この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)
ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。
記事の作り方(編集方針)

遺伝性痙性対麻痺(いでんせい けいせいついまひ、HSP)は、両足のつっぱり(痙縮)と力の入りにくさが、多くはゆっくり進んでいく遺伝の病気の総称です。家族性痙性対麻痺とも呼ばれます。原因の遺伝子はたくさん知られていて、似た症状のほかの病気も多いため、症状だけで病型を決めるのは簡単ではありません。遺伝子検査で原因がわかると、病名・見通し・ご家族への遺伝の確率が決まり、これからの計画を立てられるようになります。このページでは、症状・進行・遺伝のしかたと、当院の遺伝性痙性対麻痺の遺伝子検査(38遺伝子のパネル検査)でわかること、わからないこと、結果のあとにできることを、臨床遺伝専門医が解説します。
⏱️ 30秒でわかる要約
🧬 Q. この検査で何がわかりますか?
遺伝性痙性対麻痺の原因として知られる38の遺伝子を一度に調べ、病気の原因となる変化があるかを確かめます。最も多い型のSPG4(SPAST遺伝子)も含まれます。
🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?
両足のつっぱり・歩きにくさの原因を知りたい方、親やきょうだいに同じ病気の方がいて、ご自身が受け継いでいるか知りたい方、結婚や妊娠を考えていて遺伝する確率が気になる方です。
🧬 Q. 費用・日数・検体は?
検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・頬の内側の粘膜で、オンライン診療でも受けられます。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。
🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?
結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。原因がわかれば、ご家族の検査や、妊娠したときの出生前診断(院内で絨毛検査・羊水検査)まで考えられます。意義がまだわからない変化(VUS)の扱いもご説明します。
1. 遺伝性痙性対麻痺(HSP)とは:足のつっぱりがゆっくり進む遺伝の病気
遺伝性痙性対麻痺は、脳から脊髄を通って足の筋肉へ指令を伝える長い神経(上位運動ニューロン)が少しずつ傷み、両足のつっぱり(痙縮)と筋力の低下が進んでいく病気の総称です[1]。「痙性」は筋肉がこわばってつっぱること、「対麻痺」は両足に左右同じように麻痺が出ることを表します。英語の hereditary spastic paraplegia から、HSPとも呼ばれます。読み方は「いでんせい けいせいついまひ」です。
原因になる遺伝子は数多く見つかっており、合併症のない型(純粋型)に関わる遺伝子だけでも20以上が知られています[1]。それぞれの型は「SPG4」「SPG11」のように番号で呼ばれます。どれくらいの人がなる病気かについては、世界の調査をまとめた研究で、常染色体顕性(優性)遺伝の型と常染色体潜性(劣性)遺伝の型が、それぞれ人口10万人あたり平均1.8人と推定されています[3]。日本では、難病情報センターが、痙性対麻痺は脊髄小脳変性症の5%程度を占めるとしています(2026年10月時点で確認)。
病型ごとのさらに詳しい解説は、遺伝性痙性対麻痺の詳しい病型の解説で扱います。このページでは、検査を受けるかどうかを決めるために必要なことを中心にお伝えします。遺伝子検査そのものについては、遺伝子検査(遺伝学的検査)とはもご覧ください。
純粋型と複合型
遺伝性痙性対麻痺は、足のつっぱりと歩きにくさが中心の「純粋型」と、ほかの神経の症状を伴う「複合型」に分けられます[1]。純粋型でも、足の振動の感じ方が鈍くなる、尿が近い・我慢しにくいといった症状を伴うことがあります。複合型では、小脳の症状(ふらつき)、てんかん、知的障害、認知機能の低下、手足の末梢神経の障害などが加わります[1]。
同じ遺伝子の変化でも純粋型になる人と複合型になる人がいて、反対に別々の遺伝子で似た症状になることもあります。症状の型だけで原因の遺伝子を決められないのは、このためです。
初期症状と歩き方の特徴
初期症状として多いのは、両足のつっぱりによる歩きにくさです。つま先が床に引っかかる、つまずきやすい、靴のつま先がすり減りやすい、階段や坂道で足が出にくい、といった形で気づかれます。進むと、膝が伸びたまま足を振り出す歩き方や、両膝が近づいて足が交差するような歩き方(はさみ脚歩行)になることがあります。
診察では、膝などの腱反射が強く出る、足首を素早く反らすと震えが続く(クローヌス)、足の裏をこすると親指が反り返る(バビンスキー徴候)といった所見がみられます[1]。こうした所見は、脳や脊髄の運動の神経が障害されたときに出るもので、遺伝性痙性対麻痺だけに出るものではありません。
何歳から発症する?進行速度と寿命
発症の年齢は幼児期から高齢期まで幅があり、多くはゆっくり進みます。幼いころに発症して、あまり進まないタイプもあります[1]。最も多い型のSPG4では、1歳から76歳までの発症が報告されていて、同じ家族の中でも発症年齢は違うことがあります[2]。
ドイツの608人を調べた研究では、ひとりで歩ける期間の中央値は、病気が始まってから22年でした。発症が遅いほど、また複合型の症状やSPG11の型では、重くなりやすい傾向がみられています[6]。SPG4では、病気が始まって約20年で約半数が歩くときに支えを必要とし、車椅子が必要になるのは約10%とされています[2]。
寿命については、合併症のない純粋型で、症状によって生活が不自由になることはあっても寿命は短くならないとされています[1]。複合型では原因の遺伝子によって経過が大きく違うため、型がわかってから見通しを考えます。
脊髄小脳変性症・脳性麻痺など、似た病気との違い
両足のつっぱりは、遺伝性痙性対麻痺以外のさまざまな病気でも起こります。遺伝性疾患の解説書GeneReviewsは、見分けるべき病気として、多発性硬化症、脳性麻痺、HTLV-1関連脊髄症、脊髄の圧迫、ビタミンB12・ビタミンE・銅の欠乏、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や原発性側索硬化症、副腎脊髄ニューロパチー、脊髄小脳失調症3型などを挙げています。なかでもドーパ反応性ジストニアは、治療で症状が大きくよくなる病気なので、すべての方で考えるべきとされています[1]。
脳性麻痺は、生まれる前後の脳の障害によるもので、ふつうは進行しません。ただ、幼いころに発症してあまり進まない遺伝性痙性対麻痺は、脳性麻痺と区別しにくいことがあります[1]。日本では、痙性対麻痺は行政上、脊髄小脳変性症に含まれています(第8章)。
こうした病気を一つずつ確かめていくと、診断までに時間がかかります。欧州の希少疾患の患者さん6,507人の調査では、診断がつくまでの期間は平均4.7年でした[10]。日本の未診断疾患イニシアチブ(IRUD)では、遺伝子の解析を終えた5,136家系のうち43.8%で診断が確定しています[11]。全員に診断がつくわけではありませんが、原因の遺伝子がわかれば、遠回りを短くできる可能性があります。
2. 遺伝のしかたと原因遺伝子:子どもに遺伝する確率
遺伝性痙性対麻痺は、原因の遺伝子によって、常染色体顕性(優性)遺伝・常染色体潜性(劣性)遺伝・X連鎖遺伝のいずれかで受け継がれます。お子さんに遺伝する確率は、この遺伝形式で大きく変わります。合併症のない純粋型では、常染色体顕性遺伝が75〜80%を占めるとされています[1]。
常染色体顕性(優性)遺伝:SPG4(SPAST)など
常染色体顕性(優性)遺伝では、対になった遺伝子の片方に原因の変化があれば発症しうるため、親が変化をもっている場合、お子さん1人あたり2分の1の確率で受け継ぎます。性別には関係しません。
最も多いのは、SPAST遺伝子の変化によるSPG4で、常染色体顕性遺伝の型の約40%を占めるとされます[1][2]。日本の患者さんを対象に16遺伝子を調べた研究では、常染色体顕性遺伝の患者さんのうちSPG4が55.1%と最も多い結果でした[4]。SPAST遺伝子は、細胞の中の骨組みである微小管を切る働きをもつタンパク質「スパスチン」の設計図です。2番目に多いSPG3Aの原因であるATL1遺伝子は、「アトラスチン」というタンパク質をつくります。
⚠️ 「自分が軽いから、子どもも軽い」とは言えません
SPG4では、原因の変化をもっていても発症するかどうかに年齢が関わり(浸透率)、45歳までに発症する割合は約85%と推定されています。また、同じ家族の中でも発症年齢や症状の重さには大きな差があります(表現型の多様性)[2]。親御さんが軽い症状で気づいていなくても、お子さんが同じ程度になるとは限りません。だからこそ、知ったうえで計画することに意味があります。
常染色体潜性(劣性)遺伝:SPG11・SPG7など
常染色体潜性(劣性)遺伝では、ご両親がともに同じ遺伝子の変化を1つずつもつ保因者のとき、お子さん1人あたり4分の1の確率で発症します。保因者のご両親は、ふつう症状がありません。このパネルでは、SPG11・SPG7・ZFYVE26(SPG15)などがこの遺伝のしかたです。日本の研究では、脳梁(左右の脳をつなぐ部分)が薄く、認知機能の低下を伴う14人のうち5人(35.7%)にSPG11の変化が見つかっています[4]。
当院の拡大版保因者スクリーニング(女性版787遺伝子)の対象には、このパネルの遺伝子のうち、SPG11・SPG7・ZFYVE26・CYP7B1・FA2H・SPG21・ACOX1と、X連鎖のABCD1・L1CAM・PLP1・SLC16A2が含まれています。パートナーが同じ遺伝子の保因者かどうかを知る手がかりになります。
X連鎖:L1CAM・PLP1・ABCD1・SLC16A2
X連鎖の型では、原因の遺伝子がX染色体にあります。母親が保因者の場合、息子さんは2分の1の確率で変化を受け継いで発症しやすく、娘さんは2分の1の確率で保因者になります。くわしいしくみはX連鎖遺伝とはをご覧ください。
X連鎖の型でも、女性が症状を出すことがあります。たとえばABCD1遺伝子による副腎白質ジストロフィーでは、変化を1つもつ女性の約50%が40歳を過ぎると、軽い〜中くらいの痙性対麻痺のような症状を出すとされています[9]。
家族に同じ病気の人がいなくても見つかることがある
ご家族に同じ病気の方がいなくても、遺伝子の変化が見つかることがあります。日本の研究では、家族に同じ病気の方がいない(孤発例の)患者さんの11.1%(63人中7人)でも原因の変化が見つかりました[4]。理由としては、潜性遺伝でご両親が保因者だった、顕性遺伝でも親御さんが発症していない(浸透率が100%でない)、ご本人で新しく起きた変化(de novo)だった、などが考えられます。GeneReviewsは、ご本人だけが発症しているように見えるときは、ご両親の遺伝子を調べることを勧めています[1]。
新しく起きた変化の場合でも、親御さんの卵子や精子のもとになる細胞にだけ変化がある「性腺モザイク」の可能性は残ります。変化をもつ生殖細胞からできる卵子・精子は2分の1の確率で変化を受け継ぎます。生殖細胞のうちどれくらいが変化をもつかは実際の診療では調べられないため、お子さん1人あたりの確率は『最大で2分の1』とお伝えしています。
3. 遺伝性痙性対麻痺の遺伝子検査は、どんな人が受けるとよいか
両足のつっぱりの原因を知りたい方、ご家族に同じ病気の方がいる方、結婚や妊娠を考えている方に向く検査です。見た目や家族歴だけでは判断できないことが多いので、迷ったら、まず遺伝カウンセリングで状況をお聞かせください。
検査を考えてよい方
- ●両足のつっぱり・歩きにくさがあり、原因がわからない方:病型がわかると、見張る合併症や使える制度が決まります。
- ●遺伝性痙性対麻痺と診断されているが、原因の遺伝子がわかっていない方:お子さんやきょうだいへの遺伝の確率を、型に合わせて考えられるようになります。
- ●親やきょうだいに同じ病気の方がいる方:ご家族の原因がわかっていれば、その変化だけをピンポイントで調べることもできます。
- ●ほかの検査で原因がわからなかった方:MRIや血液検査でほかの病気が否定されたあとの次の一歩になります。
- ●結婚・妊娠を考えていて、家族歴が気になる方:妊娠の前に知っておくと、選べることが増えます。
「親やきょうだいと同じ病気になるかもしれない」と不安な方へ
親やきょうだいが発症した方のなかには、少しつまずいただけ、足が疲れただけでも「始まったのでは」と気になり、こうした不安を抱えながら暮らしている方もいます。
症状のない方が、将来発症する可能性を調べる検査を「発症前の検査(予測的検査)」といいます。当院は、ライフステージごとに患者さんの人生をサポートするという考え方で診療しており、知りたいと願う方を拒むことはしません。遺伝カウンセリングで十分に考えたうえで、ご本人が知りたいと決めた場合は、その意思を尊重して検査まで行います。知らないでいる選択も、同じように尊重します。
ご家族の原因の変化を受け継いでいないとわかれば、その病気について、ご家族と同じ確率を心配しながら過ごす必要はなくなります。受け継いでいるとわかった場合も、発症に備えた見張りや、仕事・結婚や出産・住まいの計画を前もって考えられます(第6章)。英国でハンチントン病の発症前検査を受けた人の理由として最も多かったのは「不確実さを減らすため」(70.5%)でした[12]。病気は違いますが、「知ることで計画を立てたい」という思いは共通するものだと思います。
一方で、結果を知ったあとの気持ちの変化は、陽性でも陰性でも起こりえます。アルツハイマー病のリスク遺伝子の結果を伝えた研究では、伝えた群と伝えなかった群で、その後の不安・うつ・検査に関する苦痛に差はありませんでしたが、検査の前から不安やうつの強かった方は、伝えたあとも強い傾向がありました[13]。当院では、検査の前後に臨床遺伝専門医と時間をかけて考えていただき、結果をお伝えしたあとも相談を続けていただけます。
なお、日本医学会のガイドライン(2022年改定)は、成年期以降に発症する病気の未成年者への発症前の検査は、原則として本人が成人し自律的に判断できるまで延期すべきとしています。お子さんについては、この考え方を踏まえてご相談ください。
この検査より別の検査が向いている場合
両足のつっぱりが中心で遺伝性痙性対麻痺を疑うなら、まずこの検査です。一方で、ほかの症状が目立つ場合は、次の検査のほうが向いていることがあります。比べるのは検査の種類で、どれが合うかは遺伝カウンセリングで決めます。
🔍 症状に合わせた検査の選び方
※どの検査が合うかは、症状・診察所見・MRI・ご家族の情報で変わります。
4. 調べる38遺伝子と、それぞれの遺伝子でわかる病気
この検査では、遺伝性痙性対麻痺の原因として知られる38の遺伝子を一度に調べます。一つの遺伝子を調べて見つからなければ次の遺伝子へ、という順番の検査にくらべて、何度も検体を出し直す必要がありません。表の病名と遺伝のしかたは、遺伝子と病気の対応をまとめたデータベースOMIMによります。
🧬 対象遺伝子と関係する病気(38遺伝子)
※病名・遺伝のしかたはOMIM(2026年10月、OMIMの情報を収載するUniProt・HPOのデータで確認)による。遺伝子によっては、痙性対麻痺以外の病気とも関係します。DNM2・BICD2・ACOX1・ATAD3A・ABCD1には、痙性対麻痺の型番号はついていません。
表のとおり、一つの遺伝子がいくつもの病気と関係することがあります。たとえば別の目的で調べた遺伝子で、痙性対麻痺とは別の病気の原因が見つかることもあるため、結果は症状とあわせて臨床遺伝専門医が解釈します。
5. この検査でわかること・わからないこと
この検査でわかるのは、38遺伝子の中の小さな変化と、一定の大きさ以上の欠失・重複です。一方で、遺伝子検査には必ず限界があり、「異常なし」でも病気が否定されるわけではありません。
わかること
- ●遺伝子の小さな変化:38遺伝子のタンパク質をつくる部分(コード領域)と、そのつなぎ目(スプライス部位)の、1文字の置き換わりや小さな挿入・欠失。
- ●遺伝子の欠失・重複:遺伝子がまるごと欠けている・増えている変化(頬の粘膜・血液の検体)と、連続する2つ以上のエクソン(遺伝子の区切り)の欠失・重複(血液の検体のみ)。1つのエクソンだけの欠失・重複は、見つかることはありますが、日常的には検出されません。見つかった欠失・重複は、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します。
最も多い型のSPG4では、SPAST遺伝子の病的な変化の約20〜25%が、エクソン単位の欠失・重複です[2]。そのため、SPG4が疑われる方では、エクソン単位の欠失・重複まで調べられる血液の検体をおすすめしています(臨床遺伝専門医としての判断です)。
わからないこと(検査の限界)
- ●調べていない遺伝子:この38遺伝子以外が原因の型は見つかりません。遺伝性痙性対麻痺の原因の遺伝子はこれ以外にも知られています。
- ●繰り返し配列の伸び(リピート伸長)・染色体の組み換わり(転座・逆位):この検査の方法では検出できません。
- ●遺伝子の調節部分や、エクソンから離れたイントロンの奥の変化:基本的に調べていません。
- ●ミトコンドリアのDNA:このパネルには含まれていません。
- ●体の一部の細胞にだけある変化(モザイク):この検査は、モザイクを見つけることを目的に作られていません。
- ●よく似た配列(偽遺伝子など)がある場所:解析で影響を小さくしていますが、変化を見つけにくいことがあります。
「異常なし」でも否定できない理由と、VUS
原因が見つからなくても、遺伝性痙性対麻痺が否定されるわけではありません。日本の研究グループ(JASPAC)の報告では、常染色体顕性遺伝の患者さんの35%で原因遺伝子が見つかっていません[5]。16遺伝子を調べた日本の研究で原因が確定したのは、常染色体顕性遺伝の患者さんの67.3%でした[4]。
また、病気の原因かどうかまだ判断できない変化(VUS)が見つかることがあります。VUSは、それだけで診断に使ったり、ご家族の検査に使ったりはしません。調べた目的と別の病気の原因が見つかること(二次的所見)の扱いは、当院の二次的所見の開示方針をご覧ください。
6. 結果が出たあと:陽性・陰性・VUSのとき
結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。陽性・陰性・VUSのそれぞれで、次にできることが違います。
病的変異が見つかったら、次にできること
原因の変化がわかることは、ゴールではなく、次の行動を決めるための出発点です。立場ごとに、できることを整理します。
① ご本人(症状がある方):病名と病型が決まり、見張るべき合併症がわかります。たとえばABCD1遺伝子の変化による副腎脊髄ニューロパチーでは、男性の約70%で副腎の働きに異常があるとされ、副腎の働きがまだ落ちていない方では年に1回、ホルモンの検査で確かめることが勧められています[9]。SPG5(CYP7B1遺伝子)のように、病気に関係する物質を薬で下げられるか調べた試験がある型もあります(第7章)[7]。治療やリハビリは、神経内科などの専門の医療機関で受けていただきます。
② 症状のないご本人(家族歴で受けた方・保因者だった方):顕性遺伝の型で変化をもっていた場合は、いつごろ・どんな症状に気をつけるかを、型に合わせて考えます。潜性遺伝の型の保因者だった場合は、ふつうご自身は発症しませんが、パートナーが同じ遺伝子の保因者かどうかで、お子さんへの確率が変わります。
③ 子どもを持つときの選択肢:ご家族の原因の変化がわかっていれば、妊娠したときに赤ちゃんが同じ変化を受け継いでいるかを調べられます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。くわしくは羊水検査・絨毛検査のページをご覧ください。ただし、その病気で出生前診断を行えるかは、病気の重さや国内の指針を踏まえて個別に判断します。日本産科婦人科学会の見解(2013年改定)では、出生前診断の対象として「新生児期もしくは小児期に発症する重篤な」遺伝性疾患などが挙げられていて、大人になってから発症することが多い型では、対象になるかを含めて考える必要があります。妊娠を考えている段階からご相談ください。
当院のNIPTのインペリアルプランは、赤ちゃんに新しく起きた変化による単一遺伝子の病気を調べる検査で、対象の遺伝子には、このパネルの遺伝子のうちKIF1A・TUBB4A・BICD2が含まれます。妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。ご家族から受け継ぐ変化を確かめるには、絨毛検査・羊水検査が基本になります。体外受精を行ってPGT-M(着床前遺伝学的検査)を受ける方法もあります(下の項目)。そして、何もしないでそのまま妊娠・出産することも、同じように尊重される選択肢です。
④ ご家族:ご本人で原因の変化がわかると、ご両親・きょうだい・お子さん・いとこなどが、同じ変化をもっているかをピンポイントで調べられます。症状のないご家族の検査は発症前の検査になるため、ご本人の同意と、検査の前の遺伝カウンセリングが前提です(第3章)。
⑤ 当院でのその後:結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングでご説明し、次にどうするかを考えます。ご家族の検査、パートナーの保因者検査、妊娠したときの出生前診断まで、当院で続けて受けていただけます(遺伝カウンセリング料は第9章)。
陰性・VUSだったとき
原因の変化が見つからなかった場合は、第5章の理由から、遺伝性痙性対麻痺の可能性が残ります。症状や経過に合わせて、全エクソーム検査など別の検査を考えます。研究が進むと、同じデータを解析し直して新しくわかることもあります。VUSだった場合は、それだけで診断やご家族の検査には使わず、ご家族の検査結果や今後の研究で意味がはっきりするのを待つこともあります。
海外でPGT-M(着床前遺伝学的検査)を考えている方へ:英語の検査結果をお渡しできます
PGT-Mは、体外受精でできた受精卵(胚)の一部の細胞を調べ、ご家族でわかっている遺伝子の変化を受け継いでいない胚を選んで子宮に戻す検査です。当院は、海外でPGT-Mを受けるときに使える英語の検査結果をお渡しできます。ご希望の方は、検査の時にお申し出ください。当院は体外受精・PGT-Mを行っていません。当院でできるのは、原因の遺伝子の確定、英語の検査結果の用意、遺伝カウンセリング、ご家族の遺伝子検査、妊娠したあとの絨毛検査・羊水検査です。
欧州ヒト生殖医学会(ESHRE)の指針によると、PGT-Mの準備には、①病気の原因と確かめられた遺伝子の変化、②その変化が書かれた元の報告書、③ご家族の検体が必要です[14]。受精卵から取れるDNAはごくわずかで、2本あるうちの片方が読み取れない「アレルドロップアウト」などで判定を誤るおそれがあるため、変化の両側にある目印(多型マーカー)で「変化をもつ染色体」を家系の中でたどる方法(ハプロタイプ解析)を組み合わせます。そのため、ご夫婦に加えて、病気の有無がわかっている血縁者のDNAが必要になります[14]。
- ●顕性遺伝の型(SPG4など):発症している方が少なくとも1人(できれば2人)、および/または発症していない方1人[14]
- ●潜性遺伝の型(SPG11など):発症している方(2つの変化をもつ方)・保因者・保因者でない方[14]
- ●X連鎖の型(L1CAMなど):発症している方、および/または発症していない方(保因者と確かめられた方が望ましい)[14]
ご本人の検査結果だけでは、PGT-Mの準備はふつう整いません。血縁者がいない場合、指針は、ご夫婦で目印を調べたうえで治療周期の受精卵や1個の精子を調べる方法を挙げていますが、できるかどうかは施設や家系の状況で大きく変わり、受けられないこともあります。新しく起きた変化(de novo)で、これまでに妊娠歴のないご夫婦では、一般的なハプロタイプ解析の方法は使えないとされています[14]。海外でPGT-Mを考えている方は、ご本人の検査の段階から、検査に協力していただけるご家族(とくに同じ変化をもつ方)がいるかを考えておくことが大切です。当院では、ご家族の遺伝子検査も、遺伝カウンセリングのうえでお受けしています。
臨床遺伝専門医としての判断として、意義がまだわからない変化(VUS)は病気の原因と確かめられていないため、そのままPGT-Mの対象にするのは難しいと考えます。潜性遺伝の型では、ご夫婦それぞれがどの変化をもっているかを確かめておく必要があります。海外の施設によって求められる書類や検体は違うので、受ける予定の施設にも前もって確認してください。
⚠️ PGT-Mは診断ではなく、スクリーニング検査です
PGT-Mは受精卵のごく一部の細胞を調べる検査で、結果が赤ちゃんの状態と食い違うことがあります。ESHREの指針は、多くの施設で誤った結果になる割合は全体で1〜3%まで下げられているとしたうえで、PGTのあとに妊娠したすべての方に出生前診断を提案すべきとしています[15]。当院では、PGT-Mで選んだ胚で妊娠した場合も、妊娠中に赤ちゃんそのものを調べる確定検査(絨毛検査・羊水検査)で確かめることが望ましいと考えています。当院では絨毛検査・羊水検査を院内で行っており、海外でPGT-Mを受けたあとの妊娠でもご相談いただけます。
日本では、日本産科婦人科学会の「重篤な遺伝性疾患を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-M)に関する指針」(2026年9月改定)にもとづき、PGT-Mは症例ごとに学会の審査を受け、そのうえで実施施設の倫理委員会が承認して行われます。この指針でいう「重篤」とは、原則として、成人に達する前に日常生活が著しく損なわれる、または生存が危ぶまれる状態になる疾患で、申請の時点で有効な治療法がないか、治療法があっても高度かつ侵襲度の高いものです。成人に達する前に生存が危ぶまれるわけではないが日常生活が著しく損なわれる状態が現れる疾患では、その病気の専門医の意見書などを追加で出す仕組みになっています。遺伝性痙性対麻痺が対象になるかどうかは、審査で個別に決まります。
PGT-Mの対象になる病気は、国によって違います。日本では症例ごとに学会が審査し、審査が続いている申請も多くあります(学会の発表では、2025年7月〜2026年6月の1年間に審査した73件のうち37件が審査継続中。2026年9月発表)。英国では公的機関(HFEA)がPGT-Mを使える病気の一覧を公表しており、2,000を超える病気が載っています(2026年9月17日更新の一覧で2,067)。一覧にない病気は、施設を通じて申請し、HFEAが審査します。米国では、PGTを直接規制する連邦や州の法律はなく、主に医師・施設の判断で行われていて[16]、米国生殖医学会の倫理委員会は2024年、大人になってから発症する病気に対するPGT-Mも倫理的に許容されうるとする意見を出しています[17]。どの病気がPGT-Mの対象になるかは、国や制度、施設によって違います。同じ病気でも、ある国では対象になり、別の国では個別の審査が必要になることがあります。受ける国の制度と、施設の条件を前もって確かめてください。くわしくは海外でPGT-Mを考えている方へで解説しています。
7. 遺伝性痙性対麻痺の治療とリハビリ:検査の結果をどう生かすか
今のところ、遺伝性痙性対麻痺の神経の変性を止めたり元に戻したりする治療はなく、症状に合わせた治療とリハビリが中心です[1]。GeneReviewsでは、足のつっぱりをやわらげる薬として、バクロフェン・ボツリヌス毒素・ダントロレン・チザニジン(1つずつ使う)が挙げられ、バクロフェンは一部の方で、ポンプを使って脊髄の周りに直接届ける方法(髄腔内投与)も使われるとされています。あわせて、一人ひとりに合わせた理学療法や、靴の中敷き・装具などで歩きやすさを保ちます[1]。
ただし、治療法の研究をまとめた2019年の系統的レビューは、発表されている治療を勧めるための十分な根拠はまだないとしています[8]。SPG5(CYP7B1遺伝子)の型では、病気に関係する物質(27-ヒドロキシコレステロール)を、コレステロールの薬(アトルバスタチン)で血液中で下げられることが試験で示されましたが、9週間の短い試験で症状への効果はみられていません[7]。
検査で型がわかることは、こうした治療の選び方や、新しく始まる研究・治験の対象かどうかを考える手がかりになります。治療は神経内科の主治医のもとで行い、当院では検査結果の意味と、ご家族への影響をご説明します。
8. 痙性対麻痺は難病?指定難病・障害者手帳など日本の制度(2026年10月時点)
痙性対麻痺は、日本では行政上、指定難病18「脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く)」に含まれています。難病情報センターは、足の突っ張りや歩行障害が主な症状である痙性対麻痺も、一部の病気では小脳の症状が出ることがあるため、行政上は脊髄小脳変性症に含まれている、と説明しています(2026年10月時点で確認)。
診断基準では、痙性対麻痺に合う症状と経過があり、遺伝子診断などがなされている場合が「確実例」とされています。医療費の助成を受けるには、診断基準を満たし、原則として重症度の基準(日常生活の状態などの評価)も満たして申請する必要があります。ただし、重症度の基準を満たさなくても、高額な医療を継続する必要がある方は「軽症高額該当」として助成の対象になる場合があります。小児慢性特定疾病の一覧には、「遺伝性痙性対麻痺」「痙性対麻痺」という名前の病気は載っていません(2026年10月時点で確認)。
身体障害者手帳は、病名ではなく、身体の機能に一定以上の障害があると認められた方に交付されるもので、肢体不自由では両足の機能の障害の程度などで等級が決まります。認定や申請の方法は、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。
9. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体
検査費用は税込330,000円で、結果までは2〜3週間です。唾液・頬の内側の粘膜・血液のいずれでも、オンライン診療で受けられます。
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
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検体の採取唾液・頬の粘膜・血液
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結果のご説明2〜3週間後・マイページへ
検査の流れ
まず臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、検査で何がわかり、何がわからないか、結果がご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。
オンライン診療(ビデオ通話)で遺伝カウンセリングを受けたあと、検体をお送りいただくこともできます。ほとんどの検査は唾液・頬の内側の粘膜で行えます。血液の検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。検体採取キットは、検査料金をお支払いいただいた後にお送りします。検体の取り違えや検体の品質の問題を防ぐため、ご自身で勝手に検体を採取しないでください。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。
費用・日数・検体
この検査は、遺伝診療先進国・米国の3大遺伝子検査会社の一角で行います。※
※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。
💴 費用・日数・検体
※当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。※ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。※この検査は腫瘍組織には使えません。
結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。報告書の見かたは遺伝子検査結果の見かたをご覧ください。
10. 院長コラム:一生変わらない遺伝子を知って、これからを計画する
🩺 院長コラム【「知らないまま」より「知ってから選ぶ」】
私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。
遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。遺伝性痙性対麻痺は、同じ家族の中でも発症の年齢や症状の重さに大きな差がある病気です。だからこそ、「自分は軽いから」「家族に症状のある人はいないから」という印象だけで、結婚するか、子どもを持つかといった、生き方そのものに関わる大きな選択を決めてしまわないでほしいと考えています。知ってから決めるのと、知らずに決めるのとでは、同じ選択でも意味が違います。
遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。たとえば、きょうだいのお子さんの病気をきっかけに念のため検査を受けた方に、まったく関係のない別の遺伝子の病的な変化が、体の一部の細胞だけにある状態(モザイク)で見つかったことがあります。ご本人は発症していませんでしたが、卵子や精子のもとになる細胞にもその変化があれば、お子さんが発症することがある病気でした。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。
わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。知ったうえで結婚や妊娠を考えたい方には、ご家族の検査から出生前診断まで、当院で続けて支えられる体制を整えています。知る・知らない、子どもを持つ・持たない、どの選択をされても、その選択を尊重します。
遺伝性痙性対麻痺の遺伝子検査でよくある質問(FAQ)
Q1. 遺伝性痙性対麻痺は遺伝しますか?子どもに遺伝する確率は?
原因の遺伝子と遺伝のしかたによって違います。常染色体顕性(優性)遺伝の型では、親が原因の変化をもっていれば、お子さん1人あたり2分の1の確率で受け継ぎます。常染色体潜性(劣性)遺伝の型では、ご両親がともに保因者のとき、お子さん1人あたり4分の1の確率で発症します。X連鎖の型では、お子さんの性別で確率が変わります。どの型かは、遺伝子検査で原因を確かめるとわかります。
Q2. 痙性対麻痺は難病(指定難病)ですか?障害者手帳はとれますか?
痙性対麻痺は、日本では行政上、指定難病18「脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く)」に含まれています(2026年10月時点、難病情報センターの情報)。医療費の助成を受けるには、診断基準と、原則として重症度の基準を満たして申請する必要があります。ただし、重症度の基準を満たさなくても、高額な医療を継続する必要がある方は「軽症高額該当」として対象になる場合があります。身体障害者手帳は、病名ではなく体の機能の障害の程度で認定されるもので、お住まいの自治体の窓口で相談できます。
Q3. 初期症状は?何歳から発症しますか?
多いのは、両足のつっぱり(痙縮)による歩きにくさで、つま先が引っかかる、つまずきやすい、といった形で気づかれます。発症の年齢は幼児期から高齢期まで幅があり、最も多い型のSPG4では1歳から76歳までの発症が報告されています。同じ家族の中でも発症年齢は違うことがあります。
Q4. 進行速度は?歩けなくなりますか?寿命は?
多くはゆっくり進みます。ドイツの608人の研究では、ひとりで歩ける期間の中央値は病気が始まってから22年でした。SPG4では、病気が始まって約20年で約半数が歩くときに支えを必要とし、車椅子が必要になるのは約10%とされています。合併症のない純粋型では、寿命は短くならないとされています。進み方は人によって大きく違います。
Q5. 治療法やリハビリはありますか?
今のところ、神経の変性を止めたり元に戻したりする治療はありません。足のつっぱりをやわらげる飲み薬(バクロフェン・チザニジンなど)、ボツリヌス毒素の注射、症状の重い方へのバクロフェンの髄腔内投与、理学療法や装具が、症状に合わせて使われます。治療は神経内科の主治医のもとで行います。
Q6. 検査で原因が見つからなかったらどうなりますか?
原因が見つからなくても、遺伝性痙性対麻痺が否定されるわけではありません。日本の研究では、常染色体顕性遺伝の患者さんの35%で原因遺伝子が見つかっていません。症状や経過に合わせて、全エクソーム検査など別の検査や、一定の期間をおいた再解析を考えます。
Q7. 遺伝性痙性対麻痺は結婚や妊娠に影響しますか?
病気そのものが結婚の妨げになるわけではありません。気になるのは、お子さんへの遺伝だと思います。遺伝する確率は型とご家族ごとに違い、検査で原因がわかれば、ご自身の状態、パートナーの保因者検査、お子さんへの確率、妊娠したときの出生前診断などを、知ったうえで選べるようになります。どの選択をされても、その選択を尊重します。
Q8. 何科を受診すればよいですか?脳性麻痺とはどう違いますか?
診断と治療は、主に神経内科(お子さんは小児神経科)で行います。脳性麻痺は、生まれる前後の脳の障害によるもので、ふつうは進行しません。遺伝性痙性対麻痺は遺伝子の変化による病気で、多くはゆっくり進行します。ただし、幼いころに発症した遺伝性痙性対麻痺は、脳性麻痺と区別しにくいことがあり、遺伝子検査が見分ける手がかりになります。
Q9. 海外でPGT-Mを受けたいのですが、英語の検査結果はもらえますか?
はい。海外でPGT-M(着床前遺伝学的検査)を受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。ただし、ご本人の検査結果だけでは、PGT-Mの準備はふつう整いません。ご家族の検体が必要になることが多いため、詳しくは海外でPGT-Mを考えている方へのページをご覧ください。当院は体外受精・PGT-Mを行っていません。
🧬 一度の検査で、ご自身とご家族のこれからを考える
生まれ持った遺伝子は一生変わりません。遺伝性痙性対麻痺の原因がわかれば、ご自身の見通しや合併症への備えだけでなく、ご家族の検査や、結婚・妊娠の計画を考える手がかりになります。当院では、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断まで、院内で続けて受けていただけます。
お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768
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