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卵巣組織凍結(OTC)と未受精卵子凍結(OC)とは?妊孕性温存療法の成功率・リスク・費用・助成制度を遺伝専門医が解説

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

のべ10万人以上の意思決定に伴走。国際医療誌『Medical Care Review APAC』『Global Woman Leader』の2誌で表紙を飾り、「Top Prenatal Testing Service in APAC 2025」に選出されるなど、世界基準の遺伝医療を提供。

がん治療や膠原病の治療で使われる薬のなかには、卵巣にある卵子のもとを消耗させてしまうものがあります。その前に卵子や卵巣の組織を凍らせて保管しておく医療が「妊孕性温存療法」です。方法は大きく未受精卵子凍結(OC)と卵巣組織凍結(OTC)の2つに分かれ、どちらを選べるかは年齢・治療開始までの時間・病気の種類で決まります。この記事では、年齢別の出産できる確率、移植でがんが戻ってしまうリスク、日本の公的助成、そしてBRCA1/2やFMR1といった遺伝的な背景をお持ちの方が考えるべきことまでを、遺伝専門医の立場から整理します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約20分
🧬 妊孕性温存・卵子凍結・卵巣組織凍結
臨床遺伝専門医監修

Q. 卵子凍結と卵巣組織凍結は、どちらを選べばよいのでしょうか。まず結論だけ知りたいです

A. 排卵誘発のための2〜3週間を待てるなら未受精卵子凍結(OC)が第一選択になり、待てない場合・思春期前・ホルモン刺激を避けたい場合には卵巣組織凍結(OTC)が現実的な選択肢になります。卵子凍結では、38歳未満で凍結し成熟卵子を20個以上使えた方の累積生児獲得率は70%を超える一方、41歳以上で凍結した場合は23%まで下がります。年齢という一点が結果をほぼ決めてしまうのが、この医療のいちばん難しいところです。

  • 2つの方法の違い → 卵子凍結は刺激と採卵が必要、卵巣組織凍結は手術だが即日実施できる
  • 年齢別の成績 → 38歳未満51%、38〜40歳34%、41歳以上23%という現実的な数字
  • 移植後に起きること → 内分泌機能はほぼ全例で戻り、約4人に1人が出産に至る
  • 最大の課題 → 白血病など、組織にがん細胞が潜んでいる場合の再導入リスク
  • 遺伝との接点 → BRCA1/2・FMR1・ターナー症候群では「いつまでに」の設計が変わる

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1. 妊孕性温存療法とは何か:治療の前に「産む力」を預けておく医療

小児・思春期・若年成人(AYA世代)のがんは、治療法の進歩によって長期に生きられる方が大きく増えました。そうなると次に立ちあがってくるのが、「治療が終わったあとの人生をどう生きるか」という問題です。そのなかでも切実なのが、抗がん剤や放射線によって卵巣の機能が失われ、子どもを持つ道が閉ざされてしまうという副作用です。これを医原性の早発卵巣不全(POI)と呼びます。そこで、治療によって卵巣が傷む前に、卵子そのものや卵巣の組織を凍らせて保管しておく——それが妊孕性温存療法です。

💡 用語解説:妊孕性(にんようせい)温存療法

妊孕性とは「妊娠する力」のことです。妊孕性温存療法は、その力を将来のために保管しておく医療の総称で、女性では未受精卵子凍結・胚(受精卵)凍結・卵巣組織凍結の3つが柱になります。大事なのは、これが「妊娠を保証するもの」ではなく「可能性を残しておくもの」だという点です。凍らせた卵子や組織を実際に使う方は、統計上は決して多くありません。それでも、選択肢を持てること自体が、治療に向き合う力になります。

米国生殖医学会(ASRM)は2019年、それまで「試験的」と位置づけていた卵巣組織凍結について、もはや実験的ではない受け入れ可能な手法であると明確に述べました。思春期前の女児や、卵巣刺激をしている時間がない患者さんにも使える方法として認めた形です[1]。また欧州ヒト生殖医学会(ESHRE)は2020年に女性の妊孕性温存に関するガイドラインを公表し、情報提供、温存前の評価、実際の介入、治療後のケアにわたって78項目の推奨をまとめています。内訳はエビデンスに基づく推奨が50項目(強い推奨31、弱い推奨19)、グッドプラクティスポイントが25項目、研究目的に限定した推奨が3項目です[2]

このESHREガイドラインで注目していただきたいのは、対象として想定されている患者集団です。がん治療を受ける方、良性疾患で性腺毒性のある治療を受ける方、トランスジェンダー男性、加齢による妊孕性低下に備える女性に加えて、「早発卵巣不全を起こしやすい遺伝的な素因を持つ女性」が明記されています[2]。つまり妊孕性温存は、がん医療だけの話ではなく、遺伝子診断と地続きの領域なのです。この記事の後半(第7章)で詳しく扱います。

2つの方法は、どこがどう違うのか

未受精卵子凍結(OC)は、注射で卵巣を刺激して複数の卵胞を育て、成熟した卵子を採取して凍らせる方法です。パートナーの精子を使って受精させてから凍らせる胚凍結と違い、卵子の状態で保管するため、将来の関係性に縛られないという利点があります。一方、卵巣組織凍結(OTC)は腹腔鏡手術で卵巣の一部(あるいは片方の卵巣)を採り、卵子のもとが密集している原始卵胞を含む表層だけを薄く切り出して凍らせます。刺激が不要なので、診断された翌日にでも実施できるのが最大の強みです。

図1:2つの方法の使い分け

未受精卵子凍結(OC)

刺激と採卵に2〜3週間必要

初経後・卵巣が反応する年齢が対象

凍結卵子を融解して体外受精へ

卵巣組織凍結(OTC)

手術のみ・即日〜数日で実施可能

思春期前の女児にも実施できる

治癒後に自分の体へ戻して機能を回復

時間が「ある」ならOC、「ない」ならOTC。両方を同じ手術で行う併用も選択肢になります。

2. 未受精卵子凍結(OC)の成績:年齢と個数がすべてを決める

凍らせた卵子から将来子どもを得られるかどうかは、突き詰めると「凍結したときの年齢」と「使える成熟卵子の数」という2つの数字でほぼ説明できます。なぜ年齢がこれほど効くのかというと、卵子が長い時間をかけて減数分裂の途中で止まったまま卵巣の中で待機しているからです。この長期の待機状態をディクチオテン期停止といい、待機が長いほど染色体を正しく分ける仕組みが綻びやすくなります。その結果として染色体の数の異常(異数性)を持つ卵子の割合が増え、受精しても胚が育たない、着床しない、流産する、という形で結果に表れてきます。減数分裂のしくみを知ると、この現象が「気の持ちよう」ではどうにもならない生物学的な事実であることが理解しやすくなります。

💡 用語解説:成熟卵子(MII卵子)と累積生児獲得率(CLBR)

採卵で採れる卵子がすべて使えるわけではありません。受精できる状態まで成熟したものをMII卵子(第二減数分裂中期の卵子)と呼び、凍結の対象になるのはこれだけです。採卵数が10個でも、MII卵子は7〜8個ということはよくあります。

累積生児獲得率(CLBR)は、「凍結した卵子を使い切るまでに、少なくとも1人の赤ちゃんが生まれた人の割合」です。1回の移植ごとの成功率ではなく、その方が最終的にどうなったかを示す数字なので、患者さんの意思決定にはこちらのほうが役に立ちます。

米国の大規模施設から報告された融解後の実データでは、凍結時の年齢によって累積生児獲得率が明確に段差をつくることが示されています[3][4]。同じ研究では、凍結卵子を使った患者さん全体での累積生児獲得率は43%でした[3]

凍結時の年齢 累積生児獲得率 臨床的な読み方
38歳未満 51% この年齢層で成熟卵子を20個以上融解できた方に限れば70%を超えます
38〜40歳 34% 1周期で目標数に届かず、採卵を複数回行う方が増えます
41歳以上 23% 融解後の卵子生存率自体も低下します

米国の大規模施設における融解後の実績データ[3]と、同施設からのレビュー[4]によります。なお別の報告では、40歳以上で凍結した6名にかぎっては出産に至った方がいませんでした[29]

では何個凍らせればよいのか、という質問には、別の大規模研究が答えになる数字を出しています。35歳以下の女性では、使った卵子が10個のときの累積生児獲得率が42.8%、15個になると69.85%まで上がり、24個あたりで頭打ちになりました[5]。つまり「若いうちに、ある程度まとまった数を確保する」ことが、そのまま結果に直結します。1周期でこの数に届かない場合は、複数回の採卵が検討されますし、卵巣の反応が弱い方では同一周期に2回採卵するDuoStimや、POSEIDON基準による層別化を踏まえた卵巣低反応(POR)への対応が議論されます。

日本では、加齢に備えるいわゆる社会的適応の卵子凍結について、日本生殖医学会が指針を示しています。採卵時の年齢は40歳以上、凍結卵子を使用する年齢は45歳以上について推奨できないという線引きです[6]。この年齢設定は、上に示した成績の落ち方と、高年妊娠に伴う母体リスクの両方を踏まえたものと理解できます。

3. 卵巣組織凍結(OTC):待てない状況で選ばれる方法

卵巣組織凍結が本領を発揮するのは、次のような場面です。第一に、白血病のように数日以内に化学療法を始めなければならない超緊急の状況。第二に、思春期前の女児で、そもそも排卵誘発ができない場合。第三に、ホルモン感受性の腫瘍などで、卵巣刺激によるエストロゲンの上昇を避けたい場合です。ASRMも、思春期前の患者さんや刺激の時間がとれない場合に使える方法としてOTCを位置づけています[1]

手技としては、腹腔鏡で採取した卵巣から、卵子のもとがほとんど存在しない内側の髄質を削ぎ落とし、原始卵胞が密集する外側の皮質だけを厚さ1ミリ程度に薄く均一に整えるのが要点です。この薄さには理由が2つあります。ひとつは凍結保護剤が組織の芯まで届くようにするため、もうひとつは、将来この組織を体に戻したときに、周囲の血管が入り込んでくるまでの距離を短くして、酸素不足で卵胞が死んでしまう時間をできるだけ短くするためです。

💡 用語解説:緩慢凍結法とガラス化法

緩慢凍結法(slow freezing)は、時間をかけてゆっくり温度を下げ、細胞の外側にだけ氷を作らせて細胞内から水分を抜いていく方法です。途中で意図的に氷の核をつくる「植氷(seeding)」という操作を挟むのが特徴で、温度や速度の設定は施設ごとのプロトコルに幅があります。

ガラス化法(vitrification)は、高濃度の凍結保護剤を使って一気に冷やし、氷の結晶をつくらせずガラスのような状態にする方法です。卵子や胚ではこちらが主流ですが、卵巣組織については緩慢凍結法が臨床実績の中心で、組織のガラス化はまだ研究的な位置づけとされています[7]

なお、日本では卵巣組織凍結を実施できる施設が限定されています。公的助成の対象となる指定医療機関の要件として、日本産科婦人科学会の「医学的適応による未受精卵子、胚(受精卵)および卵巣組織の凍結・保存」に関する登録施設であることが挙げられています[16]。また日本生殖医学会の指針では、凍結予定の卵巣に悪性腫瘍が認められる場合、その卵巣組織を凍結・保存することはできないと明記されています[6]

同時に行われる工夫と、誤解されやすい併用療法

実際の現場では、いくつかの工夫が組み合わされます。がん治療開始まで2週間を切っている場合には、月経周期のどこにいるかを問わず刺激を始める「ランダムスタート法」が使われます。乳がんのようにエストロゲンに反応する腫瘍では、アロマターゼ阻害薬を併用して血中のエストロゲン濃度を低く保ちながら刺激する方法がとられ、これは卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクを抑えるうえでも意味があります。また、卵巣組織を採取する手術の際に、同時に未熟な卵子を吸引して体外成熟培養(IVM)にまわし、組織と卵子の両方を確保する併用も行われています。

⚠️ 注意:化学療法中にGnRHアゴニストを併用して卵巣を休ませる方法は、しばしば「これをやれば妊孕性が守れる」と紹介されます。しかし米国臨床腫瘍学会(ASCO)のガイドラインは、GnRHアゴニストを実証済みの妊孕性温存法の代わりに用いるべきではないとし、乳がんの女性に対する補助的な選択肢として位置づけています[8]。卵子・胚・卵巣組織の凍結の代替にはならない、という理解が正確です。

4. 組織を体に戻したあと、実際に何が起きるのか

保管しておいた卵巣組織を自分の体に戻すことを自家移植(OTT)といいます。原疾患が治り、治療によって卵巣機能が失われたことが確認された段階で行われます。移植する場所は、骨盤内に残っている卵巣やそのくぼみなど、本来卵巣があるべき位置に戻す同所性移植が標準で、報告されている出産の大部分はこの方法によるものです。骨盤に高線量の放射線を受けた既往があるなど血流が期待できない場合には、腹壁など別の場所に置く異所性移植が行われることもあります。

💡 用語解説:同所性移植と異所性移植

同所性移植(orthotopic)は、卵巣が本来ある骨盤内に組織を戻す方法です。卵管の先端(卵管采)が排卵をキャッチできる位置にあるため、自然妊娠が起こりうるのが大きな特徴です。これに対し異所性移植(heterotopic)は腹壁や前腕などに置く方法で、ホルモンは分泌されますが卵管とつながっていないため、その組織から自然妊娠することはありません。異所性移植のあとに自然妊娠が起きた場合は、移植片ではなく残っていたご自身の卵巣が働いたと考えるのが妥当だと指摘されています[11]

では成績はどうか。欧州5施設が285人の移植経験をまとめた報告では、内分泌機能の回復はほぼ全例で得られ、およそ4人に1人が健康な赤ちゃんを出産しています[9]。国際妊孕性温存学会でまとめられた集計でも、移植後に内分泌機能が戻る割合は80%を超え、その機能が5年以上持続する方が半数以上に上ると報告されています。妊娠・出産の経路では、自然妊娠のほうが体外受精を経た場合より良好な数字が示されています[10]。イタリアの単一施設からの10年の経験では、卵巣機能の回復は95%、世界の累積出生数は200例を超えるとされています[12]

図2:卵巣組織移植後にたどる経過

① 移植手術

凍結組織を融解し骨盤内へ

② 再血管化の期間

血流が届くまでに卵胞が失われる

③ 月経とホルモンの回復

数か月で内分泌機能が戻る

④ 妊娠・出産

自然妊娠と体外受精の両方の経路

移植片は永久には働きません。②で失われる卵胞の量が、その後の持続期間を左右します。

ここで必ずお伝えしたいのが、移植片の寿命という問題です。凍結した組織そのものには血管がついていません。体に戻したあと、周囲から新しい血管が伸びてくるまでの数日間、組織は酸素の乏しい状態に置かれます。この間に原始卵胞のかなりの部分が失われてしまうことが知られており、これが移植した卵巣が数年で働きを終える理由のひとつと考えられています。したがって「一度戻せばずっと使える」わけではなく、妊娠を目指すタイミングを見据えて移植の時期を決める必要があります。

もうひとつ重要なのが、骨盤内への放射線照射の影響です。285人の報告では、骨盤に、とくに比較的高い線量の放射線を受けた既往がある場合、妊娠が成立する見込みが相当に下がり、場合によっては禁忌となりうると述べられています[9]。これは卵巣そのものではなく、赤ちゃんを育てる子宮側の受け皿が傷んでしまうためです。卵巣を温存できても子宮が妊娠を維持できなければ結果につながらない、という点は、事前の説明でどうしても押さえておきたいところです。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「凍らせた」で安心してしまわないために】

妊孕性温存のご相談で私がいちばん気にかけているのは、「凍らせたから大丈夫」という気持ちのまま何年も過ぎてしまうことです。凍結した検体は、確かに時間を止めてくれます。けれども、ご本人の子宮や全身の状態、そしてパートナーとの人生設計まで止めてくれるわけではありません。

実際、凍らせた卵子や組織を使いに戻ってこられる方は、統計上は多くありません。それは決して悪いことではなく、自然に妊娠された方も、別の人生を選ばれた方もいるからです。ただ、「使うかもしれない」と思っているのなら、保管の更新や年齢の上限、移植の適切な時期を、どこかの時点で一度きちんと確認しておいていただきたいのです。

5. 最大の課題:組織と一緒にがん細胞を戻してしまうリスク

卵巣組織凍結が抱える、最も解決の難しい問題がこれです。治療を始める前に採取した組織のなかに、もとの病気のがん細胞がごく少数まぎれ込んでいる可能性があります。それに気づかず体に戻せば、せっかく治した病気を自分で呼び戻すことになりかねません。

💡 用語解説:微小残存病変(MRD)

顕微鏡で見ても分からないほど少数のがん細胞が体内に残っている状態を、微小残存病変(MRD)といいます。血液のがんでは、特定の遺伝子配列を目印にして、極めて高感度な遺伝子検査でこれを検出します。「見た目には治っている」と「分子のレベルでも消えている」は別であり、卵巣組織を戻してよいかどうかの判断では、この後者が問われます。

がんの種類によって、卵巣に転移していたり組織が汚染されていたりする確率は大きく異なります。剖検データ、予防的に摘出された卵巣の病理、免疫不全マウスへ移植する実験などをもとに、リスクは段階的に整理されてきました[13]。とくに高い危険性があるとされているのは白血病・バーキットリンパ腫・神経芽腫の3つです[14]

リスク区分 代表的な疾患 移植に対する考え方
高リスク 白血病、バーキットリンパ腫、神経芽腫 血流を介して細胞が入り込みやすく、移植には極めて慎重な判断が求められます
中リスク 非ホジキンリンパ腫、大腸がん、胃がん、子宮体がん、ユーイング肉腫 移植前の組織検索を厳重に行ったうえで、個別に判断されます
低リスク ホジキンリンパ腫、早期乳がん、骨・軟部肉腫、良性疾患 これまでの報告では、移植に伴う再発リスクは非常に低いとされています

がん種別のリスク層別化[13][14]。実際の判断は病期・治療歴・組織検索の結果を含めて個別に行われます。

ではリスクが高いとされる白血病では、道はまったく閉ざされているのでしょうか。ここに希望を示したのが、免疫不全マウスを使った検証です。採取した時点で骨髄のMRDが陽性だった患者さん由来の組織を移植したマウスでは、移植片だけでなく肝臓や脾臓にも悪性細胞が確認されました。ところが、複数回の化学療法を経て寛解に入り、MRDが陰性となった時点で採取された組織を移植したマウス群では、追跡期間中に白血病の再燃は認められませんでした[15]。つまり、「白血病だから一律に不可」ではなく「いつ採るか」が鍵だという方向性が見えてきているのです。移植の直前に、保管した組織の一部を融解して微小転移を探す手順も、専門施設では標準的に行われています[12]

さらに根本的な解決策として研究が進んでいるのが「人工卵巣」です。凍結した組織から原始卵胞だけを酵素で丁寧に取り出し、悪性細胞が混じっていないことを確認したうえで、フィブリンなどの足場材料に並べ直して移植用の構造体をつくるという発想です[14]。卵胞そのものにはがん細胞が入り込まないため、これが実用化されれば、高リスクの病気であっても安全に卵巣機能を戻せる可能性があります。未熟な卵子を体の外で育てる体外成熟培養(IVM)と組み合わせた戦略も含め、今後の展開が注目される領域です。

6. 費用と日本の公的助成:どこまで支えられるのか

妊孕性温存には費用がかかり、しかもがん治療という大きな出費と同時期に発生します。日本では2021年4月から、がん等の治療を受ける方を対象とした公的助成が全国で始まりました。「小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業」という枠組みで、各都道府県が実施しています。

対象となる治療 助成上限額 補足
卵巣組織凍結 40万円 1回の手術を1回として数えます
胚(受精卵)凍結 35万円 1回の採卵周期を1回として数えます
未受精卵子凍結 20万円 同上
精子凍結/精巣内精子回収 2万5千円/35万円 手術を伴う回収は別枠です

対象になるのは、指定医療機関で実施され、凍結保存時に43歳未満である方です。助成回数は通算2回まで、異なる治療を受けた場合でも合計2回までとされています[16]。1回の手術で卵巣組織と未受精卵子(または胚)の両方を凍結した場合は1回の治療とみなされ、上限額は40万円が適用されます[17]。がん以外でも、造血幹細胞移植を受ける再生不良性貧血やファンコニ貧血などの疾患、そしてアルキル化剤が投与される全身性エリテマトーデスなどの非がん疾患も対象に含まれます[16]。凍結した検体を実際に使う段階(温存後生殖補助医療)にも別途の助成があり、初回時の年齢が40歳未満なら通算6回まで利用できます[18]

一方、病気ではなく加齢に備える目的の卵子凍結については、自治体独自の助成が始まっています。東京都の事業では、卵子凍結を実施した年度に上限20万円、その後は保管に関する調査に回答することを条件に1年ごとに一律2万円が支給される仕組みです[19]。対象年齢や説明会への参加といった要件は年度ごとに変わりうるため、検討される場合は必ず自治体の最新の案内をご確認ください。

💡 用語解説:費用対効果はどう評価されているのか

米国のデータで卵子凍結と卵巣組織凍結を比較した分析があります。初期費用は卵子凍結が16,588ドル、卵巣組織凍結が10,032ドルで、手術を伴う卵巣組織凍結のほうが最初は安く済みます。ところが5年後までに実際に生児を得た割合は卵子凍結1.56%、卵巣組織凍結1.0%で、この差から計算される増分費用効果比は生児1人あたり1,163,954ドルという桁になりました[20]数字が極端に大きいのは、凍らせた検体を実際に使いに戻る方が5%前後しかいないためです。同じ分析は、将来の利用率が63%を超えれば卵子凍結が費用節減的になるとも示しており、「使われてこそ価値が生まれる」というこの医療の性質をよく表しています。

日本では2018年、日本がん・生殖医療学会が「日本がん・生殖医療登録システム(JOFR)」を立ち上げました[21]。それまで全国規模で追跡されていなかった未受精卵子や卵巣組織の凍結について、原疾患、治療内容、妊娠の成否、そしてがんそのものの予後までを記録していく仕組みです。2021年以降は公的助成を受ける条件としてJOFRへの参加が必須とされており、助成と登録が一体で運用されています[21]。2022年1月の時点で100を超える施設から7,000例以上が登録されており、女性では乳がんが原疾患の3分の2を占めていました[22]

7. 遺伝的な背景をお持ちの方の妊孕性温存

ここからが、遺伝診療の立場からいちばんお伝えしたい部分です。妊孕性温存は「がんになってから考えるもの」と思われがちですが、実際にはそれよりずっと早い段階で判断が必要になる方がいます。ESHREのガイドラインが、早発卵巣不全を起こしやすい遺伝的素因を持つ女性を対象集団として明記しているのは、まさにこのためです[2]

BRCA1/2の病的バリアントをお持ちの場合:2つの時計が同時に進む

BRCA1BRCA2に病的バリアントがある場合、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)として、卵巣がんのリスクを下げるためにリスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)が選択肢になります。ここで難しいのは、がんを防ぐ時計と、子どもを持つ時計が同じ方向に進まないことです。手術を早く受けるほどがんのリスクは下がりますが、そのぶん妊娠できる期間は短くなります。この点について、35歳という比較的早い時期にRRSOを行う場合には、手術の前に卵子凍結を検討すべきだと明確に述べた総説があります[24]。BRCA保持者では卵巣予備能がやや低い可能性を示すデータもありますが、この点はまだ議論が続いています[24]

さらに、若くして乳がんを発症した場合には、抗がん剤による卵巣へのダメージと、次の世代へバリアントを伝えるかという問題が同時にのしかかります[25]。後者については着床前遺伝学的検査(PGT-M)という技術的な選択肢が存在しますが、実施には学会の審査を含む手続きが必要で、何より倫理的な検討を伴います。ここは、ご本人とご家族が時間をかけて考えるべき領域です。同様の構図はTP53関連のリー・フラウメニ症候群や、リンチ症候群でも生じます。

FMR1プレミューテーション:温存の時期と、次世代への伝達

💡 用語解説:プレミューテーション(前変異)

FMR1遺伝子には、CGGという3文字の並びが繰り返される領域があります。この繰り返し回数が中間的な長さにとどまっている状態をプレミューテーションと呼びます。ご本人は脆弱X症候群にはなりませんが、卵巣の機能が早く尽きてしまうFXPOIを起こしやすく、さらに次の世代へ伝わるときに繰り返しがさらに伸び、脆弱X症候群を発症するお子さんが生まれる可能性があります。つまり「ご自身の妊娠可能期間」と「お子さんへの影響」の両方を同時に考える必要がある、特殊な状況です。

FMR1のプレミューテーション保因者では、卵巣予備能の評価と妊孕性温存の役割が検討課題になっています。とくに重要なのは、卵巣予備能が低下している方でも自然妊娠が決してまれではなく、その結果としてFXPOIとは別に、影響を受けたお子さんが生まれうるという点です。このため、この状況では遺伝カウンセリングが欠かせないと指摘されています[26]。当院ではFMR1遺伝子リピート伸長検査を行っており、繰り返し回数を確認したうえで、ご本人の妊娠計画とお子さんへのリスクの両面から臨床遺伝専門医がご説明しています。

ターナー症候群:温存よりも先に、心臓の評価が必要です

ターナー症候群では、多くの方が成人に達する前に卵巣予備能を使い切ってしまうため、妊孕性温存を考えるなら小児期のできるだけ早い時期に専門的な評価を受けることが望ましいとされています[28]。ただし、この疾患ではもうひとつ、順序として先に来るべき問題があります。大動脈の壁がもろく、妊娠中に大動脈が裂けて命に関わる事態が起こりうるという点です。

⚠️ 米国生殖医学会は2024年の見解で、ターナー症候群では大動脈解離や破裂による妊娠中の死亡リスクが1%以上に達しうるとし、妊娠は相対的禁忌であること、大動脈サイズ指数が2.5 cm/m²を超える場合は絶対禁忌であることを示しています[27]。つまりこの疾患では、卵子を残せるかどうかより先に、妊娠に耐えられる体かどうかの循環器評価が必要になります。

同じ見解では、ご自身の卵子で妊娠した場合にお子さんの性染色体異常などが増える可能性が示されており、着床前検査を提示しうるとも述べられています[27]。妊孕性温存の話が、そのまま着床前診断や出生前の検査の話につながっていくことがお分かりいただけると思います。

単一遺伝子が原因のPOI:原因が分かると「期限」が設計できる

早発卵巣不全の背景には、減数分裂や卵胞の発育に関わるさまざまな遺伝子が関与することが分かってきました。卵母細胞が出す成長因子のGDF9BMP15、減数分裂特異的コヒーシンのSTAG3SYCE1、相同組換え修復に関わるMCM8MCM9、性腺の発生を司るNR5A1(SF-1)、眼瞼裂狭小症候群としても知られるFOXL2などが代表です。卵巣が卵巣であり続けるために働くWNT4/RSPO1シグナルや、卵子とやり取りをする顆粒膜細胞の働きも、この文脈で理解しておきたい仕組みです。

原因が分かることの実際的な価値は、「いつまでに動くべきか」を逆算できるようになることにあります。自己免疫が背景にある自己免疫性卵巣炎のように、原因によって経過も対応も変わります。当院では女性不妊症NGS遺伝子パネル検査マイクロアレイ染色体検査(CMA)などを組み合わせ、背景の解明をお手伝いしています。詳しくは低AMHおよび早発性卵巣不全における遺伝子検査もあわせてご覧ください。

📌 補足:AMHは残っている卵子の「数」の目安であり、卵子の質や自然妊娠できるかどうかを判定する検査ではありません。数値が低いことが直ちに妊娠不可能を意味するわけではなく、逆に高いから安心という指標でもありません。

最後に、遺伝的なリスクの有無にかかわらず知っておいていただきたい研究があります。オランダのシミュレーション研究では、体外受精を使うことを許容する前提で、90%の確率で希望する家族構成を実現するには、子どもが1人なら35歳まで、2人なら31歳まで、3人なら28歳までに妊娠の試みを始める必要があると試算されました[23]。これは日本の学会の推奨ではなくモデル研究の結果ですが、時間という資源の使い方を考えるうえでの一つの手がかりになります。

8. よくある誤解

誤解①「凍らせておけば妊娠できる」

凍結は可能性を残す手段であって、妊娠を約束するものではありません。41歳以上で凍結した場合の累積生児獲得率は23%と報告されており[4]凍結した時点の年齢が結果を大きく左右します。

誤解②「白血病では卵巣組織凍結はできない」

採取・凍結そのものは可能です。慎重な判断が必要なのは体に戻す移植の段階です。寛解に入りMRDが陰性となった時点で採取された組織では、動物実験で再燃が認められなかったという報告もあります[15]

誤解③「移植すれば卵巣は元どおり働き続ける」

移植片には血管がついていないため、血流が回復するまでの間にかなりの卵胞が失われます。機能は数年で終わることが多く、妊娠を目指す時期に合わせて移植の時期を決めるという発想が必要です。

誤解④「注射で卵巣を休ませれば卵子は守れる」

化学療法中のGnRHアゴニスト併用は、実証済みの妊孕性温存法の代わりにはならないとされています[8]。卵巣機能を守る目的での併用と、卵子・組織を凍らせておくことは、役割が異なります。

9. 臨床遺伝専門医からのメッセージ

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【遺伝子は「期限」を教えてくれる】

妊孕性温存の議論は、どうしても「がん治療の副作用対策」として語られがちです。けれども遺伝子の側から見ると、風景が少し変わります。FMR1のプレミューテーションをお持ちの方、BRCA1/2に病的バリアントのある方、ターナー症候群の方——この方たちは、病気になる前から、すでに時間の制約のなかにいらっしゃいます。

遺伝子検査は、将来を言い当てる占いではありません。ただ、「いつまでに何を決めておくと選択肢が残るか」という期限を、ある程度の精度で示してくれます。その期限を知ったうえで、温存を選ぶのも、選ばないのも、ご本人の自由です。私たちの仕事は、判断の材料を正確にお渡しし、どちらを選ばれても伴走することだと考えています。迷っている段階でご相談いただいて、まったく構いません。

よくある質問(FAQ)

Q1. ミネルバクリニックで卵子凍結や卵巣組織凍結は受けられますか?

当院では採卵や卵巣組織の凍結は行っておりません。当院が担うのは、卵巣予備能が低下している背景に遺伝的な要因があるかどうかを調べ、その結果をもとに「いつまでに、どのような選択肢を検討しておくとよいか」をご説明する部分です。実際の凍結・保存は、日本産科婦人科学会の登録施設で行われます。

Q2. 卵子は何個くらい凍らせておけばよいのですか?

目安として、35歳以下の方で使用した卵子が10個のときの累積生児獲得率は42.8%、15個で69.85%と報告されており、24個あたりで頭打ちになります[5]。また38歳未満で凍結し成熟卵子を20個以上融解した方では70%を超えるという報告もあります[3]。ただしこれは統計上の数字で、1周期で採れる個数には個人差が大きいことをご理解ください。

Q3. 卵巣組織を戻したあと、自然に妊娠できますか?

骨盤内のもとの位置に戻す同所性移植であれば、自然妊娠が起こりえます。実際、移植後の妊娠では自然妊娠の経路が体外受精より良好な成績を示しています[10]。一方、腹壁などに置く異所性移植では、その移植片から自然妊娠することはありません[11]

Q4. すでに抗がん剤を始めてしまいましたが、もう手遅れでしょうか?

一概に手遅れとは言えません。欧州5施設の報告では、卵巣組織凍結の前に化学療法を受けていたかどうかは、投与された薬剤の種類と総量によるものの、必ずしも成功の妨げにはならないことが示されています[9]。まずは主治医と生殖医療の専門医にご相談ください。

Q5. がん以外の病気でも公的助成の対象になりますか?

はい。造血幹細胞移植が実施される再生不良性貧血やファンコニ貧血などの遺伝性骨髄不全症候群、原発性免疫不全症候群、そしてアルキル化剤が投与される全身性エリテマトーデス・ループス腎炎・多発性筋炎などの非がん疾患も対象に含まれます[16]。要件は自治体の案内でご確認ください。

Q6. 卵巣に腫瘍がある場合でも卵巣組織凍結はできますか?

日本生殖医学会の指針では、凍結予定の卵巣に悪性腫瘍が認められる場合、その卵巣組織を凍結・保存することはできないと明記されています[6]。この場合は未受精卵子凍結など、別の方法が検討されることになります。

Q7. ターナー症候群と診断されています。妊孕性温存を考えてよいでしょうか?

検討する価値はありますが、順序として先に循環器の評価が必要です。米国生殖医学会は、大動脈解離や破裂による妊娠中の死亡リスクが1%以上に達しうるとし、大動脈サイズ指数が2.5 cm/m²を超える場合は妊娠を絶対禁忌としています[27]。また卵巣予備能は成人前に尽きてしまうことが多いため、小児期の早い段階での評価が望ましいとされています[28]

Q8. 凍結した卵子や組織を、結局使わなかった人はどのくらいいますか?

米国の費用対効果分析で用いられた前向きコホートでは、5年の追跡期間の中央値で、実際に検体を使いに戻った方は卵子凍結で4.8%、卵巣組織凍結で5.5%でした[20]。自然に妊娠された方も、別の人生を選ばれた方も含まれます。使わなかったこと自体が失敗を意味するわけではありません。

🏥 卵巣予備能と遺伝的背景のご相談

低AMH・早発卵巣不全の背景にある遺伝的な要因の検索や
遺伝性腫瘍をお持ちの方の妊孕性に関するご相談は
臨床遺伝専門医が在籍するミネルバクリニックへお気軽にどうぞ。

参考文献

  • [1] Fertility preservation in patients undergoing gonadotoxic therapy or gonadectomy: a committee opinion (2019). American Society for Reproductive Medicine. [ASRM]
  • [2] ESHRE guideline: female fertility preservation. Human Reproduction Open. 2020. [Hum Reprod Open]
  • [3] The effects of age, mature oocyte number, and cycle number on cumulative live birth rates after planned oocyte cryopreservation. [PMC11621243]
  • [4] Is planned oocyte cryopreservation delivering? Reproductive BioMedicine Online. [RBMO]
  • [5] Elective and Onco-fertility preservation: factors related to IVF outcomes. Human Reproduction. 2018;33:2222. [Hum Reprod]
  • [6] 未受精卵子および卵巣組織の凍結・保存に関する指針(倫理委員会報告). 一般社団法人日本生殖医学会. [日本生殖医学会]
  • [7] Live birth rate after female fertility preservation for cancer or haematopoietic stem cell transplantation: a systematic review and meta-analysis. Human Reproduction. 2023;38:489. [Hum Reprod]
  • [8] Fertility Preservation in People With Cancer: ASCO Guideline Update. Journal of Clinical Oncology. [JCO]
  • [9] Transplantation of cryopreserved ovarian tissue in a series of 285 women: a review of five leading European centers. Fertility and Sterility. 2021;115:1102. [PubMed 33933173]
  • [10] A synopsis of the 2021 International Society of Fertility Preservation bi-annual meeting. [PMC9428092]
  • [11] Ovarian tissue transplantation: a science coming of age. Fertility and Sterility. [Fertil Steril]
  • [12] Ovarian tissue transplantation: 10 years of experience at the Bologna University. [PMC10954843]
  • [13] Autotransplantation of cryopreserved ovarian tissue in cancer survivors and the risk of reintroducing malignancy: a systematic review. Human Reproduction Update. 2013;19:483. [Hum Reprod Update]
  • [14] From isolated follicles to the artificial ovary: Why and how? [ScienceDirect]
  • [15] Evaluating the safety and efficacy of cryopreserved ovarian tissue transplantation in leukemia patients with different bone marrow remission status using xenotransplantation. [PMC10999602]
  • [16] 千葉県小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業. 千葉県. [千葉県]
  • [17] 小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業. 埼玉県. [埼玉県]
  • [18] 小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業. 長野県. [長野県]
  • [19] 卵子凍結に係る費用の助成(事業の概要). 東京都福祉局. [東京都福祉局]
  • [20] Oocyte cryopreservation versus ovarian tissue cryopreservation for adult female oncofertility patients: a cost-effectiveness study. Journal of Assisted Reproduction and Genetics. [PMC8490495]
  • [21] 日本がん・生殖医療登録システム(JOFR)について. 一般社団法人日本がん・生殖医療学会. [日本がん・生殖医療学会]
  • [22] Current Status and Issues of the Japan Oncofertility Registry. [PubMed 36516123]
  • [23] Realizing a desired family size: when should couples start? Human Reproduction. 2015;30:2215. [PMC4542717]
  • [24] Fertility preservation in women harboring deleterious BRCA mutations: ready for prime time? Human Reproduction. 2018;33:181. [Hum Reprod]
  • [25] Fertility Preservation in BRCA1/2 Germline Mutation Carriers: An Overview. [PMC11122448]
  • [26] Ovarian reserve in patients with FMR1 gene premutation and the role of fertility preservation. [PubMed 38702011]
  • [27] Maternal cardiovascular morbidity and mortality associated with pregnancy in individuals with Turner syndrome: a committee opinion (2024). American Society for Reproductive Medicine. [ASRM]
  • [28] Fertility Preservation in Females with Turner Syndrome: A Comprehensive Review and Practical Guidelines. [PMC5015771]
  • [29] Clinical outcomes and utilization from over a decade of planned oocyte cryopreservation. [PubMed 34474973]

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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