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NIPTセカンドオピニオン|陽性後「どう決める?」臨床遺伝専門医が整理

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

NIPTで陽性と言われたあと、「羊水検査が必要です」と説明を受けても、気持ちは追いつきません。理解はしているのに、納得できない。それが、多くの方の本音ではないでしょうか。NIPTのセカンドオピニオンは、検査の説明をもう一度聞くためだけのものではなく、結果をどう受け止め、何を基準に決めるかを整理するための時間として使えます。この記事では、陽性のあとに不安が残る理由と、確定検査の位置づけ、セカンドオピニオンの具体的な受け方を、臨床遺伝専門医の立場から順に解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧭 Q. NIPT陽性のあと、セカンドオピニオンは受けたほうがいい?

義務ではありませんが、説明は理解できたのに、どう決めればよいか整理できないときには意味があります。陽性のあとに必要なのは、検査の説明に加えて、結果をどう受け止め、何を基準に決めるかを整理する時間です。

🔬 Q. 陽性なら、もう結果は決まっている?

いいえ。NIPTはスクリーニング検査で、陽性なら絨毛検査・羊水検査で確かめることが前提です。決める前に、まず確定検査で本当にそうかを確かめることが大切です。

🏥 Q. 他院で陽性でも、ミネルバクリニックで相談できる?

確定検査(絨毛検査・羊水検査)と遺伝カウンセリングを、できる範囲でお引き受けしています。確定検査は院内で行い、主要な検査項目は3日以内、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます(他院でNIPTを受けた方は互助会の対象外です)。

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1. 【結論】問題は「説明不足」ではなく「意思決定の支援不足」

多くの認証施設では、NIPTの前後に遺伝カウンセリングが行われます。それでもなお、「どう決めたらいいか分からない」という状態が残ることがあります。医学的な説明が足りないのではなく、説明を受けたあとに「自分たちはどうするか」を考える支えが足りていないのです。

【結論】NIPT陽性のあとに本当に必要なのは、検査の説明だけでなく、その結果をどう受け止め、どう判断するかを整理する時間です。

海外の産婦人科の学会も、出生前の検査は本人が十分な情報を得たうえで選び、受けるか受けないかを決める権利があるとしています[1]。陽性のあとの判断も同じで、決めるのはご本人とご家族です。そのための材料と時間をどう確保するかが、セカンドオピニオンを考えるときの出発点になります。

2. なぜ不安が残るのか

あるご夫婦は、認証施設で説明を受けてNIPTを受け、トリソミー陽性となりました。羊水検査の予約も取りました。それでも、「何も整理できていない」と感じていました。頭の中にあったのは、次のような問いです。

  • ➤障害のある子を育てるとは、具体的にどういうことか
  • ➤確定した場合、何を基準に決めるのか
  • ➤夫婦でどう話し合えばいいのか

医学的な情報はあっても、「人生の選択の整理」はされていなかったのです。夫婦の間で考えが違うときの話し合い方は出生前診断をめぐる夫婦間の対立を解消するためにでも解説しています。

3. 本当に知りたかったこと

ご夫婦が求めていたのは、検査の仕組みではありませんでした。「もし確定したら、どう生きるか」を考えるための材料でした。たとえば、その病気のお子さんの暮らしや医療の見通し、利用できる支援、家族の生活がどう変わるのか、といったことです。

陽性の結果をどう読むかについても、確かめておきたいことがあります。NIPTの陽性的中率(陽性と出た人が本当にその病気である割合)は、調べた病気や年齢によって変わり、微小欠失・重複は染色体の数の異常より低めです。だからこそ、陽性なら確定検査で確かめることが前提になります。当院では、その確定検査まで院内で受けられます。精度の考え方はNIPTの精度と的中率、スクリーニングと確定診断の違いはNIPTはなぜ確定診断ではないのかで解説しています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【説明と支援は別物】

医療者は「説明」に慣れています。けれども、ご本人が「どう決めるか」を支えることは、説明とは別の技術だと考えています。

決断は急がせるものではなく、材料をそろえながら整えていくものです。セカンドオピニオンは、前の施設を疑うためではなく、その整える時間を確保するための手段だと考えています。

4. 羊水検査という確定診断

NIPTはスクリーニング検査で、確定診断ではありません。陽性の場合は、絨毛検査や羊水検査で赤ちゃんの染色体を直接調べて確かめます。絨毛検査は妊娠11〜14週、羊水検査は妊娠15〜16週以降に受けられます。それぞれの違いと選び方は絨毛検査と羊水検査の違いをご覧ください。

羊水検査・絨毛検査では、染色体を染め分けて見るGバンド法に加えて、マイクロアレイ検査(CMA)を行うと、Gバンド法では見えない小さな欠失・重複まで確かめられます。NIPTで微小欠失が陽性になった場合は、この検査が判断の材料になります。

当院では2025年6月から産婦人科を併設し、絨毛検査・羊水検査とも院内で行っています。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。当院でNIPTを受けた方は、陽性後の遺伝カウンセリングを何度でも無料で受けられ、確定検査の費用は羊水検査互助会(カトレア会)で補助されます。確定検査を受けずに妊娠を続けるかどうかを決めることの問題点はNIPT陽性で羊水検査なしの中絶は危険?で詳しく扱っています。

5. 「自分の意志で決める」ために

確定検査で診断がついたあとの選択は、妊娠を続けるか、続けないか、という二つに分かれます。けれど実際には、どちらも簡単ではありません。

妊娠を続けないという考えが頭に浮かんだ瞬間、「倫理的に許されるのか」という葛藤が生まれます。一方で、育てることを想像すると、現実的な不安も押し寄せます。

【結論】どちらの選択も、赤ちゃんのことを真剣に考えた結果であれば、責められるものではありません。大切なのは、ベルトコンベアに乗せられるように決めるのではなく、自分の意志で決めることです。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【背中は押さない、でも突き放さない】

臨床遺伝専門医の役割は、決断を代わりにすることではないと考えています。一方で、「あとはご自分たちで考えてください」と突き放すことでもありません。

決めるのはご夫婦です。そのために、言葉にならない思いを整理する時間を持つことが大切だと考えています。

冒頭のご夫婦は、確定検査の結果を受けて、最終的に妊娠を続けないという決断をされました。それは「逃げ」ではなく、深く考え抜いた末の選択でした。反対に、確定したうえで産むと決めた方の経過はNIPT陽性でも産んだ|羊水検査で確定後の決断で紹介しています。

プロライフか、プロチョイスか。そんな単純な言葉では整理できない現実があります。

どんな選択であっても、傷つく人がいる。だからこそ、医療はその傷を深くしない役割を持つべきだと考えています。妊娠を続けないと決めたあとの気持ちの揺れについては中絶後の心の反応で解説しています。

6. NIPTのセカンドオピニオンの受け方

ここからは、セカンドオピニオンを実際に受けるときの進め方です。陽性のあとは確定検査や判断の時期に限りがあるため、早めに動き、準備をしてから受けることで、限られた時間を判断の整理に使えます。

まず、NIPTを受けた施設に確かめること

最初に、NIPTを受けた施設に、確定検査の案内や紹介先があるかを確かめてください。結果の報告書を受け取っていなければ、写しをもらっておきます。報告書には、どの検査で、どの染色体・どの病気が陽性と出たかが書かれており、セカンドオピニオンではこれが判断のもとになります。

予約と、あると話が早いもの

当院では、当院でNIPTを受けた方を優先していますが、他院で陽性になった方の確定検査(絨毛検査・羊水検査)と遺伝カウンセリングも、できる範囲でお引き受けしています。ご予約はWEB予約から、お急ぎの方はNIPT専用ダイヤル(03-3408-3768)へお電話ください。受診のときに次のものがあると、結果の意味を正確に確かめ、残りの時間を判断の整理に使えます。

  • ➤前の施設のNIPTの結果報告書
  • ➤妊娠週数がわかるもの(母子健康手帳・健診の記録など)
  • ➤これまでに受けた説明のメモ
  • ➤夫婦それぞれの「聞きたいこと」「不安なこと」のリスト

費用と互助会の扱い

他院でNIPTを受けた方の確定検査は、互助会による費用補助の対象になりません。確定検査の費用はご予約・ご相談の際にご案内します。当院の料金は料金紹介のページを、羊水検査の費用の目安は羊水検査の費用相場をご覧ください。他院で陽性になった方の受け入れについては他院でNIPT陽性「確定検査の病院が決まらない」方へにまとめています。

次の妊娠で検査を選ぶときに

今回の経験から、次の妊娠では「陽性のときに誰が説明し、確定検査をどこで受けられるか」まで確かめて施設を選びたい、と考える方もいます。当院のNIPTは妊娠9週から(6〜8週は臨床研究として)受けられ、臨床遺伝専門医が常駐し、陽性のときは確定検査まで院内で受けられます。プランごとの調べる範囲はスタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・双子マックス・インペリアルの各ページで確認できます。施設の選び方はNIPTクリニックの選び方を参考にしてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. NIPTで陽性と言われたあと、セカンドオピニオンは必要ですか?

医学的に必ず受けなければならないものではありません。ただ、説明を受けて内容は理解できたのに、どう決めればよいかが整理できていないときには意味があります。理解と納得は別のものです。別の医師の説明を聞くことで、結果の意味や判断の軸が整うことがあります。

Q2. 大学病院や前の施設の説明が間違っているということですか?

いいえ。多くの場合、医学的な説明は正確です。ただ、確定したらどう暮らしていくのか、夫婦で何を基準に決めるのかといった人生の判断の整理までは、限られた時間の中で十分に扱われないことがあります。セカンドオピニオンは、その部分を補うために使えます。

Q3. 他院でNIPTを受けて陽性でした。ミネルバクリニックで相談や確定検査を受けられますか?

当院でNIPTを受けた方を優先していますが、他院で陽性になった方の確定検査(絨毛検査・羊水検査)と遺伝カウンセリングも、できる範囲でお引き受けしています。まずNIPTを受けた施設に確定検査の案内があるかを確かめ、そのうえでご予約ください。お急ぎの方はNIPT専用ダイヤル(03-3408-3768)へお電話ください。なお、他院でNIPTを受けた方の確定検査は、互助会による費用補助の対象になりません。

Q4. セカンドオピニオンには何を持って行けばよいですか?

前の施設の検査結果の報告書(どの検査で、どの染色体・どの病気が陽性と出たかが書かれたもの)があると、結果の意味を正確に確かめられます。あわせて、妊娠週数がわかるもの、受けた説明のメモ、聞きたいことのリストを用意しておくと、限られた時間を判断の整理に使えます。

Q5. 羊水検査は必ず受けなければいけませんか?

NIPTはスクリーニング検査で、確定診断ではありません。赤ちゃんの染色体を確かめるには絨毛検査か羊水検査が必要ですが、受けるかどうかを最終的に決めるのはご本人とご家族です。妊娠を続けるかどうかを考えるのであれば、確定検査で確かめてから決めることが大切だと考えています。

Q6. 夫婦で意見が割れたときはどうしたらよいですか?

どちらが正しいかを先に決めるのではなく、それぞれが何を恐れ、何を守りたいのかを言葉にすることが第一歩です。不安の中身が見えてくると、話し合いが前に進みやすくなります。

Q7. 決める期限があるのが怖いです。

時間に限りがあるのは事実です。だからこそ、確定検査の予約、結果を待つ間に調べておくこと、夫婦で話すことを順番に並べておくと、限られた時間の中でも整理できることがあります。焦って順番を飛ばさないことが大切です。

Q8. どちらを選んでも後悔するのでしょうか?

後悔の大きさは、どちらを選んだかよりも、納得して選べたかどうかに左右されると考えています。自分たちの意志で決めたという感覚が、その後の気持ちの回復にも関わります。

ひとりで抱え込まないでください

決断は、ご夫婦のものです。ミネルバクリニックは臨床遺伝専門医が常駐し、陽性のときは確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられます。主要な検査項目は3日以内に結果が出ます。

まだ決めていない方は、NIPTのプラン一覧や料金と含まれるものから確認できます。

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参考文献

  • [1] American College of Obstetricians and Gynecologists’ Committee on Practice Bulletins—Obstetrics; Committee on Genetics; Society for Maternal-Fetal Medicine. Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities: ACOG Practice Bulletin, Number 226. Obstet Gynecol. 2020;136(4):e48-e69. [DOI 10.1097/AOG.0000000000004084] [PubMed 32804883]

※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。

プロフィール
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続け、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、検査結果の数値そのものだけでなく、「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、日本人として異文化の中で生活した経験があります。価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。この経験は現在の診療においても、「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、36週6日で一人を死産した経験があります。その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、家族の未来に関わる重要な意思決定です。年齢や統計だけで判断するのではなく、医学的根拠と心理的支援の両面から、ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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