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トリソミーとは?NIPTでわかる21・18・13の違い・生存率・検査の限界を専門医が解説|東京・ミネルバクリニック

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医として遺伝医療に携わっています。

検索すればするほど、断片的な数字や情報に不安を感じてしまうかもしれません。トリソミーは、本来2本で1組の染色体が3本ある状態です。どの番号の染色体で起きたかによって、生まれてくる可能性も寿命も大きく異なります。この記事では、トリソミーの基本、モノソミーとの違い、13・18・21番以外のトリソミー、そして「数字の向こう側にある現実」を、臨床遺伝専門医の立場から順に整理します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約12分
🧬 染色体・NIPT・予後
★ 臨床遺伝専門医監修
  • ➤基本 → トリソミーとは何か、モノソミーとの違い
  • ➤ほかの番号 → 16番や22番などのトリソミーの一覧と、モザイクの場合
  • ➤寿命と最高齢 → 21・18・13トリソミーの生存率のデータ
  • ➤NIPTと確定診断 → どのプランでどこまで調べられるか、陽性のあとに何をするか
  • ➤不安の整理 → 数字だけで結論を急がないための考え方

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. トリソミーとは?寿命はどのくらい?

トリソミーは、2本で1組の染色体が1本多く3本ある状態です。21トリソミー(ダウン症候群)の平均寿命は60歳前後まで延びています。18・13トリソミーは厳しい経過をたどることが多い一方、10歳を超えて成長する子どもも約1割います。16・22番などそのほかの番号のトリソミーは、多くが妊娠初期に流産となります。

🔍 Q. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫?

ダウン症候群(21トリソミー)は、出生前検査で広く調べられている基本の項目です。ただ、赤ちゃんの染色体の変化はそれだけではありません。当院では15・16・22番のトリソミーはプレミアム・ダイヤモンドプラン、すべての常染色体は双子マックス・インペリアルプランで調べられます。スタンダードプランでも、22q11.2欠失症候群を含む微小欠失を調べます。

🌸 Q. モノソミーとトリソミーの違いは?

トリソミーは染色体が1本多い状態(合計47本)、モノソミーは1本少ない状態(合計45本)です。1〜22番の常染色体が1本まるごと欠けた状態で生まれてくることはまずありません。生まれてくるのは主に、X染色体が1本のターナー症候群か、染色体の一部だけが欠けた部分モノソミーです。

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1. 【基本】トリソミーとは何か?

トリソミーとは、通常2本で1組の染色体が、細胞分裂のときの偶然のずれによって3本になった状態のことです。

人の細胞には通常、46本の染色体(1〜22番の常染色体が2本ずつ44本と、XとYの性染色体2本)があります。精子と卵子が作られる過程(減数分裂)で、染色体がうまく分かれないまま受精すると、特定の染色体が1本多く「3本」になり、合計は47本になります。これを「トリソミー(Trisomy)」と呼びます。「tri(3つの)」と「somy(染色体)」を合わせた言葉です。

誰のせいでもなく、どの妊娠でも偶然に起こりうる現象です。

モノソミーとトリソミーの違い

トリソミーとよく並べて使われるのが「モノソミー(Monosomy)」です。モノソミーは、2本で1組の染色体の片方がなく、1本しかない状態で、染色体の合計は45本になります。どちらも「染色体の数の変化(異数性)」で、1本多いか、1本少ないかの違いです。

🧬 トリソミーとモノソミーの比較

項目 トリソミー モノソミー
本数 3本(合計47本) 1本(合計45本)
主な原因 卵子・精子ができるときの染色体不分離(多くは偶然)
常染色体で起きた場合 13・18・21番は生まれてくることがある。それ以外は多くが流産 1本まるごと欠けた状態で生まれてくることはまずない
性染色体で起きた場合 XXY(クラインフェルター症候群)・XXX・XYYなど 45,X(ターナー症候群)
一部だけの場合 部分トリソミー(重複) 部分モノソミー(欠失)。例:5p欠失=猫鳴き症候群

常染色体のモノソミーがトリソミーより厳しいのは、1本しかないと、その染色体にある数百〜数千の遺伝子の量が半分になり、体を作るしくみがほとんど成り立たなくなるためです。一方、性染色体のモノソミーである45,X(ターナー症候群)は生まれてくることがあり、頻度は女の子およそ2,000〜2,500人に1人とされています[7]。ただし、45,Xの受精卵の多くは妊娠初期に流産となり、初期流産の組織で見つかる染色体異常のうち約1割を占めます[8]。ターナー症候群についてはターナー症候群とは?原因・症状・寿命で詳しく解説しています。

トリソミーもモノソミーも、もとをたどると同じ染色体不分離から生まれます。減数分裂で1組の染色体が分かれそこなうと、その染色体を2本もつ卵子(または精子)と、1本ももたない卵子が同時にできます。前者が受精すればトリソミー、後者が受精すればモノソミーになります。ヒトでは卵子の第一減数分裂で起こるものが多く、母体の年齢とともに増えることが知られています[6]。受精後の細胞分裂で起きた場合は、正常な細胞と数の違う細胞が混ざる「モザイク」になります。モノソミーという言葉の詳しい意味はモノソミーとは?染色体が一本少ない状態と生存をご覧ください。

💡 用語解説:「23番トリソミー」はある?

ヒトの染色体は23組ありますが、23組目は番号ではなくX・Yの性染色体です。そのため「23トリソミー」という病名はなく、23組目が1本多い状態は、47,XXY(クラインフェルター症候群)、47,XXX(トリプルX)、47,XYYのような性染色体のトリソミーとして呼ばれます。

13モノソミー・18モノソミー・21モノソミーとは

「13モノソミー」「18モノソミー」「21モノソミー」という言葉で検索される方も少なくありません。先にお伝えすると、13番・18番・21番の染色体が1本まるごとない状態で生まれてくることは、まずありません。実際にこの名前で呼ばれているのは、多くの場合、次のような状態です。

🧩 「〇番モノソミー」と呼ばれる主な状態

染色体 実際に多い状態 詳しい解説
13番 13番の長腕の一部が欠ける13q欠失。欠ける場所で症状が異なり、13q14が欠けると網膜芽細胞腫に注意が必要 13番染色体異常とは
18番 短腕が欠ける18p欠失症候群、長腕の先が欠ける18q欠失症候群 18p欠失症候群/18q遠位欠失症候群
21番 21番の一部の欠失、環状21番染色体、不均衡型転座、モザイクなど 21番染色体異常のすべて

こうした部分モノソミーの寿命や症状は、どこが、どれだけ欠けているかと、心臓などの合併症があるかどうかで大きく変わります。欠けている範囲が小さく、重い合併症がなければ、成人期まで暮らしている方もいます。「〇番モノソミー」という名前だけで、トリソミーと同じような経過を想像しないことが大切です。

NIPTとの関係では、18p欠失・18q欠失は当院のプレミアムプラン・ダイヤモンドプランの微小欠失の対象です。双子マックスプラン・インペリアルプランでは、92種類の微小欠失・重複に加えて、5Mbを超える染色体の欠失・重複も調べます。

2. 13・18・21番「以外」のトリソミーはどうなるのか?

NIPT(新型出生前診断)の基本の項目は、「21番(ダウン症候群)」「18番(エドワーズ症候群)」「13番(パトウ症候群)」の3つです。これに対し「ほかの染色体が3本になったらどうなるの?」と疑問を持たれる方も多いでしょう。

【結論】

16番や22番など、13・18・21番以外の常染色体のトリソミーは、多くの場合、妊娠初期に自然流産となります。生まれてくることがあるのは、主にモザイク型(正常な細胞が混ざっている状態)の場合です。

妊娠初期の流産組織を調べると、もっとも多く見つかる染色体異常は「16トリソミー」です[8]。しかし、すべての細胞が16トリソミーの赤ちゃんが生まれてくることはありません。全染色体を調べるNIPTのデータをまとめた総説では、13・18・21番以外の「まれな常染色体トリソミー」は13・18・21番のトリソミーのおよそ半分の頻度で見つかり、その多くは胎盤だけにとどまるもの(胎盤限局性モザイク)だと考えられています[5]。

つまり、「お腹の中で育ち続け、生まれてくる可能性が比較的高い」のが、21番・18番・13番のトリソミーです。だからこそ、出生前検査ではこの3つが基本の項目になっています。

トリソミーの種類一覧:番号ごとの生まれてくる可能性と寿命の目安

「16トリソミー 寿命」「22トリソミー 寿命」のように、番号ごとに調べている方のために、主なトリソミーを一覧にしました。すべての細胞がトリソミーの「完全型」と、正常な細胞が混ざる「モザイク型」とで、見通しが大きく違う点に注意してください。

📋 番号別トリソミーの一覧

染色体 完全型 モザイク型・注意点
21番(ダウン症候群) 生まれてくることが多い。平均寿命は60歳前後 モザイク型は症状が軽めのことがある
18番(エドワーズ症候群) 生まれてくることがある。1歳を迎えるのは5〜10%程度 モザイク型は経過に幅がある
13番(パトウ症候群) 生まれてくることがある。5年生存は約1割 モザイク型は経過に幅がある
16番 生まれてくることはない。初期流産の原因で最多 モザイク型は生まれてくることがあり、赤ちゃんが小さく育つことが多い
22番 多くは流産。生まれても短い期間のことが多い モザイク型は成長している報告がある
15番 多くは流産 胎盤だけのモザイクでも、片親性ダイソミーからプラダー・ウィリー症候群などにつながることがある
8番・9番 多くは流産。9番は生まれても短い期間のことが多い モザイク型は生まれてくることがある(8トリソミーモザイク、9トリソミーモザイク)
7番・14番 多くは流産 多くは胎盤だけのモザイク。片親性ダイソミー(7番ではシルバー・ラッセル症候群など)に注意
12番・17番など 生まれてくることはまずない モザイク型の報告はまれ

21・18・13番の数字は本文の参考文献[1][2][4]にもとづきます。そのほかの番号は報告数が少なく、一人ひとりの経過は、モザイクの割合や合併症によって大きく変わります[5]。

表の中の「片親性ダイソミー」は、トリソミーの細胞から余分な1本が抜けて正常な本数に戻るとき、残った2本がたまたま両方とも父親由来、あるいは両方とも母親由来になってしまう状態です。本数は正常でも、15番や7番などでは遺伝子の働き方が変わり、病気につながることがあります。詳しくは片親性ダイソミーで解説しています。

番号ごとの詳しい解説は、全染色体検査ガイドの3本にまとめています。1〜8番は8トリソミーは検査すべき?第1〜8番染色体の異常とNIPT【全染色体Vol.1】、9〜16番は16トリソミーは流産原因No.1|9〜16番染色体の異常と寿命【全染色体検査ガイドVol.2】、17〜22番と性染色体は19トリソミー・22番染色体トリソミーとは?【全染色体ガイドVol.3】をご覧ください。

当院のNIPTでは、15・16・22番のトリソミーはプレミアムプラン・ダイヤモンドプラン、すべての常染色体のトリソミーは双子マックスプラン・インペリアルプランで調べられます。これらのトリソミーが陽性になった場合は、赤ちゃん本人にあるのか、胎盤だけなのかを確かめるために、確定検査(羊水検査)が欠かせません。

3. 18トリソミー・13トリソミーの寿命・最高齢について

まず、21トリソミー(ダウン症候群)の寿命です。心臓の手術や感染症の治療が進んだことで、ダウン症候群の方の平均寿命は60歳前後まで延びたと報告されています[4]。一方、18トリソミーや13トリソミーは重い合併症を伴うことが多く、インターネットで検索すると厳しい数字が並んでいます。

📊 報告されているデータ

18トリソミーでは、生後1週間を超えて生きる赤ちゃんは約半数、1歳を迎えるのは5〜10%程度とされています[1]。米国の複数の州の調査では、5年生存率は13トリソミーで9.7%、18トリソミーで12.3%でした[2]。カナダの調査でも、10歳を超えて生きる子どもは約1割いました[3]。

しかし、これはあくまで「全体をならした割合」にすぎません。ここで重要なのは、心臓の手術や呼吸のサポートなどの医療をどこまで行うかによって、生存率は大きく変わってくるということです。カナダの調査では、半年を生きた子どもの半数以上が10歳を迎えていました[3]。

最高齢の目安は?10代、20代という事実

「1年生きられない」という言葉だけがひとり歩きしがちですが、現実には、ご家族の愛情と医療的ケアのもとで成長し、10代、そしてまれに成人期まで年齢を重ねている方もいます。13トリソミー・18トリソミーの最高寿命・最高齢として報告されている例は、それぞれのページで詳しく紹介しています。

もちろん、重い心疾患や呼吸の障害、発達の遅れを伴うため、生活には医療と福祉の支えが欠かせません。しかし、「診断名=寿命が数か月」と最初から決めつけることは、一人ひとりの命の可能性を狭めてしまうことになります。

4. 生存率(予後)の「数字」とどう向き合うか

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【数字だけで結論を急がないでください】

生存率や寿命の数字を見て、目の前が真っ暗になるような気持ちになるのは自然なことです。でも、トリソミーと診断されたからといって、すべての赤ちゃんが同じ経過をたどるわけではありません。

症状の出方には幅があり、モザイク型かどうかによっても個人差は大きくなります。出生前の段階で、予後を完全に確定することはできません。不確実であることを正直にお伝えしたうえで、生まれてくる命に対して「今何ができるか」をご家族と一緒に考えることが、臨床遺伝専門医の役割だと考えています。

インターネット上の断片的な情報だけで「あきらめる」「希望を持つ」を両極端に判断せず、超音波検査でわかる合併症の状況などを主治医と確認しながら、一つひとつ方針を決めていくことが大切です。

5. NIPTの精度と「限界」を知る

NIPTは、お母さんの血液に含まれる赤ちゃん(胎盤)由来のDNAの断片を調べ、トリソミーの可能性を評価する検査です。感度・特異度ともに高く、特に21トリソミーに対する精度は高い検査です。

しかし、NIPTはあくまで「非確定検査(スクリーニング検査)」です。

⚠️ 注意

「陽性=100%確定」ではありません。年齢や調べる項目によって、「偽陽性(本当は異常がないのに陽性と出てしまう)」が生じる可能性があります。また、まれに「偽陰性(見逃し)」が起こることもゼロではありません。13・18・21番以外のトリソミーは胎盤だけにとどまっていることが多いため、特に確定検査での確認が大切です。

陽性のときは確定検査で確かめます。当院では、確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられます。陽性的中率の考え方は陽性的中率(PPV)とはで解説しています。

ダウン症候群だけで大丈夫? ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ

ダウン症候群(21トリソミー)・18トリソミー・13トリソミーは、出生前検査で広く調べられている基本の項目です。けれども、この記事で見てきたように、赤ちゃんの染色体の変化はこの3つだけではありません。15・16・22番などのトリソミー、染色体の一部が欠ける微小欠失、そして一つの遺伝子の変化による病気(単一遺伝子疾患)もあります。当院のプランごとの調べられる範囲は次のとおりです。

🧬 当院のNIPT:プラン別の調べられる範囲

プラン トリソミー 性染色体 微小欠失・重複 単一遺伝子
スタンダード 13・18・21番 あり 6種類7疾患(22q11.2欠失症候群を含む) なし
プレミアム 13・18・21・15・16・22番 あり 12種類13疾患 なし
ダイヤモンド 13・18・21・15・16・22番 あり 12種類13疾患 56遺伝子
双子マックス すべての常染色体 なし 92種類+5Mbを超える欠失・重複 なし
インペリアル すべての常染色体 あり 92種類+5Mbを超える欠失・重複 最大155遺伝子(202疾患)

双胎(双子)で受けられるのはスタンダードプランと双子マックスプランです。結果までの目安は10〜14日です(インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけは3〜4週間)。

検査を選ぶときは、料金の高い・安いだけでなく、「1つの病気あたりで考える」と、プランの違いが見えやすくなります。13・18・21番だけを調べる検査を仮に10万円として、当院の各プランと並べると次のようになります。

🧮 1つの病気あたりで考える

検査 料金 調べられる病気の数 1つの病気あたり
13・18・21番のみ(仮) 100,000円 3 約33,333円
スタンダード 220,000円 14 約15,714円
プレミアム 264,000円 23 約11,478円
ダイヤモンド 407,000円 79 約5,152円
双子マックス 440,000円 114+α 約3,860円
インペリアル 550,000円 320+α 約1,719円

料金は、事前学習動画で理解を深めてからご来院いただいた場合の当日割引後の金額(税込)です。病気の数は、トリソミー(プレミアム・ダイヤモンドは6、双子マックス・インペリアルは22)、性染色体の数の変化4種類、微小欠失・重複の疾患数、単一遺伝子の疾患数(ダイヤモンド56、インペリアル202)を合計しています。「+α」は5Mbを超える欠失・重複の分です。検査料金以外にかかる費用はNIPTの費用・料金のページをご覧ください。

なお、どのプランも「陰性なら赤ちゃんに何の病気もない」と保証するものではありません。調べる範囲を知ったうえで、ご夫婦が何を知りたいかに合わせて選ぶことが大切です。

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ダイヤモンドプラン | 双子マックスプラン | スタンダードプラン

6. 確定診断(羊水検査・絨毛検査)の必要性

NIPTで陽性と出た場合、本当に赤ちゃんに染色体の変化があるのかを確かめるには、羊水検査または絨毛検査という「確定検査」を受ける必要があります。

「もう結果が出たから」と急いで決断するのではなく、確定検査を経てから事実と向き合うことが、医療としての正しいステップです。当院では2025年6月から、羊水検査・絨毛検査を院内で行っています。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。陽性のときのカウンセリングは何度でも無料で、羊水検査の費用は互助会(カトレア会)から補助されます。

7. よくある誤解:不安を解きほぐすために

誤解①:私の生活習慣のせい?

染色体の数の変化は、細胞分裂のときの偶然のずれです。お母さんの食事、仕事、ストレスなどのせいではありません。自分を責めないでください。

誤解②:13・18トリソミーはすぐ亡くなる

重い合併症を伴うことは事実ですが、10歳を超えて成長する子どもも約1割います。医療的ケアの内容によっても経過は変わり、寿命が一律に決まっているわけではありません。

誤解③:NIPTは絶対である

NIPTは非確定検査です。陽性の場合は必ず羊水検査などの確定検査で確かめます。「陽性=確定」と思い込んで結論を急がないでください。

8. 専門医メッセージ:正しい情報を、心のお守りに

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【“知ってから決める”ために】

トリソミーやモノソミーという言葉を検索していると、強い言葉や極端な体験談に出会い、不安で押しつぶされそうになるかもしれません。

大切なのは、一人で断片的な情報と向き合わないことだと考えています。どの染色体の、どんな変化なのか。検査で何がわかり、何がわからないのか。結果が出たときにどんな選択肢があり、医療として何を支えられるのか。それを理解することが、あなたとご家族の「心のお守り」になります。迷ったときは、遺伝カウンセリングを頼ってください。

🏥 13・18・21番の先まで、調べる範囲から選ぶNIPT

ミネルバクリニックでは臨床遺伝専門医が常駐しています。15・16・22番からすべての常染色体まで、プランごとに調べる範囲を選べ、陽性なら確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられます。

よくある質問(FAQ)

Q1. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?

ダウン症候群(21トリソミー)は、出生前検査で広く調べられている基本の項目ですが、赤ちゃんの染色体の変化はそれだけではありません。15・16・22番などのトリソミーや、22q11.2欠失症候群などの微小欠失、単一遺伝子の病気もあります。当院では、15・16・22番のトリソミーはプレミアム・ダイヤモンドプラン、すべての常染色体は双子マックス・インペリアルプランで調べられます。何を知りたいかに合わせて、調べる範囲から選ぶことをお勧めします。

Q2. 13・18・21番以外のトリソミーはどうなりますか?NIPTで調べられますか?

16番や22番など、それ以外の常染色体のトリソミーは、多くの場合、妊娠初期に自然流産となります。生まれてくることがあるのは主にモザイク型の場合です。当院のNIPTでは、15・16・22番のトリソミーはプレミアム・ダイヤモンドプラン、すべての常染色体のトリソミーは双子マックス・インペリアルプランで調べられます。陽性の場合は、胎盤だけの変化かどうかを確定検査で確かめます。

Q3. 18トリソミーや13トリソミーの寿命・生存率は?最高齢は?

18トリソミーで1歳を迎えるのは5〜10%程度とされ、米国の調査では5年生存率が13トリソミーで9.7%、18トリソミーで12.3%でした。一方で、10歳を超えて成長する子どもも約1割おり、まれに成人期まで成長した方の報告もあります。経過は合併症や医療的ケアの内容で大きく変わります。

Q4. 21トリソミー(ダウン症候群)の寿命はどのくらいですか?

心臓の手術や感染症の治療の進歩により、ダウン症候群の方の平均寿命は60歳前後まで延びたと報告されています。合併症の有無などで個人差があります。

Q5. モノソミーとトリソミーの違いは何ですか?

トリソミーは染色体が1本多い状態(合計47本)、モノソミーは1本少ない状態(合計45本)です。どちらも卵子や精子ができるときの染色体不分離で起こります。常染色体が1本まるごと欠けた状態で生まれてくることはまずなく、生まれてくるのは主に、X染色体が1本のターナー症候群か、染色体の一部だけが欠けた部分モノソミーです。

Q6. 13・18・21トリソミーの違いは何ですか?

どれも染色体が1本多いトリソミーですが、どの染色体かによって経過が大きく違います。21トリソミー(ダウン症候群)は平均寿命が60歳前後まで延びています。18トリソミー(エドワーズ症候群)と13トリソミー(パトウ症候群)は心臓や脳などに重い合併症を伴うことが多く、5年生存率はそれぞれ約12%・約10%と報告されています。

Q7. モノソミーとトリソミーが同時に起こることはありますか?

あります。ある番号の染色体が1本多く、別の番号が1本少ないなど、複数の染色体に数の変化が同時に見つかることがあり、多くは流産組織やNIPTの結果として見つかります。NIPTでこうした結果が出た場合は、胎盤だけの変化やお母さん側の要因が関わっていることもあるため、確定検査や追加の検査で確かめます。

Q8. モノソミー・トリソミーは予防できますか?

現在のところ、予防する方法はありません。卵子や精子ができるときの偶然のずれで起こるためです。母体の年齢が上がるほど起こりやすくなることは知られていますが、お母さんの生活や行動が原因ではありません。

Q9. NIPTで陽性と出たら、必ず障害があるということですか?

いいえ。NIPTは非確定検査(スクリーニング検査)です。偽陽性(異常がないのに陽性と判定される)が起こりうるため、診断を確定するには羊水検査などの確定検査が必要です。当院では確定検査まで院内で受けられます。

Q10. トミソリー(トリソミー)とはどういう意味ですか?

「トミソリー」は「トリソミー」の言い間違いとしてよく検索されます。トリソミー(Trisomy)とは、通常2本で1組の染色体が、細胞分裂のときの偶然のずれによって1本多く「3本」になった状態のことです。誰のせいでもなく、偶然起こりうる現象です。

関連記事

参考文献

  • [1] Cereda A, Carey JC. The trisomy 18 syndrome. Orphanet J Rare Dis. 2012;7:81. [DOI 10.1186/1750-1172-7-81]
  • [2] Meyer RE, Liu G, Gilboa SM, et al. Survival of children with trisomy 13 and trisomy 18: A multi-state population-based study. Am J Med Genet A. 2016;170A(4):825-837. [PubMed 26663415]
  • [3] Nelson KE, Rosella LC, Mahant S, Guttmann A. Survival and surgical interventions for children with trisomy 13 and 18. JAMA. 2016;316(4):420-428. [DOI 10.1001/jama.2016.9819]
  • [4] Bittles AH, Glasson EJ. Clinical, social, and ethical implications of changing life expectancy in Down syndrome. Dev Med Child Neurol. 2004;46(4):282-286. [DOI 10.1111/j.1469-8749.2004.tb00483.x]
  • [5] Lannoo L, van Straaten K, Breckpot J, et al. Rare autosomal trisomies detected by non-invasive prenatal testing: an overview of current knowledge. Eur J Hum Genet. 2022;30(12):1323-1330. [DOI 10.1038/s41431-022-01147-1]
  • [6] Hassold T, Hunt P. To err (meiotically) is human: the genesis of human aneuploidy. Nat Rev Genet. 2001;2(4):280-291. [DOI 10.1038/35066065]
  • [7] Gravholt CH, Andersen NH, Conway GS, et al. Clinical practice guidelines for the care of girls and women with Turner syndrome. Eur J Endocrinol. 2017;177(3):G1-G70. [DOI 10.1530/EJE-17-0430]
  • [8] Zhang X, Fan J, Chen Y, et al. Cytogenetic analysis of the products of conception after spontaneous abortion in the first trimester. Cytogenet Genome Res. 2021;161(3-4):120-131. [PMC8317611]

※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。検査や結果については、主治医・専門医にご相談ください。

プロフィール
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続け、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、検査結果の数値そのものだけでなく、「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、日本人として異文化の中で生活した経験があります。価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。この経験は現在の診療においても、「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、36週6日で一人を死産した経験があります。その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、家族の未来に関わる重要な意思決定です。年齢や統計だけで判断するのではなく、医学的根拠と心理的支援の両面から、ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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