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外胚葉異形成症の遺伝子検査|98遺伝子で原因と遺伝のしかたを調べる

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

外胚葉異形成症の遺伝子検査

外胚葉異形成症は、汗が出にくい・歯が少ない・髪が薄い・爪がもろいなど、汗腺・歯・毛・爪のうち2つ以上に生まれつきの変化が出る遺伝性の病気のグループです。原因になる遺伝子はたくさんあり、どの遺伝子かによって、遺伝のしかたも、次のお子さんに伝わる確率も変わります。生まれ持った遺伝子は一生変わりません。一度の検査でわかったことは、熱中症への備えや歯の治療計画だけでなく、ご家族の健康や、これからの妊娠の計画を考えるときにも、ずっと使える情報になります。このページでは、外胚葉異形成症とはどんな病気か、遺伝のしかた、そして98の遺伝子をまとめて調べる遺伝子検査でわかることを、臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. この検査で何がわかりますか?

外胚葉異形成症と、その関連の病気の原因として知られる98の遺伝子を一度に調べ、どの遺伝子のどんな変化が原因かを確かめます。原因の遺伝子がわかると、遺伝のしかた(X連鎖・顕性・潜性)と、ご家族への影響がはっきりします。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

汗が出にくく熱がこもりやすい、歯の数が少ない、髪や眉が薄い、爪がもろいなど、汗腺・歯・毛・爪のうち2つ以上に症状がある方、ご家族に外胚葉異形成症の方がいる方、保因者かどうかを妊娠の前に知りたい方です。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・口の内側の粘膜などで、オンライン診療でも受けられます。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。原因がわかれば、お母さんが保因者かどうか・次のお子さんの確率・妊娠したときの出生前診断まで具体的に考えられます。意義がまだわからない変化(VUS)の扱いもご説明します。

\ 一生変わらない遺伝子を知って、これからの計画に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

お問い合わせはこちら | 歯の質の病気ならエナメル質形成不全症の遺伝子検査

1. 外胚葉異形成症とは|汗・歯・髪・爪に症状が出る生まれつきの病気

外胚葉異形成症(がいはいようけいせいしょう、英語でectodermal dysplasia)は、「外胚葉」からできる組織のうち、2つ以上の発生や維持がうまくいかない遺伝性の病気の総称です[3]。代表的な症状は、汗が出にくい、歯の数が少ない・形が細い、髪や眉が薄い、爪がもろい、などです。「外胚葉形成不全症」「外胚葉形成異常」と呼ばれることもあります。

2017年に米国国立衛生研究所(NIH)で開かれた国際的な専門家の会議では、外胚葉異形成症を「2つ以上の外胚葉由来の組織の発生や維持に影響する遺伝性の病気」と定義し、症状・遺伝子・遺伝のしかた・分子のしくみで整理する考え方が示されました。1つの組織だけに症状が出るもの(たとえば歯の数だけが少ないもの)は、その遺伝子の「症候群ではない形」として分けて考えます[3]。

外胚葉とは:汗腺・歯・毛・爪のもとになる層

外胚葉は、お母さんのおなかの中で赤ちゃんの体ができはじめるときに分かれる3つの層(外胚葉・中胚葉・内胚葉)のうち、いちばん外側の層です。皮膚の表面、毛、爪、歯のエナメル質、汗腺などは、この層から作られます。外胚葉そのもののしくみについては、外胚葉の解説をご覧ください。

同じ外胚葉から作られる組織どうしは、作られるときに同じ「合図」(シグナル)を使っていることがあります。そのため、1つの遺伝子に変化があると、汗腺と歯と毛のように、いくつもの組織に同時に症状が出ることがあるのです。

主な症状:汗が出にくい・歯が少ない・髪が薄い・爪・皮膚・目や鼻

どの症状が出るかは、原因の遺伝子と型によって違います。いちばん多い低汗性外胚葉異形成症では、汗・歯・髪の3つがそろうのが典型です[1]。

  • ●汗:汗は出ますが、量がとても少なく、体に熱がこもりやすくなります(高体温)[1]。「汗が出ない病気」として気づかれるきっかけになることがあります。
  • ●歯:生えてくる歯の数が少なく、形も変わっていて、生える時期も遅れます。典型的な低汗性外胚葉異形成症では、できる永久歯は平均9本で、犬歯と第一大臼歯が多いとされています。ただし本数や場所は人によって大きく違います[1]。
  • ●髪:頭の髪が細く、色が薄く、伸びるのがゆっくりです[1]。
  • ●爪・皮膚・目や鼻:小児慢性特定疾病情報センターの解説では、爪が厚い・もろい・伸びが遅い、皮膚の乾燥、目の乾き(ドライアイ)、鼻の粘膜の乾燥(萎縮性鼻炎)、口の乾きによるむし歯の起こりやすさに注意するよう書かれています(2026年10月時点で確認)。

型によっては、口唇口蓋裂、手足の指の形の変化、難聴、皮膚の角化(手のひら・足の裏が厚くなる)、免疫の働きの低下などを伴うこともあります。どの組み合わせかによって受けるべき診療が変わるので、遺伝子で原因を確かめる意味があります(第4章の表)。

いちばん多い低汗性(無汗性)外胚葉異形成症

外胚葉異形成症の代表的な型が、汗・歯・髪に症状が出る低汗性外胚葉異形成症(hypohidrotic ectodermal dysplasia、HED)です。日本では「無汗性外胚葉形成不全」「低汗性外胚葉形成不全症」という名前でも呼ばれます。汗はまったく出ないわけではなく、出る量がとても少ないので、医学的には「低汗性」と呼ぶのがより正確です[1]。

遺伝性疾患の解説書GeneReviews(2025年3月改訂)によると、低汗性外胚葉異形成症の原因の遺伝子は主に4つで、EDAが約50〜60%、WNT10Aが15〜20%、EDARが約10〜15%、EDARADDが約2〜3%を占め、約10%は原因がわかっていません[1]。EDAの変化によるX連鎖の型については、無汗性外胚葉形成不全1のページでも解説しています。

どのくらいの頻度?寿命・予後は?

デンマークの全国調査では、1995〜2011年に生まれた子どものうち、外胚葉異形成症全体は出生10万人あたり少なくとも14.5人(約6,900人に1人に当たる計算)、X連鎖低汗性外胚葉異形成症は10万人あたり少なくとも2.8人でした[2]。この研究は、それまでの報告より頻度は低いと結論しています。X連鎖低汗性外胚葉異形成症の数字は、遺伝子で確かめられた人だけを数えたものです[2]。

GeneReviewsでは、米国で1985年から2023年1月までの典型的な低汗性外胚葉異形成症の頻度を10万人あたり約2.99人とする報告も紹介されています[1]。日本では、全国調査で患者さんは約50〜100人と推定された、と小児慢性特定疾病情報センターに書かれています(2026年10月時点で確認)。数字は調べた国・時期・数え方によって変わるので、目安として受け取ってください。

寿命について、GeneReviewsでは、体の成長や運動・知能の発達はほかの点では正常範囲とされています[1]。いちばん気をつけたいのは、乳幼児期の熱のこもり(うつ熱)です。小児慢性特定疾病情報センターの解説では、乳幼児期のうつ熱は重くなると発達の遅れや命に関わることがある一方、成人では暑さを避ける工夫をすれば予後は一般に悪くないとされています(2026年10月時点で確認)。早く診断がつけば、暑さへの備えを早くから始められます。

2. 原因遺伝子と遺伝のしかた|X連鎖・顕性・潜性で次のお子さんの確率が変わる

外胚葉異形成症は、原因の遺伝子によって、X連鎖、常染色体顕性(優性)、常染色体潜性(劣性)のどれかの形で遺伝します。同じ病名でも、遺伝子がわからなければ、次のお子さんの確率は決められません。遺伝の形の基本は、遺伝形式の解説にまとめています。

低汗性外胚葉異形成症の主な遺伝子

🧬 低汗性外胚葉異形成症の原因遺伝子と遺伝のしかた

遺伝子 低汗性外胚葉異形成症に占める割合 遺伝のしかた
EDA 約50〜60% X連鎖
WNT10A 15〜20% 常染色体潜性または常染色体顕性
EDAR 約10〜15% 常染色体潜性または常染色体顕性
EDARADD 約2〜3% 常染色体潜性または常染色体顕性
原因不明 約10% —(今の検査で原因が見つからない方がいる)

※割合と遺伝のしかたはGeneReviews(2025年3月改訂)[1]による。4つの遺伝子はすべてこの検査の対象に含まれています。

EDA・EDAR・EDARADDは、汗腺・歯・毛を作るときに使われる1本の合図の通り道で働く遺伝子です。EDAが作るタンパク質(エクトジスプラシンA)はTNFのなかまで、EDARはその受け取り役(TNF受容体スーパーファミリー)、EDARADDはその先へ合図を伝える役です。合図は最終的にNF-κBという因子を動かします。WNT10Aは別の合図(Wntシグナル)の遺伝子です。通り道のどこに変化があっても似た症状になるため、症状だけで原因の遺伝子を見分けるのは難しく、まとめて調べる検査が役に立ちます。

お母さんが保因者のとき(X連鎖):男の子・女の子の確率

EDAによる低汗性外胚葉異形成症はX連鎖で遺伝します。お母さんが変化を1つもつ(ヘテロ接合の)場合、妊娠のたびに2分の1の確率でお子さんに伝わります。伝わった男の子は発症し、伝わった女の子はお母さんと同じく変化を1つもつことになります[1]。X連鎖遺伝のしくみはX連鎖遺伝の解説で詳しく説明しています。

お母さんEDAの変化を1つもつ
▶
男の子2分の1で発症/2分の1で受け継がない
/
女の子2分の1で変化を1つもつ/2分の1で受け継がない
お父さんが発症しているEDAの変化をもつ
▶
女の子全員が変化を1つもつ
/
男の子受け継がない

お父さんが発症している場合は、娘さんは全員がEDAの変化を受け継ぎ、息子さんには伝わりません[1]。男性はX染色体を1本しかもたない(ヘミ接合)ため、X染色体にある変化がそのまま症状として出やすいのです。

変化を1つもつ女性は「症状のない保因者」とは限りません。GeneReviewsでは、X連鎖低汗性外胚葉異形成症の変化をもつ女性の60〜80%に何らかの歯の欠如がみられ、髪が少し薄い、汗の出方にむらがある、小さい歯や欠けている歯があるなど、軽い症状が出ることがあるとされています[1]。女性の細胞では2本のX染色体のどちらか一方が働かなくなる「X染色体不活化」が起こり、体の場所によって働くX染色体が違うためです。保因者かどうかは、症状の有無ではなく、遺伝子検査で確かめます。

ご家族にほかに発症した方がいない男の子で、お母さんの血液から変化が見つからない場合も、次のお子さんの確率はゼロではありません。お母さんの卵子のもとになる細胞にだけ変化がある「性腺モザイク」の可能性があるためです[1]。変化をもつ生殖細胞からできる卵子・精子は2分の1の確率で変化を受け継ぎます。生殖細胞のうちどれくらいが変化をもつかは実際の診療では調べられないため、お子さん1人あたりの確率は『最大で2分の1』とお伝えしています。

顕性・潜性の型のとき:お子さんの確率

EDAR・EDARADD・WNT10Aによる型は、常染色体潜性(劣性)でも常染色体顕性(優性)でも遺伝することがあり、どちらかによって確率が大きく変わります[1]。

👨‍👩‍👧 遺伝のしかたごとの、お子さん・きょうだいの確率

遺伝のしかた 確率
常染色体潜性(劣性) ご両親とも変化を1つずつもつ(保因者)場合、お子さん1人ごとに4分の1で発症、2分の1で保因者、4分の1で変化を受け継がない。発症した方と、同じ遺伝子の病気の原因となる変化をもたないパートナーとのお子さんは、全員が変化を1つもつ保因者になる
常染色体顕性(優性) 発症した方のお子さんは、1人ごとに2分の1で変化を受け継ぐ。性別には関係しない
X連鎖(EDA) お母さんが変化を1つもつ場合、男の子は2分の1で発症、女の子は2分の1で変化を1つもつ。発症したお父さんからは、娘さん全員に伝わり、息子さんには伝わらない

※GeneReviews[1]による。実際の確率は、ご家族の検査の結果をふまえて遺伝カウンセリングでご説明します。

顕性の型では、同じ変化をもつ家族でも症状の重さに差が出ることがあります(表現型の多様性)。親御さんが軽い症状で気づいていなくても、お子さんが同じ程度とは限りません。また、ご両親のどちらからも変化が見つからない新しく起きた変化(de novo)でも、性腺モザイクの可能性があるため、次のお子さんの確率はゼロにはなりません[1]。

3. どんな人がこの検査を受けるとよいか

汗・歯・髪・爪のうち2つ以上に生まれつきの症状がある方、ご家族に外胚葉異形成症の方がいる方、そして妊娠の前に保因者かどうかを知っておきたい方に向く検査です。見た目や家族歴だけでは、どの遺伝子が原因か、誰が保因者かは判断できません。

  • ●汗が出にくく、熱がこもりやすいお子さん:原因がわかると、熱中症への備え(第6章)を家族・保育園・学校と具体的に決められます。
  • ●歯が少ない・細いと歯科で言われ、髪や汗にも気になる点がある方:病名がつくと、歯科で長い目で見た治療計画を立てやすくなります。
  • ●男の子が発症していて、お母さん・お姉さん・妹さんが保因者かどうかを知りたい方:X連鎖の型では、女性のご家族の結果が、それぞれの将来の妊娠の計画に直接つながります。
  • ●ご本人が外胚葉異形成症で、結婚・妊娠を考えている方:遺伝子がわかれば、お子さんへの確率と、妊娠したときに選べることを具体的に考えられます。
  • ●ほかの検査で原因がわからなかった方:この検査は、関連する症候群を含めて98の遺伝子をまとめて調べます。

病名がつくと、受けるべき検査、気をつけたい場面、使える制度(第7章)が決まります。エクソーム・ゲノム検査の研究167件をまとめた米国臨床遺伝・ゲノム学会(ACMG)の系統的レビューでも、遺伝子検査のあとで最も多く報告された変化は、診療方針や、妊娠・出産に関する判断の変化でした[4]。

この検査より別の検査が向いている場合

症状が歯だけ、髪だけなど1つの組織にとどまる場合や、骨・心臓の症状が目立つ場合は、別の検査のほうが向いていることがあります。比べる相手は検査の種類です。迷ったら、遺伝カウンセリングで症状を伺って一緒に選びます。

🔍 症状に合わせた検査の選び方

こんなとき 向いている検査
汗・歯・髪・爪のうち2つ以上に症状がある このページの検査(外胚葉異形成症・関連疾患 98遺伝子)
歯の表面(エナメル質)がもろい・変色する エナメル質形成不全症の遺伝子検査
歯の数が少ないだけで、汗や髪は気にならない 部分性無歯症の遺伝子検査
髪が少ない・縮れるだけで、ほかの症状はない 非症候群性乏毛症の遺伝子検査
涙や唾液の出にくさ、手足の指の形の変化が目立つ ADULT症候群の遺伝子検査
手足が短い・指が多い・心臓の病気もある エリス・ファンクレフェルト症候群の遺伝子検査
症状が多くの臓器にわたり、病気をしぼれない 全エクソーム検査(WES)

※どの検査が合うかは、症状・診察所見・ご家族の情報で変わります。遺伝カウンセリングで一緒に決めましょう。

\ 妊娠の前に保因者かどうかを知れば、選べることが増えます /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

ご家族で原因の変化がわかっていれば、妊娠したときの羊水検査・絨毛検査まで院内で受けられます(2025年6月から産婦人科を併設)。

海外でPGT-Mを考えている方には、英語の検査結果をお渡しできます(検査の時にお申し出ください)。

どの検査がよいか迷う方へ

4. 調べる98遺伝子と、それぞれでわかる病気

この検査では、外胚葉異形成症と、その関連の病気の原因として知られる98の遺伝子をまとめて調べます。汗・歯・髪の典型的な型だけでなく、皮膚・爪・口唇口蓋裂・手足・免疫・骨などの症状を伴う症候群の遺伝子も含まれています。症状だけでは見分けにくい型をまとめて確かめられるのが、このパネル検査の役割です。

下の表は、98の遺伝子を症状のまとまりごとに分け、それぞれの遺伝子でわかる主な病気と遺伝のしかたを並べたものです。1つの遺伝子が、外胚葉異形成症とは別の病気(心臓・難聴・がんなど)の原因にもなる場合は、主なものをあわせて載せています。

汗・歯・髪の主な型(低汗性・有汗性外胚葉異形成症と、その近いなかま)

低汗性外胚葉異形成症の4つの遺伝子に加えて、同じ合図の通り道(NF-κB)にかかわる遺伝子や、汗・歯・髪・爪の症状を中心とする外胚葉異形成症の遺伝子です。IKBKG・NFKBIA・ORAI1のように、免疫の働きの低下を伴う型もあり、感染症への備えが変わるため、原因を確かめる意味が大きい遺伝子です。

🧬 汗・歯・髪の主な型の遺伝子(17遺伝子)

遺伝子 主な病気 遺伝のしかた
EDA X連鎖低汗性外胚葉異形成症(無汗性外胚葉形成不全1)、X連鎖歯数不足症1 X連鎖
EDAR 外胚葉異形成症10A型(低汗性・毛髪・爪型)、外胚葉異形成症10B型(低汗性・毛髪・歯型) 10A型:常染色体顕性/10B型:常染色体潜性
EDARADD 外胚葉異形成症11A型、外胚葉異形成症11B型 11A型:常染色体顕性/11B型:常染色体潜性
WNT10A 歯・爪・皮膚異形成症(OODD)、シェプフ・シュルツ・パッサージ症候群、選択的歯数不足症4型 OODD:常染色体潜性/歯数不足症4型:常染色体顕性または常染色体潜性
IKBKG 色素失調症、免疫不全を伴う外胚葉異形成症1型 色素失調症:X連鎖顕性/免疫不全を伴う型:X連鎖潜性
NFKBIA 免疫不全を伴う外胚葉異形成症2型 常染色体顕性
ORAI1 免疫不全症9型、管状凝集体ミオパチー2型 免疫不全症9型:常染色体潜性/ミオパチー:常染色体顕性
TRAF6 病気との関係を研究中の遺伝子(低汗性外胚葉異形成症との関連が報告されている段階) 研究中
GJB6 クラウストン型外胚葉異形成症(有汗性外胚葉異形成症、外胚葉異形成症2型)、難聴(DFNB1B・DFNA3B) クラウストン型:常染色体顕性/難聴:常染色体潜性・常染色体顕性
KDF1 外胚葉異形成症12型(低汗性・毛髪・歯・爪型) 常染色体顕性
KREMEN1 外胚葉異形成症13型(毛髪・歯型) 常染色体潜性
TSPEAR 外胚葉異形成症14型、選択的歯数不足症10型、難聴(DFNB98) 常染色体潜性
LEF1 外胚葉異形成症17型(手足の形の変化を伴うことがある) 常染色体顕性
HOXC13 外胚葉異形成症9型(毛髪・爪型) 毛髪・爪型の外胚葉異形成症全体では顕性・潜性の両方が報告
KRT74 外胚葉異形成症7型(毛髪・爪型)、常染色体顕性の縮毛症、乏毛症3型 常染色体顕性
KRT85 外胚葉異形成症4型(毛髪・爪型) 常染色体顕性または常染色体潜性
GRHL2 外胚葉異形成・低身長症候群、難聴(DFNA28)、後部多形性角膜ジストロフィー4型 外胚葉異形成・低身長:常染色体潜性/難聴・角膜:常染色体顕性

※病名と遺伝のしかたは、OMIMの登録番号にもとづき、公開されている遺伝子データベース(UniProtなど)で確かめたもの(2026年10月確認)。「研究中」は、病気との関係がまだはっきり登録されていない遺伝子です。

TP63に関係する症候群と、口唇口蓋裂・手足・涙や唾液の症状を伴う型

外胚葉の症状に、口唇口蓋裂・手足の指の形の変化(裂手裂足など)・涙腺や唾液腺の症状が加わる型です。涙や唾液の出にくさ、指の形の変化が目立つ場合は、ADULT症候群の遺伝子検査も選択肢になります。

🧬 TP63に関係する症候群と、口唇口蓋裂・手足・涙や唾液の症状を伴う型の遺伝子(12遺伝子)

遺伝子 主な病気 遺伝のしかた
TP63 EEC症候群3型、AEC症候群(ヘイ・ウェルズ症候群)、ADULT症候群、ラップ・ホッジキン症候群、肢乳房症候群、裂手裂足奇形4型 常染色体顕性
NECTIN1 マルガリータ島型外胚葉異形成症(口唇口蓋裂・外胚葉異形成症1型) 常染色体潜性
NECTIN4 外胚葉異形成・合指症候群1型 常染色体潜性
RIPK4 バルトソカス・パパス症候群、CHAND症候群(縮毛・眼瞼癒着・爪の形成異常) 常染色体潜性
CDH3 若年性黄斑ジストロフィーを伴う先天性乏毛症、外胚葉異形成・裂手裂足・黄斑ジストロフィー(EEM症候群) 常染色体潜性
CDH1 眼瞼裂口唇歯症候群1、びまん性胃がんと乳がん症候群(遺伝性びまん性胃がん) 常染色体顕性
FGF10 涙腺・唾液腺無形成、LADD症候群3型 常染色体顕性
FGFR2 LADD症候群1型、ビア・スティーブンソン脳回状頭皮症候群、クルーゾン症候群・アペール症候群などの頭蓋骨縫合早期癒合症 常染色体顕性
FGFR3 LADD症候群2型、黒色表皮腫を伴うクルーゾン症候群、軟骨無形成症・軟骨低形成症など 常染色体顕性
TBX3 尺骨乳房症候群 常染色体顕性
KCTD1 頭皮・耳・乳頭症候群、歯根の形成異常(歯根異形成症) 常染色体顕性
PRKD1 先天性心疾患と外胚葉異形成 常染色体顕性

※病名と遺伝のしかたは、OMIMの登録番号にもとづき、公開されている遺伝子データベース(UniProtなど)で確かめたもの(2026年10月確認)。「研究中」は、病気との関係がまだはっきり登録されていない遺伝子です。

毛髪・爪・皮膚(角化)の型

髪の量や形(乏毛症・縮毛・連珠毛)、爪が厚くなる病気(先天性爪甲厚硬症)、手のひら・足の裏の皮膚が厚くなる病気(掌蹠角化症)などの遺伝子です。KRTで始まる遺伝子は、髪や皮膚の丈夫さを支えるケラチンの遺伝子です。皮膚の角化が中心なら掌蹠角化症の遺伝子検査、水ぶくれ(水疱)が中心なら表皮水疱症の遺伝子検査、難聴を伴うなら症候性難聴の遺伝子検査も選択肢になります。

🧬 毛髪・爪・皮膚の遺伝子(38遺伝子)

遺伝子 主な病気 遺伝のしかた
APCDD1 乏毛症1型 常染色体顕性
CDSN 乏毛症2型、ピーリングスキン症候群1型 乏毛症:常染色体顕性/ピーリングスキン:常染色体潜性
DSG4 乏毛症6型 常染色体潜性
HR 先天性全身性無毛症、丘疹を伴う無毛症、乏毛症4型 無毛症:常染色体潜性/乏毛症4型:常染色体顕性
KRT25 常染色体潜性の縮毛症3型 常染色体潜性
KRT71 乏毛症13型 常染色体顕性
KRT83 連珠毛3型、進行性対称性紅斑角皮症5型 連珠毛:常染色体顕性/紅斑角皮症:常染色体潜性
LIPH 乏毛症7型・常染色体潜性の縮毛症2型 常染色体潜性
LPAR6 常染色体潜性の縮毛症1型・乏毛症8型 常染色体潜性
LSS 乏毛症14型、脱毛・知的障害症候群4型、白内障44型 常染色体潜性
RPL21 乏毛症12型 常染色体顕性
SNRPE 乏毛症11型 常染色体顕性
SOX18 乏毛症・リンパ浮腫・毛細血管拡張症候群 常染色体顕性または常染色体潜性
ABCA5 病気との関係を研究中の遺伝子 研究中
ANTXR1 GAPO症候群 常染色体潜性
KRT1 表皮融解性角化症1型、表皮融解性掌蹠角化症2型など 常染色体顕性
KRT9 表皮融解性掌蹠角化症1型 常染色体顕性
KRT14 単純型表皮水疱症、ネーゲリ・フランチェスケッティ・ヤダソーン症候群、網状色素性皮膚症 常染色体顕性(単純型表皮水疱症の一部は常染色体潜性)
KRT16 先天性爪甲厚硬症1型、限局性非表皮融解性掌蹠角化症1型 常染色体顕性
KRT17 先天性爪甲厚硬症2型、多発性脂腺嚢腫 常染色体顕性
KRT6A 先天性爪甲厚硬症3型 常染色体顕性
KRT6B 先天性爪甲厚硬症4型 常染色体顕性
KRT6C 非表皮融解性掌蹠角化症(限局性・びまん性) 常染色体顕性
TRPV3 オルムステッド症候群1型、限局性非表皮融解性掌蹠角化症2型 常染色体顕性
MBTPS2 IFAP症候群1型、X連鎖オルムステッド症候群、X連鎖禿頭性棘状毛包角化症 X連鎖潜性
DSP 線状掌蹠角化症2型、縮毛と角化症を伴う拡張型心筋症、不整脈原性右室心筋症8型 掌蹠角化症・右室心筋症:常染色体顕性/縮毛と角化症を伴う心筋症:常染色体潜性
JUP ナクソス病、不整脈原性右室心筋症12型 ナクソス病:常染色体潜性/右室心筋症12型:常染色体顕性
KANK2 掌蹠角化症と縮毛、ネフローゼ症候群16型 常染色体潜性
GJA1 眼歯指異形成症、掌蹠角化症と先天性脱毛1型 常染色体顕性(眼歯指異形成症の一部は常染色体潜性)
GJB2 KID症候群(角膜炎・魚鱗癬・難聴)、ボーウィンケル症候群、バート・パンプリー症候群、難聴(DFNB1A・DFNA3A) 皮膚症状を伴う型:常染色体顕性/難聴DFNB1A:常染色体潜性
SPINK5 ネザートン症候群 常染色体潜性
CLDN1 新生児魚鱗癬・硬化性胆管炎症候群(NISCH症候群) 常染色体潜性
PIGL CHIME症候群 常染色体潜性
PKP1 外胚葉異形成・皮膚脆弱症候群 常染色体潜性
SMARCAD1 無指紋症、バサン症候群、ヒュリエ症候群 常染色体顕性
PORCN 限局性真皮低形成(ゴルツ症候群) X連鎖顕性
TWIST2 セトレイス症候群(限局性顔面皮膚形成異常3型)、眼瞼欠損・巨口症候群、バーバー・セイ症候群 セトレイス症候群:常染色体潜性/ほかの2つ:常染色体顕性
CTSC パピヨン・ルフェーブル症候群、ハイム・ムンク症候群 常染色体潜性

※病名と遺伝のしかたは、OMIMの登録番号にもとづき、公開されている遺伝子データベース(UniProtなど)で確かめたもの(2026年10月確認)。「研究中」は、病気との関係がまだはっきり登録されていない遺伝子です。

歯の数・形・質に症状が出る型

歯が生えない・少ない、歯の形や質が変わる病気の遺伝子です。歯の数だけが少ない場合は部分性無歯症の遺伝子検査、歯の表面がもろい場合はエナメル質形成不全症の遺伝子検査も選択肢になります。

🧬 歯の数・形・質に症状が出る型の遺伝子(7遺伝子)

遺伝子 主な病気 遺伝のしかた
MSX1 ウィトコップ型外胚葉異形成症(歯・爪症候群、外胚葉異形成症3型)、選択的歯数不足症1、口唇口蓋裂5型(症候群ではない型) 常染色体顕性
AXIN2 乏歯症-大腸がん症候群 常染色体顕性
DLX3 毛髪歯骨症候群、エナメル質形成不全症4型 常染色体顕性
SMOC2 象牙質異形成症1A型 常染色体潜性
ROGDI コールシュッター・テンツ症候群(エナメル質形成不全とてんかん) 常染色体潜性
ATP6V1B2 ジンマーマン・ラバンド症候群2型、爪の形成異常を伴う先天性難聴(DDOD症候群) 常染色体顕性
PEX1 ハイムラー症候群1型(エナメル質の形成不全・爪の変化・難聴)、ペルオキシソーム形成異常症(ツェルヴェーガー症候群スペクトラム) 常染色体潜性

※病名と遺伝のしかたは、OMIMの登録番号にもとづき、公開されている遺伝子データベース(UniProtなど)で確かめたもの(2026年10月確認)。「研究中」は、病気との関係がまだはっきり登録されていない遺伝子です。

ほかの臓器にも症状が出る症候群(繊毛病・DNA修復・そのほか)

外胚葉の症状に、骨・心臓・腎臓・神経・光線過敏などが加わる症候群の遺伝子です。ERCC2・ERCC3・GTF2H5などは、紫外線で傷ついたDNAを直すしくみにかかわり、色素性乾皮症や毛髪硫黄欠乏症(髪がもろく折れやすい病気)の原因になります(色素性乾皮症の遺伝子検査・コケイン症候群の遺伝子検査)。EVC・EVC2・IFT122・IFT43は細胞の「一次繊毛」の働きにかかわる遺伝子で、繊毛病のなかまです(繊毛病の遺伝子検査)。

🧬 ほかの臓器にも症状が出る症候群の遺伝子(24遺伝子)

遺伝子 主な病気 遺伝のしかた
ERCC2 色素性乾皮症D群、光線過敏性の毛髪硫黄欠乏症1型、COFS症候群2型 常染色体潜性
ERCC3 色素性乾皮症B群、光線過敏性の毛髪硫黄欠乏症2型 常染色体潜性
ERCC8 コケイン症候群A型、紫外線高感受性症候群2型 常染色体潜性
GTF2H5 光線過敏性の毛髪硫黄欠乏症3型 常染色体潜性
GTF2E2 非光線過敏性の毛髪硫黄欠乏症6型 常染色体潜性
MPLKIP 非光線過敏性の毛髪硫黄欠乏症4型 常染色体潜性
RNF113A 非光線過敏性の毛髪硫黄欠乏症5型 X連鎖
EVC エリス・ファンクレフェルト症候群、ワイヤーズ型先端顔面異骨症 エリス・ファンクレフェルト症候群:常染色体潜性/ワイヤーズ型:常染色体顕性
EVC2 エリス・ファンクレフェルト症候群、ワイヤーズ型先端顔面異骨症 エリス・ファンクレフェルト症候群:常染色体潜性/ワイヤーズ型:常染色体顕性
IFT122 頭蓋外胚葉異形成症1型 常染色体潜性
IFT43 頭蓋外胚葉異形成症3型、短肋骨胸郭異形成症18型、網膜色素変性症81型 常染色体潜性
BCS1L ビョルンスタッド症候群(縮れて折れやすい毛と難聴)、GRACILE(グレイシル)症候群、ミトコンドリア複合体III欠損症 常染色体潜性
INSR ラブソン・メンデンホール症候群、妖精症 常染色体潜性
POC1A SOFT症候群(低身長・爪の形成異常・顔貌の特徴・乏毛症) 常染色体潜性
RIN2 MACS症候群(大頭・脱毛・皮膚弛緩・側弯) 常染色体潜性
UBR1 ジョハンソン・ブリザード症候群 常染色体潜性
TBC1D24 DOORS症候群(難聴・爪の形成異常・骨の変化・知的障害・てんかん)、てんかん・難聴のいくつかの型 DOORS症候群:常染色体潜性(難聴の一部は常染色体顕性)
CTSK 濃化異骨症 常染色体潜性
TRPS1 毛髪鼻指節症候群Ⅰ型、毛髪鼻指節症候群Ⅲ型 常染色体顕性
ARID1B コフィン・シリス症候群1型 常染色体顕性
KAT6B SBBYSS症候群、ゲニトパテラー症候群 常染色体顕性(多くは新しく起きた変化)
SETBP1 シンツェル・ギーディオン症候群、常染色体顕性知的発達障害29型 常染色体顕性
SLC25A24 フォンテーヌ早老症候群 常染色体顕性
CRYL1 病気との関係を研究中の遺伝子 研究中

※病名と遺伝のしかたは、OMIMの登録番号にもとづき、公開されている遺伝子データベース(UniProtなど)で確かめたもの(2026年10月確認)。「研究中」は、病気との関係がまだはっきり登録されていない遺伝子です。

当院のNIPTで調べられる遺伝子

98の遺伝子のうち7つは、当院のNIPT(新型出生前診断)の単一遺伝子の項目にも含まれています。ただし、外胚葉異形成症の中心となるEDA・EDAR・EDARADD・WNT10A・TP63・IKBKGは、どちらのプランにも含まれていません。汗・歯・髪の典型的な外胚葉異形成症を、NIPTで調べることはできません。

🤰 当院のNIPTの対象に含まれる遺伝子

遺伝子 主な病気 ダイヤモンドプラン インペリアルプラン
FGFR2 LADD症候群1型、クルーゾン症候群など ○ ○
FGFR3 LADD症候群2型、軟骨無形成症など ○ ○
KAT6B SBBYSS症候群、ゲニトパテラー症候群 ○ ○
SLC25A24 フォンテーヌ早老症候群 ○ ○
ARID1B コフィン・シリス症候群1型 —(対象外) ○
SETBP1 シンツェル・ギーディオン症候群 —(対象外) ○
TRPS1 毛髪鼻指節症候群 —(対象外) ○

※当院のNIPTの対象遺伝子一覧(2026年10月時点)と照らし合わせたもの。

この病気の原因遺伝子のうちFGFR2・FGFR3・KAT6B・SLC25A24は、当院のNIPT(ダイヤモンドプラン・インペリアルプラン)でも調べられます。ARID1B・SETBP1・TRPS1は、インペリアルプランだけで調べられます。どちらのプランも、赤ちゃんに新しく起きた遺伝子の変化(de novo変異)を調べるものです(56遺伝子のde novo変異NIPT)。当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。陽性の場合は、確定検査(羊水検査・絨毛検査)を院内で受けられます。NIPT全体についてはNIPTのページをご覧ください。

98遺伝子の全リスト

対象遺伝子(98遺伝子)を開く

ABCA5, ANTXR1, APCDD1, ARID1B, ATP6V1B2, AXIN2, BCS1L, CDH1, CDH3, CDSN, CLDN1, CRYL1, CTSC, CTSK, DLX3, DSG4, DSP, EDA, EDAR, EDARADD, ERCC2, ERCC3, ERCC8, EVC, EVC2, FGF10, FGFR2, FGFR3, GJA1, GJB2, GJB6, GRHL2, GTF2E2, GTF2H5, HOXC13, HR, IFT122, IFT43, IKBKG, INSR, JUP, KANK2, KAT6B, KCTD1, KDF1, KREMEN1, KRT1, KRT14, KRT16, KRT17, KRT25, KRT6A, KRT6B, KRT6C, KRT71, KRT74, KRT83, KRT85, KRT9, LEF1, LIPH, LPAR6, LSS, MBTPS2, MPLKIP, MSX1, NECTIN1, NECTIN4, NFKBIA, ORAI1, PEX1, PIGL, PKP1, POC1A, PORCN, PRKD1, RIN2, RIPK4, RNF113A, ROGDI, RPL21, SETBP1, SLC25A24, SMARCAD1, SMOC2, SNRPE, SOX18, SPINK5, TBC1D24, TBX3, TP63, TRAF6, TRPS1, TRPV3, TSPEAR, TWIST2, UBR1, WNT10A(98遺伝子)

5. この検査でわかること・わからないこと

この検査でわかるのは、98の遺伝子にある小さな変化(1文字の置き換わりや、小さな欠けや入り込み)と、遺伝子のまとまった欠失・重複の一部です。一方で、遺伝子検査には必ず限界があります。

🔬 検査でわかること・わからないこと

項目 内容
調べる範囲 98遺伝子の、たんぱく質を作る部分(エキソン)と、そのつなぎ目(スプライス部位)
読み取りの精度 調べる範囲の99%以上を、同じ場所を20回以上くり返して読み取る(≧99% at 20x)。くり返し読むほど、読み間違いを見分けやすくなります
欠失・重複 1つの遺伝子がまるごと欠ける・増える変化(頬の粘膜・血液の検体)と、2つ以上続くエキソンの欠失・重複(血液の検体のみ)を調べられます。エキソン1つだけの欠失・重複は、見つかることはありますが、ふつうは検出の対象外です。見つかった欠失・重複は、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します
読み取りが難しい場所 よく似た配列(偽遺伝子など)がある場所は、技術的に判定が難しいことがあります。読み取りが不十分なところは、サンガー法という別の方法で確かめます
わからない変化 染色体の組み換わり(転座・逆位)、同じ配列の長いくり返しの伸び(リピート伸長)、遺伝子の働きを調節する場所(プロモーター)や、エキソンから20塩基以上離れたイントロンの変化
モザイク・がんの組織 体の一部の細胞だけにある変化(体細胞モザイク)を見つけることは目的としていません。腫瘍の組織での検査は対象外です

※当院の検査ページの記載による。

  • ●陰性でも否定はできません:外胚葉異形成症は原因の遺伝子がとても多く、低汗性外胚葉異形成症でも約10%は原因がわかっていません[1]。この検査で原因が見つからなくても、外胚葉異形成症ではない、とは言えません。
  • ●意義がまだわからない変化(VUS):病気の原因かどうかまだ判断できない変化が見つかることがあります。
  • ●調べた目的と別の病気の手がかり:98の遺伝子には、心臓の病気やがんの体質にもかかわる遺伝子(DSP・JUP・CDH1・AXIN2など)が含まれます。こうした結果の伝え方は、当院の二次的所見の開示方針に沿って、遺伝カウンセリングでご相談します。

6. 結果が出たあと:わかると何ができるか

結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。陽性・陰性・VUSのそれぞれで、次にできることが違います。

陽性のとき:熱中症への備え・歯の治療計画・皮膚や目のケア

原因の遺伝子がわかると、病名がはっきりし、何に備えればよいかが決まります。低汗性外胚葉異形成症について、GeneReviewsは次のような備えを挙げています[1]。

  • ●暑さへの備え:暑い時期は十分な水分と涼しい環境(エアコン、ぬらしたTシャツ、霧吹きなど)を用意し、冷却ベストが役に立つ人もいます。強い暑さを避け、熱性けいれんにつながらないよう気をつけます[1]。保育園・幼稚園・学校と、体温が上がったときの対応を前もって決めておくと安心です。
  • ●歯の治療計画:1歳までに歯科で診てもらい、その後は6〜12か月ごとに通院します。小さいころから、詰め物や入れ歯(義歯)、円錐形の歯の形を整える治療、必要に応じた矯正などを行います。下あごの前歯の部分へのインプラントは7歳以上の子どもで成功した報告があり、大人でも受けられます。子どもの入れ歯は、成長に合わせて約2.5年ごとに作り直すのが一般的とされています[1]。
  • ●むし歯の予防:唾液の代わりになるもの、フッ素、溝をふさぐ処置(シーラント)などで予防します[1]。
  • ●皮膚・目・鼻:小児慢性特定疾病情報センターの解説では、皮膚の保湿、目の乾きや鼻の乾燥への対処、髪をやさしく洗うこと、爪の手入れなどが勧められています(2026年10月時点で確認)。

エクソーム・ゲノム検査の研究をまとめたACMGの系統的レビューでも、遺伝子検査のあとで最も多く報告された変化は、診療方針や、妊娠・出産に関する判断の変化でした[4]。病名がつくことは、次の一手を決めるための出発点になります。また、病名がわかると、使える制度(第7章)を確かめやすくなります。

ご家族の検査

あなたの1回の検査で原因の変化がわかると、ご両親・きょうだい・お子さんは、同じ場所を調べることで、自分が変化をもっているかを確かめられます。とくにX連鎖の型では、発症した男の子のお母さん・お姉さん・妹さん・おばさんが保因者かどうかが、それぞれの将来の妊娠の計画に直接つながります。

乳がん・卵巣がんの遺伝子(BRCA1/2)の検査を受けた人を追った研究では、検査の前に「家族のため」を大事な理由に挙げた人は約25%で、遺伝カウンセリングのあとには、自分以外の人のための動機(利他的な動機)が有意に増えました[5]。病気は違いますが、ご自身の結果がご家族を守る手がかりになる、という考え方は外胚葉異形成症にも通じます。

妊娠を考えるとき:保因者検査と出生前診断

妊娠の前に、ご自身やパートナーが変化をもっているかを知っておけば、出生前診断まで計画できます。GeneReviewsは、ご家族で原因の変化がわかっていれば、妊娠中の出生前検査や着床前の検査が可能としています[1]。

ご家族で原因の遺伝子の変化がわかっていれば、妊娠したときに赤ちゃんで同じ変化があるかを調べられます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。当院では羊水検査・絨毛検査を院内で行っています(2025年6月から産婦人科を併設)。出生前診断を行えるかは、病気の重さや国内の指針をふまえて個別に判断しますので、妊娠を考えている段階からご相談ください。妊娠中に赤ちゃんの遺伝子を広く調べる出生前全エクソーム(WES)検査にも対応しています。

当院の拡大版保因者スクリーニング(女性版787遺伝子)の対象遺伝子には、この検査の遺伝子のうちEDA・WNT10A・EVC・EVC2などが含まれています。EDAR・EDARADD・IKBKG・TP63は含まれていません。男性版(714遺伝子)にはX連鎖の遺伝子は含まれないため、EDAの保因者かどうかは女性版で調べます。ほかの遺伝子が対象かどうかは、それぞれの遺伝子一覧でご確認ください。妊娠中の方には、NIPTと同じ日に採血できるカップルの保因者検査「ファミリーセーフティ プラス」(女性787遺伝子・男性714遺伝子。単独ではお受けできません)もあります。

💡 研究中:おなかの中の赤ちゃんへの治療(臨床試験の段階)

X連鎖低汗性外胚葉異形成症では、EDAが作るはずのタンパク質の働きを補う薬(ER004)を、妊娠中に羊水の中へ注射する研究が進められています。GeneReviewsによると、この病気の男の子の胎児3人(双子の2人は妊娠26週と31週、もう1人は26週)に投与したところ、生まれたあと汗をふつうにかけるようになり、生後14か月・22か月までに熱のこもりや呼吸器の病気はみられませんでした。一方、乳歯の本数は改善しませんでした。現在は、EDAの変化をもつ男の子の胎児を対象にした第2相の臨床試験が行われています[1]。これは臨床試験の段階の治療で、確立した治療ではありません。ただ、こうした研究に参加できるかどうかを考えるときにも、妊娠の前にご家族の原因の変化がわかっていることが出発点になります。

海外でPGT-M(着床前遺伝学的検査)を考えている方へ:英語の検査結果をお渡しできます

PGT-Mは、体外受精でできた受精卵(胚)の一部の細胞を調べ、ご家族でわかっている遺伝子の変化を受け継いでいない胚を選んで子宮に戻す検査です。当院には「海外でPGT-Mを受けたい」というお問い合わせが多く寄せられています。当院は体外受精・PGT-Mを行っていません。当院でできるのは、原因遺伝子の確定、英語の検査結果のご用意、遺伝カウンセリング、ご家族の遺伝子検査、妊娠したあとの絨毛検査・羊水検査(院内)です。

結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。

欧州ヒト生殖医学会(ESHRE)の指針[6]では、PGT-Mの準備として、①病気の原因と確かめられた遺伝子の変化があること、②どの遺伝子のどんな変化かが書かれた元の報告書(認定を受けた検査室のもの)、③ご家族の検体が求められます。受精卵からとれるDNAはごくわずかで、2本あるうちの片方が読み取れないこと(アレルドロップアウト)などで判定を誤るおそれがあるため、変化の両側にある目印(多型マーカー)で「変化が乗った染色体」を家系の中でたどる方法(ハプロタイプ解析)を組み合わせるからです[6]。

ご本人の検査結果だけでは、PGT-Mの準備はふつう整いません。指針の目安は、X連鎖の病気では患者さん、および/または発症していない方(保因者と確かめられた方が望ましい)、常染色体顕性の病気では患者さん少なくとも1人(できれば2人)、および/または発症していない方1人、常染色体潜性の病気では患者さん(2つの変化をもつ方)・保因者・保因者でない方のDNAです[6]。血縁者がいない場合、指針はご夫婦の目印を調べたうえで、治療周期の受精卵や1個の精子を調べる方法を挙げていますが、できるかどうかは施設や家系の状況で大きく変わり、受けられないこともあります。新しく起きた変化(de novo)で、これまでに妊娠歴のないご夫婦では、一般的なハプロタイプ解析の方法は使えないとされています[6]。

海外でPGT-Mを考えている方は、ご本人の検査の段階から、検査に協力していただけるご家族(とくに同じ変化をもつ方)がいるかを考えておくことが大切です。当院では、ご家族の遺伝子検査も、遺伝カウンセリングのうえでお受けしています。

臨床遺伝専門医としての判断をお伝えすると、意義がまだわからない変化(VUS)は病気の原因と確かめられていないため、そのままPGT-Mの対象にするのは難しいと考えます。常染色体潜性の型では、ご夫婦それぞれがどの変化をもっているかを確かめておく必要があり、パートナーの検査や保因者検査も大切です。海外の施設によって求められる書類や検体は違うので、受ける予定の施設にも前もってご確認ください。

⚠️ PGT-Mは診断ではなく、スクリーニング検査です

PGT-Mは受精卵のごく一部の細胞を調べる検査で、結果が赤ちゃんの状態と食い違うことがあります。ESHREの指針は、多くの施設で誤った結果になる割合は全体で1〜3%まで下げられているとしたうえで、PGTのあとに妊娠したすべての方に出生前診断を提案すべきとしています[7]。当院は、PGT-Mで選んだ胚で妊娠した場合も、妊娠中に赤ちゃんそのものを調べる確定検査(絨毛検査・羊水検査)で確かめることが望ましいと考えています。当院では絨毛検査・羊水検査を院内で行っており、海外でPGT-Mを受けたあとの妊娠でもご相談いただけます。

日本では、日本産科婦人科学会の「重篤な遺伝性疾患を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-M)に関する指針」(2026年9月改定)にもとづき、PGT-Mは症例ごとに学会の審査を受け、そのうえで実施施設の倫理委員会が承認して行われます。この指針の「重篤」は、原則として、成人に達する前に日常生活が著しく損なわれる、または生存が危ぶまれる状態になる疾患で、申請の時点で有効な治療法がないか、治療法があっても高度かつ侵襲度の高いもの、とされています。成人に達する前に生存が危ぶまれるわけではないが、日常生活が著しく損なわれる状態が現れる疾患は、その病気の専門医の意見書などを追加で出す仕組みになっています(細則)。審査が続いている申請も多く、学会の発表では、2025年7月〜2026年6月の1年間に審査した73件のうち、37件が審査継続中でした(2026年9月発表)。

英国では、公的機関(HFEA)がPGT-Mを使える病気の一覧を公表しており、2,000を超える病気が載っています(2026年9月17日更新の一覧で2,067)。一覧にない病気でも、施設を通じて申請でき、HFEAが審査します。米国には、PGTを直接規制する連邦や州の法律はなく、主に医師・施設の判断で行われています[8]。米国生殖医学会(ASRM)の倫理委員会は2024年、大人になってから発症する病気に対するPGT-Mも倫理的に許容されうるとする意見を出しています[9]。どの病気がPGT-Mの対象になるかは、国や制度、施設によって違います。同じ病気でも、ある国では対象になり、別の国では個別の審査が必要になることがあります。受ける国の制度と、施設の条件を前もって確かめてください。準備に必要なことは海外でPGT-Mを考えている方へで詳しく解説しています。

陰性・VUSのとき

98の遺伝子に原因が見つからなかった場合も、外胚葉異形成症が否定されたわけではありません(第5章)。症状に合わせて、ほかのパネル検査や全エクソーム検査を考えます。VUSは、それだけで診断やご家族の発症予測、PGT-Mの判断には使いません。ただし、変化の意味を調べるために、ご家族で同じ変化があるかを確かめる検査を行うことがあります。研究が進んで、のちに意味がはっきりすることもあります(VUSの扱い)。結果の報告書の読み方は遺伝子検査結果の見かたで解説しています。

7. 日本の制度(2026年10月時点)

「無汗性外胚葉形成不全」は、小児慢性特定疾病の皮膚疾患群の対象疾病として、小児慢性特定疾病情報センターに掲載されています(2026年10月時点で確認)。一方、厚生労働省の指定難病(348疾病)の一覧には、外胚葉異形成症・無汗性外胚葉形成不全という名前の病気は見当たりません(2026年10月時点で確認)。指定難病の「先天性無痛無汗症」は名前が似ていますが、別の病気です。

医療費の助成を受けるには、それぞれの制度の認定の条件を満たし、申請する必要があります。外胚葉異形成症のなかでも、型によって対象になる制度が違うことがあるため、病名がはっきりすることが手続きの手がかりになります。認定の基準や申請の方法は、小児慢性特定疾病情報センター・難病情報センターや、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。

8. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。唾液・口の内側の粘膜・血液のいずれの検体でも、オンライン診療で受けられます。

ご予約
▶
遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
▶
検体の採取お支払い後にキット
▶
結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

💴 費用・日数・検体

項目 内容
対象遺伝子 外胚葉異形成症・関連疾患の98遺伝子
検査費用 税込330,000円
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査費用とは別
結果までの期間 2〜3週間
オプション 至急(結果までの期間が約7日短くなります):55,000円/VUS除外:無料
検体 血液(EDTA採血管4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬の粘膜(口の内側の粘膜)、唾液(ご要望により採取キットをお送りします)
オンライン診療 唾液・口の内側の粘膜・血液いずれも可能。血液の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします
結果の報告書 基本は日本語版。英語版はご希望の方に(検査の時にお申し出ください)。双方は追加料金5,500円

※ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。

オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただく流れです。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。検体採取キットは、検査料金をお支払いいただいたあとにお送りします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。検体の取り違えを防ぎ、検査に使える品質を保つためです。

遺伝カウンセリングでは、検査で何がわかり、何がわからないか、結果がご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します(遺伝カウンセリングとは)。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。

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📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

臨床遺伝専門医が常駐し、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明してからマイページにアップします。

お問い合わせはこちら | 歯の数だけが気になる方は部分性無歯症の遺伝子検査

9. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【一度わかったことは、一生の備えになる】

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。

遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。外胚葉異形成症は、X連鎖の型では、変化をもつ女性にも軽い症状が出たり、ほとんど出なかったりする病気です。「自分には症状がないから」という見た目の印象だけでは、保因者かどうかはわかりません。生まれ持った遺伝子は一生変わらないので、一度わかったことは、お子さんの暑さへの備えや歯の治療計画にも、ご家族の妊娠の計画にも、この先ずっと使える情報になります。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。たとえば、家族歴が濃いものの、ご本人は大学を卒業して会社に勤めていた方が、念のため検査を受けたところ、染色体の微小欠失が見つかったことがあります。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。

わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。知ったうえで結婚や妊娠を考えたい方には、出生前診断まで当院で続けて支えられる体制を整えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 外胚葉異形成症とはどんな病気ですか?

汗腺・歯・毛・爪など、外胚葉からできる組織のうち2つ以上に生まれつきの変化が出る遺伝性の病気の総称です。汗が出にくい、歯の数が少ない、髪が薄い、爪がもろいなどの症状があり、原因の遺伝子によって症状の組み合わせや遺伝のしかたが違います。代表的な型は、汗・歯・髪に症状が出る低汗性(無汗性)外胚葉異形成症です。

Q2. 外胚葉異形成症は遺伝しますか?次の子の確率は?

原因の遺伝子によって違います。最も多いEDAによる型はX連鎖で、お母さんが変化を1つもつ場合、男の子は2分の1で発症し、女の子は2分の1で変化を受け継ぎます。常染色体潜性の型ではご両親とも保因者のときお子さん1人ごとに4分の1、常染色体顕性の型では発症した方のお子さん1人ごとに2分の1です。遺伝子検査で原因を確かめると、ご家族ごとの確率を具体的にお伝えできます。

Q3. 外胚葉異形成症の寿命は?

遺伝性疾患の解説書(GeneReviews)では、低汗性外胚葉異形成症の方の体の成長や発達は、ほかの点では正常範囲とされています。いちばん気をつけたいのは乳幼児期の熱のこもり(うつ熱)で、重くなると命に関わることがあります。成人では、暑さを避ける工夫をすれば予後は一般に悪くないとされています。

Q4. 外胚葉異形成症は難病指定されていますか?

「無汗性外胚葉形成不全」は、小児慢性特定疾病の皮膚疾患群の対象疾病として掲載されています(2026年10月時点)。一方、指定難病の一覧には、外胚葉異形成症・無汗性外胚葉形成不全という名前の病気は見当たりません。医療費の助成には、それぞれの制度の認定の条件を満たして申請する必要があります。

Q5. 汗が出にくい子の熱中症対策は?

暑い時期は十分な水分と涼しい環境(エアコン、ぬらしたTシャツ、霧吹きなど)を用意し、冷却ベストが役に立つこともあります。強い暑さを避け、熱性けいれんにつながらないよう気をつけます。保育園・幼稚園・学校と、体温が上がったときの対応を前もって決めておくと安心です。

Q6. 歯が少ないと言われました。どの検査を選べばよいですか?

歯の数が少ないことに加えて、汗が出にくい・髪が薄い・爪がもろいなどの症状があれば、このページの外胚葉異形成症の検査が向いています。歯の数だけが少ない場合は部分性無歯症の遺伝子検査、歯の表面がもろい・変色する場合はエナメル質形成不全症の遺伝子検査が選択肢になります。迷ったら、遺伝カウンセリングで症状を伺って一緒に選びます。

Q7. 検査で異常が見つからなければ、外胚葉異形成症ではないのですか?

そうとは言えません。外胚葉異形成症は原因の遺伝子がとても多く、低汗性外胚葉異形成症でも約10%は原因がわかっていません。また、この検査では見つけられない種類の変化もあります。原因が見つからなかった場合は、症状に合わせて全エクソーム検査など次の検査を考えます。

Q8. 海外でPGT-Mを受けたいのですが、英語の検査結果はもらえますか?

はい。英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。ただし、ご本人の検査結果だけでは、PGT-Mの準備はふつう整いません。ご家族の検体が必要になることが多いため、検査の段階からご相談ください。当院は体外受精・PGT-Mを行っていません。

🧬 一度の検査で、お子さんの備えとご家族のこれからを考える

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。外胚葉異形成症の原因の遺伝子がわかれば、熱中症への備えや歯の治療計画だけでなく、お母さんやきょうだいが保因者かどうか、次の妊娠でどう備えるかを考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断まで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

参考文献

  • [1] Wright JT, Grange DK, Fete M. Hypohidrotic Ectodermal Dysplasia. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2003 (Updated 2025 Mar 20). [NCBI Bookshelf NBK1112]
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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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