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友達との会話の中で、「排卵痛がつらい」という話を聞いたことはありませんか?
排卵痛は、文字通り排卵に伴う痛みのことで、卵子が卵巣の壁を破って排出される過程で流れ出す卵胞液と血液が、腹膜を刺激することで起こります。
しかし排卵痛がつらいという方がいる一方、排卵痛を意識したこともなく、卵巣の位置や役割についてよく知らないという女性も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、女性特有の臓器の基本情報と具体的な卵巣の位置、卵巣の機能を良くするセルフケア、定期検診の重要性についてご紹介します。
知っているようで実は知らないことも多い「卵巣」について知りたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
女性特有の臓器の基本情報
乳房や子宮、卵巣は、女性特有の臓器です。これらは、それぞれに重大な疾患につながっている可能性もあるため、女性の一生に多大な影響を及ぼす臓器であるといっても過言ではありません。
女性特有の臓器を失うことは、身体だけでなく心にも多大な影響をもたらします。女性が自分らしく生き生きと過ごすためにも、女性特有の臓器についてきちんと知り、なにか異常を感じたら速やかに受診しましょう。そこでここでは、女性特有の臓器についてご紹介します。
乳房
乳房は、出産時期に乳汁を分泌する役割を担っている器官です。大きく分けて乳腺と脂肪から成り立っており、授乳期には小葉で作られた乳汁が乳腺を通って乳管洞へとたまり、外部からの圧力によって乳頭から出る仕組みになっています。
成熟した乳腺は、月経周期による女性ホルモンの増減に伴って変化し、黄体期(排卵後から月経開始までの期間)には乳房が張るような変化を感じる方もいます。
乳房の疾患のほとんどはこの乳腺から発生するもので、乳腺内で細く枝分かれした乳管上皮に発生するケースが多いです。また、乳管の末端にある終末乳管や乳頭開口部付近にも発生します。
よく知られていることですが、乳房の中にしこりがある場合は、なんらかの異常がある可能性もあります。他にも、乳房に腫れや痛み、張り、硬さ、左右の大きさが違うなどの症状がある場合は、我慢せずに乳腺外科を受診しましょう。
子宮
子宮は骨盤の中にある、胎児を育てるための器官です。洋梨を逆さにしたような形をしており、大部分は筋肉でできています。上部は左右の卵管と、下部は子宮頸部と子宮口を通して膣へつながっていて、内側の子宮内膜という粘膜が月経周期に伴って増殖と剥離を繰り返しています。
妊娠が成立したときには、子宮の上3分の2にあたる子宮体部が受精卵を育むベッドの役割を果たし、胎児の発育とともに発達するため、元の大きさの数十倍にまでなることも。
子宮の疾患には子宮筋腫や子宮内膜症、子宮頚がん、子宮体がんなどがあり、不妊の原因になることもあるので注意が必要です。
月経痛がひどい、不正出血や腰痛、排便痛、性交痛がある場合は早めに婦人科を受診しましょう。
卵巣
卵巣とは、子宮の両側にある親指台の臓器です。通常は3〜4cmほどの大きさですが、良性腫瘍や卵巣がんなどができて腫れると、こぶし大やそれ以上の大きさになることもあります。
しかも、卵巣は骨盤の奥に位置するので、腫れても気づきにくいのが特徴です。そのため、お腹を触ってしこりのようなものがあったり、痛みが生じたりする頃には病状が進行していることも多く、ときには突然の激しい腹痛で救急搬送されることも。
卵巣は、卵子の生成や熟成、排卵を行う女性にとって重要な生殖器官であるとともに、エストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンを分泌する内分泌器官でもあります。
そのため、摘出手術をして卵巣を失ってしまうと、のぼせやほてり、イライラ、発汗などといった更年期障害のような症状が出やすくなったり、慣れるまでは性交渉で違和感を覚えたりします。
ただし、卵巣は左右にひとつずつ存在し、片方を失ってももう片方が正常に機能していれば、生活に大きな影響が出ることはありません。
卵巣の位置ってどこか知ってる?
上記では女性特有の臓器についてご紹介しましたが、乳房や子宮のことはなんとなく知っていても、卵巣について詳しく知っている方は少ないようです。とくに、卵巣の場所がお腹のどの部分なのか、きちんと把握しているという方はあまりいないのではないでしょうか。
以下は、卵巣の位置を知る方法です。
- 両手の親指と親指、人差し指と人差し指をくっつけて三角形を作る
- その三角形のまま親指をおへそに当てる
- 人差し指の場所が子宮で、小指の場所が卵巣の位置
この位置を触ったとき、しこりのようなものが触れるという方は要注意!すでに腫瘍がある程度の大きさになっている可能性もあるので、速やかに婦人科を受診しましょう。
卵巣の機能を良くするセルフケア
妊活をしてもなかなか妊娠に至らない方もいれば、40代で出産する方もいます。また、今はまだ妊娠する予定はないけれど、ゆくゆくは子どもが欲しいという方もいるなど、昔のように若いうちに子どもを産まなければという考えは薄れつつあります。
とはいえ、自然妊娠の限界は約42歳といわれており、卵巣や子宮、母体が健康でなければそれより若くても妊娠が難しくなるでしょう。とくに卵巣の健康は、妊娠するために必要不可欠な要素であるため、妊娠をお考えの女性は、日頃から卵巣の機能を良くするよう努めることが大切です。
そこでここでは、卵巣の機能を良くするセルフケアを2つご紹介します。
ツボ押し
卵巣の機能を良くしたい方におすすめのツボは、「気衝」です。「きしょう」と読むこのツボは、骨盤内の環境を良くする働きがあり、卵巣にも有効です。
気衝は脚の付け根にあり、体幹部と脚とのちょうど境目、シワのほぼ中央に位置します。この場所には、大きな血管が通っていて、脚へと血液が送られています。そのため、卵巣の機能を良くしたい方だけでなく、足先の冷えが気になる方などもこのツボを押すことは大切です。
気衝のツボを押すときは、あぐらをかくような姿勢になると刺激しやすくなります。指でグーっと5秒間ほど押して離すか、円を描いてほぐすように刺激するとよいでしょう。
ただし、あまり強く刺激しすぎると動脈が圧迫されて逆効果になってしまうので、力を入れすぎないよう注意して行ってください。
卵巣マッサージ
卵巣の機能を良くして妊娠力アップを図るには、卵巣マッサージで腹部を温めることも大切です。生理時や排卵時などで痛みや違和感があるときは無理して行う必要はありませんが、マッサージを習慣にしていると徐々にそれらの不快感もなくなっていくでしょう。
やり方は簡単です。まずはリラックスした状態で上を向いて寝転がります。このとき、ぐらつかないように膝を立てましょう。上記でご紹介した方法で卵巣の位置を確認したら、指をくっつけた手のひらでグーッと押すようにお腹の上から卵巣を優しくマッサージします。
お金をかけず手軽にできるので、妊娠を希望している方は生理後から排卵前くらいの時期を目安に、ぜひ実践してみてください。
卵巣の疾患は定期検診で早期発見することが重要
女性特有の臓器の中でも、卵巣は乳房や子宮などと比べて、普段あまり気にすることのない臓器です。しかも卵巣は骨盤の奥にあり、身体の外部に通じていないので、他の臓器のようにがんがあっても痛みや出血などの症状が現れません。
そのため、卵巣にがんができたとしてもなかなか気づきにくく、患者さんがお腹の張りなどを感じて受診する頃には、かなり進行していたというケースもよくあります。
つまり、卵巣の異常を早期に見つけ適切な治療を受けるためには、定期的に検査を受けるのがもっとも確実な方法なのです。
卵巣がんの早期発見には、半年に1回の間隔で定期検診を受けるのがおすすめです。通常の場合、検査では内診と超音波検査を行います。医療機関によっては、卵巣や子宮の異常を痛みなく発見するMRIドックを行っているので、利用してみるとよいでしょう。
とくに40歳をすぎると、卵巣がんになりやすい傾向にあります。また、月経の開始が早かった方や閉経が遅かった方、排卵障害で排卵誘発剤を使用した方なども、必ず定期検診を受けることをおすすめします。
まとめ
女性特有の臓器の基本情報と具体的な卵巣の位置、卵巣の機能を良くするセルフケア、定期検診の重要性についてご紹介しました。
卵巣は、卵子を育て女性ホルモンを分泌する女性にとって非常に重要な臓器です。子宮の左右に2つあり、親指くらいの大きさで、子宮や骨盤の壁とひものような組織でつながっています。
女性特有の臓器には、卵巣の他に乳房や子宮がありますが、卵巣はそれらと異なり身体の外と直接つながっていないので、異常が起きても病状が進行するまでわかりません。
そのため、卵巣がんなどの異常を早期に発見するには、半年に1回の定期検診が欠かせないのです。
また、妊娠を希望されている方は、普段の生活の中で卵巣に通じるツボを押したりマッサージをしたりして、卵巣の機能を高めておくことが重要です。
今回、卵巣の場所についてもご紹介しましたので、ぜひ本記事を参考に卵巣の健康について考えてみてください。