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脳梗塞・脳卒中の遺伝子検査(片麻痺・脳卒中パネル15遺伝子)|脳梗塞は遺伝する?若年性脳梗塞の原因と家族への確率

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

脳梗塞・脳卒中の遺伝子検査(片麻痺・脳卒中パネル15遺伝子)

脳梗塞・脳卒中の多くは、高血圧や生活習慣など多くの要因が重なって起こり、遺伝子1つで決まる病気ではありません。それでも、若いうちに脳梗塞を起こした方や、家族に脳卒中が多い方の中には、CADASIL(カダシル)・ファブリー病・COL4A1関連疾患のように、遺伝子1つの変化が原因の脳卒中が隠れていることがあります。原因の遺伝子がわかると、使える治療や、避けたい薬・避けたい状況がはっきりする病気があります。このページでは、「脳梗塞は遺伝するのか」という疑問への答えと、片麻痺・脳卒中に関わる15遺伝子を一度に調べる遺伝子パネル検査でわかること、わかったあとにできることを、臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. 脳梗塞は遺伝する?この検査で何がわかりますか?

脳卒中のうち、遺伝子1つで起こるものは全体の約1〜5%とされています。この検査では、CADASIL・ファブリー病・COL4A1関連疾患・片麻痺性片頭痛など、遺伝する脳卒中や片麻痺の原因となる15遺伝子を一度に調べます。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

若年性脳梗塞(50歳以下など)で原因がわからない方、家族に脳卒中・脳出血が多い方、MRIで白質の病変を指摘された方、片頭痛と一緒に手足の麻痺が出る方、お子さんの片麻痺の発作をくり返す方などです。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・頬の内側の粘膜などで、唾液・頬粘膜ならオンライン診療でも受けられます。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。原因がわかれば、治療や避けたい薬の手がかり、ご家族への遺伝の確率、次のお子さんへの備えまで一緒に考えます。意義がまだわからない変化(VUS)の扱いもご説明します。

\ 一生変わらない遺伝子を一度知って、これからの計画に /

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検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

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1. 脳梗塞・脳卒中は遺伝する? 多くは遺伝子1つで決まる病気ではありません

脳梗塞・脳卒中は、親から子へそのまま遺伝する病気ではないことがほとんどです。ただし、遺伝子1つの変化が原因で起こる脳卒中(単一遺伝子性の脳卒中)もあり、脳卒中全体の約1〜5%を占めると報告されています[1]。この報告では、若い方の脳卒中でとくに見逃されやすく、実際の割合はもっと多い可能性があるとも述べられています[1]。

「親が脳梗塞だったから、自分も脳梗塞になりやすいのでは」という心配はよく聞かれます。高血圧・糖尿病・脂質異常症などのなりやすさや生活習慣は家族で似ることが多く、そのぶん家族に脳卒中が重なることはあります。けれども、それは「遺伝性の脳梗塞」とは違います。遺伝子検査で原因がはっきりわかるのは、遺伝子1つの変化で起こる脳卒中です。

生活習慣・体質による脳卒中と、遺伝子1つで起こる脳卒中の違い

🧠 2つの脳卒中の違い

項目 多くの脳卒中(多因子) 遺伝子1つで起こる脳卒中
原因 高血圧・糖尿病・喫煙・不整脈など、多くの要因の重なり 1つの遺伝子の変化(CADASILのNOTCH3など)
割合 脳卒中の大部分 全体の約1〜5%[1]
家族への遺伝 確率では表せない(なりやすさが似る程度) 遺伝のしかたで決まる(顕性なら2分の1など)
遺伝子検査 原因を1つに決める検査はない このパネルのような検査で原因がわかることがある

若年性脳梗塞の原因に遺伝子が関わるかもしれない手がかり

若年性脳梗塞(若い成人の脳梗塞)は、研究によって年齢の区切りが違いますが、国際的な総説では18〜50歳の脳梗塞をさしています[2]。若年性脳梗塞の原因はさまざまで、多くは遺伝子以外の原因です。そのうえで、次のような手がかりがあるときは、遺伝子1つで起こる脳卒中も考えます。

  • ●高血圧などの危険因子が少ないのに、若いうちに脳梗塞・脳出血を起こした
  • ●親・きょうだいなど、何人もの血縁者が若いうちに脳卒中や認知症になっている
  • ●MRIで、年齢のわりに白質の病変(大脳の深いところの白い変化)が広がっている
  • ●前兆のある片頭痛、若いころからの脱毛や腰痛、手足の痛み・汗が出にくいなど、脳以外の症状がある
  • ●お子さんで、片麻痺や脳出血・脳梗塞が起きた

たとえばCADASILでは、脳梗塞や一過性脳虚血発作が始まる年齢は平均47歳(20〜70歳)とされ、MRIで側頭葉の前のほうに白質病変があると、CADASILを強く疑う手がかりになります[3]。HTRA1の変化を2つもつCARASILでは、30歳までに脱毛や急な腰痛が出ることが特徴とされています[5]。こうした「脳以外の手がかり」も、どの遺伝子を疑うかに役立ちます。

片麻痺の原因は脳卒中だけではありません:片麻痺性片頭痛・小児交互性片麻痺

片麻痺(体の片側の麻痺)の原因で最も多いのは脳卒中ですが、遺伝子が原因で片麻痺の発作をくり返す病気もあります。代表が、片頭痛の前兆として片麻痺が出る家族性片麻痺性片頭痛と、乳幼児期から片側または両側の麻痺の発作をくり返す小児交互性片麻痺です。

家族性片麻痺性片頭痛は、CACNA1A・ATP1A2・SCN1A・PRRT2などの遺伝子の変化で起こる常染色体顕性(優性)遺伝の病気で、浸透率(変化をもつ人が発症する割合)は約80%と推定されています[11]。初めての発作では脳卒中との見分けが大切で、年齢に合った脳卒中の評価を考えるべきとされています[11]。片頭痛が中心の方は、PRRT2などを含む片頭痛遺伝子パネル検査も選択肢になります(このパネルにPRRT2は含まれていません)。

小児交互性片麻痺の多くはATP1A3の変化が原因で、重い型の多くはお子さんで新しく起きた変化(de novo)によるとされています[12]。ATP1A2の変化による小児交互性片麻痺1型もあります。また、SLC2A1の変化によるGLUT1欠損症でも、交互性片麻痺を含む発作がみられ、空腹時や運動で悪くなりやすいとされています[14]。

もやもや病の遺伝子(RNF213)は、このパネルでは調べません

もやもや病の感受性遺伝子として知られるRNF213は、この15遺伝子のパネルには入っていません。もやもや病の遺伝が心配な方は、このパネルでは答えが出ないことをご承知おきください。

RNF213のp.R4810K(論文によってはp.R4859Kと表記)という変化は、日本人のもやもや病の方に多くみられます。日本の研究では、もやもや病のご家族の約95%、家族歴のない患者さんの73%がこの変化をもっていた一方、病気のない対照の方でも1.4%がもっていました[17]。東アジアの研究では、この変化をもっていても発症しない人がいることから、浸透率は低いと考えられています[16]。つまり、この変化は「なりやすさ」を示すもので、もっていれば必ずもやもや病になるわけではありません。

2. 片麻痺・脳卒中パネルで調べる15遺伝子と、わかる病気

このパネルでは、遺伝する脳卒中・片麻痺に関わる15遺伝子(ADA2・ATP1A2・ATP1A3・CACNA1A・COL4A1・COL4A2・GLA・HTRA1・NOTCH3・OTC・POLG・SCN1A・SCN5A・SLC2A1・TREX1)を一度に調べます。15遺伝子は、起こるしくみで大きく4つのグループに分けると理解しやすくなります。

4つのグループで見る

  • ●遺伝性脳小血管病(脳の細い血管の病気):NOTCH3・HTRA1・COL4A1・COL4A2・TREX1。脳梗塞・脳出血・白質病変・認知機能の低下につながります。
  • ●全身の病気の一部として脳卒中が起こるもの:GLA(ファブリー病)・ADA2(ADA2欠損症)・OTC(OTC欠損症)・POLG(ミトコンドリアの病気)
  • ●片麻痺の発作をくり返すもの:ATP1A2・ATP1A3・CACNA1A・SCN1A・SLC2A1
  • ●心臓の不整脈に関わるもの:SCN5A。不整脈は、心臓でできた血栓が脳に流れる脳塞栓の原因になりえます。SCN5Aの変化による心房静止に伴う血栓が脳梗塞の原因と考えられた若い方の症例も報告されています[15](症例の報告であり、どれくらいの割合で起こるかを示すものではありません)。

15遺伝子の表:遺伝子ごとの病気・遺伝のしかた・わかったときの手がかり

🧬 片麻痺・脳卒中パネルの対象15遺伝子

遺伝子 主な病気 遺伝のしかた わかったときの手がかり
NOTCH3 CADASIL(皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体顕性脳動脈症) 常染色体顕性 禁煙と血管の危険因子の管理。血栓溶解療法・抗凝固薬は慎重に個別に判断[3]
HTRA1 HTRA1関連脳小血管病(CARASIL/ヘテロ接合型の脳小血管病) CARASILは常染色体潜性、ヘテロ接合型は常染色体顕性 若いころからの脱毛・腰痛が手がかり。ヘテロ接合型は40歳以降の発症が多い[5]
COL4A1 脳小血管病(グールド症候群)・孔脳症・脳出血、HANAC症候群、PADMAL 常染色体顕性(新しく起きた変化が少なくとも27%) 抗凝固薬と頭のけがの危険がある活動を避ける、禁煙、血圧の管理[6]
COL4A2 脳小血管病(脳出血など)、グールド症候群 主に常染色体顕性(常染色体潜性の型の報告もある) COL4A1と一緒に、脳の血管の壁をつくるIV型コラーゲンをつくる遺伝子
TREX1 網膜血管症を伴う脳白質症(RVCL-S)、エカルディ・グティエール症候群1型、凍瘡状ループス RVCL-Sは常染色体顕性、エカルディ・グティエール症候群1型は主に常染色体潜性(顕性もある) エカルディ・グティエール症候群は専用の遺伝子検査もある
GLA ファブリー病 X連鎖(女性も発症しうる) 酵素補充療法・シャペロン療法がある(国内承認)[7]
ADA2 ADA2欠損症(DADA2) 常染色体潜性 TNF阻害薬で脳梗塞の危険が下がると報告[8]
OTC オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症(尿素サイクル異常症) X連鎖 たんぱく質の制限・アンモニアを下げる薬。バルプロ酸は禁忌[9]
POLG POLG関連疾患(アルパース・フッテンロッハー症候群、進行性外眼筋麻痺など。脳卒中様発作を伴うことがある) 主に常染色体潜性(一部の外眼筋麻痺は常染色体顕性) バルプロ酸は絶対禁忌(肝不全の危険)[10]
ATP1A2 家族性片麻痺性片頭痛2型、小児交互性片麻痺1型 常染色体顕性 血管を収縮させる薬を避ける。脳血管造影は発作を誘発しうる[11]
ATP1A3 小児交互性片麻痺2型、急速発症型ジストニア・パーキンソニズム、CAPOS症候群 常染色体顕性(重い型の多くは新しく起きた変化) フルナリジンで片麻痺の発作を減らす、引き金を避ける[12]
CACNA1A 家族性片麻痺性片頭痛1型、反復発作性失調症2型、脊髄小脳失調症6型(SCA6はCAGリピート伸長が原因であり、このパネルでは検出できません) 常染色体顕性 アセタゾラミドを試す。小さな頭のけがのあとに重い発作が起きた報告がある[11]
SCN1A 家族性片麻痺性片頭痛3型、ドラベ症候群 常染色体顕性 SCN1Aのてんかんでは、カルバマゼピン・ラモトリギンなど発作を悪くしうる薬を避ける[13]
SLC2A1 GLUT1欠損症(交互性片麻痺を含む発作、運動で起こる不随意運動) 常染色体顕性(約90%は新しく起きた変化) ケトン食療法がてんかん発作によく効くとされる[14]
SCN5A ブルガダ症候群、QT延長症候群3型、洞不全症候群、心房静止、家族性心房細動、拡張型心筋症 ブルガダ症候群・QT延長症候群は常染色体顕性 不整脈の評価と管理を循環器内科で[15]

※遺伝子の一覧は当院の検査内容による。病気と遺伝のしかたは、GeneReviews[3][5]〜[14]と、OMIMの番号を載せた公的データベース(UniProt・MedlinePlus Genetics)で確かめたもの。OMIMの記載は今後の改訂で名前が変わることがあります。

CADASILは日本でも見つかる病気で、NOTCH3のシステインを変えない変化のうち、p.Arg75Pro(R75P)は最も多いものの1つと考えられ、主に東アジアの人で報告されています[4]。日本人に多いこの型については、NOTCH3遺伝子p.Arg75Pro変異によるCADASILで詳しく解説しています。

脳梗塞・脳出血が遺伝する確率は、遺伝のしかたで違います

遺伝子1つで起こる脳卒中では、子どもやきょうだいに遺伝する確率は、その病気の遺伝のしかた(遺伝形式)で決まります。この15遺伝子には、3つの遺伝のしかたが混ざっています。

👪 遺伝のしかたと、ご家族に受け継がれる確率

遺伝のしかた 主な遺伝子 ご家族への確率
常染色体顕性(優性) NOTCH3・COL4A1・ATP1A2・ATP1A3・CACNA1A・SCN1A・SLC2A1 など お子さん1人ごとに2分の1。CADASILでは、患者さんのお子さんはそれぞれ50%の確率で原因の変化を受け継ぐとされています[3]
常染色体潜性(劣性) ADA2・CARASIL型のHTRA1・POLG(多くの型)など ご両親がともに保因者のとき、きょうだい1人ごとに発症する確率は4分の1。常染色体潜性遺伝の病気を発症した方のお子さんは、パートナーが同じ遺伝子の病的バリアントをもたない場合、原則として全員が保因者になります。
X連鎖 GLA(ファブリー病)・OTC 変化をもつお母さんから、息子さん・娘さんそれぞれ1人ごとに2分の1。ファブリー病やOTC欠損症では、変化をもつ女性も症状が出ることがあります[7][9]

※変化をもっていても発症しない人がいる(浸透率が100%ではない)病気もあり、確率は「受け継ぐ確率」であって「発症する確率」とは限りません。

脳出血についても同じで、COL4A1関連疾患のように脳出血を起こしやすい病気では顕性遺伝の確率で受け継がれますが、高血圧などによる多くの脳出血は、遺伝子1つで決まるものではありません。

3. どんな人がこの検査を受けるとよいか

若いうちの脳卒中で原因がわからない方、家族に脳卒中が多い方、片麻痺の発作をくり返す方に向く検査です。原因がわからないまま検査や受診を重ねる時間を、1回の検査で短くできる可能性があります。

この検査を受けるとよい方

  • ●若年性脳梗塞・若年性の脳出血で、一般的な検査をしても原因がわからなかった方
  • ●脳梗塞・一過性脳虚血発作をくり返す方、MRIで年齢のわりに白質病変が多いと言われた方
  • ●親・きょうだいなど、何人もの血縁者に若いうちの脳卒中や認知症がある方
  • ●片頭痛と一緒に手足の麻痺が出る方、お子さんが片麻痺の発作をくり返す方
  • ●ご家族でこの15遺伝子のどれかの病気がわかっていて、ご自身が受け継いでいるか知りたい方

見た目や家族歴だけでは、遺伝子の変化があるかどうかはわかりません。家族歴がなくても、COL4A1関連疾患の少なくとも27%は新しく起きた変化によるとされているように[6]、ご家族の中で初めて見つかる方もいます。

この検査より別の検査が向いている場合

疑う病気がはっきりしているときや、症状の中心が脳卒中以外のときは、別の検査のほうが向いていることがあります。比べる相手は検査の種類です。迷うときは、遺伝カウンセリングで一緒に選びます。

🔍 症状に合わせた検査の選び方

こんなとき 向いている検査
若い脳卒中・家族に脳卒中が多く、病気をしぼれない このページの片麻痺・脳卒中パネル(15遺伝子)
CADASILだけを強く疑う・ご家族でNOTCH3の変化がわかっている CADASIL NOTCH3遺伝子検査
片頭痛が中心で、片麻痺は前兆として出る 片頭痛遺伝子パネル検査
白質の病変が中心で、脳卒中ははっきりしない 白質脳症NGS遺伝子検査
MRIで脳海綿状血管腫を指摘された 脳海綿状血管腫(CCM)遺伝子検査
難聴・糖尿病・筋力低下など、ミトコンドリア病を疑う症状が多い ミトコンドリア病の遺伝子検査
手足の痛み・汗が出にくい・腎臓や心臓の症状などファブリー病を強く疑う ライソゾーム病NGS遺伝子パネル検査も選択肢
お子さんのてんかん発作が中心 てんかん包括的遺伝子検査・ドラベ症候群NGS遺伝子パネル検査
ふらつき(運動失調)・ジストニアが中心 運動失調症遺伝子検査パネル・ジストニア・ジスキネジア遺伝子検査
もやもや病の遺伝が心配 このパネルではRNF213を調べません(第1章)
脳以外の症状も多く、病気をしぼれない 全エクソーム検査(WES)

※パネル検査と全エクソーム検査の違いは遺伝子検査(遺伝学的検査)とはでも解説しています。

親が脳梗塞・家族に脳卒中が多く、「自分も」と不安な方へ

親やきょうだいが若くして脳卒中になったご家族の中には、ちょっとした頭痛や手のしびれのたびに「自分にも始まったのでは」と不安を抱えながら暮らしている方もいます。

当院は、ライフステージごとに患者さんの人生をサポートするという考え方で診療しており、知りたいと願う方を拒むことはしません。遺伝カウンセリングで十分に考えたうえで、ご本人が知りたいと決めた場合は、その意思を尊重して検査まで行います。知らないでいる選択も、同じように尊重します。

ご家族の原因となる遺伝子の変化がすでにわかっている場合は、その変化を受け継いでいるかを調べられます。受け継いでいないとわかれば、その病気については、ご家族と同じ確率を心配しなくてよくなります。受け継いでいるとわかった場合は、禁煙や血圧の管理、避けたい薬・状況を知っておくこと(第5章)など、早くから備えることができます。ご家族で原因がまだわかっていない場合は、どなたから検査を受けるのがよいかを、遺伝カウンセリングで一緒に考えます。検査の前後は、臨床遺伝専門医と時間をかけて考えていただけます。

\ あなたの1回の検査が、ご家族の手がかりになります /

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原因がわかれば、ご両親・きょうだい・お子さんは同じ変化だけをピンポイントで調べられます。当院では羊水検査・絨毛検査も院内で受けられます。

お問い合わせはこちら | どの検査がよいか迷う方へ

4. この検査でわかること・わからないこと

この検査でわかるのは、15遺伝子の中の小さな変化と、遺伝子のまとまった欠失・重複です。一方で、遺伝子検査には必ず限界があり、調べていない原因もあります。

わかること

  • ●遺伝子の小さな変化:遺伝子の文字(塩基)が1つ変わる変化や、小さな挿入・欠失。たんぱく質をつくる部分(エクソン)と、そのつなぎ目(スプライス部位)を読みます。
  • ●まとまった欠失・重複:遺伝子1つ全体の欠失・重複(血液・頬粘膜の検体)と、2つ以上続くエクソンの欠失・重複(血液の検体のみ)。見つかった欠失・重複は、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します。

わからないこと

  • ●15遺伝子以外の原因:RNF213(もやもや病)やPRRT2など、このパネルに入っていない遺伝子は調べません。
  • ●見つけにくい種類の変化:染色体の一部の入れ替わり(転座・逆位)、同じ配列のくり返しが長くなる変化(リピート伸長)、遺伝子の働きを調節する領域や、エクソンから離れたイントロンの奥の変化は検出できません。1つのエクソンだけの欠失・重複も、ふつうは検出されません。
  • ●体の一部の細胞だけにある変化(モザイク):この検査はモザイクを見つけるようには作られていません。
  • ●生活習慣による脳卒中のなりやすさ:高血圧などによる多くの脳卒中のリスクは、この検査ではわかりません。

陰性でも「脳卒中にならない」とは言えません/意義がまだわからない変化(VUS)

原因の変化が見つからなかった(陰性)ことは、「この先脳卒中にならない」という意味ではありません。この検査で見つからない種類の変化や、15遺伝子以外の原因が残っている可能性があり、生活習慣による脳卒中の予防はこれまでどおり大切です。

また、病気の原因かどうかまだ判断できない変化(VUS:臨床的意義不明のバリアント)が見つかることがあります。VUSは、それだけで診断に使ったり、ご家族の検査に使ったりはしません。研究が進んで、のちに意味がはっきりすることもあります。調べた目的と別の病気の原因が見つかった場合(二次的所見)の扱いは、当院の二次的所見の開示方針をご覧ください。

5. 病的変異が見つかったら、次にできること

原因の遺伝子がわかると、病名が決まるだけでなく、使える治療、避けたい薬や状況、ご家族の検査、次のお子さんへの備えが具体的になります。この15遺伝子は、わかったあとにできることがはっきりしている病気が多いのが特徴です。治療や薬の調整は、脳神経内科・小児神経科・循環器内科など専門の医療機関で行います。

ご本人:病名がわかると変わる治療と注意

💊 原因がわかったときに変わること(例)

わかった病気 できること・気をつけること
ファブリー病(GLA) 酵素補充療法(アガルシダーゼ ベータ:2004年、アガルシダーゼ アルファ:2006年、アガルシダーゼ ベータのバイオ後続品:2018年に国内承認)と、飲み薬のシャペロン療法(ミガラスタット:2018年に国内承認。効果が見込める変化をもつ方のみ)があります(2026年10月時点)[7]。ファブリー病では、患者さんの約13%に脳卒中または一過性脳虚血発作が起こると報告されています[7]
ADA2欠損症(ADA2) TNF阻害薬で脳梗塞の危険が下がるとされ、治療前に計37回の脳卒中があった15人で、治療後に脳卒中はみられなかったと報告されています。血液の病気が中心の方では、造血幹細胞移植が根治につながることがあります[8]
COL4A1関連疾患 血圧を管理し、抗凝固薬、頭のけがの危険がある活動、喫煙を避けることが勧められています。年1回の診察も妥当とされています[6]
CADASIL(NOTCH3) 効果が証明された治療はまだありませんが、禁煙と血管の危険因子の管理が勧められています。血栓溶解療法や抗凝固薬は脳出血を増やすおそれがあり、慎重に個別に判断します[3]
片麻痺性片頭痛(CACNA1A・ATP1A2・SCN1A) 脳卒中の危険があるため血管を収縮させる薬は一般に避け、脳血管造影は重い発作を誘発しうるため注意が必要とされています。CACNA1A型ではアセタゾラミドを試すことがあります[11]
POLG関連疾患・OTC欠損症 どちらもバルプロ酸は使わない(POLGは肝臓の病気を引き起こす・進めるおそれから絶対禁忌、尿素サイクル異常症でも禁忌)とされています[9][10]。OTC欠損症では、たんぱく質の制限やアンモニアを下げる薬に加え、絶食やストレスを避けます[9]
GLUT1欠損症(SLC2A1) ケトン食療法が1991年から使われ、てんかん発作によく効くとされ、早く始めるほど経過がよいと報告されています[14]
小児交互性片麻痺(ATP1A3) フルナリジンで片麻痺の発作の回数・重さを減らすことがあり、急にやめると悪くなることがあります。強い光・暑さ寒さ・睡眠不足などの引き金を避けます[12]
SCN1A関連てんかん カルバマゼピン・ラモトリギン・ビガバトリンはミオクロニー発作を誘発・増加させることがあり、フェニトインも発作を悪くしうるため避けるとされています[13]
SCN5A関連の不整脈 循環器内科で不整脈の評価を受けます。不整脈に伴う血栓が疑われる場合は、主治医が抗凝固療法などを検討します[15]

※薬の使い方は一人ひとりの状態で決まります。自己判断で薬をやめたり始めたりせず、必ず主治医とご相談ください。

病名が決まると、指定難病などの医療費助成の制度を使えるかを確かめる手がかりにもなります(第6章)。

症状のないご本人・ご家族:同じ変化をピンポイントで調べられます

ご家族の中で原因の変化がわかると、ご両親・きょうだい・お子さん・いとこなどは、同じ変化を持っているかだけを調べられます。症状のない方の検査は、遺伝カウンセリングで十分に考えたうえで、ご本人の同意で行います。

潜性遺伝の病気(ADA2欠損症・CARASILなど)で保因者とわかった方は、パートナーが同じ遺伝子の保因者かどうかで、お子さんへの確率が変わります。パートナーの検査には、拡大版保因者スクリーニングも選択肢になります(対象かどうかは遺伝子一覧でご確認ください)。妊娠中の方には、NIPTと同じ日に採血できるカップルの保因者検査「ファミリーセーフティ プラス」もあります。

次のお子さんを考えるとき:出生前診断・NIPT・PGT-M

ご家族で原因の遺伝子の変化がわかっていれば、妊娠したときに、赤ちゃんで同じ変化があるかを調べられます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。その病気で出生前診断を行えるかは、病気の重さや国内の指針を踏まえて個別に考えるため、妊娠を考えている段階からご相談ください。COL4A1関連疾患では、赤ちゃんがこの病気をもつ可能性がある妊娠で、出産時の頭への負担を避けるため帝王切開が勧められています[6]。出産の方法は、分娩を担当する産科の医師とご相談ください。

この15遺伝子のうちATP1A2・ATP1A3・CACNA1A・COL4A1・SCN1Aの5遺伝子は、赤ちゃんに新しく起きた変化(de novo)を調べる当院のNIPT(インペリアルプラン)の対象にも入っています。当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。陽性の場合は、確定検査(羊水検査・絨毛検査)を院内で受けられます。プランの違いはインペリアルプランとダイヤモンドプランの違いをご覧ください(ダイヤモンドプランには、この15遺伝子は含まれていません)。

お子さんで新しく起きた変化(de novo)と考えられる場合も、次のお子さんへの確率はゼロではありません。親御さんの卵子や精子のもとになる細胞(生殖細胞)にだけ変化がある「性腺モザイク」の可能性があるためです。変化をもつ生殖細胞からできる卵子・精子は2分の1の確率で変化を受け継ぎます。生殖細胞のうちどれくらいが変化をもつかは実際の診療では調べられないため、お子さん1人あたりの確率は『最大で2分の1』とお伝えしています。

日本でも、日本産科婦人科学会の「重篤な遺伝性疾患を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-M)」に関する指針(2026年9月改定)にもとづく審査を経て、PGT-Mが行われています(当院は体外受精・PGT-Mを行っていません)。準備に必要なことは海外でPGT-Mを考えている方へで解説しています。何もしないで自然に妊娠・出産することも、もちろん選べる選択肢です。どの選択も尊重します。

陰性・VUSだったとき

原因の変化が見つからなかった場合は、症状に合わせて、ほかのパネル検査や全エクソーム検査を考えます。全員に診断がつくわけではなく、日本の未診断疾患イニシアチブ(IRUD)の6年間の成果でも、解析を終えた5,136家系のうち診断が確定したのは2,247家系(43.8%)でした[18]。陰性でも、それで終わりではなく、次の選択肢を一緒に考えます。VUSが見つかった場合は、それだけで診断やご家族の検査には使わず、意味がはっきりするのを待つこともあります。

6. 日本の制度:指定難病(2026年10月時点)

この15遺伝子で起こる病気の中には、国の指定難病に含まれるものがあります。厚生労働省の指定難病の一覧(348疾病)で、次のとおり確かめました(2026年10月時点)。

📋 関係する指定難病

指定難病 関係する遺伝子
124 皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL) NOTCH3
123 HTRA1関連脳小血管病 HTRA1
19 ライソゾーム病(ファブリー病を含む) GLA
251 尿素サイクル異常症(OTC欠損症を含む) OTC
21 ミトコンドリア病 POLG など
325 遺伝性自己炎症疾患(ADA2欠損症・エカルディ・グティエール症候群を含む) ADA2・TREX1
140 ドラベ症候群 SCN1A
248 グルコーストランスポーター1欠損症 SLC2A1

※2026年10月時点で、厚生労働省の「難病医療費助成制度の対象となる疾病一覧」と各疾病の資料で確認。CARASILは以前「禿頭と変形性脊椎症を伴う常染色体劣性白質脳症」の名前でしたが、現在は「HTRA1関連脳小血管病」の名前で載っています。

医療費の助成を受けるには、それぞれの病気の認定の基準(重症度など)を満たし、申請する必要があります。遺伝子検査で原因が確定していることは、診断の手がかりの1つになります。認定の基準や申請の方法は、難病情報センターや、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。

7. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。唾液・頬粘膜の検体なら、遠方の方もご来院なしで、オンライン診療で受けられます。

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遺伝カウンセリングでは、検査で何がわかり、何がわからないか、結果がご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。唾液・頬粘膜の場合は、オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを受けたあと、検体を当院にお送りいただきます。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。

費用・日数・検体

この検査は、遺伝診療先進国・米国の3大遺伝子検査会社の一角で行います。※

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

💴 費用・日数・検体

項目 内容
対象遺伝子 15遺伝子(ADA2, ATP1A2, ATP1A3, CACNA1A, COL4A1, COL4A2, GLA, HTRA1, NOTCH3, OTC, POLG, SCN1A, SCN5A, SLC2A1, TREX1)
検査費用 税込330,000円(塩基配列の解析と欠失・重複の解析を含む)
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査費用とは別
結果までの期間 2〜3週間
検体 血液(EDTA採血管4ml×2本)、抽出したDNA、頬粘膜、唾液
オンライン診療 唾液・頬粘膜の検体で可能(遺伝カウンセリング料金は事前のお支払い)
結果の報告書 基本は日本語版(英語版はお申し出により)

※当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。

結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。報告書の読み方はNIPT/遺伝子検査結果の見かたで解説しています。

オプション

  • ●至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります(55,000円)。
  • ●VUS除外(無料):意義がまだわからない変化(VUS)を報告に含めない選択ができます。

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8. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「若いのに、なぜ」に答えを出すために】

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。

脳卒中は「生活習慣の病気」と考えられがちです。けれども、遺伝子1つの変化で起こる脳卒中では、本人の努力とは関係なく病気が起こり、しかも原因によって、使える治療も、避けたい薬も、ご家族への影響もまったく違います。ファブリー病のように治療薬がある病気もあれば、COL4A1関連疾患のように抗凝固薬や頭のけがを避けることが大切な病気もあります。原因がわからないままでは、こうした備えを選ぶことができません。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。

遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。知ったうえで結婚や妊娠を考えたい方には、出生前診断まで当院で続けて支えられる体制を整えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 脳梗塞は遺伝しますか?親が脳梗塞だと子どもに遺伝しますか?

脳梗塞の多くは、高血圧や生活習慣など多くの要因が重なって起こり、親から子へそのまま遺伝する病気ではありません。体質や生活習慣が家族で似るため、家族に脳卒中が重なることはあります。一方で、遺伝子1つの変化で起こる脳卒中もあり、脳卒中全体の約1〜5%と報告されています。若いうちに脳梗塞を起こした方や、何人もの血縁者に脳卒中がある場合は、遺伝子検査で原因がわかることがあります。

Q2. 若年性脳梗塞の原因に遺伝子が関わることはありますか?

あります。若年性脳梗塞の原因の多くは遺伝子以外ですが、CADASIL(NOTCH3)、HTRA1関連脳小血管病、COL4A1関連疾患、ファブリー病(GLA)、ADA2欠損症など、遺伝子1つの変化で起こるものが隠れていることがあります。危険因子が少ないのに若くして発症した、MRIで白質病変が目立つ、家族に若い脳卒中が多い、といった場合は、遺伝子検査を考えるきっかけになります。

Q3. 脳出血も遺伝しますか?遺伝する確率は?

高血圧などによる多くの脳出血は、遺伝子1つで決まるものではありません。COL4A1関連疾患のように脳出血を起こしやすい遺伝性の病気では、常染色体顕性遺伝のため、お子さん1人ごとに2分の1の確率で原因の変化が受け継がれます。確率は病気の遺伝のしかたで違い、受け継いでも発症しない方もいます。

Q4. もやもや病の遺伝子もこの検査で調べられますか?

調べられません。もやもや病の感受性遺伝子として知られるRNF213は、この15遺伝子のパネルには入っていません。なお、RNF213のp.R4810Kという変化は病気のない日本人でも見つかることがあり、もっていても多くの方は発症しない(浸透率が低い)と考えられています。

Q5. 家族に脳卒中が多いと、結婚や子どもに影響しますか?

家族に脳卒中が多いことだけで、結婚や子どもを持つことについて何かが決まるわけではありません。遺伝子1つで起こる脳卒中かどうか、そうであればどの遺伝のしかたかで、お子さんへの確率はまったく違います。検査で原因がわかれば、ご自身が変化をもっているか、パートナーの検査が必要か、妊娠したときに出生前診断ができるかなどを、知ったうえで考えられます。

Q6. CADASILの検査とこのパネルは、どちらを受ければよいですか?

症状や家族の状況からCADASILを強く疑う場合や、ご家族でNOTCH3の変化がわかっている場合は、CADASIL NOTCH3遺伝子検査が向いています。若い脳卒中や家族の脳卒中があっても病気をしぼれない場合は、NOTCH3を含む15遺伝子を一度に調べるこのパネルが向いています。迷う場合は、遺伝カウンセリングで一緒に選びます。

Q7. 検査で何も見つからなかったら、脳卒中の心配はないですか?

そうとは言えません。陰性は、この15遺伝子で、この検査が見つけられる種類の原因の変化がなかった、という意味です。調べていない遺伝子や見つけにくい種類の変化が残っている可能性があり、高血圧などによる脳卒中の予防はこれまでどおり大切です。症状によっては、ほかの検査を考えます。

Q8. 費用と結果が出るまでの日数は?

検査費用は税込330,000円で、別に遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)がかかります。結果までは2〜3週間で、至急のオプション(55,000円)を使うと約7日短くなります。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。

🧬 一度の検査で、ご自身とご家族のこれからを考える

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。脳卒中や片麻痺の原因の遺伝子がわかれば、治療や避けたい薬・状況の手がかりになるだけでなく、ご家族の検査や、結婚・妊娠の計画を考えるときにも役立ちます。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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