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NIPTを受けるなら臨床遺伝専門医のいる施設がいい理由

妊娠初期に胎児の染色体異常リスクを調べる「NIPT(新型出生前診断)」。採血だけで高い精度の検査が可能なため、近年注目を集めています。しかし、どの施設でNIPTを受けるべきなのか迷っていませんか?

日本では様々な施設でNIPTが提供されていますが、臨床遺伝専門医が在籍している施設を選ぶことには大きなメリットがあります。この記事では、NIPTを受ける際になぜ臨床遺伝専門医のいる施設を選ぶべきなのか、その理由を詳しく解説します。

この記事でわかること
  • 臨床遺伝専門医とは何か、どのような役割を担っているのか
  • 認証施設と非認証施設の違い
  • 臨床遺伝専門医がいる施設を選ぶべき5つの理由
  • 適切な遺伝カウンセリングの重要性
  • NIPT陽性時のサポート体制の違い

臨床遺伝専門医とは何か

臨床遺伝専門医は、日本人類遺伝学会と日本遺伝カウンセリング学会が認定する専門的な資格を持つ医師です。遺伝医療に精通し、遺伝性疾患の診断・治療・予防に関する幅広い知識を持っています。

主に産婦人科や小児科を専門としていることが多いですが、成人発症の遺伝性疾患やがんなども対象としており、様々な診療科の医師が臨床遺伝専門医として活躍しています。大学病院や総合病院では「遺伝診療科」として独立した部門を持つことも増えてきました。

臨床遺伝専門医の役割
  • 遺伝性疾患の診断と治療方針の決定
  • 遺伝カウンセリングの実施
  • 遺伝学的検査の適応判断と結果解釈
  • 患者・家族への心理的サポート
  • 他の医療スタッフとの連携

NIPTにおける臨床遺伝専門医の役割は非常に重要です。検査の意義や限界を正確に説明し、結果の解釈、そして結果に基づく今後の選択肢について専門的な立場からアドバイスを提供します。また、認定遺伝カウンセラーや主治医と連携しながら、妊婦さんとそのパートナーを総合的にサポートします。

NIPTを受ける際の施設選びの重要性

認証施設と非認証施設の違い

日本医学会の出生前検査認証制度等運営委員会は、NIPTを実施する医療機関を審査・認証しています。認証施設は専門家のサポート体制など、一定の要件を満たした施設であることが保証されています。

一方で、認証を受けていないにもかかわらず検査を実施している非認証施設も存在します。これらの施設では、検査で染色体疾患が疑われても適切な情報提供や遺伝カウンセリングを実施せず、妊婦さんとパートナーが困惑してしまうというケースも報告されています。

ただし、ミネルバクリニックのように非認証施設でありながら、臨床遺伝専門医が在籍し、質の高い遺伝カウンセリングと最新技術によるNIPTを提供している例外的な施設もあります。

日本医学会の出生前検査認証制度について

日本医学会は、出生前検査についての情報提供、NIPTを実施する施設認証、検査精度評価などの機能を担う委員会を設置しています。この委員会によって認証された施設のみが、公式に「NIPT実施医療機関」として認められています。

認証基準には、臨床遺伝専門医の在籍、適切な遺伝カウンセリング体制、検査後のフォローアップ体制などが含まれています。認証制度は妊婦さんの安全と安心を守るための重要な仕組みです。

非認証施設でも注目すべきポイント

非認証施設を選ぶ場合でも、以下のポイントを確認することが重要です:

  • 臨床遺伝専門医が在籍しているか
  • 検査前後の遺伝カウンセリングが適切に提供されているか
  • 検査技術の精度と信頼性
  • 陽性結果が出た場合のサポート体制
  • 確定検査(羊水検査など)への紹介体制

施設選びで注意すべきポイント

NIPTの施設を選ぶ際には、以下のポイントに注意すべきです:

  • 臨床遺伝専門医の在籍: 専門的な遺伝カウンセリングと結果解釈のために不可欠
  • 検査前後の遺伝カウンセリング体制: 検査の目的や限界を理解し、結果に基づく選択を支援
  • 検査技術の信頼性: 最新の技術を用いた高精度な検査が提供されているか
  • 陽性結果時のサポート体制: 心理的サポートや次のステップに関する情報提供
  • 確定検査への移行体制: 羊水検査などの確定検査が必要な場合の紹介体制

ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医による質の高い遺伝カウンセリングと、最新のCOATE法を用いた高精度NIPTを提供しています。COATE法は従来のNIPTよりもさらに高い精度で染色体異常を検出できる革新的な技術です。詳しくはミネルバクリニックのNIPT技術の進化をご覧ください。

臨床遺伝専門医がいる施設を選ぶべき5つの理由

理由1: 検査前の適切な遺伝カウンセリングが受けられる

臨床遺伝専門医のいる施設では、検査前に専門的な遺伝カウンセリングを受けることができます。この過程で、NIPTの目的、検査で分かること・分からないこと、検査精度、結果の解釈方法などについて正確な情報を得ることができます。

特に重要なのは、「NIPTはスクリーニング検査であり、確定的な診断検査ではない」という点の理解です。臨床遺伝専門医は、この違いを正確に説明し、検査を受ける前に十分な情報提供を行います。

検査前カウンセリングで得られること
  • NIPTの仕組みと検査精度についての正確な理解
  • 検査で分かること・分からないことの明確な区別
  • 検査結果が出た後の選択肢についての情報
  • 妊婦さん・パートナーの不安や疑問への回答
  • 検査を受ける目的と期待の擦り合わせ

理由2: 検査結果の正確な解釈と説明が期待できる

NIPTの結果は単に「陽性」「陰性」だけではなく、様々な要素を考慮して総合的に解釈する必要があります。臨床遺伝専門医は、妊婦さんの年齢、家族歴、検査の精度など複数の要素を考慮して、結果の意味を正確に解釈し説明することができます。

例えば、検査の陽性的中率(PPV)は年齢によって大きく異なります。44歳の方がダウン症で陽性と判定された場合は99%近くの確率で実際にダウン症である一方、25歳の方が13トリソミーで陽性だった場合は実際に13トリソミーである確率は20%を下回ります。このような複雑な情報を専門的な立場から説明できるのが臨床遺伝専門医の大きな強みです。

母体年齢 21トリソミー(ダウン症)のPPV 18トリソミーのPPV 13トリソミーのPPV
25歳 約50% 約30% 約20%
35歳 約80% 約50% 約30%
40歳 約95% 約70% 約40%
44歳以上 約99% 約80% 約50%

※年齢別の陽性的中率(PPV)は概算値です。実際の値は検査方法や研究によって異なります。

理由3: 陽性結果が出た場合の心理的サポートが充実している

NIPTで陽性結果が出た場合、多くの妊婦さんとそのパートナーは大きな不安と戸惑いを感じます。臨床遺伝専門医のいる施設では、このような状況での心理的サポートが充実しています。

専門医は、陽性結果の意味を冷静に説明し、次のステップについての選択肢を提示します。また、単なる医学的な説明だけでなく、心理的・社会的側面からのサポートも提供することができます。

「陽性結果を受け取った時は頭が真っ白になりましたが、専門医の先生がとても丁寧に説明してくださり、少しずつ冷静に考えられるようになりました。次にどうすればいいのかを一緒に考えてくれたことが本当に支えになりました。」

– NIPTを受けた30代女性

理由4: 確定検査(羊水検査など)への適切な移行が可能

NIPTで陽性結果が出た場合、羊水検査や絨毛検査などの確定検査を検討することになります。臨床遺伝専門医のいる施設では、これらの確定検査へのスムーズな移行が可能です。

確定検査には流産リスク(羊水検査で約0.3%)が伴うため、そのメリットとリスクを十分に理解した上で検査を受けるかどうかを決定する必要があります。臨床遺伝専門医は、この意思決定プロセスを専門的な観点からサポートすることができます。

確定検査のリスクとメリット

リスク:

  • 羊水検査による流産リスク:約0.3%(300人に1人)
  • 絨毛検査による流産リスク:約1%(100人に1人)
  • 検査に伴う痛みや不快感

メリット:

  • + 99.9%以上の精度で染色体異常の有無を確定できる
  • + 微細な染色体異常も検出可能
  • + 検査結果に基づいた正確な医学的情報と今後の見通しが得られる

理由5: 染色体異常が見つかった場合の総合的なサポート体制がある

確定検査で実際に染色体異常が確認された場合、妊婦さんとパートナーは次にどうするかという難しい選択に直面します。臨床遺伝専門医のいる施設では、このような状況での総合的なサポート体制が整っています

染色体異常がある場合の今後の妊娠経過、出産後の見通し、医療的・社会的支援制度など、様々な側面から情報提供を行い、夫婦の意思決定をサポートします。また、必要に応じて小児科医や他の専門家とも連携し、多角的な支援体制を構築することができます。

ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医による継続的なサポートと、必要に応じた他施設への紹介も行っています。詳しくはNIPT検査で何がわかるかをご覧ください。

遺伝カウンセリングの重要性

遺伝カウンセリングで話し合われること

検査前の遺伝カウンセリングでは、主に以下のような内容が話し合われます:

  • NIPTの仕組みと検査精度: 検査の科学的背景と精度に関する情報
  • 検査で分かること・分からないこと: 検査の対象となる染色体異常と限界
  • 検査結果の解釈: 陽性・陰性・判定保留の意味と次のステップ
  • 検査を受ける目的と動機: 何を知りたいのか、結果をどう活用するのか
  • 検査結果に基づく選択肢: 結果が出た後の様々な選択肢と意思決定の考え方

これらの内容を事前に理解しておくことで、検査結果を受け取った際の心の準備ができ、より冷静な判断ができるようになります。

遺伝カウンセリングの進め方(ミネルバクリニックの例)
  1. 妊婦さんとパートナーの不安や疑問、検査を希望する理由の確認
  2. NIPTの仕組み、対象疾患、検査精度についての説明
  3. 検査で分かること・分からないことの明確化
  4. 検査結果が出た後の選択肢と意思決定の考え方の説明
  5. 質疑応答と検査を受けるかどうかの最終確認

※カウンセリングは約30分〜1時間程度かかります。パートナーと一緒に受けることをお勧めします。

カウンセリングを受けるメリット

検査前に遺伝カウンセリングを受けることの主なメリットは以下の通りです:

  • 検査への正しい理解: NIPTの仕組みや限界についての正確な理解が得られる
  • 期待の調整: 検査で分かること・分からないことを事前に理解できる
  • 不安の軽減: 専門家に相談することで不安や疑問が解消される
  • 意思決定の準備: 結果が出た後の選択肢について事前に考えることができる
  • 心の準備: 様々な結果の可能性について心の準備ができる

臨床遺伝専門医による専門的なカウンセリングは、検査の全過程を通じて妊婦さんとパートナーを支える重要な役割を果たします。

パートナーと一緒に受けることの意義

遺伝カウンセリングは、可能であればパートナーと一緒に受けることをお勧めします。NIPTの結果は、妊婦さん一人だけでなくパートナーや家族全体に関わる重要な情報です。二人で同じ情報を共有し、理解を深めることで、その後の意思決定もスムーズになります。

また、検査結果に対する考え方や価値観は人それぞれ異なるため、事前にパートナーと話し合っておくことで、結果を受け取った際の対応も円滑になります。

「主人と一緒にカウンセリングを受けたことで、二人で同じ理解を持つことができました。特に結果が出た後の選択肢について事前に話し合えたことは、とても良かったと思います。」

– NIPTを受けた20代女性

検査結果が陽性だった場合のサポート

陽性結果の意味と次のステップ

NIPTで陽性結果が出たからといって、必ずしも胎児に染色体異常があるわけではありません。NIPTはスクリーニング検査であり、偽陽性(実際には染色体異常がないのに陽性と判定されること)の可能性もあります。

陽性結果が出た場合の次のステップとしては、通常、羊水検査や絨毛検査などの確定検査を検討します。臨床遺伝専門医は、これらの検査のメリット・リスクを説明し、妊婦さんとパートナーの意思決定をサポートします。

陽性結果後の一般的な流れ
  1. 臨床遺伝専門医による結果説明と次のステップについての相談
  2. 確定検査(羊水検査・絨毛検査)についての詳細な説明
  3. 確定検査を受けるかどうかの意思決定
  4. 確定検査の実施(希望する場合)
  5. 確定検査の結果説明と今後の選択肢についての相談

臨床遺伝専門医によるフォローアップ

臨床遺伝専門医のいる施設では、陽性結果後のフォローアップも充実しています。確定検査の結果が出るまでの不安な期間を支え、結果が出た後の選択肢について専門的な立場からアドバイスを提供します。

また、染色体異常が確認された場合には、その疾患に関する最新の医学情報、予後、治療法、社会的支援制度などについても詳しく説明し、妊婦さんとパートナーの意思決定を支援します。

ミネルバクリニックでは、陽性結果が出た場合も臨床遺伝専門医が継続的にサポートし、必要に応じて連携医療機関への紹介も行っています。詳しくはNIPTについてをご覧ください。

心理的ケアの重要性

NIPTの陽性結果を受け取ることは、多くの妊婦さんとパートナーにとって大きなストレスとなります。臨床遺伝専門医のいる施設では、医学的な側面だけでなく、心理的な側面からのサポートも提供します。

必要に応じて臨床心理士や社会福祉士、患者会などの社会的リソースとも連携し、総合的な支援体制を構築することができるのも、臨床遺伝専門医のいる施設の大きな強みです。

ミネルバクリニックでは、検査結果に関わらず、不安や疑問があれば何度でも遺伝カウンセリングを受けることができます。妊娠期間中のサポートを大切にしています。

よくある質問と回答

臨床遺伝専門医のいる施設とそうでない施設では費用に違いがありますか?

臨床遺伝専門医のいる施設とそうでない施設では、検査費用に違いがある場合があります。一般的に臨床遺伝専門医のいる施設の方が高額になる傾向がありますが、これは専門的なカウンセリングや検査後のフォローアップ体制が含まれているためです。

検査費用は施設によって異なりますが、おおよそ15万円~45万円程度です。ただし、中には陽性時の確定検査(羊水検査など)の費用を含むプランを提供している施設もあります。費用だけでなく、提供されるサービスの内容や質も比較することが重要です。

NIPTの予約から結果までの流れはどのようになっていますか?

一般的な流れは以下の通りです:

  1. 電話やウェブで予約
  2. 初回来院・検査前遺伝カウンセリング(臨床遺伝専門医によるカウンセリング)
  3. 採血(10~20mlの母体血液を採取)
  4. 検査結果の待機(通常1~2週間程度)
  5. 結果説明(来院またはオンラインで)
  6. 必要に応じて追加カウンセリングや確定検査

この流れは施設によって多少異なる場合があります。ミネルバクリニックでは、検査前の遺伝カウンセリングから結果説明まで、すべて臨床遺伝専門医が担当しています。詳細はお問い合わせください。

35歳未満でもNIPTを受けることはできますか?

日本産科婦人科学会のガイドラインでは、35歳以上の高齢妊娠や、胎児超音波検査で異常が疑われる場合、過去に染色体異常児を出産した経験がある場合などをNIPTの対象としています。

ただし、実際には35歳未満でも検査を受けることができる施設は増えてきています。特に非認証施設では年齢制限を設けていないことが多いですが、その場合でも検査前の適切なカウンセリングは非常に重要です。

ミネルバクリニックでは年齢制限を設けておらず、35歳未満の方でも臨床遺伝専門医によるカウンセリングを受けた上でNIPTを受けることができます。

どのような染色体異常がNIPTで検出できますか?

NIPTでは主に以下の染色体異常を検出できます:

  • 21トリソミー(ダウン症候群): 21番染色体が3本ある状態
  • 18トリソミー(エドワーズ症候群): 18番染色体が3本ある状態
  • 13トリソミー(パトー症候群): 13番染色体が3本ある状態

ミネルバクリニックで採用しているCOATE法では、上記の3種類に加えて、全染色体の数的異常(すべての染色体のトリソミーやモノソミー)と微細欠失・重複症候群も検出可能です。詳しくはミネルバクリニックのNIPT技術の進化をご覧ください。

臨床遺伝専門医のいる施設はどうやって探せばいいですか?

臨床遺伝専門医のいる施設を探す方法はいくつかあります:

  1. 日本医学会の出生前検査認証制度等運営委員会のウェブサイトで認証医療機関を確認する
  2. 「臨床遺伝専門医 NIPT」などのキーワードでインターネット検索する
  3. NIPT検査を提供している企業のウェブサイトで提携医療機関を確認する

非認証施設でも臨床遺伝専門医が在籍している施設はあります。ミネルバクリニックは非認証施設ながら、臨床遺伝専門医が在籍し、最新技術によるNIPTと質の高い遺伝カウンセリングを提供しています。

まとめ

NIPTを受ける際に臨床遺伝専門医のいる施設を選ぶことには、多くのメリットがあります。検査前の適切なカウンセリングから、結果の正確な解釈と説明、陽性結果が出た場合の心理的サポート、確定検査への適切な移行、そして染色体異常が見つかった場合の総合的なサポート体制まで、検査の全過程において専門的な支援を受けることができます

NIPTは単なる医学的検査ではなく、その結果によって妊婦さんとパートナー、そして家族全体の人生に大きな影響を与える可能性のある重要な検査です。だからこそ、臨床遺伝専門医という専門家のサポートが非常に重要なのです。

検査を受けるかどうか、どの施設で受けるかという選択は、それぞれの妊婦さんとパートナーが自分たちの価値観や状況に基づいて決めるべきことです。しかし、できるだけ多くの正確な情報を得た上で、十分なサポート体制のある環境で検査を受けることが、より良い意思決定につながるでしょう。

ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医による質の高い遺伝カウンセリングと、最新のCOATE法を用いた高精度NIPTを提供しています。検査に関するご質問やご不安があれば、お気軽にお問い合わせください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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