目次
「レット症候群は、生まれる前にわかるの?」「いつわかるの?」。レット症候群は、ほとんどが女の子に起こる病気で、生まれてから生後6〜18か月ごろまでは発達が目立って遅れないことが多く、そのあとに手の使い方や言葉の後退で気づかれます[1]。原因の多くはMECP2(メックピーツー)遺伝子の変化で、99%以上は家族内で患者さんが1人だけの例で、多くは赤ちゃんで新しく起きた変化[1]。そのため家族の病歴からは予測しにくく、妊娠中に調べる方法は赤ちゃんの遺伝子を調べる検査に限られます。当院の東京のNIPT(新型出生前診断)では、ダイヤモンドプランとインペリアルプランでMECP2遺伝子を調べられます。知っておきたいのは、生まれたあと「いつ気づくか」と、妊娠中に「どこまで調べられるか」、遺伝のしかたと次の子の確率、陽性・陰性の意味の3つです。
⏱️ 30秒でわかる要約
🧬 Q. レット症候群はNIPTでわかる?
原因の多くを占めるMECP2遺伝子の新しい変化は、当院のダイヤモンドプランとインペリアルプランの両方で調べられます。スクリーニング検査なので、陽性なら確定検査で確かめます。
👶 Q. レット症候群はいつわかる?
生まれた直後や妊娠中のエコーではわかりにくく、生後6〜18か月ごろまでは発達が目立って遅れないことが多い病気です。そのあと、手をもむような動き・言葉の後退などで気づかれます。
👪 Q. 遺伝する?次の子の確率は?
99%以上は家族内で患者さんが1人だけの例で、多くは新しい変化によるものです。ただし、親の性腺モザイクから受け継いだ場合もあります。次のお子さんの確率は低いものの、性腺モザイクがあるため0ではありません。
🧩 Q. NIPTで自閉症や発達障害はわかりますか?
一部はわかります。レット症候群は自閉スペクトラム症の特徴を伴うことが多い病気です。当院のNIPTは、自閉症・発達障害・知的障害の原因になる遺伝子や染色体の変化の一部を調べられます。
⚠️ Q. 陰性なら安心?
MECP2の変化がすべて見つかるとは限らず、似た症状を起こすほかの遺伝子もあります。陰性でもレット症候群がないとは言い切れないことを知ったうえで選ぶ検査です。
\ 調べられる範囲からNIPTのプランを選びたい方へ /
当院のNIPTは、子育ての負担につながりやすい微小欠失症候群や単一遺伝子疾患まで調べられます。レット症候群の原因になるMECP2遺伝子は、ダイヤモンドプラン(56遺伝子)とインペリアルプラン(最大155遺伝子・202疾患)の両方に入っています。どこまで調べるかは、90分の受診枠の中で臨床遺伝専門医と一緒に決められます。
まだプランを決めていない方は、調べられる範囲を比べたページからご覧ください。
インペリアルとダイヤモンドの違い | NIPTの費用・料金
レット症候群はいつわかる? ― 生まれたあとに気づく時期
レット症候群とは、おもに女の子に起こり、生まれてしばらくは見かけ上ふつうに発達したあと、それまでにできていたことが後戻りする(退行する)神経の発達の病気です[1]。生まれたときや生まれてすぐには目立った症状がないことが多く、「いつわかるか」の答えは、多くの場合「生まれたあと、生後6〜18か月を過ぎてから」[1]。
退行の時期には、言葉や運動の力が急に失われ、目的をもって手を使うことができなくなっていきます[1]。かわりに、両手をもむ・こする・口に運ぶといった、同じ動きをくり返す手の常同運動(じょうどううんどう)が目立つようになります[2]。頭の成長がゆっくりになる(小頭)、けいれん発作、知的障害を伴うこともあります[3]。
🧬 レット症候群の基本(出生前の視点で)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原因の遺伝子 | MECP2遺伝子(X染色体の上にある) |
| 遺伝のしかた | X連鎖性顕性(優性)。99%以上は家族内で患者さんが1人だけの例。多くは新しい変化によるが、親の性腺モザイクから受け継ぐ場合もある |
| 頻度 | 女の子のおよそ9,000〜10,000人に1人 |
| 気づく時期 | 生後6〜18か月ごろまでは見かけ上ふつうの発達。そのあとの退行で気づかれる |
| 主な症状 | 手の目的のある使い方の消失、手の常同運動、言葉の後退、小頭、けいれん、知的障害 |
| 男の子 | MECP2の変化がある男の子では、重い新生児脳症が最も多い現れ方 |
出典:GeneReviews[MECP2 Disorders]・MedlinePlus Genetics・OMIM 312750。症状・診断・治療の詳しい説明は疾患のページにまとめています。
病気そのものの症状の経過・診断基準・治療は、レット症候群とは(症状・診断基準・最新治療)のページで詳しく解説しています。このページでは「生まれる前にわかるか」「遺伝するか」に絞ってお伝えします。
💡 用語解説:MECP2(メックピーツー)遺伝子
X染色体にある遺伝子で、ほかの遺伝子のはたらきを調節する「MeCP2」というタンパク質の設計図です。脳の神経細胞でとくに大切なはたらきをしています。遺伝子の詳しい働きはMECP2遺伝子のページをご覧ください。
レット症候群は何人に1人?
レット症候群は、女の子のおよそ9,000〜10,000人に1人と見積もられています[2]。多くの場合、生まれるまでのご家族の様子や妊娠経過からは予測できません。
なぜ女の子に多いの?男の子には起こらない?
「X染色体の病気は男の子に多い」といわれるのは、デュシェンヌ型筋ジストロフィーや血友病のような、X連鎖性潜性(劣性)の病気の場合です。女性はX染色体を2本持つので、1本に変化があってももう1本が補い、症状の出ない保因者になることが多いからです。レット症候群はX連鎖性顕性の病気で、2本のうち1本に変化があるだけで発症するため、女の子に起こります[2]。
女の子に多い理由として考えられているのは、新しく起きる変化のほとんどがお父さんの精子の側で生じるという点です。新しく起きたMECP2遺伝子の変化の親を調べたドイツの研究では、27家族のうち26家族で、変化はお父さん由来のX染色体に起きていました[4]。お父さんのX染色体は娘にしか伝わらないため、新しい変化を持って生まれてくるのは女の子が多くなります。女の子では細胞ごとにどちらのX染色体が働くかが決まる(X染色体の不活化)ため、同じ病気でも症状の重さに幅が出ます。X連鎖遺伝のしくみはX連鎖遺伝(X染色体連鎖遺伝)とは、X染色体の不活化はX染色体不活性化によるモザイクで詳しく解説しています。
男の子にも起こりますが、現れ方は女の子と違います。MECP2遺伝子の変化がある男の子では、生まれてまもなく始まる重い脳症(新生児脳症)が最も多い現れ方[1]。男の子はX染色体を1本しか持たず、正常なMECP2で補えないためです。体の一部の細胞だけに変化がある男の子や、X染色体が1本多い男の子では、女の子と同じ典型的なレット症候群になることもまれにあります[3]。男の子の新生児脳症はMECP2遺伝子変異による重症新生児脳症で解説しています。
🩺 院長コラム【「いつわかる?」の答えが「生まれたあと」になる病気】
レット症候群は、生まれてしばらくは見かけ上ふつうに発達する病気です。妊娠中のエコーや生まれたときの診察で、レット症候群に特有の所見を見つけて診断することはできないと考えています。ご家族が気づくのは、多くの場合、それまでできていたことが後戻りし始めてからです。
だからこそ、生まれる前にわかるとすれば、それは赤ちゃんの遺伝子を調べたときだけです。「家族にいないから」「エコーで何も言われていないから」という理由で起こらないとは言えない病気だ、ということを知っていただきたいと考えています。
レット症候群は遺伝する? ― 99%以上は家族で初めての例
レット症候群は、ほとんどの場合、ご両親から受け継いだものではありません。MECP2遺伝子の変化によるレット症候群の99%以上は、家族内で患者さんが1人だけの例です。多くは赤ちゃんで新しく起きた変化(de novo変異)によりますが、親の性腺モザイクから受け継いだ場合も含まれます[1][2]。ご両親が健康で、家族に同じ病気の人がいなくても起こる、ということです。
💡 用語解説:de novo(デノボ)変異
精子や卵子ができる過程や受精後の早い時期などに、新しく起きた遺伝子の変化です。ご両親の血液に変化が見つからない場合でも、親の性腺モザイクから受け継いだ可能性は残ります。家族歴がなくても起こるため、家族の病歴から予測することができません。詳しくはde novo変異(新生突然変異)とはをご覧ください。
新しく起きる遺伝子の変化は、お父さんの年齢が上がるほど増えることが知られています[5]。ただし、レット症候群のリスクが年齢でどれだけ上がるかを示した数字ではないので、「父親が若ければ心配ない」「高齢なら起こる」とは言えません。
お母さんがMECP2遺伝子の変化を持っているときは?
まれに、お母さんがMECP2遺伝子の変化を持っていることがあります。お母さんが変化を持っているとわかっている場合、お子さん1人あたり2分の1の確率で変化が受け継がれます[1]。赤ちゃんが女の子か男の子かで、現れ方は大きく違います(上の「男の子には起こらない?」を参照)。
お母さんの病的バリアント(病気の原因になっている変化)は、できれば妊娠前に、お母さん本人の遺伝子検査で特定しておくのがよい。MECP2遺伝子の病的な変化は1か所に決まっておらず、人によって場所も種類もさまざまです。軟骨無形成症のように原因の変化がほぼ1つに決まっている病気ではないため、NIPTでお母さんの変化を決められるとは限りません。
まだ特定していない場合は、次の順で考えます。
- ➤時間に余裕があるとき:まずお母さん本人の遺伝子検査で、病的バリアントを特定します。
- ➤妊娠週数などの事情で時間に余裕がないとき:NIPTで、対象の病的バリアントがあるかどうかを調べます。このときのNIPTは、赤ちゃんが受け継いだかどうかを判定するためではなく、確定検査で調べる目印を把握するために使います(上のとおり、MECP2遺伝子ではNIPTで変化を決められるとは限りません)。
- ➤赤ちゃんが受け継いでいるかどうかは確定検査で調べる:見つかった変化を目印にして、絨毛検査か羊水検査で赤ちゃんの細胞を調べます。
お母さん自身が病的バリアントを持っている場合、通常のNIPTでは、見つかった病的バリアントがお母さん由来か赤ちゃん由来かを区別できません。赤ちゃんへの遺伝を確定するのは、NIPTではなく絨毛検査・羊水検査です。詳しい流れは遺伝する病気のあるお母さんへ|NIPTと確定検査でわかることで解説しています。
また、親の病気とは別に、ご両親にない変化が赤ちゃんに新しく起こる単一遺伝子の病気もあります。こうした単一遺伝子疾患は1つひとつはまれですが、わずか30遺伝子・25疾患を合わせただけでも、約600人に1人(0.17%)の頻度になると報告されています[6][7]。これは30の遺伝子に絞って調べた研究での数字なので、実際にはこれより多いと考えています。ダウン症候群の出生頻度(米国の全国推計〔2004〜2006年の出生〕で約700人に1人)[8]より多い頻度です。そのため、お母さんの変化が妊娠前にわかっている場合でも、新しく起こる変化も含めて調べられるよう、NIPTは基本的に受けたほうがよいと考えています。
上の子がレット症候群のとき、兄弟(次の子)に起こる確率は?
上のお子さんの変化がご両親にない新しい変化だった場合、次のお子さんに起こる確率は低いと考えられます。ただし、ご両親の血液の検査では見つからなくても、精子や卵子のもとになる細胞にだけ同じ変化がある「性腺モザイク」があり得るため、確率は0ではありません[1]。性腺モザイクがあるご両親では、次のお子さん1人あたりの確率は最大で2分の1になり得ます。性腺モザイクについては性腺モザイクとはで解説しています。
このため、レット症候群などMECP2遺伝子の病気のお子さんがいるご夫婦には、ご両親に変化が見つかったかどうかにかかわらず、出生前診断を提案するのが適切とされています[1]。この場合は、多くの遺伝子をまとめて調べるNIPTとは考え方が違い、上のお子さんの変化を目印にして絨毛検査・羊水検査で調べます。上のお子さんの遺伝子検査の結果をお持ちのうえで、検査前の遺伝カウンセリングで調べ方を確認します。
レット症候群は妊娠中にわかる? ― NIPTで調べられるのはダイヤモンドとインペリアル
結論からお伝えすると、レット症候群の原因の多くを占めるMECP2遺伝子の新しい変化は、当院のNIPTではダイヤモンドプランとインペリアルプランの両方で調べられます。どちらも、お母さんの血液に含まれる赤ちゃん由来のDNAを使って、新しく起きた遺伝子の変化(de novo変異)を調べるプランで、その一覧にレット症候群(MECP2)が入っています。
レット症候群は、生まれてしばらくは見かけ上ふつうに発達する病気です[1]。原因の多くが新しく起きた変化なので、家族歴からも予測できません。妊娠中に調べる方法が、赤ちゃんの遺伝子を調べる検査に限られるのはこのためです。
🧬 当院のNIPTプランと、レット症候群に関わる遺伝子
遺伝子の一覧は56遺伝子de novo変異NIPT(ダイヤモンド)、155遺伝子de novo変異NIPT(インペリアル)でご確認いただけます。インペリアルプランがダイヤモンドプランの遺伝子をすべて含むわけではありません。2つのプランの違いはインペリアルプランとダイヤモンドプランの違いで比べられます。
ダイヤモンドプランは、米国の3大遺伝子検査会社の一角が提供する新技術『COATE法』(SNP法とターゲット法の組み合わせ)で調べます※。
※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。
レット症候群に似た病気(FOXG1症候群・CDKL5欠損症)は?
以前は「レット症候群の型の一つ」と考えられていた病気に、FOXG1症候群(レット症候群の先天性亜型)とCDKL5欠損症があります。いまは、それぞれ別の病気として扱われています[2]。
- ➤FOXG1症候群(レット症候群の先天性亜型):典型的なレット症候群より早く、生後数か月のうちから症状が出る病気です[9]。原因のFOXG1遺伝子はインペリアルプランだけが対象で、ダイヤモンドプランには入っていません。病気の説明はレット症候群の先天性亜型(FOXG1症候群)とはをご覧ください。
- ➤CDKL5欠損症:乳児期の早い時期に始まる難治性のてんかんと発達の遅れを伴う病気で、ダイヤモンドプランとインペリアルプランの両方で調べられます。妊娠中の検査についてはCDKL5欠損症はNIPTでわかる?で詳しく解説しています。
単一遺伝子のNIPTの精度は?
インペリアルプランと同じ155遺伝子・202疾患を調べる方法の検証データ(リスクの高い妊婦さん750人)では、陽性的中率96.9%・感度100%・特異度99.9%と報告されています[10]。
ただし、これはリスクの高い妊婦さんでの数字で、一般の妊婦さんにそのまま当てはまるものではありません。もともと病気の赤ちゃんが少ない集団では、陽性的中率は低くなります。また、これは155遺伝子をまとめて調べた全体の成績で、MECP2遺伝子だけの精度を示すものではありません。超音波検査で赤ちゃんの異常が疑われた妊婦さんを対象にした研究では、染色体の検査に加えて単一遺伝子の病気も調べると、見つかった病気の数が約1.6倍(61件→98件、60.7%増)に増えたと報告されています[11]。NIPTの精度の読み方はNIPTの精度(陽性的中率)で解説しています。
何週に受ける?結果はいつわかる?
当院のNIPTは妊娠9週から受けられます。さらに、できるだけ早い時期に結果を知りたい方のために、妊娠6〜8週から臨床研究として受けられる体制を整えています。結果は基本10〜14日で、ダイヤモンドプランは単一遺伝子(MECP2を含む)も10〜14日。インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけは3〜4週間かかります。たとえば妊娠10週で採血した場合、インペリアルプランの単一遺伝子の結果は妊娠13〜14週ごろになります。
受けられる時期の上限は設けていませんが、人工妊娠中絶ができるのは、厚生事務次官通知で「通常妊娠満22週未満」とされています[12](当院は中絶を行っていません)。受ける時期と結果の生かし方は、検査前の遺伝カウンセリングで一緒に考えます。週数が早いほど、血液中の赤ちゃん由来のDNAが少なく、判定できずに再検査になることがあります。受けられる時期はNIPTはいつからいつまで受けられる?でまとめています。
陽性・陰性の意味 ― NIPTでわかること・わからないこと
陽性なら、確定検査で確かめてから考える
NIPTは確定ではない検査(スクリーニング検査)です。陽性なら、確定検査(絨毛検査・羊水検査)で赤ちゃんの細胞を調べて確かめてから考えます。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、陽性の場合も確定検査(絨毛検査は妊娠11〜13週、羊水検査は妊娠15週から)まで院内で受けられます。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。確定検査は基本的に日曜日(月曜日が祝日のときは月曜日)に行います。陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料です。
確定検査でMECP2遺伝子の変化が確かめられても、症状の重さや、どこまで歩けるか・言葉が出るかといった経過までは予測できません。女の子ではX染色体の不活化のかたよりで症状の重さに幅が出ることもあります。結果の意味は、変化の種類やご家族の情報とあわせて、臨床遺伝専門医の遺伝カウンセリングで確認します。陽性のあとの流れはNIPTで陽性だったらで解説しています。
一方で、生まれる前にわかっていれば、生まれてからの経過に備えて、小児神経の専門医がいる施設を早めに探しておくこともできます。どの選択も、ご家族が知ったうえで選べるようにすることが、出生前検査の役割だと考えています。
陰性でも「レット症候群がない」とは言い切れない理由
陰性は「調べた範囲では、可能性が低い」という意味です。レット症候群について、陰性でも言い切れない理由は3つあります。
- ➤MECP2以外の原因もある:レット症候群に似た症状は、FOXG1・CDKL5などほかの遺伝子の変化でも起こります[2]。プランによって調べている遺伝子が違います。
- ➤まれですが偽陰性の可能性がある:どの検査にも見逃し(偽陰性)の可能性はあります。
- ➤プランの対象に入っていない病気は調べていない:スタンダード・プレミアム・双子マックスでは、MECP2遺伝子は調べていません。
生まれたあとに、手の使い方や言葉が後戻りするなど気になる様子があれば、NIPTの結果にかかわらず、小児科・小児神経科で相談してください。NIPTが陰性だった場合の考え方はNIPTが陰性だったのに…(偽陰性)で解説しています。
自閉症・発達障害・知的障害もNIPTで一部わかる ― レット症候群との関係
お子さんの自閉症や発達障害を心配されるのは、自然なことです。原因はさまざまで、その一部は染色体や遺伝子の変化が原因だとわかっています。レット症候群もその一つで、遺伝の病気ごとに自閉スペクトラム症の特徴を伴う割合をまとめた研究では、レット症候群は61%で、調べた病気の中でも高い割合と報告されています[13]。
当院のNIPTが調べる微小欠失・重複や単一遺伝子疾患には、自閉症・発達障害・知的障害を伴う病気が含まれています。そのため、一部の自閉症・発達障害・知的障害の原因は、プランによってNIPTで調べられます。自閉症とNIPTの関係は一部の自閉症・発達障害の原因はNIPTでわかる?で詳しく解説しています。
🧩 プラン別:自閉症・発達障害・知的障害を伴うことがある主な病気
| プラン | 微小欠失・重複 | 単一遺伝子 | 伴うことがある主な病気 |
|---|---|---|---|
| スタンダード | 6種類7疾患 | ― | 22q11.2欠失症候群、アンジェルマン症候群、プラダー・ウィリー症候群 |
| プレミアム | 12種類13疾患 | ― | スタンダードの病気に加えて、ジェイコブセン症候群など |
| ダイヤモンド | 12種類13疾患 | de novo 56遺伝子 | レット症候群、コルネリア・デ・ランゲ症候群、CHARGE症候群 |
| 双子マックス | 92種類+5Mbを超える構造異常 | ― | 16p11.2欠失・重複、ウィリアムズ症候群 |
| インペリアル | 92種類+5Mbを超える構造異常 | 最大155遺伝子(202疾患) | レット症候群、フェラン・マクダーミッド症候群、ピット・ホプキンス症候群、16p11.2欠失・重複 |
病気の名前は一部の例です。プランごとの範囲は各プランのページでご確認ください。
一方で、正直にお伝えしておきたい限界もあります。陽性なら確定検査が必要です。微小欠失・重複は、染色体の数の異常より陽性的中率が低めで、項目によっても異なります。陰性でも、自閉症・発達障害・知的障害がないとは言えません。脆弱X症候群のようにNIPTで調べられない原因もあり、見つかった場合でも症状の重さは予測できません。
出生前検査で調べる病気は、どれも赤ちゃんの命や発達、そしてご家族の暮らしに大きくかかわるものです。ただ、その中身は病気によって大きく異なります。知的障害を伴う病気のお子さんのご家族を比べた研究では、スミス・マゲニス症候群、ウィリアムズ症候群、プラダー・ウィリー症候群のご家族は、ダウン症候群のご家族より子育てのストレスが高いと報告されています[14]。ストレスを最も強く左右していたのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷などの行動の問題、睡眠の問題でした[14]。
アンジェルマン症候群やスミス・マゲニス症候群では他人への攻撃的な行動が、コルネリア・デ・ランゲ症候群やスミス・マゲニス症候群、プラダー・ウィリー症候群では自傷が多いことが分かっています[15]。スミス・マゲニス症候群・プラダー・ウィリー症候群・アンジェルマン症候群はスタンダードプランから、コルネリア・デ・ランゲ症候群はダイヤモンド・インペリアルで、ウィリアムズ症候群はインペリアル・双子マックスで調べられます。ダウン症候群だけを調べればよいのか、検査を選ぶ前に考えていただきたい点です。
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\ レット症候群の原因まで調べられるNIPTを /
ダウン症候群だけでなく、18・13トリソミーや微小欠失症候群、一部の自閉症・発達障害・知的障害の原因まで、当院のNIPTでわかります。
まだ決めていない方は:ダイヤモンドプラン | インペリアルプラン
1つの病気あたりで考える ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ
「ダウン症候群だけが心配」という方は少なくありません。けれども、出生前検査で調べる病気は、どれも赤ちゃんとご家族の暮らしに大きくかかわるものです。そして、ご家族の子育ての負担を最も大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった「行動の問題」だと分かっています[14]。こうした行動の問題を伴いやすい病気には、ダウン症候群ではなく、微小欠失症候群や単一遺伝子疾患が多く含まれます[14][15]。三大トリソミーだけを調べる検査では、これらの病気は調べられません。
出生前検査は、その後の人生を左右するかもしれない検査です。『安さ』だけで選んで大丈夫でしょうか。
三大トリソミーだけを調べる検査を仮に10万円とすると、1つの病気あたりは約3万3千円です。当院のインペリアルプランは、全常染色体と性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、202の単一遺伝子疾患を調べます。性染色体の数の異常も含めて、数えられる病気だけで320になり、1つの病気あたりは約1,719円です。さらに、5Mbを超える欠失・重複はすべての染色体が対象なので、数えきれないほどの変化を調べていることになります。数えられる分だけでも、これだけの範囲を調べられます。
| プラン | 主に調べる範囲 | 数えた病気の数 | 1つの病気あたり |
|---|---|---|---|
| 三大トリソミーだけを調べる検査 (仮に10万円とした場合) |
13・18・21トリソミー | 3 | 約33,333円 |
| スタンダード(220,000円) | 13・18・21トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失6種類7疾患 | 14 | 約15,714円 |
| プレミアム(264,000円) | 13・18・21・15・16・22トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失12種類13疾患 | 23 | 約11,478円 |
| ダイヤモンド(407,000円) | プレミアムの範囲+単一遺伝子56 | 79 | 約5,152円 |
| 双子マックス(440,000円) | 全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常 | 114+α | 約3,860円 |
| インペリアル(550,000円) | 全常染色体の数の異常、性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常、単一遺伝子202疾患 | 320+α | 約1,719円 |
※価格は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の税込価格です。最新の料金は料金ページをご確認ください。※病気の数は、数の異常・微小欠失・重複・単一遺伝子疾患を1つずつ数えたものです。性染色体の数の異常は4種類(ターナー症候群・クラインフェルター症候群・トリプルX症候群・XYY症候群)として数えています(性染色体を調べるのはスタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・インペリアル。双子マックスは調べません)。5Mbを超える構造異常は数に入れていないため、双子マックスとインペリアルは実際にはさらに多くの変化を調べています。※『三大トリソミーだけを調べる検査』は計算のための仮の例で、特定の施設の価格ではありません。
もちろん、病気の数が多いほどよい検査、というわけではありません。調べる範囲が広がると、陽性になる可能性も、確定検査が必要になる場面も増えます。だからこそ、どこまで調べたいかを、検査前の遺伝カウンセリングでプランを選びながら決めていただいています。
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当院でNIPTを受ける流れと、生まれたあとの遺伝子検査
レット症候群を含めて調べたい場合の流れは次のとおりです。90分の受診枠の中で、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行います。プラン選びに必要な説明は、予約時に事前学習動画で見ていただきます。
結果は、陰性でも陽性でもまずマイページでお知らせします。陽性の場合も、確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられます。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。絨毛検査と羊水検査の違いは絨毛検査と羊水検査の違いをご覧ください。
NIPTを受ける方は全員、2つの互助会に加入します。羊水検査互助会(カトレア会)は1回のNIPTにつき8,000円で、陽性のときの確定検査の費用を補助します(補助の上限なし)。安心検査結果保障制度は1回6,000円で、再検査が必要になったのに流産して再検査ができず結果が出なかったときに、検査代金(諸費用を除く)を返金します。来院が難しい方は、Zoomでのカウンセリングと全国110か所の提携施設での採血を組み合わせたオンラインNIPT(全国対応)もご利用いただけます。
認証施設のNIPTとの違い
日本医学会の出生前検査認証制度で認証された施設のNIPTは、13・18・21トリソミーの3つを調べる検査で、おおむね妊娠10週以降に行われています[16]。レット症候群のような単一遺伝子の病気は対象に入っていません。当院は認証外の施設ですが、臨床遺伝専門医が運営・常駐し、検査前の遺伝カウンセリングから陽性後のケア、確定検査まで院内で行っています。違いはNIPTの認証施設と認証外の違いで解説しています。
生まれたあとにレット症候群が疑われたときの遺伝子検査
生まれたあとにレット症候群が疑われたときは、診断を確かめるためにMECP2遺伝子などを調べる遺伝子検査が行われます。当院では、生まれたあとの診断に使うレット・アンジェルマン症候群NGSパネル遺伝子検査も行っています。診断や治療・療育そのものは、小児神経科などの主治医が担当します。
🩺 院長コラム【「家族にいない」は「起こらない」ではない】
出生前検査を考えるとき、「家族に病気の人はいないから大丈夫」と考える方は少なくありません。けれども、レット症候群のように、原因のほとんどがお子さんで新しく起きた変化である病気では、家族歴は手がかりになりません。ご両親が健康であることと、赤ちゃんにこの病気が起こらないことは、別の話だと考えています。
そのうえで、MECP2遺伝子の変化が見つかっても、症状の重さまでは予測できません。臨床遺伝専門医として大切にしているのは、検査で「何がわかり、何がわからないのか」を先にお伝えすることです。そのうえで、どこまで調べるかをご家族ご自身で選べるようにすることが、出生前検査の意味だと考えています。
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🏥 レット症候群の原因まで調べられるNIPT
ダイヤモンドプランとインペリアルプランでは、レット症候群の原因になるMECP2遺伝子の新しい変化を調べます。臨床遺伝専門医が常駐し、陽性なら絨毛検査・羊水検査まで院内で受けられます。
まだ決めていない方は:インペリアルとダイヤモンドの違い | NIPTの費用・料金
よくある質問(FAQ)
Q1. レット症候群はNIPTでわかりますか?
レット症候群の原因の多くを占めるMECP2遺伝子の新しい変化は、当院ではダイヤモンドプランとインペリアルプランの両方で調べられます。スタンダード・プレミアム・双子マックスの各プランには、MECP2遺伝子は入っていません。NIPTはスクリーニング検査なので、陽性なら確定検査で確かめます。MECP2の変化がすべて見つかるとは限らず、似た症状を起こすほかの遺伝子もあるため、陰性でもレット症候群がないとは言い切れません。
Q2. レット症候群はいつわかりますか?何歳ごろに気づきますか?
生まれてから生後6〜18か月ごろまでは、見かけ上ふつうに発達することが多い病気です。そのあと、目的をもって手を使うことができなくなる、手をもむような動きをくり返す、言葉が後戻りするなどの退行で気づかれます。妊娠中のエコーや生まれたときの診察でレット症候群に特有の所見を見つけることは難しく、生まれる前にわかるのは赤ちゃんの遺伝子を調べたときです。
Q3. レット症候群は遺伝しますか?次の子に起こる確率は?
MECP2遺伝子の変化によるレット症候群の99%以上は、家族内で患者さんが1人だけの例です。多くは新しい変化によりますが、親の性腺モザイクから受け継いだ場合も含まれます。次のお子さんに起こる確率は低いと考えられますが、性腺モザイクがあり得るため0ではありません。そのため、MECP2遺伝子の病気のお子さんがいるご夫婦には、ご両親に変化が見つかったかどうかにかかわらず、出生前診断を提案するのが適切とされています。お母さんが変化を持っているとわかっている場合は、お子さん1人あたり2分の1の確率で受け継がれます。
Q4. なぜ女の子に多いのですか?男の子には起こりませんか?
レット症候群はX連鎖性顕性の病気で、2本のX染色体のうち1本に変化があるだけで発症します。新しく起きるMECP2遺伝子の変化のほとんどはお父さん由来のX染色体に起き、お父さんのX染色体は娘にしか伝わらないため、女の子に多くなると考えられています。男の子にも起こり、男の子では生まれてまもなく始まる重い新生児脳症が最も多い現れ方です。
Q5. NIPTで自閉症や発達障害はわかりますか?
一部はわかります。レット症候群は自閉スペクトラム症の特徴を伴うことが多い病気です。当院のNIPTは、レット症候群のほかにも、自閉症・発達障害・知的障害の原因になる遺伝子や染色体の変化の一部を、プランごとに調べられます。ただし、自閉症・発達障害・知的障害の原因はさまざまで、陰性でも心配がないとは言えません。
Q6. 何週から受けられますか?結果はいつわかりますか?
当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。結果は基本10〜14日で、ダイヤモンドプランは単一遺伝子(MECP2を含む)も10〜14日です。インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけは3〜4週間かかります。
Q7. 陽性だったらどうなりますか?
NIPTはスクリーニング検査なので、陽性なら確定検査(絨毛検査は妊娠11〜13週、羊水検査は妊娠15週から)で赤ちゃんの細胞を調べて確かめます。当院では確定検査まで院内で受けられ、陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料です。MECP2遺伝子の変化が確かめられても、症状の重さや経過までは予測できないため、結果の意味は臨床遺伝専門医の遺伝カウンセリングで確認します。
Q8. 費用はいくらですか?
プランごとの料金はNIPTの費用・料金のページでご確認ください。料金には臨床遺伝専門医の遺伝カウンセリング・4Dエコー・性別判定が含まれます。別途、互助会の会費(羊水検査互助会〔カトレア会〕8,000円・安心検査結果保障制度6,000円)と、検査結果の作成費用3,300円がかかります。
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参考文献
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※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・検査の選択を示すものではありません。検査については臨床遺伝専門医にご相談ください。






