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不正出血はどのくらい続いたら病院へ行くべき?

生理ではない時期に出血があると「何か悪い病気なのでは?」と不安になってしまうものです。ちょっと不正出血がある程度ならそのままにする方もいるかもしれませんが、どのくらい続いたら病院に行けばいいのでしょうか。

今回は不正出血の原因や不正出血から考えられる病気、不正出血があったときに病院に行くタイミングなどを解説します。不正出血は病気のサインかもしれません。この記事を参考にして、できるだけ早く必要な対処を行いましょう。

不正出血とは?

不正出血は何らかの原因によって、生理以外の時に性器から出血がみられることを言います。真っ赤な血が出てくることもありますし、おりものに血が少し混ざってピンク色になっている時、茶色や黒に変色した血が出てくる時など、一口に不正出血といっても症状は幅広いです。

血は出血してから時間が経つと、茶色っぽく酸化します。そのため、茶色っぽい不正出血があった時は、出血からある程度時間が経っているということです。一方、真っ赤な血が出ている時は今現在出血しているということになります。

不正出血の原因

不正出血はどのくらい続いたら病院へ行くべき?

不正出血が起きてしまう原因は、大きく分けて5つあります。不正出血は誰にでも起こりうるものですから、どのような原因があるのか知っておきましょう。

中間期出血

排卵時に起きる不正出血を中間期出血と言います。排卵期は卵胞ホルモンの分泌量が一時的に少なくなり、それが原因で出血してしまうことがあるのです。

排卵時の出血は珍しいことではありませんから、毎月不正出血があったとしても、排卵と重なっているのであれば心配する必要はありません。出血が気になる場合は、基礎体温をつけて排卵のタイミングを把握しておきましょう。

機能性出血

機能性出血は、ホルモンバランスに乱れが生じた結果起きる不正出血です。ホルモンバランスが安定していない中高生や、更年期の頃はこの機能性出血になってしまう方が多くいます。

ただ、それ以外の年齢でも、ストレスが原因で機能性出血が引き起こされてしまうことがあります。ホルモンバランスが崩れてしまうと、子宮内膜の成熟と剥離のタイミングも崩れてしまいます。その結果、生理ではないときに出血してしまうことがあるのです。機能性出血の場合、子宮系の病気の心配はありませんが、無排卵月経や黄体機能不全などの可能性があります。

また、低用量ピルを服用している方が不正出血する場合も、機能性出血のケースが多いです。

器質性出血

器質性出血の場合は、子宮や卵巣、膣などに何らかの病気があり、それが原因で不正出血がおきます。代表的な器質性出血の原因となる病気は、次の章で解説します。

炎症出血

淋菌・クラミジア・トリコモナスなどの性感染症に感染すると、子宮や膣内で炎症が起きてしまいます。炎症が起きた状態は出血しやすい状態になっていますから、性交渉をしたり、性器を擦ったりしてしまうと不正出血が起きてしまうことがあるのです。

その他の出血

性交時に膣が傷つく外傷性の出血や、卵子着床した時に起こる着床出血の可能性も考えられます。また、甲状腺ホルモン異常によるバセドウ病や橋本病などを発症している可能性もあります。

不正出血から考えられる病気

不正出血のうち器質性出血に考えられる病気について、出血箇所ごとに紹介します。

子宮・卵巣

子宮や卵巣で起こる出血の場合は、卵巣がんの可能性が考えられます。卵巣がんは卵巣に悪性の腫瘍ができるもので、年齢に関わらず発症する可能性があるがんです。ただ、子宮や卵巣から出血したからといって必ずしも卵巣がんなわけではなく、機能性出血の可能性もあります。

子宮内膜

子宮内膜からの出血の場合、子宮の奥にポリープができる子宮内膜ポリープや、子宮内膜に細菌が入る子宮内膜炎の可能性があります。

子宮内膜ポリープは良性のことが多いですが、悪性のケースもあるため検査が必要です。

子宮内膜炎の場合は、おりものに膿のようなものが混ざる他、下腹部の痛みや出血を伴うことがあります。

子宮筋層

子宮筋層からの出血は子宮筋腫によるものです。子宮筋腫は良性のコブのようなもので、大きくならない限りなどは問題ないこともあります。ただ、筋腫が大きくなると切迫早産や常位胎盤早期剥離などのリスクがあるほか、妊娠しづらくなってしまうこともあります。子宮筋腫がある場合は、不正出血だけでなく、月経量が増えることも多いです。

子宮頚部・子宮膣部・膣

子宮頚部・子宮膣部・膣からの出血の場合に考えられる病気は、子宮頸管ポリープ、子宮頸がん、頸管の炎症、膣部びらん、膣がんなどさまざまな病気の可能性が考えられます。どの病気か判断して適切な治療を行うことが重要です。

子宮頸管ポリープは、子宮の入り口にできるポリープです。ほとんどの場合は良性ですが、刺激を与えると簡単に出血してしまいます。性交での出血はもちろん、運動や排泄時などに出血してしまうことも珍しくありません。茶色くなった血が出ます。

子宮の入り口にできるがんである子宮頸がん。自覚症状は感じにくく、不正出血がある頃には症状が進行していることも多いです。

子宮の入り口に細菌が入り、炎症を起こす頸管の炎症になります。性交で発症することもありますが、膣から細菌が上がってきて炎症を起こすことが多いです。不正出血の他、黄色いおりものが出たり、下腹部痛・性交痛などの症状も出ます。

膣部びらんは、子宮頸管がただれている状態です。厳密には病気ではないのですが、膣部びらんになっていると、頸管の炎症が起こりやすくなってしまいます。また、性交時にも出血しやすいです。

膣がんは膣壁にできるがんです。初期症状を感じることはほとんどありませんが、不正出血の他、下腹部の痛み、排尿時・性交時の痛みが出ることがあります。

子宮体

子宮体からの出血は子宮体がんの可能性があります。子宮体がんを発症している場合、血が混ざったおりものが出ることが多いです。子宮体がんを発症するリスクが高いのは、40代以降です。下腹部の痛みや排泄痛を感じることもあります。年齢を重ねるほど発症リスクが高くなるため、閉経している場合は子宮体がんを疑ってみましょう。

不正出血の対処法

機能性出血でストレスが原因となっている場合は、規則正しい生活や十分な睡眠、栄養バランスの取れた食事などを心がけ、ホルモンバランスを正常化させることで不正出血を改善させられる可能性があります。日常的に過度のストレスを感じているようなら、自分なりのストレス発散方法を見つけておくことも大切です。

ただ、不正出血の原因が何かは自分自身で判断することができません。不正出血が続くようであれば、病院で検査してもらいましょう。

どのくらい続いたら病院へ行くべき?

不正出血は女性なら誰でも経験する可能性があり、ちょっとだけ不正出血がある程度では放置する方も多いようです。ただ、出血量が多かったり、長期的に続いたりするのであれば、不安になったタイミングで病院に行きましょう。

通常2週間以上不正出血が続く場合に止血処置が行われますが、不正出血は原因が病気の可能性も高いです。もし何らかの病気だった場合、早く発見して速やかに治療することが大切になります。少しでも不安を感じたら、病院を受診するようにしてください。

【まとめ】不安な不正出血は自己判断せず病院を受診しよう

生理以外の時に出血があると、誰でも不安になってしまうものです。不正出血の原因を自分で確かめることはできませんから、不安に思ったら病院を受診して検査してもらってください。問題のない出血のこともありますが、原因が分かった方が安心して過ごせます。

病院を受診するのは面倒に感じるかもしれませんが、万一のことを考えてできるだけ早めに行動しましょう。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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