ターナー症候群(Xモノソミー)とは|特徴や合併症、治療方法について

ターナー症候群のイメージ
ターナー症候群という病名は聞いたことがあるが、どのような病気か知らない人も多いのではないでしょうか。産まれてくる赤ちゃんがターナー症候群だったらと不安になることもあるでしょう。ターナー症候群では、低身長などの症状が現れますが、現在では病気ではなく、生まれつき持っている体質だと考えられてます。今回は、ターナー症候群の特徴や合併症、治療方法について解説していきます。

ターナー症候群(Xモノソミー)とは

ターナー症候群の核型
ターナー症候群(Xモノソミー)は、女児において2本あるX染色体の1本が部分的もしくは完全に欠失した状態で出生する性染色体異常です。
人には、46本の染色体があり、そのうちの2本が性染色体と呼ばれるものです。男性の場合XY、女性の場合XXの性染色体が通常ありますが、ターナー症候群ではその2本の性染色体に何らかの構造上の異常があります。

ターナー症候群は、出生女児の約2,500人に1人の割合で発生します。以前まで染色体異常として病気であると考えられていましたが、現在では体質や個性と捉えられています。

ターナー症候群は生まれつきのものであり、後天的に発症するものではありません。ただし、症状の程度や発生時期などには個人差があり、出生時にはターナー症候群と分からなくても、後になって分かる場合もあります。

すべてのターナー症候群の女児に症状が見られるわけではありませんが、多くの場合、複数の症状が見られます。例えば、低身長や首から肩にかけての皮膚にあるたるみなどです。二次性徴が現れなかったり、知的障害を伴ったりするケースもあります。

ターナー症候群の特徴

ターナー症候群の特徴には、以下のようなものがあります。

  • ● 低身長
  • ● 二次性徴が現れない
  • ● 首から肩にかけての皮膚にたるみがある
  • ● 知的障害を伴うケースあり

ターナー症候群の特徴の程度には個人差がありますが、多くの女児は、平均的な女児に比較して身長が低く、月経が開始しないなど二次性徴が現れません。また、首から肩にかけての皮膚にたるみがあるなどの身体的特徴もあり、知的障害を伴うケースもあります。では、それぞれの特徴の詳細について見ていきましょう。

低身長

ターナー症候群の女児には低身長が認められます。
出生時の平均身長は、ターナー症候群でない女児よりも約2cm低く、約47cmです。
多くのターナー症候群の女児は、出生後の身長の伸びも小さいのが特徴です。3歳前後になると、一般的な女児と比べて身長が低いことが目立ち始めます。

一般的な女児の身長が伸びる思春期においても、身長の伸びは小さく、成長ホルモンなどで治療しない場合、成人した時の平均身長は約138cm前後です。この平均身長は正常女性と比較すると約20cm低いものです。

二次性徴が現れない

ターナー症候群の女児は、二次性徴が現れない場合が多いです。
思春期において、性ホルモンの分泌より、体に変化が起こります。これを二次性徴と言います。一般的な女児は二次性徴で、月経が発来したり、乳房が膨らんだりし、女性らしい体に変化していきます。

ターナー症候群の女児は、卵巣機能不全であることが多いため、二次性徴が起こらない、もしくは乳房は膨らんだが月経が発来しないなどの不完全な状態が多いです。

ただし、症状には個人差があり、中には正常に二次性徴が現れるターナー症候群の女児もいますが、多くは途中で生理が止まってしまうなどの症状が見受けられます。

首から肩にかけての皮膚にたるみがある

ターナー症候群の女児には、身体的特徴もあり、首から肩にかけての皮膚にたるみが見られることが多いです。これを翼状頚と言います。

その他の身体的特徴として、手足がむくむリンパ腫や耳介の変形、肘以下が外側に反り返る外反肘などが見られます。また、背中側の髪の毛の生え際の位置が低い、爪の発達が悪いなどの症状が見られることもあります。

知的障害を伴うケースあり

ターナー症候群の女児には、まれに知的障害を伴うケースがあります。
知的障害として、非言語性学習障害や注意欠陥・多動性障害(ADHD)が認められます。
非言語性学習障害とは、文章に対する理解能力や算数能力に障害があることです。また、注意欠陥・多動性障害(ADHD)とは、発達障害の一種で、不注意や多動性、衝動性といった症状が見られる障害です。

一般的に、ターナー症候群の女児が知的障害を伴うケースは少ないと言われており、多くの女児は、一般的な子どもと同様に教育を受けることができ、就職することができます。性格も真面目であることが多いと言われています。

知的障害があった場合でも、ゆっくりと時間をかければ理解することは可能です。

ターナー症候群の女性が抱える合併症

ターナー症候群の女性は、合併症を抱える場合もありますが、多くの人は問題なく日常生活を過ごすことが可能です。

生まれつきの合併症として、ターナー症候群の女児の約20%に心臓や大血管に異常があります。心臓の左心室から出た大動脈が途中で細くなっているもの(大動脈縮窄)や大動脈二尖弁などの不定型の大動脈弁が多く見受けられます。
また、ターナー症候群の女児は左右の腎臓がくっついている馬蹄腎である場合もあります。

乳幼児期から小児期の合併症として挙げられるのが、中耳炎です。ターナー症候群の女児は中耳炎になりやすいと言われています。中耳炎は繰り返すと難聴を引き起こす恐れがあるため、注意が必要です。

成人期に出てくる可能性のある合併症は、肥満や糖尿病、骨粗鬆症や甲状腺ホルモン低下などです。また、ターナー症候群の女性の99%以上は不妊であり、通常の不妊治療で妊娠する可能性はほとんどありません。

ターナー症候群の検査方法

ターナー症候群の検査は、大きく出生前と出生後に分けられます。出生前には、非確定的検査である新型出生前診断NIPT)、確定的検査である羊水検査絨毛検査でターナー症候群であるかどうかが調べられます。出生前診断を受けておらず、出生後にターナー症候群の疑いがある場合は、女児の血液を採取し、診断します。ここからは、出生前診断の検査方法について解説していきます。

新型出生前診断(NIPT)

新型出生前診断(NIPT)は、疾患があるかどうかの可能性を調べる非確定的検査の一つです。妊娠10週頃に行います。
NIPTでは、母胎から血液を採取し、染色体異常を調べます。

検査結果は、確率で示され、結果が陽性であった場合は、診断を確定させるために羊水検査などの確定的検査を受ける必要があります。

検査の精度は99%と高く、流産などのリスクはない安全な検査です。

羊水検査

羊水検査は、診断を確定させる確定的検査の一つです。妊娠15~17週頃に行います。
羊水検査では、腹部に細い針を刺して、羊水を採取し、染色体異常を診断します。

羊水には胎児の細胞が多く含まれているため、検査の精度はほぼ100%と非常に高いです。

ただし、検査は侵襲的であるため、穿刺針によって、胎児が傷ついてしまう可能性もあります。また、流産や早産を引き起こすリスクは0.3%と言われています。

絨毛検査

絨毛検査は、羊水検査と同じく確定的検査の一つです。妊娠11~14週頃に行うことができます。
絨毛検査では、母胎から絨毛細胞を採取し、染色体異常を診断します。

絨毛検査には、経膣法と経腹法の2種類があります。
経膣法では、子宮頸管を通して絨毛細胞を採取し、経腹法では、腹壁を通して採取します。

絨毛細胞には、羊水よりも多くの胎児の細胞が含まれているため、精度はかなり高いと言えます。ただし、細胞の採取には高い医療技術を要するため、実施できる医療機関は限られています。

絨毛検査において、流産や早産などを引き起こすリスクは1%と言われており、羊水検査と比較すると高い数値です。

ターナー症候群の治療方法

ターナー症候群は、性染色体異常であるため、根治的な治療法はありません。治療は、出現している症状に対する対症療法となります。ここからは、それぞれの症状に対する治療方法について説明していきます。

低身長

低身長に対しては、成長ホルモン治療を行います。

ターナー症候群と診断された時点で、既に低身長が認められる場合は、すぐに治療を開始します。成長ホルモンは内服しても効果がないため、皮下注射を行う必要があります。

無治療の場合のターナー症候群の成人女性の平均身長は約138cmであるのに対し、治療を行ったターナー症候群の成人女性の平均身長は約145cm以上となっています。

二次性徴が現れない

二次性徴が現れないことに対しては、ホルモン補充療法を行います。

ホルモン補充療法では、エストロゲン製剤という女性ホルモンを経口もしくは経皮投与します。開始時期は、10~14歳頃で、段階的に投与量を増やしていきます。思春期以降になると、2種類の薬の投与により、一般的な女性と同様、月に1回定期的な月経がくるようにするのが治療の狙いです。

身体的特徴

手足がむくむリンパ浮腫に対しては、サポート靴下やマッサージなどでケアします。
外反肘の場合は、肘にある神経が周辺の骨に圧迫されないように手術を行います。

知的障害

知的障害に対する根治的な治療法はありません。そのため、言語療法や感覚統合療法などの療育が中心となります。また、知的障害で大切となるのは、早期からのサポートです。

知的障害があっても、社会で自立して生活できるようにするために、学習能力の向上を図ったり、コミュニケーション能力を身に付けさせたりします。

知的障害者の患者・家族の会などに参加し、情報共有することも、有益でしょう。

合併症

大動脈縮窄に対しては、通常外科的な修復が行われます。
馬蹄腎の場合、通常、症状がなければ経過を観察します。合併症が頻発したり、症状が出たりする場合には、手術を行います。

肥満や糖尿病、甲状腺ホルモン低下や骨粗鬆症に対しては、生活習慣の指導やホルモン補充療法を行います。

まとめ

女児の性染色体異常であるターナー症候群。低身長が見られたり、二次性徴が現れなかったりする場合もあります。しかし、ターナー症候群は現在では病気ではなく、生まれ持った体質や個性ととらえられています。NIPTなどの出生前診断でお腹の赤ちゃんがターナー症候群であるかを知ることができます。場合によっては治療が必要となるため、早い段階で疾患のことを知り、準備してあげることがお腹の赤ちゃんと正面から向き合うことになるでしょう。

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この記事の筆者:仲田洋美(医師)

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