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色素性乾皮症(XP)の遺伝子検査|原因の9遺伝子で型を調べる・遺伝する確率と寿命・日光対策

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

色素性乾皮症(XP)の遺伝子検査

色素性乾皮症(XP)は、紫外線で傷ついたDNAを直すしくみの遺伝子に変化があり、わずかな日光でも皮膚や目に強い影響が出る、常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)の病気です。「太陽に当たれない病気」と呼ばれることもあります。この遺伝子検査は、原因となる9つの遺伝子をまとめて調べ、どの型(A群・バリアント型など)かを明らかにします。生まれ持った遺伝子は一生変わりません。一度の検査でわかった型は、遮光の徹底、皮膚がんや神経の症状の見張り、ご家族の検査、次のお子さんの計画まで、この先ずっと使える情報になります。このページでは、症状・寿命の見通し・遺伝する確率と、検査でわかることを臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. この検査で何がわかりますか?

色素性乾皮症の原因になる9遺伝子(XPA・XPC・ERCC1〜5・DDB2・POLH)を一度に調べ、どの型かを確かめます。型によって、神経の症状が出るか、皮膚がんにどれだけ注意するかが変わります。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

少しの日光でひどく日焼けする・幼いうちから日の当たる場所にそばかすが多い・若くして皮膚がんができた方、ご家族に色素性乾皮症の方がいて、ご自身が保因者かを知りたい方です。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は唾液・口の内側の粘膜・血液で、オンライン診療でも受けられます。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。ご両親がともに保因者なら、次のお子さんが同じ病気になる確率は4分の1です。ご家族の検査や、意義がまだわからない変化(VUS)の扱いもご説明します。

\ 一生変わらない遺伝子を知って、これからの計画に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

お問い合わせはこちら | どの検査がよいか迷う方へ

1. 色素性乾皮症(XP)とは|「太陽に当たれない病気」の原因と症状

色素性乾皮症(しきそせいかんぴしょう)は、日光の紫外線で傷ついたDNAを直す働きが生まれつき弱いため、わずかな日光でも皮膚や目に障害が起こり、若いうちから皮膚がんができやすくなる遺伝性の病気です。英語の xeroderma pigmentosum の頭文字から「XP」とも呼ばれます。言葉の定義は色素性乾皮症(用語解説)にもまとめています。

原因:紫外線で傷ついたDNAを直せない

紫外線を浴びると、皮膚の細胞のDNAには小さな傷ができます。ふつうはヌクレオチド除去修復というしくみで、傷のある部分を切り取って直しています。色素性乾皮症では、このしくみに関わる遺伝子のどれかに変化があるため、傷が直らずに積み重なり、日焼け・しみ・皮膚がんにつながります[1]。

直すしくみのどの部品が働かないかによって、A群からG群までの相補性群と、傷を乗り越えてDNAを複製する酵素(POLH遺伝子)が働かない「バリアント型(V型)」に分けられます[1]。この検査で調べるのは、この型を決める遺伝子です。

初期症状と発症年齢:赤ちゃんの異常な日焼けと、1〜2歳からのそばかす

色素性乾皮症の約60%の方には、わずかな日光で強い日焼けを起こした経験があり、日の当たる場所のそばかすのような色素斑は、中央値で1〜2歳から目立ってきます[1]。難病情報センターも、日焼けを繰り返すうちに1〜2歳で日の当たる部位にそばかす様の色素斑が目立ってくると説明しています(2026年10月時点で確認)。

一方で、日焼けが強く出ない型もあります。難病情報センターは、C群やバリアント型では、強い日焼けよりも、日の当たる場所に幼児期から色素斑や色の抜けた斑がたくさん出ることが特徴としています。「ひどい日焼けをしたことがないから違う」とは言い切れないのは、このためです。

皮膚がん・目・神経(難聴・知的障害)の症状

米国国立衛生研究所(NIH)で1971〜2009年に診た106人の研究では、20歳未満の色素性乾皮症の方で、メラノーマ以外の皮膚がんは一般の人の10,000倍、メラノーマは2,000倍に増えていました[2]。最初のメラノーマ以外の皮膚がんが見つかった年齢の中央値は9歳でした[2]。

目の症状は皮膚の症状と同じくらい多く、まぶしさ(羞明)、結膜の充血、重い角膜炎、まぶたの色素沈着などがみられ、10歳になる前に出ることもあります[1]。

さらに、型によっては神経の症状が出ます。後天性の小頭症、腱反射の低下や消失、高い音から聞こえにくくなる進行性の感音難聴、進行性の知的な低下、運動失調などで、上の106人の研究では24%に進行性の神経の症状がありました[1][2]。亡くなった方を調べた報告では、大脳や小脳の神経細胞が失われていることが主な所見とされています[1]。「色素性乾皮症でなぜ知的障害が起こるのか」という疑問の答えは、神経の細胞が少しずつ失われていくことにあり、日焼けの強さとは別に進みます。どの型で神経の症状が出やすいかは、次の章の表をご覧ください。

日本人に多い理由:A群と、113人に1人の保因者

日本の色素性乾皮症の診療ガイドライン(日本皮膚科学会、英語版2017年)によると、日本の患者さんの55%がA群、約25%がバリアント型です[3]。次いでD群8%、F群7%、C群4%で、E群はまれ、B群は日本では報告がないとされています[3]。日本ではおよそ2万2千人に1人の割合で、患者さんは300〜600人と推定されています(難病情報センター、2026年10月時点で確認)。

日本でA群が多いのは、同じ祖先から受け継がれた、XPA遺伝子の同じ変化(IVS3-1G>C)を持つ人が多いためです。こうした現象を創始者効果といいます。診療ガイドラインは、日本のA群の患者さんの80%がこの変化を2本とも持っているとしています[3]。広島・長崎に住む1,020人の保存血液を調べた研究では、9人(0.88%)がこの変化を1本だけ持つ保因者でした[4]。難病情報センターも、日本では113人に1人がこの変化の保因者だと説明しています。

保因者は症状がなく[1]、ご自身が保因者かどうかは、検査をしなければわかりません。家族に患者さんがいないご夫婦でも、お二人とも保因者であることがありえます。

日光過敏症・白皮症(アルビノ)・コケイン症候群との違い

日に当たると皮膚が赤くなる「日光過敏症(光線過敏症)」は、薬や膠原病など、遺伝ではない原因でも起こります。色素性乾皮症はその中でも、DNAを直すしくみの遺伝子の変化が原因の病気で、遺伝子検査で確かめられます。

「太陽に当たれない病気」としてよく一緒に調べられる白皮症(アルビノ)は、皮膚や髪の色をつくるメラニンが少ない病気で、原因の遺伝子が違います。また、同じDNA修復のしくみに関わる病気にコケイン症候群があり、主な原因遺伝子はERCC6・ERCC8です。ERCC2・ERCC3・ERCC5の変化では、色素性乾皮症とコケイン症候群の特徴をあわせもつ型(XP/CS)が、ERCC2・ERCC3の変化では硫黄欠乏性毛髪発育異常症(TTD)が起こることもあります[1]。症状からどの検査を選ぶかは、第4章の表にまとめました。

2. 型(A〜G群・バリアント型)で寿命・予後が変わる

色素性乾皮症の見通しは、どの型か、とくに神経の症状が出る型かどうかで大きく変わります。遺伝子検査で型がわかると、どこを重点的に見張ればよいかが決まります。

🧬 型ごとの原因遺伝子・日本での多さ・神経の症状

型 原因遺伝子 日本での割合 神経の症状
A群 XPA 55%(最も多い) あり(ほぼ全員。軽度〜重度)
B群 ERCC3 日本では報告なし 軽い神経の症状を伴うことがある
C群 XPC 4% なし
D群 ERCC2 8% ある場合とない場合がある
E群 DDB2 まれ なし
F群 ERCC4 7% ないことが多い(遅れて重い神経の症状が出る例もある)
G群 ERCC5 —(ガイドラインに割合の記載なし) ある場合とない場合がある
バリアント型(V型) POLH 約25% なし

※日本での割合とA群の神経の症状は日本の診療ガイドライン[3]、各型の神経の症状はGeneReviews[1]による。

色素性乾皮症の寿命・予後

難病情報センターは、神経の症状のない型では、若いうちに診断がつき、遮光をきちんと行えば、生命予後は良好だとしています(2026年10月時点で確認)。「太陽に当たれない病気の寿命」が気になって調べている方には、まず、型によって見通しがまったく違うことを知っていただきたいと思います。

米国NIHの106人の研究では、亡くなった理由で多かったのは皮膚がん(34%)と神経の変性(31%)で、神経の変性があった方の死亡年齢の中央値は29歳、なかった方は37歳でした[2]。これは1971年から追跡された米国の患者さんの数字で、早く診断がついて遮光を続けた方の見通しをそのまま表すものではありません。

日本で最も多いA群については、日本の診療ガイドラインが、典型的な経過として、12歳ごろから歩きにくさが出はじめ、15歳ごろに車いすが必要になり、30歳前後で誤嚥・感染などにより亡くなることが多いと記載しています[3]。難病情報センターは、運動機能のピークは6歳ごろで、20歳くらいで歩くことが難しくなると説明しています。進み方には個人差があり、ご本人の経過はご家族や他の方と同じとは限りません。

軽い型と、大人になってから気づく場合

バリアント型(V型)は神経の症状がなく、皮膚の症状だけが出る型です[1][3]。難病情報センターは、C群やバリアント型では、強い日焼けよりも、日の当たる場所に幼児期から色素斑がたくさん出ることが特徴としています。臨床遺伝専門医としては、強い日焼けの経験がない大人の方でも、日の当たる場所のしみが年齢のわりに多い、若くして皮膚がんができた、という場合には、型を調べる意味があると考えています。詳しくは色素性乾皮症バリアント型(XP-V)のページで解説しています。

「軽い型だから遮光しなくてよい」という意味ではありません。神経の症状がない型でも、紫外線による皮膚がんの起こりやすさは残るため、型がわかったうえで遮光と皮膚の見張りを続けることが大切です。

3. 色素性乾皮症は遺伝する? 遺伝する確率と保因者

色素性乾皮症は常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)の病気で、ご両親がともに同じ遺伝子の保因者のとき、お子さん1人ごとに4分の1の確率で発症します[1]。「親から遺伝するの?」という疑問には、「両親が症状のない保因者で、2人から1本ずつ受け継いだときに発症する」とお答えできます。

常染色体潜性遺伝(劣性遺伝):ご両親が保因者なら4分の1

遺伝子は、父親と母親から1本ずつ受け継いだ2本1組で働いています。色素性乾皮症は、2本とも同じ遺伝子に変化があったときに発症します。1本だけに変化がある人は保因者と呼ばれ、症状は出ません[1]。

ご両親がともに保因者の場合、お子さん1人ごとに、発症する確率は25%、症状のない保因者になる確率は50%、どちらでもない確率は25%です[1]。この確率は、上のお子さんがどうだったかとは関係なく、毎回同じです。

きょうだい・お子さん・親族への確率

患者さんのきょうだいは、上と同じく4分の1の確率で発症し、2分の1の確率で保因者です[1]。患者さんご本人がお子さんを持つ場合、お子さんは必ず変化を1本受け継ぐので保因者になります。お子さんが発症するかどうかは、パートナーが同じ遺伝子の保因者かどうかで決まります。

つまり、色素性乾皮症のご家族にとって「次の世代の確率」を考えるうえでいちばんの手がかりになるのは、ご家族のどの遺伝子のどの変化が原因かを確かめることと、パートナーが同じ遺伝子の保因者かどうかを調べることです。

血族結婚(いとこ同士の結婚)と色素性乾皮症

「色素性乾皮症 血族結婚」と調べる方もいます。血縁のある2人は、同じ祖先から同じ遺伝子の変化を受け継いでいることがあるため、2人とも同じ遺伝子の保因者である可能性が、血縁のない2人より高くなります。これは色素性乾皮症に限らず、常染色体潜性遺伝の病気に共通する性質です。

一方で、前の章のとおり、日本ではXPA遺伝子の同じ変化を持つ保因者が多いため、血縁のないご夫婦でも保因者どうしであることがあります。血縁があるかどうかだけで決めず、検査で「わかること」を知ったうえで考えることが大切です。結婚を前に遺伝が気になる方は、結婚前に考えたい遺伝性疾患のリスクもあわせてご覧ください。

4. どんな人が色素性乾皮症の遺伝子検査を受けるとよいか

日光への反応や皮膚・目の症状から色素性乾皮症が疑われる方、ご家族に患者さんがいる方、結婚や妊娠を前にご自身が保因者かを知りたい方に向く検査です。病名と型がわかると、受けるべき検査、気をつけたい生活の場面、使える制度が決まり、次の一手がはっきりします。

受けるとよい人

  • ●少しの日光で、水ぶくれができるほどの強い日焼けを起こすお子さん・ご本人
  • ●幼いうちから、顔・首・手など日の当たる場所に、年齢のわりに多いそばかすやしみがある方
  • ●若いうちに、日の当たる場所に皮膚がんができた方
  • ●まぶしさ・角膜炎・結膜の充血など、日光に関係した目の症状がある方
  • ●色素性乾皮症と臨床診断されているが、型(原因の遺伝子)がわかっていない方
  • ●ご家族(きょうだい・お子さん・親族)に色素性乾皮症の方がいて、ご自身が保因者かどうか、症状のないきょうだいが発症するかを知りたい方
  • ●結婚・妊娠を考えていて、パートナーとあわせて遺伝のことを確かめたい方

ご家族がすでに遺伝子検査を受けていて原因がわかっていれば、その結果がいちばんの手がかりになりますので、報告書をお持ちください。わかっていなければ、まずご自身を検査します。

この検査より別の検査が向いている場合:症状から、どのパネルを選ぶか

日光への強い反応・そばかす・若い時期の皮膚がんが中心なら、このページの検査です。ほかの症状が目立つときは、次の検査のほうが向いていることがあります。比べる相手は検査の種類です。

🔍 症状から、どのパネルを選ぶか

こんなとき 向いている検査
少しの日光で強い日焼け、幼いころからのそばかす、若い時期の皮膚がん このページの検査(色素性乾皮症の9遺伝子)
日光への反応に加え、成長の遅れが目立つ コケイン症候群の遺伝子検査(ERCC6・ERCC8)
血液の異常(骨髄不全)が中心 ファンコニ貧血遺伝子検査パネル(ERCC4はこのページの検査と共通)
皮膚・髪・目の色が薄い(白皮症) アルビニズム(白皮症)パネル/眼皮膚白皮症パネル
水ぶくれ・皮膚がはがれる 表皮水疱症パネル
皮膚がうろこのように厚い 魚鱗癬パネル
手のひら・足の裏が厚く硬い 掌蹠角化症パネル
免疫の弱さ・がんの多さ・成長の遅れなどが中心 染色体不安定症候群遺伝子検査パネル
日光への反応はなく、難聴だけがある 難聴遺伝子パネル検査
日光への反応はなく、小頭症が中心 小頭症NGS遺伝子パネル検査
症状が多く、病気をしぼれない 全エクソーム検査(WES)

※どの検査が合うかは、症状・診察所見・ご家族の情報で変わります。遺伝カウンセリングで一緒に決めましょう。

\ 型がわかると、見張ることと次の一手が決まります /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

ご夫婦とも保因者だった場合、妊娠したときの出生前診断(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられます。

海外でPGT-Mを考えている方には、英語の検査結果をお渡しできます(検査の時にお申し出ください)。

お問い合わせはこちら | どの検査がよいか迷う方へ

5. 色素性乾皮症の遺伝子検査で調べる9遺伝子と、わかる病気

この検査では、色素性乾皮症の原因として知られる9遺伝子(DDB2・ERCC1・ERCC2・ERCC3・ERCC4・ERCC5・POLH・XPA・XPC)をまとめて調べます。1つずつ順番に調べる必要がなく、どの型かを一度の検査で確かめられます。

🧪 調べる遺伝子と、関係する病気

遺伝子 関係する病気 遺伝のしかた
XPA 色素性乾皮症A群(神経の症状を伴う) 常染色体潜性
ERCC3 色素性乾皮症B群/XP/CS(コケイン症候群との複合型)/硫黄欠乏性毛髪発育異常症(TTD) 常染色体潜性
XPC 色素性乾皮症C群(神経の症状を伴わない) 常染色体潜性
ERCC2 色素性乾皮症D群/XP/CS/XP/TTD/TTD/脳眼顔骨格症候群(COFS) 常染色体潜性
DDB2 色素性乾皮症E群(神経の症状を伴わない) 常染色体潜性
ERCC4 色素性乾皮症F群/ファンコニ貧血/XP/CS/ファンコニ貧血の複合型 常染色体潜性
ERCC5 色素性乾皮症G群/XP/CS/脳眼顔骨格症候群(COFS) 常染色体潜性
POLH 色素性乾皮症バリアント型(XP-V)(神経の症状を伴わない) 常染色体潜性
ERCC1 脳眼顔骨格症候群(COFS)。2本とも変化のある患者さんの報告はごくわずか 常染色体潜性

※遺伝子と病気の関係・遺伝のしかたはGeneReviews[1]による。リンクのない遺伝子・病気は、当サイトにまだ解説ページがないものです。

XPA・XPC・DDB2・POLHの4つは、どれも色素性乾皮症の原因としてのみ知られています。ERCC1〜5の5つは、変化の場所によって、色素性乾皮症のほかに、コケイン症候群との複合型やファンコニ貧血など、別の病気の原因にもなります[1]。どの遺伝子に、どのような変化が見つかったかで、見通しや見張ることが変わるため、結果は臨床遺伝専門医が症状とあわせてご説明します。

6. 検査でわかること・わからないこと

この検査でわかるのは、9遺伝子の中の、病気の原因となる変化です。一方で、遺伝子検査には必ず限界があります。

わかること

  • ●遺伝子の小さな変化:遺伝子の文字(塩基)が1つ変わる変化や、小さな挿入・欠失を調べます。読むのは、たんぱく質をつくる部分(エクソン)と、それに接する10塩基程度の部分です。
  • ●大きめの欠失・重複:遺伝子まるごと、または2つ以上続くエクソンにわたる欠失・重複も調べます(エクソン2つ以上の解析は血液の検体の場合)。見つかった欠失・重複は、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します。

わからないこと

  • ●見つけにくい変化:エクソン1つだけの欠失・重複、染色体の組み換わり(転座・逆位)、繰り返し配列ののび、遺伝子の働きを調節する部分やエクソンから離れた場所の変化は、この検査では調べられないか、見つからないことがあります。
  • ●モザイク:体の一部の細胞にだけ変化がある状態を見つけることは、この検査の目的に入っていません。
  • ●調べていない遺伝子:この9遺伝子以外が原因の病気はわかりません。

陰性でも色素性乾皮症を否定できない理由

原因の変化が見つからなくても、色素性乾皮症ではないとは言い切れません。この検査で見つけにくい変化が原因になっている可能性があるためです。GeneReviewsによると、色素性乾皮症の診断は主に症状と家族歴にもとづき、原因の遺伝子の2本ともに病気の原因となる変化を確かめて確定します。紫外線への強さや、DNAを直す働きを細胞で調べる検査もありますが、一般的に行われる検査ではないとされています[1]。症状が強く疑わしいときは、皮膚科の専門の医療機関での評価とあわせて判断します。

意義がまだわからない変化(VUS)

病気の原因かどうか、今の知識ではまだ判断できない変化(VUS)が見つかることがあります。VUSは、それだけで診断に使ったり、ご家族の検査に使ったりはしません。研究が進んで、のちに意味がはっきりすることもあります。調べた目的とは別の病気の原因が見つかった場合の扱いは、当院の二次的所見の開示方針をご覧ください。

7. 病的変異が見つかったら、次にできること

色素性乾皮症は、原因の遺伝子がわかると、何をすればよいかがはっきりする病気です。わかるだけで終わらないよう、読む方の立場ごとに、次にできることをまとめます。結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明し、次にどうするかを一緒に考えます。治療や定期的な診察は、皮膚科・眼科・耳鼻科・神経内科など専門の医療機関で受けていただきます。

ご本人:型がわかったら決まること

紫外線を徹底して避ける(遮光):日本の診療ガイドラインは、外出前にSPF・PA(紫外線A波を防ぐ力)の高い日焼け止めを塗る、長袖・長ズボン・紫外線を防ぐ衣類や眼鏡を使う、窓に紫外線を防ぐフィルムを貼り、窓を開けるときは日よけのカーテンを使う、などを勧めています[3]。GeneReviewsは、身のまわりの紫外線の量を測って減らすこと、水銀灯やハロゲンランプなど紫外線を出す照明を避けること、たばこの煙を避けることを挙げています[1]。日光を避ける生活ではビタミンDが不足しやすいため、低いときは飲み薬で補うことも挙げられています[1]。

皮膚がんを早く見つける:日本の診療ガイドラインは、3〜6か月ごとに皮膚科を受診し、遮光ができているかの確認と、日の当たる場所の皮膚の診察を受けることを勧めています[3]。皮膚がんが多いときの飲み薬(イソトレチノイン・アシトレチン)や塗り薬(5-フルオロウラシル・イミキモド)、小さな病変の凍結療法などの治療も、GeneReviewsに挙げられています[1]。

目・耳・神経の見張り:定期的な眼科・聴力・神経の検査が勧められています[1]。とくにA群では、学童期の前半から聞こえが落ちはじめ、日本の診療ガイドラインは、補聴器を早めに使いはじめられるよう定期的な聴力検査を勧めています[3]。神経の症状のない型(C群・E群・バリアント型など)だとわかれば、見張りの重点は皮膚と目になります。

放射線治療を受けるとき:GeneReviewsは、色素性乾皮症の方は一般に放射線に過敏ではないものの、細胞の段階で感受性の高い例があるため、最初の照射量を低めにすることを挙げています[1]。がんの治療を受けるときは、色素性乾皮症であることと型を主治医に伝えてください。

使える制度:色素性乾皮症は指定難病・小児慢性特定疾病の対象です(第8章)。原因の遺伝子が確かめられていることは、診断の根拠として役立ちます。

ご家族:症状のないきょうだいの検査と、早く遮光を始める意味

ご家族の中で原因の変化がわかると、ほかのご家族は、同じ場所だけを調べて、受け継いでいるかどうかを確かめられます。症状がまだはっきりしない小さなきょうだいが同じ型だとわかれば、皮膚がんができる前から遮光と見張りを始められます。ご両親やきょうだいが保因者かどうかも調べられ、保因者には症状はありませんが[1]、ご自身が子どもを持つときの手がかりになります。症状のない方の検査は、ご本人(お子さんの場合は保護者の方)の同意のうえで、遺伝カウンセリングを行ってから進めます。

パートナーと次のお子さん:保因者検査と出生前診断

原因がわかれば、次のお子さんで同じ病気が起こる可能性がどれくらいあるか、そして次の妊娠でどう備えられるかを、具体的に考えられるようになります。原因がわからないままでは、出生前に何を調べればよいかが決められません。

当院の拡大版保因者スクリーニング(女性版787遺伝子)と男性版714遺伝子には、このページの9遺伝子のうちDDB2・ERCC2・ERCC3・ERCC4・ERCC5・POLH・XPA・XPCの8遺伝子が含まれています(ERCC1は含まれていません。2026年10月時点で各ページの遺伝子一覧を確認)。パートナーが同じ遺伝子の保因者かどうかを、妊娠の前に確かめられます。すでに妊娠している方には、NIPTと同じ日に採血できるカップルの保因者検査「ファミリーセーフティ プラス」(女性787遺伝子・男性714遺伝子)もあります(NIPTと一緒にのみ受けられます)。

ご家族で原因の遺伝子の変化がわかっていれば、妊娠したときに赤ちゃんで同じ変化があるかを調べられます[1]。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。当院では羊水検査・絨毛検査を院内で行っています(2025年6月から産婦人科を併設)。出生前診断の対象や進め方は、型や国内の指針を踏まえて個別に判断しますので、妊娠を考えている段階からご相談ください。何もしないでそのまま妊娠・出産を迎えることも、尊重される選択肢のひとつです。

海外でPGT-M(着床前遺伝学的検査)を考えている方へ:英語の検査結果をお渡しできます

「海外でPGT-Mを受けたい」というお問い合わせを多くいただきます。当院は体外受精・PGT-Mを行っていません。当院でできるのは、原因の遺伝子の確定、英語の検査結果のご用意、遺伝カウンセリング、ご家族の遺伝子検査、妊娠後の絨毛検査・羊水検査(院内)です。英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。詳しくは海外でPGT-Mを考えている方へで解説しています。

PGT-Mとは:体外受精でできた受精卵(胚)の一部の細胞を調べ、ご家族でわかっている遺伝子の変化を受け継いでいない胚を選んで子宮に戻す検査です。

準備に必要なこと:欧州ヒト生殖医学会(ESHRE)の指針は、①病気の原因と確かめられた遺伝子の変化があること、②どの遺伝子のどの変化かが書かれた元の報告書(認定を受けた検査室のもの)、③ご家族の検体、を求めています[5]。受精卵から取れるDNAはごくわずかで、変化を直接読むだけでは、2本あるうちの片方が読み取れない「アレルドロップアウト」などで判定を誤るおそれがあります。そのため、変化のある場所の両側にある目印(多型マーカー)で「変化をもつ染色体」を家系の中でたどる方法(ハプロタイプ解析)を組み合わせます[5]。色素性乾皮症のような常染色体潜性遺伝の病気では、指針の目安として、患者さん(2本とも変化をもつ方)・保因者・保因者でない方の血縁者のDNAが挙げられています[5]。家族の検体が必要な理由はPGT-Mはなぜ本人だけでは検査できないのかでも解説しています。

ご本人の検査結果だけでは、PGT-Mの準備はふつう整いません。血縁者がいない場合について、指針は、ご夫婦で目印を調べたうえで、治療周期の受精卵や1個の精子を調べて変化の乗った染色体を決める方法を挙げていますが、できるかどうかは施設や家系の状況で大きく変わり、受けられないこともあります[5]。海外でPGT-Mを考えている方は、ご本人の検査の段階から、検査に協力していただけるご家族(とくに同じ変化をもつ方)がいるかを考えておくことが大切です。当院では、ご家族の遺伝子検査も、遺伝カウンセリングのうえでお受けしています。

臨床遺伝専門医としての判断:意義がまだわからない変化(VUS)は、病気の原因と確かめられていないため、そのままPGT-Mの対象にするのは難しいと考えます。常染色体潜性遺伝の病気なので、ご夫婦それぞれがどの変化をもっているかを確かめておく必要があります(パートナーの検査・保因者検査)。また、海外の施設によって求められる書類や検体は違うので、受ける予定の施設にも前もって確認してください。

⚠️ PGT-Mは診断ではなく、スクリーニング検査です

PGT-Mは受精卵のごく一部の細胞を調べる検査で、結果が赤ちゃんの状態と食い違うことがあります。ESHREの指針は、多くの施設で誤った結果になる割合は全体で1〜3%まで下げられているとしたうえで、PGTのあとに妊娠したすべての方に出生前診断を提案すべきとしています[6]。当院は、PGT-Mで選んだ胚で妊娠した場合も、妊娠中に赤ちゃんそのものを調べる確定検査(絨毛検査・羊水検査)で確かめることが望ましいと考えています。当院では絨毛検査・羊水検査を院内で行っており、海外でPGT-Mを受けたあとの妊娠でもご相談いただけます。

日本の扱い:日本では、日本産科婦人科学会の「重篤な遺伝性疾患を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-M)」に関する指針(2026年9月改定)にもとづき、PGT-Mは症例ごとに学会の審査を受け、そのうえで実施施設の倫理委員会が承認して行われます。この指針の「重篤」は、原則として、成人に達する前に日常生活が著しく損なわれる、または生存が危ぶまれる状態になる疾患で、申請の時点で有効な治療法がないか、治療法があっても高度かつ侵襲度の高いものとされています。成人に達する前に生存が危ぶまれるわけではないものの日常生活が著しく損なわれる疾患については、その病気の専門医の意見書などを追加で出す仕組みがあります(2026年10月時点で学会の公式ページを確認)。

対象になる病気は国によって違います:日本では、症例ごとに学会が審査し、審査が続いている申請も多い状況です(学会の発表では、2025年7月〜2026年6月の1年間に審査した73件のうち、37件が審査継続中。2026年9月発表)。英国では、公的機関(HFEA)がPGT-Mを使える病気の一覧を公表しており、2,000を超える病気が載っています(2026年9月17日更新の一覧で2,067)。一覧にない病気は、施設を通じて申請し、HFEAが審査します。米国では、PGTを直接規制する連邦や州の法律はなく、主に医師・施設の判断で行われています[7]。米国生殖医学会(ASRM)の倫理委員会は2024年、大人になってから発症する病気に対するPGT-Mも倫理的に許容されうるとする意見を出しています[8]。どの病気がPGT-Mの対象になるかは、国や制度、施設によって違います。同じ病気でも、ある国では対象になり、別の国では個別の審査が必要になることがあります。受ける国の制度と、施設の条件を前もって確かめてください。

陰性・VUSだったとき

原因の変化が見つからなかった場合も、第6章のとおり、色素性乾皮症ではないとは言い切れません。症状とあわせて、皮膚科での評価や、症状が広い場合は全エクソーム検査(WES)などの次の検査を考えます。2本のうち1本だけに変化が見つかった場合は、もう1本に、この検査で見つけにくい変化がある可能性も含めて検討します。VUSが見つかった場合は、それだけで診断やご家族の検査に使わず、症状とあわせて扱いを決めます。

8. 日本の制度:指定難病159・小児慢性特定疾病

色素性乾皮症は指定難病159です(難病情報センター、情報更新日:令和6年10月。2026年10月時点で確認)。また、小児慢性特定疾病情報センターの資料では、皮膚疾患群の対象疾病に色素性乾皮症が含まれています(2026年10月時点で確認)。

医療費の助成を受けるには、それぞれの制度の認定の条件を満たし、申請する必要があります。認定の基準や申請の方法は、難病情報センター・小児慢性特定疾病情報センターや、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。

9. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体

検査費用は税込330,000円で、結果までは2〜3週間です。唾液・口の内側の粘膜・血液のいずれの検体でも、オンライン診療で受けていただけます。

ご予約
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
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検体の採取唾液・口の粘膜・血液
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結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

💴 費用・日数・検体

項目 内容
対象遺伝子 DDB2, ERCC1, ERCC2, ERCC3, ERCC4, ERCC5, POLH, XPA, XPC(9遺伝子)
調べ方 遺伝子の配列(塩基配列)と、欠失・挿入(いずれも料金に含まれます)
検査費用 税込330,000円
結果までの期間 2〜3週間(至急オプション55,000円で、約7日短くなります)
VUSの除外 ご希望により、意義がまだわからない変化(VUS)を報告から除くことができます(無料)
検体 唾液・口の内側の粘膜(頬粘膜スワブ)・血液(EDTA採血管4mL×2本)
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査費用とは別
オンライン診療 可能(血液の場合は全国の提携医療機関で採血)

この検査は、遺伝診療先進国・米国の3大遺伝子検査会社の一角で行います。※

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

※当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。

オンライン診療(ビデオ通話)で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただきます。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。検体採取キットは、検査料金をお支払いいただいた後にお送りします。検体の取り違えや品質の問題を防ぐため、ご自身の判断で先に検体を採取しないでください。

結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。報告書の読み方はNIPT/遺伝子検査結果の見かたで解説しています。

遺伝カウンセリングでは、検査で何がわかり、何がわからないか、結果がご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。

\ 妊娠の前に知れば、選べることが増えます /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

ご家族の原因がわかっていれば、パートナーの保因者検査から、院内での羊水検査・絨毛検査まで続けて受けられます。

パートナーの保因者検査を見る | どの検査がよいか迷う方へ

10. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【太陽を避ける暮らしを、型を知って計画する】

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。

色素性乾皮症は、ご両親がともに症状のない保因者で、たまたま2人から1本ずつ受け継いだときに起こる病気です。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。日本では保因者が少なくないことがわかっており、ご家族に患者さんがいなくても起こりえます。

私がこの病気で遺伝子検査を大切だと考えるのは、同じ「色素性乾皮症」でも、型によって見通しがまったく違うからです。神経の症状が出る型なのか、皮膚と目を守ることに力を注げばよい型なのかがわかれば、毎日の遮光の工夫も、どの科でどのくらいの間隔で診てもらうかも、学校や仕事の選び方も、具体的に計画できます。わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。知ったうえで結婚や妊娠を考えたい方には、保因者検査から出生前診断まで、当院で続けて支えられる体制を整えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 色素性乾皮症は何人に1人ですか?日本の患者数は?

難病情報センターによると、日本ではおよそ2万2千人に1人の割合で、患者さんは300〜600人と推定されています。日本ではA群とバリアント型が多く、日本の診療ガイドラインでは患者さんの55%がA群、約25%がバリアント型とされています。

Q2. 色素性乾皮症の寿命はどのくらいですか?

型によって大きく違います。難病情報センターは、神経の症状のない型では、若いうちに診断がつき遮光をきちんと行えば、生命予後は良好だとしています。米国の106人の研究では、神経の変性があった方の死亡年齢の中央値は29歳、なかった方は37歳でした。遺伝子検査で型を知ることが、見通しを考える出発点になります。

Q3. 色素性乾皮症は親から遺伝しますか?遺伝する確率は?

常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)の病気で、ご両親がともに同じ遺伝子の保因者のとき、お子さん1人ごとに4分の1の確率で発症し、2分の1の確率で症状のない保因者になります。保因者には症状がないため、ご両親が気づいていないことがほとんどです。

Q4. 色素性乾皮症は治りますか?

GeneReviewsで勧められている管理は、紫外線を徹底して避けること、皮膚がんを早く見つけて治療すること、目・耳・神経を定期的に確かめることなどで、原因そのものを治す治療は含まれていません。だからこそ、型を早く知り、遮光と見張りを計画的に続けることが大切です。

Q5. 色素性乾皮症でなぜ知的障害が起こるのですか?

A群など一部の型では、脳の神経細胞が少しずつ失われ、知的な低下・難聴・歩きにくさなどの神経の症状が進みます。これは日焼けの強さとは別に進みます。C群・E群・バリアント型など、神経の症状を伴わない型もあるため、遺伝子検査で型を確かめることが大切です。

Q6. 色素性乾皮症はいつわかりますか?何歳から症状が出ますか?

約60%の方は、わずかな日光で強い日焼けを起こしたことをきっかけに気づかれ、日の当たる場所のそばかす様の色素斑は中央値で1〜2歳から目立ってきます。C群やバリアント型のように、強い日焼けよりも色素斑が目立つ型もあります。原因の遺伝子は、年齢にかかわらず遺伝子検査で調べられます。

Q7. 色素性乾皮症の家族がいると、結婚に差し支えますか?血族結婚とは関係がありますか?

ご家族に患者さんがいても、ご自身が保因者かどうか、パートナーが同じ遺伝子の保因者かどうかは、検査で確かめられます。血縁のある2人は同じ遺伝子の保因者である可能性が高くなりますが、日本では保因者が少なくないため、血縁のないご夫婦でも起こりえます。知ったうえで、保因者検査や出生前診断などの選択肢を一緒に考えられます。

Q8. 海外でPGT-Mを受けたいのですが、英語の検査結果はもらえますか?

はい。英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。なお、当院は体外受精・PGT-Mを行っていません。PGT-Mの準備には、ご本人の結果に加えてご家族の検体がふつう必要です。

🧬 一度の検査で、型を知り、これからを計画する

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。色素性乾皮症の型がわかれば、遮光の工夫や皮膚・目・耳・神経の見張りだけでなく、ご家族の検査や、結婚・妊娠の計画を考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

診療時間・アクセス

参考文献

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  • [2] Bradford PT, Goldstein AM, Tamura D, et al. Cancer and neurologic degeneration in xeroderma pigmentosum: long term follow-up characterises the role of DNA repair. J Med Genet. 2011;48(3):168-176. [DOI: 10.1136/jmg.2010.083022]
  • [3] Moriwaki S, Kanda F, Hayashi M, Yamashita D, Sakai Y, Nishigori C; Xeroderma pigmentosum clinical practice guidelines revision committee. Xeroderma pigmentosum clinical practice guidelines. J Dermatol. 2017. [DOI: 10.1111/1346-8138.13907]
  • [4] Hirai Y, Kodama Y, Moriwaki S, et al. Heterozygous individuals bearing a founder mutation in the XPA DNA repair gene comprise nearly 1% of the Japanese population. Mutat Res. 2006;601(1-2):171-178. [DOI: 10.1016/j.mrfmmm.2006.06.010]
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  • [6] ESHRE PGT Consortium Steering Committee, Carvalho F, Coonen E, et al. ESHRE PGT Consortium good practice recommendations for the organisation of PGT. Hum Reprod Open. 2020;2020(3):hoaa021. [DOI: 10.1093/hropen/hoaa021]
  • [7] Nakasato K, Yamamoto BA, Kato K. Evaluating standards for ‘serious’ disease for preimplantation genetic testing: a multi-case study on regulatory frameworks in Japan, the UK, and Western Australia. Hum Genomics. 2022;16:16. [DOI: 10.1186/s40246-022-00390-3]
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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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