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重症複合免疫不全症(SCID)の遺伝子検査|原因遺伝子91個を一度に・新生児スクリーニングで再検査と言われたら

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

重症複合免疫不全症(SCID)の遺伝子検査

重症複合免疫不全症(SCID)は、生まれつき免疫の中心であるT細胞がほとんど作られず、生後数か月から重い感染症をくり返す病気です。原因となる遺伝子は数多く、どの遺伝子が原因かによって、遺伝のしかた(主にX連鎖か常染色体潜性か)も、移植の準備の仕方や酵素補充療法・遺伝子治療などの治療の選び方も変わります。このページの検査は、SCIDとその近い病気に関わる91個の遺伝子を一度に調べます。新生児スクリーニングで再検査・精密検査と言われた方、ご家族にSCIDの方がいる方に向けて、病気の見通し・遺伝のしかた・検査でわかることを、臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. 重症複合免疫不全症(SCID)とは?この検査で何がわかりますか?

SCIDは、生まれつきT細胞がほとんど作られない病気です。この検査では、SCIDと関係する複合免疫不全症の原因遺伝子91個(IL2RG・ADA・RAG1・RAG2・JAK3・IL7Rなど)を一度に調べ、どの遺伝子が原因かを確かめます。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

新生児スクリーニングで再検査・精密検査と言われ、リンパ球の検査でSCIDが疑われた赤ちゃん、重い感染症をくり返す赤ちゃん、ご家族にSCIDの方がいて、保因者かどうかや次のお子さんへの確率を知りたい方です。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・頬粘膜のいずれかで、オンライン診療でも受けられます。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。原因遺伝子がわかると、治療の選び方、お母さん・きょうだいの保因者検査、次のお子さんの出生前診断まで具体的に考えられます。意義がまだわからない変化(VUS)の扱いもご説明します。

\ 原因遺伝子がわかると、次の一手が決まります /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

お問い合わせはこちら | 病気が絞れない方は包括的原発性免疫不全症パネル | どの検査がよいか迷う方へ

1. 重症複合免疫不全症(SCID)とは:生まれつきT細胞が働かない病気

重症複合免疫不全症(SCID:Severe Combined Immunodeficiency)は、生まれつき免疫のしくみがうまく作られない「原発性免疫不全症(先天性免疫異常症)」のなかで、最も重いグループです。感染から体を守るT細胞がほとんど作られないため、T細胞の助けを受けて抗体を作るB細胞も十分に働けず、ウイルス・細菌・カビ(真菌)のどれにも弱くなります。

国際免疫学会連合(IUIS)の2024年の分類では、生まれつきの免疫の病気は559種類、関わる遺伝子は508個にのぼり、SCIDはそのうち「細胞性免疫と液性免疫の両方が障害される病気」に分類されています[2]。どれくらいの赤ちゃんに起こるかについては、米国の11の新生児スクリーニングで約303万人を調べた研究で、SCIDとその近い型が見つかったのは5万8,000人に1人でした[1]。病気の詳しい解説は重症複合免疫不全症(SCID)総論にまとめています。このページでは、遺伝子検査を受けるかどうかを決めるために必要なことを中心にお伝えします。

赤ちゃんの症状:生後数か月からの重い感染症

難病情報センターの診断・治療指針では、X連鎖重症複合免疫不全症について「通常生後数か月以内に日和見感染を含む様々な重症感染症を発症」すると説明されています(2026年10月時点で確認)。日和見感染とは、ふつうの免疫があればほとんど病気を起こさない微生物による感染のことで、ニューモシスチス(肺炎の原因になるカビ)、カンジダ、サイトメガロウイルスなどが挙げられています。原発性免疫不全症に共通するサインとして、呼吸器や消化器の感染をくり返すこと、体重が増えにくいこと、BCGによる重い副反応なども示されています。

ただし、生まれてすぐの赤ちゃんは、お母さんから受け取った抗体に守られているため、はじめは症状がないことがほとんどです。症状が出る前に見つけることが大切なのは、このためです。

なぜ「生まれてすぐ」の診断が大事なのか:移植の時期と生ワクチン

SCIDの根本的な治療である造血幹細胞移植は、感染症にかかる前、できるだけ早い時期に受けるほど結果がよいことがわかっています。2000〜2009年に25施設で移植を受けたSCIDの赤ちゃん240人を調べた研究では、生存率は、生後3.5か月以内に移植を受けた赤ちゃんで94%、それより年長でも移植前に感染症がなかった赤ちゃんで90%、感染症が治ってから移植した赤ちゃんで82%でした[3]。移植を受けた100人を追跡した別の研究でも、移植後2年の生存率は、移植のときに感染症がなかった赤ちゃんで95%、感染症があった赤ちゃんで81%でした[4]。

もう一つの理由が、生ワクチンです。BCGを受けたSCIDの赤ちゃん349人(17か国28施設)の調査では、51%にBCGによる合併症が起こり、34%は全身に広がる型でした[5]。ロタウイルスワクチンを受けたあとにワクチンのウイルスによる下痢が続き、そこではじめてSCIDとわかった赤ちゃん3人の報告もあります[6]。日本では、ロタウイルスワクチンは出生6週0日後から受けられ、初回は生後14週6日までに受けるとされ、BCGは標準的には生後5〜8か月に受けます(厚生労働省、2026年10月時点で確認)。接種の前にSCIDとわかっていれば、こうした合併症を避けられます。

SCIDは完治する?寿命は?

治療をしなければ命にかかわる病気ですが、移植などの治療によって、治ることが期待できる病気になっています。難病情報センターは、重症複合免疫不全症などは造血幹細胞移植をしないと多くは2歳以上まで生存できないとしています(2026年10月時点で確認)。一方、米国の新生児スクリーニングで見つかった赤ちゃん52人のうち、移植・酵素補充療法・遺伝子治療のいずれかを受けた49人では、診断から免疫が回復するまでの生存率は92%でした[1]。治療のあとにどのような経過をたどるかは、原因遺伝子・治療の内容・治療を受けた時期によって違います。

2. 拡大新生児スクリーニングでSCIDの「再検査・精密検査」と言われたら

新生児スクリーニングでSCIDの再検査・精密検査と言われても、それだけでSCIDと決まったわけではありません。スクリーニングは「詳しく調べたほうがよい赤ちゃん」を見つけるための検査で、最終的な診断は、精密検査と、必要に応じて遺伝子検査で行います。

日本のSCID新生児スクリーニング:TREC・KRECでわかること

SCIDの新生児スクリーニングでは、生まれて間もない赤ちゃんの血液で、TREC(T細胞が胸腺で新しく作られるときにできるDNAの小さな輪)を測ります。TRECがとても少なければ、新しいT細胞が作られていない可能性があります[1]。日本では、B細胞が作られるときにできるKRECも一緒に測る方法が使われており、B細胞がいない病気(X連鎖無ガンマグロブリン血症など)の手がかりにもなります[7]。

国内で2017年4月〜2021年12月に13万7,484人の赤ちゃんを調べた研究では、TREC・KRECに異常があったのは145人(0.11%)で、その後の遺伝子解析によりSCIDと確定したのは2人、T細胞・B細胞が少ないSCID以外の原発性免疫不全症は10人でした[7]。

国(こども家庭庁)は、令和5年度補正予算で「新生児マススクリーニング検査に関する実証事業」を始めました。SCIDと脊髄性筋萎縮症(SMA)の2つを対象に、都道府県・指定都市が実施主体となり、全国に広げることを目指しています。保護者に検査内容を説明し、同意を得て行います。始まった時期は自治体ごとに違い、たとえば千葉県は令和6年3月1日以降の採血分から、新潟県は令和7年7月1日からです。これまで、SCIDの検査を自費のオプション検査(いわゆる拡大新生児スクリーニング)として受ける地域もありましたが、実証事業に参加した自治体の案内では、自費の検査からこの2つの病気の分の費用が差し引かれると説明されています(各自治体の案内、2026年10月時点で確認)。お住まいの地域の扱いは、自治体や出産した医療機関でご確認ください。

💡 用語解説:TREC(T細胞受容体切除サークル)

T細胞は胸腺で作られます。その途中で、T細胞が病原体を見分ける受容体の遺伝子を組み替えるとき(VDJ再構成)に、切り取られたDNAが小さな輪になって残ります。これがTRECで、胸腺から出てきたばかりのナイーブT細胞の目印になります。

「要再検査」=SCIDではない:数値が低くなるほかの理由

TRECが低い赤ちゃんの多くは、SCID以外の理由によるものです。米国の研究では、SCID以外でT細胞が少なかった赤ちゃんが411人いました。内訳には、22q11.2欠失症候群(ディジョージ症候群)78人、21トリソミー21人、毛細血管拡張性運動失調症4人、18トリソミー4人、CHARGE症候群3人などの症候群のほか、心臓の病気や消化管の病気による二次的な減少(117人)、早産だけによるもの(29人)が含まれていました[1]。

早産や手術のあとなどの一時的な理由なら、時間がたつとT細胞が増えてくることがあります。一方、症候群が背景にある場合は、その症候群そのものの診断と見守りが必要になります。どちらなのかを見分けるために、次の精密検査があります。

精密検査の流れと、遺伝子検査の役割

精密検査では、血液でリンパ球の数、T細胞・B細胞・NK細胞それぞれの数、新しく作られたT細胞の割合などを調べます。米国のSCID研究グループ(PIDTC)の2022年の診断基準では、典型的なSCIDは、自分のT細胞がとても少ない(1μLあたり50個未満)ことなどで定義されています。この基準で379人を検討した研究では、93%にSCIDに関わる遺伝子の病的な変化が見つかっています[8]。

遺伝子検査は、SCIDという診断を確かめるだけでなく、「どの型のSCIDか」を決める検査です。型がわかると、移植の準備(前処置)の選び方、酵素補充療法や遺伝子治療の対象になるか、ご家族の誰が保因者の可能性があるかが決まります(第3章・第8章)。精密検査を行う医療機関で遺伝子検査を受けられる場合もあります。当院では、原因を確かめたいご家族、次の妊娠に備えたいご家族の遺伝子検査と遺伝カウンセリングをお受けしています。

新生児スクリーニングTREC・KREC
▶
精密検査リンパ球の数と種類
▶
遺伝子検査原因遺伝子を確定
▶
治療と家族の計画移植・保因者検査など

3. SCIDの原因遺伝子と遺伝のしかた(遺伝・確率・保因者)

SCIDの遺伝のしかたは、主に「X連鎖潜性(劣性)」と「常染色体潜性(劣性)」ですが、RAC2の特定の病的変異による「常染色体顕性(優性)」の型もあります。同じSCIDでも、原因遺伝子が違えば、誰が保因者の可能性があるか、次のお子さんでの確率がどうなるか、治療で気をつけることが変わります。

リンパ球の型と主な原因遺伝子

SCIDは、精密検査でT細胞・B細胞・NK細胞のどれが少ないかによって型を分けます。米国の新生児スクリーニングで見つかった典型的なSCID42人では、原因遺伝子はIL2RG 9人、IL7R 6人、ADA 5人、RAG1 4人、JAK3 3人などで、原因遺伝子が見つからなかった赤ちゃんもいました[1]。

🧬 リンパ球の型と、主な原因遺伝子・遺伝のしかた・治療の特徴

リンパ球の型 主な原因遺伝子 遺伝のしかた 治療で気をつけること
T細胞なし・B細胞あり(T-B+) IL2RG、JAK3(NK細胞も少ない)/IL7R(NK細胞はいる)、PTPRC、CD3D・CD3E・CD247、CORO1A、LAT IL2RGはX連鎖潜性、ほかは常染色体潜性 X連鎖の型では遺伝子治療の研究が進んでいる
T細胞なし・B細胞なし(T-B-) RAG1・RAG2、DCLRE1C、PRKDC、NHEJ1、LIG4 常染色体潜性 DCLRE1C・PRKDC・NHEJ1・LIG4は放射線や一部の抗がん剤に弱い型
T・B・NK細胞すべてなし ADA(ADA欠損症)、AK2(細網異形成症) 常染色体潜性 ADA欠損症は酵素補充療法・遺伝子治療の対象

※遺伝子の分類はIUISの2024年の分類[2]、遺伝のしかたはGeneReviews[9]とOMIMによる。RAC2は、IUISの分類でT-B- SCIDの原因遺伝子にも挙げられており、特定の変化では常染色体顕性(優性)で遺伝します(第6章の表)。RAG1・RAG2などの変化では、皮膚の赤み・リンパ節の腫れなどを伴うオーメン症候群になることもある。

X連鎖重症複合免疫不全症(IL2RG):男の子に起こり、お母さんが保因者のことがある

X連鎖重症複合免疫不全症は、X染色体にあるIL2RG遺伝子の変化で起こり、主に男の子が発症します。GeneReviewsによると、IL2RGの病的な変化を受け継いだ男の子は発症し、女の子は症状のない保因者になります[9]。IL2RGは、いくつかのサイトカイン(細胞どうしが情報を伝える物質)の受容体に共通する部品(共通γ鎖)を作る遺伝子です。

お母さんが保因者の場合、妊娠のたびに、男の子なら2分の1の確率で発症し、女の子なら2分の1の確率で保因者になります。お母さんが保因者かどうかは、お子さんで見つかった変化と同じものがあるかを調べればわかります。お母さんの姉妹やその娘さんも保因者の可能性があるため、ご家族の検査が意味をもちます(X連鎖遺伝のしくみ)。

常染色体潜性(劣性)遺伝の型:ご両親とも保因者なら4分の1

JAK3・IL7R・RAG1・RAG2・DCLRE1C・ADAなどが原因のSCIDは常染色体潜性(劣性)遺伝です[9]。ご両親はそれぞれ変化を1つずつもつ保因者で、ふつう症状はありません。お子さん1人ごとに、4分の1の確率で発症し、2分の1の確率で保因者、4分の1の確率でどちらももちません。性別には関係しません。詳しくは常染色体劣性重症複合免疫不全症でも解説しています。

放射線に弱い型(DCLRE1C・LIG4・NHEJ1・PRKDC)では移植の前処置が変わる

DNAの切れ目をつなぎ直すしくみに関わる遺伝子が原因のSCIDは、放射線や、DNAを傷つけるタイプの抗がん剤(アルキル化剤)に弱いことが知られています。移植の前には、ドナーの細胞が根づきやすくするための前処置として抗がん剤を使うことがあります。DCLRE1C遺伝子が原因のアルテミス欠損症69人とRAG欠損症76人を比べた研究では、生存率に差はなかった一方、アルテミス欠損症ではアルキル化剤を使った場合に、成長の遅れ、歯の発達の異常、内分泌(ホルモン)の晩期の影響が多くみられました[10]。

つまり、どの遺伝子が原因かは、移植の方法を決める情報にもなります。アルテミス欠損症の一つの型は重症複合免疫不全症(アサバスカン型)として知られています。

4. どの検査を選ぶか:SCIDパネル・B細胞陰性/陽性パネル・包括パネル

リンパ球の検査の結果と、症状の広がりで、向いている検査が変わります。比べる相手は検査の種類です。迷ったら、遺伝カウンセリングで検査結果を見ながら一緒に決めましょう。

🔍 リンパ球の結果・症状に合わせた検査の選び方

こんなとき 向いている検査
SCIDが疑われるが型がまだはっきりしない/症候群の特徴もある/SCIDに近い複合免疫不全症まで広く調べたい このページの重症複合免疫不全症(SCID)パネル(91遺伝子)
T細胞もB細胞も少ない(T-B-) B細胞陰性重症複合免疫不全症NGS遺伝子パネル検査
T細胞は少ないが、B細胞はいる(T-B+) B細胞陽性重症複合免疫不全症NGS遺伝子パネル検査
T細胞は保たれていて、抗体(免疫グロブリン)が少ない 無ガンマグロブリン血症パネル・原発性抗体欠損症(PAD)パネル
好中球の働き・湿疹とIgE高値など、別の細胞の働きが疑われる 慢性肉芽腫症パネル・高IgE症候群パネル
免疫の病気だが、どのグループかしぼれない 包括的原発性免疫不全症NGSパネル
症状のない赤ちゃんで、生まれつきの病気を広く調べたい 新生児遺伝子スクリーニング検査パネル(IL2RG・ADA・JAK3・IL7R・DCLRE1C・RAG1・RAG2なども対象)
免疫以外の症状も多く、病気をしぼれない/パネルで原因がわからなかった 全エクソーム検査(WES)

※どの検査が合うかは、リンパ球の検査結果・症状・ご家族の情報で変わります。DNAの修復やテロメアの病気が疑われる場合は、染色体不安定症候群パネルや先天性角化不全症パネルが向くこともあります。

5. どんな人が受けるとよいか

SCIDやSCIDに近い複合免疫不全症が疑われる赤ちゃん・お子さんと、ご家族にSCIDの方がいる方に向く検査です。具体的には、次のような場合です。

  • ●新生児スクリーニングでTREC(・KREC)の再検査・精密検査と言われ、精密検査でT細胞の減少がわかった
  • ●生後数か月から、肺炎・治りにくい下痢・口の中のカンジダ(鵞口瘡)などの感染をくり返し、体重が増えにくい
  • ●ニューモシスチス肺炎など、ふつうはかからない微生物による感染症にかかった
  • ●BCGやロタウイルスワクチンのあとに、重い副反応が出た
  • ●ご家族にSCIDの方や、乳幼児期に感染症で亡くなった方がいて、ご自身やお子さんが保因者か・発症するかを知りたい
  • ●前のお子さんがSCIDと診断されたが原因遺伝子がわかっておらず、次の妊娠に備えたい

原因遺伝子がわかれば、次のお子さんで同じことが起こる可能性がどれくらいあるか、そして次の妊娠でどう備えられるかを、具体的に考えられるようになります。原因がわからないままでは、出生前に調べる的を決められません。

この検査より別の検査が向いている場合

T細胞の数が保たれていて抗体だけが少ない場合や、好中球の病気が疑われる場合は、第4章の表のとおり、それぞれの病気のパネル検査が向いています。また、精密検査でT細胞がはっきり少ないことがわかっていない段階では、まず小児科・免疫の専門の医療機関でリンパ球の検査を受けることをおすすめします。

\ 次のお子さんへの確率と備えを、具体的に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

当院では、羊水検査・絨毛検査を院内で受けられます(2025年6月から産婦人科を併設)。

保因者検査を考えている方へ | どの検査がよいか迷う方へ

6. 調べる91遺伝子と、それぞれの遺伝子でわかる病気

この検査では、典型的なSCIDの原因遺伝子に加えて、SCIDに近い複合免疫不全症、免疫不全を伴う症候群、DNAの修復やテロメアの病気の遺伝子まで、91個をまとめて調べます。SCIDらしい検査結果でも原因が典型的な遺伝子とは限らないため、近い病気まで一度に調べられることに意味があります。

対象遺伝子のうちCHD7(CHARGE症候群)とSTAT3(高IgE症候群1型)は、当院のNIPTのダイヤモンドプラン・インペリアルプランでも、赤ちゃんに新しく起きた変化を調べられます(妊娠9週から、妊娠6〜8週は臨床研究として)。SCIDの主な原因遺伝子(IL2RG・ADA・RAG1など)は、NIPTの対象ではありません。

🧪 重症複合免疫不全症(SCID)パネルで調べる91遺伝子

遺伝子 関係する病気 遺伝のしかた
① 典型的なSCID(T細胞がほとんど作られない)
IL2RG X連鎖重症複合免疫不全症(T-B+NK-)、X連鎖複合免疫不全症 X連鎖潜性
JAK3 常染色体潜性SCID(T-B+NK-) 常染色体潜性
IL7R 常染色体潜性SCID(T-B+NK+) 常染色体潜性
PTPRC 重症複合免疫不全症(免疫不全症105) 常染色体潜性
CD3D CD3δ欠損症(免疫不全症19) 常染色体潜性
CD3E CD3ε欠損症(免疫不全症18) 常染色体潜性
CD3G CD3γ欠損症(免疫不全症17) 常染色体潜性
CD247 CD3ζ欠損症(免疫不全症25) 常染色体潜性
CORO1A コロニン1A欠損症(免疫不全症8) 常染色体潜性
LAT LAT欠損症(免疫不全症52) 常染色体潜性
RAG1 常染色体潜性SCID(T-B-NK+)、オーメン症候群、肉芽腫を伴う複合免疫不全 常染色体潜性
RAG2 常染色体潜性SCID(T-B-NK+)、オーメン症候群、肉芽腫を伴う複合免疫不全 常染色体潜性
DCLRE1C 放射線に弱いSCID(アルテミス欠損症)、オーメン症候群 常染色体潜性
PRKDC DNA-PKcs欠損症(免疫不全症26) 常染色体潜性
NHEJ1 重症複合免疫不全症(免疫不全症124、セルヌノス欠損症) 常染色体潜性
LIG4 LIG4症候群(DNAリガーゼIV欠損症) 常染色体潜性
ADA ADA(アデノシンデアミナーゼ)欠損症によるSCID(T-B-NK-) 常染色体潜性
AK2 細網異形成症 常染色体潜性
RAC2 RAC2異常症(免疫不全症73A・73B/73C) 常染色体顕性/潜性
FOXN1 T細胞免疫不全・先天性脱毛・爪の異形成(潜性)、乳児期のT細胞減少(顕性) 常染色体潜性/顕性
② 複合免疫不全症(T細胞の数や働きが落ちる)
PNP PNP(プリンヌクレオシドホスホリラーゼ)欠損症 常染色体潜性
ZAP70 ZAP-70欠損症(免疫不全症48) 常染色体潜性
LCK LCK欠損症(免疫不全症22) 常染色体潜性
ITK ITK欠損症(リンパ増殖症候群1) 常染色体潜性
CD8A 家族性CD8欠損症 常染色体潜性
B2M β2ミクログロブリン欠損症(免疫不全症43) 常染色体潜性
TAP1 MHCクラスI欠損症(露出リンパ球症候群1型) 常染色体潜性
TAP2 MHCクラスI欠損症2 常染色体潜性
CIITA MHCクラスII欠損症(露出リンパ球症候群2型) 常染色体潜性
RFX5 MHCクラスII欠損症 常染色体潜性
RFXANK MHCクラスII欠損症 常染色体潜性
RFXAP MHCクラスII欠損症 常染色体潜性
ORAI1 ORAI1欠損症(免疫不全症9) 常染色体潜性
STIM1 STIM1欠損症(免疫不全症10) 常染色体潜性
MALT1 MALT1欠損症(免疫不全症12) 常染色体潜性
CARD11 CARD11欠損症(免疫不全症11A)、アトピー性皮膚炎を伴う免疫不全症11B 常染色体潜性/顕性
IKBKB IKKβ欠損症(免疫不全症15B/15A) 常染色体潜性/顕性
MAP3K14 NIK欠損症(免疫不全症112) 常染色体潜性
NFKBIA 外胚葉異形成を伴う免疫不全症2 常染色体顕性
DOCK2 DOCK2欠損症(免疫不全症40) 常染色体潜性
DOCK8 DOCK8欠損症(常染色体潜性高IgE症候群2) 常染色体潜性
STK4 STK4欠損症(免疫不全症110) 常染色体潜性
MSN モエシン欠損症(免疫不全症50) X連鎖潜性
CTPS1 CTPS1欠損症(免疫不全症24) 常染色体潜性
IL21R IL-21受容体欠損症(免疫不全症56) 常染色体潜性
IL2RA CD25欠損症(免疫不全症41) 常染色体潜性
STAT5B 免疫調節異常を伴う成長ホルモン不応症 常染色体潜性/顕性
CD40LG X連鎖高IgM症候群 X連鎖潜性
CD40 高IgM症候群3型 常染色体潜性
ICOS 分類不能型免疫不全症1 常染色体潜性
CD27 CD27欠損症(リンパ増殖症候群2) 常染色体潜性
LRBA 自己免疫を伴う分類不能型免疫不全症8 常染色体潜性
PIK3CD 活性化PI3Kδ症候群など(免疫不全症14A/14B) 常染色体顕性/潜性
PIK3R1 免疫不全症36、無ガンマグロブリン血症7 常染色体顕性/潜性
SH2D1A X連鎖リンパ増殖症候群1型 X連鎖潜性
MAGT1 XMEN病(マグネシウム異常・EBウイルス感染・腫瘍を伴うX連鎖免疫不全症) X連鎖潜性
STAT1 STAT1異常症(免疫不全症31A・31C/31B) 常染色体顕性/潜性
STAT3 高IgE症候群1型 常染色体顕性
IFNGR1 IFN-γ受容体1欠損症(抗酸菌症、免疫不全症27A/27B) 常染色体潜性/顕性
IL12RB1 IL-12受容体β1欠損症(免疫不全症30) 常染色体潜性
TYK2 TYK2欠損症(免疫不全症35) 常染色体潜性
IRF8 IRF8欠損症(免疫不全症32B/32A) 常染色体潜性/顕性
ITGB2 白血球接着不全症I型 常染色体潜性
SP110 免疫不全を伴う肝中心静脈閉塞症 常染色体潜性
TCN2 トランスコバラミンII欠損症 常染色体潜性
TTC7A 消化管の異常と免疫不全症候群1(多発性腸閉鎖など) 常染色体潜性
PGM3 PGM3欠損症(免疫不全症23) 常染色体潜性
EPG5 ヴィチ症候群 常染色体潜性
WAS ウィスコット・アルドリッチ症候群、X連鎖血小板減少症 X連鎖潜性
③ ほかの特徴を伴う症候群
CHD7 CHARGE症候群 常染色体顕性
TBX1 22q11.2欠失症候群(ディジョージ症候群)に関わる遺伝子 常染色体顕性
BCL11B BCL11B異常症(免疫不全症49) 常染色体顕性
RMRP 軟骨毛髪低形成 常染色体潜性
SMARCAL1 Schimke免疫骨異形成症 常染色体潜性
SPINK5 ネザートン症候群 常染色体潜性
DNMT3B ICF症候群1(免疫不全・セントロメア不安定性・顔貌の特徴) 常染色体潜性
ZBTB24 ICF症候群2 常染色体潜性
POLE 顔貌の特徴・免疫不全・網状皮斑・低身長を伴う症候群(FILS症候群)など 常染色体潜性
④ DNAの修復が苦手になる病気(染色体不安定症候群)
ATM 毛細血管拡張性運動失調症 常染色体潜性
NBN ナイミーヘン染色体不安定症候群 常染色体潜性
BLM ブルーム症候群 常染色体潜性
PMS2 体質性ミスマッチ修復欠損症(潜性)、リンチ症候群(顕性) 常染色体潜性/顕性
⑤ テロメアの病気(先天性角化不全症など)
DKC1 X連鎖先天性角化不全症 X連鎖潜性
TERT 先天性角化不全症、テロメア関連の肺線維症・骨髄不全 常染色体顕性/潜性
TERC 先天性角化不全症、テロメア関連の肺線維症・骨髄不全 常染色体顕性
TINF2 先天性角化不全症、レベス症候群 常染色体顕性
RTEL1 先天性角化不全症、テロメア関連の肺線維症・骨髄不全 常染色体潜性/顕性
NHP2 先天性角化不全症(潜性型) 常染色体潜性
ACD 先天性角化不全症 常染色体顕性/潜性
PARN 先天性角化不全症(潜性)、テロメア関連の肺線維症・骨髄不全(顕性) 常染色体潜性/顕性
CTC1 石灰化と嚢胞を伴う脳網膜微小血管症(コーツプラス症候群) 常染色体潜性

※病名と遺伝のしかたはOMIM(ヒトの遺伝性疾患のデータベース)の登録情報にもとづき、日本語にしています。1つの遺伝子で、変化の種類によって顕性と潜性の両方の病気が起こるものは「/」で並べています。グループ分けはIUISの分類[2]を参考にした当院の整理です。

7. この検査でわかること・わからないこと

この検査では、91個の遺伝子の、タンパク質の設計図にあたる部分(コード領域)と、その境目(スプライス部位)にある小さな変化(1文字の変化・小さな挿入や欠失)を調べます。遺伝子1つまるごとなどの大きな欠失・重複も調べます。一方で、遺伝子検査には必ず限界があります。

  • ●見つけにくい変化:染色体の一部が入れ替わる転座や逆位、同じ配列の繰り返しが長くなる変化、遺伝子の働きを調節する領域や遺伝子の奥深く(イントロンの深い部分)の変化は調べていません。CD40LG遺伝子の繰り返し配列の伸びも評価しません。
  • ●小さな欠失・重複:エクソン2つ以上にわたる欠失・重複は全血検体でのみ調べられます。エクソン1つだけの欠失・重複は、見つかることはあっても、ふだんは検出の対象ではありません。見つかった欠失・重複は、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します。
  • ●よく似た配列:遺伝子によく似た配列(偽遺伝子など)がある場所では、変化を見つけにくいことがあります。
  • ●モザイク:体の一部の細胞にだけ変化がある状態(体細胞モザイク)を見つけることを目的とした検査ではありません。腫瘍の組織での検査にも使えません。
  • ●意義がまだわからない変化(VUS):病気の原因かどうか、今の知識では判断できない変化が見つかることがあります。
  • ●陰性でも否定はできません:91個の遺伝子に原因が見つからなくても、SCIDを完全に否定することはできません。今後、新しい原因遺伝子が見つかる可能性もあります。

造血幹細胞移植・輸血のあとの検体の注意

造血幹細胞移植を受けたあとは、血液の細胞がドナー由来に置き換わるため、血液ではご本人の遺伝子を正しく調べられません。移植後の患者さんを調べた研究では、頬の粘膜(頬粘膜スワブ)や爪にもドナー由来のDNAがかなり混じっていたと報告されています[13]。移植後の口すすぎの検体(唾液)にも、ドナー由来の細胞が多く含まれることがあります[14]。

移植後の方、ご家族で移植を受けた方の結果を確かめたい場合は、移植前に採って保存してある検体がないかなど、検体の選び方を遺伝カウンセリングでご相談ください。輸血を受けたばかりの場合も、検体を採る時期についてお申し出ください。

🔧 検査の精度(くわしく知りたい方へ)

検査では、調べる領域の99%以上を、それぞれ20回以上読み取ります(≥99% at 20x)。同じ場所をくり返し読むほど、読み間違いと本当の変化を見分けやすくなるためです。

読み取りの質が十分でない場所や、見つかった変化の確認には、別の方法(サンガー法)で配列を読み直します。

8. 結果が出たあと

結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。陽性・陰性・VUSのそれぞれで、次にできることが違います。

病的変異が見つかったら、次にできること

原因遺伝子がわかると、「わかって終わり」ではなく、赤ちゃんの治療、ご家族の検査、次の妊娠の備えまで、具体的な次の一手が決まります。治療は小児科・免疫・移植の専門の医療機関で行われます(当院は治療を行っていません)。

① 赤ちゃんご本人:治療の選び方が決まる
SCIDの根本的な治療は造血幹細胞移植です。原因遺伝子によっては、ほかの選択肢もあります。ADA欠損症では、2019年の国際的な合意文書で、まず酵素補充療法を始め、そのうえで根本的な治療として、HLA(白血球の型)が一致するきょうだい・家族からの移植か、ご本人の造血幹細胞を使う遺伝子治療のどちらかを選ぶ、という考え方が示されています。ADA欠損症の遺伝子治療は、欧州連合では2016年から承認されています[11]。X連鎖重症複合免疫不全症でも、少量のブスルファンと組み合わせた遺伝子治療の研究で、8人のうち7人がT細胞とNK細胞を3〜4か月で回復させています[12]。日本でどの治療を受けられるかは、専門の医療機関にご確認ください。放射線に弱い型では、前処置の選び方が変わります(第3章)。治療までの間は、生ワクチンを避け、免疫グロブリンの補充や感染予防の薬などで感染を防ぎます[1]。

② ご家族:きょうだいドナーの確認と、保因者の検査
移植では、HLAが一致したきょうだいがドナーの候補になります。きょうだい1人がHLAの一致する確率は4分の1です(両親からHLAの組み合わせを半分ずつ受け継ぐため。HLAのしくみ)。常染色体潜性の型では、ドナー候補のきょうだいが同じ病気でないか、保因者かを、見つかった変化をピンポイントで調べて確かめられます。X連鎖の型では、お母さん、お母さんの姉妹、お子さんの姉妹が保因者かどうかを調べられます。症状のない方の検査は、ご本人の同意のうえで行います。

③ 次のお子さん:知ってから選べること
ご家族の原因の遺伝子の変化がわかっていれば、妊娠したときに赤ちゃんで同じ変化があるかを調べられます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。その病気で出生前診断を行えるかは、病気の重さや国内の指針をふまえて個別に考えますので、妊娠を考えている段階からご相談ください。出生前診断を受けずに出産し、生まれてすぐに赤ちゃんを調べて早く治療につなげる、という選び方もあります。日本でも、日本産科婦人科学会の指針にもとづく審査を経て、PGT-Mが行われています(当院は体外受精・PGT-Mを行っていません)。準備に必要なことは海外でPGT-M(着床前診断)を考えている方へで解説しています。何もしないで出産することも、そのまま選べる選択肢です。

④ きょうだいが将来、結婚・妊娠を考えるとき
SCIDのお子さんのきょうだいは、保因者の可能性があります。大人になって妊娠を考えるときには、ご家族の変化をピンポイントで調べられるほか、パートナーと一緒に拡大版保因者スクリーニングを受ける方法もあります。女性版787遺伝子の対象には、IL2RG・ADA・JAK3・IL7R・RAG1・RAG2・DCLRE1CなどSCIDの主な原因遺伝子が含まれています(男性版714遺伝子はX連鎖の遺伝子を除いた版。2026年10月時点の遺伝子一覧で確認)。妊娠中の方は、NIPTと同じ日に採血できるカップルの保因者検査「ファミリーセーフティ プラス」もあります(単独では受けられません)。

⑤ 当院でのその後
結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングでご説明し、ご家族の検査、保因者検査、出生前診断まで、次にどうするかを一緒に考えます。遺伝カウンセリング料は30分22,000円(税込)です。

陰性・VUSだったとき

91個の遺伝子に原因が見つからなかった場合でも、SCIDが否定されるわけではありません(第7章)。リンパ球の検査結果や症状に合わせて、全エクソーム検査などを考えます。VUSは、それだけで診断やご家族の発症予測の根拠にはしません。ただし、その変化の意味を検討するために、ご本人・ご家族への説明と同意のもとで、家族内での受け継がれ方を調べることがあります。研究が進んで、のちに意味がはっきりすることもあります(VUSの臨床的な取り扱い)。調べた目的とは別の病気の原因が見つかった場合の扱いは、当院の二次的所見の開示方針をご覧ください。

結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。報告書の読み方は遺伝子検査結果の見かたで解説しています。

9. 日本の制度:小児慢性特定疾病・指定難病(2026年10月時点)

重症複合免疫不全症は、指定難病65「原発性免疫不全症候群」に含まれ、小児慢性特定疾病の対象でもあります。難病情報センターの原発性免疫不全症候群(指定難病65)のページでは、病気のグループの1つ目が「複合免疫不全症」で、X連鎖重症複合免疫不全症、細網異形成症、アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損症、オーメン症候群、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ欠損症、CD8欠損症、ZAP-70欠損症、MHCクラスI欠損症、MHCクラスII欠損症と、それ以外の複合免疫不全症が挙げられています。小児慢性特定疾病情報センターの免疫疾患の一覧でも、「複合免疫不全症」の中に同じ10の疾病が並んでいます。

医療費の助成を受けるには、それぞれの制度の認定の条件を満たし、申請する必要があります。認定の基準や申請の方法は、難病情報センター・小児慢性特定疾病情報センターや、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。遺伝子検査で病型が確定していることは、申請のときの手がかりになります。

10. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・頬粘膜のいずれかで、オンライン診療でもお受けできます。

ご予約
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
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検体の採取唾液・頬粘膜・血液
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結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

この検査は、遺伝診療先進国・米国の3大遺伝子検査会社の一角で行います。※

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

💴 費用・日数・検体

項目 内容
対象遺伝子 91遺伝子(第6章の表)
調べる変化 塩基配列の変化、欠失・挿入(料金に含まれます)
検体 血液(EDTA採血管4ml×2本)、抽出したDNA(3μg)、頬粘膜スワブ、唾液のいずれか
結果までの期間 2〜3週間(至急オプションで約7日短くなります)
検査費用 税込330,000円
オプション 至急:55,000円/VUS除外(病的意義がよくわかっていない変化を報告から除く):無料
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査費用とは別
オンライン診療 唾液・頬粘膜・血液のいずれも可能。血液の場合は全国の提携医療機関で採血します

※オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。※ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。※当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。

オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。検体の取り違えを防ぎ、検査に使える品質で届けるため、決められた手順で採取していただく必要があります。

遺伝カウンセリングでは、検査で何がわかり、何がわからないか、結果がご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。

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臨床遺伝専門医が常駐し、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明してからマイページにアップします。

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11. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【原因がわかれば、次の備えが具体的になる】

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。

SCIDの多くは潜性遺伝やX連鎖遺伝で、ご両親やお母さんは症状のない保因者です。保因者であることは、誰にでも起こりうることで、誰のせいでもありません。私は、ここを最初にはっきりお伝えすることが大切だと考えています。

そのうえで、原因遺伝子がわかることには大きな意味があると考えています。移植の準備の仕方が変わり、きょうだいがドナーになれるかを確かめられ、次のお子さんで同じことが起こる確率と、妊娠したときにどう備えるかを具体的に考えられるからです。原因がわからないままでは、出生前に何を調べればよいかも決められません。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 重症複合免疫不全症(SCID)は完治しますか?

造血幹細胞移植で免疫の働きを作り直す治療により、治ることが期待できる病気です。25施設の研究では、生後3.5か月以内に移植を受けた赤ちゃんの生存率は94%でした。感染症にかかる前に治療できるかどうかが大切なため、早く診断して原因遺伝子を確かめる意味があります。ADA欠損症では酵素補充療法や遺伝子治療という選択肢もあります。

Q2. 重症複合免疫不全症の寿命はどのくらいですか?

治療をしなければ、多くは生後1年以内に重い感染症で命にかかわるとされています。一方、移植などの治療を受けた場合の見通しは大きく改善しています。移植後2年の生存率は、移植のときに感染症がなかった赤ちゃんで95%、感染症があった赤ちゃんで81%という報告があります。治療後の長い見通しは、病型や治療の内容によって違います。

Q3. 重症複合免疫不全症は遺伝しますか?次の子に起こる確率は?

遺伝する病気です。X連鎖の型(IL2RG遺伝子)では、お母さんが保因者なら、男の子は2分の1の確率で発症し、女の子は2分の1の確率で保因者になります。常染色体潜性(劣性)の型では、ご両親がともに保因者なら、お子さん1人ごとに4分の1の確率で発症します。どちらの型かは、原因遺伝子を調べてはじめてわかります。

Q4. 新生児スクリーニングでSCIDの再検査・精密検査と言われました。どうすればよいですか?

まず、案内された専門の医療機関で精密検査(リンパ球の数や種類を調べる血液検査など)を受けてください。再検査と言われたことは、SCIDと決まったという意味ではありません。早産や心臓の病気、22q11.2欠失症候群など、SCID以外の理由で数値が低くなることもあります。SCIDが疑われる場合、遺伝子検査で原因遺伝子を確かめると、治療の選び方やご家族への影響がはっきりします。

Q5. 女の子でも重症複合免疫不全症になりますか?

なります。いちばん多いX連鎖の型は主に男の子に起こりますが、JAK3・IL7R・RAG1・RAG2・ADAなどが原因の常染色体潜性(劣性)の型は、男の子にも女の子にも同じように起こります。X連鎖の型の変化を受け継いだ女の子は、ふつう症状のない保因者になります。

Q6. 生ワクチン(BCG・ロタウイルス)はどうすればよいですか?

SCIDの赤ちゃんでは、生ワクチンが重い副反応を起こすことがあります。BCGを受けたSCIDの赤ちゃん349人の国際調査では、51%にBCGによる合併症が起こりました。ロタウイルスワクチンでも、ワクチンのウイルスによる下痢が報告されています。SCIDが疑われる、またはご家族にSCIDの方がいる場合は、接種の前に必ず主治医に相談してください。

Q7. 家族にSCIDの子がいると、結婚や妊娠で何を考えればよいですか?

ご家族の原因遺伝子がわかっていれば、ご自身が保因者かどうかを調べられます。常染色体潜性の型ならパートナーの保因者検査で、X連鎖の型ならお母さんの側の女性の保因者検査で、お子さんへの確率を具体的に考えられます。妊娠したときに赤ちゃんを調べる出生前診断の計画も立てられます。結婚や妊娠をするかどうかは、知ったうえでご自身が選ぶことで、どの選択も尊重されるべきものです。

Q8. 検査の費用と保険について教えてください。

検査費用は税込330,000円で、遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。結果までは2〜3週間です。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。

🧬 一度の検査で、赤ちゃんとご家族のこれからを考える

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。重症複合免疫不全症の原因遺伝子がわかれば、治療の選び方だけでなく、お母さん・きょうだいの保因者検査や、次の妊娠の計画を考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

参考文献

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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