欧州研究機構のアドバンスグラントで行われるNIPTの臨床試験に日本から共同参加する栄誉を頂きました。 ミネルバクリニックでは、世界中の国際認証を受けた遺伝子検査機関を厳選して業界オンリーワンの検査体制を整えています。

ミネルバクリニックは高い専門性を誇り技術で皆さんにお答えする診療を行なっているため無料相談は受け付けておりません。問診票は医師が皆さんの状態を知るためや必要な情報を伝えるために作成しており診察の一部ですので配布の時点で診療料金が発生します。

NIPT(新型出生前診断)年齢制限なしで大丈夫?|なぜ35歳以上で年齢制限しているの?

NIPT新型出生前診断認定施設では年齢制限があって35歳未満は受けることができません。この年齢制限の根拠は一体何?若い人は受けてはいけないの?認定外では年齢制限なしだけど大丈夫?という疑問にお答えします。

NIPT(新型出生前診断)にはなぜ年齢制限が付けられていたのか?

胎児染色体疾患スクリーニング検査の歴史

ダウン症21トリソミー)の血清スクリーニング母体血清マーカー)は1980年代に利用できるようになり、それ以来、アルファフェトプロテイン(AFP)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン非抱合型エストリオールインヒビンA、および妊娠関連血漿蛋白A(PAPP-A)を含む血清分析や、その組み合わせを利用して、多数のスクリーニングオプションが進化してきました。超音波マーカー(第1期の後頚部浮腫(NT)やや鼻骨の欠損、第2期の鼻骨のエコー輝度増加などのマーカー)も使用しています。さらに、スクリーニングは現在、ダウン症候群(21トリソミー)を超えて、13トリソミーおよび18を含むように拡大しています。

絨毛膜絨毛採取または羊水穿刺という形での異数体症に対する侵襲的検査は、伝統的に分娩時年齢が35歳以上であるか、または胎児染色体異数性トリソミーなど)の他の危険因子を有する女性に実施されてきました。異数性とは数字が以上になっていることで、染色体は通常2本ですが、それが3本になったのがトリソミー、1本になっているのがモノソミーです。この変化は、出生前スクリーニングと診断検査を取り巻く意思決定における患者の好みの重要性が、侵襲的診断手技による流産率が実際には低いことと、マイクロアレイを用いて染色体異常やその他の遺伝症候群を包括的にスクリーニングできることと相まって、認識されるようになった結果でです。スクリーニングの進化に伴い、偽陽性率を最小限に抑えながら検出率を最大化することが目標とされてきました。

なぜ35歳以上で年齢制限だったの?

それでは、なぜ年齢を35歳で区切るのでしょうか?
母体年齢とダウン症(21トリソミー)児の確率
それは、このグラフを見てもわかるとおり、年齢が35歳になると急にダウン症候群(21トリソミー)のお子さんを妊娠する確率が高まる、つまりダウン症候群(21トリソミー)の有病率が高まるからです。
セルフリーDNAを用いた妊婦の胎児染色体異数性(トリソミー)検査(NIPT/新型出生前診断)は、2011年にこの技術が商業的に利用可能になって以来、飛躍的に増加しています。それ以来、多くの臨床試験で、高リスク集団における一般的な異数性体(トリソミー)のスクリーニングに高い感度と特異性が示されてきました。
しかし、実際に陽性になった人が陽性である確率(陽性的中率)はその人が属する集団の有病率(事前確率)が高いほど高くなります。
詳細は関連記事でご覧ください:ベイズの定理
もう一つの理由は出生前検査がスクリーニング検査であることと関係しています。
関連記事:スクリーニング検査とは?
スクリーニング検査である以上、コストベネフィットも求められますので、有病率の高い集団にする、ということで35歳以上を対象に出生前検査が歴史的に行われてきました。

 

NIPTを年齢制限なしに35歳未満で受ける事の意味は?

年齢35歳未満の低リスク集団におけるNIPT(新型出生前診断)の検査性能評価研究では、従来の血清ベースのスクリーニング戦略と比較して検出率が向上していることも実証されています。このため、海外では現在、すでにNIPTに対する年齢制限なしが標準です。

それでは、低リスク患者がNIPT(新型出生前診断)を受けることの意味を考えていきましょう

本当に年齢制限なしでいいのでしょうか?出生前スクリーニングは、現在、母体の年齢や家族歴に関係なく、胎児の多くの遺伝的障害、染色体異数性、構造的先天異常のために、妊娠中に推奨されています。妊娠第1期、第2期に染色体異数性異常のリスク評価を行うために、超音波検査および母体血清を用いた幅広い選択肢があります。
胎児の異数体症のためのNIPT(新型出生前診断)は、2011 年以来世界中で臨床的に利用可能となり、特にハイリスク集団では、利用がすすんできました。
最近のデータによると、低リスク集団でも、NIPT(新型出生前診断)は従来型のスクリーニング検査同様にトリソミー21に対して非常に高い感度と特異性を持っていることが示されています。
低リスク(年齢35歳未満)の患者、つまり年齢制限なしの妊婦の一次スクリーニングとしてのこの検査の妥当性はどうなのでしょうか?

NIPT(新型出生前診断)の検査の妥当性

13トリソミー性染色体異常に対する感度はやや低いですが、特異度はそれぞれの状態で 99%以上であり、偽陽性率は非常に低いことを意味しています。
染色体異数性の同定におけるcfDNA精度は、胎児と母体のDNAの相対的な量、染色体異常が存在する可能性(すなわち、母体の年齢や他のスクリーニングの結果に基づくリスク)、双子や非嫡出性の第二胎児の存在、胎盤モザイク症の存在などの他の要因を含むいくつかの要因に依存しています。
これらの変数のため、偽陽性と偽陰性の両方の結果が起こり得、この検査は診断的なものではなく、むしろスクリーニング検査と考えられています。陽性の結果が出たからといって、胎児が確実に染色体異数性障害の影響を受けていることを意味するわけではありません。

低リスク(年齢35歳未満)の患者に対する年齢制限なしのNIPT(新型出生前診断)の利点は何か?

NIPT(新型出生前診断)は、従来のスクリーニングや診断検査と比較して、いくつかの利点があります。ダウン症(21トリソミー)では、母体血清マーカー超音波マーカー(後頚部浮腫NTなど)を用いた従来の異数体スクリーニングよりも検出率が高く、偽陽性率も低くなっています。
低リスク患者における年齢制限なしNIPT(新型出生前診断)の長所は
1.高い検出率と非常に低い誤検出率
2.妊娠10週以降、いつでも実施可能
3.妊娠年齢に関係なく1回の血液検査が必要
4.結果はシンプルに「はい」または「いいえ」の形式で表示されます。
5.他のスクリーニング検査と同様に、NIPT(新型出生前診断)は非侵襲的検査です。

NIPT(新型出生前診断)では、複数の血清マーカーや超音波検査所見との統合を必要としないシンプルな血液検査が行われます。
また、結果は一般的に「はい」または「いいえ」のシンプルな形式で表示されるため、医療従事者や患者にとって理解しやすいものとなっています。

低リスク(年齢35歳未満)の患者に対する年齢制限なしNIPT(新型出生前診断)の欠点は何か?

1.低リスクの患者さんではまれな、限られた範囲の状態の検査をすることになる
2.羊水穿刺や絨毛膜絨毛サンプリングによる診断検査ほど包括的または決定的なものではありません。
3.結果は患者の事前のリスクを調整していないため陽性的中率が低くなる
4.ポジティブな結果には、提供者によるポジティブな予測値の計算と解釈が必要
5.胎児のDNAが低いなどの要因で検査が不合格になるケースがある
6.バニシングツインでは使用できません ※できる検査会社もあります
7.不確実な意味の母体の状態を明らかにすることができる

NIPT(新型出生前診断)の限界とは?

他の非侵襲的スクリーニング検査と同様に、NIPT(新型出生前診断)は妊娠に流産などの直接的なリスクをもたらしません。しかし、この検査には限界があります。
NIPT(新型出生前診断)が低リスクの女性には最適な選択ではないかもしれない理由の1つは、ダウン症候群(21トリソミー)は年齢35歳未満というこのグループでは非常にまれであるため、NIPT(新型出生前診断)は稀な状態に対する非常に精密な検査であるということです。一方、従来のマルチプルマーカースクリーニングは、他の構造的な先天異常だけでなく、早産、子癇前症、胎児の成長制限などの産科的合併症も含めて、妊娠に影響を及ぼす可能性のある幅広い周産期の有害な転帰のリスクをシグナリングする上で、より効果的です。

NIPT(新型出生前診断)を受ける多くの女性は、実際には、低リスクの女性におけるすべての可能性のある先天異常に対するNIPT(新型出生前診断)のカバー率は非常に限られていますが、すべての先天異常に対する決定的な検査を受けたという印象を受けます。

NIPT(新型出生前診断)のための血液サンプルの入手が容易であることは、この検査の利点です。しかし、検査は簡単に行えるため、検査前のカウンセリングや配慮が不十分なまま行われることが多くなっています。検査が簡単にできるからといって、検査で何が測定でき、何が測定できないのか、そして検査の結果がどのようなものであるのかを各女性が理解していることを確認するための十分な話し合いの必要性を否定するものではありません。

NIPT(新型出生前診断)のもう一つの利点として認識されているのは、結果が簡単に表示されることです。報告は様々ですが、一般的には非常に二分化された結果が報告されています。トリソミーのリスクは、”陽性”、または “陰性”、または “検出された”、または “検出されなかった”として報告されます。

検査室のなかには、異数性体の”可能性”を報告しているところもあります。この方式の報告書では、リスクが高い患者では99%以上、リスクが低い患者では10,000人に1人以下であるとほぼ常に述べられています。

これらの結果はすべて、診断の確実性がほぼ確実であることを示唆しています。しかし、この報告は、各患者の以前のリスクや背景にあるリスクを考慮していないため、単純化されすぎており、誤解を招きやすいのが大きな欠点です。陽性結果が真の陽性である確率は年齢20歳と年齢35歳の女性では大きく異なりますが、この報告では陽性的中率(PPV)の違いは反映されていません。

                         感度×事前確率
PPV (陽性的中率中率)= —————————————————–
                 感度×事前確率+(1-特異度)×(1-事前確率)

として計算されますので、事前確率=その集団の有病率 は陽性的中率に大きな影響を与えます。

したがって、個々の患者のリスクを正確に解釈するには、陽性的中率の計算が必要となります。

症例を考えてみましょう

【case1】Aさん、年齢24歳。妊娠10週でNIPT(新型出生前診断)を受けたところ、結果は13トリソミー陽性でした。彼女の理解では、検査の精度は99%以上であり、これは胎児の13トリソミーの可能性が99%以上であることを意味すると解釈しています。彼女は取り乱して、妊娠中絶しようと思いました。
Aさんは、「若いからまたいつでも妊娠できる。次は大丈夫な子供を持てるわ。中絶は早ければ早いほど母体に優しいってネットに書いてあるし。」とそのまま中絶手術を受けてしまいました。
胎児が13トリソミーである可能性(陽性的中率PPV)を上記の式に当てはめて計算すると、Aさんの年齢ではたった6%しかありません。94%は外れています。

【case2】Bさん、年齢25歳。妊娠10週でNIPT(新型出生前診断)を受けたところ、結果は18トリソミー陽性でした。彼女の理解では、検査の精度は99%以上で、これは胎児の18トリソミーの可能性が99%以上であることを意味すると解釈しています。彼女は取り乱しましたが、結果が届くと同時に「陽性の結果だったときには必ずすぐ連絡をください」と書かれてあったので、遺伝カウンセリングを受けたクリニックに電話し、再面談の予約も取りましたし、その日少し医師と話をすることができました。
胎児が18トリソミーである可能性(陽性的中率PPV)を上記の式に当てはめて計算すると、Bさんの年齢では15%しかありません。85%は外れています。医師から話を聞いたBさんは、羊水検査までの不安な時期をときどき医師に再度相談したりしながら過ごし、羊水検査までたどり着き、”正常”の結果をもらいました。もちろん、無事に出産しました。かわいい女の子を育てています。

【case3】Cさん、27歳。妊娠11週でNIPT(新型出生前診断)を受けたところ、結果は18トリソミー陽性でした。彼女の理解では、検査の精度は99%以上で、これは胎児の18トリソミーの可能性が99%以上であることを意味すると解釈しています。しかし、陽性的中率が17%ときき、8割異常は外れているのだからと期待して羊水検査を受けました。ところが、結果はやはり陽性。超音波検査などほかの異常は羊水検査の時期になっても何も指摘されていませんでした。Cさんは、NIPT(新型出生前診断)を受けなければお腹の赤ちゃんが18トリソミーだと知る由もなく、そのままもっと妊娠経過を過ごしていたかもしれません。元気そうな赤ちゃんの超音波画像に後ろ髪をひかれながら、やはり現代医療でも18トリソミーの平均寿命は6歳であることもきき、中絶することにしました。初めての妊娠でとてもつらかったですが、それでもNIPT(新型出生前診断)を受けなければわからなかったということに関しては納得しています。

NIPT(新型出生前診断)の問題点

NIPT(新型出生前診断)は非常に急速に普及しています。遺伝学的検査の複雑さや統計解析に精通していない開業医が広く利用すると、検査の特徴を誤解して不適切な推奨や決定がなされたり、行動が取られたりすることに帰結することが問題となります。

上記AさんとBさんで全く異なる帰結を迎えました。
生命はなによりも尊いものです。
混乱するなか、冷静さを保てる環境が何より大事だと考えています。
遺伝カウンセリングがNIPT(新型出生前診断/新型出生前検査)で重要なのは、こうした理由からです。
混乱していない人に話をするのは割と簡単です。冷静さを失って取り乱す人に、落ち着きを取り戻していただいて羊水検査までの何週間と結果が出るまでの時間を耐えていただくには、相当な納得をしていただかないといけません。納得していただくには理屈が必要です。
その理屈、つまり科学的根拠を正確性をもって、しかも、経験も交えながらきちんと提示してベストな選択に患者さんをサポートするのが、遺伝カウンセリングを行う臨床遺伝専門医の仕事です。

NIPT(新型出生前診断/新型出生前検査)検査前に理解すべきこと

NIPT(新型出生前診断/新型出生前検査)はトリソミー21の最も正確なスクリーニング検査です。
NIPT(新型出生前診断/新型出生前検査)はスクリーニング検査であり、偽陽性や偽陰性の結果が出ることがあります。
NIPT(新型出生前診断/新型出生前検査)で異常のある女性には絨毛膜絨毛採取または羊水穿刺による診断確認が推奨されます。
NIPT(新型出生前診断/新型出生前検査)が陰性であればリスクは低下するが、トリソミー21や他の染色体の状態を除外するものではありません。
NIPT(新型出生前診断/新型出生前検査)はすべての染色体の状態を検査するわけではありません。
妊娠中の染色体の状態に関する決定的な情報を希望する女性は、絨毛検査や羊水穿刺による診断検査を検討する必要があります。
すべての遺伝子検査は任意です。女性がスクリーニング検査を受けるか、診断検査を受けるか、検査を受けないかは個人の決定であり、どの検査も妊婦にとっては合理的な選択肢です。

この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号

 

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