難病情報センターも、典型的な方のほとんどは通常は遺伝しないと説明しています[4]。

つまり、家族歴がないことは「起こらない」理由にはなりません。「プロジェリアになる確率は?」と気になる方もいると思います。目安としては、出生約400万人に1人という推定があります[1]。1つの病気としてはとてもまれです。

💡 用語解説:de novo(デノボ)変異

de novo変異とは、ご両親の血液の遺伝子にはなく、卵子・精子ができる過程や受精後に新しく起きた遺伝子の変化のことです。家族歴がなくても起こり、お父さんの年齢とともに増えることが知られています。詳しくはDe Novo変異(新生突然変異)とはをご覧ください。

1つひとつはまれでも、合わせると少なくない

こうした単一遺伝子疾患は1つひとつはまれですが、わずか30遺伝子・25疾患を合わせただけでも、約600人に1人(0.17%)の頻度になると報告されています[5][6]。これは30の遺伝子に絞って調べた研究での数字なので、実際にはこれより多いと考えています。ダウン症候群の出生頻度(米国の全国推計〔2004〜2006年の出生〕で約700人に1人)[7]より多い頻度です。当院のインペリアルプランでは、最大155遺伝子のde novo変異を対象にしています(ダイヤモンドプランは56遺伝子)。

赤ちゃんに新しく起こる遺伝子の変化とお父さんの年齢の関係は、単一遺伝子疾患とNIPT(父親の年齢とde novo変異)で解説しています。

プロジェリア症候群はどのプランで調べられる? ― ダイヤモンドとインペリアル

LMNA遺伝子を調べるのは、ダイヤモンドプラン(56遺伝子)とインペリアルプラン(最大155遺伝子202疾患)です。スタンダードプラン・プレミアムプラン・双子マックスプランは単一遺伝子を調べないため、プロジェリア症候群は対象外です。インペリアルプランの対象疾患の一覧には「ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(LMNA)」の名前があり、ダイヤモンドプランの56遺伝子の一覧でもLMNAがこの病気に対応づけられています。

🧬 プラン別:プロジェリア症候群(LMNA遺伝子)を調べるか

プラン 単一遺伝子 LMNA遺伝子 単一遺伝子の結果まで
スタンダード 調べない × ―
プレミアム 調べない × ―
ダイヤモンド de novo 56遺伝子(COATE法) ○ 基本10〜14日
双子マックス 調べない × ―
インペリアル 最大155遺伝子202疾患(低深度全ゲノムシーケンス+ターゲット法) ○ 3〜4週間

○でも、LMNA遺伝子のすべての変化を見つけられるとは限りません。染色体の数の異常などの結果は、どのプランも基本10〜14日です。

ダイヤモンドプランは、米国の3大遺伝子検査会社の一角が提供する新技術「COATE法」(SNP法とターゲット法の組み合わせ)※で検査します。インペリアルプランは、低深度全ゲノムシーケンスとターゲット法を組み合わせて、全染色体と単一遺伝子をまとめて調べます。56遺伝子の一覧は56遺伝子de novo変異NIPT、155遺伝子の一覧は155遺伝子de novo変異NIPTで確認できます。

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

精度はどのくらい?

赤ちゃんに新しく起こる単一遺伝子の変化を調べるNIPTの実測値として、インペリアルプランの検証データ(155遺伝子202疾患、リスクの高い妊婦さん750人)では、陽性的中率96.9%・感度100%・特異度99.9%と報告されています[8]。ダイヤモンドプランのCOATE法は、遺伝的な病気のリスクが高い妊婦さん1,090人の研究で、感度98.5%・特異度99.3%でした[9]。ダイヤモンドプランの数字は、染色体の数の異常なども含めた検査全体のもので、2つの研究は評価した対象が違うため、そのまま比べることはできません。どちらもリスクの高い妊婦さんでの数字で、プロジェリア症候群だけの精度でもなく、一般の妊婦さんにそのまま当てはまるものではありません。

超音波検査で赤ちゃんの異常が疑われた妊婦さんを対象にした研究では、染色体の検査に加えて単一遺伝子の病気も調べると、見つかった病気の数が約1.6倍(61件→98件、60.7%増)に増えたと報告されています[9]。

「LMNAが対象」で、わからないこと

プロジェリア症候群の約9割は、LMNA遺伝子のc.1824C>Tという変化による「典型」の遺伝子型です。約1割は、同じ遺伝子のエクソン11またはイントロン11にある別の変化によってプロジェリンが作られる「非典型」の遺伝子型です[1]。この割合は原因の変化の内訳で、NIPTで見つけられる割合を示すものではありません。対象の遺伝子であっても、すべての変化を見つけられるとは限りません。また、LMNA遺伝子はプロジェリア症候群だけでなく、先天性筋ジストロフィー(LMNA関連)などの原因にもなる遺伝子で、インペリアルプランの対象疾患の一覧にはこれも挙げられています。変化が見つかった場合に、それがどの病気につながるのかは、確定検査と遺伝カウンセリングで確かめていきます。

💡 ほかの「早老症」:フォンテーヌ早老症候群

「早老症」は1つの病気の名前ではなく、早く老化が進む病気のグループの呼び名です。そのうちフォンテーヌ早老症候群はSLC25A24遺伝子の変化による別の病気で、インペリアルプランの対象疾患の一覧に入っており、ダイヤモンドプランの56遺伝子にもSLC25A24が含まれています。病気についてはフォンテーヌ早老症候群のページをご覧ください。

いつ受けられる?

当院のNIPTは妊娠9週から受けられます。さらに、できるだけ早い時期に結果を知りたい方のために、妊娠6〜8週から臨床研究として受けられる体制を整えています。週数が早いほど、血液中の赤ちゃん由来のDNAが少なく、判定できずに再検査になることがあります。受けられる時期の上限は設けていませんが、人工妊娠中絶ができるのは通常妊娠満22週未満です[12]。上限がないことは、結果によって妊娠を続けるかどうかを選べるという意味ではありません。受ける時期と結果の生かし方は、検査前の遺伝カウンセリングで一緒に考えます。詳しくはNIPTはいつからいつまで受けられる?をご覧ください。

次の子の確率は? 親が当事者のときは?

上のお子さんがプロジェリア症候群だった場合

上のお子さんの変化が新しく起こったものでも、次のお子さんの確率は低いものの0ではありません。ご両親の血液には変化がなくても、卵巣や精巣の細胞の一部にだけ変化を持っている「性腺モザイク」の可能性があるためです[1]。海外の患者登録では、典型の遺伝子型の登録患者214人について、双子以外のきょうだいでの再発が4件(約2%)報告されています[1]。これは登録された集団での報告で、それぞれのご家族の次の妊娠での確率や、性腺モザイクを持つ親の割合をそのまま示す数字ではありません。なお、性腺モザイクのある親から子に伝わる確率は、お子さん1人あたり最大で2分の1で、血液で測った割合をそのまま当てはめることはできません。

上のお子さんの変化がわかっていれば、その変化を目印にして、絨毛検査(妊娠11〜13週)か羊水検査(妊娠15週から)で赤ちゃん本人を調べることができます[1]。NIPTをどう組み合わせるかは、上のお子さんの検査結果を確かめたうえで、検査前の遺伝カウンセリングで、ご家族の状況に合わせて検査を選びます。

お母さん・お父さんがこの病気の当事者のとき

典型的な型のプロジェリア症候群の方がお子さんをもうけたという報告は知られておらず、症状の軽い非典型の型の方1人にお子さんがいることが知られています[1]。顕性遺伝なので、親が当事者の場合、お子さんに伝わる確率は1人あたり2分の1です。

お母さんが当事者の場合は、できれば妊娠前にお母さん本人の遺伝子検査で原因の変化を特定しておくのが基本です。お母さん自身が変化を持っていると、通常のNIPTでは、見つかった変化がお母さん由来か赤ちゃん由来かを区別できません。そのため、その変化を目印にして、絨毛検査か羊水検査で赤ちゃんを調べる流れになります。それでも、親の病気とは別に、赤ちゃんに新しく起こる単一遺伝子の病気もあるので、NIPTは基本的に受けたほうがよいと考えています。くわしくはお母さんが単一遺伝子疾患をお持ちの場合のNIPTと確定検査、お父さんの場合はお父さんが単一遺伝子疾患をお持ちのご夫婦へをご覧ください。

NIPTで陽性だったらどうする? ― 確定検査で赤ちゃん本人を確かめる

NIPTで調べているのは、お母さんの血液に含まれる、主に胎盤から出た赤ちゃん側のDNAです。陽性は「可能性が高い」という意味で、診断ではありません。陽性なら、見つかった変化を目印にして、絨毛検査か羊水検査で赤ちゃん本人の遺伝子を確かめます。

① 遺伝カウンセリングプラン選び・わかる範囲の説明
▶
② 採血妊娠9週から
▶
③ 結果基本10〜14日・インペリアルの単一遺伝子は3〜4週間
▶
④ 陽性なら確定検査絨毛・羊水検査も院内で

陽性の場合も、確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられます。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。見つかった変化を目印にした遺伝子の解析も、3日以内に結果が出る主要な項目の一つです。当院の絨毛検査は妊娠11〜13週、羊水検査は妊娠15週からで、確定検査は基本的に日曜日(月曜日が祝日のときは月曜日)に行っています。

陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料です。NIPTを受ける方は全員、羊水検査互助会(カトレア会)に加入し、陽性のときの確定検査の費用が補助されます(補助の上限なし)。2つの検査の違いは絨毛検査と羊水検査の違い、陽性のあとの流れはNIPTで陽性だったらで解説しています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【生まれる前に知ることの意味を、ご家族ごとに考える】

プロジェリア症候群は、生まれたあとも1歳を過ぎてから診断されることの多い病気です[3]。生まれる前に変化がわかっていれば、生まれてすぐに専門の医療機関につながり、心臓や血管を含めた経過を早くから見てもらう準備ができると考えています。治療については疾患ページで、ロナファルニブなどの治療薬も含めて解説しています。

一方で、知ったあとにどう考えるかは、ご家族によって違います。だからこそ、NIPTは結果を受け取って終わりではなく、陽性なら確定検査で確かめ、その結果をどう生かすかを臨床遺伝専門医と一緒に考える流れまでを一つの検査だと考えています。

自閉症・発達障害・知的障害もNIPTで一部わかる ― 当院で調べられること

プロジェリア症候群では、運動と知的な発達はふつうであることが知られています[1]。一方で、妊娠中に「赤ちゃんの発達」が気になる方は少なくありません。自閉症・発達障害・知的障害の原因はさまざまですが、その一部は、当院のNIPTで調べられる単一遺伝子の変化や微小欠失・重複です。

🧩 プラン別:自閉症・発達障害・知的障害を伴うことがある主な病気

プラン 微小欠失・重複 単一遺伝子 主な病気の例
スタンダード 6種類7疾患 ― 22q11.2欠失症候群、プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群
プレミアム 12種類13疾患 ― 上記+ジェイコブセン症候群、9p欠失症候群など
ダイヤモンド 12種類13疾患 56遺伝子 上記+レット症候群、コルネリア・デ・ランゲ症候群、CHARGE症候群
双子マックス 92種類+5Mbを超える構造異常 ― 16p11.2欠失・重複、ウィリアムズ症候群など
インペリアル 92種類+5Mbを超える構造異常 最大155遺伝子 上記+フェラン・マクダーミッド症候群、ピット・ホプキンス症候群、KBG症候群など

陰性でも、自閉症・発達障害・知的障害がないとは言えません。脆弱X症候群などNIPTで調べられない原因もあり、症状の重さを予測することもできません。

陽性なら確定検査が必要で、とくに微小欠失・重複は染色体の数の異常より陽性的中率が低めです。「NIPTで自閉症がすべてわかる」わけではなく、「陰性なら心配ない」わけでもありません。どこまで調べるかは、検査前の遺伝カウンセリングでご家族と考えます。詳しくは一部の自閉症・発達障害の原因はNIPTでわかるをご覧ください。

🏥 単一遺伝子まで調べるNIPTを選ぶ

プロジェリア症候群の原因のLMNA遺伝子のほか、一部の自閉症・発達障害・知的障害の原因まで、ダイヤモンドプランとインペリアルプランで調べられます。90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どのプランが合うかを一緒に考えます。

まだ決めていない方は:ダイヤモンドプラン | インペリアルプラン

1つの病気あたりで考える ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ

「ダウン症候群だけが心配」という方は少なくありません。けれども、出生前検査で調べる病気は、どれも赤ちゃんとご家族の暮らしに大きくかかわるものです。そして、ご家族の子育ての負担を最も大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった「行動の問題」だと分かっています[10]。こうした行動の問題を伴いやすい病気には、ダウン症候群ではなく、微小欠失症候群や単一遺伝子疾患が多く含まれます[10][11]。三大トリソミーだけを調べる検査では、これらの病気は調べられません。

出生前検査は、その後の人生を左右するかもしれない検査です。『安さ』だけで選んで大丈夫でしょうか。

三大トリソミーだけを調べる検査を仮に10万円とすると、1つの病気あたりは約3万3千円です。

当院のインペリアルプランは、全常染色体と性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、202の単一遺伝子疾患を調べます。性染色体の数の異常も含めて、数えられる病気だけで320になり、1つの病気あたりは約1,719円です。さらに、5Mbを超える欠失・重複はすべての染色体が対象なので、数えきれないほどの変化を調べていることになります。数えられる分だけでも、これだけの範囲を調べられます。

プラン 主に調べる範囲 数えた病気の数 1つの病気あたり
三大トリソミーだけを調べる検査
(仮に10万円とした場合)
13・18・21トリソミー 3 約33,333円
スタンダード(220,000円) 13・18・21トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失6種類7疾患 14 約15,714円
プレミアム(264,000円) 13・18・21・15・16・22トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失12種類13疾患 23 約11,478円
ダイヤモンド(407,000円) プレミアムの範囲+単一遺伝子56 79 約5,152円
双子マックス(440,000円) 全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常 114+α 約3,860円
インペリアル(550,000円) 全常染色体の数の異常、性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常、単一遺伝子202疾患 320+α 約1,719円

※価格は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の税込価格です。最新の料金は料金ページをご確認ください。※病気の数は、数の異常・微小欠失・重複・単一遺伝子疾患を1つずつ数えたものです。性染色体の数の異常は4種類(ターナー症候群・クラインフェルター症候群・トリプルX症候群・XYY症候群)として数えています(性染色体を調べるのはスタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・インペリアル。双子マックスは調べません)。5Mbを超える構造異常は数に入れていないため、双子マックスとインペリアルは実際にはさらに多くの変化を調べています。※『三大トリソミーだけを調べる検査』は計算のための仮の例で、特定の施設の価格ではありません。

調べる範囲が広がると、陽性になる可能性も、確定検査が必要になる場面も増えます。病気の数が多いほどよい検査、ということではありません。どこまで調べたいかはご家族によって違うので、検査前の遺伝カウンセリングでプランを選びます。NIPTの料金には、臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリング、NIPTでの性別判定、4Dエコー(来院の場合)が含まれ、互助会2つ(カトレア会・安心検査結果保障制度)には全員が加入します。

🏥 調べられる範囲から、NIPTのプランを選ぶ

臨床遺伝専門医が常駐し、陽性なら絨毛検査・羊水検査まで院内で受けられます。来院が難しい方は、オンラインNIPT(Zoomでのカウンセリング+全国110か所の提携施設で採血)もご利用いただけます。

まだ決めていない方は:NIPTの費用・料金 | NIPTの施設選びで後悔しないためのポイント

よくある質問(FAQ)

Q1. プロジェリア症候群はNIPTでわかりますか?

一部はわかります。原因のLMNA遺伝子は、当院のダイヤモンドプランとインペリアルプランで調べる遺伝子に入っています。ただし、対象の遺伝子でもすべての変化を見つけられるとは限りません。NIPTはスクリーニング検査なので、陽性なら絨毛検査か羊水検査で赤ちゃん本人の遺伝子を確かめます。

Q2. 妊娠中のエコーでプロジェリア症候群はわかりますか?

見つけるのは難しい病気です。プロジェリア症候群のお子さんは、生まれたときはふつうに見えることが多く、成長の遅れなどは生後1年以内に現れてきます。エコーで問題ないと言われても、この病気がないとは言えません。

Q3. プロジェリア症候群は遺伝しますか?

遺伝のしかたは常染色体顕性(優性)遺伝ですが、約98%はご両親から受け継いだものではなく、赤ちゃんで新しく起こった変化(de novo変異)です。そのため、家族に誰もいなくても起こります。

Q4. 上の子がプロジェリア症候群だった場合、次の子の確率はどのくらいですか?

低いものの0ではありません。ご両親の卵巣や精巣の細胞の一部にだけ変化がある性腺モザイクの可能性があるためです。海外の患者登録では、典型の遺伝子型の登録患者214人について、双子以外のきょうだいでの再発が4件(約2%)報告されています。ただし、この数字がそれぞれのご家族の次の妊娠での確率になるわけではありません。上のお子さんの変化がわかっていれば、絨毛検査(妊娠11〜13週)か羊水検査(妊娠15週から)で赤ちゃんを調べられます。

Q5. NIPTで陰性なら、プロジェリア症候群の心配はありませんか?

陰性は、調べた範囲では可能性が低いという意味です。LMNA遺伝子のすべての変化を見つけられるとは限らず、まれですが偽陰性の可能性もあります。生まれたあとに成長などで気になることがあれば、小児科で相談してください。

Q6. プロジェリア症候群は何人に1人ですか?

出生約400万人に1人と推定されています。日本では指定難病(ハッチンソン・ギルフォード症候群)になっており、国内の報告は約10例です。

Q7. NIPTは妊娠何週から受けられますか?結果はいつわかりますか?

当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。結果は基本10〜14日で、インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけは3〜4週間かかります(ダイヤモンドプランは単一遺伝子も10〜14日)。

Q8. 費用はいくらですか?

プランごとの料金はNIPTの費用・料金のページでご確認ください。料金には臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリング、NIPTでの性別判定、4Dエコー(来院の場合)が含まれます。互助会2つ(カトレア会・安心検査結果保障制度)には全員が加入します。

遺伝カウンセリングについては遺伝カウンセリングとはをご覧ください。

関連記事

参考文献

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  • [3] Phenotype and course of Hutchinson-Gilford progeria syndrome. N Engl J Med. 2008;358(6):592-604. [PMC2940940]
  • [4] 難病情報センター. ハッチンソン・ギルフォード症候群(指定難病333)(情報更新日:令和8年10月). [難病情報センター]
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  • [6] Zhang J, et al. Non-invasive prenatal sequencing for multiple Mendelian monogenic disorders using circulating cell-free fetal DNA. Nat Med. 2019;25(3):439-447. [DOI 10.1038/s41591-018-0334-x]
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  • [8] Chen S, Xu W, Zhang L, et al. Expanded noninvasive prenatal screening for dominant single-gene disorders: proof-of-concept, performance, and challenges. Am J Obstet Gynecol. 2025;233(6):673.e1-673.e21. PMID 40550458. [DOI 10.1016/j.ajog.2025.06.043]
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  • [10] Fitzgerald J, Gallagher L. Parental stress and adjustment in the context of rare genetic syndromes: A scoping review. J Intellect Disabil. 2022;26(2):522-544. PMID 33866895. [DOI 10.1177/1744629521995378]
  • [11] Arron K, Oliver C, Moss J, Berg K, Burbidge C. The prevalence and phenomenology of self-injurious and aggressive behaviour in genetic syndromes. J Intellect Disabil Res. 2011;55(2):109-120. [DOI 10.1111/j.1365-2788.2010.01337.x]
  • [12] 日本医師会「医の倫理の基礎知識 2018年版【生殖医療】D-5」. [日本医師会]

※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・検査の選択を示すものではありません。検査については臨床遺伝専門医にご相談ください。

プロフィール

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

Google公認:仲田洋美 公式プロフィール

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続け、遺伝医療と出生前診断に携わっています。当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、検査結果の数値そのものだけでなく、「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、日本人として異文化の中で生活した経験があります。価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。この経験は現在の診療においても、「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、36週6日で一人を死産した経験があります。その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、家族の未来に関わる重要な意思決定です。年齢や統計だけで判断するのではなく、医学的根拠と心理的支援の両面から、ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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