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常染色体の数の異常(異数性)

常染色体の数の異常(異数性)とは?

常染色体の異数性とは染色体の数が正常2本が3本や1本になったりという数の異常を言います。21番染色体が3本になっているのが有名なダウン症候群(21トリソミー)です。常染色体が1本しかないモノソミーは細胞自体が生きていけない為、存在しません。

染色体の数の異常(異数性)の原因とは?

関連記事:染色体の数の異常がなぜ起こるのか?

染色体の数の異常(異数性)の頻度とは?

出生、胎児死亡、妊娠中絶を含む集団ベースの登録データによると、染色体の異数性(トリソミーなどの数の異常)異常の有病率は1,000分娩に対して4例であったと報告されています。しかし、染色体異数性のある赤ちゃんは大多数が流産死産となりますので、実際に妊娠されるトリソミーはもっとずっと多くなります。
染色体異数性は、第1三半期流産の50%以上第2三半期の胎児死亡の約20%死産と早期の小児死亡の6~8%を占めています。
染色体異常が判明している妊娠では約半数が21トリソミー、18トリソミーが15%、13トリソミーが5%、性染色体異常が約12%でした。
関連記事:常染色体
21トリソミー(ダウン症候群(21トリソミー))
18トリソミー(エドワーズ症候群(18トリソミー))
13トリソミー(パタウ症候群(13トリソミー、パトー症候群))
第1三半期

二卵性双生児の場合はリスクが高まる

また、赤ちゃんが一人か二人か、二人の場合は一卵性二卵性でリスクは異なります。二卵性の場合、リスクが高まるのは単純に単胎のリスクが二人分加算されるためでしょう。

 単体妊娠単体妊娠2卵生双胎妊娠2卵生双胎妊娠
母体年齢ダウン症候群すべての染色体異数性ダウン症候群すべての染色体異数性
321/2561/149
331/2061/116
341/1601/91
351/2501/1321/1251/71
361/1921/1051/981/56
371/1491/831/771/71
381/1151/651/601/56
391/891/531/471/44
401/691/401/371/35
411/531/311/291/27
421/411/251/231/21
431/311/191/17
441/251/151/13
451/191/12

改変引用:ウイリアムス産科学より

常染色体の数の異常(異数性)の種類とは?

1.あかちゃんの常染色体の数の異常(異数性)による疾患

染色体が通常2本なところ、3本になることをトリソミーといいます。
NIPTの基本検査では、このトリソミーが13番、18番、21番染色体に関してわかります。
一番有名なのはダウン症候群(21トリソミー)でこれは21番染色体が3本あることにより発症します。

【 基本的な13/18/21の3つのトリソミー 】

トリソミー21(ダウン症候群(21トリソミー)) (より詳細なリンク先はこちら
トリソミー18(エドワーズ症候群(18トリソミー))
トリソミー13(パトウ症候群)

Trisomy 21 (Down syndrome)

21番染色体のコピー数が多いことで起こり、ダウン症候群(21トリソミー)とも呼ばれます。
*詳しくはリンク先をご覧ください。  (より詳細なリンク先はこちら
遺伝子の問題で起こる知的障害としては最も多いのがダウン症(21トリソミー)です。
ダウン症候群(21トリソミー)の患者さんはさまざまな程度の知的障害を抱え、平均IQは50です。

また、ダウン症候群(21トリソミー)の中には先天性心疾患などの臓器障害を抱えるお子さんもいて、
外科的または医学的に治療が必要となったりします。

また、なかには視覚障害・聴覚障害が見られることもあり、
大きくなってから認知機能障害が認められることもあります。

Trisomy 18 (Edwards syndrome)

18番染色体のコピー数が多いことで起こり、エドワーズ症候群(18トリソミー)と呼ばれます。

ほとんどが脳・心臓、その他に先天的欠損を複数抱えています。
子宮内での発育不全も一般的で、多くは流産や死産となります。

生きて生まれても1歳未満で亡くなることが多いです。(教科書にはそう書かれてありますが、最近では平均寿命が6歳にのびています。)
生存している子供たちは、知的障害・発育障害という問題に直面します。

trisomy 13 (Patau syndrome)

13番目の染色体のコピー数が多いことで起こり、パトウ症候群とも呼ばれます。

ほとんどの子供たちは脳やその他の臓器に先天的欠損を抱えます。
多くは流産や死産となり生きて生まれても1年未満で亡くなることが多いです。

【 性染色体の数の異常(異数性)により起こる疾患 】

関連記事:性染色体とは

ターナー症候群(モノソミーX)(モノソミーX)
トリプル X症候群 (Trisomy X)
クラインフェルター症候群(XXY)
XYY症候群
XXYY 症候群

【 全染色体検査 】

1~22番の常染色体のすべてと性染色体について、数の異常がないかどうかをみることができます。
13トリソミー・18トリソミー・21トリソミーで常染色体異数性の71%を占めます。
残りの16%は常染色体のその他染色体です。
最も多く妊娠されるのは実は16番染色体です。
米国産婦人科学会は全染色体検査をルーチンに推奨はしないと決議しておりますが、それと、「検査をしてはいけない」ということとは違うと考えています。

胎児奇形に関連する染色体異数性のリスク

胎児奇形頻度染色体異数性のリスク%染色体異数性の種類
嚢胞性ヒグローマ1/5,00050~7045,X: 21: 18 : 13: 3倍体
非免疫性胎児水腫1/1,500~4,00010~2045,X: 21: 18 : 13: 3倍体
脳室拡大1/1,000~2,0005~2521: 18 : 13: 3倍体
全前脳胞症1/1,0000~1,500030~4021: 18 : 13: 3倍体
Dandy-Walker奇形1/12,0004021: 18 : 13: 3倍体
口蓋高唇裂1/1,0005~1518:13
心奇形5~8/1,00010~3045,X: 21: 18 : 13: 3倍体:
22q11.2微細欠失
横隔膜ヘルニア1/3,000~4,0005~1518: 21
食道閉鎖1/4,000100.8875
十二指腸閉鎖1/10,0003021
腹壁破裂1/2,000~4,000増加しない
臍帯ヘルニア1/4,00030~5021: 18 : 13: 3倍体
内反足1/1,0005~3018 : 13

NIPTで検査できる全染色体【1】
NIPTで検査できる全染色体染色体【2】
NIPTで検査できる全染色体染色体【3】

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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