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遺伝性ニューロパチー遺伝子検査|手足のしびれ・凹足の原因を41遺伝子で調べる(シャルコー・マリー・トゥース病・家族性アミロイドポリニューロパチー・小径線維ニューロパチー)

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

遺伝性ニューロパチーの遺伝子検査|手足のしびれ・凹足の原因を41遺伝子で調べる

遺伝性ニューロパチーは、手足のしびれ・つまずき・凹足(土踏まずが高くなる足の形)などが、生まれ持った遺伝子の変化によって起こる末梢神経の病気のグループです。代表はシャルコー・マリー・トゥース病(CMT)で、ほかに痛みや熱さを感じにくくなる型、焼けるような痛みが出る型、家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR)やファブリー病のように治療薬がある型も含まれます。この検査は、それらの原因として知られる41の遺伝子を一度に調べます。生まれ持った遺伝子は一生変わりません。一度の検査でわかったことは、ご自身の治療や暮らし方の工夫だけでなく、ご家族の健康や、これからの結婚・妊娠の計画を考えるときにも使える情報になります。このページでは、病気の種類・遺伝する確率・検査でわかること・わかったあとにできることを、臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. この検査で何がわかりますか?

手足のしびれ・筋力低下・凹足などの原因になる遺伝性ニューロパチーの41遺伝子を一度に調べます。シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)、遺伝性圧脆弱性ニューロパチー(HNPP)、遺伝性感覚・自律神経ニューロパチー、小径線維ニューロパチー、治療薬のある家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR)とファブリー病が対象です。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

原因のわからない手足のしびれや痛みがある方、つま先が上がらずつまずく・凹足がある方、痛みや熱さを感じにくい方、ご家族にCMTや家族性アミロイドポリニューロパチーの方がいる方、結婚・妊娠を前に遺伝が気になる方です。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・口の内側の粘膜で、唾液・口の内側の粘膜ならオンライン診療でも受けられます。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。病名がわかると、避けたい薬・使用を検討できる治療薬・ご家族への遺伝の確率を考える手がかりになります。意義がまだわからない変化(VUS)が見つかることもあり、その扱いもご説明します。

\ 一生変わらない遺伝子を知って、これからの計画に /

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検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

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1. 遺伝性ニューロパチーとは:手足のしびれ・つまずき・凹足が遺伝子の変化で起こる病気

遺伝性ニューロパチーとは、脳や脊髄から手足へのびる末梢神経が、生まれ持った遺伝子の変化によって少しずつ傷んでいく病気の総称です。ニューロパチー(神経障害)の原因は糖尿病やお酒、薬などさまざまですが、その中で遺伝子が原因になっているものを「遺伝性ニューロパチー」と呼びます。いちばん多いのはシャルコー・マリー・トゥース病(CMT)で、遺伝性運動感覚ニューロパチーとも呼ばれます。

遺伝性ニューロパチーの多くは、足先から始まり、何年もかけてゆっくり進みます。最初は「よくつまずく」「足首をくじきやすい」「靴が合わない」「走るのが苦手」といった、病気だと気づきにくい形で始まることも少なくありません。家族の中で同じような足の形や歩き方の人がいる、ということで気づかれることもあります。

末梢神経の3つの働きと、「髄鞘」と「軸索」

末梢神経には、筋肉を動かす運動神経、痛み・温度・触った感じを伝える感覚神経、汗・血圧・胃腸の動きを調節する自律神経の3つの働きがあります。どの神経が主に傷むかで、症状が「力が入らない」「しびれる・感じにくい」「汗が出ない・立ちくらみ」と変わります。

1本の神経は、電気の信号を通す電線にあたる「軸索」と、それを包む絶縁のカバーにあたる「髄鞘(ミエリン)」でできています。末梢神経の髄鞘をつくるのはシュワン細胞です。髄鞘が傷む型を「脱髄型」、軸索そのものが傷む型を「軸索型」といい、神経伝導検査(手足の神経に弱い電気を流して信号の速さを測る検査)で見分けます。脱髄型では信号の速さが遅くなり、軸索型では速さは保たれやすく、信号の大きさが小さくなります[1]。どちらの型かで疑う遺伝子が変わるので、神経伝導検査の結果は、遺伝子検査を選ぶうえで大切な手がかりです。

🧬 傷む場所と主な症状

傷む神経 出やすい症状
運動神経 足首が上がらない(下垂足)・つまずく・すねや手の筋肉がやせる・細かい手の作業がしにくい
感覚神経 手足のしびれ・ピリピリ感、痛みや熱さを感じにくい、焼けるような痛み、暗い所でふらつく
自律神経 汗が出にくい・出すぎる、立ちくらみ、便秘や下痢、排尿の異常
体の形 凹足(土踏まずが高い)、ハンマー趾(足の指が曲がる)、側弯

遺伝のしかた:顕性・潜性・X連鎖

遺伝性ニューロパチーは、原因の遺伝子によって遺伝のしかたが違います[1]。同じ「CMT」でも、どの遺伝子かで、ご家族に伝わる確率がまったく変わります。

  • ●常染色体顕性(優性)遺伝:親のどちらかが変化をもっていれば、お子さん1人ごとに2分の1の確率で受け継ぎます。PMP22(CMT1A・HNPP)・MPZ・TTRなど。
  • ●常染色体潜性(劣性)遺伝:ご両親がともに保因者(変化を1つだけもち、症状がない人)のとき、お子さん1人ごとに4分の1の確率で発症します。SH3TC2・MTMR2・NDRG1・FGD4など。同じ遺伝子に顕性と潜性の両方の型があるもの(GDAP1・MFN2など)もあります。
  • ●X連鎖遺伝:X染色体にある遺伝子(GJB1・GLA・ATP7A)の変化で、男性で重く出やすい一方、女性にも症状が出ることがあります。
  • ●新しく起きた変化:ご家族に同じ病気の人がいなくても、ご本人の代で新しく起きた変化(de novo変異)で発症することがあります。家族歴がないことは、遺伝性ではない理由にはなりません。

遺伝性か、それ以外の原因か:糖尿病・アルコール・抗がん剤・CIDPとの見分け

しびれの原因で多いのは、遺伝ではない原因です。ニューロパチー(多発ニューロパチー)は一般の人の約1%、高齢の方では最大7%にみられ、先進国での主な原因は糖尿病・お酒の飲みすぎ・抗がん剤などの細胞を傷める薬・心臓や血管の病気とされています。一方で、20〜30%は調べても原因がわからないままと報告されています[7]。遺伝ではない原因が見つかれば、その治療が先になります。また、慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー(CIDP)のような免疫の病気も、遺伝性ニューロパチーとは治療の考え方がまったく違うため、脳神経内科で見分けてもらうことが大切です。

一方で、子どものころから運動が苦手だった、凹足がある、何年もかけてゆっくり進む、ご家族にも似た人がいる、といった場合は遺伝性を考えます。遺伝ではない原因を調べても見つからない「原因不明のしびれ」が続くときも、遺伝子検査が回り道を終わらせる手がかりになることがあります。なお、遺伝性のニューロパチーをもつ方に、糖尿病などほかの原因が重なることもあります。

2. この検査で調べる遺伝性ニューロパチーの種類

この検査は、シャルコー・マリー・トゥース病、遺伝性圧脆弱性ニューロパチー、遺伝性感覚・自律神経ニューロパチー、小径線維ニューロパチー、治療薬のある家族性アミロイドポリニューロパチーとファブリー病を、まとめて調べられるように組まれています。どのグループに当てはまるかで、受けたあとの道すじが変わります。

シャルコー・マリー・トゥース病(CMT):症状・歩き方・寿命

シャルコー・マリー・トゥース病は、運動神経と感覚神経の両方が傷む、いちばん多い遺伝性ニューロパチーです。足先の筋肉から弱くなり、足首が上がらずつま先が引っかかるため、ひざを高く上げる歩き方(鶏歩)になることがあります。すねの筋肉がやせて逆さのシャンパンボトルのような形になる、凹足やハンマー趾がある、手の細かい作業がしにくくなる、といった症状が典型的です。詳しくはシャルコー・マリー・トゥース病(CMT)総論で解説しています。

CMTの有病率は、各国の研究をまとめたシステマティックレビューで、人口10万人あたり9.7人(セルビア)から82.3人(ノルウェー)まで、国や調べ方によって大きな幅があると報告されています[10]。

CMTのうち最も多い原因はPMP22遺伝子の重複で、CMT全体の最大50%を占めるとされています[1]。米国で神経障害のある成人6,849人がパネル検査を受けた研究では、原因が確定した人のうち73.8%が、PMP22・MFN2・GJB1・MPZ・TTRの5つの遺伝子によるものでした[5]。この5つは、この検査の41遺伝子にすべて含まれています。

寿命については、遺伝性疾患の解説書GeneReviewsで、脱髄型(CMT1)は寿命が短くならないとされています[1]。多くの方は、装具(短下肢装具)やリハビリ、アキレス腱を伸ばす毎日のストレッチなどの工夫をしながら暮らしています[1]。ただし、型によっては子どものうちに重く発症するものもあり、見通しは原因の遺伝子で変わります。

遺伝性圧脆弱性ニューロパチー(HNPP):同じ場所の麻痺をくり返す

遺伝性圧脆弱性ニューロパチー(HNPP)は、神経が圧迫に弱く、ひじをついた・足を組んだ・手首をくり返し使った、といったことで、痛みのない麻痺やしびれが1本の神経に急に出る病気です。最初の症状は10代〜20代に出ることが多いとされます[2]。

HNPPの約80%は、PMP22遺伝子を含む領域の欠失(1つ分なくなること)で、残りの約20%はPMP22遺伝子の中の小さな変化によります[2]。有病率は人口10万人あたり7〜16人と推定され、診断されていない人も多いと考えられています[2]。PMP22が重複するとCMT1A、欠失するとHNPPと、同じ遺伝子の「多すぎ」と「少なすぎ」で別の病気になるのが特徴です。

遺伝性感覚・自律神経ニューロパチー(HSN/HSAN)と先天性無痛症

遺伝性感覚・自律神経ニューロパチーは、感覚神経(と自律神経)が主に傷む病気です。痛みや熱さを感じにくいため、けがややけどに気づかず、足の傷が治りにくくなったり、骨や関節を傷めたりすることがあります。この検査では、遺伝性感覚性自律神経性ニューロパチー1A(SPTLC1)、1C(SPTLC2)、遺伝性感覚ニューロパチー1E(DNMT1)、1D(ATL1)などの原因遺伝子を調べます[1]。

SCN9A遺伝子は、痛みの信号を伝えるナトリウムチャネル(Nav1.7)の設計図です。SCN9Aの働きが両方の遺伝子でなくなると、生まれつき痛みをまったく感じない「先天性無痛症」になることが、2006年に報告されました[6]。反対に、働きが強くなりすぎる変化は、手足の焼けるような痛み(肢端紅痛症など)の原因になります。

小径線維ニューロパチー:焼けるような手足の痛み

小径線維ニューロパチーは、痛みや温度を伝える細い神経線維が主に傷み、足先の焼けるような痛み・チクチク感・ほてりが出る病気です。細い線維の病気なので、ふつうの神経伝導検査では異常が出にくいのが特徴です。原因のわからない小径線維ニューロパチーの方を調べた研究では、28人中8人(28.6%)にSCN9A遺伝子の働きを強める変化が見つかりました[8]。ただし、小径線維ニューロパチーの多くは糖尿病などの遺伝ではない原因によるもので、遺伝子検査で原因がわかるのは一部です。

治療薬がある型:家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR)とファブリー病

この検査で調べる41遺伝子のうち、TTRとGLAは、見つかれば治療薬を使える病気の原因遺伝子です。しびれの原因を「遺伝だから仕方ない」で終わらせず、治療につなげられる可能性があるのが、このパネルの大きな意味です。

家族性アミロイドポリニューロパチー(遺伝性トランスサイレチン型アミロイドーシス)は、TTR遺伝子の変化で、トランスサイレチンというたんぱく質が神経や心臓にたまる病気です。常染色体顕性遺伝で、お子さんへは2分の1の確率で伝わります[3]。日本では、末梢神経障害の進行を抑える薬として、タファミジスが2013年に、ブトリシランが2022年に承認されています(医薬品医療機器総合機構〔PMDA〕の情報、2026年10月時点で確認)。治療と検査の詳しいことは、トランスサイレチン型アミロイドーシスの遺伝子検査のページで解説しています。

ファブリー病は、GLA遺伝子の変化で、細胞の中の脂質を分解する酵素が足りなくなるライソゾーム病です。X連鎖遺伝で、男性だけでなく、変化を1つもつ女性でも、症状がまったくない方から男性と同じくらい重い方までいます[4]。手足の発作的な強い痛み(四肢末端痛)は子どものころや思春期に始まることが多く、小径線維ニューロパチーの形をとります[4]。治療には酵素補充療法があり、特定の遺伝子の変化に効く飲み薬(ミガーラスタット)も日本で2018年に承認されています(PMDAの情報、2026年10月時点で確認)[9]。腎臓・心臓・脳の合併症にも関わるので、見つける意味の大きい病気です。ほかのライソゾーム病もまとめて調べたい場合は、ライソゾーム病NGS遺伝子パネル検査があります。

痙性対麻痺・脊髄性筋萎縮症・メンケス病など、となりの病気とつながる遺伝子

遺伝性ニューロパチーの遺伝子の中には、ほかの神経の病気の原因にもなるものがあります。たとえばATL1・SPAST・SPG11・REEP1は、足がつっぱって歩きにくくなる遺伝性痙性対麻痺の原因遺伝子でもあります。ASAH1は進行性ミオクローヌスてんかんを伴う脊髄性筋萎縮症やファーバー病、ATP7AはX連鎖性遺伝性遠位運動ニューロパチーのほかメンケス病、LMNAは筋ジストロフィー、BSCL2は脂肪萎縮症の原因にもなります。症状が「ニューロパチーだけ」でない方でも、この検査で原因が見つかることがあるのはこのためです。

3. どんな人がこの検査を受けるとよいか

手足のしびれ・筋力低下・凹足などがあって遺伝性ニューロパチーが疑われる方、ご家族に遺伝性ニューロパチーの方がいる方、結婚・妊娠を考えていて遺伝が気になる方に向く検査です。次のような場面がひとつでも当てはまれば、遺伝カウンセリングで状況をお聞かせください。

  • ●つま先が上がりにくく、よくつまずく・足首をくじきやすい
  • ●凹足やハンマー趾があり、ご家族にも同じ足の形の人がいる
  • ●糖尿病などを調べても原因のわからない、手足のしびれや痛みが続く
  • ●痛みや熱さを感じにくく、けがややけどに気づきにくい
  • ●足先の焼けるような痛み、汗の出方の異常、立ちくらみがある
  • ●ひじ・ひざ・手首などで、圧迫のあとの麻痺をくり返す
  • ●ご家族がCMT・家族性アミロイドポリニューロパチー・ファブリー病と診断されている
  • ●CMTと診断されたが、原因の遺伝子がまだわかっていない

原因の遺伝子がわかることには、はっきりした意味があります。米国で神経障害のある成人6,849人がパネル検査を受けた研究では、原因が確定した573人のうち398人(69.5%)で、結果が治療や管理に役立つ(アクショナブル)と判断されました。また、確定した診断の39.3%は、「家族歴があり50歳未満で発症」というこれまでの検査の目安だけでは見逃されていたとされています[5]。家族歴がない・発症が遅いからといって、遺伝性ではないとは言えません。病名が決まると、避けたい薬、気をつけたい合併症、治療薬が使えるかどうか、ご家族に伝わる確率が具体的になります。

「自分もなるかもしれない」と不安なご家族へ

親やきょうだいが遺伝性ニューロパチーと診断されると、ちょっとしたつまずきや足のしびれのたびに「始まったのでは」と気になりながら暮らしている方もいます。ご家族の原因の遺伝子がわかっていれば、症状のないご本人が同じ変化を受け継いでいるかを調べられます。受け継いでいないとわかれば、その病気について、ご家族と同じ確率を心配しなくてよくなります。受け継いでいるとわかった場合も、家族性アミロイドポリニューロパチーのように、症状が出る前から定期的な検査で見張り、早く治療を始められる病気があります[3]。

当院は、ライフステージごとに患者さんの人生をサポートするという考え方で診療しています。知りたいと願う方を拒むことはしません。遺伝カウンセリングで十分に考えたうえで、ご本人が知りたいと決めた場合は、その意思を尊重して検査まで行います。知らないでいる選択も、同じように尊重します。結果を知ったあとの気持ちの変化は陽性でも陰性でも起こりうるので、結果をお伝えしたあとも、遺伝カウンセリングで相談を続けていただけます。なお、日本医学会のガイドライン(2022年3月改定)は、成年期以降に発症する病気の未成年者への発症前の検査は、原則として本人が成人し自分で判断できるまで延期すべきとしています。お子さんの検査については、この考え方を踏まえてご相談ください。

この検査より別の検査が向いている場合

症状と神経伝導検査・筋電図・血液検査(CK)の結果によって、向いている検査が変わります。比べる相手は検査の種類です。次の表を目安に、遺伝カウンセリングで一緒に選びます。

🔍 症状・検査の結果から、どのパネルを選ぶか

こんなとき 向いている検査
しびれ・痛み・感じにくさがあり、CMT以外(感覚・自律神経・小径線維・TTR・ファブリー病)も含めて調べたい このページの検査(遺伝性ニューロパチー41遺伝子)
運動と感覚の両方が傷み、神経伝導検査でCMTらしい シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)遺伝子検査(59遺伝子)
力が入らないが感覚はほぼ正常(運動神経だけが傷む) 遠位型遺伝性運動ニューロパチー遺伝子検査
手足の先から弱くなるが、筋電図で筋肉の病気、CKが高い 遠位型遺伝性ミオパチー遺伝子検査
足のつっぱり(痙性)が目立つ 遺伝性痙性対麻痺(HSP)遺伝子検査パネル
神経か筋肉か、型をしぼれない 神経筋疾患遺伝子パネル検査
神経以外の症状も多く、病気をしぼれない 全エクソーム検査(WES)・原因不明の症状の遺伝子検査
糖尿病・お酒・薬など、遺伝ではない原因がはっきりしている まず原因の治療を優先(遺伝子検査は急がない)

※どの検査が合うかは、症状・診察所見・ご家族の情報で変わります。

CMTの検査(59遺伝子)とこの検査(41遺伝子)の違い

CMTの検査とこの検査は、35の遺伝子が共通です。違いは、何を中心に組まれているかです。

  • ●この検査だけにある6遺伝子:ASAH1・GLA(ファブリー病)・MME・SCN9A(先天性無痛症・小径線維ニューロパチー)・SPAST・SPG11。痛み・感覚の病気や、ファブリー病まで含めたいときに向きます。
  • ●CMTの検査だけにある24遺伝子:AIFM1・COX6A1・DHTKD1・DNAJB2・ELP1・FIG4・GAN・GNB4・HINT1・IGHMBP2・INF2・KIF1A・KIF5A・MARS1・NGF・NTRK1・PDK3・PLEKHG5・PRPS1・RETREG1・SBF1・SLC12A6・TRIM2・WNK1。CMTらしさがはっきりしていて、CMTの原因をより広く調べたいときに向きます。

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📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

原因がわかれば、ご両親・きょうだい・お子さんは、同じ変化があるかをピンポイントで調べられます。妊娠したときの羊水検査・絨毛検査も院内で受けられます。

ご家族の検査を考えている方は、遺伝カウンセリングを予約する(ご希望があれば検査まで受けられます) | どの検査がよいか迷う方へ

4. 調べる41遺伝子と、それぞれでわかる病気

この検査では、次の41遺伝子を一度に調べます。病名は国際的な遺伝性疾患のデータベース(OMIM)の名前を日本語にしたもので、遺伝のしかたはAD=常染色体顕性(優性)、AR=常染色体潜性(劣性)、XL=X連鎖です。遺伝子名をクリックすると、その遺伝子の解説ページに進めます。

🧬 遺伝性ニューロパチー検査で調べる41遺伝子と関係する病気

遺伝子 関係する主な病気 遺伝のしかた
AARS1(旧名AARS) CMT2N型(軸索型) AD
ASAH1 進行性ミオクローヌスてんかんを伴う脊髄性筋萎縮症
ファーバー病
AR
AR
ATL1 遺伝性感覚ニューロパチー1D型
痙性対麻痺3型(SPG3、遺伝性痙性対麻痺)
AD
AD
ATP7A X連鎖性遺伝性遠位運動ニューロパチー
メンケス病・後角症候群
XL
XL(潜性)
BSCL2 遠位型遺伝性運動ニューロパチー13型・痙性対麻痺17型(シルバー症候群)
先天性全身性脂肪萎縮症2型
AD
AR
DNM2 顕性中間型CMT B型・CMT2M型(ほかに中心核ミオパチー1型の原因にも) AD(CMT)
DNMT1 遺伝性感覚ニューロパチー1E型
小脳失調・難聴・ナルコレプシー(ADCADN)
AD
AD
DYNC1H1 CMT2O型
下肢優位型脊髄性筋萎縮症1型(SMALED1)
AD
AD
EGR2 CMT1D型(脱髄型)
デジェリーヌ・ソッタス症候群
先天性髄鞘形成不全ニューロパチー1型
AD
AD・AR
AR
FGD4 CMT4H型(脱髄型) AR
GARS1(旧名GARS) CMT2D型・遠位型遺伝性運動ニューロパチー5型・ジェームズ型乳児脊髄性筋萎縮症 AD
GDAP1 CMT4A型(脱髄型)・劣性中間型CMT A型
CMT2K型(軸索型)
AR
AD・AR
GJB1 X連鎖CMT1型(CMTX1) XL(顕性)
GLA ファブリー病 XL
HSPB1 CMT2F型・遠位型遺伝性運動ニューロパチー3型 AD
HSPB8 CMT2L型・遠位型遺伝性運動ニューロパチー2型・筋原線維ミオパチー13型 AD
KIF1B CMT2A1型 AD
LITAF CMT1C型(脱髄型) AD
LMNA CMT2B1型
エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー2型
AR
AD
LRSAM1 CMT2P型 AD・AR
MED25 CMT2B2型・バーゼル・ヴァナガイト・スミリン・ヨセフ症候群 AR
MFN2 CMT2A2A型・視神経萎縮を伴う遺伝性運動感覚ニューロパチー6A型
CMT2A2B型
AD
AR
MME CMT2T型
脊髄小脳失調症43型
AR・AD
AD
MPZ CMT1B型・CMT2I型・CMT2J型・顕性中間型CMT D型・ルシー・レヴィ症候群
デジェリーヌ・ソッタス症候群
AD
AD・AR
MTMR2 CMT4B1型(脱髄型) AR
NDRG1 CMT4D型(脱髄型) AR
NEFL CMT1F型・CMT2E型・顕性中間型CMT G型 AD(AR型の報告もある)
PMP22 CMT1A型(重複)・遺伝性圧脆弱性ニューロパチー(HNPP、欠失)・CMT1E型
デジェリーヌ・ソッタス症候群
AD
AD・AR
PRX CMT4F型(脱髄型)
デジェリーヌ・ソッタス症候群
AR
AD・AR
RAB7A CMT2B型 AD
REEP1 遠位型遺伝性運動ニューロパチー12型・痙性対麻痺31型
遠位型遺伝性運動ニューロパチー(潜性)6型
AD
AR
SBF2 CMT4B2型(脱髄型) AR
SCN9A 先天性無痛症
肢端紅痛症・発作性激痛症
AR
AD
SH3TC2 CMT4C型(脱髄型) AR
SPAST 痙性対麻痺4型(SPG4、遺伝性痙性対麻痺) AD
SPG11 CMT2X型・痙性対麻痺11型・若年性筋萎縮性側索硬化症5型 AR
SPTLC1 遺伝性感覚性自律神経性ニューロパチー1A型・若年性筋萎縮性側索硬化症27型 AD
SPTLC2 遺伝性感覚性自律神経性ニューロパチー1C型 AD
TRPV4 CMT2C型・遠位型遺伝性運動ニューロパチー8型(ほかに骨の病気の原因にも) AD
TTR 遺伝性トランスサイレチン型アミロイドーシス(家族性アミロイドポリニューロパチー) AD
YARS1(旧名YARS) 顕性中間型CMT C型
乳児期発症の神経・内分泌・膵臓の多系統疾患2型
AD
AR

※遺伝子の一覧は当院の検査内容による。病名と遺伝のしかたはOMIMの病名(UniProtの疾患情報で照合)とGeneReviewsのCMT総論[1]による。AARS・GARS・YARSは古い遺伝子名で、現在の名前はAARS1・GARS1・YARS1。病名は代表的なものだけを載せています。

当院のNIPTでも調べられる遺伝子

41遺伝子のうち、LMNAは当院のNIPTのダイヤモンドプランとインペリアルプランで、DYNC1H1はインペリアルプランで、赤ちゃんに新しく起きた変化(de novo変異)を調べる対象に入っています。当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。そのほかの39遺伝子は、当院のNIPTでは調べられません。詳しくはNIPTのページをご覧ください。

5. この検査でわかること・わからないこと

この検査でわかるのは、41遺伝子の中の小さな変化と、遺伝子まるごとの欠失・重複(PMP22の重複・欠失を含む)です。一方で、遺伝子検査には必ず限界があります。

わかること

  • ●遺伝子の小さな変化:遺伝子の文字(塩基)が1つ変わる変化や、小さな挿入・欠失を、たんぱく質の設計図にあたる部分(エクソン)と、その両端のつなぎ目(エクソンに接するイントロンの10塩基程度)で調べます。
  • ●欠失・重複:遺伝子1つまるごとの欠失・重複を調べます(料金に含まれます)。PMP22の重複(CMT1A)と、PMP22を含む欠失(HNPP)はこの形の変化です[2]。血液の検体では、隣り合う2つ以上のエクソンの欠失・重複も調べられます。見つかった欠失・重複は、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します。
  • ●読み取りの確かさ:調べる部分の99%以上を、同じ場所を20回以上読み取る深さで確認します。読み取りの質が低かった変化は、別の方法(サンガー法)で確かめます。

わからないこと

  • ●41遺伝子以外の原因:遺伝性ニューロパチーの原因遺伝子は、この41遺伝子のほかにも数多く知られています。
  • ●1つのエクソンだけの欠失・重複:見つかることはありますが、決まって検出できるわけではありません。
  • ●調べない種類の変化:染色体の転座・逆位、同じ配列のくり返しが長くなる変化(リピート伸長)、遺伝子のスイッチ部分(プロモーター)や、つなぎ目から20塩基以上離れたイントロンの奥の変化は調べません。
  • ●体の一部の細胞にだけある変化(モザイク):見つけることを目的にした検査ではありません。腫瘍の組織の検査にも使えません。
  • ●よく似た配列:遺伝子とよく似た配列(偽遺伝子など)があると、まれに判定が難しくなることがあります。

⚠️ 陰性でも「遺伝性ニューロパチーではない」とは言えません

神経障害のある成人6,849人が66〜111遺伝子のパネル検査を受けた米国の研究では、原因が確定したのは8.4%でした[5]。この研究は症状の幅が広い大人の集団で、この検査とは遺伝子の数も違いますが、「パネル検査を受ければ必ず原因がわかる」わけではないことを示しています。原因が見つからなくても、遺伝性ではないと決まるわけではありません。

意義がまだわからない変化(VUS)

検査では、病気の原因かどうかまだ判断できない変化(VUS)が見つかることがあります。VUSは、それだけで診断に使ったり、ご家族の検査に使ったりはしません。研究が進んで、のちに意味がはっきりすることもあります。調べた目的と別の病気の原因が見つかった場合の扱いは、当院の二次的所見の開示方針をご覧ください。

6. 病的変異が見つかったら、次にできること

原因の遺伝子がわかると、避けたい薬・使用を検討できる治療薬・注意すべき合併症・ご家族に伝わる確率を具体的に検討できます。わかるだけで終わらせず、次の行動につなげられるのが遺伝子検査の意味です。治療は脳神経内科などの専門の医療機関で受けていただき、当院は遺伝の面から支えます。

ご本人(症状がある方)にできること

  • ●避けたい薬がわかる:抗がん剤のビンクリスチンは、CMTの末梢神経をとくに傷め、症状を大きく悪くすることがあるとされています。HNPPでもビンクリスチンで悪くなった報告があります[1][2]。将来がんの治療を受けるときに、病名を伝えられることが大切です。
  • ●治療薬が使えるか決まる:家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR)とファブリー病(GLA)には、日本で承認された治療薬があります(第2章)[3][4]。ファブリー病の飲み薬(ミガーラスタット)は、効く遺伝子の変化かどうかで使えるかが決まるため、遺伝子の変化そのものがわかっていることが大切です[4]。
  • ●暮らしの工夫が決まる:HNPPでは、長く足を組む・ひじをつく・手首のくり返し作業・急な体重減少を避けることが勧められています[2]。CMTでは、短下肢装具、アキレス腱を伸ばす毎日のストレッチ、握る運動、体重を増やしすぎないことなどが勧められています[1]。
  • ●合併症に備えられる:TTRでは心臓・目・腎臓、ファブリー病では腎臓・心臓・脳の合併症があり、定期的な検査で見張ります[3][4]。LMNAのように心臓や筋肉の病気にも関わる遺伝子もあります。
  • ●制度を使いやすくなる:シャルコー・マリー・トゥース病などの医療費助成の申請で、原因がはっきりしていることが手がかりになります(第7章)。

症状のないご本人(家族歴で受けた方・保因者だった方)

家族性アミロイドポリニューロパチーのように、症状が出る前から見張ることに意味がある病気では、変化をもつと確かめた方に、神経の診察と神経伝導検査を少なくとも年1回、心電図・心エコーなどを年1回行うことが示されています[3]。TTRの変化をもっていても、必ず発症するわけではありません。発症する確率は変化の種類や地域で大きく違い、たとえばポルトガルの家系では50歳までに約80%、スウェーデンの家系では70歳までに36%と報告されています[3]。

常染色体潜性遺伝の病気の保因者だった方は、ご自身が発症することはふつうありません。ただ、パートナーも同じ遺伝子の保因者だと、お子さん1人ごとに4分の1の確率で発症します。X連鎖遺伝の病気では、お子さんへの遺伝の確率や発症の可能性が異なります。パートナーが保因者かどうかは、拡大版保因者スクリーニング(女性版787遺伝子)で調べられることがあります。この41遺伝子のうち、787遺伝子版の対象に入っているのはATP7A・GDAP1・GJB1・GLA・MTMR2・NDRG1・SH3TC2・SPG11で、1009遺伝子版にはさらにASAH1・MED25・SCN9Aが入っています(それぞれの遺伝子一覧で確認)。妊娠中の方は、NIPTと同じ日に採血できるカップルの保因者検査「ファミリーセーフティ プラス」(女性787遺伝子・男性714遺伝子)もあります(単独では受けられません)。

子どもを持つときの選択肢

結婚するか、子どもを持つかは、その人の生き方そのものに関わる大きな選択です。ご家族の原因の遺伝子の変化がわかっていれば、妊娠したときに赤ちゃんに同じ変化があるかを調べられます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。当院では羊水検査・絨毛検査を院内で行っています(2025年6月から産婦人科を併設)。その病気で出生前診断を行えるかは、病気の重さや国内の指針を踏まえて個別に考えるので、妊娠を考えている段階からご相談ください(単一遺伝子疾患の出生前診断)。

日本でも、日本産科婦人科学会の指針にもとづく審査を経て、PGT-M(着床前遺伝学的検査)が行われています(当院は体外受精・PGT-Mを行っていません)。準備に必要なことは海外でPGT-Mを考えている方へで解説しています。LMNA・DYNC1H1のように当院のNIPTで調べられる遺伝子もあります(第4章)。どの選択肢も選ばずに、そのまま妊娠・出産を迎えることも、もちろん選べる道です。

ご家族(きょうだい・親・いとこ)

ご本人の原因がわかると、ご両親・きょうだい・お子さん・いとこは、同じ変化をもっているかを、その1か所だけピンポイントで調べられます。症状のないご家族の検査は、ご本人の同意のうえで、検査の前に遺伝カウンセリングで知ることの意味をよく考えていただきます。BRCA1/2(遺伝性乳がん卵巣がん)の検査を受けた120人の研究では、約25%が「家族のため」を検査を受ける大切な理由に挙げ、遺伝カウンセリングのあとにはこうした理由が有意に増えました(検査結果を受け取ったあとには減っています)[11]。病気は違いますが、ご自身の検査がご家族の役に立つ、という考え方は遺伝性ニューロパチーでも同じです。

陰性・VUSだったとき、当院でのその後

原因が見つからなかった場合は、症状に合わせて、CMTの検査・神経筋疾患のパネル検査・全エクソーム検査などの次の選択肢を考えます(第3章の表)。VUSだった場合は、それだけで診断やご家族の検査には使わず、症状やご家族の情報とあわせて意味を考えます。どの結果でも、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングでご説明し、次にどうするかを一緒に考えます。

7. 日本の制度(2026年10月時点)

シャルコー・マリー・トゥース病は、指定難病10に指定されています。家族性アミロイドポリニューロパチーを含む全身性アミロイドーシスは指定難病28、ファブリー病を含むライソゾーム病は指定難病19です(厚生労働省の資料で確認)。また、小児慢性特定疾病情報センターでは、遺伝性運動感覚ニューロパチーが対象疾病として解説されています。同センターの解説では、国内のシャルコー・マリー・トゥース病の患者さんは、厚生労働省の研究班の全国調査で約2,000人とされています(2014年版の解説)。

医療費の助成を受けるには、それぞれの制度の認定の条件を満たし、申請する必要があります。認定の基準や申請の方法は、難病情報センター・小児慢性特定疾病情報センターや、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。

8. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・口の内側の粘膜で、唾液・口の内側の粘膜ならオンライン診療でも受けられます。

ご予約
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
▶
検体の採取血液・唾液・口の粘膜
▶
結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

💴 費用・日数・検体

項目 内容
検査内容 遺伝性ニューロパチーに関わる41遺伝子の塩基配列と、欠失・重複(どちらも料金に含まれます)
検査費用 税込330,000円
結果までの期間 2〜3週間(至急オプション55,000円で約7日短くなります)
検体 血液(4mLの採血管2本)・抽出したDNA・口の内側の粘膜・唾液
オプション 意義がまだわからない変化(VUS)を報告から除く(無料)
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査費用とは別
オンライン診療 可能(唾液・口の内側の粘膜の場合。血液の場合は全国の提携医療機関で採血)

※ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。

この検査は、遺伝診療先進国・米国の3大遺伝子検査会社の一角で行います。※

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただく流れです。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。検体採取キットは検査料金をお支払いいただいたあとにお送りします。検体の取り違えや品質の低下を防ぐため、キットが届く前にご自身で検体を採らないでください。

当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。報告書の読み方は遺伝子検査結果の見かたで解説しています。

遺伝カウンセリングでは、検査で何がわかり、何がわからないか、結果がご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。

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臨床遺伝専門医が常駐し、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明してからマイページにアップします。

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9. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「遺伝だから仕方ない」で終わらせないために】

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。

手足のしびれや足の形は、「昔からこうだから」「親もそうだったから」と、そのままにされやすい症状です。けれども、遺伝性ニューロパチーの中には、家族性アミロイドポリニューロパチーやファブリー病のように治療薬のある病気があり、CMTのように避けたい薬がはっきりしている病気もあります。原因の名前がつくことは、「遺伝だから仕方ない」を、「だからこうする」に変える一歩だと考えています。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。

わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。知ったうえで結婚や妊娠を考えたい方には、出生前診断まで当院で続けて支えられる体制を整えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 遺伝性ニューロパチーは難病ですか?

シャルコー・マリー・トゥース病は指定難病10に指定されています。家族性アミロイドポリニューロパチーを含む全身性アミロイドーシスは指定難病28、ファブリー病を含むライソゾーム病は指定難病19です(2026年10月時点、厚生労働省の資料で確認)。医療費の助成を受けるには、それぞれの制度の認定の条件を満たし、申請する必要があります。

Q2. 遺伝性ニューロパチーは治りますか?

多くの型では、原因そのものを治す治療はまだありません。ただし、装具やリハビリ、避けたい薬を知ることなどで、暮らしを守る工夫ができます。また、家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR)とファブリー病には、日本で承認された治療薬があります。どの型かで対処が変わるので、原因の遺伝子を知ることに意味があります。

Q3. 遺伝性ニューロパチーが遺伝する確率は?

原因の遺伝子で変わります。常染色体顕性(優性)遺伝なら、お子さん1人ごとに2分の1です。常染色体潜性(劣性)遺伝なら、ご両親がともに保因者のとき、お子さん1人ごとに4分の1です。X連鎖遺伝では、親の性別とお子さんの性別で確率が変わります。ご家族に同じ病気の人がいなくても、新しく起きた変化で発症することもあります。

Q4. 遺伝性ニューロパチーは結婚に差し支えますか?

遺伝する確率は、病気とご家族ごとに違います。検査をすると、ご自身が変化をもっているか、潜性遺伝ならパートナーが保因者か、お子さんへの確率はどれくらいかがわかります。知ったうえで、妊娠したときの出生前診断などの選択肢を考えることもできます。当院では、検査から遺伝カウンセリング、羊水検査・絨毛検査まで、院内で続けて支えています。

Q5. CMTと言われました。CMTの検査(59遺伝子)とこの検査のどちらを受けるべきですか?

2つの検査は35の遺伝子が共通です。CMTらしさがはっきりしていて、CMTの原因をより広く調べたいならCMTの検査(59遺伝子)が向きます。しびれ・痛み・感じにくさなどの感覚の症状が目立つ、ファブリー病も含めて調べたい場合は、この検査(41遺伝子)が向きます。症状や神経伝導検査の結果を見て、遺伝カウンセリングで一緒に選びます。

Q6. 小径線維ニューロパチーも調べられますか?

はい。小径線維ニューロパチーの原因になるSCN9A遺伝子と、小径線維ニューロパチーの形をとるファブリー病のGLA遺伝子が含まれています。原因のわからない小径線維ニューロパチーの方28人のうち8人にSCN9Aの変化が見つかったという研究があります。ただし、小径線維ニューロパチーの多くは糖尿病などの遺伝ではない原因によるもので、遺伝子検査で原因がわかるのは一部です。

Q7. 家族も検査したほうがいいですか?

ご本人の原因の遺伝子がわかれば、ご家族は同じ変化があるかを、その1か所だけ調べられます。症状のないご家族の検査は、ご本人の同意のうえで、検査の前に遺伝カウンセリングで知ることの意味をよく考えていただきます。家族性アミロイドポリニューロパチーのように、症状が出る前から見張ることに意味がある病気もあります。

Q8. 神経伝導検査で異常がなくても受けられますか?

受けられます。小径線維ニューロパチーのように、細い神経線維の病気では、ふつうの神経伝導検査で異常が出にくいことが知られています。症状・診察所見・ご家族の情報から、この検査が合うかを遺伝カウンセリングで一緒に考えます。

🧬 一度の検査で、ご自身とご家族のこれからを考える

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。遺伝性ニューロパチーの原因がわかれば、避けたい薬や使える治療薬、合併症への備えだけでなく、ご家族の検査や、結婚・妊娠の計画を考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

参考文献

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  • [2] Chrestian N. Hereditary Neuropathy with Liability to Pressure Palsies. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 1998 (Updated 2020 Aug 27). [NCBI Bookshelf NBK1392]
  • [3] Sekijima Y, Nakamura K. Transthyretin Amyloidosis. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2001 (Updated 2024 May 30). [NCBI Bookshelf NBK1194]
  • [4] Mehta A, Hughes DA. Fabry Disease. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2002 (Updated 2024 Apr 11). [NCBI Bookshelf NBK1292]
  • [5] Roggenbuck J, Morales A, Ellis CA, et al. Diagnostic and clinical utility of comprehensive multigene panel testing for patients with neuropathy. J Peripher Nerv Syst. 2024;29(3):363-367. [DOI: 10.1111/jns.12651](PMID: 39140136)
  • [6] Cox JJ, Reimann F, Nicholas AK, et al. An SCN9A channelopathy causes congenital inability to experience pain. Nature. 2006;444(7121):894-898. [DOI: 10.1038/nature05413](PMID: 17167479)
  • [7] Hanewinckel R, van Oijen M, Ikram MA, et al. The epidemiology and risk factors of chronic polyneuropathy. Eur J Epidemiol. 2016;31(1):5-20. [DOI: 10.1007/s10654-015-0094-6](PMID: 26700499)
  • [8] Faber CG, Hoeijmakers JGJ, Ahn HS, et al. Gain of function NaV1.7 mutations in idiopathic small fiber neuropathy. Ann Neurol. 2012;71(1):26-39. [DOI: 10.1002/ana.22485]
  • [9] Germain DP, Hughes DA, Nicholls K, et al. Treatment of Fabry’s Disease with the Pharmacologic Chaperone Migalastat. N Engl J Med. 2016;375(6):545-555. [DOI: 10.1056/NEJMoa1510198]
  • [10] Barreto LCLS, Oliveira FS, Nunes PS, et al. Epidemiologic Study of Charcot-Marie-Tooth Disease: A Systematic Review. Neuroepidemiology. 2016;46(3):157-165. [DOI: 10.1159/000443706]
  • [11] Garg R, Vogelgesang J, Kelly K. Impact of Genetic Counseling and Testing on Altruistic Motivations to Test for BRCA1/2: a Longitudinal Study. J Genet Couns. 2016;25(3):572-582. [DOI: 10.1007/s10897-015-9911-z](PMID: 26578231)

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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