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「赤ちゃんの検査でSTAT3という遺伝子の名前が出てきたけれど、いったい何の遺伝子なの?」「高IgE症候群と言われたが、これはどういう病気なの?」——聞き慣れない遺伝子の名前を前にすると、多くの方が強い不安を感じられます。私自身、遺伝カウンセリングの現場で、そうしたご不安に何度も向き合ってきました。
このSTAT3という遺伝子は、実はとても不思議な性質を持っています。同じ1つの遺伝子の変化が、「免疫が弱くなる病気」と「免疫が暴走する病気」という、まったく正反対の2つの病気を引き起こすのです。さらに、STAT3の恒常的活性化は多くの固形がん・血液がんで認められ、一部の文献ではヒト腫瘍の約70%に関与すると報告されており、いま世界中で新しい治療薬の開発が進んでいます。
- ➤ STAT3遺伝子がどんな働きをしているのか(免疫・心臓・脳・肝臓の守り神)
- ➤ なぜ同じ遺伝子から「正反対の2つの病気」が生まれるのか
- ➤ 高IgE症候群(Job症候群)の症状・特徴・最新の治療
- ➤ STAT3機能獲得型(GOF)による自己免疫・リンパ増殖症候群
- ➤ がんとの深い関わりと、TTI-101などの最新分子標的治療
- ➤ STAT3を含む遺伝子検査・NIPT(ダイヤモンドプラン)について
この記事では、臨床遺伝専門医の立場から、STAT3遺伝子の基本的な働きから、変異で起こる2つの病気、がんとの関係、そして世界の最新治療までを、できるだけやさしい言葉で、けれど正確にお伝えします。専門用語には必ず「用語解説ボックス」を添えていますので、どうぞ最後までお付き合いください。
Q. STAT3遺伝子とは?
A. 免疫・心臓・脳・肝臓など全身の細胞で働く「司令塔」のような転写因子です。細胞に「増えろ」「生き延びろ」「炎症を鎮めろ」といった指令を出します。
Q. どんな病気に関係するの?
A. 生まれつきの変異では、働きが弱くなると高IgE症候群(免疫不全)、強くなりすぎると自己免疫・リンパ増殖症候群という正反対の病気になります。また、後天的な過剰活性化は多くのがんに関わります。
Q. 検査で調べられるの?
A. はい。STAT3はミネルバクリニックのNIPTダイヤモンドプラン(56遺伝子)や、高IgE症候群・原発性免疫不全症のNGSパネル検査の対象に含まれています。
STAT3遺伝子とは?——全身を守る「細胞の司令塔」
まず結論からお伝えします。STAT3(スタットスリー)は、私たちの体のほとんどすべての細胞で働いている、非常に重要な「情報の中継役」です。正式名称は「シグナル伝達兼転写活性化因子3(Signal Transducer and Activator of Transcription 3)」といいます。名前は難しく聞こえますが、役割はシンプルです。細胞の外から届いたメッセージを受け取り、細胞の中心(核)まで運んで、必要な遺伝子のスイッチを入れる——いわば司令塔のような存在なのです。
STAT3遺伝子は、17番染色体の長腕(17q21)という場所にあり、24個のエクソン(遺伝情報の設計図の断片)からできています。とても大切な遺伝子であるため、進化の過程でほとんど姿を変えず受け継がれてきました。実際、マウス(ネズミ)とヒトのSTAT3タンパク質を比べても、違いはわずかアミノ酸1個だけ。これは「絶対に壊してはいけない、生命の根幹に関わる遺伝子」であることの何よりの証拠です[1]。
転写因子とは、DNAという「設計図の本」の中から、必要なページ(遺伝子)を選んで読み上げるスイッチのような役割をするタンパク質です。私たちの体には約60兆個の細胞がありますが、どの細胞も同じ設計図を持っています。それでも皮膚・神経・血液と異なる細胞になれるのは、転写因子が「この細胞ではこの遺伝子を使う」と選び分けているからです。STAT3はその代表的な1つで、くわしくは転写因子の解説ページもご覧ください。
情報が伝わる仕組み——JAK-STAT経路
STAT3がどうやって情報を運ぶのか、その流れを見てみましょう。たとえば体の中で炎症が起きると、インターロイキン-6(IL-6)という「合図の物質(サイトカイン)」が放出されます。この合図が細胞の表面にある受け皿(受容体)にくっつくと、受容体のそばに待機しているJAK(ヤヌスキナーゼ)という酵素が動き出します。JAKはSTAT3に「リン酸」という小さな目印(Tyr705という部位)を付け、これが号砲となってSTAT3は2つで手を組み(二量体化)、細胞の核へと移動して遺伝子のスイッチを入れるのです[4]。この一連の流れを「JAK-STAT経路」と呼びます。
このJAK-STAT経路は、免疫・炎症・細胞の成長を動かす「体の基幹回路」です。だからこそ、この回路のどこかが強すぎたり弱すぎたりすると、免疫の病気やがんにつながります。後で登場するJAK阻害薬(ルキソリチニブ等)は、まさにこの回路をピンポイントで調整するお薬なのです。
📐 STAT3タンパク質の構造(6つの機能ドメイン)
SH2ドメインは2つのSTAT3が手を組む(二量体化)ための部位で、新薬開発の主要な標的です。C末端のTADにはY705・S727というリン酸化のスイッチがあります。
SH2ドメインは、STAT3タンパク質の中にある「くっつくための手」のような部分です。リン酸が付いた目印を認識して結合し、2つのSTAT3が手を組む(二量体化する)ときに働きます。この「手」を薬でふさいでしまえばSTAT3の働きを止められるため、SH2ドメインは後述する新薬(TTI-101など)の最重要ターゲットになっています。
臓器ごとの働き——脳・心臓・肝臓・皮膚を守る
STAT3はもともと血液の細胞に特有と考えられていましたが、今では脳・心臓・肝臓・免疫系など、あらゆる臓器で欠かせない役割を担うことがわかっています[5]。とくに心臓では、STAT3は酸化ストレスや炎症から心筋細胞を守る「生存因子」として働きます。実験では、心臓のSTAT3を失ったマウスは加齢とともに心不全や心筋の線維化を起こしやすくなり、抗がん剤(ドキソルビシン)による心臓へのダメージにも非常に弱くなることが示されています[6]。
脳では、神経の幹細胞から神経細胞やグリア細胞が育つ過程を支え、学習と記憶の土台となるシナプスの働きにも関わっている可能性が報告されています[7]。肝臓では傷ついた組織を再生させ、皮膚では免疫のバランスを保ちます。つまりSTAT3は、全身を静かに守り続ける「生命のガーディアン(守護者)」と言えるのです。
なぜ「正反対の2つの病気」が生まれるのか
STAT3遺伝子のもっとも不思議で、もっとも重要な特徴がここにあります。同じ遺伝子の変化なのに、「働きが弱くなる」か「働きが強くなる」かで、まったく逆の病気が起こるのです。これは遺伝医学の世界でも「パラドックス(逆説)」と呼ばれる、とても興味深い現象です。
変異には大きく2つのタイプがあります。1つは、遺伝子の働きが弱くなる「機能喪失型(LOF)」。もう1つは、働きが強くなりすぎる「機能獲得型(GOF)」です。同じアクセルでも、踏み込みが足りないのと踏みすぎるのとで、車の挙動がまるで違うのと同じです。
機能喪失型(LOF:Loss-of-Function)とは、遺伝子の働きが弱くなる・失われるタイプの変異です。詳しい解説はこちら。
機能獲得型(GOF:Gain-of-Function)とは、遺伝子の働きが過剰に強くなるタイプの変異です。詳しい解説はこちら。
この表を見ていただくと、血清IgEの値が「高い」か「低い」かが、2つの病気を見分ける重要な手がかりになることがわかります。この点は、診断の現場でも非常に役立っています。それでは、それぞれの病気を詳しく見ていきましょう。
高IgE症候群(機能喪失型・Job症候群)
まず「働きが弱くなる」機能喪失型(LOF)から起こる病気が、常染色体優性高IgE症候群(AD-HIES)です。旧約聖書の「ヨブ記」で全身に腫れ物ができた人物になぞらえて、Job(ジョブ)症候群とも呼ばれます[1]。まれな原発性免疫不全症の1つです。
(STAT3機能不全のしくみ:IL-6・IL-23・IL-21などのサイトカイン刺激がSTAT3を通じて遺伝子のスイッチを入れますが、STAT3が働かなくなると〔図中の×印〕、Th17分化不全による感染症への弱さ・B細胞制御の異常による高IgE・結合組織や骨格の異常が生じます)
どんな症状が出るのか——免疫と体づくりの両面に
この病気は、生まれて間もない時期に湿疹のような発疹で始まり、その後も繰り返す皮膚の感染や重い肺炎に悩まされます。特徴的な検査所見の1つは、血液中の免疫グロブリンE(IgE)がしばしば2000 IU/mLを超える著明な高値を示すこと、そして好酸球という白血球が増えることです。IgEの基準範囲は年齢や検査施設によって異なり、STAT3-HIESでも必ず2000 IU/mLを超えるとは限りません[12]。
通常、膿がたまると赤く腫れて熱を持ちますが、この病気では炎症の反応がほとんど出ない「冷性膿瘍(れいせいのうよう)」ができるのが特徴です。これはSTAT3の働きが弱まり、炎症を起こすTh17という免疫細胞がほぼ消えてしまうためです。見た目に派手な症状が出にくいぶん、気づかれにくいこともあります。
さらにSTAT3は全身で働いているため、免疫以外にもさまざまな特徴が現れます。顔立ちの特徴(広い鼻すじ、目立つ毛穴)、高い口蓋、乳歯がなかなか抜けない(3本以上の脱落遅延)、骨がもろい、側弯症、関節がやわらかいなどです[12]。画像検査では、約7割の方で脳のMRIに小さな信号変化が見られたり、血管が蛇行したりすることも報告されています。乳歯については、抜歯すれば永久歯が正常に生えてくることが多いので、過度に心配される必要はありません。
遺伝の形式——親から子へ50%で受け継がれる
この病気は常染色体優性(顕性)遺伝という形式をとります。多くは新しく生じた変異(de novo変異)で発症しますが、患者さんから子どもへは50%の確率で受け継がれる可能性があります[12]。ここは、家族計画を考えるうえでとても大切なポイントですので、後ほど遺伝カウンセリングの項でも触れます。
de novo(デノボ)変異とは、両親のどちらも持っていないのに、赤ちゃんに新しく生じた遺伝子の変化のことです。つまり「親から遺伝したのではなく、その子で初めて起きた変化」です。決して親の育て方や妊娠中の行動が原因ではありません。くわしくはde novo変異の解説ページをご覧ください。
治療の進歩——生物学的製剤の報告
治療の基本は、感染症を予防するための抗菌薬・抗真菌薬です。加えて近年は、標準治療ではありませんが、難治例に対するオマリズマブ(抗IgE抗体)などの生物学的製剤の使用報告があります。ある症例では、長く苦しんでいた皮膚症状が速やかに改善し、難治性の肺の病変も良好にコントロールされました[11]。ほかにもデュピルマブなどの報告があり、難治例に対する治療選択肢として研究・症例の蓄積が進んでいます。「治らない病気」ではなく、少しずつ手立てが増えている病気だということを、ぜひ知っておいてください。
自己免疫・リンパ増殖症候群(機能獲得型・GOF)
次に、STAT3の働きが強くなりすぎる「機能獲得型(GOF)」から起こる病気です。2014年に初めて報告された比較的新しい疾患で、高IgE症候群とはまるで正反対の姿を見せます[1]。
この病気では、免疫が過剰に働き、自分自身の体を攻撃してしまいます。幼い頃から、リンパ節の腫れや肝臓・脾臓の腫大(リンパ増殖)、自分の血液細胞を壊してしまう自己免疫性の貧血や血小板減少、自己免疫性の腸炎、成長の遅れ、間質性肺疾患(ILD)などが現れます[13]。患者さんの約7割が血液の異常を、約半数が腸の症状を経験すると報告されています[14]。
診断の重要な手がかりとなる「低いIgE値」
この病気は、他の自己免疫疾患(IPEX症候群など)と症状が似ているため、診断がとても難しいものでした。ところが、血清IgEが極端に低い(<2 kU/L)ことが強力な手がかりになるとわかりました[14]。高IgE症候群が「IgEが極端に高い」のとは真逆です。この安価な血液検査で候補をしぼり込み、必要な方に遺伝子検査を行う——という効率的な診断の流れが確立されつつあります。
この病気には、原因にピンポイントで働く「精密医療(プレシジョン・メディシン)」が効果を上げています。IL-6受容体を抑えるトシリズマブや、JAK阻害薬(ルキソリチニブ等)を使うことで、多くの患者さんで自己免疫やリンパ増殖の症状が改善しています。ある研究では、JAK阻害薬を受けた患者さんの大部分で症状が改善したと報告されています[17]。
ただし、診断が遅れて治療にたどり着けなかった不幸な例も報告されています。40歳で初めて変異が判明した患者さんが、分子標的治療を受ける前に重い肺の病気で亡くなられたという報告は、早期に正しい診断へたどり着くことの重要性を私たちに強く教えてくれます[15]。
STAT3とがん——多くのがんで活性化する「諸刃の剣」
ここまでは「生まれつきの変異」の話でしたが、STAT3はもう1つ、がんという場面でも極めて重要な顔を持っています。正常な細胞ではSTAT3の活性化は一時的で、きちんとオフになります。ところがSTAT3の恒常的活性化は多くの固形がん・血液がんで認められ、一部の文献ではヒト腫瘍の約70%に関与すると報告されています[19]。
これは、乳がん・肺がん・肝細胞がん・頭頸部がん・大腸がん・胃がん・卵巣がん・膵臓がん、さらには白血病など、非常に幅広いがんで見られ、多くの場合予後の悪さと関連しています[20]。ただし、その頻度は腫瘍の種類や評価方法によって異なります。
STAT3ががんを助けてしまう5つの仕組み
なぜSTAT3の暴走ががんを悪化させるのでしょうか。STAT3は「がんの特徴」のほとんどを裏で支えてしまう、いわばがんの司令塔として働くからです[20]。
- ➤① 死なない細胞をつくる:本来がん細胞を自滅させるはずのアポトーシス(細胞の自殺)を抑え、抗がん剤への抵抗力を与えます。
- ➤② 転移を助ける:新しい血管をつくらせ、上皮間葉転換(EMT)を促して、がんが遠くへ広がるのを後押しします。
- ➤③ 免疫から隠れる:本来がんを攻撃すべき免疫の働きを弱め、がんが「免疫の目」をかいくぐれるようにします。
- ➤④ がんの「種」を守る:再発の原因となるがん幹細胞を維持します。
- ➤⑤ 代謝を作り変える:がん細胞が育ちやすいエネルギーの使い方へと切り替えます。
STAT3を止められれば、がんの複数の弱点を同時に突けるということです。だからSTAT3は、長年にわたり分子標的治療の「もっとも魅力的な標的」の1つと考えられてきました。次の章で、その最前線をご紹介します。
最新の分子標的治療——「創薬困難」を越えて
これほど有望な標的でありながら、STAT3は長らく「創薬困難(アンドラッガブル)」な標的の代表とされてきました。STAT3は細胞の中にあり、薬がはまりやすい「くぼみ」を持たないため、狙いを定めた薬をつくるのが技術的にとても難しかったのです[20]。実際、30年以上研究が続けられてきましたが、いまだにFDA(米国食品医薬品局)などに承認されたSTAT3の直接阻害薬は存在しません[5]。
しかし今、技術の進歩によってこの「常識」が覆されようとしています。2025〜2026年には、TTI-101やWP1066などについて初期臨床試験の結果が相次いで報告され、STAT3を直接標的とする治療開発は新たな段階に進んでいます[20][22]。主な開発中の薬を見てみましょう。
📊 STAT3を狙う開発プログラムの内訳(モダリティ別)
従来型の低分子阻害薬が中心ですが、タンパク質を分解するPROTACや、RNAレベルで抑えるASO・siRNAといった新技術が台頭しています。
TTI-101——臨床開発が進む経口STAT3阻害薬
TTI-101は、飲み薬タイプの選択的なSTAT3阻害薬です。前述のSH2ドメインにしっかり結合して、STAT3が手を組むのを妨げます。進行した固形がんの患者さんを対象にした第I相試験では、忍容性が確認され、抗腫瘍活性を示す所見も報告されました[20]。とくに、他の治療歴を有する肝細胞がんを含む一部の患者さんで臨床的な効果が観察されています。現在は肝細胞がんや乳がん、さらに肺の線維化(特発性肺線維症)に対する試験も進んでおり、成功すれば欧米で初のSTAT3標的薬となる可能性があります。
WP1066——脳腫瘍に挑む薬
WP1066は、通常は薬が届きにくい「血液脳関門」を通過できるよう工夫された経口薬です[27]。脳腫瘍(膠芽腫)や、子どもの難治性脳腫瘍を対象に臨床試験が行われています。小児の第I相試験では安全性とSTAT3阻害を示す薬力学的効果が確認され、10例中1例で部分奏効が報告されましたが、今後の第II相試験で有効性を検証する必要があります[22]。
PROTAC・核酸医薬——「壊す」「作らせない」新発想
従来の薬が「STAT3の働きをふさぐ」発想だったのに対し、まったく新しいアプローチも登場しています。KT-333は、STAT3タンパク質そのものを分解してしまうPROTAC(プロタック)という技術を使った薬です。第I相試験で再発・難治性リンパ腫、LGL白血病、固形がんなどを対象に評価され、試験は2025年に完了しました[31]。またDanvatirsenは、STAT3の設計図(mRNA)に働きかけて、そもそもタンパク質を作らせないようにするアンチセンス核酸医薬(ASO)で、頭頸部がんに対し免疫治療薬との併用試験が進んでいます。
PROTACは、原因タンパク質と細胞の「ゴミ処理装置」を無理やり結びつけ、標的を丸ごと分解してしまう二股の分子です。ふさぐのではなく「片づける」のが特長です。PROTACの解説はこちら。
ASO(アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、タンパク質の設計図であるmRNAにくっついて、そのタンパク質が作られる前に働きを止める「核酸医薬」です。ASOの解説はこちら。
これらの多彩な新技術によって、STAT3は「創薬困難」という長年の定説を、いま静かに乗り越えようとしています。数年後には、がん治療の景色が大きく変わっているかもしれません。
STAT3を調べる遺伝子検査・NIPTについて
「うちの子がSTAT3の病気かもしれない」「妊娠中に調べておきたい」——そう思われた方のために、STAT3を調べる検査についてご説明します。STAT3は、ミネルバクリニックのいくつかの検査で対象に含まれています。
生まれる前に調べる——NIPTダイヤモンドプラン
STAT3は、ミネルバクリニックのNIPT(新型出生前診断)ダイヤモンドプランで調べられる56遺伝子の1つです。このプランは、一般的なダウン症(21トリソミー)などの染色体の検査に加え、父親由来の新生突然変異(de novo変異)で起こる病気まで幅広くカバーできる、当院で最も広範囲な出生前検査です。
当院のNIPTはCOATE法という技術を採用しています。これはSNP法とターゲット法を融合させた方式で、対象項目について高い検査性能が報告されています。陽性的中率などの性能は検査対象や集団によって異なるため、詳細は下記のエビデンスページをご確認ください。
当院は、低深度のゲノムワイド解析では、対象とする変化の大きさや胎児分画などの条件によって偽陽性(本当は陰性なのに陽性と出ること)が生じ得る点を考慮し、広く浅く読む「ワイドゲノム法」は採用していません。必要なものを、ターゲット法で精度よく調べる——生涯に関わる大切な検査だからこそ、正確性を最優先しています。
・出生前:NIPTダイヤモンドプラン(56遺伝子)
・生後の診断:高IgE症候群NGS遺伝子検査
・免疫全般:包括的原発性免疫不全症NGSパネル / 重症複合免疫不全症(SCID)NGSパネル
(父親由来の遺伝子変異が子へ伝わるイメージ)
STAT3の高IgE症候群の多くは、両親にはない新しい変異(de novo変異)で起こります。近年の研究では、父親の加齢とともに、精子に生じる新生突然変異が増えることが知られています。ダイヤモンドプランは、こうした父親由来の変異による病気にも目を向けた検査です。なお、これらの56遺伝子や微細欠失には、行動や知的発達に重い影響を及ぼす「症候性(重度の合併症を伴う)自閉症」の原因となるものも多く含まれます。
遺伝カウンセリングという「伴走」
先ほどお伝えしたとおり、STAT3の高IgE症候群は50%の確率で子へ受け継がれる可能性があります。だからこそ、検査の前後に遺伝カウンセリングを受けることが何より大切です。ミネルバクリニックは、臨床遺伝専門医が運営し、カウンセリングから結果の説明、陽性後のケア、確定検査(羊水・絨毛検査:2025年6月〜院内実施)まで、終始責任をもって支援する、極めて稀有な体制を整えています。
当院の遺伝カウンセリング料(33,000円)は検査費用に含まれており、検査当日の説明だけでなく、陽性時や妊娠中のさまざまな不安に対して「何度でも」ご相談いただけます。お金を気にせず、安心して過ごしていただくための配慮です。臨床遺伝専門医とは?
また、施設選びで後悔しないためのポイントも、あらかじめ知っておいていただきたい大切な情報です。施設選びで後悔しないためのポイントはこちらもあわせてご覧ください。
まとめ:STAT3という「生命の守護者」を正しく知る
STAT3は、全身の細胞を静かに守り続ける「生命のガーディアン」であると同時に、そのわずかな変化が正反対の病気を生む「諸刃の剣」でもあります。最後に、大切なポイントを振り返りましょう。
- • STAT3は免疫・心臓・脳・肝臓を守る「細胞の司令塔(転写因子)」
- • 機能喪失型(LOF):高IgE症候群(IgEが高い・免疫が弱い)
- • 機能獲得型(GOF):自己免疫・リンパ増殖症候群(IgEが低い・免疫が暴走)
- • 多くの固形がん・血液がんでSTAT3の恒常的活性化が認められ、TTI-101など新薬開発が進行中
- • 検査:NIPTダイヤモンドプラン・高IgE症候群NGSパネル等で調べられる
遺伝子の名前は、決して怖いものではありません。その正体を正しく知ることが、不安を小さくし、必要な備えや治療への第一歩になります。ミネルバクリニックは、臨床遺伝専門医が運営し、終始責任をもって皆さまを支援します。
よくある質問(FAQ)
🏥 ミネルバクリニックでのご相談
STAT3遺伝子や遺伝子検査・NIPTについてのご相談は、臨床遺伝専門医が運営するミネルバクリニックへお気軽にお問い合わせください。終始、責任をもって支援いたします。
🏥 ミネルバクリニックの特徴
患者さん思いの医療を実現!
✓ 臨床遺伝専門医が運営する非認証施設
✓ 2022年11月より高性能な産婦人科エコーを導入し、NIPT前に胎児の状態を確認
✓ 2025年6月から確定検査(絨毛検査・羊水検査)を自院で実施
✓ カウンセリングから陽性後ケアまで終始責任をもって支援
「患者のための医療を実現することを貫いています」
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参考文献
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- Essential Role of STAT3 in the Control of the Acute-Phase Response as Revealed by Inducible Gene Inactivation in the Liver. [PMC86708]
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- Peripheral Nerve Regeneration and NGF-Dependent Neurite Outgrowth of Adult Sensory Neurons Converge on STAT3 Phosphorylation Downstream of Neuropoietic Cytokine Receptor gp130. [PMC4172810]
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