InstagramInstagram

卵子提供の妊娠でNIPTは受けられる?受けられる検査・受けられない検査と、ドナーの年齢で考える染色体のリスク

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

「卵子提供で妊娠したけれど、NIPT(新型出生前診断)は受けられるの?」――答えは「受けられる検査と、受けられない検査がある」です。NIPTの中には、お母さんのDNAの型を基準にして計算するしくみの検査があり、卵子提供では使えません。また、卵子提供の妊娠では、赤ちゃんの染色体のリスクを受ける方の年齢ではなく、卵子を提供したドナーの年齢で考える必要があります。この記事では、卵子提供の妊娠で出生前検査を考えるときに知っておきたいことを、臨床遺伝専門医の立場から整理します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🥚 Q. 卵子提供の妊娠でもNIPTは受けられる?

受けられます。ただし、検査の方式とプランによっては対象外です。当院では、卵子提供による妊娠はスタンダードプランと双子マックスプランで受けられます(プレミアム・ダイヤモンド・インペリアルは対象外)。

🤔 Q. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫?

ドナーが若ければ、ダウン症候群などの数の異常は年齢から思うより起こりにくくなります。一方、22q11.2欠失症候群のような微小欠失は母体年齢と関係なく起こると報告されています。ドナーが若くても、調べる範囲で選ぶ意味があります。

📉 Q. 結果が出にくいことはある?

卵子提供の妊娠では、血液中の赤ちゃん由来のDNAの割合(胎児分画)が低めになりやすいと報告されています。基準に届かないときは再検査(再採血)になります。

\ ダウン症候群だけで大丈夫? 卵子提供でも調べられる範囲から選びたい方へ /

📅NIPTを予約する

卵子提供の妊娠でも、双子マックスプランなら全常染色体の数の異常と92種類の微小欠失・重複まで調べられ、陽性なら確定検査まで院内で受けられます。
スタンダードプラン | 双子マックスプラン

結論|卵子提供の妊娠でも、NIPTは「方式とプランを選べば」受けられます

卵子提供の妊娠でも、お母さんの血液を採ってNIPTを受けることはできます。ただし、すべてのNIPTが同じように使えるわけではありません。受けられるかどうかは「NIPTかどうか」ではなく、検査ごとの方式と、検査会社がその妊娠の状況で精度を確かめているかで決まります。

まず押さえておきたいのは、卵子提供の妊娠では赤ちゃんの遺伝情報は、卵子を提供したドナーとパートナーから受け継がれるということです。一方で、お母さんの血液の中のDNAの大部分は、妊娠しているお母さん自身のものです。つまり、血液の中に「遺伝的なつながりのない2人分のDNA」が混ざった状態で検査をすることになります。これが、卵子提供の妊娠でNIPTに注意が必要な理由です。

💡 用語解説:卵子提供の妊娠での「母」

日本では、生殖補助医療の特例法(令和2年法律第76号)の第9条で、ほかの女性の卵子を用いた生殖補助医療で妊娠・出産したときは、出産した女性をその子の母とすると定められています[5]。遺伝情報がドナー由来であっても、法律上の母は出産したお母さんです。卵子提供そのものについては卵子提供の基礎知識で解説しています。

赤ちゃんの染色体のリスクは「ドナーの年齢」で考える

ダウン症候群(21トリソミー)などの染色体の数の異常は、主に卵子ができる過程(減数分裂)で染色体がうまく分かれないことで起こり、卵子の年齢とともに増えます。卵子提供の妊娠では、その卵子はドナーのものです。そのため、卵子提供の妊娠のNIPTを扱った2026年の総説では、赤ちゃんの染色体の数の異常のリスクは主にドナーの年齢で決まると整理されています[1]。

一方、妊娠しているお母さんの年齢は、赤ちゃんの染色体のリスクにはあまり関わりません。同じ総説では、お母さんの年齢や体の状態は、血液中のDNAの大部分を占める「お母さん側の背景」として、結果の読みにくさに関わると説明されています[1]。年齢と染色体の関係はダウン症を産む人の特徴は?年齢と確率で解説しています。

若いドナーでも、リスクはゼロではありません

ドナーの年齢でリスクが決まるとはいえ、若いドナーの卵子なら染色体の異常は起こらない、というわけではありません。卵子提供の体外受精で、胚盤胞の染色体を調べた(PGT-A)米国の研究では、染色体の数が正常だった胚の割合の中央値は、25歳以下のドナーで80%、26〜30歳のドナーで75%でした。18〜34歳の範囲では、ドナーの年齢と正常な胚の割合に関係は見られませんでした[9]。若いドナーの卵子からできた胚でも、2割前後は染色体の数に異常があったということです。

これは受精卵(胚)の段階の数字で、染色体の数に異常のある胚の多くは着床しなかったり流産したりするため、生まれる赤ちゃんでの頻度はこれよりずっと低くなります。それでも、ゼロにはなりません。さらに、後で説明するように、微小欠失は年齢と関係なく起こると報告されています[4]。「ドナーが若いから検査はいらない」とは言えないのはこのためです。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「自分の年齢の確率」で考えなくていい】

40代で卵子提供を受けて妊娠した方が、年齢別のダウン症候群の確率の表を見て不安になるのは自然なことです。けれども臨床遺伝専門医としては、卵子提供の妊娠では、赤ちゃんの染色体の数の異常のリスクは卵子を提供した方の年齢で考えるべきだと考えています。

そのうえで大切なのは、「年齢と関係なく起こる病気」をどう考えるかです。リスクの考え方が違う妊娠だからこそ、どの検査で、何を調べられて、何を調べられないのかを、検査を受ける前に知っていただきたいと考えています。

「他人の卵子で病気の子が生まれたら、育てられるだろうか」という不安

卵子提供で妊娠した方の中には、「自分と遺伝的なつながりのない子に病気があったら、受け止めて育てていけるだろうか」という不安を抱く方がいます。言葉にしにくい気持ちですが、決して珍しいものでも、責められるべきものでもありません。

卵子提供を受けた女性の気持ちを聞き取った研究では、遺伝的なつながりがないことが大きな課題として語られ、周囲に知られることへの不安から卵子提供を隠している方も少なくありませんでした[10]。卵子提供による母親になるまでの過程をまとめたシステマティックレビューでも、妊娠中に赤ちゃんとの絆について強い不安を抱くことがあると報告され、妊娠前から継続して心理的な支えを受けられるようにすることが勧められています[11]。

一方で、第三者が関わる生殖補助医療で生まれた子どもとその家族を、乳児期から20歳まで追跡した英国の研究では、母子関係や子どもの心理的な適応に、自然妊娠の家族との差は見られませんでした。著者は、生物学的なつながりがないことは、良い親子関係の妨げにはならないと結論づけています[12]。

不安があるからこそ、赤ちゃんの状態を早い時期に知り、そのうえで考える時間を持つことに意味があると考えています。NIPTは、受けなければいけない検査ではありません。調べた結果をどう受け止めるかも含めて、検査を受ける前に考えておくことが大切だと考えています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【その不安を、なかったことにしなくていい】

「他人の卵子で生まれた子に病気があったら育てられないかもしれない」――そう感じることを、自分を責める理由にしなくてよいと考えています。卵子提供という選択に至るまでには、長い治療や大きな決断があったはずです。そのうえで抱く不安は、赤ちゃんとこれからの生活に真剣に向き合っているからこそのものです。

臨床遺伝専門医として大切にしたいのは、不安をあおることでも、打ち消すことでもなく、「何が調べられて、何が調べられないのか」を正確にお伝えすることです。知ったうえで選ぶための検査として、NIPTを考えていただきたいと思います。

卵子提供では受けられない検査があるのはなぜ?

お母さんのDNAの型を基準にする方式は使えない

NIPTの方式の中には、SNP法のように、お母さんの血液細胞のDNAの型を基準にして、血液中に混ざる「お母さんにない型」から赤ちゃんの情報を読み取るものがあります。この方式は、お母さんと赤ちゃんのあいだに通常の遺伝的なつながりがあることを前提にしています[2]。卵子提供ではこの前提が成り立たないため、方式によっては検査ができないか、調べられる項目が13・18・21トリソミーなどに限られます。SNP法とターゲット法を組み合わせたCOATE法も、お母さんと赤ちゃんのDNAの型を見分ける力を使う方式です。

反対に、染色体ごとのDNA断片の数を数えて判定するしくみは、お母さんのDNAの型を基準にしないため、卵子提供でも成り立ちます。ただし、断片がお母さん由来か赤ちゃん由来かを見分けないぶん、お母さん自身の染色体の変化を赤ちゃんの異常と取り違えないよう、結果を慎重に読む必要があると指摘されています[1]。方式ごとの違いはNIPTの解析技術を徹底比較で詳しく解説しています。

🔬 方式ごとの、卵子提供の妊娠での考え方

方式 しくみ 卵子提供の妊娠
DNA断片の数を数える方式 染色体ごとの断片の数を比べる お母さんのDNAの型を使わないので成り立つ。お母さん側の変化との取り違えに注意
SNP法 お母さんと赤ちゃんのDNAの型の違いを見る 前提が成り立たないため、対象外か、項目が限られる
COATE法 SNP法とターゲット法を組み合わせる 当院のプレミアム・ダイヤモンドプランは対象外

※実際に受けられるかどうかは、方式だけでなく、検査ごと・プランごとの受け入れ条件で決まります。当院のインペリアルプランは全ゲノム解析を使いますが、卵子提供による妊娠は対象外です。必ず受ける前に確認してください。

双子の場合はさらに注意が必要

卵子提供の妊娠では双子になることもあります。二卵性の双子では、2人の赤ちゃんのDNAが血液中に混ざるため、数を数える方式では異常がどちらの赤ちゃんにあるかを特定できず、片方だけの異常は薄まって見つけにくくなることがあると指摘されています[1]。双子のNIPTの考え方は双子のダウン症確率と検査の注意点で解説しています。

卵子提供の妊娠は「胎児分画」が低めになりやすい

NIPTは、お母さんの血液中のDNAのうち、赤ちゃん(胎盤)由来のDNAが占める割合=胎児分画がある程度ないと、正しく判定できません。体外受精(IVF)で妊娠した単胎の妊婦さんを調べたオーストラリアの研究では、IVFの妊娠は自然妊娠より胎児分画が低く(中央値10.3%と11.9%)、検査が不成立になる割合も高い(5.2%と2.2%)と報告されました。さらにIVFの中でも、卵子提供の妊娠は胎児分画の中央値が8.4%で、自分の卵子の妊娠(10.5%)より低く、卵子提供が胎児分画を下げる独立した要因として残りました[3]。

当院では、胎児分画の基準をスタンダードプランは3%、双子マックスプランは3.5%と決めています。基準に届かないときは再検査(再採血)となり、当院ではこれを判定保留とは呼びません(当院のNIPTの判定保留は0%)。卵子提供の妊娠では再検査になる可能性がやや高いことを、あらかじめ知っておいてください。

\ 卵子提供の妊娠で受けられるNIPTをお探しの方へ /

📅NIPTを予約する

臨床遺伝専門医が常駐し、卵子提供の妊娠で受けられるプランを検査前の遺伝カウンセリングでご説明します。
NIPTのプラン一覧 | オンラインNIPT

ダウン症候群だけで大丈夫? ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ

ドナーが若い場合、ダウン症候群などの染色体の数の異常は、お母さんの年齢から想像するより起こりにくくなります。では、卵子提供の妊娠では検査はあまり必要ないのでしょうか。臨床遺伝専門医としては、そうは考えていません。

染色体のごく一部が欠ける微小欠失は、年齢とともに増える数の異常とは起こり方が違います。流産組織22,451例を調べた研究では、22q11.2欠失症候群が見つかった赤ちゃんと母体年齢のあいだに意味のある関係は見られませんでした[4]。ドナーが若くても、微小欠失の心配が小さくなるわけではないということです。

子育ての大変さは、知的発達の重さだけでは決まらない

22q11.2欠失症候群は、知的発達への影響は軽めでも、心臓・免疫・精神面の合併症が多い病気です。1,402人を調べた国際研究では、子どものADHDが37%、25歳を超えた大人の精神病性障害が41%に見られました[6]。また、自閉スペクトラム症(ASD)のお子さんの親は、ほかの障害のお子さんの親より子育てのストレスが高く、ダウン症候群のお子さんの親と比べたときに差が大きかったと報告されています(著者は、この比較の解釈には注意が必要だと添えています)[7]。ダウン症候群の検査に意味がないということではなく、ほかにも調べられる病気があるということです。22q11.2欠失症候群は22q11.2欠失症候群(DiGeorge症候群)の全体像で解説しています。

当院で卵子提供の妊娠に受けられるプラン

当院では、卵子提供による妊娠はスタンダードプランと双子マックスプランで受けられます。どちらも、お母さんのDNAの型を基準にしないしくみで染色体を調べるためです。プレミアムプラン・ダイヤモンドプランは、お母さんと赤ちゃんのDNAの型を見分けるCOATE法を使うため、卵子提供による妊娠は対象外です。インペリアル(全ゲノム+ターゲット解析)は、検査の仕組みと検査会社の受け入れ条件により、卵子提供による妊娠はお受けしていません。詳しくは遺伝カウンセリングでご説明します。

🧬 当院のNIPTプランと卵子提供の妊娠

プラン 染色体の数 微小欠失など 単胎・双胎 卵子提供の妊娠
スタンダード 13・18・21トリソミー+性染色体の数の異常 6種類7疾患 単胎・双胎 受けられる
双子マックス 全常染色体の数の異常 92種類の微小欠失・重複+5Mbを超える構造異常 単胎・双胎 受けられる
プレミアム 13・18・21・15・16・22トリソミー 12種類13疾患 単胎のみ 対象外
ダイヤモンド プレミアムと同じ+単一遺伝子(de novo)56遺伝子 プレミアムと同じ 単胎のみ 対象外
インペリアル 全常染色体の数の異常+単一遺伝子 最大155遺伝子(202疾患) 92種類の微小欠失・重複+5Mbを超える構造異常 単胎のみ 対象外

※金額はNIPTの費用・料金のページでご確認ください。料金には、臨床遺伝専門医の遺伝カウンセリング、4Dエコー、性別判定が含まれます(検査結果の作成費用は別途3,300円)。

「ダウン症候群のほかにも微小欠失まで広く調べたい」という方には、双子マックスプランが選択肢になります。名前に「双子」と付いていますが、単胎の妊娠でも受けられます。一方、一部の自閉症・発達障害の原因になる単一遺伝子の変化(de novo変異)は、当院では卵子提供の妊娠では調べられません。

検査の時期と流れ

当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。10週を過ぎても、16週でも受けられます。結果は基本10〜14日で、陰性の結果はマイページでお知らせします。

① 遺伝カウンセリング卵子提供であることをお伝えください
▶
② 4Dエコー・採血赤ちゃんの状態を確かめてから
▶
③ 結果基本10〜14日・陰性はマイページで
▶
④ 陽性なら確定検査羊水検査・絨毛検査も院内で

NIPTはスクリーニング検査なので、陽性なら確定検査で確かめます。当院では2025年6月から産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査を院内で行っています。結果は、主要な項目は3日以内、マイクロアレイ検査は2週間ほどです。精度の考え方はNIPTの精度と的中率のページをご覧ください。

NIPTを受ける方は全員、2つの互助会に加入します。羊水検査互助会(カトレア会)は1回のNIPTにつき8,000円で、陽性時の確定検査の費用を補助します(上限なし)。安心検査結果保障制度は1回6,000円で、再検査が必要になったのに流産して再検査ができず結果が出なかったとき、検査代金(諸費用を除く)を返金します。会費は消費税の対象外です。陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料です。遠方の方はオンラインNIPT(Zoomでのカウンセリング+全国110か所の提携施設で採血)もご利用いただけます。

卵子提供の妊娠で気をつけたいこと:妊娠高血圧腎症

出生前検査とは別に、卵子提供の妊娠では妊娠高血圧腎症が起こりやすいことが知られています。卵子提供の妊娠と、自分の卵子による体外受精の妊娠を比べた6つの研究をまとめたメタ解析では、卵子提供の妊娠で妊娠高血圧腎症が起こりやすいと報告されています(オッズ比4.50)[8]。ただし、まとめられたのは過去にさかのぼって調べた研究で、不妊の原因などの違いは調整されていない点に注意が必要です。

妊娠中の血圧や体重の変化、むくみ、頭痛などは、主治医の健診で確かめていきます。妊娠高血圧症候群については妊娠高血圧症候群とはで解説しています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【伝えにくいことほど、検査の前に】

卵子提供で妊娠したことは、周囲に話していない方も多いと思います。けれども、NIPTを受けるときに卵子提供であることを伝えていただけないと、受けられない方式の検査を選んでしまったり、結果を正しく読めなかったりするおそれがあります。

卵子提供であることをお伝えいただくのは、正しい検査を選び、結果を正しく受け止めるためです。臨床遺伝専門医として、そのうえで何を調べ、何を調べないかをご家族が選べるよう、正確な情報をお伝えすることが役割だと考えています。

🏥 卵子提供の妊娠でも、調べられる範囲からNIPTを選ぶ

当院では、卵子提供による妊娠はスタンダードプランと双子マックスプランで受けられます。双子マックスプランなら全常染色体の数の異常と92種類の微小欠失・重複まで調べられ、陽性なら確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられます。

まだ決めていない方は:NIPTを受けるべきか迷ったときの3つの判断基準

よくある質問(FAQ)

Q1. 卵子提供の妊娠で、ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?

ドナーが若ければ、ダウン症候群などの染色体の数の異常は、お母さんの年齢から想像するより起こりにくくなります。一方、22q11.2欠失症候群のような微小欠失は、母体年齢と関係なく起こると報告されています。ドナーが若くても、ダウン症候群のほかに微小欠失まで調べる意味があります。

Q2. ダウン症候群のほかに、卵子提供の妊娠で調べられる病気はありますか?

当院では、卵子提供の妊娠でも、スタンダードプランで22q11.2欠失症候群を含む微小欠失6種類7疾患を、双子マックスプランで全常染色体の数の異常と92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常を調べられます。単一遺伝子の変化(de novo変異)は、卵子提供の妊娠では当院では調べられません。

Q3. 卵子提供の妊娠で受けられないNIPTがあるのはなぜですか?

NIPTの中には、お母さんの血液細胞のDNAの型を基準にして赤ちゃんの情報を読み取る方式があります。卵子提供ではお母さんと赤ちゃんに通常の遺伝的なつながりがないため、この方式は使えないか、調べられる項目が限られます。当院では、COATE法を使うプレミアムプラン・ダイヤモンドプランは卵子提供による妊娠は対象外です。インペリアル(全ゲノム+ターゲット解析)は、検査の仕組みと検査会社の受け入れ条件により、卵子提供による妊娠はお受けしていません。詳しくは遺伝カウンセリングでご説明します。

Q4. 卵子提供の妊娠では、ダウン症候群の確率は誰の年齢で考えますか?

卵子を提供したドナーの年齢で考えます。染色体の数の異常は主に卵子ができる過程で起こるためで、卵子提供の妊娠のNIPTを扱った総説でも、赤ちゃんの染色体の数の異常のリスクは主にドナーの年齢で決まると整理されています。

Q5. 卵子提供の妊娠では、NIPTの結果が出にくいことはありますか?

体外受精の単胎妊娠を調べた研究では、卵子提供の妊娠は胎児分画の中央値が8.4%で、自分の卵子による妊娠の10.5%より低かったと報告されています。胎児分画が当院の基準(スタンダードプラン3%、双子マックスプラン3.5%)に届かないときは再検査(再採血)になります。当院のNIPTの判定保留は0%です。

Q6. 卵子提供で双子を妊娠しています。NIPTは受けられますか?

当院では、スタンダードプランと双子マックスプランが双胎にも対応しており、卵子提供の妊娠でも受けられます。ただし二卵性の双子では、異常がどちらの赤ちゃんにあるかを血液の検査だけでは特定できないため、陽性のときは確定検査で確かめます。

Q7. 卵子提供で生まれた子どもは、誰のDNAを受け継ぎますか?法律上の母は誰ですか?

赤ちゃんの遺伝情報は、卵子を提供したドナーとパートナーから受け継がれます。日本では、生殖補助医療の特例法の第9条で、ほかの女性の卵子を用いて妊娠・出産したときは、出産した女性をその子の母とすると定められています。

Q8. 卵子提供であることは、検査のときに伝えなければいけませんか?

必ずお伝えください。卵子提供かどうかで、受けられる検査の方式やプラン、結果の読み方が変わるためです。伝えていただかないと、受けられない検査を選んでしまったり、結果を正しく読めなかったりするおそれがあります。

Q9. 若いドナーの卵子なら、NIPTは受けなくても大丈夫ですか?

リスクは低くなりますが、ゼロではありません。卵子提供の体外受精で胚の染色体を調べた研究では、25歳以下のドナーでも染色体の数が正常だった胚の割合の中央値は80%でした。また、22q11.2欠失症候群のような微小欠失は、母体年齢と関係なく起こると報告されています。受けるかどうかは、何を知りたいかで決めてください。

関連記事

参考文献

  • [1] Miscia M, Pesaresi I, Dini B, et al. Non-Invasive Prenatal Testing in Donor-Oocyte Pregnancies: Biological Determinants, Algorithmic Limitations and Clinical Implications. Mol Diagn Ther. 2026. [DOI 10.1007/s40291-026-00866-1]
  • [2] Madrigal Bajo I, Jodar Bifet M, Badenas Orquin C. Implementation of circulating cell-free DNA screening for fetal aneuploidies. Adv Lab Med. 2025;6(2):135-143. [PubMed 40438550]
  • [3] Lee TJ, Rolnik DL, Menezes MA, McLennan AC, da Silva Costa F. Cell-free fetal DNA testing in singleton IVF conceptions. Hum Reprod. 2018;33(4):572-578. [PubMed 29462319]
  • [4] Maisenbacher MK, Merrion K, Pettersen B, et al. Incidence of the 22q11.2 deletion in a large cohort of miscarriage samples. Mol Cytogenet. 2017;10:6. [PubMed 28293297]
  • [5] 生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律(令和2年法律第76号). [衆議院]
  • [6] Schneider M, Debbané M, Bassett AS, et al. Psychiatric disorders from childhood to adulthood in 22q11.2 deletion syndrome: results from the International Consortium on Brain and Behavior in 22q11.2 Deletion Syndrome. Am J Psychiatry. 2014;171(6):627-639. [PubMed 24577245]
  • [7] Hayes SA, Watson SL. The impact of parenting stress: a meta-analysis of studies comparing the experience of parenting stress in parents of children with and without autism spectrum disorder. J Autism Dev Disord. 2013;43(3):629-642. [PubMed 22790429]
  • [8] Schwarze JE, Borda P, Vásquez P, et al. Is the risk of preeclampsia higher in donor oocyte pregnancies? A systematic review and meta-analysis. JBRA Assist Reprod. 2018;22(1):15-19. [PubMed 29266893]
  • [9] Hoyos LR, Cheng CY, Brennan K, et al. Euploid rates among oocyte donors: is there an optimal age for donation? J Assist Reprod Genet. 2020;37(3):589-594. [DOI 10.1007/s10815-020-01694-w]
  • [10] Ghelich-Khani S, Kazemi A, Fereidooni-Moghadam M, Alavi M. Psycho-social experience of oocyte recipient women: a qualitative study. BMC Womens Health. 2021;21:406. [DOI 10.1186/s12905-021-01562-4]
  • [11] Jafari H, Taghipour A, Ebrahimipour H, Latifnejad Roudsari R. Women’s needs in their journey towards motherhood via oocyte donation: a mixed methods systematic review. Int J Reprod Biomed. 2023;21(6). [DOI 10.18502/ijrm.v21i6.13633]
  • [12] Golombok S, Jones C, Hall P, Foley S, Imrie S, Jadva V. A longitudinal study of families formed through third-party assisted reproduction: mother-child relationships and child adjustment from infancy to adulthood. Dev Psychol. 2023. [DOI 10.1037/dev0001526]

※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。検査の選択については、臨床遺伝専門医にご相談ください。

プロフィール
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続け、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、検査結果の数値そのものだけでなく、「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、日本人として異文化の中で生活した経験があります。価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。この経験は現在の診療においても、「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、36週6日で一人を死産した経験があります。その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、家族の未来に関わる重要な意思決定です。年齢や統計だけで判断するのではなく、医学的根拠と心理的支援の両面から、ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

関連記事