InstagramInstagram

血が止まりにくい・血栓ができやすい体質の遺伝子検査|血友病・血小板の病気・血栓症など82遺伝子を1回で

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

血が止まりにくい・血栓ができやすい体質の遺伝子検査

血が止まりにくい・あざができやすいのは、薬・肝臓の病気・血小板の減少など、あとから起きた原因であることが多い一方で、生まれつきの体質のこともあります。このページの検査は、血友病・フォン・ヴィレブランド病・血小板の病気・血栓ができやすい体質(遺伝性血栓性素因)など、出血・血小板・血栓に関わる82遺伝子を1回で調べ、体質かどうかを確かめるものです。原因がわかれば、手術・抜歯・出産・ピルの前に何に備えればよいかが決まり、ご家族が自分の状態を知る手がかりにもなります。どんな人が受けるとよいか、個別の検査との選び方、結果のあとにできることを、臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. 血が止まりにくいのは体質?この検査で何がわかりますか?

出血が止まりにくい・血栓ができやすい原因が、生まれつきの遺伝子の変化かどうかを調べます。凝固因子の病気(血友病・フォン・ヴィレブランド病など)、血小板の数や働きの病気、血栓ができやすい体質の82遺伝子を一度に調べます。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

子どものころから出血しやすい方、抜歯・手術・出産で出血が多かった方、若くして血栓ができた方、ご家族に血友病や血栓症の方がいる方、出血と血栓のどちらの病気か、まだしぼれない方です。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検査費用は330,000円(税込)、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・頬の内側の粘膜などで、いずれもオンライン診療で受けられます(血液は提携医療機関で採血)。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。原因が見つかれば、手術・出産の前の準備や、ご家族の検査・保因者検査につなげられます。意義がまだわからない変化(VUS)の扱いもご説明します。

\ 一生変わらない体質を知って、手術や出産の前の備えに /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

お問い合わせはこちら | どの検査がよいか迷う方へ

1. 血が止まりにくい・あざができやすいのは体質? まず止血のしくみから

血が止まるには、「血小板」が傷口に集まってふたをし、「凝固因子」がそのふたを固める、という2つの段階が必要です。どちらかが弱いと、血が止まりにくくなったり、あざができやすくなったりします。反対に、固まりすぎを抑える「ブレーキ」が弱いと、血管の中で血のかたまり(血栓)ができやすくなります。

止血は「血小板」と「凝固因子」、そして「止めすぎないブレーキ」でできている

けがをすると、まず血小板が傷ついた血管の壁にくっつき、互いに集まって最初のふたを作ります。このとき血小板を壁につなぎとめる「のり」の役をするのが、フォン・ヴィレブランド因子というたんぱく質です。次に、凝固因子と呼ばれる十数種類のたんぱく質が順番に働き、最後にフィブリノゲンがフィブリンという網に変わって、ふたをしっかり固めます。

一方、血液には、固まりすぎないように抑えるプロテインC・プロテインS・アンチトロンビンなどのブレーキと、できた血栓を溶かすしくみ(線溶)も備わっています。「血が止まりにくい」は止める側の弱さ、「血栓ができやすい」はブレーキ側の弱さで起こる、と考えるとわかりやすくなります。

血小板が集まる最初のふた
▶
凝固因子が働くふたを固める
▶
ブレーキ・線溶固まりすぎを防ぐ

生まれつきではない原因のほうが多い

血が止まりにくい・あざができやすい原因は、生まれつきの体質よりも、あとから起きたもののほうが一般的です。たとえば、血をサラサラにする薬(抗血小板薬・抗凝固薬)や一部の痛み止め、肝臓の病気、ビタミンKの不足、免疫のしくみで血小板が減る病気、白血病などの血液の病気があります。大人になってから、自分の凝固因子に対する抗体ができて急に出血しやすくなる後天性血友病Aという病気もあります。ビタミンKは凝固因子が働くために欠かせない栄養素で、くわしくはビタミンKのページで解説しています。

そのため、あざや出血が気になる方は、遺伝子検査の前に、まず血液内科などで血液検査(血小板の数、凝固の時間を測るPT・APTT、フィブリノゲン、フォン・ヴィレブランド因子など)を受けることが大切です。急に出血しやすくなった、あざが広がる、ほかの血球(赤血球・白血球)にも異常があるといった場合は、早めに受診してください。遺伝子検査は、血液検査で生まれつきの体質が疑われたときや、病名を確かめたいときに役立つ検査です。

生まれつきの体質を疑うサイン

次のような場合は、生まれつきの出血しやすさや、血栓ができやすい体質が隠れていることがあります。

  • ●子どものころから鼻血が止まりにくい、ぶつけた覚えのないあざができる
  • ●抜歯・手術・出産のときに出血が多かった、止血に時間がかかった
  • ●月経の量が多い、長く続く
  • ●若いうちに、またはきっかけがはっきりしないのに、足や肺などに血栓ができた/血栓をくり返す
  • ●ご家族に、同じような出血・血栓の方や、血友病などと診断された方がいる

女性で血が止まりにくいとき

女性で「血が止まりにくい」「月経が多い」ときに忘れてはいけないのが、フォン・ヴィレブランド病と、血友病の保因者です。フォン・ヴィレブランド病は、米国血液学会などの国際ガイドラインで「人で知られている中で最も多い遺伝性の出血性疾患」とされています[1]。イタリアの11〜14歳の学童1,218人を調べた研究では、0.82%がフォン・ヴィレブランド病と判定され、全員が軽症〜中等症の1型でした[2]。軽い型が多いため、月経や出産の出血が多くても「体質だから」と見過ごされやすい病気です。

また、血友病は主に男性に出る病気ですが、保因者の女性にも出血症状が出ることがあります。オランダで血友病の保因者274人を含む女性を調べた研究では、保因者の凝固因子の値の中央値は0.60 IU/mL(保因者でない女性は1.02 IU/mL)で、とくに医療処置のあとに、保因者でない女性より出血が多いことが示されました[4]。

2. この検査で調べる病気:出血・血小板・血栓の3つのグループ

この検査で調べる82遺伝子は、①凝固因子の病気(出血しやすい)、②血小板の数や働きの病気(出血しやすい)、③血栓ができやすい体質、の3つのグループに分けられます。症状から見た目安は次のとおりです。

🔍 症状から見た、主な病気と個別の検査

こんな症状 主な病気 個別の検査
関節や筋肉の中の出血、大きなあざ(主に男性) 血友病A・B 血友病・フォン・ヴィレブランド病の遺伝子検査
鼻血・歯ぐきの出血、月経が多い フォン・ヴィレブランド病、血小板の働きの病気 血友病・フォン・ヴィレブランド病の遺伝子検査、血小板障害パネル
へその緒の出血、フィブリノゲンが測れないほど低い 先天性無フィブリノゲン血症など 無フィブリノゲン血症の遺伝子検査
血小板が少ない・大きい ベルナール・スーリエ症候群、MYH9異常症など ベルナール・スーリエ症候群の遺伝子検査、血小板障害パネル
肌・髪・目の色が薄く、出血しやすい ヘルマンスキー・パドラック症候群など ヘルマンスキー・パドラック症候群の遺伝子検査
若いうちの血栓、血栓をくり返す プロテインC・プロテインS・アンチトロンビンの欠乏症など 血栓性疾患パネル(18遺伝子)
血小板の減少と、腎臓などの細い血管の血栓 先天性血栓性血小板減少性紫斑病など 血栓性微小血管症(TMA)の遺伝子検査
出血と血栓の両方が気になる・まだしぼれない 上のすべて このページの検査(82遺伝子)

※症状は目安です。どの検査が合うかは、血液検査の結果やご家族の情報もあわせて、遺伝カウンセリングで一緒に考えます。

出血しやすい病気(凝固因子)

凝固因子の病気で代表的なのは、血友病A(第VIII因子の不足、F8遺伝子)と血友病B(第IX因子の不足、F9遺伝子)、そしてフォン・ヴィレブランド病(VWF遺伝子)です。血友病はX染色体にある遺伝子の病気で、主に男性に症状が出ます。関節や筋肉の中の出血が特徴です。

このほか、フィブリノゲン(FGA・FGB・FGG)、第II・V・VII・X・XI・XIII因子などが生まれつき不足する病気もあります。これらの多くは両親から1つずつ変化を受け継いだときに起こる常染色体潜性(劣性)遺伝の病気で、症状が出る型の頻度は、一般の人で50万人に1人から200万人に1人とされる、まれな病気です[3]。まれなため、診断までに時間がかかることがあります。

血小板の数や働きの病気

血小板の病気には、血小板の数が少ない(または形が大きい)型と、数は普通でも働きが悪い型があります。働きが悪い型の代表がグランツマン血小板無力症で、血小板どうしをつなぐ受容体(ITGA2B・ITGB3遺伝子)の異常による常染色体潜性遺伝の出血性疾患です[8]。数が少なく血小板が大きい型の代表は、ベルナール・スーリエ症候群です(GP1BA・GP1BB・GP9遺伝子)。ふつうは常染色体潜性遺伝で、大きな血小板と強い出血傾向を示しますが[9]、片方の遺伝子の変化だけで、症状の軽い巨大血小板減少症として親から子へ伝わる型もあります[10]。

血小板の数が少ない病気のなかには、血液のがんになりやすさを伴うものがあります。RUNX1の変化による家族性血小板異常症では、一生のうちに血液のがんになる確率が25〜50%(発症年齢の中央値33歳)とされています[15]。ETV6関連血小板減少症では約20〜30%が血液のがんを発症し[17]、ANKRD26関連血小板減少症では、急性骨髄性白血病または骨髄異形成症候群がみられる割合が約8%と報告されています[16]。こうした遺伝子が見つかると、血小板の少なさを「体質だから」で済ませず、定期的な血液検査で見守る理由がはっきりします。

肌・髪・目の色が薄く、出血しやすいヘルマンスキー・パドラック症候群(HPS1・HPS3・AP3B1など)や、チェディアック・東症候群(LYST)、血小板の減少と湿疹・感染症をくり返すウィスコット・アルドリッチ症候群(WAS)の遺伝子も調べます。

血栓ができやすい体質(遺伝性血栓性素因):日本人で多いのはプロテインS

血栓ができやすい体質の主な原因には、血液のブレーキ役であるプロテインC(PROC遺伝子)・プロテインS(PROS1遺伝子)・アンチトロンビン(SERPINC1遺伝子)が、生まれつき少ない、または量があっても十分に働かないことがあります。深部静脈血栓症(足の奥の静脈の血栓)や、その血栓が肺に飛ぶ肺血栓塞栓症の原因になります。

海外の情報では、第V因子ライデン変異(F5遺伝子)やプロトロンビンG20210A変異が代表的な原因として紹介されます。しかし、この2つは日本人には見られないことが報告されています[13]。代わりに日本人で比較的多いのが、プロテインS徳島(K196E)と呼ばれるプロテインSの変化です。日本の4つの研究と公開データをまとめた報告では、4,686人のうち81人が持っており、日本人のおよそ58人に1人が片方の遺伝子にこの変化を持つと推定されています[11][12]。海外の情報をそのまま当てはめず、日本人に合わせて調べることが大切です。

出血と血栓の両方に関わる病気も

同じ遺伝子でも、変化の種類によって出血と血栓の両方に関わることがあります。たとえばフィブリノゲンの遺伝子の変化は、量が足りない型(無フィブリノゲン血症・低フィブリノゲン血症)と、量はあっても働きが違う型(異常フィブリノゲン血症)を起こします。また、ADAMTS13遺伝子の変化による先天性血栓性血小板減少性紫斑病では、血小板が減る一方で、細い血管に血栓ができます。出血と血栓のどちらの病気か決めきれないときに、両方を一度に調べられるのが、このパネルの特徴です。

3. このパネルと個別の検査、どちらを選ぶ?

病名がしぼれていれば個別の検査、出血と血栓の両方が気になる・まだしぼれないなら、このパネル(82遺伝子)が向いています。比べるのは検査の種類で、どれを選ぶかは遺伝カウンセリングで一緒に決めます。

病名がしぼれている → 個別の検査

血液検査で第VIII因子や第IX因子が低い、ご家族に血友病の方がいるなど、病名の見当がついている場合は、血友病・フォン・ヴィレブランド病の遺伝子検査のような個別の検査で十分なことがあります。血小板の病気なら血小板障害パネル、血栓なら血栓性疾患パネル(18遺伝子)、フィブリノゲンなら無フィブリノゲン血症の遺伝子検査、大きな血小板ならベルナール・スーリエ症候群の遺伝子検査があります。

出血と血栓の両方が気になる・まだしぼれない → このパネル

あざができやすいうえにご家族に血栓症の方がいる、血液検査の結果がはっきりしない、いくつかの病気が考えられる、といった場合は、このパネルが向いています。1つずつ遺伝子を調べて、見つからなければ次を調べる、というやり方では時間がかかります。82遺伝子を1回で調べれば、原因がわからないまま検査を重ねる回り道を短くできる可能性があります。ただし、全員に原因が見つかるわけではありません(第6章)。

別の検査が向く場合

赤血球や白血球も少ないなど、血小板以外の血球にも異常がある場合は骨髄不全症候群の遺伝子検査、鼻血をくり返し、皮膚や粘膜に細い血管が浮き出る場合は遺伝性出血性毛細血管拡張症の遺伝子検査が向いています。出血以外の症状も多く病気をしぼれない場合は、全エクソーム検査(WES)も選択肢です。

4. どんな人がこの検査を受けるとよいか

生まれつき出血しやすい・血栓ができやすい体質かどうかを確かめたい方、手術・抜歯・出産・ピルの前に備えたい方、ご家族に血友病や血栓症の方がいる方に向く検査です。

手術・抜歯・出産・ピルの前に、体質を知っておきたい方

出血しやすい体質は、ふだんの生活では気づかれにくく、抜歯や手術、出産のときに初めて問題になることがあります。前もって原因がわかっていれば、主治医や歯科医、かかりつけの産科に伝え、止血の準備をしたうえで処置を受けられます。血栓ができやすい体質の場合も、手術や妊娠など血栓ができやすい時期に予防を考える手がかりになります。病名がわかると、受けるべき検査や気をつけたい薬が決まり、使える医療費の制度(第8章)もはっきりします。米国臨床遺伝・ゲノム学会(ACMG)の系統的レビューでは、対象になった167の研究のうち95%が、エクソーム・ゲノム検査の結果によって患者さんやご家族の診療方針に何らかの変化があったと報告していました(対象は先天異常や知的障害のあるお子さんの研究で、変化の中身や大きさは研究ごとに違います)[18]。

米国血液学会の2023年のガイドラインは、ご家族にプロテインC・プロテインS・アンチトロンビンの欠乏があるとわかっている女性が、エストロゲンを含む経口避妊薬(混合型ピル)を考えるときは、検査をして、欠乏があれば混合型ピルを避けることを提案しています[14]。一方で、ご家族の血栓症の原因がわかっていない場合や、一般の女性全員に検査をすることは勧めていません[14]。これらの推奨は根拠の確かさが「非常に低い」とされる条件付きのもので、ピルを使ってよいかどうかは、検査の結果をもとに処方する医師と相談して決めることが大切です。

ご家族に血友病・フォン・ヴィレブランド病・血栓症の方がいる方

ご家族の中で原因の遺伝子がわかっていれば、ほかのご家族は同じ変化を持っているかを確かめられます。同じガイドラインは、プロテインC・プロテインS・アンチトロンビンの欠乏がわかっている方の親・きょうだい・子(第1度近親者)について、手術などの血栓ができやすい場面に備えて、家族でわかっている変化を調べることを提案しています[14]。あなたの1回の検査が、ご両親・きょうだい・お子さんが自分の状態を知る手がかりになります。

ほかの検査で原因がわからなかった方

血液検査で出血しやすさや血栓ができやすさは見つかったものの、病名が決まらない方にも向いています。見た目や家族歴だけでは、どの遺伝子の病気か判断できないことが多いためです。

この検査を受けなくてよい場合

血液検査で、薬・肝臓の病気・ビタミンKの不足など、あとから起きた原因がはっきりしている場合は、まずその治療が先です。また、手術や長い入院のあとに一度だけ血栓ができた方など、血栓のきっかけがはっきりしている場合に、遺伝子検査が役に立つかどうかは人によって違います。迷うときは遺伝カウンセリングでご相談ください。

\ あなたの1回の検査が、ご家族を守る手がかりに /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

ご家族で原因がわかれば、羊水検査・絨毛検査による出生前診断まで院内で相談できます。

海外でPGT-Mを考えている方には、英語の検査結果をお渡しできます(検査の時にお申し出ください)。

お問い合わせはこちら | どの検査がよいか迷う方へ

5. 調べる82遺伝子と、わかる病気

この検査では、凝固因子・線溶、血小板の数と大きさ、血小板の働き、白皮症と出血を伴う病気、血栓ができやすい体質に関わる82遺伝子を、まとめて調べます。遺伝子の配列の小さな変化(1文字の置き換わりや、小さな挿入・欠失)に加えて、遺伝子の欠失・重複も調べます。

🧬 調べる82遺伝子と、関係する病気・遺伝のしかた

▼ 82遺伝子の一覧を開く(タップで開閉)
遺伝子 関係する病気 遺伝のしかた
🩸 凝固因子・線溶の病気(24遺伝子)
F8 血友病A(第VIII因子の欠乏) X連鎖潜性
F9 血友病B(第IX因子の欠乏) X連鎖潜性
VWF フォン・ヴィレブランド病(1型・2型・3型) 1型は顕性、2型は顕性または潜性、3型は潜性
FGA 先天性無フィブリノゲン血症・低フィブリノゲン血症/異常フィブリノゲン血症 無フィブリノゲン血症は潜性、異常フィブリノゲン血症は顕性
FGB 先天性無フィブリノゲン血症・低フィブリノゲン血症/異常フィブリノゲン血症 無フィブリノゲン血症は潜性、異常フィブリノゲン血症は顕性
FGG 先天性無フィブリノゲン血症・低フィブリノゲン血症/異常フィブリノゲン血症 無フィブリノゲン血症は潜性、異常フィブリノゲン血症は顕性
F2 先天性プロトロンビン(第II因子)欠乏症/プロトロンビン変異による血栓性素因 欠乏症は潜性、血栓性素因は顕性
F5 先天性第V因子欠乏症/第V因子の変異による血栓性素因 欠乏症は潜性、血栓性素因は顕性
F7 先天性第VII因子欠乏症 潜性
F10 先天性第X因子欠乏症 潜性
F11 先天性第XI因子欠乏症 潜性または顕性
F12 先天性第XII因子欠乏症/遺伝性血管性浮腫3型 欠乏症は潜性、血管性浮腫は顕性
F13A1 先天性第XIII因子欠乏症(Aサブユニット) 潜性
F13B 先天性第XIII因子欠乏症(Bサブユニット) 潜性
LMAN1 第V・第VIII因子複合欠乏症1型 潜性
MCFD2 第V・第VIII因子複合欠乏症2型 潜性
GGCX ビタミンK依存性凝固因子複合欠乏症1型 潜性
VKORC1 ビタミンK依存性凝固因子複合欠乏症2型/ワルファリン抵抗性 欠乏症は潜性、ワルファリン抵抗性は顕性
KLKB1 先天性プレカリクレイン欠乏症 潜性
KNG1 高分子キニノゲン欠乏症/遺伝性血管性浮腫6型 欠乏症は潜性、血管性浮腫は顕性
SERPINF2 先天性α2-プラスミンインヒビター欠乏症 潜性
SERPINE1 先天性PAI-1欠乏症 潜性
PLG 先天性プラスミノゲン欠乏症/遺伝性血管性浮腫4型 欠乏症は潜性、血管性浮腫は顕性
PLAT 線溶(血栓を溶かすしくみ)にかかわる組織プラスミノゲンアクチベーターの遺伝子 病気との関係を研究中の遺伝子
🔬 血小板の数・大きさの病気(血小板減少症)(26遺伝子)
GP1BA ベルナール・スーリエ症候群/血小板型フォン・ヴィレブランド病 ベルナール・スーリエ症候群は潜性(片方の変化で軽い巨大血小板減少症になる型は顕性)、血小板型VWDは顕性
GP1BB ベルナール・スーリエ症候群/GP1BB関連の巨大血小板減少症 ベルナール・スーリエ症候群は潜性、片方の変化による巨大血小板減少症は顕性
GP9 ベルナール・スーリエ症候群 潜性
MYH9 MYH9異常症(巨大血小板減少症に、腎臓病・難聴・白内障を伴うことがある) 顕性
ACTN1 ACTN1関連の先天性巨大血小板減少症 顕性
TUBB1 TUBB1関連の先天性巨大血小板減少症 顕性
FLNA 脳室周囲結節性異所性灰白質1型(巨大血小板減少症を伴うことがある) X連鎖顕性
GFI1B GFI1B関連の血小板異常症(灰色血小板症候群に似た型) 顕性(潜性の報告もある)
NBEAL2 灰色血小板症候群 潜性
ANKRD26 ANKRD26関連血小板減少症(骨髄性腫瘍になりやすさを伴う) 顕性
ETV6 ETV6関連血小板減少症(血液のがんになりやすさを伴う) 顕性
RUNX1 骨髄性腫瘍素因を伴う家族性血小板異常症(骨髄異形成症候群・急性骨髄性白血病になりやすい) 顕性
CYCS CYCS関連血小板減少症 顕性
FYB1 FYB1関連血小板減少症(小さい血小板) 潜性
MPL 先天性無巨核球性血小板減少症1型/遺伝性血小板血症2型 無巨核球性血小板減少症は潜性、血小板血症は顕性
THPO 先天性無巨核球性血小板減少症2型/遺伝性血小板血症1型 無巨核球性血小板減少症は潜性、血小板血症は顕性
HOXA11 橈尺骨癒合症を伴う無巨核球性血小板減少症1型 顕性
RBM8A 橈骨欠損・血小板減少症候群(TAR症候群) 潜性
GATA1 GATA1関連血球減少症(X連鎖性赤血球形成異常性貧血・血小板減少症など) X連鎖潜性
GATA2 GATA2異常症(骨髄異形成症候群になりやすさを伴う) 顕性
FLI1 FLI1関連の血小板異常症(ヤコブセン症候群にみられるパリ・トルソー症候群の原因遺伝子) 潜性(顕性の報告もある)
SLFN14 SLFN14関連の血小板減少症・血小板機能異常症 顕性
WAS ウィスコット・アルドリッチ症候群/X連鎖性血小板減少症 X連鎖潜性
WIPF1 ウィスコット・アルドリッチ症候群2型 潜性
MASTL 血小板減少症との関係が研究されている遺伝子 病気との関係を研究中の遺伝子
ABCG8 シトステロール血症(巨大血小板減少症を伴うことがある) 潜性
⚙️ 血小板の働きの病気(血小板機能異常症)(13遺伝子)
ITGA2B グランツマン血小板無力症1型/ITGA2B関連の巨大血小板減少症 血小板無力症は潜性、巨大血小板減少症は顕性
ITGB3 グランツマン血小板無力症2型/ITGB3関連の巨大血小板減少症 血小板無力症は潜性、巨大血小板減少症は顕性
GP6 血小板糖蛋白VI欠損症 潜性
P2RY12 P2Y12(ADP受容体)異常症 潜性
TBXA2R トロンボキサンA2受容体異常症 顕性
TBXAS1 ゴーサル型血液骨幹異形成症(トロンボキサン合成酵素の欠損) 潜性
RASGRP2 RASGRP2(CalDAG-GEFI)欠損による血小板機能異常症 潜性
FERMT3 白血球接着不全症III型(グランツマン血小板無力症に似た出血を伴う) 潜性
PLA2G4A 血小板機能異常を伴う再発性の消化管潰瘍 潜性
ANO6 スコット症候群 潜性
CD36 血小板糖蛋白IV(CD36)欠損症 潜性
PLAU ケベック血小板異常症 顕性
NBEA OMIMの表現型は神経発達症。血小板との関係は研究中 神経発達症は顕性
🧪 白皮症と出血を伴う病気(ヘルマンスキー・パドラック症候群など)(10遺伝子)
HPS1 ヘルマンスキー・パドラック症候群1型 潜性
HPS3 ヘルマンスキー・パドラック症候群3型 潜性
HPS4 ヘルマンスキー・パドラック症候群4型 潜性
HPS5 ヘルマンスキー・パドラック症候群5型 潜性
HPS6 ヘルマンスキー・パドラック症候群6型 潜性
AP3B1 ヘルマンスキー・パドラック症候群2型 潜性
DTNBP1 ヘルマンスキー・パドラック症候群7型 潜性
BLOC1S3 ヘルマンスキー・パドラック症候群8型 潜性
BLOC1S6 ヘルマンスキー・パドラック症候群9型 潜性
LYST チェディアック・東症候群 潜性
🫀 血栓ができやすい体質(遺伝性血栓性素因など)(9遺伝子)
PROC 先天性プロテインC欠乏症(両方の変化で新生児の電撃性紫斑病) 顕性(重症型は潜性)
PROS1 先天性プロテインS欠乏症 顕性(重症型は潜性)
SERPINC1 先天性アンチトロンビン欠乏症 顕性
SERPIND1 ヘパリンコファクターII欠乏による血栓性素因 顕性
THBD トロンボモジュリン異常による血栓性素因/非典型溶血性尿毒症症候群6型 顕性
HRG ヒスチジンリッチ糖蛋白の欠乏による血栓性素因 顕性
ADAMTS13 先天性血栓性血小板減少性紫斑病(アップショー・シュールマン症候群) 潜性
EGLN1 家族性赤血球増加症3型 顕性
EPAS1 家族性赤血球増加症4型 顕性

※対象遺伝子は当院の検査内容による。病名と遺伝のしかたはOMIMの表現型の記載をもとに整理(一部はUniProtの疾患記載で確認)。「顕性」は常染色体顕性(優性)遺伝、「潜性」は常染色体潜性(劣性)遺伝。1つの遺伝子に複数の病気があるときは、出血・血小板・血栓に関係するものを中心に載せています。GP1BBの顕性の型は文献[23]、GFI1Bの潜性の型は文献[24]による。

血友病Aで多いF8遺伝子の「逆位」も調べられる

重い血友病Aでは、F8遺伝子の一部が向きごとひっくり返る「逆位」という変化が、原因として多いことがわかっています。この変化を最初に報告した研究では、重症の家系のおよそ45%でイントロン22という場所の逆位が見つかりました[5]。国際共同研究で重症の血友病Aの患者さん2,093人を調べたところ、2つのタイプのイントロン22逆位をあわせて約42%(35%と7%)でした[6]。また、イントロン1の逆位は、重症の非血縁の家系の4.8%に見つかっています[7]。

逆位は遺伝子の文字を読むだけでは見つけにくい変化ですが、この検査には、F8遺伝子のイントロン1・イントロン22の逆位を調べる項目も含まれています。ほかの逆位や転座は調べられません(第6章)。

6. この検査でわかること・わからないこと

わかるのは、82遺伝子の配列の小さな変化、遺伝子の欠失・重複、そしてF8遺伝子のイントロン1・22の逆位です。一方で、遺伝子検査には必ず限界があります。

  • ●調べていない種類の変化:染色体の一部が入れ替わる転座、F8遺伝子のイントロン1・22以外の逆位、同じ配列がくり返し伸びる変化(リピートの伸長)、遺伝子の働きを調節する場所(プロモーター)や遺伝子の深い部分(エクソンから20塩基より離れたイントロン)の変化は調べられません。
  • ●ANKRD26関連血小板減少症・TAR症候群で大切な場所:ANKRD26関連血小板減少症の病的な変化の多くは、遺伝子の5′非翻訳領域(たんぱく質をつくる部分の手前)の22塩基の範囲にあります[16]。TAR症候群は、RBM8A遺伝子を含む1q21.1の欠失などの働かない変化と、もう片方の5′非翻訳領域・イントロン1などにある働きを弱める変化の組み合わせで起こることが多い病気です[25]。この検査はたんぱく質をつくる部分とその境目を調べるもので、これらの場所が解析の範囲に入るかは検査の仕様に明記されていません。2つの病気を強く疑う場合は、これらの場所を調べられる方法も含めて、遺伝カウンセリングでご相談ください。
  • ●小さな欠失・重複:遺伝子まるごと(口の粘膜・血液)や、2つ以上続くエクソンの欠失・重複(血液)は調べられますが、エクソン1つだけの欠失・重複は、見つからないことがあります。見つかった欠失・重複は、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します。
  • ●似た配列のある場所:よく似た配列(偽遺伝子など)がある場所は、変化を正しく読み取りにくいことがあります。
  • ●モザイク:体の一部の細胞にだけある変化(モザイク)を見つけることは目的にしていません。がんの組織の検査にも使えません。
  • ●意義がまだわからない変化(VUS):病気の原因かどうか、まだ判断できない変化が見つかることがあります。
  • ●陰性でも否定はできません:この検査は82遺伝子だけを調べます。原因が見つからなくても、この検査で調べられない変化や、まだ知られていない遺伝子が原因のこともあります。

検査の精度の目安として、この検査は対象の領域の99%以上を、同じ場所を20回以上読み取る深さで調べるように作られています。同じ場所を何度も読むことで、読み間違いを減らせます。

7. 結果が出たあと

結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。原因が見つかったとき・見つからなかったとき・VUSが見つかったときで、次にできることが違います。報告書の読み方は結果の見かたでも解説しています。

原因が見つかったとき:手術・抜歯・出産・ピルの前にできること

病名がはっきりすると、何に気をつけて過ごせばよいかが決まります。出血しやすい病気なら、手術や抜歯の前に主治医や歯科医に伝え、止血の準備をしてもらえます。妊娠中・出産のときは、かかりつけの産科に伝えておくことが大切です(当院は分娩を行っていません)。血栓ができやすい体質なら、手術や妊娠など血栓ができやすい時期の予防や、ピルなどのお薬の選び方を、処方する医師と相談できます。RUNX1・ETV6・ANKRD26などの変化が見つかった場合は、血液のがんの早い兆しに気づけるよう、血液内科での定期的な見守りを相談します。

ご家族への影響:遺伝のしかたで変わります

ご家族への影響は、その病気の遺伝のしかたで変わります。

  • ●常染色体顕性(優性)遺伝(プロテインC・S・アンチトロンビンの欠乏、フォン・ヴィレブランド病1型、RUNX1など):お子さん1人あたり2分の1の確率で変化を受け継ぎます。同じ変化でも症状の重さは人によって違います。
  • ●常染色体潜性(劣性)遺伝(グランツマン血小板無力症、まれな凝固因子の欠乏症など):ご両親がともに保因者のとき、お子さん1人あたり4分の1の確率で発症します。
  • ●X連鎖遺伝(血友病A・B、ウィスコット・アルドリッチ症候群など):お母さんが保因者のとき、息子さんは2分の1の確率で発症し、娘さんは2分の1の確率で保因者になります。

血友病の保因者の女性にも、凝固因子が低く、出血症状が出ることがあります[4]。保因者かどうかを知ることは、将来のお子さんのためだけでなく、ご自身の手術や出産に備えるためにも意味があります。

妊娠の前に、ご夫婦で保因者かどうかを調べる方法として、拡大版保因者スクリーニングがあります。女性版787遺伝子の一覧には、このパネルの遺伝子のうちF8・F9・F11・F7・F5・F2・ITGA2B・ITGB3・GP1BA・GP9・HPS1・HPS3・LYST・MPL・WAS・NBEAL2・LMAN1などが含まれています。一方、VWF、フィブリノゲン(FGA・FGB・FGG)、PROC・PROS1・SERPINC1などは含まれていません(最新の一覧はページでご確認ください)。妊娠中の方には、NIPTと同じ日に採血できるカップルの保因者検査「ファミリーセーフティ プラス」もあります(NIPTと一緒に受ける検査で、単独では受けられません)。

妊娠を考えている方:出生前診断の相談

ご家族で原因の遺伝子の変化がわかっていれば、妊娠したときに、赤ちゃんで同じ変化があるかを調べられます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。その病気で出生前診断を行えるかは、病気の重さや国内の指針を踏まえて個別に判断しますので、妊娠を考えている段階からご相談ください。

なお、このパネルの遺伝子のうちFLNA(FLNA遺伝子)は、当院のNIPTのインペリアルプランの対象遺伝子にも入っています。当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。そのほかの遺伝子は、当院のNIPTでは調べていません。

海外でPGT-M(着床前遺伝学的検査)を考えている方へ:英語の検査結果をお渡しできます

PGT-Mは、体外受精でできた受精卵(胚)の一部の細胞を調べ、ご家族でわかっている遺伝子の変化を受け継いでいない胚を選んで子宮に戻す検査です。当院は体外受精・PGT-Mを行っていません。当院でお手伝いできるのは、原因の遺伝子の確定、英語の検査結果のご用意、遺伝カウンセリング、ご家族の遺伝子検査、妊娠したあとの絨毛検査・羊水検査です。英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。

欧州ヒト生殖学会(ESHRE)の指針は、PGT-Mの準備として次の3つを挙げています[19]。

  • ●病気の原因と確かめられた遺伝子の変化があること:可能な限り、その変化を確かめておくことが勧められています。
  • ●見つかった変化が書かれた元の報告書:認定を受けた検査室から取り寄せることが勧められています。
  • ●ご家族の検体:受精卵から取れるDNAはごくわずかで、2本あるうちの片方が読み取れない「アレルドロップアウト」などで判定を誤るおそれがあります。そのため、変化のある場所の両側にある目印で「変化をもつ染色体」を家系の中でたどる方法(ハプロタイプ解析)を組み合わせます。

どちらの染色体に変化が乗っているかを決めるには、ご夫婦に加えて、病気の有無がわかっている血縁者のDNAが必要です。指針の目安は、顕性遺伝では患者さん少なくとも1人(できれば2人)および/または発症していない方1人、潜性遺伝では患者さん・保因者・保因者でない方、X連鎖では患者さん、および/または発症していない方(保因者と確かめられた方が望ましい)です[19]。ご本人の検査結果だけでは、PGT-Mの準備はふつう整いません。血縁者がいない場合について、指針は、ご夫婦で目印を調べたうえで治療周期の受精卵や1個の精子を調べる方法を挙げていますが、できるかどうかは施設や家系の状況で大きく変わり、受けられないこともあります[19]。海外でPGT-Mを考えている方は、ご本人の検査の段階から、検査に協力していただけるご家族(とくに同じ変化をもつ方)がいるかを考えておくことが大切です。当院では、ご家族の遺伝子検査も、遺伝カウンセリングのうえでお受けしています。

臨床遺伝専門医としての判断をお伝えすると、意義がまだわからない変化(VUS)は病気の原因と確かめられていないため、そのままPGT-Mの対象にするのは難しいと考えます。潜性遺伝の病気では、ご夫婦それぞれがどの変化をもっているかを確かめておく必要があります。海外の施設によって求められる書類や検体は違うので、受ける予定の施設にも前もってご確認ください。

⚠️ PGT-Mは診断ではなく、スクリーニング検査です

PGT-Mは、受精卵のごく一部の細胞を調べる検査で、結果が赤ちゃんの状態と食い違うことがあります。ESHREの指針は、多くの施設で誤った結果になる割合は全体で1〜3%まで下げられているとしたうえで、PGTのあとに妊娠したすべての方に出生前診断を提案すべきとしています[20]。当院は、PGT-Mで選んだ胚で妊娠した場合も、妊娠中に赤ちゃんそのものを調べる確定検査(絨毛検査・羊水検査)で確かめることが望ましいと考えています。当院では絨毛検査・羊水検査を院内で行っており、海外でPGT-Mを受けたあとの妊娠でもご相談いただけます。

日本では、日本産科婦人科学会の「重篤な遺伝性疾患を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-M)に関する指針」(2026年9月改定)にもとづき、PGT-Mは症例ごとに学会の審査を受け、そのうえで実施施設の倫理委員会が承認して行われます。この指針の「重篤」は、原則として、成人に達する前に日常生活が著しく損なわれる、または生存が危ぶまれる状態になる疾患で、有効な治療法がないか、治療法があっても高度かつ侵襲度の高いもの、とされています。学会の発表では、2025年7月〜2026年6月の1年間に審査した73件のうち、37件が審査継続中でした(2026年9月発表)。

英国では公的機関(HFEA)がPGT-Mを使える病気の一覧を公表しており、2,000を超える病気が載っています(2026年9月17日更新の一覧で2,067)。一覧にない病気は、施設を通じて申請し、審査を受けます。米国にはPGTを直接規制する連邦や州の法律はなく、主に医師・施設の判断で行われています[21]。米国生殖医学会の倫理委員会は2024年、大人になってから発症する病気に対するPGT-Mも倫理的に許容されうるとする意見を出しています[22]。どの病気がPGT-Mの対象になるかは、国や制度、施設によって違います。同じ病気でも、ある国では対象になり、別の国では個別の審査が必要になることがあります。受ける国の制度と、施設の条件を前もって確かめてください。くわしくは海外でPGT-Mを考えている方へで解説しています。

原因が見つからなかったとき・VUSが見つかったとき

原因が見つからなかった場合でも、病気がないとは言い切れません(第6章)。血液検査の結果に合わせて、ほかの検査を考えます。VUSは、それだけで診断を確定したり、ご家族の発症リスクを判断したりする根拠にはしません。ただし、その変化が病気の原因かどうかを調べるために、ご家族にも同じ変化があるかを検査することがあります。研究が進んで、のちに意味がはっきりすることもあります。調べた目的とは別の病気の原因が見つかった場合の扱いは、当院の二次的所見の開示方針をご覧ください。

8. 日本の制度(2026年10月時点)

遺伝性の血栓性素因は「特発性血栓症(遺伝性血栓性素因によるものに限る。)」として指定難病327に含まれています。難病情報センターの解説では、プロテインC・プロテインS・アンチトロンビンの遺伝子の変異により、これらが生まれつき欠乏することが原因と考えられています。ウィスコット・アルドリッチ症候群とチェディアック・東症候群は指定難病65「原発性免疫不全症候群」に、ヘルマンスキー・パドラック症候群とチェディアック・東症候群は指定難病164「眼皮膚白皮症」に含まれています。一方、血友病・フォン・ヴィレブランド病・血小板無力症・ベルナール・スーリエ症候群は、指定難病の一覧には見当たりません。

小児慢性特定疾病(血液疾患)には、ベルナール・スーリエ症候群・血小板無力症などの血小板機能異常症、血友病A・B、フォンウィルブランド病、先天性フィブリノーゲン欠乏症などの先天性血液凝固因子異常、先天性プロテインC欠乏症・先天性プロテインS欠乏症・先天性アンチトロンビン欠乏症が含まれています。また、第I〜第XIII因子の欠乏症とフォン・ヴィレブランド病は、都道府県が行う「先天性血液凝固因子障害等治療研究事業」の対象で、原則20歳以上の方の医療費の自己負担分が公費で助成されます。認定の条件や申請方法は、難病情報センター・小児慢性特定疾病情報センター・お住まいの自治体でご確認ください(2026年10月時点で確認)。

9. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体

検査費用は330,000円(税込)、結果までは2〜3週間です。唾液・頬の内側の粘膜・血液のいずれでも受けられ、いずれもオンライン診療で受けられます(血液の場合は全国の提携医療機関で採血)。

ご予約
▶
遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
▶
検体の採取唾液・粘膜・血液
▶
結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

💴 費用・日数・検体

項目 内容
検査内容 82遺伝子の配列の変化(小さな挿入・欠失を含む)と欠失・重複解析、F8遺伝子のイントロン1・22逆位(いずれも料金に含まれます)
検査費用 330,000円(税込)
結果までの期間 2〜3週間
オプション 至急(結果までの期間が約7日短くなります):55,000円(税込)
VUS(意義がまだわからない変化)を報告に含めない選択:無料
検体 血液(EDTA採血管4mL×2本)、抽出したDNA、頬の内側の粘膜、唾液
オンライン診療 唾液・頬の粘膜・血液いずれもオンライン診療で受けられます。血液の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査費用とは別

※ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。

オンライン診療(ビデオ通話)で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただく流れです。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。検体採取キットは、検査料金をお支払いいただいたあとにお送りします。検体の取り違えや品質の低下を防ぐため、キットが届く前にご自身で検体を採取しないでください。

結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。

遺伝カウンセリングでは、検査で何がわかり、何がわからないか、結果がご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。

\ 人生に一度の遺伝子検査を、手術・出産・ご家族の計画に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

82遺伝子を1回で調べ、2〜3週間で結果が出ます。臨床遺伝専門医が常駐し、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明してからマイページにアップします。

お問い合わせはこちら | アクセス | どの検査がよいか迷う方へ

10. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【出血しやすい体質は、ふだんは目に見えない】

出血しやすい体質や、血栓ができやすい体質は、ふだんの生活ではほとんど目に見えません。抜歯をした日、手術を受けた日、出産の日、あるいはピルを飲み始めたあとに、初めて問題として現れることがあります。だからこそ私は、「何も起きていないうちに知っておく」ことに大きな意味があると考えています。原因がわかっていれば、主治医やかかりつけの産科と前もって準備ができます。

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。

わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。生まれ持った遺伝子は一生変わりません。一度の検査でわかったことは、ご自身の手術や出産の備えにも、ご家族が自分の状態を知るためにも、これからの妊娠の計画にも、ずっと役に立ちます。どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. あざができやすい・血が止まりにくいのは遺伝ですか?

遺伝のこともありますが、薬・肝臓の病気・ビタミンKの不足・血小板が減る病気など、あとから起きた原因のほうが一般的です。まず血液内科などで血液検査を受け、生まれつきの体質が疑われるときに、遺伝子検査で原因を確かめます。子どものころから続く出血や、ご家族に同じ症状の方がいる場合は、遺伝による体質が隠れていることがあります。

Q2. 血が止まりにくいのは何が足りないからですか?

血が止まるには、血小板が傷口に集まってふたをし、凝固因子がそのふたを固める必要があります。血小板の数が少ない・働きが悪い、凝固因子(第VIII因子・第IX因子など)が少ない、血小板を傷口につなぎとめるフォン・ヴィレブランド因子が少ない、のどれかで血が止まりにくくなります。どれが足りないかは、血液検査と遺伝子検査で調べます。

Q3. 女性で血が止まりにくい病気はありますか?

フォン・ヴィレブランド病は、最も多い遺伝性の出血性疾患とされ、女性では月経の量が多いことで気づかれることがあります。また、血友病の保因者の女性にも、凝固因子が低く出血症状が出ることがあります。月経や出産の出血が多い方は、体質かどうかを確かめておくと、手術や出産の備えに役立ちます。

Q4. 抜歯や手術の前に検査を受けたほうがよいですか?

以前の抜歯・手術・出産で出血が多かった方や、ご家族に出血しやすい方がいる方は、前もって原因を知っておくと、主治医や歯科医が止血の準備をしたうえで処置を受けられます。まずは処置を行う医師に出血しやすさを伝え、血液検査を受けてください。生まれつきの体質が疑われる場合に、この遺伝子検査が役立ちます。

Q5. 血友病の保因者かどうか、女性も検査を受けられますか?

受けられます。血友病はX連鎖遺伝の病気で、お母さんが保因者のとき、息子さんは2分の1の確率で発症し、娘さんは2分の1の確率で保因者になります。ご家族で原因の変化がわかっていれば、同じ場所を調べることで保因者かどうかを確かめられます。保因者の女性にも出血症状が出ることがあるため、ご自身の手術や出産に備える意味もあります。

Q6. 血栓ができやすい体質でもピルは飲めますか?

米国血液学会の2023年のガイドラインは、ご家族にプロテインC・プロテインS・アンチトロンビンの欠乏があるとわかっている女性では、検査をして、欠乏があればエストロゲンを含む混合型ピルを避けることを提案しています(根拠の確かさが非常に低い条件付きの推奨)。ピルを使ってよいかどうかは、検査の結果をもとに処方する医師と相談して決めてください。

Q7. 検査で原因が見つからなかったらどうなりますか?

この検査は82遺伝子だけを調べるため、原因が見つからなくても、病気がないとは言い切れません。この検査で調べられない種類の変化や、まだ知られていない遺伝子が原因のこともあります。血液検査の結果やご家族の情報に合わせて、ほかの検査を一緒に考えます。

Q8. 海外でPGT-Mを受けたいのですが、英語の検査結果はもらえますか?

はい。英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。ただし、ご本人の検査結果だけでは、PGT-Mの準備はふつう整いません。変化の乗った染色体を家系でたどるために、ご家族の検体が必要になることが多いため、検査の段階から協力していただけるご家族がいるかを考えておくことが大切です。当院は体外受精・PGT-Mを行っていません。

🧬 一度の検査で、ご自身とご家族のこれからに備える

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。出血しやすい・血栓ができやすい体質の原因がわかれば、手術・抜歯・出産・ピルの前の備えだけでなく、ご家族の検査や保因者検査、妊娠の計画を考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

参考文献

  • [1] James PD, Connell NT, Ameer B, et al. ASH ISTH NHF WFH 2021 guidelines on the diagnosis of von Willebrand disease. Blood Adv. 2021;5(1):280-300. [DOI: 10.1182/bloodadvances.2020003265](PMID: 33570651)
  • [2] Rodeghiero F, Castaman G, Dini E. Epidemiological investigation of the prevalence of von Willebrand’s disease. Blood. 1987;69(2):454-459. [DOI: 10.1182/blood.v69.2.454.454](PMID: 3492222)
  • [3] Mannucci PM, Duga S, Peyvandi F. Recessively inherited coagulation disorders. Blood. 2004;104(5):1243-1252. [DOI: 10.1182/blood-2004-02-0595](PMID: 15138162)
  • [4] Plug I, Mauser-Bunschoten EP, Bröcker-Vriends AHJT, et al. Bleeding in carriers of hemophilia. Blood. 2006;108(1):52-56. [DOI: 10.1182/blood-2005-09-3879]
  • [5] Lakich D, Kazazian HH Jr, Antonarakis SE, Gitschier J. Inversions disrupting the factor VIII gene are a common cause of severe haemophilia A. Nat Genet. 1993;5(3):236-241. [DOI: 10.1038/ng1193-236](PMID: 8275087)
  • [6] Antonarakis SE, Rossiter JP, Young M, et al. Factor VIII gene inversions in severe hemophilia A: results of an international consortium study. Blood. 1995;86(6):2206-2212.(PMID: 7662970)
  • [7] Bagnall RD, Waseem N, Green PM, Giannelli F. Recurrent inversion breaking intron 1 of the factor VIII gene is a frequent cause of severe hemophilia A. Blood. 2002;99(1):168-174. [DOI: 10.1182/blood.v99.1.168](PMID: 11756167)
  • [8] Nurden AT. Glanzmann thrombasthenia. Orphanet J Rare Dis. 2006;1:10. [DOI: 10.1186/1750-1172-1-10]
  • [9] Savoia A, Pastore A, De Rocco D, et al. Clinical and genetic aspects of Bernard-Soulier syndrome: searching for genotype/phenotype correlations. Haematologica. 2011;96(3):417-423. [DOI: 10.3324/haematol.2010.032631](PMID: 21173099)
  • [10] Noris P, Perrotta S, Bottega R, et al. Clinical and laboratory features of 103 patients from 42 Italian families with inherited thrombocytopenia derived from the monoallelic Ala156Val mutation of GPIbα (Bolzano mutation). Haematologica. 2012;97(1):82-88. [DOI: 10.3324/haematol.2011.050682](PMID: 21933849)
  • [11] Miyata T, Maruyama K, Banno F, Neki R. Thrombophilia in East Asian countries: are there any genetic differences in these countries? Thromb J. 2016;14(Suppl 1):25. [DOI: 10.1186/s12959-016-0109-x]
  • [12] Miyata T, Kimura R, Kokubo Y, Sakata T. Genetic risk factors for deep vein thrombosis among Japanese: importance of protein S K196E mutation. Int J Hematol. 2006;83(3):217-223. [DOI: 10.1532/IJH97.A20514](PMID: 16720551)
  • [13] Ikejiri M, Wada H, Sakamoto Y, et al. The association of protein S Tokushima-K196E with a risk of deep vein thrombosis. Int J Hematol. 2010;92(2):302-305. [DOI: 10.1007/s12185-010-0671-0]
  • [14] Middeldorp S, Nieuwlaat R, Baumann Kreuziger L, et al. American Society of Hematology 2023 guidelines for management of venous thromboembolism: thrombophilia testing. Blood Adv. 2023;7(22):7101-7138. [DOI: 10.1182/bloodadvances.2023010177](PMID: 37195076)
  • [15] Deuitch N, Broadbridge E, Cunningham L, Liu P. RUNX1 Familial Platelet Disorder with Associated Myeloid Malignancies. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2021 (Updated 2025 Dec 4). [NCBI Bookshelf NBK568319]
  • [16] Perez Botero J, Dugan SN, Anderson MW. ANKRD26-Related Thrombocytopenia. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2018. [NCBI Bookshelf NBK507664](PMID: 29927566)
  • [17] Pencheva B, Di Paola J, Porter CC. ETV6-Related Thrombocytopenia and Predisposition to Leukemia. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2020 (Updated 2025 Jun 26). [NCBI Bookshelf NBK564234]
  • [18] Malinowski J, Miller DT, Demmer L, et al. Systematic evidence-based review: outcomes from exome and genome sequencing for pediatric patients with congenital anomalies or intellectual disability. Genet Med. 2020;22(6):986-1004. [DOI: 10.1038/s41436-020-0771-z](PMID: 32203227)
  • [19] ESHRE PGT-M Working Group, Carvalho F, Moutou C, et al. ESHRE PGT Consortium good practice recommendations for the detection of monogenic disorders. Hum Reprod Open. 2020;2020(3):hoaa018. [DOI: 10.1093/hropen/hoaa018]
  • [20] ESHRE PGT Consortium Steering Committee, Carvalho F, Coonen E, et al. ESHRE PGT Consortium good practice recommendations for the organisation of PGT. Hum Reprod Open. 2020;2020(3):hoaa021. [DOI: 10.1093/hropen/hoaa021]
  • [21] Nakasato K, Yamamoto BA, Kato K. Evaluating standards for ‘serious’ disease for preimplantation genetic testing: a multi-case study on regulatory frameworks in Japan, the UK, and Western Australia. Hum Genomics. 2022;16:16. [DOI: 10.1186/s40246-022-00390-3]
  • [22] Ethics Committee of the American Society for Reproductive Medicine. Use of preimplantation genetic testing for monogenic adult-onset conditions: an Ethics Committee opinion. Fertil Steril. 2024;122:607-611.
  • [23] Sivapalaratnam S, Westbury SK, Stephens JC, et al. Rare variants in GP1BB are responsible for autosomal dominant macrothrombocytopenia. Blood. 2017;129(4):520-524. [DOI: 10.1182/blood-2016-08-732248]
  • [24] Schulze H, Schlagenhauf A, Manukjan G, et al. Recessive grey platelet-like syndrome with unaffected erythropoiesis in the absence of the splice isoform GFI1B-p37. Haematologica. 2017;102(9):e375-e378. [DOI: 10.3324/haematol.2017.167957]
  • [25] Petit F, Boussion S. Thrombocytopenia Absent Radius Syndrome. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2009 (Updated 2023 Nov 2). [NCBI Bookshelf NBK23758]

関連記事

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

記事の作り方と生成AIの使い方は、編集方針をご覧ください。