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骨髄不全症候群の遺伝子検査|再生不良性貧血は遺伝する?遺伝性かどうかを61遺伝子で調べる

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

骨髄不全症候群の遺伝子検査

骨髄不全症候群は、骨髄で血液の細胞(赤血球・白血球・血小板)が十分につくられなくなる病気の総称です。「再生不良性貧血」と診断された方の中にも、生まれつきの遺伝子の変化による骨髄不全(遺伝性骨髄不全症候群)が含まれていることがあり、見分けられると、治療や移植の進め方、きょうだいをドナーに選べるかどうかが変わります。生まれ持った遺伝子は一生変わりません。一度の検査でわかったことは、ご自身の治療だけでなく、ご家族の検査や、これからの妊娠・出産の計画にもずっと使える情報です。このページでは、骨髄不全症候群の61遺伝子をまとめて調べる検査でわかること・わからないこと、結果のあとにできることを、臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. この検査で何がわかりますか?

骨髄不全症候群の原因として報告されている61の遺伝子を一度に調べ、ファンコニ貧血・ダイアモンド・ブラックファン貧血・先天性角化不全症・シュワッハマン・ダイアモンド症候群・先天性の好中球減少症など、遺伝性の骨髄不全かどうかを確かめます。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

原因のわからない血球減少がある方、再生不良性貧血と診断されて遺伝性かどうか知りたい方、若くして骨髄異形成症候群と診断された方、移植の前に原因を確かめたい方、ご家族に骨髄不全の方がいる方です。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検査費用は税込330,000円、遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・頬の内側の粘膜などで、オンライン診療でも受けられます(移植後の方は検体が変わります)。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。原因がわかれば、移植の進め方・きょうだいドナーの選び方・がんの見張りを具体的に考えられます。ご家族の検査や、意義がまだわからない変化(VUS)の扱いもご説明します。

\ 一生変わらない遺伝子を知って、これからの治療と計画に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

お問い合わせはこちら | どの検査がよいか迷う方へ

1. 骨髄不全症候群とは:遺伝性と後天性の違い

骨髄不全症候群(Bone Marrow Failure Syndromes)は、骨の中にある骨髄で、血液の細胞をつくる働きが落ちる病気の総称です。血液の細胞は、骨髄の造血幹細胞から毎日つくられています。この働きが落ちると、赤血球・白血球・血小板のうち1つ、または複数が減ります。

骨髄不全症候群には、生まれたあとに起こる後天性のもの(代表は再生不良性貧血)と、生まれつきの遺伝子の変化による「遺伝性骨髄不全症候群」があります。このページの検査は、遺伝性骨髄不全症候群の原因を調べるものです。病気そのもののしくみや最新の治療は、疾患の解説ページで詳しく扱っています。

再生不良性貧血は遺伝する?

再生不良性貧血の大部分は後天性で、後天性のものでは遺伝は証明されていません。ただし、再生不良性貧血と診断された方の中に、遺伝性の骨髄不全が含まれていることがあります。

難病情報センターの解説(2026年10月時点で確認)では、再生不良性貧血は大部分が後天性で、そのうち90%以上は原因のわからない特発性とされ、多くは免疫のしくみが造血幹細胞を傷つけることで起こると考えられています。生まれつきの再生不良性貧血はまれで、その多くはファンコニ貧血だとされています。新たに診断される方は、年間およそ1,000人です。

一方、米国で造血幹細胞移植を受けた40歳以下の再生不良性貧血の方98人を遺伝子で調べた研究では、5.1%(5人)に遺伝性骨髄不全の原因となる遺伝子の変化が見つかりました[1]。この研究の論評では、病歴や診察だけでは、変化をもつ方を見分けきれなかったことが指摘されています[2]。

🩸 後天性の再生不良性貧血と、遺伝性骨髄不全症候群の違い

項目 後天性の再生不良性貧血 遺伝性骨髄不全症候群
原因 多くは免疫のしくみによる造血幹細胞の障害(原因不明が多い) 生まれつきの遺伝子の変化
遺伝 後天性では遺伝は証明されていない 遺伝のしかたは病気・遺伝子ごとに違う(顕性・潜性・X連鎖)
きょうだいドナー HLAが合えば候補になる 同じ変化をもつきょうだいがいることがあり、先に調べる必要がある
移植の前処置 病気に合わせて選ばれる 病気によっては、抗がん剤や放射線に強く反応する体質を考えて選ぶ必要がある
がんの見張り 病状に合わせて 病気によって、骨髄異形成症候群・白血病・頭頸部がんなどの見張りが必要

※後天性の説明は難病情報センター「再生不良性貧血(指定難病60)」(2026年10月時点で確認)、遺伝性の説明は文献[3][4][5]による。

見分けがつくと、何が変わるのでしょうか。たとえばファンコニ貧血では、抗がん剤や放射線による害が強く出やすいことが知られており、移植の前処置の化学療法や放射線が頭頸部のがんを増やす可能性も指摘されています[3]。ダイアモンド・ブラックファン貧血では、原因の変化をもつ血縁者は、症状がなくても骨髄ドナーに適さないとされています[4]。つまり、「遺伝性かどうか」は、移植の進め方とドナー選びに直接かかわります。

大人になってから見つかる遺伝性の骨髄不全もある

遺伝性の骨髄不全は、子どもの病気とは限りません。先天性角化不全症などのテロメアの病気(テロメア生物学的障害)では、爪の変形・首や胸の網目状の色素沈着・口の中の白い斑点という3つの特徴が、すべての方にそろうわけではありません。骨髄不全が先に現れ、何年もあとに爪の変化が出ることもあります。また、肺線維症が最初の症状になることがあり、若くして特発性肺線維症と診断された方では、この病気を考えるべきとされています。肝臓の病気も大事な合併症です[5]。

肺線維症と骨髄異形成を伴う型(肺線維症・骨髄異形成を伴う先天性角化不全症)もあります。また、前の研究では、小児から46歳までの、移植を受けた骨髄異形成症候群の方110人のうち、15人(13.6%)に骨髄不全・骨髄異形成症候群に関わる遺伝子の変化が見つかりました。このうち14人では生まれつきの変化が確認されましたが、1人のRUNX1の変化は後天的な体細胞変異でした[2]。生まれつきの変化の中には、GATA2異常症の原因のGATA2や、テロメアに関わるTERT・TINF2の変化も含まれていました[1]。肺の症状が前に出ている方には、テロメア関連肺線維症の遺伝子検査もあります。

血球が減ることで起こる症状と、体の特徴

どの血球が減るかで、症状が変わります。

  • ●赤血球が減る(貧血):顔色が悪い、疲れやすい、息切れ、動悸
  • ●白血球(とくに好中球)が減る:熱が出やすい、肺炎などの感染症にかかりやすく重くなりやすい
  • ●血小板が減る:鼻血・歯ぐきの出血、あざができやすい

遺伝性骨髄不全症候群では、血液の症状に加えて、病気ごとに体の特徴が見られることがあります。ファンコニ貧血の低身長・親指や前腕の形の違い・皮膚の色素の変化、先天性角化不全症の爪・皮膚・口の中の変化、シュワッハマン・ダイアモンド症候群の膵臓の働きの低下(消化・吸収の不良)などです[3][5][6]。ただし、こうした特徴がはっきりしない方もいます。また、いくつかの病気では、骨髄異形成症候群や急性骨髄性白血病、若いうちの固形がんのリスクが高くなります(第6章)。

2. この検査で調べる主な病気と、個別の検査との選び方

この検査は、血球が減る遺伝性の病気をまとめて1回で調べる「入口」の検査です。主な病気と、壊れている場所(しくみ)は次のとおりです。

🧬 この検査で調べる主な遺伝性骨髄不全症候群

病気 主な特徴 遺伝のしかた 個別の検査
ファンコニ貧血 DNA修復の故障。進行する血球減少、体の形の特徴、骨髄異形成症候群・白血病・頭頸部がんのリスク 多くは常染色体潜性。FANCB型はX連鎖[3] ファンコニ貧血の遺伝子検査
ダイアモンド・ブラックファン貧血 おもに赤血球だけがつくられない。リボソームの遺伝子の変化が多い 多くは常染色体顕性(約55〜60%は新しく起きた変化)。GATA1型・TSR2型はX連鎖[4] ダイアモンド・ブラックファン貧血の遺伝子検査
先天性角化不全症(テロメアの病気) テロメアの故障。爪・皮膚・口の中の変化、骨髄不全、肺線維症、肝臓の病気 DKC1型はX連鎖、TERC・TINF2型は顕性など、遺伝子で違う[5] 先天性角化不全症の遺伝子検査
シュワッハマン・ダイアモンド症候群 好中球減少、膵臓の働きの低下、骨の変化。約92%がSBDS遺伝子による SBDS型は常染色体潜性[6] このページの検査
先天性無巨核球性血小板減少症 血小板をつくる細胞(巨核球)ができず、血小板が強く減る 常染色体潜性(MPL) このページの検査
重症先天性好中球減少症など 好中球が強く減り、細菌感染をくり返す 遺伝子で違う(第4章の表) 好中球減少症の遺伝子検査
GATA2異常症 単球・B細胞・NK細胞の減少、抗酸菌などの感染症、骨髄異形成症候群 常染色体顕性 このページの検査

※遺伝のしかたは各病気のGeneReviewsとOMIMで確認(2026年10月)。

病名がはっきりしているなら個別の検査、まだしぼれないならこのパネル

ファンコニ貧血など、病名がほぼ決まっている場合は、その病気の個別の検査ページをご覧ください。血球減少の原因がまだしぼれない場合や、いくつかの病気の可能性が重なっている場合は、このパネルが向いています。減っている血球の種類や体の症状によって、次の検査が合うこともあります。

🔍 症状に合わせた検査の選び方

こんなとき 向いている検査
血球減少の原因がしぼれない/再生不良性貧血と言われ遺伝性か知りたい このページの検査(61遺伝子)
染色体の壊れやすさ(染色体脆弱性)がはっきりしている ファンコニ貧血の遺伝子検査、染色体不安定症候群の遺伝子検査、ブルーム症候群の遺伝子検査
おもに赤血球だけが減る(貧血) ダイアモンド・ブラックファン貧血、先天性赤血球形成異常性貧血(CDA)、遺伝性鉄芽球性貧血、遺伝性球状赤血球症、αサラセミアの遺伝子検査
おもに好中球だけが減る 好中球減少症の遺伝子検査
おもに血小板だけが減る・出血しやすい 血小板障害の遺伝子パネル検査、血栓症・血小板障害・凝固因子欠乏症の包括的パネル
肺線維症が前に出ている テロメア関連肺線維症の遺伝子検査
血球が減るほか、発熱・肝臓や脾臓の腫れなどがあり血球貪食が疑われる 家族性血球貪食性リンパ組織球症の遺伝子検査
鉄が体にたまっている ヘモクロマトーシスの遺伝子検査
血液以外の症状も多く、病気をしぼれない 全エクソーム検査(WES)

※どの検査が合うかは、血液検査・骨髄検査の結果、体の症状、ご家族の情報で変わります。どの検査が合うかは遺伝カウンセリングでご相談いただけます。

3. どんな人が受けるとよいか

原因のわからない血球減少がある方、再生不良性貧血や骨髄異形成症候群と診断されて遺伝性かどうかを知りたい方、移植の前に原因を確かめたい方に向く検査です。見た目・年齢・家族歴だけでは、遺伝性かどうかは判断できません[2]。

受けるとよい方

  • ●汎血球減少、または2系統以上の血球減少があり、原因がわからない方
  • ●再生不良性貧血と診断され、遺伝性の骨髄不全ではないかを確かめたい方
  • ●若くして骨髄異形成症候群や急性骨髄性白血病と診断された方
  • ●骨髄検査で骨髄の細胞が少ない(低形成)と言われた方
  • ●低身長、親指や前腕の形の違い、皮膚の色素の変化、爪の変形などの体の特徴がある方
  • ●ファンコニ貧血・ダイアモンド・ブラックファン貧血・先天性角化不全症などが疑われるが、病名をしぼれない方
  • ●若くして肺線維症や肝臓の病気があり、血球減少も見られる方
  • ●ご家族に骨髄不全・若いうちのがんの方がいる方
  • ●造血幹細胞移植の前に、原因と、きょうだいをドナーに選べるかを確かめたい方

この検査より別の検査が向いている場合

血液以外の症状が多く病気をしぼれないときは全エクソーム検査(WES)、減っている血球が1種類にはっきりしているときは第2章の個別の検査が向いていることがあります。比べるのは検査の種類で、どれが合うかは遺伝カウンセリングで決めます。

骨髄移植を受けた方・血液の病気で治療中の方の検体

同種造血幹細胞移植を受けた方は、血液の細胞がドナー由来になっているため、血液や唾液では正確な結果が得られません。この場合や、血液の悪性腫瘍がある方は、培養した線維芽細胞から取り出したDNAで検査します。移植をこれから受ける方は、移植の前に検体を用意しておくと検査を進めやすくなります。

\ 移植のドナーを考える前に、まずご本人の原因を /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

原因の変化がわかれば、きょうだいがドナーになれるかを同じ場所で調べられます。臨床遺伝専門医が常駐し、ご家族の検査も遺伝カウンセリングのうえでお受けしています。

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4. 調べる61遺伝子と、それぞれでわかる病気

この検査では、骨髄不全症候群に関わる61の遺伝子を一度に調べます。病名と遺伝のしかたは、遺伝子ごとにOMIM(遺伝性疾患のデータベース)で確かめたものです(2026年10月時点)。遺伝のしかたの考え方は遺伝形式のページで解説しています。

🧬 ファンコニ貧血に関わる遺伝子(16)

遺伝子 関係する病気 遺伝のしかた
FANCA ファンコニ貧血A型 常染色体潜性
FANCB ファンコニ貧血B群 X連鎖潜性
FANCC ファンコニ貧血C型 常染色体潜性
FANCD2 ファンコニ貧血D2群 常染色体潜性
FANCE ファンコニ貧血E群 常染色体潜性
FANCF ファンコニ貧血F群 常染色体潜性
FANCG ファンコニ貧血G型 常染色体潜性
FANCI ファンコニ貧血I群 常染色体潜性
FANCL ファンコニ貧血L群 常染色体潜性
BRCA2 ファンコニ貧血D1群(1つだけもつ大人では遺伝性乳がん卵巣がんなどの素因) 常染色体潜性(ファンコニ貧血として)
BRIP1 ファンコニ貧血J群 常染色体潜性
PALB2 ファンコニ貧血N群(1つだけもつ大人では乳がん・卵巣がん・膵がんなどの素因) 常染色体潜性(ファンコニ貧血として)
RAD51C ファンコニ貧血O群(1つだけもつ大人では乳がん・卵巣がんの素因) 常染色体潜性(ファンコニ貧血として)
SLX4 ファンコニ貧血P群 常染色体潜性
ERCC4 ファンコニ貧血Q群(ほかに色素性乾皮症F群など) 常染色体潜性
FANCM 病気との関係を研究中の遺伝子(OMIMではファンコニ貧血の型としての登録はなく、早発卵巣不全・精子形成障害が登録) 常染色体潜性(精子形成障害として)

🧬 先天性角化不全症(テロメアの病気)に関わる遺伝子(8)

遺伝子 関係する病気 遺伝のしかた
DKC1 先天性角化不全症(X連鎖型)、ホイエラール・フレイダルソン症候群 X連鎖潜性
TERC 肺線維症・骨髄不全を伴うテロメア関連疾患2型、先天性角化不全症 常染色体顕性
TERT 肺線維症・骨髄異形成を伴う先天性角化不全症(1型)、先天性角化不全症、再生不良性貧血の感受性 常染色体顕性(先天性角化不全症は潜性の型もある)
TINF2 先天性角化不全症(顕性3型)、レヴェス症候群 常染色体顕性
RTEL1 肺線維症・骨髄不全を伴うテロメア関連疾患3型、先天性角化不全症 常染色体顕性/常染色体潜性
NHP2 先天性角化不全症(潜性2型) 常染色体潜性
NOP10 先天性角化不全症(潜性1型) 常染色体潜性
WRAP53 先天性角化不全症(潜性3型) 常染色体潜性

🧬 ダイアモンド・ブラックファン貧血に関わる遺伝子(12)

遺伝子 関係する病気 遺伝のしかた
RPS19 ダイアモンド・ブラックファン貧血1 常染色体顕性
RPS24 ダイアモンド・ブラックファン貧血3 常染色体顕性
RPS17 ダイアモンド・ブラックファン貧血4 常染色体顕性
RPL35A ダイアモンド・ブラックファン貧血5 常染色体顕性
RPL5 ダイアモンド・ブラックファン貧血6 常染色体顕性
RPL11 ダイアモンド・ブラックファン貧血7 常染色体顕性
RPS7 ダイアモンド・ブラックファン貧血8 常染色体顕性
RPS10 ダイアモンド・ブラックファン貧血9 常染色体顕性
RPS26 ダイアモンド・ブラックファン貧血10 常染色体顕性
RPL26 ダイアモンド・ブラックファン貧血11 常染色体顕性
RPL15 ダイアモンド・ブラックファン貧血12 常染色体顕性
GATA1 GATA1関連血球減少症(ダイアモンド・ブラックファン貧血に似た貧血、血小板減少など) X連鎖潜性

🧬 好中球が減る病気に関わる遺伝子(13)

遺伝子 関係する病気 遺伝のしかた
SBDS シュワッハマン・ダイアモンド症候群1 常染色体潜性
ELANE 重症先天性好中球減少症1、周期性好中球減少症 常染色体顕性
GFI1 重症先天性好中球減少症2 常染色体顕性
HAX1 重症先天性好中球減少症3(コストマン病) 常染色体潜性
G6PC3 重症先天性好中球減少症4 常染色体潜性
VPS45 重症先天性好中球減少症5 常染色体潜性
CSF3R 重症先天性好中球減少症7 常染色体潜性
CXCR4 WHIM症候群 常染色体顕性
SLC37A4 糖原病Ib型(好中球減少を伴う) 常染色体潜性
TAFAZZIN(旧名TAZ) バース症候群(好中球減少・心筋症) X連鎖潜性
VPS13B コーエン症候群(好中球減少を伴う) 常染色体潜性
USB1 好中球減少を伴う多形皮膚萎縮症 常染色体潜性
SRP72 骨髄不全症候群1 常染色体顕性

🧬 血小板が減る病気・そのほかの遺伝子(12)

遺伝子 関係する病気 遺伝のしかた
MPL 先天性無巨核球性血小板減少症1 常染色体潜性
RBM8A 橈骨欠損を伴う血小板減少症(TAR症候群) 常染色体潜性
RUNX1 骨髄性腫瘍を伴う家族性血小板異常症 常染色体顕性
WAS ウィスコット・アルドリッチ症候群、X連鎖血小板減少症、X連鎖重症先天性好中球減少症 X連鎖潜性
GATA2 GATA2異常症(免疫不全21・MonoMAC症候群、エンバーガー症候群、骨髄異形成症候群の素因) 常染色体顕性
GBA1(旧名GBA) ゴーシェ病(血小板減少・貧血を伴う) 常染色体潜性
RMRP 軟骨毛髪低形成症(貧血・好中球減少・リンパ球減少を伴う) 常染色体潜性
AP3B1 ヘルマンスキー・パドラック症候群2 常染色体潜性
LYST チェディアック・東症候群 常染色体潜性
RAB27A グリセリ症候群2型 常染色体潜性
LAMTOR2 MAPBPIP欠損による免疫不全症 常染色体潜性
RAC2 免疫不全症73(A・B型は顕性、C型は潜性) 常染色体顕性/常染色体潜性

表のうち、台帳に解説ページがある遺伝子・病気にはリンクを付けています。リンクのない遺伝子・病気は、遺伝カウンセリングでご説明します。病名の後ろの数字は、OMIMでの型の番号です。

5. この検査でわかること・わからないこと

この検査でわかるのは、61遺伝子の中の小さな変化(1つの塩基の置き換わり、小さな挿入・欠失)と、遺伝子全体やいくつかのエクソンにわたる欠失・重複です。一方で、遺伝子検査のメリットとデメリットにあるとおり、検査には限界があります。

  • ●染色体脆弱性試験・テロメア長の測定は含まれません:ファンコニ貧血はリンパ球の染色体の壊れやすさを見る検査(DEB・MMC試験)でも診断を確かめます[3]。先天性角化不全症では、flow-FISH法で測定したリンパ球のテロメア長が、同じ年齢の基準集団の下位1%未満であることについて、感度97%・特異度91%という診断性能が報告されています。ただし、この数字は測定方法や対象集団によって異なります[5]。必要に応じて、遺伝子検査と組み合わせます。
  • ●見つけにくい変化:染色体の転座・逆位、繰り返し配列の伸長、遺伝子の働きを調節する領域や遺伝子の深い部分(エクソンから20塩基より奥)の変化は検出できません。1つのエクソンだけの欠失・重複は、ふだんは検出の対象外です。
  • ●モザイク:体の一部の細胞にだけ変化がある状態(モザイク)や、がんの細胞だけにある変化(体細胞変異)を調べるようにはつくられていません。ファンコニ貧血では、リンパ球の結果がはっきりしないときに皮膚の線維芽細胞で調べる方法があります[3]。
  • ●調べていない遺伝子:61遺伝子以外の原因は調べていません。
  • ●TAR症候群(RBM8A)の注意:橈骨欠損を伴う血小板減少症(TAR症候群)は、RBM8Aの働きを失わせるまれな変化と、遺伝子の働きを調節する領域にある比較的よくみられる変化の組み合わせで起こることが報告されています[8]。この検査はエクソンとその境目を調べるもので、調節する領域の変化がどこまで調べられるかは、TAR症候群が疑われる場合に遺伝カウンセリングでご説明します。
  • ●意義がまだわからない変化(VUS):病気の原因かどうかまだ判断できない変化が見つかることがあります(オプションで、報告から除くこともできます)。
  • ●陰性でも否定はできません:原因が見つからなくても、遺伝性骨髄不全症候群を完全に否定することはできません。

見つかった変化のうち読み取りの質が低いものはサンガー法という別の方法で、欠失・重複は原理の違う方法(qPCR法やMLPA法)で、もう一度確かめてから報告します。検査する遺伝子の領域の99%以上を、20回以上重ねて読み取ります(読み取る回数が多いほど、読み違いを減らせます)。

6. 結果が出たあと

結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。病名がつくと、受けるべき検査、気をつけたい治療、使える制度が具体的になります。

陽性だったとき:治療・移植・がんの見張りが具体的になる

原因の遺伝子がわかると、移植の進め方、ドナーの選び方、がんの見張り方を、その病気に合わせて考えられます。当院は移植や血液の病気の治療は行っていないため、治療は専門の医療機関で受けていただきます。当院は、結果の意味をご本人・ご家族に説明し、ご家族の検査につなげる役割を担います。

  • ●移植:ファンコニ貧血では、前処置や移植片の工夫が重ねられ、骨髄不全のある若い方の5年生存率は90%を超えると報告されています[7]。一方で、化学療法や放射線の害が強く出やすい体質があり、前処置の化学療法・放射線が頭頸部のがんを増やす可能性も指摘されています[3]。病名がわかっていることは、造血幹細胞移植の前処置を選ぶための大事な情報です。
  • ●ドナー選び:ダイアモンド・ブラックファン貧血では、原因の変化をもつ血縁者は症状の有無にかかわらず骨髄ドナーに適さないとされています[4]。先天性角化不全症でも、血縁のドナー候補を、ご家族でわかっている変化(わからなければテロメア長)で調べるよう勧められています[5]。
  • ●がんの見張り:ファンコニ貧血では、骨髄異形成症候群または急性骨髄性白血病になる割合は40歳までに35%、頭頸部の扁平上皮がんは一般の人の500〜1,000倍とされ、定期的な血液検査・骨髄検査・口の中の診察などが勧められています[3]。シュワッハマン・ダイアモンド症候群では、フランスの登録で骨髄異形成症候群・白血病への進展が20年で約19%、30年で約36%と報告されています[6]。先天性角化不全症でも、頭頸部がんや骨髄異形成症候群・白血病の見張りが勧められています[5]。
  • ●臓器の見張り:テロメアの病気では、肺線維症や肝臓の病気にも気をつけます[5]。

ご家族への影響

原因がわかると、ご家族は同じ場所を調べることで、変化を受け継いでいるかを確かめられます。

  • ●常染色体潜性(劣性)遺伝(ファンコニ貧血の多く、シュワッハマン・ダイアモンド症候群など):ご両親がともに保因者の場合、次のお子さんが同じ病気になる確率は4分の1です。保因者のご両親は、ふつう症状がありません。
  • ●常染色体顕性(優性)遺伝(ダイアモンド・ブラックファン貧血の多くなど):変化をもつ方のお子さんは、1人あたり2分の1の確率で受け継ぎます。ダイアモンド・ブラックファン貧血では約40〜45%が親から受け継いだ変化、約55〜60%が新しく起きた変化(新生突然変異)とされ、同じ家族でも、典型的な症状の方から、貧血のない方まで幅があります[4]。
  • ●X連鎖遺伝(DKC1型の先天性角化不全症、FANCB型のファンコニ貧血など):お母さんが保因者かどうかで、次のお子さんの確率が変わります。

⚠️ 「自分は症状がないから、子どもも大丈夫」とは言えません

ダイアモンド・ブラックファン貧血や先天性角化不全症では、同じ家族の中でも症状の出方に大きな幅があります[4][5]。親御さんが軽い症状で気づいていなかったり、まったく症状がなかったりしても、同じ変化を受け継いだお子さんの症状が同じ程度になるとは限りません。ご家族のどなたかで原因がわかったときは、症状の有無だけで判断せず、知ったうえで計画することに意味があります。

また、ファンコニ貧血に関わる遺伝子のうち、BRCA2・PALB2などは、1つだけもつ大人(保因者)では乳がん・卵巣がんなどのリスクが上がることが知られています[3]。お子さんがファンコニ貧血と診断されたことをきっかけに、ご両親ご自身の遺伝性乳がん卵巣がん症候群などを考えることもあります。

陰性・VUSだったとき

原因が見つからなかった場合は、遺伝性の可能性は低くなりますが、ゼロにはなりません(第5章)。症状に合わせて、染色体脆弱性試験やテロメア長の測定、別の検査(全エクソーム検査など)を考えます。VUSは、それだけで診断を確定したり、ご家族の発症リスクを判断したりする根拠にはしません。ただし、その変化が病気の原因かどうかを調べるために、ご家族にも同じ変化があるかを検査することがあります。研究が進んで、のちに意味がはっきりすることもあります(VUSの臨床的な取り扱い)。調べた目的と別の病気の原因が見つかった場合の扱いは、当院の二次的所見の開示方針をご覧ください。

次の妊娠を考えている方:保因者検査と出生前診断

原因がわかっていれば、次の妊娠でどう備えるかを具体的に考えられます。潜性遺伝の病気では、パートナーが同じ病気の保因者かどうかを調べることもできます。この検査の対象遺伝子のうち、FANCA・FANCC・FANCG・SBDSなどは、当院の拡大版保因者スクリーニング(女性版787遺伝子)の対象に含まれています(遺伝子一覧で確認。遺伝子ブライダルチェックも参照)。

ご家族で原因の遺伝子の変化がわかっていれば、妊娠したときに赤ちゃんで同じ変化があるかを調べられます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。その病気で出生前診断を行えるかは、病気の重さや国内の指針を踏まえて個別に考えますので、妊娠を考えている段階からご相談ください。

日本でも、日本産科婦人科学会の指針にもとづく審査を経て、PGT-M(着床前遺伝学的検査)が行われています(当院は体外受精・PGT-Mを行っていません)。準備に必要なことは海外でPGT-Mを考えている方へで解説しています。

結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。報告書の読み方は遺伝子検査結果の見かたで解説しています。

7. 日本の制度(2026年10月時点)

再生不良性貧血(指定難病60)、ダイアモンド・ブラックファン貧血(指定難病284)、ファンコニ貧血(指定難病285)は、指定難病です。小児慢性特定疾病では「先天性骨髄不全症候群」として、先天性無巨核球性血小板減少症・ダイアモンドブラックファン貧血・先天性角化異常症・ファンコニ貧血・重症先天性好中球減少症・シュバッハマン・ダイアモンド症候群・橈骨欠損を伴う血小板減少症・ピアソン症候群の8つが対象になっています(難病情報センター・小児慢性特定疾病情報センターで2026年10月に確認)。

医療費の助成を受けるには、それぞれの制度の認定の条件を満たし、申請する必要があります。病名が遺伝子検査で確かめられていることは、制度を使うときの手がかりになります。認定の基準や申請の方法は、難病情報センター・小児慢性特定疾病情報センターや、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。

8. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。唾液・頬の内側の粘膜・血液のいずれでもオンライン診療で受けられます。

ご予約
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
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検体の採取キットは支払い後
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結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

💴 費用・日数・検体

項目 内容
調べる遺伝子 骨髄不全症候群に関わる61遺伝子(塩基配列・欠失/挿入を含む)
検査費用 税込330,000円
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査費用とは別
結果までの期間 2〜3週間(至急オプション55,000円で約7日短縮)
VUS除外 意義がまだわからない変化(VUS)を報告から除くオプション(無料)
検体 血液(EDTA採血管4ml×2本)、抽出DNA(3μg)、頬の内側の粘膜、唾液
移植後・血液の悪性腫瘍がある方 培養した線維芽細胞から取り出したDNA
オンライン診療 唾液・頬の内側の粘膜・血液いずれも可能(血液は全国の提携医療機関で採血)

※当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。

オンライン診療(ビデオ通話)で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただきます。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。検体採取キットは、検査料金をお支払いいただいたあとにお送りします。取り違えや検体の品質の問題を防ぐため、ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

遺伝カウンセリングでは、検査で何がわかり、何がわからないか、結果がご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。

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臨床遺伝専門医が常駐し、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明してからマイページにアップします。

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9. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「再生不良性貧血」という名前の奥にあるもの】

血球が減る病気は、検査の数字だけを見ると、どれもよく似て見えます。けれども、後天性の再生不良性貧血なのか、生まれつきの遺伝子の変化による骨髄不全なのかで、移植の進め方も、きょうだいをドナーにできるかも、その後に見張るべきがんも変わります。生まれ持った遺伝子は一生変わりません。だからこそ、一度確かめた結果は、ご本人の治療だけでなく、ご家族のこれからにも使える情報になると考えています。

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。

わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。治療は専門の医療機関で受けていただきながら、原因の確定、ご家族の検査、次の妊娠の計画と出生前診断までは、当院で続けて支えられます。どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 再生不良性貧血は遺伝しますか?

難病情報センターによると、再生不良性貧血の大部分は生まれたあとに起こる後天性のもので、後天性の再生不良性貧血では遺伝は証明されていません。一方で、生まれつきの骨髄不全(遺伝性骨髄不全症候群)が、再生不良性貧血と診断された方の中に含まれていることがあります。米国で造血幹細胞移植を受けた40歳以下の再生不良性貧血の方98人を調べた研究では、5.1%(5人)に遺伝性骨髄不全の原因となる遺伝子の変化が見つかりました。見分けるには遺伝子検査が手がかりになります。

Q2. 骨髄不全症候群は難病ですか?

再生不良性貧血(指定難病60)、ダイアモンド・ブラックファン貧血(指定難病284)、ファンコニ貧血(指定難病285)は指定難病です。小児慢性特定疾病では「先天性骨髄不全症候群」として、ファンコニ貧血・ダイアモンドブラックファン貧血・先天性角化異常症・シュバッハマン・ダイアモンド症候群・重症先天性好中球減少症・先天性無巨核球性血小板減少症など8つの病気が対象になっています(2026年10月時点)。医療費の助成を受けるには、認定の条件を満たして申請する必要があります。

Q3. 大人になってからでも受ける意味はありますか?

あります。先天性角化不全症などのテロメアの病気では、爪・皮膚・口の中の3つの特徴がそろわない方も多く、骨髄不全より先に肺線維症が見つかることもあります。若い成人を含む骨髄異形成症候群の方を調べた研究でも、遺伝性骨髄不全の原因遺伝子の変化が見つかっています。原因がわかると、移植の考え方、がんの見張り、ご家族の検査につなげられます。

Q4. 骨髄移植を受けたあとでも検査できますか?

できますが、検体に注意が必要です。同種造血幹細胞移植を受けたあとは血液の細胞がドナー由来になるため、血液や唾液では正確な結果が得られません。この場合は、培養した線維芽細胞から取り出したDNAで検査します。血液の悪性腫瘍がある方も同じです。

Q5. きょうだいを移植のドナーにする前に調べたほうがよいですか?

遺伝性の骨髄不全では、ご家族が同じ遺伝子の変化をもっていても、症状がほとんど出ていないことがあります。遺伝性疾患の解説書(GeneReviews)では、ダイアモンド・ブラックファン貧血の原因の変化をもつ血縁者は、症状の有無にかかわらず骨髄ドナーに適さないとされています。先天性角化不全症でも、血縁のドナー候補を、ご家族でわかっている変化(わからなければテロメア長)で調べるよう勧められています。先にご本人の原因を確かめておくと、きょうだいを同じ場所で調べられます。

Q6. 染色体脆弱性試験やテロメア長の測定は含まれますか?

含まれません。この検査は遺伝子の配列を調べる検査です。ファンコニ貧血はリンパ球の染色体の壊れやすさを見る検査(DEB・MMC試験)、先天性角化不全症はリンパ球のテロメア長の測定でも診断を確かめる方法があり、遺伝子検査と組み合わせて使われます。必要なときは、主治医の医療機関でご相談ください。

Q7. 費用と結果までの日数は?

検査費用は税込330,000円で、別に遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)がかかります。結果までは2〜3週間です。至急オプション(55,000円)を付けると、結果までの期間が約7日短くなります。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。

Q8. 家族も検査を受けたほうがよいですか?

原因がわかったら、遺伝のしかたに合わせてご家族の検査を考えます。常染色体潜性(劣性)遺伝では、ご両親がともに保因者の場合、きょうだいが同じ病気になる確率は4分の1です。常染色体顕性(優性)遺伝では、お子さん1人あたり2分の1の確率で変化を受け継ぎます。ファンコニ貧血に関わる遺伝子のうちBRCA2やPALB2などは、1つだけもつ大人の乳がん・卵巣がんなどのリスクにも関わります。

🧬 一度の検査で、ご自身とご家族のこれからを考える

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。骨髄不全症候群の原因がわかれば、移植の進め方やきょうだいドナーの選び方、がんの見張りだけでなく、ご家族の検査や、結婚・妊娠の計画を考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

参考文献

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  • [2] DeZern AE, Brodsky RA. Genetic panels in young patients with bone marrow failure: are they clinically relevant? Haematologica. 2016;101(11):1275-1276. [DOI: 10.3324/haematol.2016.152389](PMID: 27799343)
  • [3] Mehta PA, Ebens CL. Fanconi Anemia. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2002 (Updated 2026 Jan 15). [NCBI Bookshelf NBK1401]
  • [4] Sieff C. Diamond-Blackfan Anemia. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2009 (Updated 2025 Jul 31). [NCBI Bookshelf NBK7047]
  • [5] Savage SA, Niewisch MR. Dyskeratosis Congenita and Related Telomere Biology Disorders. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2009 (Updated 2023 Jan 19). [NCBI Bookshelf NBK22301]
  • [6] Nelson A, Myers K. Shwachman-Diamond Syndrome. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2008 (Updated 2024 Sep 19). [NCBI Bookshelf NBK1756]
  • [7] Ebens CL, MacMillan ML, Wagner JE. Hematopoietic cell transplantation in Fanconi anemia: current evidence, challenges and recommendations. Expert Rev Hematol. 2017;10(1):81-97. [DOI: 10.1080/17474086.2016.1268048](PMID: 27929686)
  • [8] Albers CA, et al. Compound inheritance of a low-frequency regulatory SNP and a rare null mutation in exon-junction complex subunit RBM8A causes TAR syndrome. Nat Genet. 2012;44(4):435-439. [DOI: 10.1038/ng.1083]

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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