パトウ症候群(13トリソミー)とは?症状・原因・胎児超音波(エコー)異常所見・治療法

13トリソミーパトウ(パトー)症候群)の症状・原因・治療などの基礎情報を掲載。13番染色体が正常2本のところ3本ある染色体異常による先天性の病気で、知的障害口唇裂口蓋裂頭皮部分欠損多指など重度な奇形がみられます。

パトウ(パトー)症候群(13トリソミー)とはざっくりいうと

パトウ症候群(13トリソミー)は、体の細胞の一部または全部に13番染色体のコピーが追加されていることによって引き起こされる重篤なまれな遺伝性疾患で、13トリソミーとも呼ばれています。
各細胞は通常、両親から受け継いだ遺伝子を含む染色体を23対含んでいます。
しかし、パトウ症候群(13トリソミー)の赤ちゃんは、2ではなく、13番染色体の3つのコピーを持っています。
これは深刻な正常な発達を阻害し、多くの場合、流産、死産または出生後まもなく赤ちゃんが死ぬという結果をもたらします。
パトウ(パトー)症候群(13トリソミー)の赤ちゃんは、子宮内で発育が遅く、低出生体重となると言われていますが、実は出生時の体重は正常に近いとも言われています。

パトウ症候群(13トリソミー)の確率とは

出生確率は5000-10000人に1人程度といわれていますが、母体の年齢により異なります。
パトウ(パトー)症候群(13トリソミー)の赤ちゃんを持つ確率(リスク)は、母親の年齢とともに増加します。

出産時母体年齢13トリソミーの生まれる確率
201/14300
251/12500
301/11100
351/5300
361/4000
371/3100
381/2400
391/1800
401/1400
411/1200
421/970
431/840
441/750

パトウ症候群(13トリソミー)の寿命(予後)

13トリソミー(パトウ症候群)のお子さんの96%は死産・流産となります。生産しても生後1か月以内に80%が死亡に至ります。1年間生存できるのは10%程度です。
モザイクだと比較的予後良好となるケースもあります。
パトウ症候群(13トリソミー)で生まれた10人の子供のうち9人以上が生後1年以内に死亡します。
部分的またはモザイク13トリソミーなどの深刻な症状を呈さない10人に約1人のパトウ症候群の赤ちゃんは、1年以上生存することがあります。
寿命を決めるのは、心臓の機能です。

1999年~2014年のパトウ症候群(13トリソミー)の年齢別死亡数

出典:古庄知己(2007).日本における18トリソミーの予後 日本未熟児新生児学会雑誌 19,38-42

年齢死亡数
0歳551
1歳27
2歳14
3歳10
4歳3
5~9歳15
10~14歳1
15~19歳0
20~24歳0

一番長い寿命だったのは10歳~14歳の間で死亡した1人となります。

パトウ症候群の原因とは?

パトウ症候群は13番染色体が3本ある(トリソミー)ことが原因で発症します。13トリソミーとはパトウ症候群のことです。
母体の年齢が上がるごとに染色体異常のリスクは上がる、というのが一般的で13トリソミーも例外ではありません。
13トリソミーは母の第一減数分裂不分離(分離の失敗:2本を1本ずつに分けるときに2本と0本にわけてしまう)によるものが80%と推定されています。
細胞が分裂するときにエラーが発生し、その結果、13番染色体の余分なコピー、または13番染色体の一部のコピーが余分にできてしまうことで、子宮内の赤ちゃんの発育に影響するのです。
多くの場合、赤ちゃんは成熟期に達する前に死亡するか(流産)、または出生時に死亡します(死産)。
パトウ症候群のほとんどの場合、赤ちゃんは体の細胞内に13番染色体の余分なコピーを持っています。これは、13トリソミーまたは単純13トリソミーとして知られています。
パトウ症候群の10人に1人くらいで、13番染色体と別の染色体の間で部分的に入れ替わっています。これを染色体転座といいます。この染色体転座が原因で発症したパトウ症候群は、遺伝する可能性があります。
また、20人に1人の割合で、一部の細胞だけが13番染色体の余分なコピーを持っている人たちがいます。これは13トリソミーモザイク症として知られています。時折、1本の13番染色体の一部だけが余分になることもあります(部分的13トリソミー)。
モザイク症と部分トリソミーの両方の症状や特徴は、完全型13トリソミーよりも重度ではない傾向があり、その結果、より多くの赤ちゃんが長生きすることになります。

トリソミーは母体年齢が高くなるにつれてリスクが高まります。
関連記事:
どうして染色体が3本になってしまうのか?
どうして高齢出産になるとトリソミーのリスクが上がるのか?
どうして染色体が3本になると人間は疾患になるのか
過剰な染色体は通常は母親由来です。卵子の高齢化とともに、細胞分裂するときに染色体の不分離(分離不全)が起こる確率が高まるからです。その結果、2本を4本に増やして2本ずつに分けるところ、3本と1本に分かれてしまうという間違いがおこりやすくなるためです。

80%は標準型パトウ症候群といって第13番染色体が3本ある13トリソミーが原因でおこっています。
15-19%は転座型パトウ症候群、1-5%はモザイク型パトウ症候群です。

転座型パトウ症候群(13トリソミー)とは?

転座型とは、染色体転座により起こるものをいいます。
染色体転座
このように、染色体の一部が入れ替わってしまうことを染色体転座と言います。
染色体の模式図

これは染色体の模式図ですが、ご覧いただいたらわかる通り、13、14、15、21、22番染色体とY染色体端部着糸型(端部動原体型)染色体と言って、セントロメア(染色体の中心のくびれ)が一方の末端近くにある特殊な構造をしています。これらの短腕の末端部には、幅の狭いストーク(stalk、二次狭窄とも呼ばれます)を介してクロマチンが凝縮したサテライトと呼ばれる小さな構造物が付着しています。
パトウ症候群(13トリソミー)の15%を占めるのがこの転座型パトウ症候群(13トリソミー)ですが、実は、転座トリソミーはお隣の第14番染色体との間の転座がほとんどです。
均衡型相互転座とトリソミー
この図は均衡型相互転座によるトリソミーを分かりやすくするために色を変えてあります。黒とオレンジのセットが片親、黄緑色とブルーのセットがもう片方の親の持っている染色体になります。
左下は黒とオレンジのセットの片親から13番、14番ともに短腕がなくなってしまって長腕だけがくっついたロバートソン転座と呼ばれるタイプの均衡型相互転座を示しています。この転座を持つ染色体と13番が組み合わさって生殖細胞を作ると、13番染色体が2本分になり、もう片方の親からは1本継承されますので、合計3本の13番染色体の遺伝情報がお子さんに伝わることになります。
13番も14番も端部着糸型染色体ですので、短腕にはストークしかなく、この部分にはさまざまな反復配列と、リボソームRNAの遺伝子が数百コピーも含まれているだけですので、短腕がなくなってしまって、13番と14番の長腕同士がくっついてしまうという転座が起こっても、当のご本人には何ら目立った症状は起こりません。しかし、13番と14番の長腕相互転座の保因者が生殖細胞を作るときに13番染色体の余分なコピーがお子さんに継承されて転座型パトウ症候群(13トリソミー)となります。

モザイク型パトウ症候群(13トリソミー)とは?

モザイクとは、同じ細胞を起源として違う性質の細胞がまざった個体をさします。
受精胚の時点では正常だったものが、細胞分裂時の染色体不分離(4本を2本ずつに分けるべきところを3本と1本に分けてしまったという分離のまちがいです)により起こります。
モザイク型パトウ症候群(13トリソミー)は1~5%と低頻度です。

また、モザイクの入り方により重症度や予後も様々です。これは、どういう時点でモザイクが入るのかという問題でもあります。たとえば1個が2個に分裂する時であれば、2個になった細胞の片方はトリソミー、もう一つはモノソミーですから、常染色体のモノソミーは生き延びられず死んでしまうため、100%トリソミーになってしまいます。
4細胞から8細胞になる時期でしたら、1個死ぬので7細胞が残り、1/7の率でモザイクとなります。しかし、その1細胞が胎盤を作る細胞になれば赤ちゃんは正常です。赤ちゃんを作る細胞になれば部分的にトリソミーのあるモザイク型13トリソミーの赤ちゃんになります。
こうしたことから、モザイク型パトウ症候群(13トリソミー)の重症度は軽症から完全トリソミーに近い重症型まで様々なのです。
一般的には最も重症度と相関するのが脳・心臓の奇形なので、これらがほとんど正常という場合は予後がよろしいと考えてよいでしょう。モザイク型だと、皮膚に異常がなければ羊水検査をしても検出できません。

パトウ症候群(13トリソミー)の予防

パトウ症候群(13トリソミー)は偶然に起こるもので、親が何かをしたりしなかったりすることが原因で起こるものではありません。したがって、予防方法もないのが現状です。

パトウ症候群(13トリソミー)の家族内再発:次の子もパトウ症候群の確率とは?

パトウ症候群(13トリソミー)のほとんどのケースは、家族内で再発しません。完全トリソミーの場合は再発リスクは1-2%と推定されています。
パトウ症候群(13トリソミー)は精子と卵子が結合し、胎児が発育を開始するときに、受胎中にランダムに発生します。転座型の場合は、再発の危険性があります。

パトウ症候群(13トリソミー)の超音波(エコー)所見の特徴とは?

染色体異常に一般的にみられる超音波(エコー)写真の異常所見

NT肥厚
子宮内発育不良
羊水過多
心奇形

上記に加えて以下があるとパトウ症候群(13トリソミー)の可能性が高くなる超音波(エコー)写真の異常所見

NT肥厚
全前嚢胞症
小頭
口唇裂・口蓋裂
小眼球症
単眼症
多指症

パトウ症候群(13トリソミー)の症状

パトウ症候群(13トリソミー)の特徴
パトウ症候群の赤ちゃんは、さまざまな健康上の問題を抱えている可能性があります。
子宮内での発育は遅滞すると言われていますが、18トリソミーほど顕著ではなく、比較的出生時体重は正常に近いことが多いです。10人に8人は重度の心奇形を持って生まれます
また、脳が2つに分裂しないことが多く、これは、全脳症として呼ばれる症状です。
これが起こると、顔の特徴に影響を与え、以下のような異常を引き起こすことがあります。
重度の奇形を伴います。

口唇口蓋裂
小眼
片目がない
目の間が離れている
その他の顔や頭の異常としては、以下のようなものがあります。

正常な頭の大きさよりも小さい(小頭症)
剥皮
耳の奇形・難聴
盛り上がった赤いあざ(毛細血管腫)
口唇裂・口蓋裂・頭皮部分欠損・多指・揺り椅子様の踵といった外見上の特徴をもちます。
脳の奇形は必発で、痙攣を合併します。
80%の症例に重度の心血管系奇形があり、消化管奇形も高頻度で、重度精神発達遅滞を伴います。

パトウ症候群は、さらに以下のような他の症状を引き起こす可能性もあります。
子宮内で腹部が完全に発達しない腹壁欠損症では、腸が膜だけで覆われて体外に出てしまう結果となります。
腎臓の異常な嚢胞
陰茎・クリトリス肥大
多指症、足に丸みを帯びているなどの手足の異常がある場合もあります。

パトウ症候群(13トリソミー)の治療

パトウ症候群には疾患原因にたいする根本的治療はありません。
口蓋裂、心奇形といった症状に合わせて外科的手術をしたり、必要なら薬物治療をします。

13トリソミーは生命予後が厳しいことや、知的障害が重度であるため、従来は「生まれても延命のためのあらゆる医療行為を実施しない」疾患でした。しかし、新生児集中治療や心奇形に対する外科手術など積極的治療を受けたパトウ症候群(13トリソミー)の子どもたちの予後に関するエビデンスが積み重なってきたころから、近年、大きくその認識が変更され、「延命のための特別な治療をしないことを真剣に考慮すべき疾患ではあるが、両親の希望や児の状態を考えるべき」となっています。米国心臓協会(American Heart Association: AHA)の2015年ガイドラインではそれまで蘇生を開始しない状況には13トリソミーを含む疾患名が記述されていたのですが、それらの疾患の記述は除外されました。

13トリソミーのお子さんの1年生存率は約20%、10年生存率は約13%で、6か月まで生存できたお子さんたちにおける10年生存率は、13トリソミーで約50%となっています。心臓手術は短期的予後だけではなく長期的予後も改善しているということになります。また、生存して退院できた13トリソミー患児の生存期間中央値は約15年と非常に期待の持てる報告もされています。昔のように「あきらめる」だけではなく「希望が持てる」ようになってきているのですよね。医学の進歩とともに。
このようなデータを踏まえて、13トリソミーに対する積極的治療も行われるようになってきたのですが、医療機関によっては今でも「なにもしない」とか言いきってしまっているところもあるようです。

まとめ

ミネルバクリニックの患者さんの中にも13トリソミーのお子さんを育てているママがいて、やはり治療の差し控えを提案されたそうですが、東京都内に転院して無事に手術を受けて自宅に退院しました。6か月を超えて生存すると、その先の長期生存も見えてきますので、医学の進歩の恩恵を受けて積極的治療をするのもしないのもまたご両親の考え方次第なのでしょう。
出生後に慌てるより、出生前に診断がついているほうが意思決定をゆっくりできるので、NIPTなどの出生前診断の重要性が増しているように思います。

臨床遺伝専門医によるNIPT
関連記事:
卵子
配偶子
受精
染色体の数の異常がなぜ起こるのか?
どうして染色体が3本になってしまうのか?
どうして高齢出産になるとトリソミーのリスクが上がるのか?
どうして染色体が3本になると人間は疾患になるのか

染色体
常染色体
染色体異常
トリソミー
異数性
21トリソミー(ダウン症候群(21トリソミー))
ダウン症候群(21トリソミー)のより詳細な医療従事者向けリンク先はこちら
18トリソミー(エドワーズ症候群(18トリソミー))
13トリソミー(パタウ症候群(13トリソミー、パトー症候群))
モザイク
減数分裂

この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号