ナイーブT細胞
ナイーブT細胞とは、成熟して胸腺から放出されたものの、対応する抗原にまだ遭遇していないT細胞である。ナイーブT細胞は、それぞれ固有のT細胞レセプター(TCR)を持ち、特定の抗原を認識する。そして、そのTCRに特異的な抗原提示細胞に出会うと、活性化プロセスが開始される。
メモリーT細胞も成熟後、胸腺から直接放出されるが、免疫系が以前に遭遇した抗原を認識し、反応する。一方、ナイーブT細胞は、免疫系が遭遇したことのない新しい抗原を認識し、免疫反応を開始し、当該個体にとって未知の病原体に反応できるようにするためのT細胞である。メモリーT細胞とナイーブT細胞は、それぞれ既知、未知の抗原に遭遇したときに反応できるよう、免疫応答を担っている。
ナイーブT細胞の活性化
ナイーブT細胞の活性化は、脾臓、リンパ節、扁桃、パイエル板、その他の粘膜組織などの二次リンパ系器官において、その細胞受容体が適切な抗原提示細胞APCに遭遇したときに起こる。
ナイーブTリンパ球は、抗原を認識すると、TCR(T細胞受容体)を介した抗原シグナル、共刺激シグナル、サイトカインシグナルの3種類のシグナルを受け取る。
3種類のシグナルをすべて受け取ったナイーブ細胞は、エフェクター細胞へと分化する。ナイーブB細胞は抗体を分泌するプラズマ細胞に分化し、T細胞はCD8+T細胞(キラー細胞)やCD4+T細胞(ヘルパー細胞)など様々なエフェクターT細胞サブセットに分化する。
もしナイーブ細胞が最初のシグナル(TCRまたはBCRが抗原を認識するが、共刺激シグナルまたはサイトカインシグナルを受け取らない)だけを受け取った場合、細胞はアネルギー状態になる。
この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号