目次
子宮体がん(子宮内膜がん)でいちばん大切なサインは不正出血、とくに閉経後の出血です。子宮体がんの患者さんの約90%に不正出血がみられ、茶色いおりものだけのこともあります。なりやすいのは、肥満や糖尿病、出産経験がない、閉経が遅いなど、エストロゲン(卵胞ホルモン)の影響を長く受けてきた人です。一方で、子宮体がんの約3%は、遺伝性のリンチ症候群が原因で起こります。この記事では、子宮体がんの症状と初期のサイン、なりやすい人、検査と治療、生存率の目安に加えて、遺伝との関係を臨床遺伝専門医の立場から解説します。
Q. 子宮体がんの初期症状は何ですか?
A. 最も多いのは不正出血です。閉経後の出血、月経以外の出血、茶色いおりものが初期のサインになります。痛みは進行してから出ることが多く、初期には痛みがないのがふつうです。閉経後に出血があった人のうち子宮体がんと診断されるのは約9%で、多くは別の原因ですが、どちらであっても婦人科で調べる必要があります。家族に大腸がんや子宮体がんが多い場合は、遺伝性のリンチ症候群も考えます。
- ➤子宮体がんとは → 子宮の奥(体部)の内膜から発生するがん。生涯で43人に1人がかかる
- ➤症状 → 不正出血(約90%)が最重要。閉経後の出血は少量でも受診の対象
- ➤なりやすい人 → 肥満・糖尿病・PCOS・出産経験なし・閉経が遅い・タモキシフェン使用など
- ➤遺伝の視点 → 約3%はリンチ症候群。がん組織のMMR検査が遺伝に気づく入口になる
1. 子宮体がんとは|子宮内膜から発生するがん
子宮体がん(しきゅうたいがん)とは、子宮の奥にある袋状の部分(子宮体部)の内側を覆う子宮内膜から発生するがんです。発生する場所から「子宮内膜がん」とも呼ばれます。子宮内膜は月経のたびにはがれ落ちて再生する組織で、その増殖を促すのが女性ホルモンのエストロゲンです。子宮体がんの多くがエストロゲンと深く関わるのは、この内膜の性質によるものです。
子宮体部には、内膜のほかに筋肉の層(子宮筋層)があり、ここから発生する悪性腫瘍は「子宮肉腫」と呼ばれて、子宮体がんとは別の病気として扱われます。子宮体部にできる悪性腫瘍の大部分は、内膜から発生する子宮体がんです。
子宮頸がんとの違い
子宮体がんと子宮頸がんは、同じ「子宮がん」でも、発生する場所、原因、検診の仕組みがまったく異なる病気です。子宮頸がんは子宮の入り口(頸部)にでき、主な原因はヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染です。一方、子宮体がんは子宮の奥の内膜にでき、HPVとの関係はなく、主にエストロゲンの作用や遺伝的な要因が関わります。
検診の仕組みも違います。市区町村が行う住民検診として国の指針に定められているのは、胃がん、子宮頸がん、肺がん、乳がん、大腸がんの5種類で、子宮体がんは含まれていません[1]。つまり、子宮頸がん検診を受けていても、子宮体がんを調べたことにはなりません。子宮頸がんについては子宮頸がんの原因と治療で詳しく解説しています。
📘 子宮体がんと子宮頸がんの違い
| 項目 | 子宮体がん | 子宮頸がん |
|---|---|---|
| 発生する場所 | 子宮の奥(体部)の内膜 | 子宮の入り口(頸部) |
| 主な原因 | エストロゲンの作用、肥満・糖尿病、遺伝(リンチ症候群など) | HPVの持続感染 |
| 住民検診 | 国の指針の対象外 | 国の指針の対象 |
※住民検診の範囲は厚生労働省の指針[1]による。
子宮体がんの種類(I型・II型と、遺伝子による新しい分類)
子宮体がんは、従来はエストロゲンとの関係からI型とII型の2つに分けて説明されてきましたが、現在はがんの遺伝子の特徴にもとづく4つの分類が国際的な標準になっています。
I型は、プロゲステロン(黄体ホルモン)で打ち消されないエストロゲンに長くさらされることで、内膜が厚くなりすぎ(子宮内膜増殖症)、そこからがんが生じるタイプです。閉経前後の世代に多く、比較的おとなしい性質のものが多いとされます。II型はエストロゲンとの関係が薄く、閉経後の高齢の女性に多く、悪性度の高い組織型(漿液性がんなど)が含まれます。
2013年、米国のがんゲノム研究(TCGA)は、子宮体がんを遺伝子の変化のパターンから、POLE超変異型、マイクロサテライト不安定性(MSI)型、低コピー数型、高コピー数型(漿液性に似たもの)の4群に分けられることを示しました[2]。これを実際の病理検査に落とし込んだのが、POLE変異型、ミスマッチ修復(MMR)欠損型、特定の分子プロファイルなし(NSMP)、p53異常型の4分類です。欧州の婦人科腫瘍学会などの2025年版ガイドラインは、すべての子宮体がんでこの分子分類を行うべきとしており[3]、国際産婦人科連合(FIGO)の2023年の進行期分類にも分子分類が組み込まれました[4]。
💡 用語解説:分子分類
がん細胞の遺伝子の変化の特徴で、がんをグループ分けする考え方です。POLE変異型は見た目が悪性度の高いがんでも経過が良いことが多く、p53異常型は再発しやすい傾向があります。ミスマッチ修復(MMR)欠損型は、後で説明する遺伝性のリンチ症候群を見つける手がかりにもなります。顕微鏡で見た形だけでは分からない性質を補い、治療方針の選択に使われます。
この分類は、子宮内膜の増殖を促すエストロゲンの作用だけでは説明しきれない、子宮体がんの多様さを示しています。
何人に1人?患者数と多い年齢
日本人女性が生涯に子宮体がんと診断される確率は2.3%で、およそ43人に1人です(2023年のデータにもとづく推計)[5]。2023年に新たに子宮体がんと診断された人は19,945人、2024年に子宮体がんで亡くなった人は3,136人でした[6]。
年齢とともにかかる人の割合が上がり、50代以降に多くなります[6]。閉経を迎える時期と重なるため、更年期の不規則な出血と区別がつきにくいことが、受診の遅れにつながる場合があります。40代以下でも発症することがあり、若い年齢での発症は、次に説明するように遺伝的な背景を考えるきっかけにもなります。
2. 子宮体がんの症状|いちばん大切なサインは不正出血
子宮体がんの症状で最も多く、最も大切なのは不正出血です。日本婦人科腫瘍学会は、子宮体がんの患者さんの90%に不正性器出血がみられると説明しています[7]。子宮体がんは内膜という出血しやすい場所にできるため、比較的早い段階から出血として表に出やすいがんです。これが、子宮体がんが早期に見つかりやすい理由でもあります。
初期症状・前兆:閉経後の出血と月経以外の出血
初期症状として注意したいのは、閉経後の出血と、月経とは関係のない時期の出血です。閉経後は本来出血しないため、少量でも出血があれば原因を調べる必要があります。閉経前の人では、月経と月経の間の出血や、月経が長引く、量が増えるといった変化がサインになります。
米国国立がん研究所の研究者らによるメタ解析(129研究)では、子宮体がんの女性の約90%が診断前に閉経後の出血を経験していました。一方、閉経後の出血で受診した女性のうち、実際に子宮体がんと診断されたのは約9%でした[8]。
この2つの数字は、両面から読む必要があります。閉経後に出血があっても、約9割はがん以外の原因(内膜の萎縮、ポリープなど)です。とはいえ、子宮体がんのほとんどが出血をきっかけに見つかることも事実です。閉経後の出血は、少量でも一度は婦人科で原因を確かめる対象です。出血がどのくらい続いたら受診すべきかについては、不正出血はどのくらい続いたら病院へ行くべきかで詳しく解説しています。
出血の特徴とおりもの(茶色・水っぽい・においのあるもの)
子宮体がんの出血は、はっきりした鮮血とは限らず、茶色いおりもの(褐色帯下)だけのこともあります[7]。少量の出血が腟の中で時間をおいて出てくると、茶色く見えるためです。「生理の終わりかけのようなおりものが続く」「下着に茶色いしみが付く」といった形で気づく人もいます。
進行すると、水っぽいおりものや、膿が混じって色が黄色っぽく、においのあるおりものが出ることもあります。ただし、おりものの色やにおいの変化は、腟炎などほかの原因でもよく起こります。おりものの見た目だけで子宮体がんかどうかを判断することはできません。
閉経前の不正出血は、ホルモンバランスの乱れのほか、子宮筋腫や子宮内膜ポリープ、子宮頸部の病変などでも起こります。出血の原因がどれにあたるかは、内診や超音波、内膜の検査を組み合わせて調べます。
どこが痛む?進行したときの症状
子宮体がんは、初期にはふつう痛みがありません。痛みが出てくるのは、がんが子宮の筋層の深くまで入り込んだり、子宮の外へ広がったりしてからのことが多いです。
進行すると、下腹部の痛みや、腰・骨盤まわりの痛みが出ることがあります。がんが大きくなって周囲を圧迫すると、排尿や排便の異常、足のむくみが起こることもあります。腹膜に広がると、おなかの張り(腹部膨満感)や、腹水がたまることがあります。さらに進むと、食欲の低下や体重の減少がみられることもあります。
「痛くないから大丈夫」とはいえない点が、子宮体がんの注意点です。痛みを待たずに、出血という早い段階のサインで受診することが、早期発見につながります。
受診の目安セルフチェック
次の項目のうち、出血に関する項目が1つでもあてはまる場合は、婦人科で原因を調べることを検討してください。リスクに関する項目は、それだけで受診が必要というものではありませんが、出血があった場合に子宮体がんの可能性を考える材料になります。
🩺 受診の目安チェックリスト
□ 閉経後に出血があった(少量・1回だけでも)
□ 月経以外の時期に出血がある、月経が長引く・量が増えた
□ 茶色いおりものが続く
□ 肥満、糖尿病、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)がある
□ 出産経験がない、または閉経が遅かった
□ 乳がん治療でタモキシフェンを使っている(使っていた)
□ 血縁者に大腸がん・子宮体がん・胃がん・尿路のがん・卵巣がんの人が複数いる、または若くして発症した人がいる
最後の家族歴の項目は、遺伝性のリンチ症候群を考える手がかりになります。この点は第4章で詳しく説明します。
3. 子宮体がんになりやすい人・原因
子宮体がんになりやすいのは、プロゲステロン(黄体ホルモン)で打ち消されないエストロゲンに長くさらされてきた人です。通常、月経周期の後半には排卵後の黄体からプロゲステロンが分泌され、エストロゲンによる内膜の増殖にブレーキがかかります。このブレーキが働かない状態が続くと、内膜が厚くなり続け、がんが生じやすくなります。
エストロゲンに長くさらされる要因
肥満、出産経験がないこと、閉経が遅いこと、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、エストロゲン単独のホルモン補充療法、乳がん治療薬のタモキシフェンは、いずれも子宮体がんのリスクを高めます。米国国立がん研究所(NCI)の専門家向け情報では、それぞれのリスクの大きさが次のように示されています[9]。
📊 子宮体がんのリスクを高める主な要因
| 要因 | リスクの大きさ(相対リスク) | 仕組み |
|---|---|---|
| 肥満 | BMIが5上がるごとに約1.5倍 | 脂肪組織で男性ホルモンがエストロゲンに変換される |
| 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS) | 約3倍 | 排卵が起こりにくく、プロゲステロンが不足する |
| 閉経が遅い | 約2.2倍 | エストロゲンにさらされる期間が長くなる |
| 出産経験がない | 約1.6倍 | 妊娠中のプロゲステロン優位の期間がない |
| エストロゲン単独の補充療法(5年以上) | 2倍以上 | プロゲステロンによるブレーキがない |
| タモキシフェン(2年を超える使用) | 2.3〜7.5倍 | 子宮内膜にはエストロゲンのように作用する |
※数値はNCI PDQ(2025年4月更新)[9]による。いずれも集団での相対リスクで、個人が子宮体がんになる確率を示すものではありません。
多嚢胞性卵巣症候群は、排卵が起こりにくく、プロゲステロンが出る時期がないまま内膜がエストロゲンの刺激を受け続けやすい状態です。PCOSの特徴や遺伝との関係は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とはで解説しています。
タモキシフェンは、乳房ではエストロゲンの働きを抑えますが、子宮内膜ではエストロゲンに似た作用を示します。ただし、乳がんに対するタモキシフェンの効果は、子宮体がんのリスクを上回ると考えられています。自己判断で中止せず、不正出血があれば主治医に伝えることが大切です。なお、子宮がある人の更年期のホルモン補充療法では、内膜を守るためにプロゲステロン製剤を併用するのが一般的です。
糖尿病・高血圧とインスリン
糖尿病のある人は、子宮体がんのリスクがおよそ2倍になると報告されています[9]。2型糖尿病では、血糖値を下げるインスリンの効きが悪くなる(インスリン抵抗性)ため、すい臓はより多くのインスリンを分泌し、血中のインスリン濃度が高い状態(高インスリン血症)になります。
インスリンやその仲間のホルモンには、細胞の増殖を促す作用があります。また、高インスリン血症はエストロゲンの作用を強める方向にも働きます。肥満、糖尿病、高血圧は同じ人に重なって起こりやすく、子宮体がんのリスク因子としてまとめて挙げられることが多いのは、このような代謝の背景を共有しているためです。
肥満や糖尿病がない人でも子宮体がんになることはあり、リスク因子がないことで子宮体がんを否定できるわけではありません。
20代・30代でもなる?若い発症で考えること
子宮体がんは50代以降に多いがんですが、20代・30代で発症することもあります。若い世代の子宮体がんでは、PCOSや高度の肥満などで長く排卵がない状態が続いていたケースのほか、遺伝性のリンチ症候群が背景にあるケースが含まれます。
若い年齢でがんを発症すること自体が、遺伝性腫瘍を考える手がかりのひとつです。遺伝性腫瘍では、生まれつき持っている遺伝子の変化のために、同じ年代の人より早くがんが生じやすくなるためです。本人が若くして子宮体がんと診断された場合や、血縁者に若くしてがんになった人がいる場合は、次の章で説明する遺伝の視点からの確認が役に立ちます。
また、若い世代の子宮体がんでは、妊娠を希望しているかどうかが治療方針に関わります。この点は第6章の妊孕性温存療法で説明します。
4. 遺伝の視点|子宮体がんとリンチ症候群
子宮体がんのほとんどは遺伝とは関係なく起こりますが、一部は生まれつきの遺伝子の変化によって起こる「遺伝性腫瘍」です。その代表がリンチ症候群です。遺伝性のがん全体の考え方については「がんは遺伝する」は本当かで解説しています。この章では、子宮体がんに関わる遺伝の話に絞って説明します。
子宮体がんの数%は遺伝性のリンチ症候群
子宮体がん全体の約3%は、リンチ症候群によって起こると推計されています。53研究・12,633人の子宮体がんを統合した解析では、がん組織にミスマッチ修復の異常がみられたのは約26〜27%で、そのうち約29%に生まれつきの病的バリアントが見つかりました。この結果から、子宮体がんの約3%がリンチ症候群によると結論づけられています[10]。これは大腸がんでリンチ症候群が占める割合とほぼ同じです。
リンチ症候群は、DNAの複製の誤りを修復する「ミスマッチ修復」に関わる遺伝子(MLH1、MSH2、MSH6、PMS2、およびEPCAM)のどれかに、生まれつき病的バリアントを持つ体質です。常染色体顕性(優性)遺伝の形式で受け継がれ、親がこの体質を持つ場合、子に伝わる確率は性別に関係なく2分の1です。
女性のリンチ症候群では、子宮体がんが大腸がんと並ぶ代表的ながんで、生涯に子宮体がんになるリスクは最大で60%程度と報告されています[9]。ただし、リスクは原因遺伝子によって大きく異なります。6,350人の保因者を追跡した国際データベースの解析では、MSH6の病的バリアントを持つ女性は子宮体がんのリスクが高い一方で大腸がんのリスクは中等度にとどまり、PMS2ではがんのリスクの明らかな上昇は示されませんでした[11]。同じリンチ症候群でも、どの遺伝子かで対策の考え方が変わります。
🧬 リンチ症候群の原因遺伝子と子宮体がんとの関係
| 遺伝子 | 子宮体がんとの関係の特徴 |
|---|---|
| MLH1・MSH2 | 大腸がん・子宮体がん・卵巣がんのリスクがともに高い。MSH2では高齢になると尿路・上部消化管などのがんも増える |
| MSH6 | 子宮体がんのリスクが高い一方、大腸がんのリスクは中等度 |
| PMS2 | 大規模解析ではがんリスクの明らかな上昇は示されていない |
| EPCAM | 欠失によって隣接するMSH2が働かなくなることで発症する |
※MLH1・MSH2・MSH6・PMS2の特徴は国際データベースの解析[11]による。遺伝子ごとの詳しいリスクはリンチ症候群のページをご覧ください。
家族歴で気をつけたいパターン
血縁者に大腸がんや子宮体がんが多い、若くして発症した人がいる、同じ人が複数のがんになっている、といった家族歴は、リンチ症候群を疑う手がかりになります。リンチ症候群の古典的な診断基準である「アムステルダム基準II」でも、大腸がんに加えて子宮体がんなどリンチ症候群に関連するがんが、家系の中にどう現れているかが判断の軸になっています[12]。
リンチ症候群に関連するがんには、大腸がんと子宮体がんのほかに、卵巣がん、胃がん、小腸がん、腎盂・尿管のがん、胆道・すい臓のがん、脳腫瘍などがあります。気をつけたいのは、次のようなパターンです。
- 親・きょうだい・子に、大腸がんや子宮体がんの人が複数いる
- 50歳未満で大腸がんや子宮体がんを発症した血縁者がいる
- 同じ人が、大腸がんと子宮体がんのように複数のリンチ関連がんにかかっている
- 2世代以上にわたって、リンチ関連がんの人がいる
ただし、家族歴だけでは拾いきれないリンチ症候群も多くあります。家族が少ない、がんの病名が正確に伝わっていない、若いうちに別の理由で亡くなった人がいる、といった事情があるためです。そこで重要になるのが、次に説明するがん組織の検査です。
がんの組織の検査(MMR・MSI)が遺伝に気づく入口になる
子宮体がんと診断されたときに行う、がん組織のミスマッチ修復(MMR)の検査が、リンチ症候群に気づく入口になります。欧州の2025年版ガイドラインは、すべての子宮体がんでMMRたんぱく質の免疫染色を行い、MLH1の染色が消えている場合にはMLH1プロモーターのメチル化も調べるよう推奨しています。そのうえで、リンチ症候群の可能性が高いと判断された人には、遺伝カウンセリングと遺伝学的検査、サーベイランスを提示すべきとしています[3]。
💡 用語解説:MMR検査とMSI検査
ミスマッチ修復(MMR)は、DNAを複製するときに生じた読み間違いを直す仕組みです。免疫染色では、がん組織にMLH1・MSH2・MSH6・PMS2の4つのたんぱく質が残っているかを見ます。修復の仕組みが壊れると、DNAの短い繰り返し配列の長さが乱れるマイクロサテライト不安定性(MSI)が起こり、これを調べるのがMSI検査です。
注意したいのは、がん組織でMMRの異常が見つかっても、それだけで遺伝性とは決まらないことです。子宮体がんでMMR異常がある場合、その多くは、がん細胞の中で後からMLH1遺伝子のスイッチ部分にDNAメチル化が起こって働かなくなったもので、生まれつきの変化ではありません。先の統合解析でも、MMR異常がみられた人のうち生まれつきの病的バリアントが見つかったのは約3割でした[10]。
がん組織の検査は「がん細胞の中で起きている変化」を、血液の遺伝学的検査は「体のすべての細胞が生まれつき持っている変化」を調べるもので、目的が異なります。この違いは体細胞変異と生殖細胞系列変異のちがいで詳しく解説しています。
🩺 院長コラム【「がんの検査」が「家族の情報」になるとき】
子宮体がんの組織で行うMMRの検査は、がんの性質を知り、治療を選ぶための検査であると同時に、その結果がご本人だけでなく、きょうだいや子どもにも関わる遺伝の情報への入口になることがあります。この二つの側面を持つことが、子宮体がんにおけるMMR検査の重要な特徴です。
組織でMMRの異常が見つかっても、多くは後天的なメチル化によるもので、すぐに「遺伝性」と決まるわけではありません。結果の意味を段階ごとに分けて理解し、必要に応じて遺伝カウンセリングや遺伝学的検査につなげることが重要です。
リンチ症候群と分かったら:本人と血縁者のためにできること
リンチ症候群と分かった場合、本人は大腸がんなどほかの関連がんの定期的な検査(サーベイランス)を受けることができ、血縁者は同じ病的バリアントを持っているかどうかを調べることができます。子宮体がんで見つかったリンチ症候群は、大腸がんの早期発見につながる情報でもあります。
血縁者が同じ病的バリアントを持っていると分かれば、その人は大腸内視鏡検査を早い年齢から定期的に受けるなどの対策を検討できます。反対に、持っていないと分かれば、一般の人と同じ検診で考えることができます。調べる対象は、家系の中で見つかった特定のバリアントに絞られるため、本人の検査結果が血縁者の検査の出発点になります。
女性の保因者で子宮体がん・卵巣がんを防ぐ方法としては、出産を終えた後に子宮と両側の卵巣・卵管を予防的に切除する手術が検討されます。予防的手術を受けた女性では子宮体がん・卵巣がんが発生しなかったと報告されています[13]。ただしこれは後ろ向きの研究で、手術の時期は、遺伝子の種類、年齢、出産の希望、卵巣を取ることによる更年期症状の影響などを踏まえて個別に考えます。子宮内膜の定期的な検査については、生存率を改善するという確かな根拠はまだ示されていません。
そのほかの遺伝性要因(PTEN:カウデン症候群)
リンチ症候群のほかに、子宮体がんのリスクを高める遺伝性の体質として、PTEN遺伝子の病的バリアントによるカウデン症候群(PTEN過誤腫腫瘍症候群)があります。PTENはがんを抑える働きを持つ遺伝子で、生まれつきの病的バリアントがあると、乳がん、甲状腺がん、子宮体がんなどのリスクが高くなります。
PTENの病的バリアントを持つ人を対象とした研究では、子宮体がんの生涯リスクは28.2%(95%信頼区間17.1〜39.3%)と推定されました[14]。カウデン症候群では、皮膚や口の中の小さな良性のできもの、頭が大きいといった特徴がみられることがあり、こうした特徴と乳がん・甲状腺がんの家族歴が重なる場合に疑われます。
子宮体がんに関わる遺伝子の研究的な詳細は子宮内膜がん(子宮体がん)と関連する遺伝子にまとめています。リンチ症候群の遺伝子やPTENを含めて複数の遺伝子をまとめて調べる方法として、遺伝性がん遺伝子検査(154遺伝子)があります。
5. 子宮体がんの検査と診断
子宮体がんの診断は、子宮内膜の細胞や組織を採って顕微鏡で調べる検査が中心で、経腟超音波検査で内膜の厚さを確認する検査を組み合わせます。がんと診断された後は、広がりを調べる画像検査を行って進行期(ステージ)を決めます。
経腟超音波・子宮内膜の細胞診・組織診
不正出血などで子宮体がんが疑われる場合、まず経腟超音波検査と子宮内膜の細胞診・組織診を行います。経腟超音波検査は、腟から細い器具を入れて子宮内膜の厚さや状態を見る検査で、痛みが少なく、ふるい分けの方法として有用です。ただし、閉経前は月経周期によって内膜の厚さが変わるため判断が難しく、初期のがんが見逃されることもあります[7]。
子宮内膜細胞診は、子宮の奥まで細い器具を入れて内膜の細胞をこすり取る検査です。日本婦人科腫瘍学会は、子宮内膜細胞診の精度は子宮頸部の細胞診ほど高くないと説明しています[7]。そのため、疑いが強い場合は内膜の組織の一部を採る組織診(内膜生検)や、必要に応じて子宮鏡検査を行い、確定診断をつけます。
検査の痛みには個人差があります。子宮の入り口が狭い人や閉経後の人では器具が入りにくく、痛みを感じやすいことがあり、器具が入らない場合は超音波の所見などから次の方法を考えます。腹部の上から当てる超音波検査だけでは内膜の評価が不十分で、子宮体がんを調べる基本は経腟超音波です。
がんと分かったあとの検査(MRI・CT)とステージ
子宮体がんと診断されたら、MRIやCTでがんの広がりを調べ、手術で取り出した組織の結果とあわせて進行期(ステージ)を決めます。MRIは、がんが子宮の筋層にどのくらい深く入り込んでいるか、子宮頸部に広がっているかを見るのに適しています。CTは、リンパ節や肺・肝臓など離れた臓器への転移を調べるのに使われます。
進行期は大まかに、I期(がんが子宮体部にとどまる)、II期(子宮頸部の間質に広がる)、III期(子宮の外の骨盤内やリンパ節に広がる)、IV期(膀胱・直腸の粘膜や遠くの臓器に広がる)に分けられます。国際産婦人科連合(FIGO)の2023年の分類では、この解剖学的な広がりに加えて、組織型や、前述の分子分類の情報が組み込まれました[4]。たとえば、早期でもp53異常型は再発のリスクが高いグループとして扱われます。
ステージは、手術の範囲や術後の追加治療を決める基準になります。同じステージでも組織型や分子分類によって見通しが異なるため、個々の治療方針は担当医からの説明で確認してください。
6. 子宮体がんの治療と予後
子宮体がんの治療の基本は手術で、再発のリスクに応じて化学療法や放射線療法を加えます。早い段階で見つかれば手術で治ることが多いがんです。
治療の基本は手術
手術では、子宮と両側の卵巣・卵管を摘出するのが基本です[7]。進行の程度や組織型によっては、骨盤や大動脈周囲のリンパ節も取り除きます。子宮体がんは卵巣に転移することがあるうえ、卵巣から出るエストロゲンががんの増殖に関わるため、卵巣も一緒に摘出するのが一般的です。
おなかを大きく切る開腹手術のほかに、腹腔鏡下手術やロボット支援下手術も保険診療で行われています[7]。傷が小さく回復が早い利点がありますが、どの方法が適するかは、がんの広がりや体の状態によって異なります。子宮を摘出する手術の術式や術後の生活については、子宮摘出をする理由と術式で解説しています。
閉経前の人では、卵巣を摘出すると女性ホルモンが急に減るため、ほてりや骨密度の低下などの症状が出ることがあります。術後の生活への影響についても、事前に担当医とよく話し合っておくことが大切です。
放射線療法・薬物療法(MMR欠損と免疫チェックポイント阻害薬)
手術後に再発のリスクが高いと考えられる場合は、化学療法(抗がん剤)や放射線療法を追加します[7]。放射線療法は、手術が難しい人の治療や、骨盤内の再発を抑える目的でも使われます。進行した子宮体がんや再発した子宮体がんでは、薬物療法が中心になります。
近年大きく変わったのが、ミスマッチ修復(MMR)欠損型の子宮体がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の位置づけです。MMR欠損のがんは遺伝子の変化が非常に多く、免疫細胞に「異物」として認識されやすいため、免疫の働きを高めるこの薬が効きやすいと考えられています。進行・再発子宮体がんを対象とした2つの大規模な臨床試験では、標準的な化学療法に免疫チェックポイント阻害薬を加えることで、とくにMMR欠損型で病気の進行が抑えられました[15][16]。
欧州の2025年版ガイドラインは、MMR欠損型の進行・再発例に、免疫チェックポイント阻害薬とカルボプラチン・パクリタキセルの併用、その後の維持療法を推奨しています[3]。前の章で説明したMMRの検査は、遺伝の入口であると同時に、治療薬を選ぶための検査でもあります。国内で使える薬剤や適応は時期によって変わるため、具体的な治療は担当医に確認してください。
妊娠を望む場合の妊孕性温存療法
妊娠を希望する人に見つかった初期の子宮体がんや、その前段階の病変(子宮内膜異型増殖症)では、子宮を残すホルモン療法という選択肢があります[7]。高用量の黄体ホルモン製剤でがんの消失を目指し、その後に妊娠を試みる方法です。
ただし、この治療を選べるのは、がんが子宮内膜にとどまり、組織型の悪性度が低いなど、一定の条件を満たす場合に限られます。治療中は内膜の検査を繰り返して効果を確かめる必要があり、効果がない場合や、出産後には子宮の摘出が検討されます。欧州の婦人科腫瘍・生殖医療・内視鏡の3学会は、2023年にこの治療に関する合同ガイドラインを出しています[17]。
がん治療と将来の妊娠をどう両立するかという妊孕性温存の考え方は、年齢や病状によって選択肢が大きく変わります。適応や副作用も含めて、主治医とよく相談することが必要です。
進行スピードと生存率の目安
子宮体がん全体の5年相対生存率は81.1%です(2018年に診断された人のデータ)[6]。がん全体の中でも比較的治りやすいがんで、早期に見つかるほど生存率は高く、子宮の外に広がった段階では低くなります。
進行のスピードは、一律ではありません。エストロゲンと関係の深いタイプの多くは比較的ゆっくり進みますが、漿液性がんや、分子分類でp53異常型にあたるものは悪性度が高く、進行や再発が早い傾向があります[2]。「何年生きられるか」は、ステージ、組織型、分子分類、年齢、体の状態によって大きく変わり、集団の生存率から個人の見通しを決めることはできません。
いずれの場合も、不正出血という早い段階のサインで受診し、早期に診断されることが、見通しを良くするうえで重要です。
🩺 院長コラム【数字を「自分の確率」と読み替えない】
生存率やリスクの倍率は、多くの人を集めて計算した集団の数字です。「5年生存率81%」は、一人ひとりが81%の確率で生きられるという意味ではありませんし、「リスク2倍」も、その人ががんになる確率を示すものではありません。
ご自身の見通しは、ステージや組織型、分子分類、そして遺伝的な背景といった個別の情報を重ねて評価する必要があります。集団の数字と個人の見通しを区別して理解することが、治療や検査を検討するときの土台になります。
7. 子宮体がんは予防できる?
子宮体がんを完全に防ぐ方法はありませんが、リスクを下げることが示されている要因はあります。エストロゲンの作用と代謝の状態が深く関わるがんのため、体重の管理、糖尿病の管理、運動、そして低用量の経口避妊薬(ピル)の使用がリスクの低下と関連しています。
経口避妊薬は、エストロゲンとプロゲステロンを組み合わせた薬で、内膜の増殖にブレーキをかけます。36の疫学研究・27,276人の子宮体がん患者のデータを統合した解析をもとに、NCIは、経口避妊薬を5年間使用すると子宮体がんのリスクが約24%下がり、その効果は使用をやめた後も30年以上続くとまとめています[18][9]。ただし、経口避妊薬には血栓症などの副作用もあるため、使うかどうかは婦人科で相談して決めます。
運動については、規則的な運動をしている人では子宮体がんのリスクが38〜46%低いという報告があります[9]。これは観察研究による関連で、運動だけでがんを防げると断定できるものではありません。食事については、特定の食品で子宮体がんを予防できるという確かな根拠は、現時点では示されていません。
子宮体がんは住民検診の対象ではないため、症状がないうちから全員に行う検診の仕組みはありません[1]。予防の面で最も実際的なのは、不正出血、とくに閉経後の出血があったときに早めに受診することです。リンチ症候群など遺伝性の体質がある人では、一般の人とは別の対策が検討されます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 子宮体がんは治りますか?
早い段階で見つかれば、手術で治ることが多いがんです。子宮体がん全体の5年相対生存率は81.1%(2018年診断例)で、早期ほど高く、子宮の外に広がった段階では低くなります。見通しはステージや組織型、分子分類によって異なるため、個別には担当医の説明で確認してください。
Q2. 子宮体がんは腹部エコーでわかりますか?
おなかの上から当てる超音波検査だけでは、子宮内膜の評価は不十分です。子宮体がんを調べる基本は、腟から器具を入れて内膜の厚さを見る経腟超音波検査で、確定診断には子宮内膜の細胞診や組織診が必要です。
Q3. 子宮頸がん検診で子宮体がんもわかりますか?
子宮頸がん検診は子宮の入り口(頸部)の細胞を調べる検査で、子宮の奥にできる子宮体がんは基本的に対象外です。子宮体がんは国の指針の住民検診にも含まれていないため、不正出血などの症状があるときは、子宮体がんの検査を受ける必要があります。
Q4. 子宮体がんの原因は性行為ですか?
いいえ。性行為で感染するヒトパピローマウイルス(HPV)が主な原因になるのは子宮頸がんです。子宮体がんはHPVとの関係はなく、主にエストロゲンの作用、肥満や糖尿病などの代謝の状態、遺伝的な要因が関わります。
Q5. 家族に大腸がんが多いと、子宮体がんにもなりやすいですか?
血縁者に大腸がんや子宮体がんが多い、若くして発症した人がいる場合は、遺伝性のリンチ症候群の可能性があります。リンチ症候群の女性では、子宮体がんの生涯リスクが最大60%程度と報告されています。家族歴だけでは判断できないため、気になる場合は臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングで評価します。
Q6. 子宮体がんの検査は痛いですか?
子宮内膜の細胞診や組織診は、子宮の奥まで細い器具を入れるため、痛みを感じることがあります。痛みの程度には個人差があり、子宮の入り口が狭い人や閉経後の人では痛みを感じやすいことがあります。心配な場合は、事前に担当医へ伝えておくとよいでしょう。
まとめ
子宮体がんは、子宮の奥の内膜から発生するがんで、日本人女性の約43人に1人が生涯にかかります[5]。最も大切なサインは不正出血で、患者さんの約90%にみられます[7]。閉経後の出血や茶色いおりものは、少量でも婦人科で原因を確かめる対象です。痛みは進行してから出ることが多く、痛みがないことは安全のしるしにはなりません。
なりやすいのは、肥満、糖尿病、PCOS、出産経験がない、閉経が遅いなど、エストロゲンに長くさらされてきた人です。一方で、子宮体がんの約3%は遺伝性のリンチ症候群によるもので[10]、がん組織のMMR検査が、本人と血縁者のための遺伝の情報に気づく入口になります。家族に大腸がんや子宮体がんが多い場合は、この視点も持っておくことが役に立ちます。
🧬 子宮体がんと遺伝について専門医に確認したい方へ
不正出血などの症状がある方は、まず婦人科を受診して原因を調べてください。子宮体がんと診断され、がん組織の検査でミスマッチ修復の異常を指摘された方や、血縁者に大腸がん・子宮体がんが多くリンチ症候群が気になる方は、臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングと遺伝学的検査を行っています。正確な診断にもとづいて、ご本人と血縁者に必要な検査や対応を検討します。
参考文献
- [1] がん検診. 厚生労働省. [厚生労働省]
- [2] Integrated genomic characterization of endometrial carcinoma. Nature. 2013. [PubMed 23636398]
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- [4] FIGO staging of endometrial cancer: 2023. Int J Gynaecol Obstet. 2023. [PubMed 37337978]
- [5] 最新がん統計(累積罹患リスク). がん情報サービス. 国立がん研究センター. [がん情報サービス]
- [6] 子宮体部(がん統計). がん情報サービス. 国立がん研究センター. [がん情報サービス]
- [7] 子宮体がん(市民の皆さまへ). 日本婦人科腫瘍学会. [日本婦人科腫瘍学会]
- [8] Association of Endometrial Cancer Risk With Postmenopausal Bleeding in Women: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Intern Med. 2018. [PubMed 30083701]
- [9] Endometrial Cancer Prevention (PDQ®)–Health Professional Version. National Cancer Institute. [NCI]
- [10] The proportion of endometrial cancers associated with Lynch syndrome: a systematic review of the literature and meta-analysis. Genet Med. 2019;21:2167-2180. [Genet Med]
- [11] Cancer risks by gene, age, and gender in 6350 carriers of pathogenic mismatch repair variants: findings from the Prospective Lynch Syndrome Database. Genet Med. 2020;22:15-25. [Genet Med]
- [12] New clinical criteria for hereditary nonpolyposis colorectal cancer (HNPCC, Lynch syndrome) proposed by the International Collaborative Group on HNPCC. Gastroenterology. 1999. [Gastroenterology]
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- [15] Dostarlimab for Primary Advanced or Recurrent Endometrial Cancer. N Engl J Med. 2023. [NEJM]
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- [18] Endometrial cancer and oral contraceptives: an individual participant meta-analysis of 27 276 women with endometrial cancer from 36 epidemiological studies. Lancet Oncol. 2015. [Lancet Oncol]





