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NIPTで全染色体検査

遺伝専門医が一般の方向けになるだけわかりやすく説明しますに戻る

染色体異常とは?

染色体の数が1つ余分にある: トリソミー (Triは3という意味です)
どの染色体の異常も流産、子宮内胎児死亡、死産などの妊娠中の事故や生まれたあかちゃんの
先天異常、知的障害、短命などを引き起こします。
予後は以下に影響されます。
-失われるまたは余分にある遺伝情報量(常染色体モノソミーはトリソミーより予後不良)
モザイクがあるかどうか
-他の染色体異常があるかどうか

参考文献:

Gardner RJM, Sutherland GR, Shaffer LG. (2012). Chromosome abnormalities and Genetic Counseling. New York, New York: Oxford University Press.

 

全染色体検査の結果に影響する例をみてみましょう

一過性の着床または非着床を伴う、胚盤胞形成の破綻 :トリソミー1、ほとんどのモノソミー
通常妊娠初期における自然流産を伴う胚形成の脱転:大部分のトリソミー
正常な子宮内形態形成の主な破綻、死産または早期を伴う新生児死亡:18トリソミー、13
正常な子宮内形態形成の大きな破綻であるが、一部の子宮外生存を伴う: 4p症候群
正常な子宮内発育の中等度の歪み、実質的子宮外生存可能、知的障害: 21トリソミー
最小の身体的表現型効果、様々な程度の知的障害、妊孕性の障害の可能性:モノソミーX
識別可能な身体的表現型の影響なし、認知機能は正常範囲内であるが、家族の背景から予想されるより少ない: 若干の微小重複

 

染色体異常の検出頻度

 

検体 主要なトリソミー (21,18,13) 稀なトリソミー
絨毛検査”}”>絨毛検査 5.06%
(532/10,511)
0.56%
(59/10,511)
羊水検査 1.02%
(748/73,268)
0.05%
(30/73,268)
2.1%
(235/11,066)
0.12%
(13/11,066)

 

1.Konialis C, Pangalos C. Dilemmas in prenatal chromosomal diagnosis revealed through a single center’s 30 years’ experience and 90,000 cases. Fetal Diagn Ther 2015; 38(3):218-232.
2.Comas C, Echevarria M, Rodríguez I, Serra B, Cirigliano V. Prenatal invasive testing: a 13-year single institution experience. J Matern Fetal Neonatal Med 2014 Aug;27(12):1209-12.

染色体番号による予後の違いを見てみましょう

予後
Trisomy1 枯死卵
Trisomy2 生存不能
Trisomy3 報告例なし
Trisomy4 稀; 生存不能
Trisomy5 生存不能
Trisomy6 生存不能
Trisomy7 生存不能
Trisomy8 生存不能
Trisomy9 報告例あり
Trisomy10 生存不能
Trisomy11 生存不能
Trisomy12 生存不能
Trisomy13 報告例あり
Trisomy14 Notviable
Trisomy15 報告例あり
Trisomy16 Notviable
Trisomy17 Notviable
Trisomy18 報告例あり
Trisomy19 非常にまれ;生存不能
Trisomy20 報告例あり
Trisomy21 報告例あり
Trisomy22 報告例あり

 

主要ではない染色体の異常を持っていた胎児の割合をみてみましょう

染色体異常胎児のうち主要ではない染色体の異常を持っていた胎児の割合
Nicolaides1992
(全例超音波異常所見あり)
1.7%
(5/301)
Hume1995 13.6%
(90/664)
Brady2014
(全例超音波異常所見とマイクロアレイで染色体異常あり)
8.1%
(3/37)

Nicolaides KH, Snijders RJM, Gosden CM, Berry C, Campbell S. Ultrasonographically detectable markers of fetal chromosomal abnormalities. Lancet 1992;340:704-707 Daniel A, Athayde N, Ogle R et al. Prospective ranking of the sonographic markers for aneuploidy: Data of 2143 prenatal cytogenetic diagnoses referred for abnormalities on ultrasound. Aust NZ Jrnl of Obstet Gynecol 2003; 43:16-26
Hume RF, Kilmer-Ernst P, Wolfe H, et al. Prenatal cytogenetic abnormalities: Correlations of structural rearrangements and ultrasonographically detected fetal anomalies. Am J Obstet Gynecol 1995; 173:1334-1338
Brady PD, Ciaie BD, Christenhusz G, et al. A prospective study of the clinical utility of prenatal chromosomal microarray analysis in fetuses with ultrasound abnormalities and an exploration of a framework for reporting unclassified variants and risk factors. Genet Med 2014; 16(6):469-476

 

NIPTによる全染色体検査の精度をみてみましょう

感度 95%CI 特異度 95%CI
全染色体検査 98.70% 96.1%-99.6% 99.95% 99.62%–>99.99%

 

低頻度のトリソミーの結果が出たらどうしたらいいの?

低頻度(13・18・21トリソミー以外の)トリソミーの結果が出た時には
まずは染色体検査に精通した医師にコンサルトしてアドバイスをもらってください。
この検査は陽性的中率は出てきません。
落ち着いて対応しないといけないので、必ず信頼できて遺伝医学に精通した医師を受診してください。
(ミネルバクリニックでは臨床遺伝専門医ですので安心です。)

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プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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