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なぜ卵子で染色体異常(異数性)が起こるのか? 母体の加齢との関係を遺伝専門医が解説

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

のべ10万人以上の意思決定に伴走。国際医療誌『Medical Care Review APAC』『Global Woman Leader』の2誌で表紙を飾り、「Top Prenatal Testing Service in APAC 2025」に選出されるなど、世界基準の遺伝医療を提供。

ダウン症候群(21トリソミー)に代表される染色体の数の異常(異数性)は、赤ちゃんの先天的な病気や流産の、最も大きな原因のひとつです。不思議なことに、この間違いのほとんどはお母さん側の卵子ができる過程で起こり、しかも母体の年齢が上がるほど増えていきます。なぜ卵子でだけ起こりやすいのか。なぜ加齢で急に増えるのか。この2つの問いは長いあいだ大きな謎でしたが、ヒトとモデル生物の研究が積み重なり、その仕組みが少しずつ見えてきました。この記事では、異数性がどのように生まれるのかを、遺伝専門医の視点から、一般の方にもわかるようにやさしく解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約16分
🧬 異数性・減数分裂・母体年齢・コヒーシン
★ 臨床遺伝専門医監修

Q. 卵子の染色体異常(異数性)は、なぜ起こるのですか?まず結論だけ知りたいです

A. 卵子の染色体異常(異数性)は、卵子がつくられる「減数分裂」という特別な細胞分裂で、染色体がうまく2つに分けられないために起こります。その原因は1つではなく、胎児の時期に決まる「染色体の組み換え(交叉)」の失敗、長い年月のあいだに起こる「コヒーシン(染色体をつなぐ接着タンパク質)」の劣化、そして卵子の分裂チェック機構がもともと甘いこと、といった複数の要因が重なって生まれます[1]。母体の加齢で増えるのも、これらの要因が年齢とともに悪化するためだと考えられています。

  • ➤異数性とは → 染色体が1本多い(トリソミー)または少ない(モノソミー)状態。ダウン症は21番染色体が3本になった21トリソミー
  • ➤なぜ卵子で → 卵子の減数分裂は、精子と違ってチェック機構が甘く、間違った染色体を持つ細胞が生き残りやすい
  • ➤なぜ加齢で増えるか → 染色体をつなぐコヒーシンが胎児期に用意されたまま新しく補充されず、数十年かけて少しずつ劣化する
  • ➤環境の影響 → ビスフェノールA(BPA)などの化学物質や、生殖補助医療の一部の手技が関わる可能性が研究されている
  • ➤検査との関わり → NIPT・羊水検査・絨毛検査・着床前検査(PGT-A)は、この異数性を見つけるための検査です

🧬 異数性(染色体の数の異常)の基本情報

項目 内容
読み方・別名 いすうせい/異数体(aneuploidy)。染色体の「数的異常」とも呼ばれます
どんな状態か 本来2本1組の染色体が、1本多い(トリソミー)または1本少ない(モノソミー)状態
代表例 21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミー、モノソミーX(ターナー症候群)など
主な由来 大半が母親の卵子がつくられる過程(減数分裂)の間違い。父親側の精子由来は少数[8]
頻度 ヒトの妊娠の少なくとも約10%。生殖年齢の終わりに近づくと50%を超えることもあります[1]
医療との関わり 先天性疾患・流産の主要な原因であり、出生前検査(NIPT・羊水/絨毛検査)や着床前検査の対象

※本記事は一般の方と遺伝診療に関わる方の両方に向けた解説です。特定の検査を勧めるものではありません。

1. 異数性(染色体の数の異常)とは

ヒトの細胞には、46本の染色体があります。23本を母親から、もう23本を父親から受け継ぎ、同じ番号の染色体が2本1組(ペア)になっているのが正常な状態です。この染色体の数のバランスが崩れ、ある染色体だけが1本多かったり少なかったりする状態を、異数性(いすうせい)といいます。染色体が1本多い状態をトリソミー、1本少ない状態をモノソミーと呼びます。

もっともよく知られている例が、21番染色体が3本になった21トリソミー、すなわちダウン症候群です。1959年に、ダウン症の原因が21トリソミーであることが突き止められ、これがヒトの病気と染色体異常を結びつけた最初の発見になりました。その後の半世紀で、染色体異常がヒトの病理においていかに重要かが明らかになってきました[1]。

💡 用語解説:なぜ「数がずれる」だけで病気になるのか

染色体の上には、たくさんの遺伝子が並んでいます。染色体が1本増えたり減ったりすると、そこに乗っている遺伝子の「量」が1.5倍や0.5倍にずれてしまいます。細胞は遺伝子の量が精密に釣り合うように働いているため、このバランスの崩れ(遺伝子量の不均衡)が発生や成長に大きな影響を与えます。多くの異数性は、この影響が大きすぎて胎内で育つことができません。

実際、異数性の多くは子宮の中で生き続けることができません。1960〜70年代の新生児調査では、トリソミーやモノソミーを持って生まれる赤ちゃんは約0.3%でした。ところがその後の自然流産の研究では、流産した胚のおよそ35%にこうした染色体異常が見つかっています[1]。つまり、実際にはもっと高い頻度で異数性が起きているのに、そのほとんどが妊娠の早い段階で失われている、ということです。異数性は、先天性疾患だけでなく流産の主要な原因でもあるのです。

なお、染色体の異常には、本数がずれる「数的異常(異数性)」のほかに、染色体の一部が切れたりつながり方が変わったりする「構造異常」もあります。この記事で扱うのは前者、つまり本数の異常です。また、異数性は必ずしも卵子や精子の段階だけで起こるわけではありません。受精した後の細胞分裂で間違いが起きると、正常な細胞と異数性の細胞が混じった「モザイク」という状態になることもあります。ただし、母体の加齢と強く結びつき、先天性疾患の主要な原因になっているのは、やはり卵子がつくられる段階で生じる数的異常です[1]。この記事では、その「卵子由来の異数性」がなぜ起こるのかに焦点を当てます。

こうした異数性は、減数分裂という、卵子や精子をつくるための特別な細胞分裂のときに、染色体がうまく2つに分けられない(染色体不分離)ことで生まれます。そして、その間違いの大部分は母親側で起きています。次の章から、この「なぜ卵子で」「なぜ加齢で」という2つの謎を、順番にほどいていきます。

2. 異数性はどれくらい起こっているのか

子宮の中では、染色体異常を持つ妊娠の多くが早い段階でふるい落とされてしまいます。そのため、異数性が「本当はどれくらいの頻度で起きているのか」を知るには、受精した直後の卵や胚を調べる必要があります。この点で研究を大きく進めたのが、着床前検査(PGT-A)をはじめとする生殖補助医療のデータでした。体外受精で得られた着床前の胚を調べられるようになり、受精した時点での異数性の割合が推定できるようになったのです[1]。

こうした研究をまとめると、異数性はヒトの妊娠の少なくとも約10%を占め、生殖年齢の終わりに近づいた女性では50%を超えることもあります[1]。受精のごく初期まで含めれば、全受胎の20〜40%が異数性だという推定もあり、ヒトの受精のうち出産まで到達できるのはおよそ半分にすぎないと考えられています[8]。数字に幅があるのは、どの時点(成立した妊娠か、受精直後か)で数えるかによって割合が変わるためです。

💡 用語解説:異数性を「見つける」検査の進歩

染色体の数を調べる方法は、時代とともに進歩してきました。特定の染色体を光らせて数えるFISH法は限られた本数しか見られず、異数性を過大に見積もる懸念がありました。その後に登場したマイクロアレイ(CMA)やSNPアレイといったゲノム全体を見る方法では、着床前胚の異数性はおよそ20〜40%と、より現実的な値に落ち着いてきています[1]。

近年は、この着床前検査のデータを大規模に解析する研究も進んでいます。13万9千個を超えるヒト胚を調べた研究では、見つかった異数性のうち約9割が母親側の染色体の増減によるものであり、母体の年齢が上がるほど母親由来の異数性が増える一方で、父親の年齢とは関係が見られませんでした[8]。異数性が「母親側で」「加齢とともに」増えるという古くからの観察が、ヒトの大規模データでも改めて確かめられたことになります。

頻度の推定値に幅があるのは、妊娠のごく初期に多くの異数性が失われてしまい、その部分が「見えにくい」ためです。着床する前や、妊娠と気づかれる前に終わってしまう妊娠も多く、この初期の喪失は長らく「見えないブラックボックス」と呼ばれてきました。着床前検査のような手法は、その見えにくい部分に光を当て、受精直後にどれくらいの異数性が生じているのかを推定する手がかりを与えてくれます。染色体の種類によって生き残りやすさが違う点も見えてきており、たとえば小さな21・15・16・22番染色体の異数性は着床前の胚で多く見つかります[8]。

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3. なぜ「母親の卵子」で起こりやすいのか

臨床的に確認された妊娠の研究から、ヒトの異数性のほとんどが母親側に由来することが分かっています。ではなぜ、精子ではなく卵子で間違いが起きやすいのでしょうか。ここには、卵子ができる過程そのものの特徴と、卵子の分裂チェックの「甘さ」という、2つの大きな理由があります。まずは全体像を、3つのステップで見てみましょう。

① スタートの失敗組み換え(交叉)がうまくいかない
▶
② 長い待機接着タンパク質が数十年かけて劣化
▶
③ 関門の甘さ間違いを止めるチェックが働きにくい

悪いスタート ─ 組み換え(交叉)の失敗

卵子の減数分裂では、まず母親由来と父親由来の同じ番号の染色体(相同染色体)がペアを組み、一部を交換し合います。これを組み換え(相同組換え)といい、交換が起きた点はキアズマと呼ばれます。このキアズマが、ペアの染色体を物理的に結びつける「かすがい」の役割を果たし、後で染色体を正しく振り分けるための土台になります。

1990年代の研究で、この組み換えの失敗や、交換が起きる位置の悪さが、ヒトのトリソミーの大きな原因であることが分かってきました[1]。興味深いことに、男性の精子ではほとんどの染色体が少なくとも1回は組み換えを起こすのに対し、女性の卵子ではそうとは限りません。ヒトの卵母細胞の10%以上が、少なくとも1組は「組み換えの起きていないペア」を含んでいるとされ、こうしたペアの多くが異数性につながると予想されています[1]。卵子は、そのスタート地点からすでに間違いを起こしやすい素地を抱えているのです。

さらに詳しい解析では、女性の卵子だけに見られる特徴として、組み換えの「仕上げ」がうまくいかない現象が報告されています。組み換えの途中段階まで進んだものの、およそ25%は最終的な交叉として完成しないというのです[2]。この「女性特有の交叉成熟の非効率」が、若い女性でも一定の割合で異数性が起きる、その基礎になっていると考えられています[2]。近年のヒト胚を用いた大規模研究でも、異数性を持つ胚は正常な胚に比べて交叉の数が少ないことが確認されており、組み換えが染色体を正しく分けるうえで果たす役割の重要性が裏づけられています[7]。

重要なのは、組み換えの「数」だけでなく「位置」も効いてくる点です。交叉が染色体の端(テロメア寄り)や中心(セントロメア寄り)に偏ると、ペアを安定に結びつける力が弱くなり、間違いが起きやすくなります。実際、21番染色体では、こうした不利な位置に交叉が起きた配置が、母親の不分離のリスクを高めることが古くから知られています[1]。ヒト胚の交叉の地図を詳しく調べた研究でも、異数性を起こした染色体では交叉の分布が正常とは異なっており、組み換えの位置の乱れが異数性に寄与することが示されています[7]。組み換えは、胎児のうちに一度きり起こる「準備」であり、その出来ばえが数十年後の分裂の成否を左右する、いわば最初のボタンのかけ違いになりうるのです。

染色体はどう分けられるのか ─ 2回の分裂と極体

卵子の減数分裂は、2段階に分けて行われます。第一減数分裂(MI)では、母親由来と父親由来のペア(相同染色体)が左右に分かれます。続く第二減数分裂(MII)では、それぞれの染色体のコピー(姉妹染色体)が分かれます。この2回の分裂を経て、卵子の染色体数はちょうど半分(23本)になり、受精で精子の23本と合わさって46本に戻る、という仕組みです。第一分裂は排卵のときに再開し、第二分裂は受精したときに初めて完了します[1]。

卵形成と女性の減数分裂周期の模式図(減数分裂の3段階と卵子形成の流れ)

図1:卵形成と女性の減数分裂の周期。減数分裂の各段階(前駆期・網糸期での停止・分割段階)と、卵子がつくられる流れを示します(出典:ヒト異数性の総説[1]より)。

💡 用語解説:極体(きょくたい)

卵子は、2回の分裂で余った染色体のセットを、小さな「極体」という形で外に捨てていきます。1個の元の細胞から、大きな卵子1個と小さな極体が生まれる、いわば「取り分の不公平な分裂」です。この極体を調べることで、卵子でどの段階の分裂に間違いが起きたのかを推定できます。染色体の間違いが第一分裂(MI)で起きたか、第二分裂(MII)で起きたかによって、生じる異数性のパターンが変わってきます。

自然妊娠のトリソミーを調べた研究では、その多くが母親の第一減数分裂(MI)の間違いに由来し、しかも1本の染色体だけが関わっていることが分かっています[1]。つまり、卵子で最初に相同染色体のペアを正しく分けられるかどうかが、異数性を左右する大きな分かれ道になっている、ということです。この「ペアを正しく分ける」ために、組み換えとコヒーシンが土台として効いてくるのです。

近年の研究では、異数性が生じる具体的な道すじも、より詳しく分かってきました。本来は第二分裂まで待つべき姉妹染色体が、第一分裂の時点で早まって離れてしまう「姉妹染色体の早期分離」や、通常とは異なる組み合わせで染色体が分かれてしまう「逆分離」といった現象が、母親側の異数性のおもな入口になっていると考えられています[8]。これらはいずれも、ペアや姉妹をつなぎとめる力(=組み換えとコヒーシン)が弱ったときに起こりやすくなります。つまり、スタートの組み換えと、それを支えるコヒーシンという2つの土台が、卵子が正しく分裂できるかどうかを最終的に決めているのです[1]。

卵子の分裂チェックは「甘い」 ─ 精子との性差

卵子と精子では、間違った細胞を排除する仕組みの厳しさが大きく異なります。精子の場合、染色体のペアづくりに失敗した細胞は死んでしまい、間違いを持つ細胞は次に進めません。ところが卵子では、多くの間違いを抱えていても細胞が排除されにくく、そのまま成熟した卵子へと育ってしまうことがあります[3]。

💡 用語解説:二価体・一価体・不分離

ペアを組んで正しく結びついた相同染色体を「二価体(にかたい)」といいます。組み換えの失敗や接着の喪失でペアがほどけてしまい、バラバラになった1本ずつの染色体を「一価体(いっかたい)」と呼びます。一価体は分裂のときに正しく振り分けられず、染色体が均等に分かれない「不分離」を起こします。その結果、卵子に染色体が1本多く(または少なく)入ってしまい、異数性が生まれます。

この性差の背景には、性染色体をめぐる仕組みの違いがあります。精子をつくる過程では、X染色体とY染色体のペアづくりに関わる特別な制御(性染色体の不活性化)が必須であり、ペアづくりに失敗した細胞は厳しく排除されます。一方、卵子ではその要件がないため、チェックが比較的ゆるやかで、多少の間違いを抱えた細胞も生き延びやすいのです[1]。卵子の「寛容さ」は、限られた数の卵子をなるべく無駄にしないための性質とも考えられますが、その代わりに異数性が通り抜けやすくなっている、という側面があります。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「起こりやすさ」は誰のせいでもありません】

異数性の話をすると、「自分の卵子が悪かったのではないか」と、ご自身を責めてしまう方がいらっしゃいます。しかし、ここまで見てきたように、卵子で異数性が起こりやすいのは、卵子という細胞がもともと持っている生物学的な性質です。組み換えのタイミングは胎児のうちに決まり、接着タンパク質は生まれる前に用意される。ご本人の生活や努力で左右できる範囲を、大きく超えたところで決まっている部分が多いのです。

私は臨床遺伝専門医として、ご家族が「原因」を自分の中に探して苦しむ場面に、診療全般を通じて向き合ってきました。仕組みを正しく知ることは、その自責をやわらげる助けになると考えています。起こりやすさは体質のようなものであり、責められるべきものではありません。

4. 母体の加齢でなぜ増えるのか ─ コヒーシンの老化

母体の年齢と異数性の関係は、グラフにすると特徴的な形を描きます。もっとも若い年齢でわずかに高く、いったん下がったあと、閉経前の10年間で急激に(指数関数的に)増えていく——アルファベットのJに似た曲線です[1]。この「母体年齢効果」は、なぜ生まれるのでしょうか。

母体年齢と異数性のリスク(Jカーブのイメージ)

やや高
低
急増
20代前半
20代後半
30代前半
30代後半
40代前半
40代後半

※模式図です。若い時期にわずかに高く、いったん下がり、閉経前の約10年で急激に増える「Jカーブ」を示します[1]。

Jカーブの「若い側がわずかに高い」部分は、また別の話です。ごく若い年齢での軽い上昇は、組み換えの位置の問題など、加齢とは別の要因を反映していると考えられています[1]。一方、閉経前の急増を説明する主役として注目されてきたのが、次に述べる接着タンパク質の劣化です。

その主な鍵を握るのが、コヒーシンという接着タンパク質です。コヒーシンは、姉妹染色体(コピーどうし)や組み換え後のペアをつなぎとめる「輪ゴム」のような役割をしています。ここで決定的に重要なのが、卵子の減数分裂にはとてつもなく長い待機時間がある、という事実です。

💡 用語解説:網糸期(ディクチオテン期)の長い停止

女性の卵子の元になる細胞は、胎児のうちに減数分裂を始め、途中の網糸期(もうしき/ディクチオテン期)という段階で分裂をいったん止めます。そして、その女性が思春期を迎え、その卵子が排卵される順番が来るまで、分裂を止めたまま待ち続けます。この待機は10年から、長ければ50年以上に及びます。人生の長さに匹敵するこの停止期間こそ、間違いが積み重なる時間になるのです。

問題は、このコヒーシンが胎児のうちに染色体にセットされたまま、その後は新しく補充されない点にあります。マウスの研究では、胎児期に染色体に載せられたコヒーシンが、卵子の成長期を通じてほとんど入れ替わらないことが示されました[4]。つまり、あなたの卵子をつなぎとめている輪ゴムは、あなたがお母さんのお腹にいたときに用意されたもので、その後は交換されないまま何十年も使い続けられている、ということです。長い年月のあいだにこの輪ゴムが少しずつ緩んでいけば、染色体のペアがほどけやすくなり、分裂のときに間違いが起きやすくなります。

姉妹染色体の分離と不分離の模式図(正常・腕の凝集力の早期喪失・セントロメアの凝集力喪失)

図2:染色体の分離と不分離。正常な分離(左)に対し、接着(コヒーシン)が早く失われるとペアがほどけて一価体ができ、不分離につながります(出典:ヒト異数性の総説[1]より)。

この「コヒーシンの劣化」が加齢による異数性の一因であることは、マウスの実験からも支持されています。減数分裂に特有のコヒーシン成分(SMC1β)を欠いた雌マウスでは、加齢に伴って染色体の不分離が増えることが示されました[5]。さらに近年、13万人規模のヒトのデータを用いた研究で、このコヒーシン遺伝子SMC1Bのありふれた遺伝的な違い(ハプロタイプ)が、組み換えの回数の減少と母親側の減数分裂の異数性の両方に関連することが報告されました[8]。マウスで積み上げられてきた仮説が、ヒトの大規模データでも裏づけられつつあります。減数分裂特有のコヒーシンには、ほかにSTAG3などの成分も知られています。

コヒーシンは、ただ緩むのを待つだけの存在ではありません。セントロメアの周りには、コヒーシンを切られないように守る「シュゴシン(守護神の意)」という見張り役のタンパク質が配置され、必要な接着を最後まで保とうとします。ところが加齢が進むと、この守りの仕組みも含めてコヒーシンが少しずつ失われていくことが、マウスの卵子で観察されています[1]。輪ゴムそのものの劣化に、それを守る見張り役の減少が重なることで、高齢の卵子ではペアや姉妹の接着がいっそう保ちにくくなる——これが、閉経前に異数性が急増する分子的な背景だと考えられています[1]。

ただし、研究者たちは慎重でもあります。コヒーシンの劣化だけがすべてを説明するわけではないからです。ヒトのトリソミー研究からは、染色体の種類によって不分離の起こり方が違うことが分かっており、単一の仕組みですべてを説明することはできません[1]。マウスでは加齢の影響が生殖の末期にならないと現れにくいのに対し、ヒトのトリソミー増加は閉経の10年以上前から始まります。こうした種による違いもあり、コヒーシンの喪失は「重要な要因の一つ」ではあっても「唯一の原因」ではない、と理解されています[1]。組み換えの失敗、コヒーシンの劣化、そして次に述べるチェック機構の甘さ——複数の要因が絡み合っているのです。

この分野の研究者たちは、異数性を「一つの原因で起こる出来事」ではなく、いくつもの小さな綻びが積み重なって初めて表面化する出来事(複数のヒット)としてとらえるようになってきました[1]。胎児のうちに組み換えの位置が少し悪かった卵子(1つ目のヒット)が、数十年の待機のあいだにコヒーシンの劣化を受け(2つ目のヒット)、さらにチェック機構の甘さで間違いが見逃される(3つ目のヒット)——このように、時間差で起こる複数の弱点が重なったときに、異数性が現実のものになります。若い女性でも一定の割合で異数性が起こるのは最初のヒットがあるからであり、加齢で急に増えるのは2つ目・3つ目のヒットが年齢とともに効いてくるからだ、と考えると、これまでの観察がひとつの絵につながります[1]。

🧬 染色体や出生前検査について相談したい方へ

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5. 最後の関門 ─ 紡錘体チェックポイント(SAC)

組み換えに失敗したり、接着がほどけたりして一価体ができても、細胞にはまだ「最後の関門」が残っています。それが紡錘体形成チェックポイント(SAC)です。

細胞が分裂するとき、すべての染色体が紡錘体という装置に正しくつながり、きちんと整列してからでないと、次の段階(分離)に進まないようにブレーキがかかります。このブレーキ役がSACです。染色体が1本でも正しくつながっていなければ、SACが働いて分裂を止め、間違いを防ごうとします。セントロメアと呼ばれる染色体のくびれた部分が、紡錘体との接続の要になります。

ところが、卵子ではこのSACが「甘い」のです。マウスの研究では、1本の一価体があると、精子をつくる細胞ではしっかりブレーキがかかって細胞が死ぬのに対し、卵子ではそうならず、間違った染色体があってもそのまま分離が進んでしまうことが示されています[3]。すべての染色体がきちんと整列していなくても、卵子は次の段階へ進んでしまう——これが、間違いが通り抜けてしまう「最後の抜け道」になっています[1]。

💡 3つの弱点が重なる

ここまでを整理すると、卵子は①スタート(組み換え)でつまずきやすく、②長い待機のあいだに接着が緩み、③最後のチェック(SAC)も甘い——という3つの弱点を重ねて持っています。1つひとつは小さな綻びでも、それが積み重なることで、卵子は精子よりもずっと異数性を起こしやすくなります。これが、ヒトの異数性の多くが母親側で起こる根本的な理由です[1]。

なぜ卵子ではチェックが甘いのか。その理由の一つとして、卵子が体の中でもとりわけ大きな細胞である点が指摘されています。チェックポイントは「正しくつながっていない染色体」から出る警告シグナルを感知して働きますが、卵子のように細胞がとても大きいと、そのシグナルが広い細胞質の中で薄まってしまい、ブレーキがかかりにくくなるのではないか、と考えられています[3]。卵子ならではの構造そのものが、チェックの甘さにつながっている可能性があるのです。

なお、卵子でSACがまったく働かないわけではありません。分裂を次の段階へ進める合図は、APC/C(アナフェーズ促進複合体)という装置が出します。この装置は、染色体をつなぎとめる接着を切るタイミングと、分裂を進めるブレーキを外すタイミングを制御しており、SACに関わるタンパク質(BUBR1など)がその調節に関わります。卵子にもこうした仕組みは備わっていて、異常が大きい場合には分裂が止まることもあります。ただ、1本程度の一価体では止まりにくい、というのが卵子の特徴です[3]。分裂を制御する仕組みそのものは、細胞周期の基本ルールに沿っていますが、その働き方が卵子では独特で、間違いに対して寛容になっている、というのが実態です[3]。組み換えに関わる遺伝子(MLH1)や、染色体の骨組みをつくる遺伝子(SYCP3)など、この過程には多くの遺伝子が関わっています。

6. 環境の影響 ─ BPAと生殖補助医療(ART)

卵子の異数性には、体の内側の仕組みだけでなく、外からの影響も関わる可能性があります。喫煙や飲酒、放射線などについては長く研究されてきましたが、異数性への直接の関与を示す確かな証拠はまだ得られていません[1]。環境要因が卵子の異数性に与える影響を人間で証明するのが難しいのには、理由があります。卵子は胎児のうちに減数分裂を始め、その後何十年も体の中で待機します。曝露を受けてから結果(異数性の卵子)が表れるまでの時間が非常に長く、その間にさまざまな要因が入り混じるため、原因と結果を1対1で結びつけることが極めて難しいのです[1]。そうした難しさの中で、比較的はっきりした手がかりが得られている一つが、次に述べるホルモンに似た働きをする化学物質(内分泌かく乱化学物質)です。

💡 用語解説:内分泌かく乱化学物質とBPA

体のホルモンに似た作用を持ち、本来のホルモンの働きを乱す化学物質を「内分泌かく乱化学物質」といいます。その代表が、プラスチック製品などに含まれるビスフェノールA(BPA)です。BPAは女性ホルモン(エストロゲン)に似た作用を持つため、卵子の発達に影響しうるのではないかと研究されています。

きっかけは偶然でした。ある研究室で、実験用マウスの卵子に減数分裂の異常が急に増えたことがあり、その原因を追ったところ、傷んだプラスチック製ケージから溶け出したBPAへの偶発的な曝露が浮かび上がったのです[6]。その後の実験で、雌マウスを低い濃度のBPAにさらすと、減数分裂で染色体のふるまいが乱れ、異数性の卵子が増えることが示されました[6]。BPAは女性ホルモン受容体の一種(ERβ、遺伝子名ESR2)を介して、胎児の卵巣で減数分裂の始まりに影響する可能性も指摘されています。ただし、これらはマウスや培養細胞での知見が中心で、ヒトでの因果関係を証明するのは容易ではありません。胎内で受けた影響が大人になるまで表に出ないこともあり、慎重な解釈が必要な段階です。

もう一つ議論されているのが、生殖補助医療(ART)そのものの影響です。不妊治療を受ける方々のデータからは、卵子や胚のエラー率がもともと高い可能性があること、そしてARTに用いられる一部の手技が異数性のレベルに関わる可能性が指摘されています[1]。特に、卵巣を刺激するホルモンの使い方や体外での培養が、卵子や胚の質に影響しうるという証拠が積み重なってきました。これらの影響の一部は、遺伝子の働き方を調整する仕組み(エピジェネティクス)の変化と関連づけて論じられています[1]。実際、ゴナドトロピンという刺激ホルモンの用量が低いほど異数性の率が低い、というヒトでの報告もあります[1]。

興味深いことに、ARTで得られた胚を調べた研究では、自然妊娠のトリソミーとは少し異なるパターンも報告されています。自然妊娠では母親の第一減数分裂(MI)に由来する1本の染色体の間違いが目立つのに対し、ART胚では第二減数分裂(MII)由来のエラーや、複数の染色体が同時に関わる異数性が相対的に多く見られる、という指摘です[1]。ただし、これらが不妊の背景を反映しているのか、ARTの手技によるものなのかは、まだ切り分けが難しい問題です。

ここで大切なのは、自然妊娠とART妊娠の違いが「不妊という背景そのものを反映しているのか」、それとも「ARTの手技によって引き起こされているのか」が、まだはっきりと決着していない、という点です[1]。分析の方法(親子のDNAを後からたどる方法と、胚の染色体を直接測る方法)が異なることも、結果の見え方に差を生んでいます。環境要因については、現時点では「関連が示唆されている」段階の知見が多く、確定した結論として受け取らないことが重要です。

7. 異数性と検査との関わり ─ NIPT・羊水/絨毛検査・PGT-A

ここまで解説してきた異数性は、出生前や着床前に行われる検査が実際に「見つけようとしている対象」そのものです。異数性という仕組みを知ることは、これらの検査が何を調べているのかを理解する土台になります。

妊娠中に赤ちゃんの染色体の数を調べる検査には、母体の血液から調べるNIPT(新型出生前診断)と、より確実に診断する羊水検査・絨毛検査があります。NIPTは主に21・18・13トリソミーなどの数の異常を対象にした検査で、羊水・絨毛検査はそれを確定するための検査、という位置づけです。また、体外受精の場面では、胚の染色体の数を調べる着床前検査(PGT-A)が行われることがあります。いずれも、この記事で解説した「卵子由来の異数性」を検出しようとする検査です。

検査は、調べる時期によって性質が分かれます。妊娠中に赤ちゃんの染色体を調べるのが「出生前診断」で、母体血を用いるNIPT(非確定的検査)と、羊水・絨毛を用いる確定的検査があります。一方、生まれた後にお子さんの染色体を調べるのが「出生後診断」で、多くは血液を用いたマイクロアレイ(CMA)などが用いられます。異数性の多くはこうした数の異常の検査で分かりますが、ごく小さな欠失・重複や、遺伝子の働き方の異常(インプリンティング異常など)は、また別の検査が必要になります。目的に応じて検査を選ぶことが大切です。

母体の年齢が上がるほど異数性が増えるという事実は、高齢出産とダウン症の関係としてよく知られています。ただ、これは「年齢が高い=必ず異常がある」という意味ではまったくありません。あくまで確率が変わるという話であり、若い方でも異数性は起こりえますし、年齢が高くても多くの妊娠は正常です。数字をどう受け止め、検査を受けるかどうかをどう考えるか——ここに、正しい情報にもとづく判断が必要になります。

当院では、こうした検査の前後で、臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングを行っています。検査で何が分かり何が分からないのか、見つかった結果がご本人やご家族にとってどういう意味を持つのか、どのような選択肢があるのか——こうした点を、中立の立場で整理してお伝えします。検査を受けるかどうかを含め、決めるのはご本人であり、私たちはそのための判断材料を整える役割を担います。正確な情報にもとづいて、納得のいく次の一歩を選んでいただくことを大切にしています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【数字の「意味」を一緒に読み解く】

出生前検査の数字は、そのままでは不安を大きくするだけのことがあります。「40代前半では異数性が増える」と聞けば、身構えてしまうのは自然なことです。けれども、確率は「起こる/起こらない」の二択ではありません。同じ数字でも、それがご本人の状況の中でどういう重みを持つのかは、一人ひとり違います。

私は臨床遺伝専門医として、検査の数字を「翻訳」し、その方の状況に沿って一緒に読み解くことを役割だと考えています。大切なのは、正確な情報にもとづいて、ご本人が納得して次を選べることです。仕組みを知ることは、その最初の一歩になります。

8. よくある誤解

誤解①「異数性は珍しいことだ」

異数性は、実はとてもありふれた現象です。ヒトの妊娠の少なくとも約10%を占め、その多くは妊娠のごく早い時期に自然に失われています[1]。私たちが目にしていないだけで、生命の始まりには高い頻度で起きています。

誤解②「母親の生活習慣が原因」

異数性の起こりやすさは、組み換えのタイミング(胎児期)や接着タンパク質(生まれる前に用意)など、生活習慣ではコントロールしにくい要因で大きく決まります[4]。自分を責める必要のあるものではありません。

誤解③「年齢が高い=必ず異常がある」

加齢で「確率」が上がるのは事実ですが、それは必ず異常が起きるという意味ではありません。年齢が高くても多くの妊娠は正常であり、若くても異数性は起こりえます。あくまで確率の話です。

誤解④「卵子だけが特別に弱い」

卵子が異数性を起こしやすいのは、弱いからではなく、長い待機とチェックの寛容さという、卵子ならではの性質のためです[3]。限られた卵子を無駄にしない仕組みの、裏返しでもあります。

まとめ ─ 「なぜ卵子で、なぜ加齢で」の答え

卵子の染色体異常(異数性)は、たった1つの原因で起こるものではありません。胎児の卵巣で始まる組み換えのつまずき、数十年の待機のあいだに進む接着タンパク質の劣化、そして間違いを止めるチェック機構の甘さ——こうした複数の要因が、卵子の一生を通じて少しずつ積み重なって生まれます[1]。母体の加齢で急に増えるのも、これらの要因が年齢とともに悪化していくためだと考えられています。

この分野は今も動いています。かつてはマウスの実験が中心でしたが、着床前検査の大規模データを解析することで、SMC1Bのようなヒトの遺伝的な違いが異数性のリスクに関わることも見えてきました[8]。仕組みが明らかになることは、単に謎が解けるだけでなく、なぜこの現象が起きるのかをご本人やご家族が正しく理解し、自分を責めずに次の一歩を選ぶための土台にもなります。

異数性は、生命が新しい個体をつくるうえで避けがたく生じる「ゆらぎ」の一つです。それを正確に知ることは、出生前検査や着床前検査が何を見ているのかを理解し、数字に振り回されずに向き合うための、確かな手がかりになります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 卵子の染色体異常(異数性)とは何ですか?

異数性とは、本来2本1組であるはずの染色体が、1本多い(トリソミー)または1本少ない(モノソミー)状態のことです。ダウン症候群は、21番染色体が3本になった21トリソミーです。ヒトの異数性の多くは、卵子がつくられる減数分裂で染色体がうまく分けられないために起こり、先天性疾患や流産の主要な原因になります。

Q2. なぜ精子ではなく卵子で起こりやすいのですか?

卵子には、精子にはない3つの弱点があるためです。①卵子は染色体の組み換え(交叉)でつまずきやすく、②減数分裂を止めたまま数十年待機するあいだに接着タンパク質が劣化し、③間違いを止めるチェック機構(SAC)がもともと甘いのです。精子では間違った細胞は厳しく排除されますが、卵子ではそうならず、間違いを持つ細胞が通り抜けやすくなっています。

Q3. なぜ母体の年齢が上がると増えるのですか?

主な鍵は、染色体をつなぐ「コヒーシン」という接着タンパク質です。コヒーシンは胎児のうちに染色体にセットされ、その後は新しく補充されません。卵子は排卵の順番が来るまで数十年待機するため、このコヒーシンが長い年月をかけて少しずつ緩み、染色体のペアがほどけやすくなります。ただし、コヒーシンの劣化だけが原因ではなく、複数の要因が重なっていると考えられています。

Q4. 私の生活習慣が原因で異数性が起きたのでしょうか?

いいえ、ご自身を責める必要はありません。異数性の起こりやすさは、組み換えのタイミング(胎児期に決まる)や、生まれる前に用意される接着タンパク質など、生活習慣ではコントロールしにくい生物学的な要因で大きく決まります。ビスフェノールA(BPA)などの環境要因も研究されていますが、ヒトでの因果関係はまだ確定していません。仕組みを正しく知ることが、不必要な自責をやわらげる助けになります。

Q5. NIPTや羊水検査は、この異数性を調べる検査ですか?

はい。NIPT(新型出生前診断)や羊水検査・絨毛検査、体外受精での着床前検査(PGT-A)は、いずれもこの記事で解説した染色体の数の異常(異数性)を見つけるための検査です。検査で何が分かり何が分からないのか、結果がどういう意味を持つのかについては、臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングでご相談いただけます。検査を受けるかどうかを含め、決めるのはご本人です。

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ミネルバクリニックにご相談ください。

参考文献

  • [1] Human aneuploidy: mechanisms and new insights into an age-old problem. Nat Rev Genet. 2012. [PubMed 22705668]
  • [2] Inefficient crossover maturation underlies elevated aneuploidy in human female meiosis. Cell. 2017. [PubMed 28262352]
  • [3] Oocyte-specific differences in cell-cycle control create an innate susceptibility to meiotic errors. Curr Biol. 2011. [PubMed 21497085]
  • [4] Rec8-containing cohesin maintains bivalents without turnover during the growing phase of mouse oocytes. Genes Dev. 2010. [PubMed 20971813]
  • [5] SMC1beta-deficient female mice provide evidence that cohesins are a missing link in age-related nondisjunction. Nat Genet. 2005. [PubMed 16258540]
  • [6] Bisphenol a exposure causes meiotic aneuploidy in the female mouse. Curr Biol. 2003. [PubMed 12676084]
  • [7] Aberrant landscapes of maternal meiotic crossovers contribute to aneuploidies in human embryos. Genome Res. 2024. [PubMed 38071472]
  • [8] Common variation in meiosis genes shapes human recombination and aneuploidy. Nature. 2026. [Nature 651:146-153]

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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