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血友病・フォン・ヴィレブランド病の遺伝子検査|遺伝する確率・保因者の女性・24遺伝子でわかること

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

血友病・フォン・ヴィレブランド病の遺伝子検査

血友病A・Bとフォン・ヴィレブランド病(フォンウィルブランド病・フォンビルブランド病・VWD)は、血が止まりにくくなる遺伝性の病気です。この検査では、原因となるF8・F9・VWFを中心に24の遺伝子を1回で調べ、重症の血友病Aの大きな原因であるF8遺伝子の「逆位」まで確かめます。血友病はお母さんから息子さんへ受け継がれることが多く、保因者の女性にも出血症状が出ることがあります。あなたの1回の検査結果は、ご家族と、これからの妊娠・出産を考える手がかりになります。このページでは、血友病が遺伝するしくみと確率、保因者の女性に知ってほしいこと、この遺伝子検査でわかること・わからないことを、臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. この検査で何がわかりますか?

血友病A(F8)・血友病B(F9)・フォン・ヴィレブランド病(VWF)と、まれな凝固因子の病気の原因を、24遺伝子まとめて調べます。重症の血友病Aの約45%を占めるF8の「イントロン22逆位」と、2〜5%を占める「イントロン1逆位」も含みます。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

あざができやすい・鼻血や月経の出血が多い・抜歯や手術で血が止まりにくかった方、ご家族に血友病やフォン・ヴィレブランド病の方がいる方、ご自身が血友病の保因者かどうかを知りたい女性です。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・頬の内側の粘膜などで、オンライン診療でも受けられます。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。原因がわかれば、ご家族は同じ変化だけを調べて自分の状態を確かめられます。意義がまだわからない変化(VUS)の扱いもご説明します。

\ 一生変わらない遺伝子を知って、ご家族とこれからの計画に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

お問い合わせはこちら | 出血と血栓の両方が気になる方へ(82遺伝子の包括パネル)

1. 血友病・フォン・ヴィレブランド病の遺伝子検査でわかること

この検査は、血友病A・血友病B・フォン・ヴィレブランド病と、まれな凝固因子の病気の原因となる24の遺伝子を、1回の検体でまとめて調べる遺伝子検査(遺伝学的検査)です。血液の検査で「凝固因子が少ない」とわかっていても、どの遺伝子のどんな変化が原因かは、遺伝子を調べないとわかりません。

凝固因子とは、けがをしたときに血液を固めて出血を止める、血液の中のたんぱく質のことです。いくつもの因子が順番に働いて、最後にフィブリンという「のり」のような物質ができ、出血が止まります。どれか1つが足りなかったり、うまく働かなかったりすると、血が止まりにくくなります。

中心になるのはF8・F9・VWFの3遺伝子

血友病Aは第VIII因子をつくるF8遺伝子、血友病Bは第IX因子をつくるF9遺伝子、フォン・ヴィレブランド病はフォン・ヴィレブランド因子をつくるVWF遺伝子の変化で起こります。残りの21遺伝子では、第V・第VII・第X・第XI・第XIII因子の欠乏症、フィブリノゲンの異常、ビタミンKで働く凝固因子がまとめて足りなくなる病気など、頻度の低い出血の病気を調べます(第7章の表)。

血友病Aでは、F8遺伝子の一部が大きくひっくり返る「逆位」が、重症の方のおよそ半分の原因です。GeneReviewsによると、イントロン22逆位は重症の血友病Aの約45%、イントロン1逆位は2〜5%を占めます[1]。逆位は遺伝子の配列を読むだけでは見つけにくい変化ですが、この検査では2つの逆位を調べる方法が料金に含まれています。

ほかの血液の検査との選び方

血友病かフォン・ヴィレブランド病が疑われている、またはご家族の病名がわかっているなら、この検査が向いています。症状や血液検査の結果によっては、次の検査のほうが合うことがあります。

🔍 血液の病気の遺伝子検査の選び方

こんなとき 向いている検査
血友病・フォン・ヴィレブランド病が疑われる、凝固因子が少ないと言われた このページの検査(24遺伝子)
出血と血栓の両方が気になる、まだ病気をしぼれない 血栓症・血小板障害・凝固因子欠乏症の包括パネル(82遺伝子)
血小板の数が少ない、血小板の働きが悪いと言われた 血小板障害パネル
血小板が大きく数が少ない ベルナール・スーリエ症候群の遺伝子検査
フィブリノゲンが少ない・働きが悪いとわかっている 無フィブリノゲン血症の遺伝子検査
若いのに血栓ができた、ご家族に血栓症の方がいる 血栓性疾患パネル(18遺伝子)

※比べているのは検査の種類です。どれが合うかは、症状・血液検査の結果・ご家族の情報で変わるため、遺伝カウンセリングで一緒に決めましょう。

2. 血友病とフォン・ヴィレブランド病はどんな病気?

血友病は、凝固因子の第VIII因子(血友病A)か第IX因子(血友病B)が生まれつき少ないために、血が止まりにくくなる病気です。フォン・ヴィレブランド病は、血小板を傷口にくっつけるフォン・ヴィレブランド因子が少ない、または働きが悪い病気です。どちらも、検査を受けるかどうかを決めるのに必要なことを、この章で短くまとめます。

血友病A・B:第VIII因子・第IX因子が足りない病気

血友病は、ほとんどが男性の病気です。GeneReviewsによると、生まれてくる男の子10万人あたり、血友病Aは24.6人、血友病Bは5人です[1][2]。この2つの数字から、血友病Aは血友病Bのおよそ5倍多いことになります。

症状の重さは、体の中の因子の働き(因子活性)でおおよそ決まります。因子活性が1%未満なら重症、1〜5%なら中等症、5%を超え40%未満なら軽症とされています[1]。重症では、けががなくても関節や筋肉の中に出血することがあり、くり返すと関節が傷んでいきます。軽症では、ふだんは気づかず、抜歯や手術のときに初めて血が止まりにくいとわかることもあります。治療は、足りない因子を補う製剤などで行います。治療の種類や新しい薬については、血友病 総論で詳しく解説しています。

フォン・ヴィレブランド病:もっとも多い遺伝性の出血の病気

フォン・ヴィレブランド病は、人でもっとも多い遺伝性の出血の病気とされています[6]。米国国立医学図書館のMedlinePlus Geneticsでは、100人に1人から1万人に1人の範囲と推定されており、症状が軽い人は受診しないことが多いため、診断されていない人もいると考えられています(2026年10月時点で確認)。日本語では「フォンウィルブランド病」「フォンビルブランド病」「von Willebrand病」とも書かれますが、どれも同じ病気です。

フォン・ヴィレブランド因子には、血小板を傷口にくっつける働きと、第VIII因子を守って血液の中で長持ちさせる働きがあります。そのため症状は、鼻血・歯ぐきからの出血・あざ・月経の出血が多いといった、皮膚や粘膜の出血が中心です。病型(1型・2型・3型)によって重さと遺伝のしかたが違います(第5章)。

血友病とフォン・ヴィレブランド病の違い

いちばん大きな違いは、原因の因子と遺伝のしかたです。血友病はX染色体にある遺伝子が原因で主に男性に起こり、フォン・ヴィレブランド病は男女どちらにも起こります。

⚖️ 血友病とフォン・ヴィレブランド病の違い

項目 血友病A・B フォン・ヴィレブランド病
足りない因子 第VIII因子(A)・第IX因子(B) フォン・ヴィレブランド因子
原因の遺伝子 F8(A)・F9(B)。どちらもX染色体にある VWF。常染色体にある
遺伝のしかた X連鎖潜性(劣性)遺伝 型によって常染色体顕性(優性)または潜性(劣性)
なりやすい人 主に男性。保因者の女性にも出血症状が出ることがある 男女どちらも
主な出血 重症では関節・筋肉の中の出血 鼻血・歯ぐき・月経など皮膚や粘膜の出血

※遺伝のしかたはMedlinePlus Genetics(2026年10月確認)とGeneReviews[1][2]による。

「血が固まりにくい病気」と「血が固まりやすい病気」

このページの検査が対象にしているのは、主に「血が固まりにくい」病気です。反対に、足の静脈などに血のかたまり(血栓)ができやすい「血が固まりやすい」体質を調べたい場合は、血栓性疾患パネル(18遺伝子)が向いています。なお、この検査に入っているF2・F5・F9の一部の変化は、血を固まりやすくする方向に働くことも知られています(第7章)。

また、大人になってから、自分の凝固因子に対する抗体ができて突然出血しやすくなる後天性血友病は、生まれ持った遺伝子の変化による病気ではないため、この遺伝子検査ではわかりません。ご家族に出血の病気がなく、大人になってから急に出血しやすくなった場合は、まず血液内科での検査が必要です。

3. 血友病はどう遺伝する?遺伝する確率

血友病A・Bは、X染色体の上にある遺伝子が原因で起こる「X連鎖潜性(劣性)遺伝」の病気です。お母さんが保因者なら、息子さんは2分の1の確率で血友病になり、娘さんは2分の1の確率で保因者になります。お父さんが血友病なら、息子さんには遺伝せず、娘さんは全員が保因者になります[1][2]。

X連鎖潜性遺伝:なぜ男性に多いのか

男性は性染色体がX染色体1本とY染色体1本、女性はX染色体2本です。F8とF9はX染色体の上にあるため、X染色体を1本しかもたない男性は、その1本に病気の原因となる変化があると血友病になります。女性は、もう1本のX染色体が正常な遺伝子をもっていることが多いため、変化をもっていても多くは血友病にならず「保因者」になります。これが「X連鎖潜性遺伝」で、血友病が男性に多い理由です。遺伝のしかたの全体像は、遺伝のしかた(遺伝形式)のページでも解説しています。

ただし、「女性は血友病にならない」わけではありません。保因者の女性でも因子の値が低くなり、出血症状が出ることがあります。2021年に国際血栓止血学会(ISTH)は、因子の値と出血の症状をもとに、女性を「軽症・中等症・重症の血友病」「症状のある保因者」「症状のない保因者」の5つに分ける呼び方を提案しました[3]。くわしくは第4章でお伝えします。

お母さんが保因者のとき・お父さんが血友病のとき

お子さん1人ごとの確率は、次のとおりです。確率は妊娠のたびに同じで、上のお子さんの結果によって下のお子さんの確率が変わることはありません。

👩 お母さんが保因者・お父さんは血友病ではない場合

お子さん お母さんの変化のあるX染色体を受け継ぐ(2分の1) お母さんの変化のないX染色体を受け継ぐ(2分の1)
息子さん 血友病になる 血友病ではない
娘さん 保因者になる 保因者ではない

👨 お父さんが血友病・お母さんは保因者ではない場合

お子さん 受け継ぐもの 結果
息子さん お父さんからはY染色体 血友病は遺伝しない
娘さん お父さんからは変化のあるX染色体 全員が保因者になる

※X連鎖潜性遺伝の考え方(GeneReviews[1][2])による。血友病の男性の娘さんは、必ず保因者になる「確定保因者」です。

血友病の男性の娘さんは、ご自身が保因者であることがはじめから決まっています。そのため、娘さんが大人になって妊娠を考えるときには、ご自身の因子の値と遺伝子の変化を確かめておくことに意味があります。

家族に血友病の人がいなくても生まれることがある

GeneReviewsによると、血友病A・Bの男性の約30%は、ご家族に血友病の方がいません[1][2]。ご家族のどこかで新しく起きた変化(新生突然変異)が原因のこともあれば、気づかれていなかった保因者の女性から受け継いだこともあります。

「家族に血友病の人がいないから、母親は保因者ではない」とは言い切れません。息子さんが血友病とわかったときに、お母さんが保因者かどうか、お母さんのきょうだいや娘さんにも関係があるかは、息子さんで原因の変化を確かめたうえで、お母さんの遺伝子を調べてはじめてわかります。

4. 血友病の保因者の女性に知ってほしいこと

血友病の保因者の女性の約30%は、凝固因子の働きが40%未満で、出血しやすい状態にあるとされています[1][2]。「保因者は症状がない」と考えられてきましたが、今では、保因者の女性ご本人の健康のためにも、保因者かどうかを知っておくことが大切だと考えられています[3]。

保因者でも出血症状が出ることがある

オランダで保因者検査を受けた女性に聞き取りを行った研究では、血友病A・Bの保因者274人の凝固因子の値は、保因者でない女性より低く、値が低いほど、小さな傷・抜歯・扁桃腺の手術・そのほかの手術のあとに血が止まりにくいことが多くありました。とても低い値の人だけでなく、0.41〜0.60 IU/mL(およそ41〜60%)と少し低いだけの人でも、出血との関係がみられました[4]。

保因者の因子の値が人によって違う理由のひとつとして、X染色体の不活化が考えられています。女性の細胞では、2本あるX染色体のうち1本がはたらかないように眠らされます。どちらが眠るかは細胞ごとに決まるため、変化のないほうのX染色体が多く眠ると、因子の値が下がります。ISTHの新しい呼び方では、因子の値が40%以上でも出血症状がある方は「症状のある保因者」として扱われます[3]。

凝固因子の値だけでは保因者かどうか決めきれない

保因者でも因子の値が正常の範囲に入っていることが多いため、血液の凝固因子の検査だけでは「保因者ではない」と言い切れません。ご家族で原因の変化がわかっていれば、その変化があるかどうかを遺伝子で調べることで、保因者かどうかをはっきりさせられます。ご家族の原因がわかっていない場合は、この検査でF8・F9を調べます。

出産・手術・抜歯の前に知っておく

保因者の女性は、抜歯や手術のあとに出血しやすいことが報告されています[4]。保因者とわかっていれば、手術や抜歯の前に因子の値を測り、必要な準備をしてもらうことができます。出産も同じです。保因者とわかったら、妊娠中から、かかりつけの産科と主治医に伝え、お産のときの出血への備えと、生まれてくる赤ちゃんが血友病かもしれないことへの備えを相談してください。

💡 結果を伝えておきたい相手

保因者とわかったら、手術や抜歯をする医師・歯科医師、かかりつけの産科、ご家族(とくに姉妹・娘さん・母方のおばなど)に伝えておくと、それぞれの場面で備えやすくなります。誰にどう伝えるかも、遺伝カウンセリングで一緒に考えられます。

妊娠の前に保因者検査で知る

妊娠の前に保因者かどうかを知っておけば、出生前診断まで計画できます。当院の拡大版保因者スクリーニング(女性版787遺伝子)と女性版1009遺伝子には、血友病AのF8と血友病BのF9が入っています(2026年10月時点の遺伝子一覧で確認)。ご家族に血友病の方がいない女性でも、ほかの多くの病気と一緒に、ご自身が保因者かどうかを調べられます。ご家族に血友病の方がいて、ご自身が保因者かどうかが知りたい場合は、このページの検査、またはご家族でわかっている変化だけを調べる検査が向いています。

すでに妊娠している方には、NIPTと同じ日に採血できるカップルの保因者検査「ファミリーセーフティ プラス」もあります(女性787遺伝子・男性714遺伝子。単独では受けられません)。

5. フォン・ヴィレブランド病の遺伝のしかたは型で違う

フォン・ヴィレブランド病の1型と2型の多くは常染色体顕性(優性)遺伝で、親から子へ2分の1の確率で受け継がれます。3型と、2型の一部、1型のごく一部は常染色体潜性(劣性)遺伝です(MedlinePlus Genetics、2026年10月時点で確認)。血友病と違い、男女どちらにも同じように受け継がれます。

🧬 フォン・ヴィレブランド病の型と遺伝のしかた

型 何が起きているか 遺伝のしかた
1型 フォン・ヴィレブランド因子の量が減る 多くは常染色体顕性(優性)、ごく一部が潜性(劣性)
2型(2A・2B・2M・2N) 因子の量はあるが、働きが悪い 多くは常染色体顕性(優性)、一部が潜性(劣性)
3型 因子がほとんどつくられない(もっとも重い) 常染色体潜性(劣性)
血小板型(偽フォン・ヴィレブランド病) VWFではなく、血小板の受け手側(GP1BA遺伝子)の変化 常染色体顕性(優性)

※型と遺伝のしかたはMedlinePlus Genetics・Orphanet(2026年10月確認)による。どの型かは、遺伝子の結果だけでなく血液検査の結果とあわせて判断します。

いちばん多い1型は、遺伝子検査で原因が見つからないことがある

1型のフォン・ヴィレブランド病では、遺伝子を調べても原因の変化が見つからない方がいます。ヨーロッパ9か国で1型と診断されていた150家系を調べた研究では、VWF遺伝子に変化が見つかったのは70%でした。そのうち約3分の1は2型と考え直すべき方で、残りの「本来の1型」と考えられる方では、変化が見つかったのは55%にとどまりました[7]。

1型では、フォン・ヴィレブランド因子の値が少し低いだけの方も多く、値は血液型・ストレス・妊娠・炎症などでも変わります。遺伝子で変化が見つからなくても、フォン・ヴィレブランド病ではないとは言えません。血液検査で因子の値が低い方では、遺伝子の結果がどうであっても、手術や抜歯の前の準備は血液検査の結果をもとに考えます。一方、変化が見つかれば型がはっきりし、ご家族が同じ変化を調べられるようになります。

3型・2N型は潜性遺伝:パートナーを調べるときの注意

3型のような潜性(劣性)遺伝の型では、ご両親がそれぞれ1つずつ変化をもつ保因者で、次のお子さんが同じ型になる確率は4分の1です。

注意したいのは、VWF遺伝子が当院の拡大版保因者スクリーニングの対象に入っていないことです(2026年10月時点の遺伝子一覧で確認)。ご家族に3型や2N型の方がいて、パートナーが保因者かどうかを調べたい場合は、このページの検査など、VWF遺伝子を広く調べる検査をご案内します。パートナーはご家族とは別の変化をもつ可能性があるため、ご家族でわかっている変化だけの検査では、保因者かどうかを十分に評価できません。

6. どんな人がこの検査を受けるとよいか

あなたの1回の検査が、ご両親・きょうだい・お子さんが自分の状態を知る手がかりになります。血友病もフォン・ヴィレブランド病も家族の中で受け継がれる病気なので、ご本人の原因がわかると、ご家族は同じ変化だけを調べて、自分が受け継いでいるかを確かめられます。次のような方に向く検査です。

  • ●理由のわからないあざができやすい、鼻血や歯ぐきの出血がなかなか止まらない方
  • ●抜歯・手術・出産のときに、血が止まりにくかった方
  • ●月経の出血が多い女性の方
  • ●血液検査でAPTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)が長い、凝固因子やフォン・ヴィレブランド因子が少ないと言われた方
  • ●血友病・フォン・ヴィレブランド病と診断されていて、原因の遺伝子の変化を知りたい方
  • ●父親・兄弟・母方のおじなどに血友病の方がいて、ご自身が保因者かどうかを知りたい女性
  • ●結婚・妊娠を考えていて、ご家族の出血の病気が気になる方

原因がわかっていれば、治療の選び方の手がかりになり、ご家族の検査や、妊娠を考えるときの計画も立てやすくなります。わかったあとに何ができるかは、第9章でお伝えします。

この検査より別の検査が向いている場合

血栓ができやすいことが心配なら血栓性疾患パネル、鼻血をくり返し、皮膚や粘膜に赤い小さな血管の広がりがある場合は遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)の遺伝子検査、血小板の数が少ない場合は血小板障害パネルのほうが向いています。出血も血栓も気になる、まだしぼれないという方は、82遺伝子の包括パネルをご検討ください。

\ 妊娠の前に保因者かどうかを知れば、選べることが増えます /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

保因者とわかったご夫婦の妊娠では、羊水検査・絨毛検査による出生前診断まで院内で受けられます。

海外でPGT-Mを考えている方には、英語の検査結果をお渡しできます(検査の時にお申し出ください)。

ご家族に病気の方がいない場合の保因者検査(787遺伝子) | どの検査がよいか迷う方へ

7. 調べる24遺伝子と、それぞれでわかる病気

この検査では、次の24遺伝子を調べます。多くは常染色体潜性(劣性)遺伝のまれな凝固因子の病気で、ご両親がともに保因者のときにお子さんに起こります。

🧬 調べる24遺伝子と関係する病気

遺伝子 関係する病気 遺伝のしかた
F8 血友病A(第VIII因子欠乏) X連鎖潜性(劣性)
F9 血友病B(第IX因子欠乏)
X連鎖の血栓性素因(第IX因子の働きが強くなる変化)
X連鎖潜性(劣性)
X連鎖
VWF フォン・ヴィレブランド病1型・2型・3型 1型・2型:多くは顕性(優性)
3型:潜性(劣性)
GP1BA 血小板型フォン・ヴィレブランド病
ベルナール・スーリエ症候群
顕性(優性)
多くは潜性(劣性)、まれに顕性
FGA・FGB・FGG 無フィブリノゲン血症
低フィブリノゲン血症・異常フィブリノゲン血症
(FGAのみ)遺伝性のアミロイドーシス
潜性(劣性)
顕性(優性)
顕性(優性)
F2 先天性プロトロンビン(第II因子)欠乏症
プロトロンビン遺伝子の変化による血栓性素因
潜性(劣性)
顕性(優性)
F5 第V因子欠乏症
活性化プロテインC抵抗性による血栓性素因(第V因子ライデンなど)
潜性(劣性)
顕性(優性)
F7 第VII因子欠乏症 潜性(劣性)
F10 第X因子欠乏症 潜性(劣性)
F11 第XI因子欠乏症 重い型は潜性(劣性)、家系によって顕性(優性)
F12 第XII因子欠乏症(出血の症状はほとんどないとされる)
遺伝性血管性浮腫(C1インヒビターが正常の型)
潜性(劣性)
顕性(優性)
F13A1・F13B 第XIII因子欠乏症(Aサブユニット・Bサブユニット) 潜性(劣性)
GGCX ビタミンK依存性凝固因子の複合欠乏症1型
弾性線維性仮性黄色腫に似た皮膚の病気を伴う型
潜性(劣性)
VKORC1 ビタミンK依存性凝固因子の複合欠乏症2型
ワルファリン抵抗性(効きにくさ)
潜性(劣性)
顕性(優性)
LMAN1・MCFD2 第V因子・第VIII因子の複合欠乏症(1型・2型) 潜性(劣性)
PLG プラスミノゲン欠乏症1型
遺伝性血管性浮腫(C1インヒビターが正常の型)
潜性(劣性)
顕性(優性)
KLKB1 プレカリクレイン欠乏症 潜性(劣性)
KNG1 高分子キニノゲン欠乏症
遺伝性血管性浮腫(C1インヒビターが正常の型)
潜性(劣性)
顕性(優性)
SERPINE1 プラスミノゲンアクチベーターインヒビター1(PAI-1)欠乏症(セルピンの仲間のたんぱく質) 潜性(劣性)
SERPINF2 α2-プラスミンインヒビター欠乏症 潜性(劣性)

※病名と遺伝のしかたは、MedlinePlus Genetics・Orphanet・NCBI Gene(OMIMの病名・番号)で確かめた(2026年10月17日)。顕性(優性)・潜性(劣性)は、いずれも常染色体の遺伝。

血を固まりやすくする方向の変化(F2・F5の一部の変化、F9の働きが強くなる変化)は、出血の病気とは反対の性質をもちます。こうした変化が見つかった場合の考え方は、血栓性疾患パネルのページもあわせてご覧ください。

8. この検査でわかること・わからないこと

この検査でわかるのは、24遺伝子の小さな変化(1つの文字の置き換わりや、短い文字の抜け・入り込み)と、遺伝子のまとまった欠失・重複、そしてF8遺伝子のイントロン1・イントロン22の逆位です。血友病Bについては、GeneReviewsによると、男性の患者さんでは遺伝子の配列を読む方法で97〜100%に原因が見つかるとされています[2]。

💡 用語解説:F8遺伝子の「逆位」

逆位とは、染色体の一部が切れて、向きを逆にしてつながり直った状態です。F8遺伝子の近くには、よく似た配列がいくつもあり、その配列どうしが組み換わることで遺伝子が途中で分断されます(よく似た配列どうしの組換え)。文字の並びそのものは変わらないため、配列を読むだけでは見つけにくく、専用の方法で調べます。

一方で、すべての遺伝子検査には限界があります。この検査でわからないこと・検出しにくいことは、次のとおりです。

  • ●ほかの染色体の構造の変化:F8のイントロン1・22以外の逆位や、転座(染色体の一部がほかの染色体につながる変化)はわかりません。
  • ●小さな欠失・重複:欠失・重複は、遺伝子全体、または2つ以上続いたエクソン(全血の検体のみ)の大きさのものを見つけます。1つのエクソンだけの欠失・重複は、見つかることもありますが、日常的には検出されません。
  • ●調べていない場所:遺伝子のはたらきを調節する領域の多くや、エクソンから20塩基以上離れた深いイントロンの変化、繰り返し配列が伸びる変化はわかりません。
  • ●モザイク:体の一部の細胞にだけある変化(モザイク)を見つけることは目的としていません。がんの組織の検査にも使えません。
  • ●24遺伝子以外の原因:この検査の24遺伝子に入っていない遺伝子や、まだ見つかっていない原因による出血の病気はわかりません。
  • ●意義がまだわからない変化(VUS):病気の原因かどうか、今の知識ではまだ判断できない変化が見つかることがあります。

⚠️ 陰性でも、病気がないとは言えません

原因の変化が見つからなくても、この検査で検出できない原因が残っている可能性があります。とくに1型のフォン・ヴィレブランド病では、変化が見つからない方が少なくありません(第5章)。血液検査で凝固因子が低い方は、遺伝子の結果にかかわらず、血液検査の結果をもとに手術や出産の準備を考えます。

🔧 専門的な情報(読み取りの範囲と深さ・確認の方法)

・読み取りの範囲と深さ:調べる遺伝子の領域の99%以上を、同じ場所につき20回以上読み取ります。同じ場所を何回も読むほど、読み間違いを見分けやすくなります。
・確認の方法:読み取りの質が十分でない場所や、見つかった変化の確認には、サンガー法という別の方法で読み直します。見つかった欠失・重複は、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します。
・よく似た配列(偽遺伝子など)がある場所では、配列の読み取りや欠失・重複の判定が難しくなることがあります。

9. 結果が出たあと

結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。報告書の読み方は検査結果の見かたで解説しています。

陽性だったとき:病型がはっきりし、治療の選び方の手がかりになる

原因の変化がわかると、血友病A・Bのどちらか、フォン・ヴィレブランド病なら何型かがはっきりし、使う製剤や、手術・抜歯のときの準備を決める手がかりになります。重症の血友病Aでは、補充療法で使う第VIII因子に対する抗体(インヒビター)ができることがあり、GeneReviewsでは、第VIII因子製剤で治療を受けた重症の方の約30%とされています[1]。血友病Bでは、以前は3〜5%とされていましたが、最近のデータでは10%に近い可能性があるとされています[2]。

インヒビターのできやすさは、F8遺伝子の変化の種類によって違います。30の研究・5,383人の重症血友病Aの方をまとめた解析では、イントロン22逆位にくらべて、大きな欠失とナンセンス変異ではインヒビターができやすく、短い欠失・挿入とミスセンス変異ではできにくい結果でした。イントロン1逆位とスプライス部位の変化は、イントロン22逆位と差がありませんでした[5]。変化の種類がわかることは、治療を始める前の見通しを主治医と考えるときの材料になります。

ご家族が検査を受けるとき

ご本人で原因の変化がわかると、ご家族は24遺伝子を全部調べなくても、同じ変化があるかどうかだけを調べられます。血友病では、お母さん・姉妹・娘さん・母方のおばやいとこ(女性)が保因者かどうかを確かめる手がかりになります。フォン・ヴィレブランド病の顕性(優性)遺伝の型では、ご両親・きょうだい・お子さんが、男女を問わず対象になります。誰がいつ調べるとよいかも、遺伝カウンセリングでご相談いただけます。

陰性・VUSだったとき

原因の変化が見つからなかった場合は、第8章のとおり、この検査で見つけられない原因が残っている可能性があります。症状や血液検査の結果に合わせて、血小板や血栓の遺伝子まで含む包括パネルなど、ほかの検査を考えます。VUSが見つかった場合は、それだけで診断やご家族の発症リスクの判断には使いません。ただし、その変化の意味を確かめるために、ご家族の検査を行うことがあります。研究が進んで、のちに意味がはっきりすることもあります。扱い方はVUSの扱い方で解説しています。調べた目的とは別の病気の原因が見つかった場合の扱いは、当院の二次的所見の開示方針のとおりです。

妊娠を考えている方へ

ご家族で原因の遺伝子の変化がわかっていれば、妊娠したときに赤ちゃんで同じ変化があるかを調べられます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。当院では羊水検査・絨毛検査を院内で行っています(2025年6月から産婦人科を併設)。出生前診断を行えるかは、病気の重さや国内の指針を踏まえて一人ひとり考えるため、妊娠を考えている段階からご相談ください。あらかじめご家族の原因を確かめておくことが、出生前診断を計画する出発点になります。

海外でPGT-M(着床前遺伝学的検査)を考えている方へ:英語の検査結果をお渡しできます

PGT-Mは、体外受精でできた受精卵(胚)の一部の細胞を調べ、ご家族でわかっている遺伝子の変化を受け継いでいない胚を選んで子宮に戻す検査です。当院は体外受精・PGT-Mを行っていません。当院でできるのは、原因遺伝子の確定、英語の検査結果のご用意、遺伝カウンセリング、ご家族の遺伝子検査、妊娠後の絨毛検査・羊水検査です。海外でPGT-Mを受けるときに使える英語の検査結果をお渡しできますので、検査の時にお申し出ください。

欧州ヒト生殖胎生学会(ESHRE)の指針は、PGT-Mの準備として、病気の原因と確かめられた遺伝子の変化があること、どの遺伝子のどの変化かが書かれた元の報告書(認定を受けた検査室のもの)、そしてご家族の検体をあげています[8]。受精卵から取れるDNAはごくわずかで、変化を直接読むだけでは、2本あるうちの片方が読み取れない「アレルドロップアウト」などで判定を誤るおそれがあります。そのため、変化のある場所の両側にある目印(多型マーカー)で「変化をもつX染色体」を家系の中でたどる方法(ハプロタイプ解析)を組み合わせます。血友病のようなX連鎖の病気では、ご夫婦に加えて、血友病の患者さん、および/または発症していない方(保因者と確かめられた方が望ましい)の検体が目安とされています[8]。ご本人の検査結果だけでは、PGT-Mの準備はふつう整いません。

血縁者の協力が得られない場合について、指針は、ご夫婦で目印を調べたうえで治療周期の受精卵や1個の精子を調べて変化の乗った染色体を決める方法もあげていますが、できるかどうかは施設や家系の状況で大きく変わり、受けられないこともあります。また、新しく起きた変化(de novo)で、これまでに妊娠歴のないご夫婦では、一般的なハプロタイプ解析の方法は使えないとされています[8]。血友病は家族歴のない方が約30%いる病気なので[1]、この点はとくに大切です。海外でPGT-Mを考えている方は、ご本人の検査の段階から、検査に協力していただけるご家族(とくに同じ変化をもつ方)がいるかを考えておくことが大切です。当院では、ご家族の遺伝子検査も、遺伝カウンセリングのうえでお受けしています。

臨床遺伝専門医としての判断をお伝えすると、意義がまだわからない変化(VUS)は病気の原因と確かめられていないため、そのままPGT-Mの対象にするのは難しいと考えます。フォン・ヴィレブランド病3型のような潜性(劣性)遺伝の型では、ご夫婦それぞれがどの変化をもっているかを確かめておく必要があります。海外の施設によって求められる書類や検体は違うので、受ける予定の施設にも前もって確認してください。

⚠️ PGT-Mは診断ではなく、スクリーニング検査です

PGT-Mは受精卵のごく一部の細胞を調べる検査で、結果が赤ちゃんの状態と食い違うことがあります。ESHREの指針は、多くの施設で誤った結果になる割合は全体で1〜3%まで下げられているとしたうえで、PGTのあとに妊娠したすべての方に出生前診断を提案すべきとしています[9]。当院は、PGT-Mで選んだ胚で妊娠した場合も、妊娠中に赤ちゃんそのものを調べる確定検査(絨毛検査・羊水検査)で確かめることが望ましいと考えています。当院では絨毛検査・羊水検査を院内で行っており、海外でPGT-Mを受けたあとの妊娠でもご相談いただけます。

日本では、日本産科婦人科学会の「重篤な遺伝性疾患を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-M)に関する指針」(2026年9月改定)にもとづき、PGT-Mは症例ごとに学会の審査を受け、そのうえで実施施設の倫理委員会が承認して行われます。この指針でいう「重篤」は、原則として、成人に達する前に日常生活が著しく損なわれる、または生存が危ぶまれる状態になる疾患で、申請の時点で有効な治療法がないか、治療法があっても高度かつ侵襲度の高いもの、とされています。成人に達する前に生存が危ぶまれるわけではないが、日常生活が著しく損なわれる状態が現れる疾患は、その病気の専門医の意見書などを追加で出す仕組みになっています。学会の発表では、2025年7月〜2026年6月の1年間に審査した73件のうち、37件が審査継続中でした(2026年9月発表)。

PGT-Mの対象になる病気は、国によって違います。英国では、公的機関(HFEA)がPGT-Mを行ってよい病気の一覧を公表しており、2,000を超える病気が載っています(2026年9月17日更新の一覧で2,067)。血友病はこの一覧に載っています(2026年9月時点)。一覧にない病気は、施設を通じて申請し、HFEAが審査します。米国では、PGTを直接規制する連邦や州の法律はなく、主に医師・施設の判断で行われています[10]。どの病気がPGT-Mの対象になるかは、国や制度、施設によって違います。同じ病気でも、ある国では対象になり、別の国では個別の審査が必要になることがあります。受ける国の制度と、施設の条件を前もって確かめてください。準備に必要なことは海外でPGT-M(着床前診断)を考えている方へで詳しく解説しています。

10. 日本の制度(2026年10月時点)

血友病A・B、フォン・ヴィレブランド病、第V・第VII・第X・第XI・第XII・第XIII因子欠乏症、先天性フィブリノーゲン欠乏症、先天性プロトロンビン欠乏症は、小児慢性特定疾病の対象疾病に掲載されています(小児慢性特定疾病情報センター、血液疾患群「先天性血液凝固因子異常」、2026年10月時点で確認)。

大人の方には、都道府県が行う「先天性血液凝固因子障害等治療研究事業」があります。たとえば滋賀県のページ(2026年4月1日更新)では、第I・II・V・VII・VIII・IX・X・XI・XII・XIII因子の欠乏症とフォン・ヴィレブランド病が対象とされ、原則として20歳以上の方の治療にかかる医療費が助成されます。さらに、第VIII因子・第IX因子の先天性の障害(血友病A・B)で血液製剤による治療を受けている方は、医療保険の「長期高額疾病(特定疾病療養受療証)」の対象で、1つの医療機関での1か月の自己負担が原則1万円までになります(港区のページ、2026年5月25日更新)。

どの制度も、認定の条件を満たし、申請する必要があります。くわしい条件や申請の方法は、小児慢性特定疾病情報センターや、お住まいの自治体・加入している医療保険の窓口でご確認ください。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療のため、これらの制度の対象にはなりません。

11. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体

検査費用は税込330,000円で、24遺伝子の配列・欠失と挿入・F8遺伝子のイントロン1/イントロン22逆位がすべて含まれます。結果までは2〜3週間です。唾液・頬の内側の粘膜・血液のいずれも、オンライン診療で受けられます。

ご予約
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遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医
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お支払い・検体採取キットをお送りします
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結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

💴 費用・日数・検体

項目 内容
調べる遺伝子 24遺伝子(F10、F11、F12、F13A1、F13B、F2、F5、F7、F8、F9、FGA、FGB、FGG、GGCX、GP1BA、KLKB1、KNG1、LMAN1、MCFD2、PLG、SERPINE1、SERPINF2、VKORC1、VWF)
料金に含まれるもの 塩基配列/欠失・挿入/F8遺伝子のイントロン1・イントロン22逆位の検出
検査費用 税込330,000円
オプション 至急(結果までが約7日短くなります)55,000円/VUS除外(無料)
結果までの期間 2〜3週間(至急オプションで約7日短縮)
検体 血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬の内側の粘膜、唾液
オンライン診療 唾液・頬の内側の粘膜・血液のいずれも可能。血液の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査費用とは別

※当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。

オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただく流れです。検体採取キットは、検査料金をお支払いいただいた後にお送りします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。決められたキットと手順で採取していただくのは、検体の取り違えを防ぎ、検査に必要な品質を保つためです。

遺伝カウンセリングでは、検査で何がわかり、何がわからないか、結果がご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。遺伝カウンセリングの内容は遺伝カウンセリング・遺伝診療のページでもご紹介しています。

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📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

24遺伝子とF8の逆位を1回の検体で調べ、結果は臨床遺伝専門医が直接ご説明してからマイページにアップします。

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12. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【保因者の女性の健康と、これからの家族の計画】

血友病というと「男の子の病気」と思われがちですが、保因者の女性ご本人にも、手術や出産のときの出血という、自分の健康にかかわる問題があります。保因者かどうかを知ることは、将来のお子さんのためだけでなく、ご自身の体を守るための情報でもある、と私は考えています。

また、血友病は家族歴のない方が少なくない病気です。息子さんの診断をきっかけに、ご自身が保因者だったとわかり、自分を責めてしまうお母さんもいます。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。前もって知っておくことは、責めるためではなく、その後の選択肢を増やすためにあります。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。

わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。知ったうえで結婚や妊娠を考えたい方には、保因者検査から出生前診断まで、当院で続けて支えられる体制を整えています。知る・知らない、子どもを持つ・持たない、どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 血友病はなぜ男性に多いのですか?女性も発症しますか?

血友病の原因の遺伝子(F8・F9)はX染色体の上にあり、X染色体を1本しかもたない男性は、その1本に変化があると発症します。女性は多くが保因者になりますが、保因者の女性の約30%は凝固因子の働きが40%未満で出血しやすいとされ、女性でも血友病と同じ程度に因子が低い方がいます。

Q2. 父親が血友病の場合、子どもに遺伝しますか?

お父さんからは、息子さんにはY染色体が、娘さんにはX染色体が受け継がれます。そのため、息子さんには遺伝せず、娘さんは全員が保因者になります。お母さんが保因者の場合は、息子さんは2分の1の確率で血友病になり、娘さんは2分の1の確率で保因者になります。

Q3. 血友病の保因者かどうかは、どうやって調べますか?

保因者でも凝固因子の値が正常の範囲に入っていることが多いため、血液の検査だけでは決めきれません。ご家族で原因の変化がわかっていれば、その変化があるかを遺伝子で調べます。わかっていなければ、F8・F9を含むこの検査で調べます。ご家族に血友病の方がいない女性は、F8・F9を含む拡大版保因者スクリーニングでも調べられます。

Q4. フォン・ヴィレブランド病と血友病の違いは何ですか?

血友病は第VIII因子または第IX因子が足りない病気で、X連鎖潜性遺伝のため主に男性に起こります。フォン・ヴィレブランド病は、血小板を傷口にくっつけるフォン・ヴィレブランド因子が少ない・働きが悪い病気で、常染色体の遺伝のため男女どちらにも起こり、鼻血や月経の出血など粘膜の出血が中心です。

Q5. 血友病AとBはどちらが多いですか?

血友病Aのほうが多く、GeneReviewsによると、生まれてくる男の子10万人あたり血友病Aは24.6人、血友病Bは5人です。血友病Aは血友病Bのおよそ5倍多いことになります。

Q6. 家族に血友病の人がいなくても、子どもが血友病になることはありますか?

あります。GeneReviewsによると、血友病A・Bの男性の約30%は、ご家族に血友病の方がいません。新しく起きた変化のこともあれば、気づかれていなかった保因者の女性から受け継いだこともあります。お母さんが保因者かどうかは、お子さんの原因の変化を確かめたうえで、お母さんの遺伝子を調べてわかります。

Q7. 遺伝子検査で異常がなければ、病気ではないと言えますか?

言えません。この検査で検出できない変化や、24遺伝子以外の原因が残っている可能性があります。とくに1型のフォン・ヴィレブランド病では、本来の1型と考えられる方で遺伝子の変化が見つかったのは55%という研究があります。血液検査で凝固因子が低い方は、その結果をもとに手術や出産の準備を考えます。

Q8. 海外でPGT-Mを受けたいのですが、英語の検査結果はもらえますか?

はい。英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。ただし、ご本人の検査結果だけでは、PGT-Mの準備はふつう整いません。血友病のようなX連鎖の病気では、ご夫婦に加えて患者さんや保因者と確かめられたご家族の検体が目安とされています。当院は体外受精・PGT-Mを行っていません。

🧬 一度の検査で、ご自身とご家族のこれからを考える

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。血友病やフォン・ヴィレブランド病の原因がわかれば、ご自身の手術・出産の準備だけでなく、ご家族の検査や、結婚・妊娠の計画を考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

参考文献

  • [1] Konkle BA, Nakaya Fletcher S. Hemophilia A. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2000 (Updated 2025 Aug 7). [NCBI Bookshelf NBK1404]
  • [2] Konkle BA, Nakaya Fletcher S. Hemophilia B. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2000 (Updated 2025 Aug 7). [NCBI Bookshelf NBK1495]
  • [3] van Galen KPM, d’Oiron R, James P, et al. A new hemophilia carrier nomenclature to define hemophilia in women and girls: Communication from the SSC of the ISTH. J Thromb Haemost. 2021;19:1883-1887. [DOI: 10.1111/jth.15397](PMID: 34327828)
  • [4] Plug I, Mauser-Bunschoten EP, Bröcker-Vriends AH, et al. Bleeding in carriers of hemophilia. Blood. 2006;108(1):52-56. [DOI: 10.1182/blood-2005-09-3879]
  • [5] Gouw SC, van den Berg HM, Oldenburg J, et al. F8 gene mutation type and inhibitor development in patients with severe hemophilia A: systematic review and meta-analysis. Blood. 2012;119(12):2922-2934. [DOI: 10.1182/blood-2011-09-379453]
  • [6] James PD, Connell NT, Ameer B, et al. ASH ISTH NHF WFH 2021 guidelines on the diagnosis of von Willebrand disease. Blood Adv. 2021;5(1):280-300. [DOI: 10.1182/bloodadvances.2020003265](PMID: 33570651)
  • [7] Goodeve A, Eikenboom J, Castaman G, et al. Phenotype and genotype of a cohort of families historically diagnosed with type 1 von Willebrand disease in the European study, Molecular and Clinical Markers for the Diagnosis and Management of Type 1 von Willebrand Disease (MCMDM-1VWD). Blood. 2007;109(1):112-121. [DOI: 10.1182/blood-2006-05-020784]
  • [8] ESHRE PGT-M Working Group, Carvalho F, Moutou C, et al. ESHRE PGT Consortium good practice recommendations for the detection of monogenic disorders. Hum Reprod Open. 2020;2020(3):hoaa018. [DOI: 10.1093/hropen/hoaa018]
  • [9] ESHRE PGT Consortium Steering Committee, Carvalho F, Coonen E, et al. ESHRE PGT Consortium good practice recommendations for the organisation of PGT. Hum Reprod Open. 2020;2020(3):hoaa021. [DOI: 10.1093/hropen/hoaa021]
  • [10] Nakasato K, Yamamoto BA, Kato K. Evaluating standards for ‘serious’ disease for preimplantation genetic testing: a multi-case study on regulatory frameworks in Japan, the UK, and Western Australia. Hum Genomics. 2022;16:16. [DOI: 10.1186/s40246-022-00390-3]

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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