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NIPTを受けるなら臨床遺伝専門医のいる施設がいい理由

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

のべ10万人以上の意思決定に伴走。2025年国際誌『Global Woman Leader』表紙抜擢など、世界基準の出生前診断と遺伝カウンセリングを提供。

📍 クイックナビゲーション

NIPTを検討している妊婦さんから、「どの施設で受けても結果は同じではないか」「臨床遺伝専門医がいるとどう違うのか」というご質問をよくいただきます。NIPTは採血だけで受けられる手軽さがある一方、結果の解釈と意思決定支援には高度な専門性が必要な検査です。

この記事でわかること
📖 読了時間:約12分
🧬 NIPT・遺伝カウンセリング
臨床遺伝専門医監修

  • NIPTは「どこで受けても同じ」ではない理由
  • 臨床遺伝専門医が担う役割と、いる施設を選ぶ5つの理由
  • 認証制度と施設の実態——制度名より「中身」が大事な理由
  • NIPT陽性後の「次の一手」——迷子にならないための流れ
  • 施設選びで後悔しない6つのチェック項目

\ 検査前の不安から、結果後の迷いまで /

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NIPTは「陽性・陰性」の二択のように見えますが、実際には陽性的中率(PPV)は年齢や対象疾患、検査手法によって変わり、判定保留や低胎児分画などのケースも生じます。こうした不確実性の中で、情報の整理と感情の整理の両方が必要になります。

1. 結論|臨床遺伝専門医がいると「NIPTの価値」が最大化する

【結論】 NIPTは採血だけで受けられる一方、「結果が出た後の解釈」と「次の意思決定」に高度な専門性が必要です。臨床遺伝専門医がいる施設では、検査前の理解の整理から、結果説明、必要時の確定検査への橋渡し、心理的支援までを一貫して行えるため、後悔のリスクを下げ、納得感を高めることができます。

NIPTは「陽性・陰性」の二択のように見えますが、実際には陽性的中率(PPV)は年齢や対象疾患、検査手法によって変わります。また判定保留や低胎児分画などのケースも生じます。こうした不確実性の中で、情報の整理と感情の整理の両方が一体的に行われることが重要です。

🔬 用語解説:陽性的中率(PPV)とは

陽性的中率(PPV:Positive Predictive Value)とは、「検査が陽性と出たとき、実際にその疾患が存在する確率」のことです。NIPTのPPVは年齢・対象疾患・検査手法によって大きく異なり、たとえば21トリソミーでも30代前半の妊婦では50〜70%程度にとどまる場合があります。「陽性=確定」ではないため、結果を正確に解釈するには専門的な知識が不可欠です。

⚠️ ここでつまずきやすいポイント:NIPTは「確定診断」ではありません。結果が陽性でも、必ず胎児に異常があるとは限らず、最終確認には羊水検査・絨毛検査などの確定検査が必要です。ここを十分に説明されずに検査を受けると、結果後に不安が増幅しやすくなります。

2. 臨床遺伝専門医とは|「検査を受ける前」と「受けた後」を支える専門家

【結論】 臨床遺伝専門医は、遺伝学的検査や遺伝性疾患に関する専門的知識を持ち、検査の適応判断・結果解釈・意思決定支援(遺伝カウンセリング)を担う医師です。NIPTのように「検査そのもの」より「結果の意味づけ」が重要な領域で、その価値が大きくなります。

🧭 臨床遺伝専門医が担うこと
  • 検査前:対象疾患・限界・偽陽性/偽陰性・追加検査の流れをわかりやすく説明
  • 結果:年齢や背景を踏まえた解釈(PPVの理解、検査法の特性、判定保留の対応)
  • 次の一手:確定検査(羊水検査・絨毛検査)のメリット/リスクを公平に提示
  • 心理支援:不安が大きい時期に、情報と感情の整理を同時に支える
仲田洋美院長

🩺 院長コラム【臨床遺伝専門医だからこそ伝えられること】

臨床遺伝専門医の資格を取得するには、遺伝学・倫理・カウンセリングを含む幅広い研修と症例経験が必要です。NIPTの場面で重要なのは、「検査結果の数字を読む」だけでなく、その数字が持つ意味を患者さんの背景と照らし合わせて伝えること。同じ「陽性」でも、35歳の方と40歳の方ではPPVが大きく異なり、伝え方も変わります。

「陽性と言われたが、何をすべきかわからなかった」という声を私はこれまで多く聞いてきました。専門医がいる施設では、結果説明の場で次の選択肢を一緒に整理できます。検査を受けること以上に、「結果をどう受け取り、次にどう動くか」を支えることが専門医の役割だと思っています。

3. 認証制度と施設選び|「制度」と「実態」を正しく理解する

日本には、出生前検査に関する情報提供や医療機関の認証を行う枠組みがあります。認証施設は一定の要件を満たすことが求められ、妊婦さんの安全と安心のための重要な仕組みです。

💡 用語解説:NIPT認証制度とは

NIPT認証制度とは、日本医学会 出生前検査認証制度等運営委員会(JAMS)が設けた制度で、一定の体制を備えた施設を「認証施設」として認定するものです。認証を受けるには、遺伝カウンセリング体制の整備、産婦人科との連携、専門職の在籍などが要件となります。認証は「最低限の体制」を担保する枠組みであり、認証の有無だけで施設の質を判断することには限界があります。

⚠️ ポイント:認証は「安心の目安」にはなりますが、すべてのニーズ(検査範囲・サポート形態・通院負担など)を満たすとは限りません。逆に、非認証であっても臨床遺伝専門医が在籍し、検査前後の支援体制を整える施設も存在します。大切なのは「制度名」よりも実際の支援内容です。

認証施設/非認証施設を見るときのチェック軸

チェック項目 確認すべきポイント
検査前説明 検査の限界、偽陽性/偽陰性、判定保留、次のステップまで説明があるか
結果説明 「陽性/陰性」だけでなく、PPVや背景リスクも含めて説明されるか
陽性時の導線 確定検査(羊水検査・絨毛検査)への紹介体制、予約・実施のスムーズさ
心理的支援 不安が強い時の相談先、追加のカウンセリング機会があるか
担当者の専門性 臨床遺伝専門医(または遺伝医療の専門家)が関与しているか

4. 臨床遺伝専門医がいる施設を選ぶべき5つの理由

理由1:検査前に「期待の調整」ができる

NIPTは万能ではありません。どこまでわかるのか、何がわからないのか、どんな結果が出うるのかを事前に理解できると、結果後の不安が大幅に減ります。臨床遺伝専門医は、医学的な正確さだけでなく、受け手が誤解しやすいポイントを踏まえて説明できます。

理由2:結果を「年齢・背景込み」で解釈できる

同じ「陽性」でも、実際の確からしさは一律ではありません。年齢、対象疾患、検査法、胎児分画、双胎など、多くの要素が影響します。臨床遺伝専門医の強みは、検査の数値と臨床背景を統合して説明できることです。

理由3:陽性時の心理的サポートが「医学と一体」で行える

陽性結果を受け取ると、頭が真っ白になる方も多いです。そのとき必要なのは、ただ慰めることではなく、不安の根をほどき、次の行動を一緒に組み立てることです。臨床遺伝専門医は、医学的な選択肢の提示と心理的支援を分断せずに行えます。

理由4:確定検査への移行がスムーズになりやすい

NIPT陽性時は、羊水検査や絨毛検査などの確定検査を検討します。ここで大事なのは、リスクとメリットを理解し、納得して決めることです。臨床遺伝専門医がいる施設では、説明→意思決定→紹介/実施が一本の導線になります。

理由5:結果が確定した後の情報提供が深くなる

確定検査で異常が確認された場合、疾患の見通し、出生後の医療、支援制度、家族への影響など、考えることは一気に増えます。臨床遺伝専門医がいると、疾患の医学的情報だけでなく、家族の意思決定を支える情報提供が可能です。

5. 陽性だったらどうする?|「次の一手」を迷子にしない

【結論】 NIPT陽性は「確定」ではありません。次の一手は、確定検査を受けるかどうかを、リスク・週数・家族の価値観を踏まえて決めることです。ここで重要なのが、検査を受ける施設に確定検査へつなぐ体制があるかどうかです。

陽性結果後の一般的な流れ
  1. 臨床遺伝専門医による結果説明(PPV・限界・背景リスクを含む)
  2. 確定検査(羊水検査・絨毛検査)のメリット/リスク説明
  3. 受ける/受けないの意思決定(パートナーと同席が望ましい)
  4. 確定検査の予約・実施(週数に合わせて選択)
  5. 確定結果の説明と、今後の選択肢(妊娠継続・出産準備・支援)
💡 用語解説:羊水検査と絨毛検査の違い

羊水検査(羊水穿刺)は妊娠15〜18週頃に実施し、羊水中の胎児細胞を培養して染色体を直接確認する確定診断法です。絨毛検査(CVS)は妊娠10〜14週頃に胎盤の絨毛組織を採取して染色体を調べる方法で、より早期に結果が得られます。いずれも流産リスク(1%前後)を伴うため、臨床遺伝専門医によるリスク説明と十分な意思決定のプロセスが重要です。

確定検査について詳しく知りたい方は、羊水検査の解説ページもあわせてご覧ください。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「陽性」を告げた後こそが、専門医の本番です】

NIPT陽性の結果をお伝えする瞬間は、どれだけ経験を積んでも緊張します。多くの方は「え……」と言葉を失われます。そのとき私が心がけているのは、急かさないこと、情報を詰め込みすぎないこと、そして「今日決めなくていい」と伝えることです。

陽性後に最も大切なのは、「確定検査を受けるかどうか」という判断を、十分な情報と時間をもって行えること。そのためには、PPVを含む正確な説明と、確定検査へのスムーズな橋渡し体制が必要です。当院では陽性後のサポートを最も重視しており、「陽性後に一人で迷子にさせない」ことを診療の柱にしています。

6. 後悔しない施設選び|「この6つ」を事前に確認

【結論】 施設選びで失敗しないコツは、「検査」だけで比較しないことです。NIPTは検査前〜結果後までがワンセットです。以下のチェック項目を、予約前に必ず確認しましょう。

✅ 事前チェックリスト
  • 検査前の説明は誰が行う?(医師/カウンセラー/事務)
  • 「確定検査ではない」ことを明確に説明してくれる?
  • 結果説明は対面/オンライン?質問できる時間は確保される?
  • 陽性時、羊水検査/絨毛検査へ紹介できる体制がある?
  • 心理的支援(追加相談・再カウンセリング)の枠がある?
  • 検査範囲(基本/全染色体/微小欠失など)と限界を具体的に説明してくれる?

「検査の前」に相談することが、いちばんの安心です

検査の目的や不安、結果が出た後の選択肢について、
臨床遺伝専門医が整理してお伝えします

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よくある質問(FAQ)

Q1. 臨床遺伝専門医がいる施設は、費用が高いですか?

施設によって異なりますが、専門的な説明・結果解釈・陽性時支援などが含まれる場合、費用が高くなることはあります。一方で、費用差は「検査の範囲」や「フォロー体制」の違いを反映していることが多いので、価格だけでなく何が含まれているかを確認することが大切です。

Q2. NIPTは陽性なら必ず確定検査を受けるべきですか?

一般に、NIPTは確定診断ではないため、陽性の場合は確定検査(羊水検査・絨毛検査)で確認することが推奨されます。ただし、妊娠週数、体調、価値観、既にわかっている医学情報などで判断は変わります。臨床遺伝専門医は、リスクとメリットを整理し、納得できる意思決定を支援します。

Q3. 「認証施設」なら、どこでも同じレベルのサポートですか?

認証は一定の要件を満たす目安になりますが、実際の運用(説明時間、結果説明の形、相談枠、確定検査への導線)は施設ごとに違います。認証/非認証に関わらず、検査前後のサポートの中身を必ず確認しましょう。

Q4. 検査前の遺伝カウンセリングでは何を話しますか?

検査の目的、検査でわかること/わからないこと、偽陽性/偽陰性、判定保留、結果が出た後の選択肢、確定検査の位置づけなどを整理します。必要に応じて家族歴や既往、超音波所見なども踏まえて、最適な検査選択を考えます。詳しくは遺伝カウンセリングとはもご覧ください。

Q5. NIPTの結果が「判定保留」や「再検」になることはありますか?

あります。代表的な原因は胎児分画(胎児由来cfDNA)の不足、採血時期、母体側の要因(BMIなど)、双胎・消失双胎などです。再検査で判定できることもありますが、状況によっては確定検査を含めた選択肢を整理する必要があります。

Q6. 微小欠失や全染色体まで調べるべきですか?

目的次第です。検査範囲が広がるほど情報量は増えますが、解釈が難しい結果(意義不明の所見など)に出会う可能性も上がります。希望や不安に合わせて、検査範囲のメリット・デメリットを整理して決めることが大切です。

Q7. パートナーと一緒に受診した方がいいですか?

可能であれば推奨します。結果は夫婦の意思決定に関わり、同じ情報を共有することで判断がスムーズになります。オンライン同席や後日のフォロー相談が可能かも、施設選びのポイントです。

Q8. ミネルバクリニックでは、結果後の相談もできますか?

はい。検査前後の遺伝カウンセリングを重視し、結果説明と次の選択肢の整理を丁寧に行います。必要に応じて確定検査へのご案内や他医療機関との連携も行います。まずはお気軽にご相談ください。

🏥 一人で悩まないでください

NIPTは「受ける前」も「結果が出た後」も不安が揺れます。
情報と気持ちを一緒に整理し、納得できる選択を支えます。

参考文献

  • [1] 日本医学会 出生前検査認証制度等運営委員会(NIPT認証制度) [公式サイト]
  • [2] 日本産科婦人科学会 倫理委員会「母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)に関する指針」 [PDF]
  • [3] ACOG Practice Bulletin No.226: Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities (2020). [PubMed]
  • [4] Lo YM, et al. Presence of fetal DNA in maternal plasma and serum. Lancet. 1997;350:485-487. [PubMed]
  • [5] ISPD Position statement (cfDNA screening) [ISPD]
  • [6] Gil MM, et al. Analysis of cell-free DNA in maternal blood in screening for aneuploidies. (総説・レビュー) [PubMed]

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プロフィール

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。
2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載
されました。

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