InstagramInstagram

NIPTセカンドオピニオン|陽性後「どう決める?」臨床遺伝専門医が整理

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

のべ10万人以上の意思決定に伴走。2025年国際誌『Global Woman Leader』表紙抜擢など、世界基準の出生前診断と遺伝カウンセリングを提供。

NIPTで陽性と言われたあと、「羊水検査が必要です」と言われても、気持ちは追いつきません。
理解はしているのに、納得できない。
それが、多くの方の本音です。

この記事でわかること
  • 大学病院で説明を受けても不安が残る理由
  • NIPT陽性後に本当に整理すべきポイント
  • 羊水検査という確定診断の位置づけ
  • 「自分の意志で決める」ための考え方

1. 【結論】問題は「説明不足」ではなく「意思決定の支援不足」

多くの認証施設では、NIPT前後に遺伝カウンセリングが行われます。
しかし、それでもなお「どう決めたらいいか分からない」という状態が残ることがあります。

【結論】NIPT陽性後に本当に必要なのは、検査の説明ではなく、その結果をどう受け止め、どう判断するかを一緒に整理する時間です。

2. なぜ不安が残るのか

あるご夫婦は、認証施設で説明を受け、NIPTを実施し、トリソミー陽性となりました。
羊水検査の予約も取りました。
それでも、「何も整理できていない」と感じていました。

  • 障害をもつ子を育てるとは、具体的に何か
  • 陽性だった場合、何を基準に決めるのか
  • 夫婦でどう話し合えばいいのか

医学的情報はあっても、「人生の選択の整理」はされていなかったのです。

3. 本当に知りたかったこと

ご夫婦が求めていたのは、検査の仕組みではありませんでした。
「もし確定したら、どう生きるか」を考えるための材料でした。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【説明と支援は別物】

医療者は「説明」は得意です。でも、「どう決めるか」に寄り添うことは、別の技術です。

私は、のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきました。決断は急がせるものではなく、整えていくものです。

4. 羊水検査という確定診断

NIPTはスクリーニング検査です。確定診断ではありません。
陽性の場合、羊水検査や絨毛検査による確定診断が必要になります。

羊水検査+CMA ◎ 確定診断
Gバンド法では検出できない微小欠失を確定診断可能。
※学会指針では、原則として超音波での構造異常がある場合などが対象とされています。

5. 「自分の意志で決める」ために

選択肢は、産むか産まないか、という二者択一になります。
けれど実際には、どちらも簡単ではありません。

中絶という言葉が頭に浮かんだ瞬間、「倫理的に問題があるのでは」という葛藤が生まれます。
一方で、育てる覚悟を想像すると、現実的な不安も押し寄せます。

【結論】どちらの選択も、赤ちゃんのことを真剣に考えた結果であれば、責められるものではありません。
大切なのは、ベルトコンベアに乗せられるように決めるのではなく、自分の意志で決めることです。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【背中は押さない、でも逃げない】

私は、決断を代わりにすることはありません。けれど、「自分たちで考えてください」と突き放すこともしません。

決めるのはご夫婦です。そのために、言葉にならない思いを整理する時間を持つことが大切なのです。

実際にこのご夫婦は、最終的に妊娠を中断するという決断をされました。
それは「逃げ」ではなく、深く考え抜いた末の選択でした。

プロライフか、プロチョイスか。
そんな単純な言葉では整理できない現実があります。

どんな選択であっても、傷つく人がいる
だからこそ、医療はその傷を深くしない役割を持つべきだと、私は考えています。

よくある質問(FAQ)

Q1. セカンドオピニオンは必要ですか?

医学的に義務ではありませんが、気持ちが整理できていない場合は意味があります。理解と納得は別物です。

Q2. 大学病院の説明が間違っているのですか?

いいえ。多くの場合、医学的説明は正確です。ただし、人生の決断の整理までは十分に扱われないことがあります。

Q3. 羊水検査は必ず受けるべきですか?

NIPTはスクリーニング検査です。確定診断が必要な場合は羊水検査や絨毛検査を行いますが、最終的な選択はご家族に委ねられます

Q4. 夫婦で意見が割れた場合はどうしたらいいですか?

どちらが正しいかを決めるのではなく、それぞれが何を恐れているのかを言語化することが第一歩です。

Q5. 決断に期限があるのが怖いです

時間的制約があるのは事実です。ただし、その中でも整理できることはあります。焦らず、順番に考えることが大切です。

Q6. どんな選択をしても後悔しますか?

後悔の有無は選択そのものよりも、納得できたかどうかに左右されます。自分の意志で決めたという感覚が重要です。

ひとりで抱え込まないでください

決断は、ご夫婦のものです。
でも、その整理は、医療が支えられます。

WEB予約はこちら

プロフィール

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。
2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載
されました。

関連記事