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NIPTでわかることは?検査のメリット・デメリット、わからない障害も解説

NIPTを検討中の方は、検査前にNIPTで一体なにがわかるのか、わからないことは何なのかしっかりと把握しておくことが大切です。NIPTでわかることは医療施設が認証施設か非認証施設かによっても違いが生じるため、認証施設と非認証施設の違いについてもこの記事でご紹介します。

また、検査前にはNIPTのメリット・デメリットも認識しておくとよいでしょう。重ねて紹介するのでぜひ参考にしてみてください。

NIPTでわかること

NIPTは、母体の採血によって摂取できるセルフリーDNA(cfDNA)を利用して胎児の染色体異常を検出します。ここではNIPTでわかる代表的な染色体異常や疾患、検査内容をご紹介します。

21トリソミー(ダウン症)

21トリソミーは、21番目の染色体が3本になることで起こる染色体異常のことで、ダウン症とも呼ばれます。平均寿命が他の染色体疾患に比べて長く、症状の重さに大きく個人差があるのが特徴です。 手厚い支援を受けなければ日常生活を送れないという方もいれば、大学を卒業し就職して自活できる方もいます。

18トリソミー(エドワーズ症候群)

18トリソミーは、18番目の染色体が3本になることで起こる染色体異常のことで、エドワーズ症候群とも呼ばれます。発症した場合は、ほとんどが自然流産してしまい、もし誕生できたとしても半数以上は生後1週間以内で亡くなってしまいます。 1年後まで生存する割合は10%未満です。

13トリソミー(パトウ症候群)

13トリソミーは、13番目の染色体が3本になることで起こる染色体異常のことで、パトウ症候群とも呼ばれます。18トリソミーと同様に発症した場合の多くは自然流産してしまい、誕生できる赤ちゃんはごく稀です。病気の重さに個人差があるものの、1年後まで生存する割合は10%未満にとどまっています。

全染色体検査

NIPTの全染色体検査では、通常の基本検査が21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーを検査するのに対し、1~22番のすべての常染色体とXY染色体性染色体)を検査することができます。そのため、全部の染色体のトリソミー、モノソミーといった数の異常があるかどうか調べることができます。

微小欠失症候群

微小欠失症候群は、染色体の一部の小さな断片がなくなることが原因で起こる疾患群です。ほとんどは両親からの遺伝ではなく突然変異で起こります。症状として、心疾患などの形態異常や、精神発達遅滞などの複数の合併症が出現します。

性別

性別の検査は、NIPTの本来の目的ではありませんが、染色体の数によって人の性別は決まるため、NIPTを受けることにより99.9%の確率で性別も確認できます。
ただし、性別の告知が受けられるのは、厚生労働省が認証していないクリニックに限られます。

認証施設と非認証施設のちがい

NIPTでわかることは、認証施設で受けるのか、非認証施設で受けるのかによって違いが生じます。非認証施設では、この基本検査に加えて全染色体検査、微小欠失症候群の可能性や父親が原因の染色体異常のリスク(デノボ)、性別などを知ることができます。
以下で認証施設と非認証施設の違いについて詳しく解説します。

認証施設とは

認証施設とは出生前検査認証制度等運営委員会が2022年2月に公表した「NIPT 等の出生前検査に関する情報提供及び施設(医療機関・検査分析機関)認証の指針」に記載されている条件を満たした施設です。検査の精度が十分に検証されている21トリソミー(ダウン症)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトウ症候群)の3つを調べる基本検査以外は行われておりません。

認証施設では、遺伝カウンセリングが必須で実施されており、NIPTの受検前、採血、NIPTの結果通知の計3回病院へ通う必要があります。その際は夫婦揃って受ける必要があり、予定を立てるのが難しくなるケースも見られます。

また、認証施設には基幹施設と連携施設があります。基幹施設は、産婦人科専門医と小児科専門医師が常時勤務していることが必要で、この医師のどちらかが臨床遺伝専門医の資格を有していなければなりません。そして、医師以外の認定遺伝カウンセラーもしくは遺伝看護専門看護師が在籍していることが望ましいとされるなど、人的環境が整っていることが求められます。

一方で、連携施設にはこういった決まりはなく、産婦人科専門医の常駐を必須としているのみです。そのため、陽性であった場合に連携施設での出産は難しくなります。
そのため、検査結果が陽性であった場合の確定検査は必ず基幹施設で行わなければなりません。検査の結果によっては基幹施設へ行かなければならないということも踏まえたうえで、施設選びを検討するとよいでしょう。

施設によっては該当施設での分娩予定がなければ受けられないこともありますし、かかりつけ医の紹介状が必要となるなど予約がなかなか難しいという点も認証施設の特徴です。

非認証施設とは

非認証施設とは出生前検査認証制度等運営委員会に承認されていない施設のことです。つまり、認証施設のように医師の配置などが求められていないという点が特徴です。しかし、検査の精度についてはまったく問題なく、認証施設さながらの検査が受けられます。違法ということもないため、安心して検査を受けていただいて構いません。

非認証施設では、この基本検査に加えて全染色体検査、微小欠失症候群の可能性や父親が原因の染色体異常のリスク(デノボ)、性別などを知ることができます。そのため、受けたい検査を認証施設で受けられないという場合には選択肢として挙げられるでしょう。
ただし、非認証施設には臨床遺伝専門医が在籍していないため、遺伝カウンセリングを受けられない可能性があり、NIPTにおける疑問点などを解消できずに検査を受けてしまうケースもあります。

NIPTでわからないこと

NIPTなどの出生前診断を行えば、赤ちゃんが生まれる前に形態異常や染色体異常などをある程度把握することができます。しかし、あらゆる病気や疾患が出生前診断でわかるわけではありません。NIPTでわからない障害について確認しましょう。

発達障害

NIPTでは、自閉症や注意欠陥多動性障害などを含む発達障害を診断することはできません。発達障害は複数の遺伝子の微妙な変化が引き起こしていると考えられており、特定の染色体を見て明確に判断できるものではないからです。なおかつ発達障害は、染色体異常や形態異常ではなく、成長するにつれて徐々に症状が出てくるものです。
NIPTだけではなく、一般的な出生前診断では発達障害を診断することはできません。

視覚障害

NIPTなどの出生前診断では視覚障害についても判断できません。視覚障害には弱視やまったく見えない全盲、視野狭窄などのさまざまなものがありますが、胎児の視力や視野について検査する方法はないため、視覚障害を出生前診断で判断するのは困難です。

聴覚障害

視覚障害と同様、聴覚障害も出生前診断で診断できません。聴覚障害には、まったく音が聞こえない全聾や、音が聞こえにくい難聴などがありますが、胎児の聴力を計測する方法がないため、聴覚障害を出生前診断で判断することはできません。

NIPTのメリット・デメリット

NIPTが気になる方、受けるか検討中の方はNIPTのメリット・デメリットを知って判断材料にするとよいでしょう。ここでは検査を受けるにあたって知ってもらいたいNIPTの主なメリット・デメリットを紹介します。

NIPTのメリット

NIPTのメリットとして、高精度、流産リスクがない、早期受検が可能なことが挙げられます。
NIPTは高い精度と信頼性で知られており、染色体異常の検出率が非常に高いことが特徴です。一般的に、NIPTの精度は99%以上と高く、誤って陽性となる偽陽性と、誤って陰性となる偽陰性のリスクは低いです。また、検査方法が採血のみなので、母胎に安全で流産リスクもありません。

そして、NIPTは妊娠9〜10週以降と妊娠初期から検査が可能なことも大きなメリットです。早い時期に受検できると、もし陽性となった場合に気持ちの整理をする時間をとることができ、その後の動きにゆとりを持つこともできます。

NIPTのデメリット

NIPTのデメリットでは代表的なものとして、他の非確定検査より費用が高いこと、受検できる期間が限定的であることが挙げられます。

NIPTの検査費用は10万〜20万円ですが、NIPTと同様に非確定的検査であるコンバインド検査は5,000円〜5万円、母体血清マーカー検査は2〜3万円です。上記のとおり、他の非確定的検査と比べると検査費用は高く、保険適用外のため、全額自己負担となります。金銭的な負担は大きいですが、メリットで挙げたように検査の精度は非常に高いです。

また、NIPTは妊娠9〜10週以降から受けることが可能で、妊娠15週ごろまでの受検が適しています。そのため妊娠15週以降に妊娠がわかった場合、適切な時期に検査を受けることができなくなります。

コンバインド検査はNIPTよりもさらに受検時期が限られており11〜13週です。一方、母体血清マーカー検査は受検可能な時期は15週以降と遅いですが、20週頃まで受けられます。どの検査も受検に適している時期があり、それらを考慮してどの出生前診断を受検するか検討する必要があるでしょう。

NIPTを受ける際のポイント

NIPTは認証施設、非認証施設で受けられますが、受ける医院やクリニック選びは自分のニーズに合った施設を選ぶことが重要です。
受けたい検査が受けられるかにくわえて、自宅から近いのか、遺伝カウンセリングを実施しているかどうかは特に注意をしてクリニックを選ぶようにしましょう。

自宅から近いか

NIPTが受けられる時期は妊娠初期にあたるため、つわりと重なる妊婦さんも多い傾向にあります。そのため、自宅から遠方の医院を選ぶと妊婦さんに負担がかかってしまうことが考えられます。できるだけ近い医院で受けられると理想的といえるでしょう。

また、施設によっては陽性反応が出た後の対応がされず、検査後の結果によっては確定的検査を受けられる病院を自ら探して行かなければならないというケースもあります。自宅から近い施設に検査結果が出た後も継続して通えるのかどうかも調べておきましょう。

遺伝カウンセリングを実施しているかどうか

NIPTは赤ちゃんの生命の選択につながる重たい検査です。手軽さだけを求めて「理解度」をぞんざいに扱ってしまうと、陽性だったときに足元がぐらつく以上の不安や衝撃を覚えます。
そのため、出生前診断についてきちんと説明ができる臨床遺伝専門医が在籍している医院で診療を受けるのがおすすめです。認証施設では遺伝カウンセリングが必須で、非認証施設では必須ではありませんでしたが、最近はNIPT検査の需要の増加もあり、遺伝カウンセリングを受けられるケースが多いです。

非認証施設でNIPTを受ける場合は、ホームページを見たり、事前に問い合わせたりして遺伝カウンセリングの有無を確認するとよいでしょう。

ミネルバクリニックではオンラインNIPTを実施

東京にあるミネルバクリニックではオンラインNIPTを実施しています。
偽陰性・判定保留ゼロ、陽性的中率100%で高い精度を誇る、まさに大学病院レベルのNIPTがオンラインで受診可能です。地方にお住まいの方も自宅から質の高いNIPTを受けることができます。
ミネルバクリニックで提供しているNIPTメニューのすべてが、オンラインNIPTの対象です。受けたかったNIPTを自宅から気軽に受けられるでしょう。
オンラインNIPTでは、ミネルバクリニックのオンラインNIPTの実績がある全国94箇所の採血機関を紹介させていただき、採血を受けていただく形になります。詳しくは、ミネルバクリニックにご相談ください。

また、オンラインでの遺伝カウンセリングにも対応しています。リラックスした環境の中で、NIPTを受ける前の相談や、陽性の結果がでた場合にどのような答えを出すのか妊婦さんやご家族にとってベストなのかサポートをさせていただきます。

まとめ

NIPT検査でわかることは、認証施設と非認証施設で異なり、認証施設では21トリソミー(ダウン症)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトウ症候群)の基本検査が、非認証施設では基本検査に比べてより多くの疾患や病気を調べることができます。ただし、NIPTでは発達障害などの複数の遺伝子の微妙な変化が引き起こしていると考えられ、特定の染色体を見て明確な判断を下すのが難しい障害は検査できません。

NIPT検査を検討中の方は、NIPTのメリット・デメリットをしっかりと把握して不安なことは遺伝カウンセリングで相談するようにしましょう。ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医によるカウンセリングがオンラインでも受けられますのでぜひご相談ください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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